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特開2024-115371金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその分離回収装置
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  • 特開-金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその分離回収装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115371
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその分離回収装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20240819BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20240819BHJP
   B03C 1/005 20060101ALI20240819BHJP
   B03C 1/18 20060101ALI20240819BHJP
   B03C 1/22 20060101ALI20240819BHJP
   B29B 17/02 20060101ALI20240819BHJP
   B09B 101/75 20220101ALN20240819BHJP
【FI】
B09B3/30
B03C1/00 B ZAB
B03C1/005
B03C1/18
B03C1/22
B29B17/02
B09B101:75
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021035
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】594035138
【氏名又は名称】柿原工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿原 邦博
(72)【発明者】
【氏名】王路 貴史
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA16
4D004AC04
4D004BA05
4D004BA07
4D004CA04
4D004CA07
4D004CA09
4D004CB03
4D004CB46
4D004CC02
4F401AB10
4F401AD03
4F401BA10
4F401BA13
4F401CA14
4F401CA23
4F401CA79
4F401CB18
4F401CB33
(57)【要約】
【課題】粉砕した混合粉体中の金属被膜付き樹脂粉体の吸着率を低下させ、この金属被膜付き樹脂粉体を金属被膜粉体又は樹脂粉体から分離する。
【解決手段】金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材pを粉砕して、金属被膜粉体a、金属被膜付き樹脂粉体b及び樹脂粉体cとの混合粉体mを生成し、混合粉体mを傾斜配置したベルト9で搬送させながら、先に樹脂粉体cは滑り落とし、磁力を用いて樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bと、金属被膜粉体aとに分離し、更に、分離した樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bを傾斜配置したベルト9で搬送させながら、先に樹脂粉体cは滑り落とし、磁力を用いて金属含有率の低い樹脂粉体cを分離回収する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、金属被膜付き樹脂粉体(b)及び樹脂粉体(c)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、磁力を用いて樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、金属被膜粉体(a)とに分離し、
更に、これらの分離した樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、磁力を用いて金属含有率の低い樹脂粉体(c)を分離回収する、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。
【請求項2】
前記樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、磁力を用いて金属含有率の低い樹脂粉体(b’)を分離するときに、
最初に混合粉体(m)を分離するときに使用する磁石(10a)の磁力より、強力な磁力の磁石(10b)を用いて、金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着して樹脂粉体(c)から分離する、ことを特徴とする請求項1に記載の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。
【請求項3】
粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)を選別するために、ベルト(9)を傾斜して掛け渡す2本のローラ(8)の一方に磁石(10a)を具備した粗選別ベルトコンベア(7)と、
前記粗選別ベルトコンベア(7)の搬送先の下方に配置した、選別した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と振り分けるセパレータ(12)と、
前記セパレータ(12)の下段に配置した、前記金属被膜付き樹脂粉体(b)を更に選別するために、ベルト(9)を傾斜して掛け渡す2本のローラ(8)の一方に磁石(10b)を具備した精密選別ベルトコンベア(13)と、
を備えた、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項4】
前記粗選別ベルトコンベア(7)のベルト(9)を振動させる加振装置(34)を更に備えた、ことを特徴とする請求項3に記載の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項5】
前記粗選別ベルトコンベア(7)のベルト(9)の上方に空気を噴射させる噴射装置(35)を更に備えた、ことを特徴とする請求項3に記載の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項6】
金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、板状磁石(44)の磁力により金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを吸着し、吸い上げて分離し、回収する共に、
前記板状磁石(44)の磁力を調整して金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を可変させる、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。
【請求項7】
前記混合粉体(m)から前記金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)を分離するときに、該混合粉体(m)と、金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを吸着し、吸い上げる前記板状磁石(44)との間隔(d)を広くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を低下させることにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを分離回収する、ことを特徴とする請求項6の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。
【請求項8】
前記混合粉体(m)から前記樹脂粉体(c)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを分離するときに、該混合粉体(m)と、金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを吸着し、吸い上げる前記板状磁石(44)との間隔(d)を狭くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を高めることにより、樹脂含有率の比較的高い樹脂粉体(c)でも分離回収する、ことを特徴とする請求項6の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。
【請求項9】
粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)を搬送するために、2本のロ-ラ(8)間にベルト(9)を傾斜して掛け渡した搬送用ベルトコンベア(42)と、
前記搬送用ベルトコンベア(42)の上方に配置した、2本のローラ(8)間にベルト(9)を傾斜して掛け渡した金属吸着用ベルトコンベア(43)と、
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)の下側のベルト(9)の内面に設けた、前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着し、吸い上げるための板状磁石(44)と、を備え、
前記搬送用ベルトコンベア(42)と前記金属吸着用ベルトコンベア(43)との間隔(d)を調整し得るように構成した、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項10】
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)は、前記搬送用ベルトコンベア(42)を昇降させるように構成したものである、ことを特徴とする請求項9に記載の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項11】
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)は、その搬送方向の全長が、前記搬送用ベルトコンベア(42)の搬送方向の全長より長いものを配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成したものである、ことを特徴とする請求項9に記載の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項12】
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)と前記搬送用ベルトコンベア(42)を、搬送方向にずらして配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成したものである、ことを特徴とする請求項9に記載の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項13】
前記前記搬送用ベルトコンベア(42)のベルト(9)の上方に空気を噴射させる噴射装置(35)を更に備えた、ことを特徴とする請求項9の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。
【請求項14】
金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b,b’)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を、傾斜配置したベルト(9)を振動させながら搬送し、先に樹脂粉体(c)と金属含有率が低い金属被膜付き樹脂粉体(b’)は該ベルト(9)の搬送方向とは逆方向に滑り落とし、
金属被膜粉体(a)と金属含有率が高い金属被膜付き樹脂粉体(b)は、板状磁石(44)に吸着させ、ベルト(9)の搬送方向と同方向にある上方へ搬送して、分離して回収する、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法。
【請求項15】
粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b,b’)との混合粉体(m)を搬送するために、ベルト(9)を傾斜して掛け渡す2本のローラ(8)の一方に磁石(10a)を具備した振分け用ベルトコンベア(62)と、
前記振分け型ベルトコンベア(62)の上側のベルト(9)の内面に設けた、前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着し、上方へ搬送するための板状磁石(44)と、
前記振分け型ベルトコンベア(62)を振動させる加振装置(46)と、を備えた、ことを特徴とする金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂メッキ部品等の金属と合成樹脂材との混合物のリサイクル技術に係り、特に樹脂メッキ部品から金属原料と樹脂原料を分離回収して、それぞれ金属原材又は樹脂原材として再利用することができる金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその金属と樹脂分離回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアノブ、ラジエータ・グリル等について、従来は金属製の各種部品の代替素材として、軽量化等を目的とした金属によるメッキ処理又は蒸着処理された樹脂メッキ製品が提案されている。その一方で、環境問題への対応としてこれらの金属で処理された樹脂メッキ部品を、金属原料と樹脂原料とに分離して再利用するリサイクル技術も実施されている。
【0003】
樹脂メッキ部品を、金属原料と樹脂原料とに分離する技術が提案されている。特許文献1の特開2002-28927号公報「樹脂粒状物の回収方法および樹脂粒状物」のように、金属で処理された樹脂素材について、固定刃と回転刃とからなる粉砕装置で粉砕し、磁力選別装置で粉砕粒状物を金属部分及び樹脂部分に分離して、樹脂粒状物を回収する方法が提案されている。
【0004】
この回収する方法に使用する磁力選別装置101は、図19に示すように、吊下型の強力磁石102を備えたものである。粉砕装置により粉砕された金属被膜、樹脂粒状物及び金属被膜付き樹脂粒状物との混合粒状物は、クッションタンク103へ搬送し、このクッションタンク103の下端部に取り付けたロータリーバルブ104を通して、第一コンベア105に混合粒状物を落下させる。更に一段下方位置に第二コンベア106を配置している。これらの第一と第二コンベア105,106間において磁力選別装置101の強力磁石102を移動させるように配置したものである。
【0005】
磁力選別装置101の強力磁石102を、第一コンベア105上を搬送中の混合粉体から金属被膜のみを吸着して、金属原料回収槽107まで搬送する。一方金属被膜が分離され、大部分が樹脂粒状物になった混合粒状物は、第二コンベア106で樹脂原料回収槽108内に落下回収させる。
【0006】
更に、特許文献2の特開2002-336732号公報「磁力選別装置」のように、エンドレスベルトを上下方向に所定間隔あけて配置し、永久磁石により、粉砕した混合粒状物から磁性体(金属被膜)を吸着する技術が提案されている。この磁力選別装置は、一旦吸着した磁性体(金属被膜)のエンドレスベルトへの再吸着を阻止することに技術的な特徴を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-28927号公報
【特許文献2】特開2002-336732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
樹脂メッキ部品等の金属と合成樹脂材との混合物は、常にその大きさが同じではない。小さく破砕された樹脂粒状物では、磁石102に吸着されることなく第二コンベア106で樹脂原料回収槽108内まで運搬される。さらに、破砕された混合物の山の中に大きな樹脂粒状物があると、この大きな樹脂粒状物と共に金属被膜の破砕物も同時に吸着運搬することがあり、金属原料回収槽に樹脂破砕物が混ざることがある。そのため、分離効率が低くなりやすいという問題を有していた。
【0009】
逆に、大きな金属被膜破砕物があると、この大きな金属被膜破砕物と共に樹脂粒状物も同時に吸着運搬することがあり、樹脂原料回収槽に金属被膜が混ざることがある。破砕物の大きさ(外径)の大きな差異があると、分離効率が低くなりやすいという問題を有していた。
【0010】
本発明の発明者は、土や粉体を堆積した状態の物性を関する「安息角」について着目した。「安息角」は粉体等の流動性を表す指標として用いられる物性値の1つであり、水平な面上に粉体を静かに堆積させて、崩れない自然に形成された山の斜面と水平面とがなす角度のことである。本発明の発明者は、ベルトコンベアを傾斜させ、安息角を超えた状態にすることで、搬送される際に磁石で吸着されない樹脂粒状物を積極的に落下分離させ、分離処理能力が高まると考えた。
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、粉砕した混合粉体中から金属被膜付き樹脂粉体を数段階に分けて吸着分離させ、この金属被膜付き樹脂粉体を金属被膜粉体又は樹脂粉体から確実に分離することで、純度の高い金属原料及び樹脂原料に再生することができる金属被膜樹脂材の金属回収方法及びその金属被膜回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の落下型の方法は、金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、金属被膜付き樹脂粉体(b)及び樹脂粉体(c)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、磁力を用いて樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、金属被膜粉体(a)とに分離し、
更に、これらの分離した樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、磁力を用いて金属含有率の低い樹脂粉体(c)を分離回収する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の落下型の方法は、前記樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、磁力を用いて金属含有率の低い樹脂粉体(b’)を分離するときに、
最初に混合粉体(m)を分離するときに使用する磁石(10a)の磁力より、強力な磁力の磁石(10b)を用いて、金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着して樹脂粉体(c)から分離する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の落下型装置は、粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)を選別するために、ベルト(9)を傾斜して掛け渡す2本のローラ(8)の一方に磁石(10a)を具備した粗選別ベルトコンベア(7)と、
前記粗選別ベルトコンベア(7)の搬送先の下方に配置した、選別した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)と振り分けるセパレータ(12)と、
前記セパレータ(12)の下段に配置した、前記金属被膜付き樹脂粉体(b)を更に選別するために、ベルト(9)を傾斜して掛け渡す2本のローラ(8)の一方に磁石(10b)を具備した精密選別ベルトコンベア(13)と、
を備えた、ことを特徴とする
前記粗選別ベルトコンベア(7)のベルト(9)を振動させる加振装置(34)を更に備えることができる。
前記粗選別ベルトコンベア(7)のベルト(9)の上方に空気を噴射させる噴射装置(35)を更に備えることができる。
【0015】
本発明の吸い上げ型の方法は、金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を傾斜配置したベルト(9)で搬送させながら、先に樹脂粉体(c)は滑り落とし、板状磁石(44)の磁力により金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを吸着し、吸い上げて分離し、回収すると共に、
前記板状磁石(44)の磁力を調整して金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を可変させる、ことを特徴とする。
【0016】
前記混合粉体(m)から前記金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)を分離するときに、該混合粉体(m)と、金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを吸着し、吸い上げる前記板状磁石(44)との間隔(d)を広くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を低下させることにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを分離回収する。
また、前記混合粉体(m)から前記樹脂粉体(c)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを分離するときに、該混合粉体(m)と、金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを吸着し、吸い上げる前記板状磁石(44)との間隔(d)を狭くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を高めることにより、樹脂含有率の比較的高い樹脂粉体(c)でも分離回収する。
【0017】
本発明の吸い上げ型の装置は、粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)との混合粉体(m)を搬送するために、2本のロ-ラ(8)間にベルト(9)を傾斜して掛け渡した搬送用ベルトコンベア(42)と、
前記搬送用ベルトコンベア(42)の上方に配置した、2本のローラ(8)間にベルト(9)を傾斜して掛け渡した金属吸着用ベルトコンベア(43)と、
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)の下側のベルト(9)の内面に設けた、前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着し、吸い上げるための板状磁石(44)と、を備え、
前記搬送用ベルトコンベア(42)と前記金属吸着用ベルトコンベア(43)との間隔(d)を調整し得るように構成した、ことを特徴とする。
【0018】
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)は、前記搬送用ベルトコンベア(42)を昇降させるように構成したものである。
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)は、その搬送方向の全長が、前記搬送用ベルトコンベア(42)の搬送方向の全長より長いものを配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成したものである。
【0019】
前記金属吸着用ベルトコンベア(43)と前記搬送用ベルトコンベア(42)を、搬送方向にずらして配置し、吸着した金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を回収するように構成したものである。
前記搬送用ベルトコンベア(42)のベルト(9)の上方に空気を噴射させる噴射装置(35)を更に備えることができる。
【0020】
本発明の振分け型の方法は、金属被膜を付着させた金属被膜樹脂材(p)を粉砕して、金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b,b’)との混合粉体(m)を生成し、
前記混合粉体(m)を、傾斜配置したベルト(9)を振動させながら搬送し、先に樹脂粉体(c)と金属含有率が低い金属被膜付き樹脂粉体(b’)は該ベルト(9)の搬送方向とは逆方向に滑り落とし、
金属被膜粉体(a)と金属含有率が高い金属被膜付き樹脂粉体(b)は、板状磁石(44)に吸着させ、ベルト(9)の搬送方向と同方向にある上方へ搬送して、分離して回収する、ことを特徴とする。
【0021】
本発明の振分け型の装置は、粉砕した金属被膜粉体(a)、樹脂粉体(c)及び金属被膜付き樹脂粉体(b,b’)との混合粉体(m)を搬送するために、ベルト(9)を傾斜して掛け渡す2本のローラ(8)の一方に磁石(10a)を具備した振分け用ベルトコンベア(62)と、
前記振分け型ベルトコンベア(62)の上側のベルト(9)の内面に設けた、前記金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着し、上方へ搬送するための板状磁石(44)と、
前記振分け型ベルトコンベア(62)を振動させる加振装置(46)と、を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記本発明の落下型の方法では、粉砕した混合粉体(m)中から金属被膜付き樹脂粉体(b)を数段階に分けて吸着分離することにより、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を樹脂粉体(c)から確実に分離することができる。そこで、金属被膜樹脂材(p)を金属被膜粉体(a)の含有率が低い樹脂原料に再生することができる。
【0023】
上記本発明の落下型の装置では、粗選別ベルトコンベア(7)のローラ(8)に具備した磁石(10a)で、混合粉体(m)から金属被膜粉体(a)及び金属被膜付き樹脂粉体(b)を吸着する。粗選別ベルトコンベア(7)で吸着されなかった樹脂粉体(c)及び金属含有率の低い金属被膜付き樹脂粉体(b)については、更に精密選別ベルトコンベア(13)のローラ(8)に具備した磁石(10b)で分離することにより、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を樹脂粉体(c)から確実に分離することができる。
【0024】
特に、選別ベルトコンベア(32,33)を傾斜させ、ベルト(9)に載せた混合粉体(m)などを、安息角を超えた状態にすることで、搬送される際に磁石(10a)で吸着されない樹脂粉体(b)、金属被膜付き樹脂粉体(b)を先に積極的に落下分離させ、分離処理能力を高めることができる。また、磁気選別装置(21)は、吸着率を調整することができるので、金属含有量の異なる金属被膜付き樹脂粉体(b)について、混入している金属被膜粉体(a)又は樹脂粉体(c)中から正確に分離回収することができる。
【0025】
上記本発明の吸い上げ型の装置では、混合粉体(m)と板状磁石(44)との間隔(d)を広くして、混合粉体(m)中の金属被膜付き樹脂粉体(b)の板状磁石(44)への吸着率を低下させることにより、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を金属被膜粉体(a)又は樹脂粉体(c)から確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体(b)の含有率が低い金属原料に再生することができる。
【0026】
前記混合粉体(m)から前記金属被膜粉体(a)と金属被膜付き樹脂粉体(b)を分離するときに、該混合粉体(m)と板状磁石(44)との間隔(d)を広くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を低下させることにより、金属含有率の高い金属被膜粉体(a)のみを分離回収することにより、この金属被膜付き樹脂粉体(b)を樹脂粉体(c)から確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体(b)の含有率が低い樹脂原料に再生することができる。
【0027】
前記混合粉体(m)から前記樹脂粉体(c)と金属被膜付き樹脂粉体(b)とを分離するときに、該混合粉体(m)と板状磁石(44)との間隔(d)を狭くして、金属被膜付き樹脂粉体(b)の吸着率を高めることにより、金属含有率が低い樹脂粉体(c)を分離回収することができる。
【0028】
本発明の吸い上げ型の装置は、搬送用ベルトコンベア(42)と金属吸着用ベルトコンベア(43)との間隔を調整し得るように構成して、金属被膜付き樹脂粉体の吸着率を低下させ、搬送用ベルトコンベア上の混合粉体から金属被膜粉体のみを吸着することにより、この金属被膜付き樹脂粉体を金属被膜粉体又は樹脂粉体から確実に分離することができる。
【0029】
特に、搬送用ベルトコンベア(42)を傾斜させ、ベルト(9)に載せた混合粉体(m)などを、安息角を超えた状態にすることで、搬送される際に板状磁石(44)で吸着されない樹脂粉体(c)、金属被膜付き樹脂粉体(b)をより積極的に落下分離させ、分離処理能力を高めることができる。
【0030】
本発明の振り分け型の分離処理では、振分け型ベルトコンベア(62)の傾斜配置されたベルト(9)の上に混合粉体(m)を振動させた状態で載せる。ベルト(9)上で振動している混合粉体(m)は、比重の小さい樹脂粉体(c)と金属含有率の低い金属被膜付き樹脂粉体(b’)は振動しているベルト(9)上において浮き上がる。浮き上がった樹脂粉体(b)は、板状磁石(44)に吸着されないため、傾斜したベルト(9)が安息角を超えているので、そのままベルト(9)の下方へずり落ちていく。
一方、比重の大きい金属被膜粉体(a)と金属含有率の高い金属被膜付き樹脂粉体(b)は、板状磁石(44)の磁力により、ベルト(9)上で下に沈み、ベルト(9)の搬送により上方の磁石(45(8))へ運ばれることにより、金属分と樹脂分とに分離する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置の概略説明図である。
図2】金属被膜樹脂材を粉砕した状態を示すものであり、(a)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが付着している状態、(b)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが分離した状態、(c)は金属被膜付き樹脂粉体、及び(d)はわずかに金属被膜が付着した金属被膜付き樹脂粉体である。
図3】実施例1のベルトコンベアを水平に配置した金属落下型の水平配置分離回収装置を示す概略説明図である。
図4】実施例1の金属落下型の水平配置分離回収装置であり、精密選別ベルトコンベアと磁気選別装置を備えた水平配置分離回収装置の実施の形態を示す概略説明図である。
図5】実施例1の金属落下型の水平配置分離回収装置であり、更に他の実施の形態を示す概略説明図である。
図6】実施例2のベルトコンベアを傾斜配置した金属落下型の傾斜分離回収装置を示す概略説明図である。
図7】実施例2の傾斜配置分離回収装置の変形例1を示す概略説明図であり、(a)は急勾配に配置したとき、(b)は緩勾配に配置したときである。
図8】実施例2の傾斜配置分離回収装置の変形例2を示す概略説明図である。
図9】実施例2の傾斜配置分離回収装置の変形例3を示す概略説明図である。
図10】実施例3のベルトコンベアを水平配置した水平配置金属吸着型分離回収装置の概略説明図である。
図11】実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置を示す概略説明図である。
図12】実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置の他の実施の形態を示す概略説明図である。
図13】実施例4のベルトコンベアを傾斜配置した金属吸着型の傾斜配置金属吸着型分離回収装置を示す概略説明図である。
図14】実施例4の傾斜配置分離回収装置の変形例1を示す概略説明図である。
図15】実施例4の傾斜配置分離回収装置の変形例2を示す概略説明図であり、(a)は急勾配に配置したとき、(b)は緩勾配に配置したときである。
図16】実施例5のベルトコンベアを傾斜配置し、振動させながら金属分と樹脂分を分離する振分け型分離回収装置を示す概略説明図である。なお、実施例1、2、3、4と同じ部材に関しては同じ符号を用い、その説明を省略する。
図17】実施例5の傾斜配置の分離回収装置の変形例1を示す概略説明図であり、金属含有率が高い金属被膜付き樹脂粉体bの割合が多い場合の分離処理するために、2台の分離ベルトコンベアを配置したものである。
図18】実施例5の傾斜配置分離回収装置の変形例2を示す概略説明図であり、金属含有率が低い金属被膜付き樹脂粉体bを分離処理するために、2台の分離回収装置を配置したものである。
図19】従来の吊下型の強力磁石を備えた磁力選別装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその金属と樹脂分離回収装置は、樹脂メッキ部品から金属原料と樹脂原料を分離回収して、それぞれ金属原料又は樹脂原料として再利用する技術である。
【0033】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収装置の概略説明図である。図2は金属被膜樹脂材を粉砕した状態を示すものであり、(a)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが付着している状態、(b)は金属被膜粉体と樹脂粉体とが分離した状態、(c)は金属被膜付き樹脂粉体、及び(d)はわずかに金属被膜が付着した金属被膜付き樹脂粉体である。
本発明の金属と樹脂材の分離回収方法は、図1に示すように、金属メッキ等の金属被膜樹脂材pを一次粉砕機1で粗粉砕し、次に、この粗粉砕した金属被膜樹脂材pをベルトコンベア2で計量ホッパ3まで搬送し、所定量を計量した後、二次粉砕機4へ搬送して微粉砕する。この二次粉砕機4では、金属被膜樹脂材pから金属被膜粉体aを剥離しやすいように、粒径は0.6mmから2mmの範囲内で粉砕する。本発明では金属被膜樹脂材pの粒径を均一にするために、必要に応じて粉砕した金属被膜樹脂材pをメッシュスクリーン5に通し、サイクロン6から粗選別ベルトコンベア7へ供給している。
【0034】
粗選別ベルトコンベア7で選別した樹脂粉体cと金属被膜付き樹脂粉体bは、更に精密選別ベルトコンベア13により分離する。その後、分離された樹脂粉体cは、必要に応じて射出成型機やペレット加工機により加工されて成形原料として再利用される。
【0035】
この金属被膜樹脂材pは、図2に示すように、粉砕されて金属被膜粉体a、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとが混合された混合粉体mとなる。この混合粉体mの粒径は0.6mmより小さく粉砕すると、静電気の影響で次の工程における粗選別ベルトコンベア7と精密選別ベルトコンベア13のベルトや機構部分に付着して、その処理に手間がかかることがあるからである。
【0036】
この金属被膜樹脂材pは、上述したドアノブ、フロントグリル等の自動車部品に限定されず、家電、OA機器の廃材として、コピー、プリンタ等のトナーカートリッジやドラム類、ノートパソコンの部品等、その他、コンパクトディスク、光ディスク等の金属と樹脂が混合した部品についても処理することができる。
【実施例0037】
<実施例1のベルトコンベアを水平に配置した金属落下型の分離回収装置>
図3は実施例1のベルトコンベアを水平に配置した金属落下型の水平配置分離回収装置を示す概略説明図である。
実施例1の水平配置分離回収装置は、主に金属含有率の低い樹脂粉体について、樹脂と金属を分離するための選別ベルトコンベアであり、粗選別ベルトコンベア7と精密選別ベルトコンベア13から構成されている。粗選別ベルトコンベア7は、2本のローラ8間にベルト9を水平に掛け渡し、このローラ8の一方に磁石10aを備えたものである。なお、この磁石10aはローラ8の周囲に貼り付けた構成、又は筒状のローラ8の内側に棒状の磁石を配置したものの何れでも良い。
この粗選別ベルトコンベア7では、金属被膜粉体a又は金属被膜付き樹脂粉体bなどの磁性材はベルト9上で磁石10aの磁力で下部にまで搬送される。樹脂粉体cなどの磁性材以外のものは、ローラ8部分でそのまま落下する。その結果、金属被膜粉体a、樹脂粉体c、及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mから、磁石10aの磁力で金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとに分離する。
【0038】
この粗選別ベルトコンベア7には、混合粉体mを捕集するサイクロン6から振動フィーダー11を介して供給するようになっている(図1、3参照)。この振動フィーダー11の先端から、粗選別ベルトコンベア7上に混合粉体mを供給する。振動フィーダー11は、粉砕した混合粉体mを粗選別ベルトコンベア7上に均一に分散させて、金属被膜粉体aが樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bの下側に埋もれた状態になり、吸着されずに搬送されることを回避するものである。
【0039】
この粗選別ベルトコンベア7の搬送先の下側、即ち磁石10a(ローラ8)側に、選別した金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bに振り分けるセパレータ12を配置した。このセパレータ12の下段に精密選別ベルトコンベア13を配置した。
この精密選別ベルトコンベア13は、粗選別ベルトコンベア7で選別した金属被膜付き樹脂粉体bを更に選別するために、ベルト9を掛け渡すローラ8の一方に磁石10b(図3では右側)を具備したものである。
【0040】
この粗選別ベルトコンベア7の磁石10aと、精密選別ベルトコンベア13の磁石10bの磁力は、それぞれ異なるようにして金属被膜付き樹脂粉体bの吸着率を可変させるようになっている。金属被膜粉体aの含有率の低い金属被膜付き樹脂粉体bを分離する際に、精密選別ベルトコンベア13には、粗選別ベルトコンベア7の磁石10aの磁力より強力な磁石10bを用いて金属被膜付き樹脂粉体bを積極的に吸着して樹脂粉体cから分離する。
なお、これらの磁石10a,10bについては、本発明では永久磁石について説明しているが、この永久磁石に限定されずに、電磁石に変更できることは勿論である。
【0041】
次に、精密選別ベルトコンベア13では、樹脂粉体cはそのまま樹脂分回収槽16へ回収する。一方、金属被膜付き樹脂粉体bは、強力な磁力の磁石10bに吸着して混合物回収槽14へ搬送する。そこで、樹脂分回収槽16には、金属含有率が低い樹脂原料のみが回収される。粗選別ベルトコンベア7と精密選別ベルトコンベア13の各ベルト9には、ここに付着している金属被膜粉体a、金属被膜付き樹脂粉体bを描き落とす回転式スクレーパー15が配置されている。
【0042】
本発明の粗選別ベルトコンベア7及び精密選別ベルトコンベア13により、金属被膜樹脂材pから樹脂分を回収したときの試験結果の一例を表1と表2に示す。表1は金属膜が銅、ニッケルとクロムからなる部品についての平均膜厚と樹脂分の回収量を示すものである。表2は金属膜がニッケルとクロムからなる部品についての平均膜厚と樹脂分の回収量を示すものである。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
<実施例1の金属落下型の水平配置分離回収装置(精密選別ベルトコンベアと磁気選別装置を備えた構成)>
図4は実施例1の金属落下型の水平配置分離回収装置であり、精密選別ベルトコンベアと磁気選別装置を備えた水平配置分離回収装置の実施の形態を示す概略説明図である。
本発明の水平配置平分離回収装置は、上述した精密選別ベルトコンベア13の下方に、更に磁石の吸着率を調整することができる磁気選別装置21を備えた。この磁気選別装置21は、精密選別ベルトコンベア13において選別した金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bを搬送するために、ロ-ラ22間にベルト23を掛け渡した搬送用ベルトコンベア24と、この搬送用ベルトコンベア24の上方に金属吸着用ベルトコンベア25を配置したものである。この金属吸着用ベルトコンベア25は、ローラ22間にベルト23を掛け渡し、この下側のベルト23の内面に、ローラ22(磁石28)に隣接して更に補助磁石26を設けたものである。なお、精密選別ベルトコンベア13で選別した樹脂粉体cはそのまま第一樹脂分回収槽27へ回収する。
【0046】
この磁気選別装置21は、金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体b等と補助磁石26との間隔を可変して、金属被膜付き樹脂粉体bの吸着率を調整することにより、この金属被膜付き樹脂粉体bを金属被膜粉体a又は樹脂粉体cから確実に分離する。例えば補助磁石26の吸着率を弱くして、金属被膜付き樹脂粉体bの吸着率を低下させて金属被膜粉体aのみを吸着する。この金属被膜粉体aは、金属吸着用ベルトコンベア25の一方のローラ22(図4では右側)は磁石28を用いて、金属被膜粉体aを金属吸着用ベルトコンベア25の上面へ搬送し、金属分回収槽30へ回収する。
一方、吸着されなかった、金属含有率の低い金属被膜付き樹脂粉体b‘及び樹脂粉体cはそのまま搬送用ベルトコンベア24で搬送して第二樹脂分回収槽29へ回収する。
【0047】
<実施例1の金属落下型の水平配置分離回収装置(精密選別ベルトコンベアと磁気選別装置を備えた他の構成)>
図5は実施例1の金属落下型の水平配置分離回収装置であり、更に他の実施の形態を示す概略説明図である。
図5に示す実施の形態は、図4に示す実施の形態の精密選別ベルトコンベア13の搬送方向と異なり、粗選別ベルトコンベア7の搬送方向と向かい合う方向に配置し、混合物回収槽14を2箇所に設けたものである。この実施の形態の形態では、先ず、粗選別ベルトコンベア7において、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bの混合物と、樹脂粉体cとに分離回収する。次に、精密選別ベルトコンベア13においても、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bの混合物と、樹脂粉体cとに分離回収する。これらの混合物については、磁石の吸着率を調整することができる磁気選別装置21を用いて金属被膜粉体a及び金属含有率の大きい金属被膜付き樹脂粉体bと、金属含有率の小さい金属被膜付き樹脂粉体bとに分離回収するようにしたものである。
【実施例0048】
<実施例2のベルトを傾斜配置した金属落下型の傾斜配置分離回収装置>
図6は実施例2のベルトを傾斜配置した金属落下型の傾斜配置分離回収装置を示す概略説明図である。なお、実施例1と同じ部材に関しては同じ符号を用い、その説明を省略する。
実施例1の金属落下型の水平配置分離回収装置は、選別ベルトコンベア7,13がすべて水平に配置されている。選別ベルトコンベアは必ずしも水平に配置する必要はない。実施例2の傾斜配置分離回収装置31では、この選別ベルトコンベア32,33を傾斜させて配置している。このように選別ベルトコンベア31,33を傾斜させて配置することで、搬送している樹脂粉体cは、磁石10a(8)に吸着されないため、そのまま落下させやすくなる。例えば、粉砕物を載せた選別ベルトコンベア32,33を安息角に近い傾斜角度に配置する。この角度にすることで、堆積した表面側の樹脂粉体cが搬送中に転がり落ちやすくなる。即ち、選別ベルトコンベア32,33を傾斜させ、ベルト9に載せた混合粉体mを、安息角を超えた状態にすることで、搬送される際に磁石10aで吸着されない樹脂粉体c、金属被膜付き樹脂粉体bを積極的に落下分離させる。このような樹脂粉体cを予め崩れるように落下させることで、迅速に分離することができる。
【0049】
実施例2の傾斜配置型の選別ベルトコンベアは、主に粗選別ベルトコンベア32に適している。粗選別ベルトコンベア32では、粉砕した混合粉体mの粒径にバラつきがあるからである。比較的大きな粒径の樹脂粉体cを落下選別しやすくなる。この実施例2の傾斜配置型の粗選別ベルトコンベア32は、傾斜配置した構成以外は、実施例1の構成と略同一である。2本のローラ8間にベルト9を傾斜して掛け渡し、このローラ8の一方に磁石10aを備えたものである。この粗選別ベルトコンベア32では、金属被膜粉体a、樹脂粉体c、及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mから、磁石10aの磁力で金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとに分離する。このときに粒径が比較的大きな樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bを落下させる。
図示例では精密選別ベルトコンベア33を傾斜配置している。逆に、精密選別ベルトコンベア33は水平配置することも可能である。
【0050】
<実施例2の金属落下型の傾斜配置分離回収装置の変形例1>
図7は実施例2の傾斜配置分離回収装置の変形例1を示す概略説明図であり、(a)は急勾配に配置したとき、(b)は緩勾配に配置したときである。
実施例2の傾斜配置分離回収装置31は、粗選別ベルトコンベア32と精密選別ベルトコンベア33の傾斜角度は、共に可変調整できるように構成したものである。実施例2の粗選別ベルトコンベア32、精密選別ベルトコンベア33の傾斜角度は、図6に示した角度α1に限定されない。粉砕物の性状、例えば、粒径の寸法、樹脂メッキ部品の金属分の含有量又は樹脂の種類の相違に応じてベルト9上の粉砕物の安息角が異なる。そこで、図7(a)に示すように、図6に示した角度(α1)より急勾配(α2)に選別ベルトコンベア32,33を配置することができる。逆に図7(b)に示すように、図6に示した角度(α1)より緩勾配(α3)に選別ベルトコンベア32,33を配置することができる。この勾配の角度は図示例に限定されないことは勿論である。また、図示例では、粗選別ベルトコンベア32と精密選別ベルトコンベア33の傾斜角度を同一にしているが、両方を同一角度にする必要はない。例えば、粗選別ベルトコンベア32は緩勾配に設定し、精密選別ベルトコンベア33を急勾配の設定とするように異なる勾配にすることも可能である。またはこの逆の設定にすることも可能である。
【0051】
この傾斜角度(α)とベルト9の搬送速度の組み合わせにより、金属被膜粉体a、樹脂粉体c、及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mの性状に応じて選択する。例えば、比較的大きな粒径の混合粉体mのときは、傾斜角度(α)は急勾配とし、ベルト9の搬送速度は速くする。逆に比較的小さな粒径の混合粉体mのときは、傾斜角度(α)は緩勾配とし、ベルト9の搬送速度は遅くする。
【0052】
<実施例2の金属落下型の傾斜配置分離回収装置の変形例2>
図8は実施例2の傾斜配置分離回収装置の変形例2を示す概略説明図である。
実施例2の選別ベルトコンベア32,33は、加振装置34を備えたものである。搬送中の混合粉体mを、加振装置34を用いて振動させ、相対的に大きな粉体(樹脂粉体b)を浮き上がらせ、小さな粉体(樹脂粉体bと金属被膜付き樹脂粉体b)を沈ませる。この浮き上がった大きな粉体(樹脂粉体b)が転がり落ちやすくなる。
【0053】
<実施例2の金属落下型の傾斜配置分離回収装置の変形例3>
図9は実施例2の傾斜配置分離回収装置の変形例3を示す概略説明図である。
実施例2の選別ベルトコンベア32,33は、空気噴射装置35を備えたものである。空気噴射装置35は、混合粉体mを搬送中に浮き上がった相対的に大きな粉体(樹脂粉体b)を吹き飛ばし、小さな粉体(樹脂粉体bと金属被膜付き樹脂粉体b)が沈ませる。図示例では選別ベルトコンベア32,33のそれぞれに配置した構成を説明しているが、必ずしも両者に構成する必要はない。何れか一方の選別ベルトコンベア32,33に配置したものでも良い。例えば、粗選別ベルトコンベア32のみに備えたものでも良い。
【実施例0054】
<実施例3のベルトコンベアを水平に配置した金属吸着型の分離回収装置>
図10はベルトコンベアを水平に配置した水平配置金属吸着型分離回収装置の概略説明図である。図11は実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置を示す概略説明図である。なお、実施例1、2と同じ部材に関しては同じ符号を用い、その説明を省略する。
実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41は、金属を上方へ吸着させる形式の分離装置であり、ベルトコンベアを水平に配置したものである。この水平配置金属吸着型分離回収装置41は、混合粉体mを搬送する搬送用ベルトコンベア42と、その上側に配置される金属吸着用ベルトコンベア43とから成る。この上側の金属吸着用ベルトコンベア43には、ベルト9の下面かつ内側に板状磁石44が配置されている。更に、ローラ8の一方に磁石45(図11では左側)を具備している。
【0055】
金属吸着用ベルトコンベア43では、金属被膜粉体a、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mから板状磁石44の磁力で金属被膜粉体aを吸着して吸い上げ、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとから分離する。
【0056】
搬送用ベルトコンベア42のベルト9と、金属吸着用ベルトコンベア43のベルト9の搬送方向は、共に同一方向に設定する(図11ではベルト9の上面側は左から右へ搬送されている)。しかし、金属吸着用ベルトコンベア43のベルト9の下面側は右から左へ搬送されている。そこで、双方のベルト9は対向するようになり、金属吸着用ベルトコンベア43のベルト9には板状磁石44の磁力でベルト9に吸着させた金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体bは、ローラ8の一方に設けられた磁石45で金属吸着用ベルトコンベア43の上面にまで搬送される。
【0057】
この金属吸着用ベルトコンベア43には、金属被膜粉体a、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mを捕集するサイクロン6から振動フィーダー11を介して供給するようになっている。この振動フィーダー11の先端から、搬送用ベルトコンベア42上に混合粉体mを供給する。振動フィーダー11は、粉砕した混合粉体mを搬送用ベルトコンベア42上に均一に分散させて、金属被膜粉体aが樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bの下側に埋もれた状態になり、吸着されずに搬送されることを回避するものである。搬送用ベルトコンベア42はローラ8間にベルト9を掛け渡したものである。なお、この板状磁石44について、本発明では永久磁石について説明しているが、この永久磁石に限定されずに、電磁石に変更できることは勿論である。
【0058】
この搬送用ベルトコンベア42の上方に、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと吸着するために、ローラ8間に掛け渡した下側のベルト9の内面に板状磁石44を設けた金属吸着用ベルトコンベア43を配置した。この金属吸着用ベルトコンベア43と搬送用ベルトコンベア42との間隔、即ちギャップ幅dを長短調整し得るようになっている。これにより、金属被膜付き樹脂粉体bに対する板状磁石44の磁力を調整することができ、その吸着率を可変させることが可能になる。例えば、図11に示すように、金属吸着用ベルトコンベア43に対して搬送用ベルトコンベア42を昇降させるように構成した。勿論、金属吸着用ベルトコンベア43を昇降させるように構成することも可能である。
【0059】
この実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41は、振動フィーダー11から搬送用ベルトコンベア42上を搬送される混合粉体m中の金属被膜粉体aを板状磁石44に吸着させて樹脂粉体cと分離させる。搬送用ベルトコンベア42上に残った樹脂粉体cはそのまま樹脂分回収槽49へ搬送される。一方、板状磁石44に吸着された金属被膜粉体aは金属吸着用ベルトコンベア43のベルト9の上面に搬送されて金属分回収槽48へ搬送される。そこで、金属吸着用ベルトコンベア43の一方のローラ8(図11では左側)は磁石45を用いている。これにより、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bを、金属吸着用ベルトコンベア43の上面へ搬送することができ、所望の位置において回収槽48に回収することができる。
【0060】
搬送用ベルトコンベア42には、ローラ8間に掛け渡したベルト9を振動させる加振装置46が備えられている。このベルト9の上の混合粉体mを振動させて、金属被膜粉体aを樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bから分離しやすいようにする。この搬送用ベルトコンベア42のベルト9には仕切り枠47が取り付けられている。この仕切り枠47は、ベルト9を加振装置46で振動させているときに、混合粉体mが分離処理をする前に混在した粉砕物が回収槽48に落下することを防止する。
【0061】
実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41では、図11に示すように、搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との間隔dを広くして、混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの磁石8への吸着率を低下させるようになっている。これにより、図11に示すように、金属被膜付き樹脂粉体bにおける金属被膜粉体の付着含量に応じて、樹脂粉体cから確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体の含有率が低い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。
【0062】
逆に、搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との間隔dを狭くして、混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの磁石8への吸着率を高める。これにより、金属被膜付き樹脂粉体bを吸着して樹脂粉体cから確実に分離することができる。そこで、金属被膜付き樹脂粉体bの含有率が低い樹脂原料に再生することができる。
【0063】
<実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置の変形例>
図12は実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置の他の実施の形態を示す概略説明図である。
実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41は、例えば実施例1の落下型分離回収装置7,13のような他の構成の分離装置と組み合わせて使用することで純度の高い金属原料及び樹脂原料に再生することができる。実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41では、上述した搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との組み合わせのみで使用する必要はない。この図12に示す装置では、先ず粉砕した混合粉体mを、例えば実施例1において説明したローラ9部分に磁石10aを構成した分離回収装置7,13で、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体cとに単純に分離して樹脂粉体cのみを各回収槽48,49に回収する。
【0064】
次に、金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mについては、更に実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41を用いて金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体cとに精度の高い分離回収を行う。このときは、混合粉体mの金属や樹脂の種類、また粒径の大小に応じて搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との間隔dを調整して、混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの磁石8への吸着率を低下させる。
【0065】
更に、実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41は、1組の搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との組み合わせに限定されない。精緻に分離するときは、実施例1の図4図5に示すように、2組の搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43とを配置しては金属被膜付き樹脂粉体bから樹脂粉体cと金属粉体aに分離することができる。更に各ベルトコンベア42の搬送方向も適宜変えることができる。
【0066】
実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41は、図示していないが、金属吸着用ベルトコンベア43の搬送方向の全長が、その搬送用ベルトコンベア42の搬送方向の全長より長いものを配置する。このように配置したものは、金属吸着用ベルトコンベア43の下面に吸着している金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bを、この金属吸着用ベルトコンベア43の一端において回収することができる。このときは、金属吸着用ベルトコンベア43にスクレイパー(図示していない)を設けて掻き落とすようにする。
【0067】
また、実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41は、図示していないが、吸着した金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bを回収するために、金属吸着用ベルトコンベア43と搬送用ベルトコンベア42を搬送方向にずらして配置することにより、この金属吸着用ベルトコンベア43の一端において回収することができる。
【0068】
なお、単純に金属材料の回収率を高めたいときは、搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との間隔dを短くする。この回収した金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体bとの混合物は、再度分離回収処理することで、金属被膜付き樹脂粉体の含有率が低い金属原料又は樹脂原料に再生することができる。
【0069】
実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41は、図示していないが、上述した1組の搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との組み合わせのみで使用する必要はなく、実施例1又は2の分離回収装置と組み合わせて使用することが好ましい。先ず粉砕した混合粉体mを、例えばローラ部分に磁石を構成した他の磁気選別装置で、金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体cとに単純に分離して樹脂粉体cのみを回収する。次に、金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mについては、更に実施例3の水平配置金属吸着型分離回収装置41を用いて金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体cとに精度の高い分離回収を行う。このときは、混合粉体mの金属や樹脂の種類、また粒径の大小に応じて搬送用ベルトコンベア42と金属吸着用ベルトコンベア43との間隔dを調整して、混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの磁石への吸着率を低下させることができる。
【実施例0070】
<実施例4のベルトコンベアを傾斜配置した金属吸着型の分離回収装置>
図13は実施例4のベルトコンベアを傾斜配置した金属吸着型の傾斜配置金属吸着型分離回収装置を示す概略説明図である。なお、実施例1、2、3と同じ部材に関しては同じ符号を用い、その説明を省略する。
実施例3の金属吸着型の水平配置分離回収装置41は、選別ベルトコンベア42,43がすべて水平に配置されている。選別ベルトコンベアは必ずしも水平に配置する必要はない。実施例4の傾斜配置分離回収装置51では、搬送用ベルトコンベア52と金属吸着用ベルトコンベア53を傾斜させて配置している。このように搬送用ベルトコンベア52と金属吸着用ベルトコンベア53を傾斜させて配置することで、搬送している樹脂粉体cは磁石に吸着されないため、そのまま低い方に落下する。例えば、粉砕物を載せた選別ベルトコンベア52を安息角に近い傾斜角度に配置する。この角度にすることで、堆積した表面側の樹脂粉体cが搬送中に転がり落ちやすくなる。樹脂粉体cを予め崩れるように落下させることで、迅速に分離することができる。
【0071】
実施例4の傾斜配置型の選別ベルトコンベア51は、主に粗選別ベルトコンベアに適している。粗選別ベルトコンベアでは、粉砕したものではその粒径にバラつきがあるからである。比較的大きな粒径の樹脂粉体cを落下選別しやすくなるからである。この実施例4の傾斜配置型の粗選別ベルトコンベア52は、傾斜配置したこと以外は、実施例3の構成と略同一である。粗選別ベルトコンベア52は、ローラ8間にベルト9を掛け渡し、このローラ8の一方に磁石45を備えたものである。この粗選別ベルトコンベア7では、金属被膜粉体a、樹脂粉体c、及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mから、磁石45の磁力で金属被膜粉体a及び金属被膜付き樹脂粉体bと、樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bとに分離する。このときに粒径が比較的に大きな樹脂粉体c及び金属被膜付き樹脂粉体bを落下させる。
【0072】
<実施例4の金属落下型の傾斜配置分離回収装置の変形例1>
図14は実施例4の傾斜配置分離回収装置の変形例1を示す概略説明図である。
実施例4の搬送用ベルトコンベア52の変形例1は、混合粉体mを搬送中に浮き上がった相対的に大きな粉体(樹脂粉体c)を吹き飛ばす空気噴射装置35を備えたものである。この変形例1の空気噴射装置35は、大きな粉体(樹脂粉体c)を吹き飛ばし、小さな粉体(樹脂粉体cと金属被膜付き樹脂粉体b)を沈ませることができる。図示例では搬送用ベルトコンベア52に配置した構成を説明している。なお、搬送用ベルトコンベア52の上方に配置される吸着用ベルトコンベア53で搬送される樹脂粉砕物は既に相対的に大きな粉砕物は既に落下分離されているので、空気噴射装置35による強制的な落下処理の効果は小さいので、必ずしも構成する必要はない。
【0073】
<実施例4の金属吸着型の傾斜配置分離回収装置の変形例1>
図15は実施例4の傾斜配置分離回収装置の変形例2を示す概略説明図であり、(a)は急勾配に配置したとき、(b)は緩勾配に配置したときである。
実施例4の選別ベルトコンベア52、精密選別ベルトコンベア53の傾斜角度は、それぞれ調整できるように構成することができる。実施例2の粗選別ベルトコンベア52、精密選別ベルトコンベア53の傾斜角度は、図13に示した角度(β1)に限定されない。粉砕物の性状に応じて、ベルト9上の安息角が異なる。そこで、図15(a)に示すように、図13に示した角度(β1)より急勾配(β2)に選別ベルトコンベア52,53を配置することができる。逆に図15(b)に示すように、図13に示した角度(β1)より緩勾配(β3)に選別ベルトコンベア52,53を配置することができる。この勾配の角度は図示例に限定されないことは勿論である。また、図示例では、粗選別ベルトコンベア32と精密選別ベルトコンベア53の傾斜角度を同一にしているが、両方を同一角度にする必要はない。例えは、粗選別ベルトコンベア52は緩勾配に設定し、精密選別ベルトコンベア53を急勾配に設定するように異なる勾配にすることも可能である。
【0074】
この傾斜角度(β)とベルト9の搬送速度の組み合わせにより、金属被膜粉体a、樹脂粉体c、及び金属被膜付き樹脂粉体bとの混合粉体mの性状に応じて選択する。例えば、比較的大きな粒径の混合粉体mのときは、傾斜角度(α)は急勾配とし、ベルト9の搬送速度は速くする。逆に比較的小さな粒径の混合粉体mのときは、傾斜角度(α)は緩勾配とし、ベルト9の搬送速度は遅くする。
【0075】
なお、本発明は上述した発明の実施の形態に限定されず、粉砕した混合粉体m中の金属被膜付き樹脂粉体bの吸着率を低下させ、この金属被膜付き樹脂粉体bを金属被膜粉体a又は樹脂粉体cから確実に分離することで、純度の高い金属原料及び樹脂原料に再生する方法又は処理装置であれば、図示した工程、処理設備又は処理装置のような構成に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【実施例0076】
<実施例5のベルトコンベアを傾斜配置した振分け型の分離回収装置>
図16は実施例5のベルトコンベアを傾斜配置し、振動させながら金属分と樹脂分を分離する振分け型分離回収装置を示す概略説明図である。なお、実施例1、2、3、4と同じ部材に関しては同じ符号を用い、その説明を省略する。
実施例5の振分け型の分離回収装置61は、2本のローラ8間にベルト9を傾斜させて掛け渡した振分け型ベルトコンベア62から成る。ローラ8の一方に磁石45(図16では右側)を具備している。更に、ベルト9の上面かつ内側に板状磁石44が配置されている。振分け型ベルトコンベア62を振動させる加振装置46が備えられている。振動フィーダー11は、混合粉体mの供給位置(落下位置)が、ベルト9の高位置にある磁石45(8)の近くになるように配置されている。ベルト9は、低い位置のローラ8から高い位置のローラ45(8)へ搬送するように動作させる。
【0077】
振分け型ベルトコンベア62には、振動フィーダー11からベルト9の上に混合粉体mを振動させた状態で載せる。傾斜配置されたベルト9上で振動している混合粉体mは、比重の小さい樹脂粉体cは振動しているベルト9上において浮き上がる。浮き上がった樹脂粉体bは、板状磁石44に吸着されないため、傾斜したベルト9が安息角を超えているので、そのままベルト9の下方へずり落ちていく。
【0078】
一方、比重の大きい金属被膜粉体aと金属被膜付き樹脂粉体bは、板状磁石44の磁力により、ベルト9上で下に沈み、ベルト9の搬送により上方の磁石45(8)へ運ばれる。これにより、金属分と樹脂分とに分離される。
【0079】
振分け型ベルトコンベア62の傾斜角度は、可変調整できるように構成されている。粉砕物(混合粉体m)の性状に応じて振分け型ベルトコンベア62を安息角に近い傾斜角度にする。同じく、搬送速度も粉砕物(混合粉体m)の性状に応じて調整する。
【0080】
<実施例5の振分け型の分離回収装置の変形例1>
図17は実施例5の傾斜配置の分離回収装置の変形例1を示す概略説明図であり、金属含有率が高い金属被膜付き樹脂粉体bの割合が多い場合の分離処理するために、2台の分離ベルトコンベアを配置したものである。
実施例5の振分け型の分離回収装置についても組合わせて利用することができる。上述したように、混合粉体mが、金属被膜粉体aと樹脂粉体cとの混合であれば、1回の処理で分離作業を終了できる。実際は図2に示したように、金属被膜粉体aと樹脂粉体c以外に金属含有が高い金属被膜付き樹脂粉体bと金属含有率が低い金属被膜付き樹脂粉体b’が含まれている。
【0081】
変形例1の分離回収装置61は、2台の振分け型ベルトコンベア62を用いて、2段階で分離処理するものである。上段の分離回収装置61で樹脂分として振り分けられた樹脂分(樹脂粉体c)には金属被膜付き樹脂粉体b、b’が含まれている。この下段の分離回収装置61では、金属被膜付き樹脂粉体b、b’から金属含有率が高い金属被膜付き樹脂粉体b’を取り出すように分離する。そのために、下段の振分け型ベルトコンベア62は、その磁石45(8)が、上段の振分け型ベルトコンベア62の下方位置に配置する。また、下段の振分け型ベルトコンベア62の板状磁石44aの磁力は、上段の板状磁石44bの磁力より強力にする。このように回収することで、精緻に分離ができる。変形例1は、金属含有率が高い金属被膜付き樹脂粉体bの含有割合が、金属含有率が低い金属被膜付き樹脂粉体b’より高い場合の混合粉体mに適している。
【0082】
<実施例5の振分け型の分離回収装置の変形例2>
図18は実施例5の傾斜配置分離回収装置の変形例2を示す概略説明図であり、金属含有率が低い金属被膜付き樹脂粉体bを分離処理するために、2台の分離回収装置を配置したものである。
変形例2も、2台の振分け型ベルトコンベア62を用いて、2段階で分離処理するものであるが、金属含有が高い金属被膜付き樹脂粉体bの含有する割合が、金属含有率が低い金属被膜付き樹脂粉体b’より低い場合の混合粉体mに適している。
変形例2は、上段の振分け型ベルトコンベア62で樹脂分に振り分けられた金属被膜付き樹脂粉体b、b’が含まれている。下段の振分け型ベルトコンベア62では、金属被膜付き樹脂粉体b、b’から金属含有が高い金属被膜付き樹脂粉体bを取り出すように分離する。そのために、下段の振分け型ベルトコンベア62は、その板状磁石44が、上段の振分け型ベルトコンベア62の磁石45(8)の下方位置に配置する。また、下段の振分け型ベルトコンベア62の板状磁石44aの磁力は、上段の板状磁石44bの磁力より強力にする。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の金属被膜樹脂材の金属と樹脂材の分離回収方法及びその分離回収装置は、樹脂メッキ部品から金属原料と樹脂原料を分離回収して、それぞれ金属原料又は樹脂原料として再利用する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
7 粗選別ベルトコンベア
8 ローラ
9 ベルト
10a 磁石
12 セパレータ
13 精密選別ベルトコンベア
34 加振装置
35 噴射装置
42 搬送用ベルトコンベア
43 金属吸着用ベルトコンベア
44 板状磁石
62 振分け用ベルトコンベア
d 搬送用ベルトコンベアと金属吸着用ベルトコンベアとの間隔
p 金属被膜樹脂材
a 金属被膜粉体
b 金属被膜付き樹脂粉体
c 樹脂粉体
m 混合粉体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図19