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  • 特開-空気清浄機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115321
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20240819BHJP
【FI】
B01D46/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020957
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000232760
【氏名又は名称】日本無機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】包 理
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】新部 航平
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA13
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA17
4D058QA21
4D058UA25
(57)【要約】
【課題】清浄度を向上できる空気清浄機を提供する。
【解決手段】吸込口と、吹出口14と、を有する筐体10と、吸込口から吹出口14までの気流を形成するファンと、吹出口から吹き出される空気を清浄化するエアフィルタと、を備える。吹出口14は、中心側領域40と、中心側領域40の周縁に位置し中心側領域40から吹き出される空気の速度よりも大きい速度で空気を吹き出す周縁側領域50と、を有する。中心側領域40は、所定の中心側開口面積で開口する複数の中心側開口41を有し、周縁側領域50は、中心側開口面積よりも大きい所定の周縁側開口面積で開口する複数の周縁側開口51を有していてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と、吹出口と、を有する筐体と、
前記吸込口から前記吹出口までの気流を形成するファンと、
前記吹出口へ流れる空気を清浄化するエアフィルタと、を備え、
前記吹出口は、中心側領域と、前記中心側領域の周縁に位置し前記中心側領域から吹き出される前記空気の速度よりも大きい速度で前記空気を吹き出す周縁側領域と、を有する、空気清浄機。
【請求項2】
前記中心側領域は、所定の中心側開口面積で開口する複数の中心側開口を有し、
前記周縁側領域は、前記中心側開口面積よりも大きい所定の周縁側開口面積で開口する複数の周縁側開口を有する、請求項1記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記周縁側領域は、前記中心側領域の開口率よりも大きい開口率を有する、請求項1記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記中心側開口および前記周縁側開口は、円形状またはスリット状である、請求項2記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸い込んだ空気を清浄化し、吹き出すことにより、吹出面から所定領域において清浄度が保たれた局所領域を形成する空気清浄機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-202945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
清浄化された局所領域は、吹出面から所要の距離において、気流に直交する断面の面積を一定に保ちながら形成されることが好ましい。しかしながら、清浄化された領域の周囲を往来するヒトや機械などのモノの動きにより生じた、清浄化された領域近傍の外気がこの清浄化された空気に巻き込まれ、吹き出された空気の清浄度を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、清浄度を向上できる空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空気清浄機は、上述した課題を解決するために、吸込口と、吹出口と、を有する筐体と、吸込口から吹出口までの気流を形成するファンと、吹出口へ流れる空気を清浄化するエアフィルタと、を備え、吹出口は、中心側領域と、中心側領域の周縁に位置し中心側領域から吹き出される空気の速度よりも大きい速度で空気を吹き出す周縁側領域と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る空気清浄機においては、清浄度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の空気清浄機の一例を示す斜視図。
図2】空気清浄機を背面側から示す外観図。
図3】中心側開口および周縁側開口の形成例を示す説明図。
図4】比較例としての空気清浄機の運転時の気流の様子を示す説明図。
図5】本実施形態における空気清浄機の運転時の気流の様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る空気清浄機の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の空気清浄機1の一例を示す斜視図である。
【0011】
図2は、空気清浄機1を背面側から示す外観図である。
【0012】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」および「左」は、図1、2、4および5における定義に従う。また、「前」に面する側を空気清浄機1の正面、「後」に面する側を背面とする。
【0013】
空気清浄機1は、筐体10と、エアフィルタ20と、ファン30と、を有する。
【0014】
筐体10は、前後方向の幅に比べて上下方向および左右方向の幅が大きいいわゆるパーティション形状を有している。筐体10は、下端に空気清浄機1を移動可能にするキャスター11を有する脚部12を有する。筐体10は、吸込口13と、吹出口14と、を有する。
【0015】
吸込口13は、矩形状であり、筐体10の背面の下方に配置される。吸込口13は、プレフィルタ15で覆われている。吹出口14は、矩形状であり、筐体10の正面の上方に配置される。吹出口14は、筐体10の内側からパンチングメタル16により塞がれている。パンチングメタル16(吹出口14)の詳細については後述する。
【0016】
エアフィルタ20は、ガスケットを介して吹出口14の内側に支持されることにより、吹出口14から吹き出される空気を清浄化する。エアフィルタ20は、例えばろ材と、ろ材を取り囲む外枠とを有する。外枠は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、ステンレス、あるいはセラミックからなる。ろ材は、気体中の塵埃などの微粒子を捕集する。ろ材は、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維またはこれらの混合繊維からなる繊維体である。ろ材は、例えば、不織布、ペーパ、綿またはマットの形態を有している。ろ材は、具体的には、ガラス繊維を構成繊維とする、ガラス不織布、ガラス濾紙、グラスウールなどである。ろ材は、さらに、繊維同士を接着するバインダを含み得る。ろ材は、ろ過面積を確保するため、プリーツ加工され、山折りと谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状を有していることが好ましい。これにより、処理風量が増し、ろ材を高寿命にすることができる。
【0017】
エアフィルタ20は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタである。HEPAフィルタは、定格風量で粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集効率を有し、かつ初期の圧力損失が245Pa以下であるフィルタである。
【0018】
ファン30は、筐体10内の下方であって、吸込口13の前方に配置されている。ファン30は、空気清浄機1の運転が開始されると回転し、吸込口13から吹出口14までの気流を形成する。
【0019】
次に、吹出口14の詳細について説明する。
【0020】
吹出口14は、上述の通りパンチングメタル16に覆われており、このパンチングメタル16により、中心側領域40および周縁側領域50が形成されている。周縁側領域50は、吹出口14の周縁から所定幅分内側に亘って形成された、枠状の領域である。中心側領域40は、吹出口14における周縁側領域以外の部分であり、吹出口14の中心と一致する中心を有する、所定面積の矩形状の領域である。すなわち、周縁側領域50は、中心側領域40の周縁に位置している。
【0021】
中心側領域40および周縁側領域50においては、吹出口14から吹き出される空気の速度が周縁側領域50のほうが大きくなるように、パンチングメタル16の開口の形状や数が異なっている。
【0022】
ここで、図3は、中心側開口41および周縁側開口51の形成例を示す説明図である。具体的には、中心側領域40には、所定の中心側開口面積で開口する複数の中心側開口41が形成されている。また、周縁側領域50には、所定の周縁側開口面積で開口する複数の周縁側開口51が形成されている。周縁側開口面積は、中心側開口41から吹き出される空気の速度よりも大きい速度で空気を吹き出すように、中心側開口面積よりも大きくなっている。または、周縁側領域50は、中心側領域40の開口率よりも大きい開口率を有する。すなわち、複数の周縁側開口51の開口面積の合計(周縁側開口面積×周縁側開口数)は、複数の中心側開口41の開口面積の合計(中心側開口面積×中心側開口数)よりも大きくなっている。
【0023】
中心側開口41および周縁側開口51の形状は、上述したように中心側開口面積よりも周縁側開口面積が大きい関係、または中心側領域40の開口率よりも周縁側領域50の開口率が大きい関係が成立していれば特に限定されない。
【0024】
例えば、図3(a)から(c)に示すように、中心側開口41および周縁側開口51は、円形状の開口であってもよい。また、図3(d)、(f)に示すように、中心側開口41および周縁側開口51は、スリット状であってもよい。さらに、図3(e)に示すように、中心側開口41は円形状であり、周縁側開口51はスリット状であってもよい。さらにまた、図3(g)に示すように、十字形状などの任意の形状であってもよい。
【0025】
この場合、図3(a)、(b)に示すように、周縁側開口51が中心側開口41の径よりも大きい径を有したり、図3(d)、(f)に示すよう周縁側開口51が中心側開口41のスリットの幅や長さよりも大きい幅や長さを有したり、図3(g)に示すように、周縁側開口51の形状を、中心側開口41の形状よりも大きく(太く)したりすることにより、周縁側領域50が中心側開口面積よりも大きい周縁側開口面積で開口する周縁側開口51を有する。またこのとき、全ての周縁側開口面積が中心側開口面積よりも大きくなる必要はなく、少なくとも一部が大きければよい。
【0026】
また、図3(c)に示すように、中心側開口面積および周縁側開口面積や、中心側開口41および周縁側開口51の形状が同一であっても、周縁側領域50に中心側領域40よりも密に周縁側開口51を配置することにより、周縁側領域50が中心側領域40の開口率よりも大きい開口率を有するようにしてもよい。
【0027】
さらに、図3(e)に示すように、周縁側開口51および中心側開口41の形状が異なっていても、周縁側開口面積が中心側開口面積よりも大きかったり、周縁側領域50の開口率が中心側領域40の開口率よりも大きかったりすればよい。
【0028】
このような空気清浄機1は、運転時において、以下のような作用を生じる。図4は、比較例としての空気清浄機の運転時の気流の様子を示す説明図である。図5は、本実施形態における空気清浄機1の運転時の気流の様子を示す説明図である。
【0029】
比較例としての空気清浄機は、中心側領域40および周縁側領域50を区別することなく、吹出口14の全ての領域において均一に開口が形成され、吹き出される空気61の速度が一定である。比較例としての空気清浄機は、吹出口14から均一に清浄化された空気61が吹き出される。このとき、清浄化された空気61の流れる理想的な清浄化領域65の周囲に、ヒトやモノなどの物体の動きがあると、その動きにより生じた汚染空気62による別の気流が生じる。この周囲の気流は、清浄化領域に巻き込まれ、図4に示すように理想的な清浄化領域65を清浄化された空気61とともに流れてしまう。この結果、実際に清浄化された空気61が流れる現実の清浄化領域66は、周縁側が汚染空気62と清浄化空気61とが混じり合った空気となり、理想的な清浄化領域65よりも狭まった先細りした領域となる。
【0030】
これに対し本実施形態における空気清浄機1は、図1に矢印の太さで概念的に示すように、この周囲の気流の影響を考慮し、吹出口14の周縁側領域50から吹き出される空気61bの速度を、中心側領域40から吹き出される空気61aの速度よりも大きくした。これにより、周縁側領域50の清浄化空気61bが周囲の汚染空気62の気流の影響を受けにくくなる。その結果、図5に示すように、現実の清浄化領域66が先細りすることがなく、気流方向の所要距離において理想的な清浄化領域65を得ることができる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0032】
例えば、吹出口14が平坦面である例を用いて説明したが、曲面であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 空気清浄機
10 筐体
13 吸込口
14 吹出口
16 パンチングメタル
20 エアフィルタ
30 ファン
40 中心側領域
41 中心側開口
50 周縁側領域
51 周縁側開口
図1
図2
図3
図4
図5