(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115324
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】動力取り出しシステム、動力取り出し装置、浄水装置、および、発電装置
(51)【国際特許分類】
F16H 7/06 20060101AFI20240819BHJP
B62M 27/02 20060101ALI20240819BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20240819BHJP
【FI】
F16H7/06
B62M27/02
C02F1/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020960
(22)【出願日】2023-02-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】523055570
【氏名又は名称】佐々木 勉
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勉
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA08
3J049AB01
3J049AB05
3J049BE03
3J049BE10
3J049BH10
3J049CA05
3J049CA10
(57)【要約】
【課題】車両に対して動力取り出し装置を容易に着脱できる動力取り出しシステム、動力取り出し装置、浄水装置、および、発電装置を提供すること。
【解決手段】動力取り出しシステム1は、自転車2と、動力取り出し装置3を備える。動力取り出し装置3は、自転車2からの動力を取り出す。自転車2は、駆動ギア241と、多段ギア221と、第1チェーン244と、を備える。多段ギア221は、駆動ギア241と間隔が隔てられる。第1チェーン244は、駆動ギア241と多段ギア221とに掛け渡される。動力取り出し装置3は、第1ギア31と、第2ギア32と、第2チェーン34と、を備える。第2ギア32は、第1ギア31と間隔が隔てられる。第2チェーン34は、第1ギア31と第2ギア32とに掛け渡される。第1ギア31と第2ギア32とは、第2チェーン34に対して、内周側から噛み合う。多段ギア221は、第2チェーン34に対して、外周側から噛み合う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、前記車両からの動力を取り出す動力取り出し装置と、を備える動力取り出しシステムであって、
前記車両は、
駆動ギアと、
前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、
前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備え、
前記動力取り出し装置は、
第1ギアと、
前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、
前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、
前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合う、動力取り出しシステム。
【請求項2】
前記動力取り出し装置は、前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、
前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合う、請求項1に記載の動力取り出しシステム。
【請求項3】
前記多段ギアは、軸を有し、
前記第1ギアは、第1軸を有し、
前記第2ギアは、第2軸を有し、
前記第3ギアは、第3軸を有し、
前記軸は、前記第2軸および前記第3軸を通過する面上に位置するか、または、前記面と前記第1軸との間に位置する、請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項4】
前記第2無端状動力伝達体は、チェーンである、請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項5】
前記第2無端状動力伝達体の弛みの発生を抑制するテンショナーをさらに備える、請求項4に記載の動力取り出しシステム。
【請求項6】
前記第1ギアおよび前記多段ギアの間の距離は、前記第2ギアおよび前記多段ギアの間の距離より長く、
前記第1ギアから動力を取り出し可能である、請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項7】
駆動する多段ギアからの動力を取り出す動力取り出し装置であって、
前記動力取り出し装置は、
第1ギアと、
前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、
前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、
前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合い可能である、動力取り出し装置。
【請求項8】
前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、
前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合い可能である、請求項7に記載の動力取り出し装置。
【請求項9】
前記第2無端状動力伝達体が前記多段ギアから外れているときに、前記第2無端状動力伝達体を固定する固定部材をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項10】
前記第1ギア、および、前記第2ギアのそれぞれを回転可能に支持する支持板をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項11】
前記動力取り出し装置は、車両からの動力を取り出す動力取り出し装置であって、
前記車両は、
駆動ギアと、
前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、
前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備える、請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項12】
前記車両に取付可能な取付板であって、前記取付板が前記車両に取り付けられる時に、前記支持板と面接触する取付板をさらに備え、
前記支持板または前記取付板は、貫通孔を有し、
前記貫通孔は、長穴であり、
前記支持板は、前記長穴が延びる方向において、前記取付板に対してスライド可能である、請求項11に記載の動力取り出し装置。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステムと、
前記動力取り出しシステムの動力を用いて浄水可能な浄水器と、を備える、浄水装置。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステムと、
前記動力取り出しシステムの動力を用いて発電可能な発電機と、を備える、発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力取り出しシステム、動力取り出し装置、浄水装置、および、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と、動力取り出し装置とを備えるシステムが知られている(下記特許文献1および2参照。)。特許文献1および2に記載のシステムでは、車両は、フレームと、それに回転可能に支持される車両ギアと、車両ギアと噛み合う車両チェーンと、を備える。
【0003】
特許文献1に記載の動力取り出し装置は、第1ギアと、チェーンと、を備える。チェーンは、第1ギアと、車両の車両ギアとに掛け渡される。特許文献1では、第1ギアと車両ギアとのそれぞれは、チェーンに対して、内周側から噛み合う。
【0004】
特許文献2に記載の動力取り出し装置は、第2ギアをさらに備える。第2ギアは、第1ギアと間隔が隔てられる。第2ギアは、車両における2つの間の車両ギア(前ギアおよび後ギア)の間の車両チェーンと噛み合う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO00/59832号公報
【特許文献2】特開2010-155180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシステムでは、動力取り出し装置を車両から取り外すときには、車両ギアをフレームから取り外して、チェーンと車両ギアとの噛み合いを解除する必要がある。また、動力取り出し装置を車両に取り付けるときにも、車両ギアをフレームから取り外して、チェーンとギアとを噛み合わせる。そのため、車両に対して動力取り出し装置を容易に着脱できず、既存の車両を使用することが困難であるという不具合がある。
【0007】
特許文献2に記載のシステムでは、第2ギアは、車両の車両チェーンと噛み合うので、車両の動力を安定して取り出しにくいという不具合がある。
【0008】
本発明は、車両の動力を安定して取り出すことができながら、車両に対して動力取り出し装置を容易に着脱できる動力取り出しシステム、動力取り出し装置、浄水装置、および、発電装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、車両と、前記車両からの動力を取り出す動力取り出し装置と、を備える動力取り出しシステムであって、前記車両は、駆動ギアと、前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備え、前記動力取り出し装置は、第1ギアと、前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合う、動力取り出しシステムを含む。
【0010】
この動力取り出しシステムでは、多段ギアは、第2無端状動力伝達体と安定して噛み合うので、第2無端状動力伝達体は、多段ギアの駆動力を第1ギアに安定して伝達できる。そのため、車両の動力を安定して取り出すことができる。
【0011】
また、この動力取り出しシステムでは、多段ギアが、第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合う。そのため、第2無端状動力伝達体は、多段ギアに対して容易に着脱できる。
【0012】
本発明[2]は、前記動力取り出し装置は、前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合う、[1]に記載の動力取り出しシステムを含む。
【0013】
この動力取り出しシステムでは、第3ギアが、第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、多段ギアが、第2ギアおよび第3ギアの間に位置する第2無端状動力伝達体と噛み合うので、第3ギアがない構成と比べて、第2無端状動力伝達体が多段ギアと安定して噛み合うことができる。そのため、動力取り出しシステムは、車両の動力を安定して取り出すことができる。
【0014】
本発明[3]は、前記多段ギアは、軸を有し、前記第1ギアは、第1軸を有し、前記第2ギアは、第2軸を有し、前記第3ギアは、第3軸を有し、前記軸は、前記第2軸および前記第3軸を通過する面上に位置するか、または、前記面と前記第1軸との間に位置する、[2]に記載の動力取り出しシステムを含む。
【0015】
この動力取り出しシステムでは、軸は、第2軸および第3軸を通過する面上に位置するか、または、面と第1軸との間に位置するので、軸が面に対して第1軸の反対側に位置する構成に比べて、第2無端状動力伝達体と多段ギアとの噛み合い量を多くできる。
【0016】
本発明[4]は、前記第2無端状動力伝達体は、チェーンである、[1]から[3]のいずれか一項に記載の動力取り出しシステムを含む。
【0017】
本発明[5]は、前記第2無端状動力伝達体の弛みの発生を抑制するテンショナーをさらに備える、[1]から[4]のいずれか一項に記載の動力取り出しシステムを含む。
【0018】
この動力取り出しシステムによれば、テンショナーによって、第2無端状動力伝達体の弛みの発生を抑制できる。そのため、第2無端状動力伝達体は、多段ギアに安定して噛み合うことができる。
【0019】
本発明[6]は、前記第1ギアおよび前記多段ギアの間の距離は、前記第2ギアおよび前記多段ギアの間の距離より長く、前記第1ギアから動力を取り出し可能である、[1]から[5]のいずれか一項に記載の動力取り出しシステムを含む。
【0020】
本発明[7]は、駆動する多段ギアからの動力を取り出す動力取り出し装置であって、前記動力取り出し装置は、第1ギアと、前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合い可能である、動力取り出し装置を含む。
【0021】
この動力取り出し装置では、多段ギアは、第2無端状動力伝達体と安定して噛み合うので、第2無端状動力伝達体は、多段ギアの駆動力を第1ギアに安定して伝達できる。そのため、車両の動力を安定して取り出すことができる。
【0022】
また、この動力取り出し装置では、多段ギアが、第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合う。そのため、第2無端状動力伝達体は、多段ギアに対して容易に着脱できる。
【0023】
本発明[8]は、前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合い可能である、[7]に記載の動力取り出し装置を含む。
【0024】
この動力取り出し装置では、第3ギアが、第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、多段ギアが、第2ギアおよび第3ギアの間に位置する第2無端状動力伝達体と噛み合うので、第3ギアがない構成と比べて、第2無端状動力伝達体が安定して噛み合うことができる。そのため、動力取り出し装置は、車両の動力を安定して取り出すことができる。
【0025】
本発明[9]は、前記第2無端状動力伝達体が前記多段ギアから外れているときに、前記第2無端状動力伝達体を固定する固定部材をさらに備える、[7]または[8]に記載の動力取り出し装置を含む。
【0026】
この動力取り出し装置は、固定部材を備えるので、第2無端状動力伝達体が多段ギアから外れているときに、第2無端状動力伝達体を固定できる。そのため、第2無端状動力伝達体が多段ギアから外れているときに、第2無端状動力伝達体が安定し、動力取り出し装置の作業性および搬送性を向上できる。
【0027】
本発明[10]は、前記第1ギア、および、前記第2ギアのそれぞれを回転可能に支持する支持板をさらに備える、[7]または[8]に記載の動力取り出し装置を含む。
【0028】
この動力取り出し装置は、支持板をさらに備えるので、第1ギア、および、第2ギアのそれぞれを回転可能に支持できる。
【0029】
本発明[11]は、前記動力取り出し装置は、車両からの動力を取り出す動力取り出し装置であって、前記車両は、駆動ギアと、前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備える、[7]または[8]に記載の動力取り出し装置を含む。
【0030】
本発明[12]は、前記車両に取付可能な取付板であって、前記取付板が前記車両に取り付けられる時に、前記支持板と面接触する取付板をさらに備え、前記支持板または前記取付板は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、長穴であり、前記支持板は、前記長穴が延びる方向において、前記取付板に対してスライド可能である、[11]に記載の動力取り出し装置を含む。
【0031】
この動力取り出し装置では、支持板は、長穴が延びる方向において、取付板に対してスライド可能であるので、取付板に対して支持板の位置を調整できる。そのため、第2無端状動力伝達体が多段ギアと安定して噛み合うことができる。その結果、動力取り出しシステムは、車両の動力を安定して取り出すことができる。
【0032】
本発明[13]は、[1]から[6]のいずれか一項に記載の動力取り出しシステムと、前記動力取り出しシステムの動力を用いて浄水可能な浄水器と、を備える、浄水装置を含む。
【0033】
この浄水装置では、第2無端状動力伝達体は、多段ギアに対して容易に着脱できるので、汎用の車両に対して容易に着脱できる非常用の浄水装置として有用である。
【0034】
本発明[14]は、[1]から[6]のいずれか一項に記載の動力取り出しシステムと、前記動力取り出しシステムの動力を用いて発電可能な発電機と、を備える、発電装置を含む。
【0035】
この発電装置では、第2無端状動力伝達体は、多段ギアに対して容易に着脱できるので、汎用の車両に対して容易に着脱できる非常用の発電装置として有用である。
【発明の効果】
【0036】
本発明の動力取り出しシステムおよび動力取り出し装置は、車両の動力を安定して取り出すことができながら、車両に対して動力取り出し装置を容易に着脱できる。
【0037】
本発明の浄水装置および発電装置は、車両に対して動力取り出し装置を容易に着脱でき、車両の動力を安定して取り出すことができるので、汎用の車両に対して容易に着脱できる非常用の浄水装置および発電装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の動力取り出しシステムの一実施形態の右側面図である。
【
図2】
図1に示す動力取り出しシステムの左側面図である。
【
図3】
図2に示す動力取り出し装置の断面図である。
【
図4】支持板および取付板の一部の正断面図である。
【
図5】自転車に取り付ける前の動力取り出し装置の側面図である。
【
図6】支持板の第1部を荷台の開口部に差しいれる工程である。
【
図7】第1変形例の動力取り出し装置の断面図である。
【
図8】第1変形例のさらなる変形例の動力取り出し装置の断面図である。
【
図9】第2変形例の動力取り出し装置の断面図である。
【
図10】第3変形例の動力取り出し装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
1. 動力取り出しシステム
図1から
図6を参照して、本発明の動力取り出しシステムの一実施形態を説明する。
【0040】
図1に示すように、動力取り出しシステム1は、車両の一例としての自転車2と、動力取り出し装置3と、を備える。
【0041】
1.1 自転車2
自転車2は、フレーム20と、前輪部21、後輪部22、駆動入力部24、荷台25およびスタンド26と、を備える。
【0042】
1.1.1 フレーム20
フレーム20は、上下方向および前後方向に延びる。フレーム20は、前輪部21、後輪部22、駆動入力部24、荷台25およびスタンド26を支持する。
【0043】
1.1.2 後輪部22
後輪部22は、フレーム20の後端部に支持される。後輪部22は、多段ギア221と、後輪222と、を備える。換言すれば、自転車2は、多段ギア221を備える。多段ギア221は、軸22Aを有する。軸22Aは、フレーム20の後端部に軸受けされる。軸22Aは、車幅方向に沿う。
【0044】
多段ギア221は、駆動ギア241と間隔が隔てられる。多段ギア221は、複数のスプロケット2211,2212,2213,2214,2215を備える。複数のスプロケット2211,2212,2213,2214,2215は、車幅方向において、順に並ぶ。本実施形態では、スプロケット2211,2212,2213,2214,2215のそれぞれの直径は、車幅方向の一方側に向かうに従って、小さくなる。多段ギア221は、カセットスプロケットと称呼される場合がある。
【0045】
後輪222は、軸22Aに連結される。
【0046】
1.1.3 駆動入力部24
駆動入力部24は、駆動ギア241と、クランクアーム242と、ペダル243と、第1無端状動力伝達体の一例としての第1チェーン244と、を備える。換言すれば、自転車2は、駆動ギア241と、第1チェーン244と、を備える。駆動ギア241は、多段であっても、単段であってもよい。駆動ギア241は、駆動軸241Aを有する。駆動軸241Aは、フレーム20によって軸受けされる。駆動軸241Aは、車幅方向に沿う。クランクアーム242の一端部は、駆動軸241Aに連結される。クランクアーム242の他端部は、ペダル243に連結される。
【0047】
第1チェーン244は、駆動ギア241と多段ギア221とに掛け渡される。第1チェーン244は、駆動ギア241と多段ギア221とのそれぞれに対して内周側から噛み合う。図示しないが、第1チェーン244は、ベルトであってもよい。
【0048】
1.1.4 荷台25
荷台25は、後輪部22の上側に配置される。荷台25は、フレーム20の後端部に固定される。荷台25は、前後方向に延びる複数の第1棹部251と、車幅方向に延びる複数の第2棹部(図示せず)とを有する。荷台25は、第1棹部251および第2棹部(図示せず)に囲まれる開口部250(
図4参照)を有する。
【0049】
1.2 動力取り出し装置3
図2に示すように、動力取り出し装置3は、駆動する多段ギア221から動力を取り出す。動力取り出し装置3は、自転車2からの動力を取り出す。動力取り出し装置3は、自転車2に対して着脱可能である。動力取り出し装置3は、自転車2の後端部に配置される。
【0050】
図3に示すように、動力取り出し装置3は、第1方向に延びる。動力取り出し装置3は、支持板30と、第1ギア31と、第2ギア32と、第3ギア33と、第2無端状動力伝達体としての第2チェーン34と、テンショナー35と、取付部材37と、固定部材38と、を備える。
【0051】
1.2.1 支持板30
支持板30は、第1方向に延びる。支持板30は、第1部301と、第2部302と、を一体的に備える。
【0052】
第1部301は、第1方向における支持板30における一方側部分である。第1部301は、第2方向から見たときに、第1方向に長い矩形板形状を有する。第2方向は、支持板30の厚み方向(
図4参照)および第1方向に直交する。
【0053】
第2部302は、第1方向における支持板30における他方側部分である。第2部302は、第1方向における第1部301の他端から延びる。第2部302は、第1方向の他方側に向かうに従って第2方向の長さが長くなる形状を有する。要するに、第2部302は、第1部301の下端縁から末広がる形状を有する。第2部302の下端縁は、第2方向に見たときに、半円弧形状を有する。また、第2部302は、第2方向で見たときに、下側に向かって開く略U字形状を有する下端部を有する。下端部は、2つの脚部3021,3022と、基部3023と、を含む。2つの脚部3021,3022は、第1方向において互いに間隔が隔てられる。基部3023は、第1方向において、U字形状を成す下端部において最も一方側に位置する部分である。
【0054】
図3および
図4に示すように、支持板30には、複数のナット30A、および、複数のナット30Bが設けられる。具体的には、第1部301に、複数のナット30A、および、複数のナット30Bが設けられる。複数のナット30A,30Bのそれぞれは、支持板30に嵌め込まれている。例えば、支持板30に形成された孔303(
図4参照)にナット30A,30Bが埋め込まれ、孔303の内側面にナット30A,30Bが溶接されている。ナット30A,30Bのそれぞれの軸は、支持板30の厚み方向に沿う。
【0055】
1.2.1 第1ギア31
図5に示すように、第1ギア31は、第1方向における動力取り出し装置3の一端部に配置される。第1ギア31は、第1軸31Aを有する。第1軸31Aは、支持板30の厚み方向に沿う。第1軸31Aは、第1部301に軸受けされる。換言すれば、支持板30は、第1ギア31を回転可能に支持する。
図4に示すように、第1ギア31は、厚み方向における支持板30の一方側に配置される。
【0056】
1.2.2 第2ギア32
図5に示すように、第2ギア32は、第1方向における動力取り出し装置3における他端部に配置される。第2ギア32は、第1ギア31と間隔が隔てられる。本実施形態では、第2ギア32は、第1方向における第1ギア31の他方側に間隔が隔てられる。第2ギア32は、第2軸32Aを有する。第2軸32Aは、支持板30の厚み方向に沿う。第2軸32Aは、第2部302の脚部3021に軸受けされる。換言すれば、支持板30は、第2ギア32を回転可能に支持する。第2ギア32は、厚み方向における支持板30の一方側に配置される。
【0057】
1.2.3 第3ギア33
第3ギア33は、第1方向における動力取り出し装置3の他端部に配置される。第3ギア33は、第2方向において第1ギア31の一方側に間隔を隔てて配置される。第3ギア33は、第2方向において第2ギア32に対して一方側に間隔を隔てて配置される。換言すれば、第3ギア33は、第1ギア31および第2ギア32と間隔が隔てられる。第3ギア33は、第1方向に沿って第1軸31Aを通過する面に対して、第2ギア32と対称に配置される。第3ギア33は、第3軸33Aを有する。第3軸33Aは、支持板30の厚み方向に沿う。第3軸33Aは、第2部302の脚部3022に軸受けされる。換言すれば、支持板30は、第3ギア33を回転可能に支持する。第3ギア33は、厚み方向における支持板30の一方側に配置される。
【0058】
1.2.4 第2チェーン34
第2チェーン34は、第1ギア31と第2ギア32と第3ギア33とに掛け渡される。なお、第2チェーン34は、ベルトであってもよい。
図3に示すように、第1ギア31、第2ギア32および第3ギア33のそれぞれは、第2チェーン34に対して、内周側から噛み合う。そのため、第1軸31A、第2軸32Aおよび第3軸33Aのそれぞれは、第2チェーン34に対して、内側に位置する。
【0059】
1.2.5 テンショナー35
テンショナー35は、第1ギア31と、第2ギア32および第3ギア33との間に配置される。テンショナー35は、2つの溝351,352を有する。
【0060】
溝351には、第1ギア31および第2ギア32の間に位置する第2チェーン34が挿通される。溝351は、内面351Sを有する。内面351Sは、上記した第2チェーン34に接触する。これによって、内面351Sは、第1ギア31および第2ギア32の間に位置する第2チェーン34を緊張させる。
【0061】
溝352には、第1ギア31および第3ギア33の間に位置する第2チェーン34が挿通される。溝352は、内面352Sを有する。内面352Sは、上記した第2チェーン34に接触する。これによって、内面352Sは、第1ギア31および第3ギア33の間に位置する第2チェーン34を緊張させる。
【0062】
以上より、テンショナー35は、第2チェーン34の弛みの発生を抑制する。
【0063】
テンショナー35の材料として、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、回転する第2チェーン34との接触によって溶融して、第2チェーン34の駆動を円滑にする樹脂が挙げられる。
【0064】
1.2.6 固定部材38
図3および
図5に示すように、固定部材38は、支持板30に設けられる。具体的には、固定部材38は、第2部302の基部3023に配置される。固定部材38は、第2方向において支持板30の一方面から第2方向に突出する。
【0065】
図5に示すように、第2チェーン34が多段ギア221から外れているときに、固定部材38は、第2チェーン34をバンド381を用いて固定する。バンド381は、例えば、ゴムバンドを含む。バンド381に代えて、紐であってもよい。
【0066】
図3に示すように、取付部材37は、自転車2に取付可能である。取付部材37は、第1取付部371と、第2取付部372と、を備える。
【0067】
図4に示すように、第1取付部371は、第2方向(
図3参照)に見たときに、逆T字形状を有する。第1取付部371は、第1縦板3711と、第1横板3712と、を一体的に備える。
【0068】
第1縦板3711は、第1方向に延びる。第1縦板3711は、複数の貫通孔3713(
図1参照)を有する。貫通孔3713は、長穴である。貫通孔3713は、第1方向に延びる。
【0069】
第1横板3712は、第1縦板3711の下端部に連続する。第1横板3712は、厚み方向および第2方向(
図3参照)に延びる。第1横板3712は、複数の貫通孔3714を有する。
【0070】
第2取付部372は、第2方向に見たときに、T字形状を有する。第2取付部372は、第2縦板3721と、第2横板3722と、を一体的に備える。
【0071】
第2縦板3721は、第1方向に延びる。第2縦板3721は、複数の貫通孔3723(
図1参照)を有する。貫通孔3723は、長穴である。貫通孔3723は、第1方向に延びる。
【0072】
第2縦板3721は、第1縦板3711とともに、取付板373を構成する。
【0073】
第2横板3722は、第2縦板3721の上端部に連続する。第2横板3722は、厚み方向および第2方向(
図3参照)に延びる。第2横板3722は、複数の貫通孔3724を有する。貫通孔3724の内面には、ナット30Cが埋め込まれている。ナット30Cの軸は、第2横板3722の厚み方向に沿う。
【0074】
1.2.7 自転車2への動力取り出し装置3の装着
自転車2への動力取り出し装置3の装着を説明する。自転車2へ動力取り出し装置3を装着するには、まず、取付部材37を自転車2へ取り付ける。具体的には、第1横板3712および第2横板3722を荷台25に取り付ける。詳しくは、第1横板3712および第2横板3722によって荷台25を上下方向に挟み込む。この際、第1横板3712と、荷台25の第1棹部251および第2棹部(図示せず)と、第2横板3722とが、下側に向かって順に並ぶ。
【0075】
続いて、蝶ねじ42を、貫通孔3714を貫通させて、ナット30Cに螺合させる。
【0076】
次に、多段ギア221に対して第2ギア32を噛み合わせる。
図6に示すように、まず、固定部材38が第2チェーン34を固定した状態で、動力取り出し装置3の第1部301を、荷台25の開口部250(
図4参照)に下側から差し入れる。すると、第1ギア31は、荷台25の上側に配置される。第2ギア32および第3ギア33の間の第2チェーン34は、多段ギア221の上側に間隔を隔てて配置される。続いて、バンド381を取り外す。
【0077】
図2に示すように、その後、動力取り出し装置3を下降させて、多段ギア221を、第2ギア32および第3ギア33の間の第2チェーン34に対して、第2チェーン34の外周側から、噛み合わせる。換言すれば、多段ギア221は、第2チェーン34に対して、外周側から噛み合う。そのため、軸22Aは、第2チェーン34に対して、外側に位置する。多段ギア221は、第2ギア32および第3ギア33の間に位置する第2チェーン34と噛み合う。そのため、軸22Aは、第2チェーン34に対して、第2軸32Aおよび第3軸33Aの反対側に配置される。
【0078】
その後、
図3に示すように、取付部材37の取付板373(第1縦板3711および第2縦板3721)に、支持板30を面接触させる。
【0079】
続いて、
図4に示すように、蝶ねじ41を、第1縦板3711の貫通孔3713、および、第2縦板3721の貫通孔3723のそれぞれに貫通させて、ナット30A,30Bのそれぞれに螺合させる(仮固定、仮締め)。続いて、蝶ねじ41が、ナット30A,30Bのそれぞれに対して仮固定した状態で、支持板30を、上下方向において、取付板373に対してスライドさせる。つまり、蝶ねじ41のねじ部411が、貫通孔3713,3723内を移動する。具体的には、多段ギア221が第2チェーン34と確実に噛み合うように、取付板373に対して支持板30の位置(上下位置)を微調整する。
【0080】
その後、蝶ねじ41をナット30A,30Bに対して本固定(本締め)する。これにより、支持板30が取付板373に固定される。これによって、動力取り出し装置3が自転車2に装着される。つまり、動力取り出しシステム1が組み立てられる。
【0081】
動力取り出し装置3を自転車2から取り外すには、上記と逆の手順を実施する。
【0082】
図3に示すように、第2ギア32および第3ギア33のそれぞれは、多段ギア221の周部に配置される。換言すれば、第2ギア32および第3ギア33のそれぞれは、多段ギア221の近傍に配置される。
【0083】
第1ギア31および多段ギア221の間の距離(最短距離)は、第2ギア32および多段ギア221の間の距離(最短距離)より長い。第1ギア31および多段ギア221の最短距離と同義である。例えば、第2ギア32および多段ギア221の間の距離に対する第1ギア31および多段ギア221の間の距離の比は、例えば、2以上、好ましくは、4以上であり、また、例えば、50以下、好ましくは、10以下である。
【0084】
本実施形態では、多段ギア221の軸22Aは、第2軸32Aおよび第3軸33Aを通過する面S上に位置する。本実施形態では、面Sは、第1方向に沿う。本実施形態では、多段ギア221の周端において、第2チェーン34と噛み合う部分に対応する中心角αは、多段ギア221および第2ギア32の間の距離、および、多段ギア221および第3ギア33の間の距離に対応する。中心角αは、例えば、180度未満、好ましくは、170度以下であり、例えば、150度以上、好ましくは、160度以上である。
【0085】
なお、
図1に示すように、多段ギア221において、第2チェーン34と噛み合うスプロケットは、第1チェーン244と噛み合うスプロケットと相違する。多段ギア221において、第2チェーン34と噛み合うスプロケットは、第1チェーン244と噛み合うスプロケットより大きいまたは小さい直径を有する。本実施形態では、好ましくは、多段ギア221において、第2チェーン34と噛み合うスプロケットは、第1チェーン244と噛み合うスプロケットより大きい直径を有する。本実施形態では、具体的には、スプロケット2215が、第1チェーン244と噛み合い、スプロケット2215より大径のスプロケット2211が、第2チェーン34と噛み合う。
【0086】
そして、動力取り出し装置3における第1方向は、動力取り出しシステム1における上下方向と一致する。動力取り出し装置3における第2方向は、動力取り出しシステム1における前後方向と一致する。動力取り出し装置3における厚み方向は、動力取り出しシステム1における車幅方向と一致する。
【0087】
この動力取り出しシステム1では、ユーザがペダル243を踏むと、駆動ギア241が回転し、第1チェーン244が回転し、多段ギア221が回転する。多段ギア221が回転すると、第2チェーン34が回転し、第1ギア31が回転する。これにより、動力取り出しシステム1では、第1ギア31から、動力としての回転力を取り出し可能となる。
【0088】
1.5 動力取り出しシステム1の利用
動力取り出しシステム1の用途は、限定されない。
【0089】
1.5.1 浄水装置61
図1,2に示すように、例えば、動力取り出しシステム1は、浄水装置61に備えられる。浄水器6は、動力取り出しシステムの動力を用いて浄水可能である。浄水装置61は、上記した動力取り出しシステム1と、浄水器6と、を備える。
【0090】
浄水器6は、動力取り出し装置3の動力を利用して浄水する。浄水器6は、荷台25に載置される。浄水器6は、例えば、図示しない駆動部と、図示しない浄水部と、を有する。
【0091】
駆動部は、第1ギア31に接続される。駆動部は、第1ギア31の回転力から駆動力を得る。駆動部は、ポンプを含む。浄水部は、ポンプでくみ上げられた水を浄水して、飲料水を造水する。
【0092】
1.5.2 発電装置71
例えば、動力取り出しシステム1は、発電装置71に備えられる。発電装置71は、動力取り出しシステム1と、発電機7と、を備える。発電機7は、動力取り出し装置の動力を用いて発電可能である。発電機7は、第1ギア31の回転力を利用して発電する。発電機7は、荷台25に載置される。
【0093】
発電装置71は、災害地、へき地または難民避難地における非常用電源として有用である。
【0094】
2. 一実施形態の作用効果
この動力取り出しシステム1および動力取り出し装置3では、
図3に示すように、多段ギア221は、第2チェーン34と安定して噛み合うので、第2チェーン34は、多段ギア221の駆動力を第1ギア31に安定して伝達できる。そのため、自転車2の動力を安定して取り出すことができる。
【0095】
また、この動力取り出しシステム1および動力取り出し装置3では、多段ギア221が、第2チェーン34に対して、外周側から噛み合う。そのため、第2チェーン34は、多段ギア221に対して容易に着脱できる。
【0096】
この動力取り出しシステム1によれば、テンショナー35によって、第2チェーン34の弛みの発生を抑制できる。そのため、第2チェーン34は、多段ギア221に安定して噛み合うことができる。
【0097】
この動力取り出し装置3は、支持板30をさらに備えるので、第1ギア、および、第2ギア32のそれぞれを回転可能に支持できる。
【0098】
この動力取り出し装置3は、固定部材38を備えるので、第2チェーン34が多段ギア221から外れているときに、第2チェーン34を固定できる。そのため、第2チェーン34が多段ギア221から外れているときに、第2チェーン34が安定し、動力取り出し装置3の作業性および搬送性を向上できる。
【0099】
この動力取り出し装置3では、支持板30は、上下方向(長穴である貫通孔3713,3723が延びる方向)において、取付板373に対してスライド可能であるので、取付板373に対して支持板30の位置を調整できる。そのため、第2チェーン34が多段ギア221と安定して噛み合うことができる。その結果、動力取り出しシステム1は、自転車2の動力を安定して取り出すことができる。
【0100】
この浄水装置61では、第2チェーン34は、多段ギア221に対して容易に着脱できるので、特に災害地、へき地または難民避難地において水源の水を浄化し、飲料水を造水する浄水装置として有用である。水源は、河川、池および湖を含む。
【0101】
この発電装置71では、第2チェーン34は、多段ギア221に対して容易に着脱できるので、汎用の自転車2に対して容易に着脱できる非常用の発電装置71として有用である。
【0102】
3. 変形例
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態および変形例を適宜組み合わせることができる。
【0103】
3.1 第1変形例
図7に示すように、第1変形例の動力取り出しシステム1および動力取り出し装置3では、多段ギア221の軸22Aは、面Sと第1軸31Aとの間に位置する。第1変形例では、中心角αは、180度である。
【0104】
3.2 第1変形例のさらなる変形例
図8に示すように、中心角αは、180度超過であってもよい。中心角αの上限は、限定されない。中心角αの上限は、例えば、240度、さらには、270度である。
【0105】
このさらなる変形例では、動力取り出し装置3は、結束バンド39をさらに備えてもよい。結束バンド39は、第2軸32Aおよび第3軸33Aを近接させる。
【0106】
3.3 第2変形例
図9に示すように、第2変形例では、軸22Aは、面Sに対して第1軸31Aの反対側に配置される。第2変形例では、上記した中心角αは、150度未満である。中心角αの下限は、例えば、90度である。
【0107】
3.4 変形例および一実施形態の作用効果
一実施形態、第1変形例、さらなる変形例および第2変形例のうち、好ましくは、一実施形態、第1変形例、および、さらなる変形例である。
【0108】
一実施形態、第1変形例、および、さらなる変形例の動力取り出しシステム1では、軸22Aは、面S上に位置するか、または、面Sと第1軸31Aとの間に位置する。そのため、軸22Aが面Sに対して第1軸31Aの反対側に位置する第2変形例に比べて、第2チェーン34と多段ギア221との噛み合い量を多くできる。そのため、一実施形態、第1変形例、および、さらなる変形例は、多段ギア221の回転力を安定して取り出すことができる。なお、一実施形態、第1変形例、および、さらなる変形例の動力取り出しシステム1では、上記した中心角αが180度以上である。
【0109】
3.5 第3変形例
図10に示すように、第3変形例の動力取り出しシステム1では、動力取り出し装置3は、第3ギア33(
図3参照)を備えない。
【0110】
第1ギア31および第2ギア32は、第2チェーン34に対して、内周側から噛み合う。第1ギア31および第2ギア32の間の第2チェーン34は、多段ギア221に対して、多段ギア221の外周側から噛み合う。
【0111】
3.6 一実施形態および第3変形例の作用効果
一方、一実施形態では、
図3に示すように、第3ギア33が、第2チェーン34に対して、内周側から噛み合い、多段ギア221が、第2ギアおよび第3ギアの間に位置する第2チェーン34と噛み合う。そのため、第3ギア33がない第3変形例と比べて、第2チェーン34が多段ギア221と安定して噛み合うことができる。そのため、一実施形態の動力取り出しシステム1および動力取り出し装置3は、自転車2の動力を安定して取り出すことができる。
【0112】
3.7 他の変形例
車両として、自転車に代えて、例えば、自動二輪車および自動三輪車が挙げられる。
【0113】
動力取り出し装置は、駆動する多段ギアから動力を取り出せればよい。自転車から動力を取り出す構成に限定されない。動力取り出し装置は、エンジンに直結する多段ギアから動力を取り出す構成、および、互いに接続された複数のギアのうちの一つの多段ギアから動力を取り出す構成が挙げられる。
【符号の説明】
【0114】
1 動力取り出しシステム
2 自転車(車両の一例)
221 多段ギア
22A 軸(多段ギア)
241 駆動ギア
244 第1チェーン(第1無端状動力伝達体の一例)
3 動力取り出し装置
30 支持板
31 第1ギア
31A 第1軸(第1ギア)
32 第2ギア
32A 第2軸(第2ギア)
33 第3ギア(第3軸)
33A 第3軸
34 第2チェーン(第2無端状動力伝達体の一例)
35 テンショナー
37 取付部材
38 固定部材
6 浄水器
61 浄水装置
7 発電機
71 発電装置
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、前記車両からの動力を取り出す動力取り出し装置と、を備える動力取り出しシステムであって、
前記車両は、
駆動ギアと、
前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、
前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備え、
前記動力取り出し装置は、
第1ギアと、
前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、
前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、
前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合う、動力取り出しシステム。
【請求項2】
前記動力取り出し装置は、前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、
前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合う、請求項1に記載の動力取り出しシステム。
【請求項3】
前記多段ギアは、軸を有し、
前記第1ギアは、第1軸を有し、
前記第2ギアは、第2軸を有し、
前記第3ギアは、第3軸を有し、
前記軸は、前記第2軸および前記第3軸を通過する面上に位置するか、または、前記面と前記第1軸との間に位置する、請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項4】
前記第2無端状動力伝達体は、チェーンである、請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項5】
前記第2無端状動力伝達体の弛みの発生を抑制するテンショナーをさらに備える、請求項4に記載の動力取り出しシステム。
【請求項6】
前記第1ギアおよび前記多段ギアの間の距離は、前記第2ギアおよび前記多段ギアの間の距離より長く、
前記第1ギアから動力を取り出し可能である、請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項7】
駆動する多段ギアからの動力を取り出す動力取り出し装置であって、
前記動力取り出し装置は、
第1ギアと、
前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、
前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、
前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合い可能である、動力取り出し装置。
【請求項8】
前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、
前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合い可能である、請求項7に記載の動力取り出し装置。
【請求項9】
前記第2無端状動力伝達体が前記多段ギアから外れているときに、前記第2無端状動力伝達体を固定する固定部材をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項10】
前記第1ギア、および、前記第2ギアのそれぞれを回転可能に支持する支持板をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項11】
前記動力取り出し装置は、車両からの動力を取り出す動力取り出し装置であって、
前記車両は、
駆動ギアと、
前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、
前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備える、
請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項12】
前記車両に取付可能な取付板であって、前記取付板が前記車両に取り付けられる時に、
支持板と面接触する取付板をさらに備え、
前記支持板または前記取付板は、貫通孔を有し、
前記貫通孔は、長穴であり、
前記支持板は、前記長穴が延びる方向において、前記取付板に対してスライド可能である、請求項11に記載の動力取り出し装置。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステムと、
前記動力取り出しシステムの動力を用いて浄水可能な浄水器と、を備える、浄水装置。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステムと、
前記動力取り出しシステムの動力を用いて発電可能な発電機と、を備える、発電装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明[12]は、前記車両に取付可能な取付板であって、前記取付板が前記車両に取り付けられる時に、支持板と面接触する取付板をさらに備え、前記支持板または前記取付板は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、長穴であり、前記支持板は、前記長穴が延びる方向において、前記取付板に対してスライド可能である、[11]に記載の動力取り出し装置を含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、前記車両からの動力を取り出す動力取り出し装置と、を備える動力取り出しシステムであって、
前記車両は、
駆動ギアと、
前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、
前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備え、
前記動力取り出し装置は、
第1ギアと、
前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、
前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、
前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合う、動力取り出しシステム。
【請求項2】
前記動力取り出し装置は、前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、
前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合う、請求項1に記載の動力取り出しシステム。
【請求項3】
前記多段ギアは、軸を有し、
前記第1ギアは、第1軸を有し、
前記第2ギアは、第2軸を有し、
前記第3ギアは、第3軸を有し、
前記軸は、前記第2軸および前記第3軸を通過する面上に位置するか、または、前記面と前記第1軸との間に位置する、請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項4】
前記第2無端状動力伝達体は、チェーンである、請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項5】
前記第2無端状動力伝達体の弛みの発生を抑制するテンショナーをさらに備える、請求項4に記載の動力取り出しシステム。
【請求項6】
前記第1ギアおよび前記多段ギアの間の距離は、前記第2ギアおよび前記多段ギアの間の距離より長く、
前記第1ギアから動力を取り出し可能である、請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステム。
【請求項7】
駆動する多段ギアからの動力を取り出す動力取り出し装置であって、
前記動力取り出し装置は、
第1ギアと、
前記第1ギアと間隔が隔てられる第2ギアと、
前記第1ギアと前記第2ギアとに掛け渡される第2無端状動力伝達体と、を備え、
前記第1ギアと前記第2ギアとは、前記第2無端状動力伝達体に対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2無端状動力伝達体に対して、外周側から噛み合い可能である、動力取り出し装置。
【請求項8】
前記第1ギアおよび前記第2ギアと間隔が隔てられる第3ギアをさらに備え、
前記第2無端状動力伝達体は、前記第3ギアに対して、内周側から噛み合い、
前記多段ギアは、前記第2ギアおよび前記第3ギアの間に位置する前記第2無端状動力伝達体と噛み合い可能である、請求項7に記載の動力取り出し装置。
【請求項9】
前記第2無端状動力伝達体が前記多段ギアから外れているときに、前記第2無端状動力伝達体を固定する固定部材をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項10】
前記第1ギア、および、前記第2ギアのそれぞれを回転可能に支持する支持板をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項11】
前記動力取り出し装置は、車両からの動力を取り出す動力取り出し装置であって、
前記車両は、
駆動ギアと、
前記駆動ギアと間隔が隔てられる多段ギアと、
前記駆動ギアと前記多段ギアとに掛け渡される第1無端状動力伝達体と、を備える、
請求項7または請求項8に記載の動力取り出し装置。
【請求項12】
前記車両に取付可能な取付板であって、前記取付板が前記車両に取り付けられる時に、前記第1ギア、および、前記第2ギアのそれぞれを回転可能に支持する支持板と面接触する取付板をさらに備え、
前記支持板または前記取付板は、貫通孔を有し、
前記貫通孔は、長穴であり、
前記支持板は、前記長穴が延びる方向において、前記取付板に対してスライド可能である、請求項11に記載の動力取り出し装置。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステムと、
前記動力取り出しシステムの動力を用いて浄水可能な浄水器と、を備える、浄水装置。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載の動力取り出しシステムと、
前記動力取り出しシステムの動力を用いて発電可能な発電機と、を備える、発電装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明[12]は、前記車両に取付可能な取付板であって、前記取付板が前記車両に取り付けられる時に、前記第1ギア、および、前記第2ギアのそれぞれを回転可能に支持する支持板と面接触する取付板をさらに備え、前記支持板または前記取付板は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、長穴であり、前記支持板は、前記長穴が延びる方向において、前記取付板に対してスライド可能である、[11]に記載の動力取り出し装置を含む。