(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115366
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20240819BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240819BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20240819BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
E05B47/00 Z
E05B49/00 B
E05B49/00 R
E06B7/28 Z
E05B1/00 311Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021024
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀忠
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250BB04
2E250BB05
2E250BB23
2E250DD08
2E250DD09
2E250FF06
2E250FF11
(57)【要約】
【課題】意匠性を担保しつつ、ドア本体等の既存の構造を交換することなく、異なる機能を有する認証装置への変更が可能な建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、電気錠50と、電気錠50を施解錠するための認証情報に基づいて認証処理を行う認証装置100と、を備える建具1であって、認証装置100は、機能の異なる複数の認証装置100から選択された一の認証装置100であり、機能の異なる複数の認証装置100は、いずれも、建具1に形成された埋め込み孔70に埋め込み可能な取付部120を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠と、前記電気錠を施解錠するための認証情報に基づいて認証処理を行う認証装置と、を備える建具であって、
前記認証装置は、機能の異なる複数の認証装置から選択された一の認証装置であり、
前記機能の異なる複数の認証装置は、いずれも、前記建具に形成された埋め込み孔に埋め込み可能な取付部を有する、建具。
【請求項2】
前記機能の異なる複数の認証装置には、ボタン式、テンキー式、指紋認証式、顔認証式、静脈認証式及び虹彩認証式のうち少なくとも一の認証装置が含まれる、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記建具は、玄関ドア、玄関引戸、勝手口ドア又は門扉である、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記認証装置は、前記建具の表面材に形成された埋め込み孔に取り付けられる、請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記認証装置は、前記建具のハンドルに形成された埋め込み孔に取り付けられる、請求項3に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、認証処理により電気錠の施解錠を行う建具が知られている。例えば特許文献1には、ドア本体の表面材に認証部が設けられたドア装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建具の意匠性の向上の点から、ドア本体の表面材等に埋め込み孔を設け、該埋め込み孔に認証装置を埋め込む場合がある。しかし、認証装置を異なる機能を有するものや新しい機能を有するものに変更する場合、認証装置の寸法等に合わせてドア本体等の既存の構造を交換する必要があり、施工コストや時間の削減等の点で改善の余地があった。
【0005】
本開示は、意匠性を担保しつつ、ドア本体等の既存の構造を交換することなく、異なる機能を有する認証装置への変更が可能な建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、電気錠と、前記電気錠を施解錠するための認証情報に基づいて認証処理を行う認証装置と、を備える建具であって、前記認証装置は、機能の異なる複数の認証装置から選択された一の認証装置であり、前記機能の異なる複数の認証装置は、いずれも、前記建具に形成された埋め込み孔に埋め込み可能な取付部を有する、建具に関する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、意匠性を担保しつつ、ドア本体等の既存の構造を交換することなく、異なる機能を有する認証装置への変更が可能な建具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の建具を室外側から見た図である。
【
図2】第1実施形態の建具の認証装置及びその周辺を示す拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示す建具の認証装置が取り外れた場合の拡大斜視図である。
【
図4】第1実施形態の建具のボタン式の認証装置を認証部側から見た斜視図である。
【
図5】第1実施形態の建具のボタン式の認証装置を取付部側から見た斜視図である。
【
図6】第1実施形態の建具のボタン式の認証装置の背面図である。
【
図7】埋め込み孔に埋め込まれたボタン式の認証装置の背面図である。
【
図8】第1実施形態の建具のテンキー式の認証装置を認証部側から見た斜視図である。
【
図9】第1実施形態の建具のテンキー式の認証装置を取付部側から見た斜視図である。
【
図10】第1実施形態の建具のテンキー式の認証装置の正面図である。
【
図11】
図10に示すテンキー式の認証装置に顔認証機能を追加した認証装置の正面図である。
【
図12】
図2に示す建具において埋め込み孔にテンキー式の認証装置を埋め込む様子を示す斜視図である。
【
図13】
図2に示す建具において埋め込み孔に取付部を埋め込んだテンキー式の認証装置をドア本体に固定する様子を示す斜視図である。
【
図14】第2実施形態の建具を室外側から見た図である。
【
図15】第3実施形態の建具を室外側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の建具の第1実施形態について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明においては、ドア本体30の横方向を左右方向Xとし、ドア本体30の縦方向を上下方向Yとし、ドア本体30の厚み方向を見込方向Zとする。左右方向Xにおいて、一方側をX1側(
図1における右側)とし、他方側をX2側(
図1における左側)とする。
【0010】
本実施形態の建具1は、玄関ドアである。
図1に示すように、建具1は、枠体20と、ドア本体30と、ハンドル40と、電気錠50と、室内操作盤60と、認証装置100と、を備える。玄関周りの構造において、建具1に隣接した位置には、壁面10が配置される。
【0011】
枠体20は、建物の壁面10の内周に形成される開口部の四周に沿って設けられる。枠体20は、横枠としての上枠21及び下枠22と、左右方向XのX1側に配置される吊元側の縦枠23と、左右方向XのX2側に配置される縦枠24と、により矩形に枠組みされる。枠体20内には、ドア本体30が配置されている。
【0012】
ドア本体30は、上下方向に長い略長方形の板状に形成されている。ドア本体30は、左右方向XのX1側の縦枠23に設けられる丁番231の回転軸を中心に回転して開閉可能な開きドアである。ドア本体30は、閉じた状態から室外側(
図1の紙面の手前側)に向けて回転する、いわゆる外開きで取り付けられる。
【0013】
図2及び
図3に示すように、ドア本体30の室外側の面材として表面材31には、認証装置100を取り付けるための埋め込み孔70が形成される。埋め込み孔70は、ドア本体30の表面材31に形成され、ドア本体30の室外側表面32に形成される開口71から戸先33にかけてドア本体30内に形成される空間である。埋め込み孔70は、ドア本体30の戸先33側において、ハンドル40及び電気錠50の後述する鍵ユニット51よりも上方に形成される。
【0014】
ハンドル40は、ドア本体30の室外側表面32に設けられる。なお、ドア本体30の室内側表面(図示せず)には、室内側ハンドル(図示せず)が設けられる。ハンドル40は、ドア本体30の戸先33側において、上下方向Yに所定長さ延びて形成される。
【0015】
電気錠50は、ドア本体30を施解錠する装置である。電気錠50は、2つの鍵ユニット51と、制御部52と、を備える。
【0016】
2つの鍵ユニット51は、ドア本体30の戸先33側においてハンドル40の上側と下側に設けられる。各鍵ユニット51は、ドア本体30の内部に配置される箱錠部53と、箱錠部53から室外側に延び、鍵穴を有する円柱状のシリンダ54と、箱錠部53から室内側に延びるシリンダ状のサムターン(図示せず)と、を備える。
【0017】
箱錠部53は、フック状のデッド鎌部531と、施解錠駆動部532と、施解錠駆動部532が配置されたボックス部533と、を有する。
【0018】
デッド鎌部531は、ドア本体30の戸先33側から出没可能に設けられ、枠体20の縦枠24に設けられた錠受け部25に係合可能である。デッド鎌部531は、ドア本体30から縦枠24に突出し、縦枠24の錠受け部25に係合して電気錠50を施錠する施錠位置と、錠受け部25との係合が外れてドア本体30に収容され、電気錠50を解錠する解錠位置と、に移動可能に構成される。
【0019】
施解錠駆動部532は、デッド鎌部531を施錠位置と解錠位置とに移動させるモータである。即ち、施解錠駆動部532を駆動させることで、ドア本体30の施解錠を電動で行うことができる。なお、デッド鎌部531は、室外側からシリンダ54の鍵穴に所定の鍵を差し込み、シリンダ54を回転させる操作や室内側からサムターンを回転させる操作により、電気錠50の施解錠を手動で行うことができる。
【0020】
制御部52は、認証装置100からの信号に基づいて、施解錠駆動部532の駆動を制御する装置である。制御部52は、ドア本体30に内蔵され、ドア本体30の戸先33側において認証装置100よりも上方に設けられる。制御部52は、配線9により有線で2つの鍵ユニット51、認証装置100、室内操作盤60のそれぞれと通信可能に接続される。制御部52は、認証装置100からの解錠信号を受信すると、デッド鎌部531が解錠位置に移動し、電気錠50が解錠するように施解錠駆動部532の駆動を制御する。
【0021】
室内操作盤60は、室内側の建具1の周囲に位置する壁面(図示せず)に設けられ、室内の使用者がドア本体30を施解錠するための装置である。室内操作盤60は、例えばユーザ操作に基づいて、電気錠50を解錠させるための解錠信号を制御部52に送信する。室内操作盤60は、配線9を介して制御部52に解錠信号を送信する。配線9のドア本体30の縦枠23側の部分は、保護金具232を通してドア本体30から縦枠23に渡される。保護金具232は、例えばコイル状の金属部材により構成され、配線9を内部に配置することで、配線9がドア本体30の開閉の際に挟まらないように保護する。
【0022】
認証装置100について説明する。認証装置100は、電気錠50を施解錠するための認証情報に基づいて認証処理を行う装置である。認証情報としては、例えば暗証番号、顔、指紋、虹彩、静脈等に関する生体情報、特定の装置であることを識別する信号等の情報が挙げられる。本実施形態における認証処理とは、認証情報に基づいて認証装置100にアクセスしたユーザが特定のユーザであるか否かを判定し、特定のユーザであると判定した場合に電気錠50を解錠させるための解錠信号を出力する処理である。認証装置100は、解錠信号を制御部52に送信する。
【0023】
本実施形態では、認証装置100は、ドア本体30の表面材31に配置される。認証装置100は、ドア本体30の戸先33側の端部寄りにおいて、ハンドル40及び鍵ユニット51よりも上方に配置される。認証装置100は、取付金具80を介してドア本体30に固定される。
【0024】
認証装置100は、機能の異なる複数の認証装置100から選択された一の認証装置100である。機能の異なる複数の認証装置100は、いずれも認証部110と、ドア本体30の表面材31に形成された埋め込み孔70に埋め込み可能な取付部120と、を有する。機能の異なる複数の認証装置100には、例えばボタン式、テンキー式、指紋認証式、顔認証式、静脈認証式及び虹彩認証式のうち少なくとも一の認証装置100が含まれる。一の認証装置100は、ボタン式、テンキー式、指紋認証式、顔認証式、静脈認証式及び虹彩認証式のうち複数の認証方式を含むものであってもよい。例えば一の認証装置100は、テンキー式による認証処理と指紋認証式による認証処理の両方を実行できるものであってもよい。以下の説明において、機能の異なる認証装置100毎に区別して呼ぶ場合には、末尾にアルファベットを付し、機能の異なる認証装置100毎に区別することなく呼ぶ場合には、末尾のアルファベットを省略して単に「認証装置100」と呼ぶ。
【0025】
認証装置100の構成についてボタン式の認証装置100aを例に
図2~
図7を参照しながら説明する。
【0026】
ボタン式の認証装置100aは、例えば専用のリモコンキーを携帯するユーザが認証部110に設けられるタッチボタン113に触れると、電気錠50を解錠するものである。具体的には、認証装置100aは、ユーザが所持する専用のリモコンからの電波を受信している状態で、ユーザによるボタンの押下操作を受け付けた場合に、電気錠50を解錠させる解錠信号を電気錠50に出力する。
【0027】
認証装置100の認証部110は、ドア本体30から外部に露出する薄板状の部位である。認証部110は、正面視で上下方向に長い長方形状である。認証部110は、その表面積がドア本体30の室外側表面32に形成される開口71の開口面積よりも大きく、埋め込み孔70の開口71を塞ぐように配置される。これにより、ドア本体30の室外側表面32に認証装置100を取り付けた場合であっても建具1の意匠性を担保できる。
【0028】
図2に示すように、認証部110におけるドア本体30とは反対側の面(表面)111には、認証処理を行うためのタッチボタン113が配置される。認証部110のドア本体30側の面(背面)112には、埋め込み孔70に埋め込まれる取付部120が設けられる。
【0029】
取付部120は、認証部110の背面からドア本体30の内部に突出するように形成される。取付部120は、略直方体状であり、認証部110とは反対側の面である背面121と、認証部110の背面112から背面121に延びる側面122~125が形成される。
【0030】
取付部120は、
図6に示すように、室内側から見て上下方向Yに長い略長方形状であり、その輪郭が認証部110の輪郭よりも小さい。取付部120は、全体が埋め込み孔70に埋め込まれ、ドア本体30の内部に収容される。取付部120は、左右方向Xにおける長さL1が埋め込み孔70の開口71の左右方向Xにおける長さよりも短く、上下方向Yにおける長さL2が開口71の上下方向Yにおける長さよりも短い。また取付部120は、見込方向Zにおける長さである厚みL3が埋め込み孔70の見込方向Zにおける長さよりも短い。
【0031】
取付部120の背面121には、切り欠き溝126と、取付金具80を固定するためのネジ穴131、132及び支持片133~136が形成される。
【0032】
切り欠き溝126は、電気錠50の制御部52等と通信するための配線9を接続するコネクタ(図示せず)を収容するための溝である。切り欠き溝126は、背面121の中心側から側面125にかけて形成される。
【0033】
ネジ穴131は背面121における側面122側に形成され、ネジ穴132は側面123側に形成される。支持片133、134は、背面121から突出し、上下方向Yにおいてネジ穴131と切り欠き溝126との間に形成される。支持片133、134は、左右方向Xにおいて互いに間隔を空けて形成される。支持片135、136は、背面121から突出し、上下方向Yにおいて切り欠き溝126とネジ穴132との間に形成される。支持片135、136は、左右方向Xにおいて互いに間隔を空けて形成される。
【0034】
図7に示すように、取付部120の背面121には、2つの取付金具80である取付金具81、82が取り付けられる。取付金具81、82のそれぞれは、細長い板状であり、第1延出部801と、第2延出部802と、第3延出部803とを有する。
【0035】
第1延出部801は、ネジ穴804を有し、左右方向Xに延出し、取付部120と接触する。第2延出部802は、ネジ穴805を有し、ドア本体30の見込方向Zに延出し、ドア本体30の戸先33に接触する。第3延出部803は、第1延出部801と第2延出部802とを繋ぐ部位である。ネジ穴804は、複数の貫通穴によって構成される。ネジ穴804の複数の貫通穴は、その中心がそれぞれ異なる位置になるように左右方向Xに並列される。本実施形態では、
図7に示すようにネジ穴804は、3つの貫通穴814、824、834によって構成される。なお、
図7では、ネジ穴804に通したネジ2を二点鎖線で示している。
【0036】
図7に示すように、取付金具81は、第1延出部801を支持片133、134に接触させ、ネジ穴804、131の位置を合わせた状態で、ネジ穴804、131にネジを通すことで認証装置100に固定される。また取付金具81は、第2延出部802のネジ穴805と戸先33に形成されるネジ穴331の位置と合わせた状態で、ネジ穴805、331にネジを通すことでドア本体30に固定される。
【0037】
また取付金具82は、第1延出部801を支持片135、136に接触させ、ネジ穴804、132の位置を合わせた状態で、ネジ穴804、132にネジ2を通すことで認証装置100に固定される。また取付金具82は、第2延出部802のネジ穴805と戸先33に形成されるネジ穴331の位置と合わせた状態で、ネジ穴805、331にネジ2を通すことでドア本体30に固定される。即ち、認証装置100は、埋め込み孔70内において取付金具80を介してドア本体30に固定される。これにより、取付部120がドア本体30の埋め込み孔70内に埋め込まれた状態で、認証装置100が配置されるので、認証装置100のドア本体30の室外側表面からの張り出しを抑制できる。また取付部120が埋め込み孔70に埋め込まれるので、取付部位を外部に露出させずにドア本体30に認証装置100を取り付けることができる。よって、認証装置100をドア本体30に取り付けた場合であっても、建具1の意匠性を担保することができる。また、取付金具80は、そのネジ穴804が中心の位置がそれぞれ異なる複数の貫通穴814、824、834によって構成されるので、より多くの寸法や仕様の異なる取付部120に適用することができる。
【0038】
次に、テンキー式の認証装置100bの構成について
図8~
図10を参照しながら説明する。なお、上述したボタン式の認証装置100aと同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0039】
テンキー式の認証装置100bとは、ユーザが認証部110bに設けられるテンキー115を介して入力した番号の情報に基づいて認証処理を行う装置である。具体的には、ユーザがテンキー115を介して所定の暗証番号を入力した場合に、電気錠50に解錠信号を出力する。
【0040】
認証装置100bの認証部110bは、ドア本体30から外部に露出する薄板状の部位であり、正面視で上下方向に長い長方形状である。認証部110bは、上下方向Yの長さがボタン式の認証装置100の認証部110よりも長い。認証部110bの表面111は、タッチセンサを搭載し、メンブレンシートで覆うことにより構成される。表面111には、非接触式のカードリーダ及び認証処理を開始するためのタッチキーとして機能する読取部114等が設けられる。
【0041】
認証装置100bは、
図8に示す状態でユーザが読取部114又はその近傍に触れると、
図10に示すように表面111にテンキー115が表示される。そして認証装置100bは、ユーザによるテンキー115を介した所定の暗証番号の入力操作を受け付けた場合に、特定のユーザであると判定し、配線9を介して電気錠50の解錠信号を制御部52に出力する。
【0042】
また認証装置100bは、非接触式のカードリーダとしても機能する。具体的には、ユーザが所定のカードを読取部114に近づけると、カードリードの認証情報が無線通信により認証部110b側に送信され、該認証情報に基づいて電気錠50の解錠信号が制御部52に出力される。
【0043】
認証部110bの背面112には、埋め込み孔70に埋め込まれる取付部120bが設けられる。取付部120bは、略直方体状であり、その寸法がボタン式の認証装置100の取付部120と略等しい。このため、テンキー式の認証装置100bの取付部120bもボタン式の取付部120と同じく、表面材31に形成された埋め込み孔70に埋め込むことが可能である。
【0044】
次に、テンキー及び顔認証の機能を備える認証装置100cの構成について
図11を参照しながら説明する。なお、上述したテンキー式の認証装置100bと同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0045】
認証装置100cの認証部110cは、ドア本体30から外部に露出する薄板状の部位であり、正面視で上下方向に長い長方形状である。認証部110cは、上下方向Yの長さがテンキー式の認証装置100bの認証部110bよりも長い。認証部110cの表面111は、タッチパネルを搭載したディスプレイ等により構成される。表面111には、非接触式のカードリーダ及び認証処理を開始するためのタッチキーとして機能する読取部114、認証処理を行うためのテンキー115、顔認証用のカメラ116等が設けられる。
【0046】
認証装置100cは、テンキーとしての機能及び非接触式のカードリーダとしての機能以外に、顔認証式の認証機能を備える。認証装置100cは、カメラ116を介して取得したユーザの顔の画像情報に基づいて、その画像情報が特定のユーザのものであるか否かを判定し、特定のユーザの画像情報であると判定した場合に、電気錠50を解錠させるための解錠信号を制御部52に送信する。
【0047】
認証部110cの背面112には、その寸法がボタン式の認証装置100aの取付部120及びテンキー式の認証装置100bの取付部120bと略等しい取付部(図示せず)が設けられる。即ち、テンキー式及び顔認証式の機能を有する認証装置100cもボタン式の認証装置100a、テンキー式の認証装置100bと同じく、表面材31に形成された埋め込み孔70に埋め込むことができる。認証装置100の機能が異なる複数の認証装置100のいずれの取付部120も埋め込み孔70に埋め込み可能であるので、機能の変更する場合であっても、ドア本体30の埋め込み孔70等の追加の加工やドア本体30の交換をせずに機能の異なる認証装置100に変更することができる。即ち建具1の本体を共通化し、認証装置100のみの交換で認証処理の機能を向上させることができる。よって、意匠性を担保しつつ、ドア本体30等の既存の構造を交換することなく、異なる機能を有する認証装置100に変更できる。これにより、例えば認証装置100の機能を変更する場合やアップグレードする場合等に、認証装置100の変更に係る費用や施工時間を削減できる。
【0048】
次に、建具1に取り付けられる認証装置100をボタン式の認証装置100aからテンキー式の認証装置100bに変更する手順の一例について
図2、
図12、及び
図13を参照しながら説明する。
【0049】
まず、
図2に示すような建具1のドア本体30からボタン式の認証装置100a及び取付金具80が取り外される。次いで、
図12に示すように、テンキー式の認証装置100bの取付部120bの背面121に取付金具80や配線9等を取り付けて、取付部120bが埋め込み孔70内に配置される。このとき、左右方向X及び上下方向Yにおける開口71の長さよりも取付部120bの長さL1、L2が短く、かつ取付部120bの寸法が埋め込み孔70の寸法よりも小さいので、取付部120bを埋め込み孔70に埋め込むことが可能である。
図13に示すように、認証装置100bが固定された取付金具81、82の第2延出部802のネジ穴805と戸先33に形成されるネジ穴331の位置を合わせた状態で、ネジ穴805、331にネジ2が通され、認証装置100bがドア本体30に固定される。これにより、ボタン式の認証装置100aからテンキー式の認証装置100bへの変更が完了する。
【0050】
なお、機能が異なる複数の認証装置100の取付部120は、それぞれの寸法、形状、及び構造が略等しいことが好ましい。これにより、建具1に設けられる認証装置100を異なる機能の認証装置100に変更する場合に、認証装置100のドア本体30等への既存の取付構造を変更せずに新たな認証装置100を取り付けることができる。
【0051】
次に、第2実施形態に係る建具1Aについて
図14を参照しながら説明する。なお、上述した第1実施形態の建具1と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0052】
建具1Aは、ハンドル40Aの構成と埋め込み孔70及び認証装置100の位置が第1実施形態に係る建具1と主に異なる。
【0053】
ハンドル40Aは、ユーザが把持するためのアーチ状の取っ手部41と、上側延出部42と、下側延出部43と、を備える。取っ手部41は、上下方向Yに延び、ドア本体30とは反対側の面(表面)411に開口71Aを有する埋め込み孔70Aが形成される。埋め込み孔70Aは、取っ手部41の上下方向Yにおける中心付近(
図14では、中心よりも上側)に形成される。
【0054】
上側延出部42は、ドア本体30の表面材31に取り付けられ、取っ手部41の上端からドア本体30の上端まで上下方向Yに延びる。下側延出部43は、ドア本体30に表面材31に取り付けられ、取っ手部41の下端からドア本体30の下端まで上下方向Yに延びる。
【0055】
認証装置100は、機能の異なる複数の認証装置100から選択された一の認証装置100である。機能の異なる複数の認証装置100は、いずれも認証部110と、ハンドル40Aに形成された埋め込み孔70Aに埋め込み可能な取付部120と、を有する。
図14に示すように、認証装置100は、ハンドル40Aに形成された埋め込み孔70Aに取り付けられる。
【0056】
本実施形態によれば、機能が異なる複数の認証装置100のいずれの取付部120も埋め込み孔70Aに埋め込み可能であるので、機能の変更する場合であっても、ハンドル40Aの追加の加工や交換をせずに認証装置100を変更できる。よって、意匠性を担保しつつ、異なる機能を有する認証装置100への変更のための施工を容易にできる。
【0057】
次に、第3実施形態に係る建具1Bについて
図15を参照しながら説明する。なお、上述した第1実施形態の建具1と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0058】
本実施形態の建具1Bは、玄関ドアである。
図15に示すように、建具1Bは、枠体20Aと、ドア本体30と、袖部90と、ハンドル40と、電気錠50Bと、室内操作盤60と、認証装置100と、を備える。建具1Bは、袖部90を備える点、電気錠50Bの構成、電気錠50B、室内操作盤60及び認証装置100の位置等が第1実施形態の建具1と主に異なる。
【0059】
枠体20は、横枠としての上枠21及び下枠22と、左右方向XのX1側に配置される吊元側の縦枠23と、左右方向XのX2側に配置される縦枠24と、により矩形に枠組みされる。枠体20内には、ドア本体30及び袖部90が、左右方向Xに隣接して配置されている。本実施形態の建具1Bは、建具1とは異なり、縦枠24に錠受け部35が設けられていない。
【0060】
ドア本体30は、左右方向XのX1側に配置されている。ドア本体30の戸先33側には、電気錠50Aの後述するデッド鎌部531Bが係合可能な錠受け部35が設けられる。
【0061】
袖部90は、ドア本体30に隣接して枠体20内に配置されている。袖部90は、ドア本体30が閉位置に位置する場合において、ドア本体30の戸先33側に配置されている。袖部90は、左右方向XのX2側の縦枠24に設けられる丁番241の回転軸を中心に回転して開閉可能な子扉である。袖部90は、閉じた状態から室外側(
図15の紙面の手前側)に向けて回転する、いわゆる外開きで取り付けられる。袖部90は、通常時は、閉じた状態で固定されており、引っ越し等において大きな荷物を出し入れする際に枠体20内の開口を大きく広げたい場合などに、開いた状態で使用される。本実施形態では、袖部90の室外側の面材として表面材91には、認証装置100を取り付けるための埋め込み孔70Aが形成される。
【0062】
電気錠50Bは、2つの鍵ユニット51Bと、制御部52Bと、を備える。本実施形態の電気錠50Bは、袖部90側に設けられる。
【0063】
2つの鍵ユニット51Bは、袖部90のドア本体30の戸先33側の端部寄りにおいてハンドルの上側と下側に設けられる。各鍵ユニット51Bは、袖部90の内部に配置される箱錠部53Bを備える。
【0064】
箱錠部53Bは、フック状のデッド鎌部531Bと、施解錠駆動部532Bと、施解錠駆動部532Bが配置されたボックス部533Bと、を有する。
【0065】
デッド鎌部531Bは、袖部90の側端面からドア本体30側に出没可能に設けられ、ドア本体30に設けられた錠受け部35に係合可能である。デッド鎌部531Aは、袖部90からドア本体30に突出し、ドア本体30の錠受け部35に係合して電気錠50Aを施錠する施錠位置と、錠受け部35との係合が外れて袖部90に収容され、電気錠50Aを解錠する解錠位置と、に移動可能に構成される。
【0066】
施解錠駆動部532Aは、デッド鎌部531Aを施錠位置と解錠位置とに移動させるモータである。即ち、施解錠駆動部532Aを駆動させることで、電気錠50Aの施解錠を電動で行うことができる。
【0067】
制御部52Bは、認証装置100からの信号に基づいて、施解錠駆動部532Bの駆動を制御する装置である。制御部52は、袖部90に内蔵され、ドア本体30側の側端面寄りにおいて鍵ユニット51Bよりも上方に設けられる。制御部52Bは、配線9を介して2つの鍵ユニット51B、認証装置100、室内操作盤60のそれぞれと通信可能に接続される。制御部52Bは、認証装置100からの解錠信号を受信すると、デッド鎌部531Bが解錠位置に移動し、電気錠50Bが解錠するように施解錠駆動部532Bの駆動を制御する。
【0068】
認証装置100は、機能の異なる複数の認証装置100から選択された一の認証装置100である。機能の異なる複数の認証装置100は、いずれも認証部110と、袖部90に形成された埋め込み孔70Bに埋め込み可能な取付部120と、を有する。
図15に示すように、認証装置100は、袖部90の表面材91に形成された埋め込み孔70Bに取り付けられる。
【0069】
本実施形態によれば、機能が異なる複数の認証装置100のいずれの取付部120も埋め込み孔70Bに埋め込み可能であるので、機能の変更する場合であっても、袖部90の追加の加工や交換をせずに認証装置100を変更できる。また認証装置100が袖部90に取り付けられているので、ユーザが通常時に使用するドア本体30やハンドル40を施工の対象とせずに認証装置100を変更できる。
【0070】
以上、本開示に関する実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0071】
上記実施形態では、建具1、1A、1Bは、玄関ドアであったが、ドアの種類は特に限定されない。例えば、建具は、玄関引戸であってもよく、勝手口ドアであってもよく、門扉であってもよい。
【0072】
第2実施形態では、埋め込み孔70Aがハンドル40Aの取っ手部41に形成され、認証装置100がハンドル40Aの取っ手部41に取り付けられていたが、ハンドル40Aにおける埋め込み孔70A及び認証装置100の位置は特に限定されない。例えば埋め込み孔70Aが上側延出部42に形成され、認証装置100が上側延出部42に取り付けられていてもよい。また例えば埋め込み孔70Aが下側延出部43に形成され、認証装置100が下側延出部43に取り付けられていてもよい。
【0073】
また上記実施形態では、機能が異なる複数の認証装置100の取付部120は、それぞれの寸法が略等しく形成されていたが、同じ埋め込み孔70に埋め込み可能であれば、それぞれの寸法が異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、1A、1B 建具
50 電気錠
70 埋め込み孔70
100 認証装置
120 取付部