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  • 特開-観察装置、検出装置及び観察方法 図1
  • 特開-観察装置、検出装置及び観察方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115400
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】観察装置、検出装置及び観察方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/26 20060101AFI20240819BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20240819BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240819BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G02B21/26
G02B21/06
G01N21/88 Z
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021080
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 篤志
【テーマコード(参考)】
2G051
2H052
【Fターム(参考)】
2G051AA42
2G051AA51
2G051AB02
2G051AB03
2G051DA20
2H052AA05
2H052AB01
2H052AC04
2H052AD14
2H052AF14
(57)【要約】
【課題】微分干渉光学法を用いて基板の表面を観察するにあたって、基板の表面に形成されたクラックを視認しやすくする。
【解決手段】観察装置1は、基板Wの表面W1を観察する。観察装置1は、基板Wを保持する保持部20と、保持部20に保持された基板Wの表面W1を投影して像Gを得る微分干渉顕微鏡10と、を備える。保持部20は、基板Wを撓んだ状態で保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面を観察する観察装置であって、
前記基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記基板の前記表面を投影して像を得る微分干渉顕微鏡と、を備え、
前記保持部は、前記基板を撓んだ状態で保持する、観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の観察装置であって、
前記保持部は、前記基板の外周部を保持する一方、前記基板の中央部を保持しない、観察装置。
【請求項3】
請求項2に記載の観察装置であって、
前記保持部は、前記基板を下から支持するテーブルであり、
前記テーブルにおける前記基板の前記中央部に対応する部分には、穴が空けられている、観察装置。
【請求項4】
請求項1に記載の観察装置によって得られた前記基板の前記表面の前記像に基づいて、前記基板の前記表面に形成されたクラックを検出する、検出装置。
【請求項5】
基板の表面を観察する観察方法であって、
前記基板を撓んだ状態で保持しながら、微分干渉光学法によって前記基板の前記表面を投影して像を得る、観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観察装置、検出装置及び観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、微分干渉顕微鏡を用いて基板の表面を観察する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-256795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
微分干渉顕微鏡は、基板の表面を投影して像を得る。微分干渉顕微鏡には、微分干渉プリズムが設けられている。微分干渉顕微鏡では、光源から出射された光は、微分干渉プリズムを通過して、互いに直交する2つの偏光に変換されるとともに、それらの光路間に微小な水平距離(シャー)を発生させる。2つの偏光は、基板の表面における異なる2点へ入射して反射する。反射した2つの偏光は、微分干渉プリズムを再び通過して同じ光路に合流する。
【0005】
2つの偏光が入射した2点間に勾配(高低差)がある場合、2つの偏光の位相が互いにずれて、2つの偏光は、合流時に干渉する。2つの偏光の干渉強度は、それらが入射した2点間の勾配の大きさによって、異なる。このため、基板の表面に勾配の分布があると、明暗のコントラストが発生して凹凸が強調される。このように、微分干渉顕微鏡では、通常の光学系(例えば同軸落射照明など)では視認できないような基板の表面における微小な段差を可視化する。
【0006】
ところで、微分干渉顕微鏡にて基板の表面における凹凸を強調した場合であっても、基板の表面に形成されたクラックを、上手く視認できないことがあった。
【0007】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、微分干渉光学法を用いて基板の表面を観察するにあたって、基板の表面に形成されたクラックを視認しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る観察装置は、基板の表面を観察する観察装置であって、前記基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記基板の前記表面を投影して像を得る微分干渉顕微鏡と、を備え、前記保持部は、前記基板を撓んだ状態で保持する。
【0009】
基板の表面におけるクラックが形成された部分では、通常、勾配が微妙に変化している。しかしながら、基板を全面的に保持するなどして基板を撓ませない場合、基板の表面におけるクラックによる勾配の変化が微小すぎるため、微分干渉顕微鏡を用いて基板の表面を観察したとしても、クラック付近において明暗のコントラストが発生しにくく、クラックを視認するのが難しかった。
【0010】
そこで、保持部は、基板を撓ませた状態で保持する。このように基板を撓ませることによって、基板の表面において、クラックを起点にした局所的な勾配の変化が発生する。これにより、微分干渉顕微鏡を用いて基板の表面を観察した場合に、クラック付近において明暗のコントラストが発生しやすくなるので、クラックを視認しやすくなる。
【0011】
以上、微分干渉光学法を用いて基板の表面を観察するにあたって、基板の表面に形成されたクラックを視認しやすくなる。
【0012】
一実施形態では、前記保持部は、前記基板の外周部を保持する一方、前記基板の中央部を保持しない。
【0013】
かかる構成によれば、保持部が基板の中央部に触れないので、基板の中央部に設けられた素子などを保護することができる。
【0014】
一実施形態では、前記保持部は、前記基板を下から支持するテーブルであり、前記テーブルにおける前記基板の前記中央部に対応する部分には、穴が空けられている。
【0015】
かかる構成によれば、基板をテーブルに置くだけで、基板の中央部が重力によってテーブルの穴に向かって下方に撓む(沈む)ので、取り扱いが容易である。
【0016】
本開示に係る検出装置は、前記観察装置によって得られた前記基板の前記表面の前記像に基づいて、前記基板の前記表面に形成されたクラックを検出する。
【0017】
かかる構成によれば、上述の通り基板の表面におけるクラック付近において明暗のコントラストが発生しやすくなっているので、検出装置によって、基板の表面の像に基づいてクラックを検出しやすくなる。
【0018】
本開示に係る観察方法は、基板の表面を観察する観察方法であって、前記基板を撓んだ状態で保持しながら、微分干渉光学法によって前記基板の前記表面を投影して像を得る。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、微分干渉光学法を用いて基板の表面を観察するにあたって、基板の表面に形成されたクラックを視認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係る観察装置を正面図で示す。
図2図2は、テーブルを平面図で示す。
図3図3は、クラックが形成されていない基板の表面における異なる領域間での勾配の変化を示す。
図4図4は、クラックが形成された基板の表面における異なる領域間での勾配の変化を示す。
図5図5は、撓んだ状態の基板の表面にクラックが形成されていない場合において微分干渉顕微鏡により基板の表面を投影して得られる像を示す。
図6図6は、撓んだ状態の基板の表面にクラックが形成された場合において微分干渉顕微鏡により基板の表面を投影して得られる像を示す。
図7図7は、従来技術に係る観察装置を正面図で示す。
図8図8は、従来技術において基板の表面における異なる領域間での勾配の変化を示す。
図9図9は、従来技術において微分干渉顕微鏡により基板の表面を投影して得られる像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0022】
(観察装置)
図1は、観察装置1を正面図で示す。観察装置1は、基板Wの表面W1を観察する。基板Wは、例えば半導体基板である。基板Wは、板状である。基板Wは、平面視において円形状である。基板Wの表面W1には、クラックXが形成されている。クラックXは、例えば、傷、ひび割れ、裂け目、亀裂、などの総称である。観察装置1は、微分干渉顕微鏡10と、保持部としてのテーブル20と、を備える。
【0023】
(微分干渉顕微鏡)
微分干渉顕微鏡10は、基板Wの表面W1を投影して像Gを得る。微分干渉顕微鏡10には、微分干渉プリズム11が設けられている。微分干渉顕微鏡10では、光源(図示せず)から出射された光Lは、微分干渉プリズム11を通過して、互いに直交する2つの偏光La,Lbに変換されるとともに、それらの光路間に微小な水平距離(シャー)を発生させる。2つの偏光La,Lbは、基板Wの表面W1における異なる2点Pa,Pbへ入射して反射する。反射した2つの偏光La,Lbは、微分干渉プリズム11を再び通過して同じ光路に合流して、受光器(図示せず)に至る。
【0024】
2つの偏光La,Lbが入射した2点Pa,Pb間に勾配(高低差)δがある場合、2つの偏光La,Lbの位相が互いにずれて、2つの偏光La,Lbは、合流時に干渉する。2つの偏光La,Lbの干渉強度は、それらが入射した2点Pa,Pb間の勾配δの大きさによって、異なる。このため、基板Wの表面W1に勾配δの分布があると、明暗のコントラストが発生して凹凸が強調される。このように、微分干渉顕微鏡10では、通常の光学系(例えば同軸落射照明など)では視認できないような基板Wの表面W1における微小な段差を可視化する。
【0025】
(従来技術の問題点)
図7は、従来技術に係る観察装置1’を正面図で示す。従来技術に係る観察装置1’では、基板Wは、穴の無いテーブル20’によって下側から全面的に支持されることによって、全体的に保持されている。テーブル20’により全面支持された基板Wは、撓まない。
【0026】
図8は、従来技術において基板Wの表面W1における2つの異なる領域R1,R2間での勾配の変化を示す。図8は、図7のVIII部を示す。基板Wの表面W1には、クラックXが形成されている。
【0027】
図8の左側の第1領域R1では、2つの偏光La,Lbが入射した2点Pa,Pb間における第1勾配(第1高低差)δ1は、ゼロである。同様に、図8の右側の第2領域R2でも、2つの偏光La,Lbが入射した2点Pa,Pb間における第2勾配(第2高低差)δ2は、ゼロである。第1領域R1と第2領域R2とは、基板Wの表面W1において、互いに離れている。第1領域R1での第1勾配δ1と第2領域R2での第2勾配δ2とは、互いに等しい(δ1=δ2=0)。
【0028】
図9は、従来技術において微分干渉顕微鏡10により基板Wの表面W1を投影して得られる像G’を示す。テーブル20’により全面支持された基板Wは撓まないので、基板Wの表面W1における全ての領域において、勾配はゼロである。このため、微分干渉顕微鏡10により基板Wの表面W1を投影して得られる像G’は、真っ暗である。
【0029】
基板Wの表面W1にクラックXが形成されている場合、基板Wの表面W1におけるクラックXが形成された部分においてのみ、勾配が微妙に変化する。しかしながら、基板Wの表面W1におけるクラックXによる勾配の変化は微小すぎるため、図9に示すように、像G’において、クラックXは、周囲よりも少し明るいのみであり、ほとんど視認できない。
【0030】
このように、微分干渉顕微鏡10にて基板Wの表面W1における凹凸を強調した場合であっても、基板Wの表面W1に形成されたクラックXを、上手く視認できないことがあった。特に、クラックXが細い場合、視認することが困難であった。
【0031】
本実施形態に係る観察装置1では、以下の工夫を施すことによって、微分干渉光学法(微分干渉顕微鏡10)を用いて基板Wの表面W1を観察するにあたって、基板Wの表面W1に形成されたクラックXを視認しやすくした。
【0032】
(テーブル)
図2は、テーブル20を上側から見た平面図で示す。テーブル20は、平面視において円形状である。テーブル20は、基板Wを下側から支持することによって、基板Wを保持する。テーブル20の中央部分21には、穴22が空けられている。換言すると、テーブル20は、中空である。
【0033】
テーブル20の中央部分21(穴22)は、基板Wの中央部W2に対応する。すなわち、テーブル20の中央部分21(穴22)は、基板Wの中央部W2に上側から覆われている。テーブル20の外周部分23は、基板Wの外周部W3に対応する。すなわち、テーブル20の外周部分23は、基板Wの外周部W3を下側から支持する。なお、テーブル20の外周部分23と基板Wの外周部W3とは、粘着テープやチャックなどの固定具によって互いに固定されてもよい。
【0034】
このように、テーブル20は、外周部分23において基板Wの外周部W3を保持する一方、中央部分21(穴22)において基板Wの中央部W2を保持しない。このため、図1に示すように、基板Wの中央部W2は、重力によってテーブル20の穴22に向かって下方に撓む(沈む)。すなわち、テーブル20は、基板Wを撓んだ状態で保持する。基板Wが撓んだ状態のとき、基板Wには応力が発生している。
【0035】
そして、微分干渉顕微鏡10は、撓んだ状態でテーブル20に保持された基板Wの表面W1を投影して像Gを得る。なお、図1では、分かりやすさのため、基板Wの撓み量を実際よりも大きく描いている。
【0036】
(基板の撓みの影響)
基板Wの撓みの影響について説明する。図3は、クラックXが形成されていない基板Wの表面W1における異なる2つの領域R1,R2間での勾配の変化を示す。図3は、図1のA部を示す。
【0037】
図3に示すように、基板Wの表面W1にクラックXが形成されていない場合、第1領域R1にて2つの偏光La,Lbが入射した2点Pa,Pb間における第1勾配(第1高低差)δ1と、第2領域R2にて2つの偏光La,Lbが入射した2点Pa,Pb間における第2勾配(第2高低差)δ2とは、互いにほぼ等しく(δ1=δ2)、かつゼロでない(≠0)。
【0038】
図4は、クラックXが形成された基板Wの表面W1における異なる2つの領域R1,R2間での勾配の変化を示す。図4は、図1のA部を示す。
【0039】
図4に示すように、基板Wの表面W1における第1領域R1と第2領域R2との間には、クラックXが形成されている。基板Wの表面W1に形成されたクラックX付近(第1領域R1と第2領域R2との間)では、クラックXを起点として局所的に勾配の変化が発生している。
【0040】
このため、基板Wの表面W1における第1領域R1と第2領域R2との間にクラックXが形成された場合、第1領域R1にて2つの偏光La,Lbが入射した2点Pa,Pb間における第1勾配δ1と、第2領域R2にて2つの偏光La,Lbが入射した2点Pa,Pb間における第2勾配δ2とは、互いに異なる(δ1≠δ2)。
【0041】
図5は、撓んだ状態の基板Wの表面W1にクラックXが形成されていない場合において微分干渉顕微鏡10により基板Wの表面W1を投影して得られる像Gを示す。図5では、基板Wの表面W1の全体が示されている。
【0042】
撓んだ状態の基板Wの表面W1にクラックXが形成されていない場合、基板Wの表面W1における勾配は、外周部W3で大きく且つ中央部W2で小さくなるように、滑らかに変化している。このため、撓んだ状態の基板Wの表面W1にクラックXが形成されていない場合、微分干渉顕微鏡10により基板Wの表面W1を投影して得られる像Gの背景は、外周部W3で明るく且つ中央部W2で暗くなるように、滑らかな明暗のグラデーションになっている。
【0043】
図6は、撓んだ状態の基板Wの表面W1にクラックXが形成された場合において微分干渉顕微鏡10により基板Wの表面W1を投影して得られる像Gを示す。図6では、図5と同様に、基板Wの表面W1の全体が示されている。
【0044】
撓んだ状態の基板Wの表面W1にクラックXが形成されている場合、基板Wの表面W1における勾配は、クラックX付近において、クラックXを起点として局所的に変化する。このため、撓んだ状態の基板Wの表面W1にクラックXが形成されている場合、微分干渉顕微鏡10により基板Wの表面W1を投影して得られる像Gは、クラックX付近(図6のB部参照)において、明暗の(輝度)コントラストが発生する。
【0045】
(検出装置)
観察装置1は、検出装置2(図1参照)に接続されている。検出装置2は、観察装置1によって得られた基板Wの表面W1の像Gに基づいて、基板Wの表面W1に形成されたクラックXを検出する。検出装置2は、マイコン及びプログラム等で構成されたコントローラを、備える。
【0046】
(作用効果)
基板Wの表面W1におけるクラックXが形成された部分では、通常、勾配が微妙に変化している。しかしながら、基板Wを全面的に保持するなどして基板を撓ませない場合(図7~9参照)、基板Wの表面W1におけるクラックXによる勾配の変化が微小すぎるため、微分干渉顕微鏡10を用いて基板Wの表面W1を観察したとしても、クラックX付近において明暗のコントラストが発生しにくく、クラックXを視認するのが難しかった。
【0047】
そこで、図1,2に示すように、テーブル(保持部)20は、基板Wを撓ませた状態で保持する。このように基板Wを撓ませることによって、図4に示すように、基板Wの表面W1において、クラックXを起点にした局所的な勾配の変化が発生する。これにより、微分干渉顕微鏡10を用いて基板Wの表面W1を観察した場合に、図6に示すように、クラックX付近において明暗のコントラストが発生しやすくなるので、クラックXを視認しやすくなる。
【0048】
以上、微分干渉光学法(微分干渉顕微鏡10)を用いて基板Wの表面W1を観察するにあたって、基板Wの表面W1に形成されたクラックXを視認しやすくなる。
【0049】
テーブル(保持部)20は、外周部分23において基板Wの外周部W3を保持する一方、中央部分21(穴22)において基板Wの中央部W2を保持しない。これにより、テーブル20が基板Wの中央部W2に触れないので、基板Wの中央部W2に設けられた素子など(例えば、半導体基板に設けられた回路パターンなど)を保護することができる。
【0050】
中央部分21に穴22の空けられたテーブル20に対して基板Wを置くだけで、基板Wの中央部W2が重力によってテーブル20の穴22に向かって下方に撓む(沈む)ので、取り扱いが容易である。
【0051】
上述の通り基板Wの表面W1におけるクラックX付近において明暗のコントラストが発生しやすくなっているので、検出装置2によって、基板Wの表面W1の像Gに基づいてクラックXを検出しやすくなる。
【0052】
(その他の実施形態)
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0053】
穴22の無いテーブル(保持部)20の中央部分21に突起を設け、基板Wの中央部W2を当該突起に置いて、基板Wの中央部W2を当該突起によって下側から支持してもよい。すなわち、テーブル(保持部)20によって、基板Wの中央部W2を保持する一方、基板Wの外周部W3を保持しなくてもよい。この場合、基板Wの外周部W3は、重力によって、下方に撓む。
【0054】
保持部20は、テーブルに限定されない。保持部20は、例えば、基板Wの外周部W3を把持するチャックでもよい。保持部20は、基板Wの一端部を片持ち支持してもよい。
【0055】
基板Wを上手く撓ませるためには、保持部20は、基板Wにおける少なくとも一部を、敢えて保持しないことが好ましい。
基板Wは、重力以外の外力によって、撓んでもよい。基板Wは、例えば上方への外力によって(上方へ引っ張ることによって)、撓んでもよい。
【0056】
基板Wは、半導体基板に限定されず、例えば、ガラス基板や金属基板や樹脂基板などでもよい。基板Wは、円形状に限定されず、例えば多角形状などでもよい。
【0057】
本開示に係る観察方法は、基板Wの表面W1を観察する観察方法であって、基板Wを撓んだ状態で保持しながら、微分干渉光学法によって基板Wの表面W1を投影して像Gを得る。この観察方法では、基板Wを手作業にて撓んだ状態で保持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示は、観察装置、検出装置及び観察方法に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0059】
W 基板
W1 表面
W2 中央部
W3 外周部
X クラック
G 像
L 光
La 偏光
Lb 偏光
δ 勾配
δ1 第1勾配
δ2 第2勾配
1 観察装置
2 検出装置
10 微分干渉顕微鏡
11 微分干渉プリズム
20 テーブル(保持部)
21 中央部分
22 穴
23 外周部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9