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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115325
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】連結構造体
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/02 20060101AFI20240819BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20240819BHJP
   E03B 7/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F16L21/02 K
F16B7/04 302A
E03B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020964
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000229128
【氏名又は名称】ベルテクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】有田 淳一
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA01
3J039BB01
3J039FA05
(57)【要約】
【課題】可撓連結部に大きな負荷が作用することを抑制できる連結構造体を提供する。
【解決手段】流水施設100は、土砂吐20と底樋管30を有している。そして、土砂吐20と底樋管30の連結箇所に可撓連結部50Aが設けられている。可撓連結部50Aは、互いに対向する土砂吐20と管ブロック31の両方の端縁部分に形成された被遊嵌部51と、一方側の被遊嵌部51及び他方側の被遊嵌部51を跨いで遊嵌される連結ブロック52とを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の導通空間を有する中空体同士を連結した連結構造体であって、
前記中空体同士を連結した連結箇所のうちの少なくとも一箇所に可撓連結部が設けられ、
前記可撓連結部は、互いに対向する前記中空体の両方の端縁部分に形成された被遊嵌部と、一方側の前記被遊嵌部及び他方側の前記被遊嵌部を跨いで遊嵌される連結用遊嵌部材とを備えた
連結構造体。
【請求項2】
前記被遊嵌部が前記導通空間を拡径した拡径部分であり、
前記拡径部分に前記連結用遊嵌部材が挿入された状態で遊嵌されるものとされ、
前記拡径部分の内周面及び前記連結用遊嵌部材の外周面の少なくとも一方は、対向する他方に向かって延出された弾性部材を保持している
請求項1に記載の連結構造体。
【請求項3】
前記連結用遊嵌部材の外周面は、当該連結用遊嵌部材の中心軸に沿う方向の中央部分から前記中心軸に沿って先端側に向かうにつれて徐々に縮径された形状である
請求項2に記載の連結構造体。
【請求項4】
前記拡径部分の内周面は、当該拡径部分の中心軸に沿って開放端側に向かうにつれて徐々に拡径された形状である
請求項2に記載の連結構造体。
【請求項5】
前記可撓連結部によって連結された一方側の前記中空体は、前記導通空間を有する末端構造物であり、
前記可撓連結部によって連結された他方側の前記中空体は、前記導通空間を有する流体導通管である
請求項1に記載の連結構造体。
【請求項6】
前記流体導通管の少なくとも一つは、複数の管体を可撓部材にて連接した可撓導通管である
請求項5に記載の連結構造体。
【請求項7】
前記可撓導通管は、前記末端構造物に対して連結された
請求項6に記載の連結構造体。
【請求項8】
前記末端構造物が取水部を構成しており、前記取水部に取水栓が設けられた
請求項5に記載の連結構造体。
【請求項9】
前記取水部に上方側に向かって延出された延出部分が設けられ、前記延出部分に前記取水栓が設けられた
請求項8に記載の連結構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の導通空間を有する中空体同士を連結した連結構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、溜池に溜められた水を流す底樋管は、堤体を横断するように埋設されている。そのため、堤体の変形や不等沈下に追従できず、底樋管が破損したり水みちが生じたりする場合があった。そのため、特許文献1には、底樋管を構成する中空体同士の連結箇所を柔構造とすることが開示されている。
【0003】
ところで、特許文献1に開示された底樋管は、一方側の中空体の端面に凹形状が形成され、他方側の中空体の端面に凸形状が形成され、かかる凹形状と凸形状とが遊嵌する可撓連結部を設けて柔構造化を実現している。しかし、このような可撓連結部は、一方側の中空体に対して他方側の中空体が変向できる角度、すなわち変向可能角度が小さく、堤体の変形や不等沈下が過大になると、かかる可撓連結部に大きな負荷が作用する可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-180677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可撓連結部に大きな負荷が作用することを抑制できる連結構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、流体の導通空間を有する中空体同士を連結した連結構造体であって、前記中空体同士を連結した連結箇所のうちの少なくとも一箇所に可撓連結部が設けられ、前記可撓連結部は、互いに対向する前記中空体の両方の端縁部分に形成された被遊嵌部と、一方側の前記被遊嵌部及び他方側の前記被遊嵌部を跨いで遊嵌される連結用遊嵌部材とを備えたことを特徴としている。
【0007】
なお、本発明における流体とは、泥水、濁水及び清水を含む水や油等の液体、あるいは空気やガス等の気体である。また、本発明における中空体とは、導水用途や送気用途等の様々な用途に用いられる中空構造物や管体である。そして、本発明の対象である連結構造体とは、中空構造物と管体が連結したものや管体同士が連結したものを意味している。
【0008】
この発明により、可撓連結部に大きな負荷が作用することを抑制できる。
詳述すると、本発明に係る連結構造体は、流体の導通空間を有する中空体同士を連結したものであり、中空体同士を連結した連結箇所のうちの少なくとも一箇所に可撓連結部が設けられている。そして、可撓連結部は、互いに対向する中空体の両方の端縁部分に形成された被遊嵌部と、一方側の被遊嵌部及び他方側の被遊嵌部を跨いで遊嵌される連結用遊嵌部材とを備えている。このような構成により、一方側の中空体に対して連結用遊嵌部材が変向自在となり、かかる連結用遊嵌部材に対して他方側の中空体が変向自在となるため、変向可能角度が大きくなる。したがって、可撓連結部に大きな負荷が作用することを抑制できる。
【0009】
この発明の態様として、前記被遊嵌部が前記導通空間を拡径した拡径部分であり、前記拡径部分に前記連結用遊嵌部材が挿入された状態で遊嵌されるものとされ、前記拡径部分の内周面及び前記連結用遊嵌部材の外周面の少なくとも一方は、対向する他方に向かって延出された弾性部材を保持してもよい。
【0010】
この発明により、中空体に対して連結用遊嵌部材が変向したり連結用遊嵌部材に対して中空体が変向したり、あるいは可撓連結部の両側に隣り合う中空体同士が互いから離間するように相対移動したりしても、拡径部分の内周面と連結用遊嵌部材の外周面との隙間を弾性部材で塞ぐことができる。そのため、中空体同士を連結した連結箇所に流体が通り抜ける隙間が生じてしまうことを防止できる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記連結用遊嵌部材の外周面は、当該連結用遊嵌部材の中心軸に沿う方向の中央部分から前記中心軸に沿って先端側に向かうにつれて徐々に縮径された形状であってもよい。
この発明により、中空体に形成された被遊嵌部である拡径部分に対して連結用遊嵌部材を容易に挿入することが可能となる。そのため、可撓連結部を介した中空体同士の連結作業について効率化を図ることができる。
【0012】
また、拡径部分の内周面が当該部分の中心軸に対して少なくとも略平行とされる場合は、連結用遊嵌部材の基端側の大径部分で嵌合しつつ先端側の小径部分で自由度を確保できるため、中空体に対して連結用遊嵌部材が変向できる角度、あるいは連結用遊嵌部材に対して中空体が変向できる角度が大きくなる。さらに、拡径部分の内周面が当該部分の中心軸に対して少なくとも略平行とされ、連結用遊嵌部材の外周面に弾性部材が保持されている場合は、一方側の中空体の拡径部分から連結用遊嵌部材が抜け出す、あるいは他方側の中空体の拡径部分から連結用遊嵌部材が抜け出すような相対位置の変化が生じたとしても、拡径部分の内周面と連結用遊嵌部材の外周面との隙間を弾性部材で塞ぐことができる。そのため、中空体同士を連結した連結箇所に流体が通り抜ける隙間が生じてしまうことを防止できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記拡径部分の内周面は、当該拡径部分の中心軸に沿って開放端側に向かうにつれて徐々に拡径された形状であってもよい。
この発明により、中空体に形成された被遊嵌部である拡径部分に対して連結用遊嵌部材を容易に挿入することが可能となる。そのため、可撓連結部を介した中空体同士の連結作業について効率化を図ることができる。
【0014】
また、連結用遊嵌部材の外周面が当該部材の中心軸に対して少なくとも略平行とされる場合は、拡径部分の基端側の小径部分で嵌合しつつ先端側の大径部分で自由度を確保できるため、中空体に対して連結用遊嵌部材が変向できる角度、あるいは連結用遊嵌部材に対して中空体が変向できる角度が大きくなる。さらに、連結用遊嵌部材の外周面が当該部材の中心軸に対して少なくとも略平行とされ、拡径部分の内周面に弾性部材が保持されている場合は、一方側の中空体の拡径部分から連結用遊嵌部材が抜け出す、あるいは他方側の中空体の拡径部分から連結用遊嵌部材が抜け出すような相対位置の変化が生じたとしても、拡径部分の内周面と連結用遊嵌部材の外周面との隙間を弾性部材で塞ぐことができる。そのため、中空体同士を連結した連結箇所に流体が通り抜ける隙間が生じてしまうことを防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記可撓連結部によって連結された一方側の前記中空体は、前記導通空間を有する末端構造物であり、前記可撓連結部によって連結された他方側の前記中空体は、前記導通空間を有する流体導通管であってもよい。
この発明により、土砂吐等の末端構造物から流体導通管へ流体を流す、あるいは流体導通管から用水路等の末端構造物へ流体を流す施設において、末端構造物と流体導通管が連結された連結箇所を柔構造とすることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記流体導通管の少なくとも一つは、複数の管体を可撓部材にて連接した可撓導通管であってもよい。
この発明により、流体導通管そのものが可撓性を有することとなり、長手方向の中途部分にて変向自在となるため、より柔軟性を向上させることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記可撓導通管は、前記末端構造物に対して連結されてもよい。
この発明により、末端構造物と流体導通管が連結された連結箇所ならびに流体導通管そのものが可撓性を有することとなり、それぞれが変向自在となるため、より柔軟性を向上させることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記末端構造物が取水部を構成しており、前記取水部に取水栓が設けられてもよい。
この発明により、取水栓を開けることによって末端構造物に水を取り込むことができ、取り込んだ水を末端構造物から流体導通管へ流すことができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記取水部に上方側に向かって延出された延出部分が設けられ、前記延出部分に前記取水栓が設けられてもよい。
この発明により、例えば周囲に堆積した泥等を取り込むことなく水だけを末端構造物に取り込むことができ、取り込んだ水を末端構造物から流体導通管へ流すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本願発明によれば、可撓連結部に大きな負荷が作用することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】流水施設を備えた堤体の断面図。
図2図1における一部領域Raの断面図。
図3】土砂吐及び底樋管の構造を示す断面図。
図4図2における一部領域Rbの断面図。
図5】可撓連結部の構造を示す未連結状態の断面図と部分拡大図。
図6】可撓連結部の構造を示す連結状態の断面図と部分拡大図。
図7図2における一部領域Rcの断面図。
図8】可撓連結部の構造を示す未連結状態の断面図と部分拡大図。
図9】可撓連結部の構造を示す連結状態の断面図と部分拡大図。
図10】可撓管ブロックの構造を示す断面図と部分拡大図。
図11】他の実施形態に係る流水施設の土砂吐の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の一実施形態に係る流水施設100について説明する。
図1は流水施設100を備えた堤体1の断面図である。図2図1における一部領域Raの断面図である。図2においては、水Wの流れ方向を矢印Fにて表している。すなわち、溜池Pから斜樋管10に流れ込み、斜樋管10から土砂吐20を経由して底樋管30に流れる水Wの流れ方向を矢印Fにて表している。図3は土砂吐20及び底樋管30の構造を示す断面図である。
【0023】
図4図2における一部領域Rbの断面図である。図5は可撓連結部50の構造を示す未連結状態の断面図と部分拡大図であり、図6は可撓連結部50の構造を示す連結状態の断面図と部分拡大図である。また、図7図2における一部領域Rcの断面図である。図8は可撓連結部50の構造を示す未連結状態の断面図と部分拡大図であり、図9は可撓連結部50の構造を示す連結状態の断面図と部分拡大図である。さらに、図10は可撓管ブロック32の構造を示す断面図と部分拡大図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る流水施設100は、主に斜樋管10と土砂吐20と底樋管30とを有している。斜樋管10は、堤体1の表法面1saに沿って配置されており、土砂吐20は、斜樋管10の下端部分に連結された状態で表法面1saの底方に設置されている。底樋管30は、土砂吐20の壁面部分に連結された状態で堤体1を横断するように埋設されている。
【0025】
このような構成により、水Wは、溜池Pから斜樋管10に流れ込み、斜樋管10から土砂吐20を経由して底樋管30に流れるものとされる(矢印F参照)。但し、土砂吐20の取水ゲート23gを開けると、水Wが土砂吐20に直接的に取り込まれ、土砂吐20内に滞積した泥等とともに底樋管30に流れることとなる。その後、水Wは、用水路40まで導かれ、農業用水や工業用水として利用される。以下に、堤体1について簡単に説明する。
【0026】
堤体1は、溜池Pの外縁に沿うように作られている。堤体1は、水Wに接する表法面1saが比較的に急峻に形成されており、その反対側である裏法面1sbが比較的になだらかに形成されている。そして、表法面1saと裏法面1sbの間にあたる堤頂部分1stは、水面Wsよりも高く、裏法面1sb側における地表部分Gbは、水面Wsよりも低くなるように形成されている。
【0027】
また、堤体1は、主に地盤2と地盤2の上に盛られた盛土3とで構成されている。堤体1の表法面1saには、溜池Pからの水Wの浸入を防ぐべく遮水層4が設けられている。さらに、堤体1の表法面1saよりも下方側には、水みちが生じた場合の土砂等の流出を防ぐべく遮水壁5が設置されている。そして、底樋管30を構成する管ブロック31と管ブロック31の接続部分には、これら管ブロック31を支えるべく支持板6が設置されている。
【0028】
次に、図2及び図3を用いて、土砂吐20及び底樋管30について説明する。土砂吐20は、堤体1を横断するように埋設された底樋管30の最も上流側に設置された末端構造物である。底樋管30は、複数の管ブロック31を連結して構成されている。
【0029】
土砂吐20は、水Wの導通空間21pを有するプレキャストコンクリート製の中空体である。土砂吐20は、その上壁面21に斜樋管10の下端部分が連結され、その堤体1側の後壁面22に底樋管30の先端部分(最も上流側の管ブロック31)が連結されている。そのため、土砂吐20は、斜樋管10を介して水Wを取り込むことができ、取り込んだ水Wを底樋管30へ流すことができる。
【0030】
なお、土砂吐20は、溜池P側の前壁面23に取水ゲート23gが設けられている。取水ゲート23gは、図示しないハンドルを回すことによって上下方向へ可動自在とされる。そして、取水ゲート23gを上方側へ可動させて開けることで、斜樋管10を介することなく水Wを直接的に取り込むことができ、取り込んだ水Wを土砂吐20内に滞積した泥等とともに底樋管30へ流すことができる。
【0031】
底樋管30は、主に管ブロック31で構成されている。管ブロック31は、水Wの導通空間31pを有するプレキャストコンクリート製の中空体である。最も上流側の管ブロック31は、その上流側の端縁部分が土砂吐20の後壁面22に連結され、その下流側の端縁部分が下流側に配置された管ブロック31の端縁部分に連結されている。そして、複数の管ブロック31が同様に連結されている。そのため、底樋管30は、土砂吐20から流れてきた水Wを下流側へ流すことができる。
【0032】
次に、図4から図6を用いて、土砂吐20と管ブロック31を連結した連結箇所に着目して説明する。かかる連結箇所は、可撓性を有する可撓連結部50である。ここでは、可撓連結部50Aとして説明する。
【0033】
可撓連結部50Aは、一方側の土砂吐20の後壁面22に形成された被遊嵌部51と、他方側の管ブロック31の端縁部分に形成された被遊嵌部51と、これらの被遊嵌部51を跨いで遊嵌される連結ブロック52とで構成されている。
【0034】
前述したように、土砂吐20は、プレキャストコンクリート製の中空体である。土砂吐20は、その断面形状が略矩形状に形成されており、かかる土砂吐20の後壁面22には、水Wの導通空間21pとなる貫通孔21hと、管ブロック31と連結するための被遊嵌部51が形成されている。
【0035】
また、前述したように、管ブロック31も、プレキャストコンクリート製の中空体である。管ブロック31は、その断面形状が円環状に形成されており、かかる管ブロック31の端縁部分には、土砂吐20の後壁面22と連結するための被遊嵌部51が形成されている。これら被遊嵌部51は、互いに等しい形状とされている。
【0036】
被遊嵌部51は、導通空間21p,31pを拡径した拡径部分510を指している。拡径部分510の内周面51sは、拡径部分510の中心軸Aに沿って開放端側に向かうにつれて徐々に拡径された形状とされている。但し、拡径部分510の中心軸Aと内周面51sのなす角度は、後述する外周面52sのなす角度に比べて小さく、僅かに傾斜したものとされている。
【0037】
連結ブロック52は、水Wの導通空間52pを有するプレキャストコンクリート製の中空体である。連結ブロック52は、その断面形状が円環状に形成されており、土砂吐20と管ブロック31を連結した状態においては、それぞれに形成された導通空間21p,31pが導通空間52pを介してつながることとなる。そして、土砂吐20と管ブロック31の間に配置される連結ブロック52の両端部分は、被遊嵌部51に遊嵌される遊嵌部として機能する。
【0038】
遊嵌部は、拡径部分510の内側に挿入される挿入部分520を指している。挿入部分520の外周面52sは、連結ブロック52の中心軸Aに沿う方向の中央部分から中心軸Aに沿って先端側に向かうにつれて徐々に縮径された形状とされている。そして、挿入部分520の中心軸Aと外周面52sのなす角度は、前述した拡径部分510の内周面51sに比べて大きく傾斜したものとされている。
【0039】
なお、外周面52sには、周方向に凹溝が設けられており、かかる凹溝にゴムシール53が保持されている。ゴムシール53は、外周面52sから径方向外側に向かって適宜な長さとなるように延出されている。そして、その先端部分が拡径部分510の内周面51sに接触することとなる。
【0040】
このような構造により、一方側の土砂吐20における被遊嵌部51に連結ブロック52を遊嵌し、かかる連結ブロック52に他方側の管ブロック31における被遊嵌部51を遊嵌して、可撓連結部50Aの両側に隣り合う土砂吐20と管ブロック31とを連結することが可能となる。こうすることで、一方側の土砂吐20に対して連結ブロック52が変向自在となり、かかる連結ブロック52に対して他方側の管ブロック31が変向自在となるため、変向可能角度が大きくなる。
【0041】
加えて、一方側の土砂吐20に対して他方側の管ブロック31が変向した状態においても、拡径部分510の内周面51sと挿入部分520の外周面52sとの隙間をゴムシール53で塞ぐことができる。すなわち、一方側の土砂吐20の拡径部分510から連結ブロック52の挿入部分520が抜け出す、あるいは他方側の管ブロック31の拡径部分510から連結ブロック52の挿入部分520が抜け出すような相対位置の変化が生じたとしても、拡径部分510の内周面51sと挿入部分520の外周面52sとの隙間をゴムシール53で塞ぐことができる。
【0042】
次に、図7から図9を用いて、管ブロック31と管ブロック31を連結した連結箇所に着目して説明する。かかる連結箇所は、可撓性を有する可撓連結部50である。ここでは、可撓連結部50Bとして説明する。
【0043】
可撓連結部50Bは、一方側の管ブロック31の端縁部分に形成された被遊嵌部51と、他方側の管ブロック31の端縁部分に形成された被遊嵌部51と、これらの被遊嵌部51を跨いで遊嵌される連結ブロック52とで構成されている。
【0044】
前述したように、管ブロック31は、プレキャストコンクリート製の中空体である。管ブロック31は、その断面形状が円環状に形成されており、互いに対向する管ブロック31の両方の端縁部分には、管ブロック31同士を連結するための被遊嵌部51が形成されている。これら被遊嵌部51は、互いに等しい形状とされている。
【0045】
被遊嵌部51は、導通空間31pを拡径した拡径部分510を指している。拡径部分510は、可撓連結部50Aにて説明した形状と等しい形状であり、その内周面51sが外周面52sのなす角度に比べて僅かな傾斜とされている。
【0046】
また、前述したように、連結ブロック52は、プレキャストコンクリート製の中空体である。連結ブロック52は、その断面形状が円環状に形成されており、管ブロック31と管ブロック31を連結した状態においては、それぞれに形成された導通空間31pが導通空間52pを介してつながることとなる。そして、管ブロック31と管ブロック31の間に配置される連結ブロック52の両端部分は、被遊嵌部51に遊嵌される遊嵌部として機能する。
【0047】
遊嵌部は、拡径部分510の内側に挿入される挿入部分520を指している。挿入部分520は、可撓連結部50Aにて説明した形状と等しい形状であり、その外周面52sが先端側に向かうにつれて徐々に縮径された形状とされている。そして、外周面52sにゴムシール53が保持され、かかるゴムシール53の先端部分が拡径部分510の内周面51sに接触することとなる。
【0048】
このような構造により、一方側の管ブロック31における被遊嵌部51に連結ブロック52を遊嵌し、かかる連結ブロック52に他方側の管ブロック31における被遊嵌部51を遊嵌して、可撓連結部50Bの両側に隣り合う管ブロック31と管ブロック31とを連結することが可能となる。こうすることで、一方側の管ブロック31に対して連結ブロック52が変向自在となり、かかる連結ブロック52に対して他方側の管ブロック31が変向自在となるため、変向可能角度が大きくなる。
【0049】
加えて、一方側の管ブロック31に対して他方側の管ブロック31が変向した状態においても、拡径部分510の内周面51sと挿入部分520の外周面52sとの隙間をゴムシール53で塞ぐことができる。すなわち、一方側の管ブロック31の拡径部分510から連結ブロック52の挿入部分520が抜け出す、あるいは他方側の管ブロック31の拡径部分510から連結ブロック52の挿入部分520が抜け出すような相対位置の変化が生じたとしても、拡径部分510の内周面51sと挿入部分520の外周面52sとの隙間をゴムシール53で塞ぐことができる。
【0050】
次に、図10を用いて、管ブロック31の一態様である可撓管ブロック32について説明する。可撓管ブロック32は、底樋管30における最も上流側に配置され、土砂吐20の後壁面22に連結されている。但し、中空体の一態様である用水路40に接続される部分や遮水壁5に挿通される部分に用いられてもよい。
【0051】
可撓管ブロック32は、管ブロック31に可撓性を備えたものといえる。可撓管ブロック32は、長手方向(可撓管ブロック32の中心軸Aと同じ方向である)の中央部分よりも上流側の上流側ブロック体33と、長手方向Dの中央部分よりも下流側の下流側ブロック体34と、これらブロック体33,34を連接する可撓部材35とで構成されている。
【0052】
上流側ブロック体33は、水Wの導通空間31pを有するプレキャストコンクリート製の中空体である。上流側ブロック体33は、他の管ブロック31と同様に、その上流側の端縁部分に被遊嵌部51が形成されている。また、下流側ブロック体34に対向する反対側の端面33sに可撓部材35の上流側リング部351が保持されている。
【0053】
下流側ブロック体34も、水Wの導通空間31pを有するプレキャストコンクリート製の中空体である。下流側ブロック体34は、他の管ブロック31と同様に、その下流側の端縁部分に被遊嵌部51が形成されている。また、上流側ブロック体33に対向する反対側の端面34sに可撓部材35の下流側リング部352が保持されている。
【0054】
可撓部材35は、略円筒状に形成された可撓性を有するゴムリングである。可撓部材35は、長手方向Dの上流側に延出された上流側リング部351と、長手方向Dの下流側に延出された下流側リング部352と、これらリング部351,352の間における内周面側に形成されたクッション部353と、かかるクッション部353から径方向内側に延出されたシール部354とを有している。
【0055】
このような構造により、末端構造物である土砂吐20や用水路40に可撓管ブロック32を連結することが可能である。また、管ブロック31に対して可撓管ブロック32を連結したり可撓管ブロック32に対して管ブロック31を連結したりすることも可能である。
【0056】
加えて、上流側ブロック体33に対して下流側ブロック体34が変向自在、あるいは下流側ブロック体34に対して上流側ブロック体33が変向自在となるため、かかる可撓管ブロック32そのものが可撓性を有することとなる。遮水壁5に挿通された管ブロック31、あるいはかかる管ブロック31に対して連結された管ブロック31を可撓管ブロック32としても、同様の効果を奏する。もちろん他の管ブロック31を可撓管ブロック32としてもよい。
【0057】
以上のように、本願の発明を土砂吐20と管ブロック31を連結した連結箇所である可撓連結部50Aに当てはめて纏めると以下のようになる。すなわち、本実施形態に係る流水施設100は、土砂吐20と底樋管30を有している。そして、土砂吐20と底樋管30の連結箇所に可撓連結部50Aが設けられている。可撓連結部50Aは、互いに対向する土砂吐20と管ブロック31の両方の端縁部分に形成された被遊嵌部51と、一方側の被遊嵌部51及び他方側の被遊嵌部51を跨いで遊嵌される連結ブロック52とを備えている。
【0058】
そのため、可撓連結部50Aに大きな負荷が作用することを抑制できる。
詳述すると、本実施形態に係る流水施設100は、土砂吐20と底樋管30を有している。そして、土砂吐20と底樋管30の連結箇所に可撓連結部50Aが設けられている。可撓連結部50Aは、互いに対向する土砂吐20と管ブロック31の両方の端縁部分に形成された被遊嵌部51と、一方側の被遊嵌部51及び他方側の被遊嵌部51を跨いで遊嵌される連結ブロック52とを備えている。このような構成により、一方側の土砂吐20に対して連結ブロック52が変向自在となり、かかる連結ブロック52に対して他方側の管ブロック31が変向自在となるため、変向可能角度が大きくなる。したがって、可撓連結部50Aに大きな負荷が作用することを抑制できる。
【0059】
また、本実施形態に係る流水施設100においては、被遊嵌部51が導通空間21p,31pを拡径した拡径部分510であり、拡径部分510に連結ブロック52(挿入部分520)が挿入された状態で遊嵌されるものとされ、連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sは、対向する拡径部分510の内周面51sに向かって延出されたゴムシール53を保持している。
【0060】
したがって、土砂吐20に対して連結ブロック52が変向したり連結ブロック52に対して管ブロック31が変向したり、あるいは可撓連結部50Aの両側に隣り合う土砂吐20と管ブロック31が互いから離間するように相対移動したりしても、拡径部分510の内周面51sと連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sとの隙間をゴムシール53で塞ぐことができる。そのため、土砂吐20と管ブロック31を連結した連結箇所に水Wが通り抜ける隙間が生じてしまうことを防止できる。
【0061】
また、本実施形態に係る流水施設100において、連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sは、連結ブロック52の中心軸Aに沿う方向の中央部分から中心軸Aに沿って先端側に向かうにつれて徐々に縮径された形状である。
【0062】
したがって、管ブロック31に形成された被遊嵌部51である拡径部分510に対して連結ブロック52(挿入部分520)を容易に挿入することが可能となる。そのため、可撓連結部50Aを介した土砂吐20と管ブロック31の連結作業について効率化を図ることができる。
【0063】
また、拡径部分510の内周面51sが拡径部分510の中心軸Aに対して少なくとも略平行(平行及び僅かな傾斜を含む)とされていることから、連結ブロック52(挿入部分520)の基端側の大径部分で嵌合しつつ先端側の小径部分で自由度を確保できるため、土砂吐20に対して連結ブロック52が変向できる角度、あるいは連結ブロック52に対して管ブロック31が変向できる角度が大きくなる。さらに、拡径部分510の内周面51sが拡径部分510の中心軸Aに対して少なくとも略平行(平行及び僅かな傾斜を含む)とされ、連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sにゴムシール53が保持されていることから、一方側の土砂吐20の拡径部分510から連結ブロック52(挿入部分520)が抜け出す、あるいは他方側の管ブロック31の拡径部分510から連結ブロック52(挿入部分520)が抜け出すような相対位置の変化が生じたとしても、拡径部分510の内周面51sと連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sとの隙間をゴムシール53で塞ぐことができる。そのため、土砂吐20と管ブロック31を連結した連結箇所に水Wが通り抜ける隙間が生じてしまうことを防止できる。
【0064】
また、本実施形態に係る流水施設100において、可撓連結部50Aによって連結された一方側の中空体は、導通空間21pを有する土砂吐20であり、可撓連結部50Aによって連結された他方側の中空体は、導通空間31pを有する管ブロック31である。
【0065】
したがって、土砂吐20から管ブロック31へ水Wを流す流水施設100において、土砂吐20と管ブロック31が連結された連結箇所を柔構造とすることができる。これは、管ブロック31と用水路40が連結された連結箇所にも適用することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る流水施設100において、管ブロック31の少なくとも一つは、上流側ブロック体33と下流側ブロック体34を可撓部材35にて連接した可撓管ブロック32である。
したがって、可撓管ブロック32そのものが可撓性を有することとなり、長手方向Dの中途部分にて変向自在となるため、より柔軟性を向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る流水施設100において、可撓管ブロック32は、土砂吐20に対して連結されている。
したがって、土砂吐20と可撓管ブロック32が連結された連結箇所ならびにかかる可撓管ブロック32そのものが可撓性を有することとなり、それぞれが変向自在となるため、より柔軟性を向上させることができる。
【0068】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
流体は水Wに対応し、
導通空間は導通空間21p、導通空間31pに対応し、
中空体は土砂吐20、管ブロック31、可撓管ブロック32に対応し、
連結構造体は流水施設100に対応し、
可撓連結部は可撓連結部50,50A,50Bに対応し、
被遊嵌部は被遊嵌部51に対応し、
連結用遊嵌部材は連結ブロック52に対応し、
拡径部分は拡径部分510に対応し、
可撓導通管は可撓管ブロック32に対応し、
拡径部分の内周面は内周面51sに対応し、
連結用遊嵌部材の外周面は外周面52sに対応し、
弾性部材はゴムシール53に対応し、
中心軸は中心軸Aに対応し、
末端構造物は土砂吐20に対応し、
管体は上流側ブロック体33、下流側ブロック体34に対応し、
可撓部材は可撓部材35に対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0069】
例えば、前述した可撓連結部50Aにおいては、連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sが、連結ブロック52の中心軸Aに沿う方向の中央部分から中心軸Aに沿って先端側に向かうにつれて徐々に縮径された形状とされている。
【0070】
しかしながら、連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sが連結ブロック52(挿入部分520)の中心軸Aに対して略平行(平行及び僅かな傾斜を含む)とされ、拡径部分510の内周面51sが拡径部分510の中心軸Aに沿って開放端側に向かうにつれて徐々に拡径された形状であってもよい。この場合、拡径部分510の内周面51sにゴムシール53が保持される。
【0071】
したがって、管ブロック31に形成された被遊嵌部51である拡径部分510に対して連結ブロック52(挿入部分520)を容易に挿入することが可能となる。そのため、可撓連結部50Aを介した土砂吐20と管ブロック31の連結作業について効率化を図ることができる。
【0072】
また、連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sが連結ブロック52(挿入部分520)の中心軸Aに対して少なくとも略平行(平行及び僅かな傾斜を含む)とされていることから、拡径部分510の基端側の小径部分で嵌合しつつ先端側の大径部分で自由度を確保できるため、土砂吐20に対して連結ブロック52が変向できる角度、あるいは連結ブロック52に対して管ブロック31が変向できる角度が大きくなる。さらに、連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sが連結ブロック52(挿入部分520)の中心軸Aに対して少なくとも略平行(平行及び僅かな傾斜を含む)とされ、拡径部分510の内周面51sにゴムシール53が保持されていることから、一方側の土砂吐20の拡径部分510から連結ブロック52(挿入部分520)が抜け出す、あるいは他方側の管ブロック31の拡径部分510から連結ブロック52(挿入部分520)が抜け出すような相対位置の変化が生じたとしても、拡径部分510の内周面51sと連結ブロック52(挿入部分520)の外周面52sとの隙間をゴムシール53で塞ぐことができる。そのため、土砂吐20と管ブロック31を連結した連結箇所に水Wが通り抜ける隙間が生じてしまうことを防止できる。
【0073】
加えて、末端構造物である土砂吐20は、溜池Pに溜められた水Wを取り込んで底樋管30へ流す取水部であるといえる。土砂吐20には、斜樋管10や取水ゲート23gのほかにも水Wを取り込む構造が求められる場合がある。そのため、図11(a)に示すように、土砂吐20に取水栓20tが設けられてもよいし、図11(b)に示すように、土砂吐20に上方側に向かって延出された延出部分24が設けられ、延出部分24に取水栓20tが設けられてもよい。
【0074】
このように、土砂吐20に取水栓20tを設けた場合は、取水栓20tを開けることによって土砂吐20に水Wを取り込むことができ、取り込んだ水Wを土砂吐20から管ブロック31へ流すことができる(図11(a)における矢印F参照)。また、土砂吐20に上方側に向かって延出された延出部分24を設け、かかる延出部分24に取水栓20tを設けた場合は、例えば周囲に堆積した泥等を取り込むことなく水Wだけを土砂吐20に取り込むことができ、取り込んだ水Wを土砂吐20から管ブロック31へ流すことができる(図11(b)における矢印F参照)。
【符号の説明】
【0075】
W…水
21p,31p…導通空間
20…土砂吐
31…管ブロック
32…可撓管ブロック
100…流水施設
50,50A,50B…可撓連結部
51…被遊嵌部
52…連結ブロック
510…拡径部分
51s…拡径部分の内周面
52s…連結ブロックの外周面
53…ゴムシール
A…中心軸
33…上流側ブロック体
34…下流側ブロック体
35…可撓部材
図1
図2
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