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特開2024-115320店舗管理システムおよび店舗内制御装置
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  • 特開-店舗管理システムおよび店舗内制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115320
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】店舗管理システムおよび店舗内制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240819BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240819BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/14
H02J13/00 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020956
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】松井 敦
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB21
5G064DA05
5G066AA02
5G066KA01
5G066KA12
5G066KB03
5G066KB07
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】店舗全体の消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することが可能な店舗管理システムおよび店舗内制御装置を提供する。
【解決手段】この店舗管理システム100では、店舗内制御装置2は、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得し、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、特定店舗内機器の特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内に配置されるとともに、電力で駆動する複数の店舗内機器と、
前記店舗内機器を制御するように構成されている制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の店舗内機器のうちの1つである特定店舗内機器が行う特有動作について、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得し、
前記所定の時間の範囲内における前記複数の第1消費電力量予測値のうち、前記第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、
前記特定店舗内機器の前記特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている、店舗管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、過去の複数日分の単位時間毎の店舗全体の複数の実測消費電力量に基づいて、前記所定の時間の範囲内における店舗全体の電力量の実測値から前記特定店舗内機器の電力量の実測値を差分した第2消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得し、
取得した複数の前記第2消費電力量予測値に、前記動作開始時刻の変更後の前記特定店舗内機器の消費電力量の予測値を加算することにより、前記第1消費電力量予測値を複数取得するように構成されている、請求項1に記載の店舗管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記店舗全体の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の複数日分の前記店舗全体の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得するとともに、前記特定店舗内機器の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の複数日分の前記特定店舗内機器の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得するように構成されている、請求項2に記載の店舗管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記特有動作が1日に複数回行われる場合は、複数の前記特有動作の動作開始時間の各々に対して行う前記動作開始時刻最適化制御を1回で行うように構成されている、請求項1に記載の店舗管理システム。
【請求項5】
前記店舗内機器は、冷却装置を含むショーケースであるとともに、前記特有動作として除霜運転を行うように構成されており、
前記制御部は、前記特有動作の前記除霜運転について、前記動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている、請求項1に記載の店舗管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記所定の時間の範囲内として、前記動作開始時刻よりも後の時間の範囲が、前記動作開始時刻よりも前の時間の範囲よりも長く設定されている、請求項5に記載の店舗管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記特有動作について、前記動作開始時刻を含む前記所定の時間の範囲内の店舗全体の消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得し、前記所定の時間の範囲内の前記複数の店舗全体の消費電力量予測値の最大値が閾値よりも大きい場合に、前記動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている、請求項1に記載の店舗管理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記所定の時間の範囲内における前記複数の第1消費電力量予測値のうち、前記第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻の前記第1消費電力量予測値の最大値が、前記動作開始時刻を変更前の店舗全体の消費電力量予測値以上の場合に、店舗全体の消費電力量が小さくなるように、前記特定店舗内機器における前記特有動作以外の動作、または前記特定店舗内機器以外の店舗内機器の動作を制御するように構成されている、請求項1に記載の店舗管理システム。
【請求項9】
店舗内に配置され、電力で駆動する複数の店舗内機器を制御するとともに、
前記複数の店舗内機器のうちの1つである特定店舗内機器が行う特有動作について、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得し、
前記所定の時間の範囲内における前記複数の第1消費電力量予測値のうち、前記第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、
前記特定店舗内機器の前記特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている、店舗内制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、店舗管理システムに関し、特に、消費電力量の予測を行う店舗管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消費電力量の予測を行う店舗管理システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、圧縮機と、凝縮器と、減圧装置と、蒸発器とを用いた冷凍サイクルが構成された冷熱機器の除霜運転を制御する運転管理装置が開示されている。特許文献1の運転管理装置は、記憶部と、消費電力予測部と、除霜シフト制御部とを備えている。特許文献1では、記憶部に記憶されている除霜終了後の冷熱機器のプルダウン(冷却)に要する消費電力に、消費電力予測部が予測した店舗の少なくとも複数の冷凍サイクルの消費電力を含む所定時刻毎の消費電力を加えた合計予測消費電力が、店舗により予め設定されている消費電力の上限値を超えないように、除霜シフト制御部が、除霜運転開始時刻または除霜終了時刻を変更するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-52952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、除霜後のプルダウン(冷却)のように店舗内に配置される機器の特有の動作に基づいて冷熱機器の消費電力量が大きく増加し、店舗全体の消費電力量のピークが過度に大きくなる場合がある。この場合、消費電力量のピークの大きさに応じた耐久性のある設備を準備する必要がある。また、消費電力量のピークの大きさに応じて基本電気料金が設定される場合がある。そのため、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制するために、冷熱機器および他の機器の消費電力量を抑制するといった対策が必要となる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のように消費電力の上限値を超えないように除霜運転開始時刻または除霜終了時刻を変更する場合、消費電力量の上限値は超えないが、消費電力量のピークが生じる位置がシフトされるだけであり、消費電力量のピークが過度に大きい状態が維持される場合がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、店舗全体の消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することが可能な店舗管理システムおよび店舗内制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による店舗管理システムは、店舗内に配置されるとともに、電力で駆動する複数の店舗内機器と、店舗内機器を制御するように構成されている制御部と、を備え、制御部は、複数の店舗内機器のうちの1つである特定店舗内機器が行う特有動作について、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得し、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、特定店舗内機器の特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面による店舗管理システムでは、上記のように、制御部は、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得し、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、特定店舗内機器の特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。これにより、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択して変更することにより、特有動作により消費電力量が増加した場合の店舗全体の消費電力量を最小にすることができる。この結果、店舗全体の消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による店舗管理システムにおいて、好ましくは、制御部は、過去の複数日分の単位時間毎の店舗全体の複数の実測消費電力量に基づいて、所定の時間の範囲内における店舗全体の電力量の実測値から特定店舗内機器の電力量の実測値を差分した第2消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得し、取得した複数の第2消費電力量予測値に、動作開始時刻の変更後の特定店舗内機器の消費電力量の予測値を加算することにより、第1消費電力量予測値を複数取得するように構成されている。このように構成すれば、過去の複数日分の単位時間毎の店舗全体の複数の実測消費電力量に基づいて第2消費電力量予測値を取得することにより、制御部は、実際の電力量との誤差が小さい第2消費電力量予測値を精度よく取得することができるため、制御部は、第1消費電力量予測値を精度よく取得することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、店舗全体の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の複数日分の店舗全体の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得するとともに、特定店舗内機器の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の複数日分の特定店舗内機器の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得するように構成されている。このように構成すれば、消費電力量の平均値を取得することにより、複数日間における消費電力量のばらつきを抑制することができるため、制御部は、第2消費電力量予測値をより精度よく取得することができる。
【0012】
上記第1の局面による店舗管理システムにおいて、好ましくは、制御部は、特有動作が1日に複数回行われる場合は、複数の特有動作の動作開始時間の各々に対して行う動作開始時刻最適化制御を1回で行うように構成されている。このように構成すれば、1回で複数回分の特有動作の消費電力量を最適化することができるため、制御部は、消費電力量のピークが過度に大きくなることを効率よく抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による店舗管理システムにおいて、好ましくは、店舗内機器は、冷却装置を含むショーケースであるとともに、特有動作として除霜運転を行うように構成されており、制御部は、特有動作の除霜運転について、動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。このように構成すれば、除霜運転に伴ってショーケース内をプルダウン(冷却)する場合の消費電力量の増加に起因して、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、所定の時間の範囲内として、動作開始時刻よりも後の時間の範囲が、動作開始時刻よりも前の時間の範囲よりも長く設定されている。このように構成すれば、除霜運転後のプルダウンが一定時間継続して行われるため、動作開始時刻よりも後の時間の範囲を長くすることにより、制御部は、除霜運転後のプルダウン(冷却)に起因する消費電力量が増加する時間帯を考慮して、動作開始時刻最適化制御を行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による店舗管理システムにおいて、好ましくは、制御部は、特有動作について、動作開始時刻を含む所定の時間の範囲内の店舗全体の消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得し、所定の時間の範囲内の複数の店舗全体の消費電力量予測値の最大値が閾値よりも大きい場合に、動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。このように構成すれば、所定の時間の範囲内の複数の店舗全体の消費電力量予測値の最大値が閾値を超えた場合は、消費電力量が大きくなると予測できるため、閾値を超えた場合に動作開始時刻最適化制御を行うことにより、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による店舗管理システムにおいて、好ましくは、制御部は、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻の第1消費電力量予測値の最大値が、動作開始時刻を変更前の店舗全体の消費電力量予測値以上の場合に、店舗全体の消費電力量が小さくなるように、特定店舗内機器における特有動作以外の動作、または特定店舗内機器以外の店舗内機器の動作を制御するように構成されている。このように構成すれば、制御部が、動作開始時刻最適化制御を行った場合でも、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することが困難な場合に、他の店舗内機器の消費電力量を抑制することにより、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0017】
この発明の第2の局面による店舗内制御装置は、店舗内に配置され、電力で駆動する複数の店舗内機器を制御するとともに、複数の店舗内機器のうちの1つである特定店舗内機器が行う特有動作について、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得し、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、特定店舗内機器の特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。
【0018】
この発明の第2の局面による店舗内制御装置では、上記のように、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、特定店舗内機器の特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。これにより、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択して変更することにより、特有動作により消費電力量が増加した場合の店舗全体の消費電力量を最小にすることができる。この結果、第2の局面による店舗内制御装置を用いることにより、店舗全体の消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制するように特定店舗内機器を制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、店舗全体の消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することが可能な店舗管理システムおよび店舗内制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態による店舗管理システムの構成を示す図である。
図2】店舗管理システムにおける制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[実施形態]
図1を参照して、一実施形態による店舗管理システムの構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、店舗管理システム100は、複数の店舗内機器1と、店舗内制御装置2とを備える。店舗管理システム100は、たとえば、コンビニエンスストアのような店舗において利用される。店舗管理システム100は、たとえば、電気代の基本料金を削減するために、消費電力量のピークが大きくなることを抑制するために用いられる。なお、店舗内制御装置2は、特許請求の範囲に記載した制御部の一例である。
【0024】
複数の店舗内機器1は、電力で駆動する。複数の店舗内機器1は、たとえば、商品を配置するショーケース1aと、飲料製造装置1bと、空気調和装置1cと、照明1dとを含む。ショーケース1aは、内蔵型ショーケース11aと、冷却装置が別置された別置型ショーケース11bとを含む。冷却装置とは、蒸発器と、凝縮器と、膨張部と、圧縮機とからなる冷凍サイクルによってショーケース1aを冷却する装置である。別置型ショーケース11bは、蒸発器だけがショーケース内に設けられており、チルドケースと、店舗従業員が内部に入り作業可能なウォークイン型冷蔵ショーケースとを含む。内蔵型ショーケース11aは、冷凍ショーケースと、扉が前面についているリーチイン型冷蔵ショーケースとを含む。
【0025】
飲料製造装置1bとは、コーヒーおよびジュースを含む飲料を製造するための装置である。
【0026】
店舗内制御装置2は、複数の店舗内機器1の各動作を制御するように構成されている。店舗内制御装置2は、店舗内機器1と各々通信可能に構成されている。また、店舗内制御装置2は、温度計または日射計を含むセンサと通信可能に構成されている。また、店舗内制御装置2は、店舗内機器1に接続された電力計3と通信可能である。さらに、店舗内制御装置2は、店舗外に設けられる装置およびサーバと通信可能である。店舗内制御装置2は、店舗内機器1に接続された集電盤4から消費電力に関する情報を取得可能である。
【0027】
店舗内制御装置2は、複数の店舗内機器1のうちの1つである特定店舗内機器が行う特有動作について、動作開始時刻最適化処理を行うように構成されている。特有動作が1日に複数回行われる場合は、特有動作の動作開始時間の各々に対して行う。たとえば、特有動作の第1回目の開始時刻が9時であり、第2回目の開始時刻が21時である場合は、第1回目の開始時刻と、第2回目の開始時刻との各々の開始時刻について動作開始時刻最適化処理を行う。また、第1回目の開始時刻と、第2回目の開始時刻との各々の開始時刻について動作開始時刻最適化処理を行うのは1回で(同時にまたは連続して)行うように構成されている。本実施形態では、特定店舗内機器がショーケース1aであるとともに、特有動作が冷却装置の除霜運転である場合について説明する。
【0028】
店舗内制御装置2は、ショーケース1aの動作開始時刻最適化処理を行う必要があるか否かを少なくとも1日1回は取得する。店舗内に複数のショーケース1aが配置されている場合は、複数のショーケース1aの各々について行う。また、店舗内に複数種類のショーケース1aが配置されている場合は、たとえば、店舗内制御装置2は、消費電力量が大きい順に動作開始時刻最適化処理を行う。消費電力量が大きい順とは、別置型ショーケース11b、冷凍ショーケース、リーチイン型冷蔵ショーケースの順番で行う。また、店舗内に同じ種類のショーケース1aが配置されている場合は、店舗内制御装置2と接続される接続部分のアドレス(番号)が小さいショーケース1aから行う。
【0029】
店舗内制御装置2は、除霜運転について、動作開始時刻を含む所定の時間の範囲内の店舗全体の消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得する。単位時間は、たとえば、30分に設定される。これにより、1日で48の消費電力量の実測値が得られる。所定の時間範囲は、動作開始時刻よりも後の時間の範囲が、動作開始時刻よりも前の時間の範囲よりも長く設定されている。所定の時間範囲は、たとえば、除霜運転の開始時刻の予定時間の1時間前から、除霜運転の開始時刻の予定時間の2時間30分後までに設定される。これは、除霜運転を行った後、ショーケース1aを設定温度にプルダウン(冷却)する必要があるため消費電力量が大きい状態が維持されるからである。
【0030】
店舗内制御装置2は、店舗全体の消費電力量予測値を過去の複数日分の消費電力量の実測値から取得する。たとえば、店舗全体の消費電力量予測値を取得する日が平日の場合は、その前日から5日前まである。なお、この場合、土日は除外する。また、店舗全体の消費電力量予測値を取得する日が土日の場合は、過去4日間である。この場合は、平日を除く。店舗内制御装置2は、集電盤4から分単位で電力量を得ている。店舗内制御装置2は、単位時間が30分の場合は、たとえば、12時を開始点とすると、12時1分の時点で電力量の実測値が1つ得られ、30分後には電力量の実測値が30の実測値が得られる。店舗内制御装置2は、これら30のデータを積算し(足し合わせ)たものを、単位時間毎の消費電力量として取得する。
【0031】
店舗内制御装置2は、過去の複数日分の消費電力量を取得した後、単位時間毎に一番小さい値を除いて平均値を算出する。一番小さい値を除くのは、安全をとるためである。これにより取得された平均値が、単位時間毎の店舗全体の消費電力量予測値となる。
【0032】
店舗内制御装置2は、単位時間毎に取得した複数の店舗全体の消費電力量予測値のうち閾値と比較し、最大値が閾値よりも大きい場合に動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。閾値は、たとえば、30分経過時点の目標電力量から予備電力量を除いた値である。目標電力量は、予め設定されている。予備電力量は、電力量に余裕を持たすために設定されている。
【0033】
店舗内制御装置2は、動作開始時刻最適化制御を行う場合、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得する。単位時間および所定の時間範囲は、所定の時間の範囲内の店舗全体の消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得する場合と同じである。
【0034】
店舗内制御装置2は、まず、過去の複数日分の単位時間毎の店舗全体の複数の実測消費電力量に基づいて、所定の時間の範囲内における店舗全体の電力量の実測値からショーケース1aの電力量の実測値を差分した第2消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得する。単位時間および所定の時間範囲は、所定の時間の範囲内の店舗全体の消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得する場合と同じである。店舗内制御装置2は、店舗全体の消費電力量を集電盤4から取得し、ショーケース1aの消費電力量をショーケース1aに取り付けた電力計3から取得する。
【0035】
店舗内制御装置2は、取得した複数の第2消費電力量予測値に、動作開始時刻の変更後のショーケース1aの消費電力量の予測値を加算することにより、第1消費電力量予測値を複数取得する。ショーケース1aの消費電力量の予測値は、除霜運転開始から30分間の消費電力量の予測値と、除霜運転開始から30分後から60分後までの消費電力量の予測値と、除霜運転開始から60分後から90分後までの消費電力量の予測値と、除霜運転開始から90分間の消費電力量を除いた1日の消費電力量の予測値との4種類である。
【0036】
除霜運転開始から30分間の消費電力量の予測値は、過去の複数日分の特定動作開始から30分間の消費電力量の平均から得られる。除霜運転開始から30分後から60分後までの消費電力量の予測値は、過去の複数日分の除霜運転開始から30分後から60分後までの消費電力量の平均から得られる。除霜運転開始から30分後から60分後までの消費電力量の予測値は、過去の複数日分の除霜運転開始から60分後から90分後までの消費電力量の平均から得られる。除霜運転開始から90分間の消費電力量を除いた1日の消費電力量の予測値は、過去の複数日分の除霜運転開始から90分間の消費電力量を除いた1日の消費電力量の平均から得られる。
【0037】
この場合、過去複数日とは、取得する日が平日の場合は、その前日から5日前まである。また、店舗全体の消費電力量予測値を取得する日が土日の場合は、過去4日間である。この場合は、平日を除く。
【0038】
店舗内制御装置2は、除霜運転開始時刻を単位時間毎に変更して変更後の第1消費電力量を取得する。以下の例では、除霜運転開始時刻が9時に設定されており、除霜運転開始時刻を8時に変更した場合と、除霜運転開始時刻を8時30分に変更した場合と、除霜運転開始時刻を9時30分に変更した場合と、除霜運転開始時刻を10時に変更した場合と、除霜運転開始時刻を10時30分に変更した場合と、除霜運転開始時刻を11時に変更した場合との第1消費電力量を取得する。以下、例を挙げて説明する。
【0039】
たとえば、除霜運転が1日に2回行われる場合に、過去5日間で以下の表1から表3の消費電力量を得られたとする。
【0040】
[表1]

【0041】
[表2]
【0042】
[表3]

【0043】
除霜運転開始時刻は、表4に示す時刻であるとする。
【0044】
[表4]
【0045】
上記の場合、表1、表2および表4から、除霜運転開始から30分間の消費電力量の予測値は、5日前の10:00~10:30の120と、21:00~21:30の120と、4日前の9:00~9:30の120と、20:00~20:30の140と、3日目前の10:00~10:30の120と、21:00~21:30の100と、2日前の8:00~8:30の100と、22:00~22:30の110と、1日前の9:00~9:30の120と、20:00~20:30の110と、を合計した1160を10で割った116となる。
【0046】
また、表1、表2および表4から、除霜運転開始から30分後から60分後までの消費電力量の予測値は、5日前の10:30~11:00の110と、21:30~22:00の110と、4日前の9:30~10:00の130と、20:30~21:00の100と、3日目前の10:30~11:00の110と、21:30~22:00の120と、2日前の8:30~9:00の110と、22:30~23:00の100と、1日前の9:30~10:00の130と、20:30~21:00の120と、を合計した1140を10で割った114となる。
【0047】
また、表1、表2および表4から、除霜運転開始から60分後から90分後までの消費電力量の予測値は、5日前の11:00~11:30の100と、22:00~22:30の100と、4日前の10:00~10:30の120と、21:00~21:30の130と、3日目前の11:00~11:30の100と、22:00~22:30の110と、2日前の9:00~9:30の120と、23:00~23:30の110と、1日前の10:00~10:30の120と、21:00~21:30の130と、を合計した1140を10で割った114となる。
【0048】
また、表3から、除霜運転開始から90分間の消費電力量を除いた1日の消費電力量の予測値は、表3に記載されている数値をすべて積算して、平均化した101.875となる。
【0049】
次に、第2消費電力予測値は、以下の表5および表6のとおりであるとする。
【0050】
[表5]

【0051】
[表6]

【0052】
表5および表6は、単位時間毎の過去5日間の消費電力量の実測値を対応する単位時間ごとに足し合わせて平均化した値である。減算結果が、第2消費電力予測値となる。
【0053】
店舗内制御装置2は、除霜運転開始時刻を変更後の開始時刻から30分間の第2消費電力予測値に、除霜運転開始から30分間の消費電力量の予測値を積算して、開始時刻から30分間の第1消費電力予測値を取得する。たとえば、除霜運転開始時刻を8時にする場合、店舗内制御装置2は、開始時刻から単位時間の第2消費電力量である、8:00~8:30の第2消費電力量予測値の1290に、除霜運転開始から30分間の消費電力量の予測値の116を加算して、1416を取得する。なお、除霜運転開始時刻変更前の第1消費電力予測値は、記憶されているデータが用いられる。
【0054】
また、店舗内制御装置2は、除霜運転開始時刻を変更後の開始時刻30分後から60分後までの第2消費電力予測値に、除霜運転開始30分後から60分後までの消費電力量の予測値を積算して、開始時刻から30分間第1消費電力予測値を取得する。除霜運転開始時刻を8時にする場合、店舗内制御装置2は、除霜運転開始から30分後から60分後までの第2消費電力量である、8:30~9:00の第2消費電力量予測値である1320に、除霜運転開始から30分後から60分後までの消費電力量の予測値の114を加算して、1434を取得する。
【0055】
また、店舗内制御装置2は、除霜運転開始時刻を変更後の開始時刻60分後から90分後までの第2消費電力予測値に、除霜運転開始60分後から90分後までの第2消費電力予測値の消費電力量の予測値を積算して、除霜運転開始60分後から90分後までの第1消費電力予測値を取得する。たとえば、除霜運転開始時刻を8時にする場合、店舗内制御装置2は、9:00~9:30の第2消費電力量予測値の1230に除霜運転開始60分後から90分後までの予測値の114を加算して、1344を取得する。
【0056】
また、店舗内制御装置2は、除霜運転開始時刻を変更後の開始時刻90分後以降の複数の第2消費電力予測値の各々に、除霜運転開始90分間の消費電力量を除いた消費電力量の予測値を積算して、除霜運転開始時刻を変更後の開始時刻90分後以降の第1消費電力予測値を取得する。たとえば、除霜運転開始時刻を8時にする場合、店舗内制御装置2は、10:00~10:30の第2消費電力量予測値である1220に、除霜運転開始90分間の消費電力量を除いた消費電力量の予測値の101.875を加算して、1321.875となる。以上のように第1除霜運転時と第2除霜運転時とについて、除霜運転開始時刻を変更して第1消費電力量予測値を複数取得する。取得した結果は、以下の表7および表8に示す。
【0057】
[表7]

【0058】
[表8]

【0059】
店舗内制御装置2は、所定の時間の範囲内における前記複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択する。表7の場合、8:00開始の場合の第1消費電力予測値の最大値は、1434であり、8:30開始の第1消費電力予測値の最大値は、1436であり、9:00開始の場合の第1消費電力予測値の最大値は、1421.875であり、9:30開始の第1消費電力予測値の最大値は、1421.875であり、10:00開始の場合の第1消費電力予測値の最大値は、1421.875である。この場合、店舗内制御装置2は、第1消費電力予測値の最大値が最小となる9:00開始、9:30開始。10:00開始のうち、除霜運転を早く開始することができる9:00開始を選択する(ハッチングで示している)。同様に表8の場合も行って、第2除霜運転の開始時刻としてハッチングで示している21:30開始を選択する。そして、店舗内制御装置2は、第1除霜運転の開始時刻を9:00から変更しないが、第2除霜運転の開始時刻を21:30に変更する。
【0060】
上記のようにして取得された第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻の第1消費電力量予測値の最大値が、動作開始時刻を変更前の店舗全体の消費電力量予測値以上の場合に、店舗内制御装置2は、店舗全体の消費電力量が小さくなるように、ショーケース1aにおける除霜運転以外の動作、またはショーケース1a以外の店舗内機器1の動作を制御するように構成されている。たとえば、店舗内制御装置2は、消費電力量を小さくするため、ショーケース1a内を冷却する温度を上げる制御、空気調和装置1cの設定温度を上げるまたは風量を弱くする制御などを行う。
【0061】
図2を参照して、店舗内制御装置2の動作開始時刻最適化制御の流れを説明する。
【0062】
ステップS1として、店舗内制御装置2は、動作開始時刻最適化処理が未処理のショーケース1aの有無により進むステップが異なる。有る場合は、ステップS2に進み、無い場合はステップS7に進む。
【0063】
ステップS2では、店舗内制御装置2は、動作開始時刻最適化処理の対象のショーケース1aを選択する。ステップS3では、ステップS2で選択したショーケース1aが1日に行う複数の除霜運転の動作開始時刻のうち、動作開始時刻最適化処理が未処理の動作開始時刻があるか否かにより進むステップが異なる。動作開始時刻最適化処理が未処理の動作開始時刻がある場合は、ステップS4に進み、無い場合は、ステップS1に戻る。
【0064】
ステップS4では、店舗内制御装置2は、除霜運転の動作開始時刻の変更の必要があるか否かを判断する。店舗内制御装置2は、動作開始時刻を含む所定の時間の範囲内の店舗全体の消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得し、所定の時間の範囲内の複数の店舗全体の消費電力量予測値の最大値が閾値よりも大きいか否かを取得する。閾値よりも大きい場合は、除霜運転の動作開始時刻の変更の必要有りとして、ステップS5に進む。閾値以下の場合は、除霜運転の動作開始時刻の変更の必要無しとして、ステップS3に戻る。
【0065】
ステップS5では、店舗内制御装置2は、動作開始時刻変更後の第1消費電力量の予測値を取得する。そして、ステップS6で、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、ステップS3に戻る。ステップS2~ステップS6を1つのショーケース1aの全ての除霜運転開始時刻について行った後、店舗内制御装置2は、ステップS1に戻り、別のショーケース1aについての全ての除霜運転開始時刻について動作開始時刻最適化処理を行う。これを繰り返し、店舗内制御装置2は、全てのショーケース1aに対してステップS2~S6を行った場合に、ステップS7に進む。
【0066】
ステップS7では、店舗内制御装置2は、ステップS4により、動作開始時刻の変更が必要と判断されたショーケース1aの除霜運転開始時刻をステップS6で選択した除霜運転開始時刻に変更するように対象のショーケース1a全てを制御する。
【0067】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置2は、予め設定された動作が開始される動作開始時刻を変更した場合における、単位時間毎の店舗全体の消費電力量の予測値である第1消費電力量予測値を所定の時間範囲内において複数取得し、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択し、かつ、特定店舗内機器の特有動作の動作開始時刻を選択した動作開始時刻に変更する動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。これにより、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻を選択して変更することにより、特有動作により消費電力量が増加した場合の店舗全体の消費電力量を最小にすることができる。この結果、店舗全体の消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置2は、過去の複数日分の単位時間毎の店舗全体の複数の実測消費電力量に基づいて、所定の時間の範囲内における店舗全体の電力量の実測値から特定店舗内機器の電力量の実測値を差分した第2消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得し、取得した複数の第2消費電力量予測値に、動作開始時刻の変更後の特定店舗内機器の消費電力量の予測値を加算することにより、第1消費電力量予測値を複数取得するように構成されている。これにより、過去の複数日分の単位時間毎の店舗全体の複数の実測消費電力量に基づいて第2消費電力量予測値を取得することにより、店舗内制御装置2は、実際の電力量との誤差が小さい第2消費電力量予測値を精度よく取得することができるため、店舗内制御装置2は、第1消費電力量予測値を精度よく取得することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置2は、店舗全体の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の複数日分の店舗全体の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得するとともに、特定店舗内機器の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の複数日分の特定店舗内機器の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得するように構成されている。これにより、消費電力量の平均値を取得することにより、複数日間における消費電力量のばらつきを抑制することができるため、店舗内制御装置2は、第2消費電力量予測値をより精度よく取得することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置2は、特有動作が1日に複数回行われる場合は、複数の特有動作の動作開始時間の各々に対して行う動作開始時刻最適化制御を1回で行うように構成されている。これにより、1回で複数回分の特有動作の消費電力量を最適化することができるため、店舗内制御装置2は、消費電力量のピークが過度に大きくなることを効率よく抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内機器1は、冷却装置を含むショーケース1aであるとともに、特有動作として除霜運転を行うように構成されており、店舗内制御装置2は、特有動作の除霜運転について、動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。これにより、除霜運転に伴ってショーケース1a内をプルダウン(冷却)する場合の消費電力量の増加に起因して、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置2は、所定の時間の範囲内として、動作開始時刻よりも後の時間の範囲が、動作開始時刻よりも前の時間の範囲よりも長く設定されている。これにより、除霜運転後のプルダウンが一定時間継続して行われるため、動作開始時刻よりも後の時間の範囲を長くすることにより、店舗内制御装置2は、除霜運転後のプルダウン(冷却)に起因する消費電力量が増加する時間帯を考慮して、動作開始時刻最適化制御を行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置2は、特有動作について、動作開始時刻を含む所定の時間の範囲内の店舗全体の消費電力量予測値を単位時間毎に複数取得し、所定の時間の範囲内の複数の店舗全体の消費電力量予測値の最大値が閾値よりも大きい場合に、動作開始時刻最適化制御を行うように構成されている。これにより、所定の時間の範囲内の複数の店舗全体の消費電力量予測値の最大値が閾値を超えた場合は、消費電力量が大きくなると予測できるため、閾値を超えた場合に動作開始時刻最適化制御を行うことにより、消費電力量のピークが局所的に現れることを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、所定の時間の範囲内における複数の第1消費電力量予測値のうち、第1消費電力量予測値の最大値が最小となる動作開始時刻の第1消費電力量予測値の最大値が、動作開始時刻を変更前の店舗全体の消費電力量予測値以上の場合に、店舗全体の消費電力量が小さくなるように、特定店舗内機器における特有動作以外の動作、または特定店舗内機器以外の店舗内機器1の動作を制御するように構成されている。これにより、店舗内制御装置2が、動作開始時刻最適化制御を行った場合でも、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することが困難な場合に、他の店舗内機器の消費電力量を抑制することにより、消費電力量のピークが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0076】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0077】
たとえば、上記実施形態では、特定店舗内機器がショーケースである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、特定店舗内機器が飲料製造装置であってもよい。この場合、特有動作は、飲料製造装置の清掃運転であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ショーケースの除霜運転の動作開始時刻最適化制御だけを行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、動作開始時刻最適化制御は、複数の特定店舗内機器に対してまとめて行ってもよく、また、1つの特定店舗内機器の複数の特有動作について動作開始時刻最適化制御を行ってもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、単位時間を30分とする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、単位時間を30分以外に設定してもよく、たとえば10分であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、店舗全体の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の複数日分の店舗全体の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、店舗全体の単位時間毎の消費電力量の実測値として、過去の数週間分の店舗全体の消費電力量の平均値を単位時間毎に取得してもよく、平均値ではなく中間値を取得してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、特有動作が1日に複数回行われる場合は、複数の特有動作の動作開始時間の各々に対して行う前記動作開始時刻最適化制御を1回で行うように構成されている、例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、複数の特有動作の動作開始時間の各々に対して行う前記動作開始時刻最適化制御を別々に行ってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、店舗内制御装置は、所定の時間の範囲として、動作開始時刻よりも後の時間の範囲が、動作開始時刻よりも前の時間の範囲よりも長く設定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、店舗内制御装置は、所定の時間の範囲として、動作開始時刻よりも後の時間の範囲が、動作開始時刻よりも前の時間の範囲と同じでもよく、短くてもよい。
【0083】
また、店舗が太陽光発電設備を備える場合、店舗内制御装置は、太陽光発電設備の予測発電量に基づいて、動作開始時刻最適化制御を行ってもよい。この場合、第1消費電力量および第2消費電力量は、太陽光発電設備の予測発電量を除いた値として取得される。
【0084】
また、店舗が蓄電池を備える場合、店舗内制御装置は、蓄電池の充放電に基づいて、動作開始時刻最適化制御を行ってもよい。この場合、蓄電池の放電により、店舗全体の消費電力量を小さくしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 店舗内機器
2 店舗内制御装置(制御部)
1a ショーケース
100 店舗管理システム
図1
図2