(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115413
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】表面保護部材及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240819BHJP
G09F 9/40 20060101ALI20240819BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240819BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240819BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20240819BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20240819BHJP
G02B 1/18 20150101ALI20240819BHJP
G02B 1/16 20150101ALI20240819BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240819BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240819BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240819BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G09F9/40 301
G09F9/30 349B
G09F9/30 349Z
G09F9/00 307A
G09F9/00 313
G09F9/33
G02B1/11
G02B5/22
G02B1/18
G02B1/16
G02B5/02 B
H01L33/00 L
H01L33/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021093
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】石丸 佳子
(72)【発明者】
【氏名】港 浩一
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2K009
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA12
2H042BA20
2H148CA01
2H148CA04
2H148CA15
2H148CA19
2H148CA24
2K009AA02
2K009EE03
2K009EE05
5C094AA37
5C094BA25
5C094DA01
5C094ED02
5C094ED03
5C094ED12
5C094ED13
5C094ED15
5C094FB01
5C094FB06
5C094JA08
5C094JA11
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB12
5F142CB23
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5F142CE13
5F142CG01
5F142DA13
5F142DA22
5F142DA36
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5F142DA73
5F142DB24
5F142DB34
5F142DB36
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5F142GA02
5F142HA01
5G435AA09
5G435AA14
5G435BB04
5G435DD11
5G435FF13
5G435GG12
5G435GG16
5G435GG43
5G435HH03
5G435HH04
5G435HH05
(57)【要約】
【課題】タイリングされた表示パネル間の継ぎ目が肉眼による観察では目立たず、製造が容易な表示装置の実現に有利な技術を提供する。
【解決手段】表面保護部材3は、タイリングされた複数の表示パネル20からなるパネル群2の前面に設けられ、紫外線遮蔽率が85%以上である紫外線遮蔽層と、前記表面保護部材を前記パネル群の前記前面に設けた場合に前記パネル群と前記紫外線遮蔽層との間に位置する着色層とを含み、前記着色層は、極大吸収波長が470乃至530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至45nmの範囲内にある第1色材、極大吸収波長が560乃至620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至55nmの範囲内にある第2色材、及び、400乃至780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650乃至780nmの範囲内にある第3色材の1以上を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイリングされた複数の表示パネルからなるパネル群の前面に設けられる表面保護部材であって、
紫外線遮蔽率が85%以上である紫外線遮蔽層と、
前記表面保護部材を前記パネル群の前記前面に設けた場合に前記パネル群と前記紫外線遮蔽層との間に位置する着色層と
を含み、
前記着色層は、極大吸収波長が470乃至530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至45nmの範囲内にある第1色材、極大吸収波長が560乃至620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至55nmの範囲内にある第2色材、及び、400乃至780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650乃至780nmの範囲内にある第3色材の1以上を含んだ表面保護部材。
【請求項2】
前記着色層は、前記第1色材と前記第2色材と前記第3色材とを含んだ請求項1に記載の表面保護部材。
【請求項3】
前記着色層は、ラジカル捕捉剤、一重項酸素クエンチャ、及び過酸化物分解剤の1以上を更に含んだ請求項1に記載の表面保護部材。
【請求項4】
前記着色層は、繰り返し単位が下記式(1)に示す構造を含んだポリマーを、前記ラジカル捕捉剤の少なくとも一部として含んだ請求項3に記載の表面保護部材。
【化1】
ここで、R
12は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシカルボニル基、炭素数10以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数10以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数10以下のアルコキシ基、炭素数10以下のアルキルチオ基、炭素数10以下のアリールオキシ基、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数10以下のアシルオキシ基、炭素数10以下のアシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数10以下のアリール基、置換アミノ基、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、又は複素環基を表し、R
13は、水素原子又は炭素数30以下のアルキル基を表し、Xは、単結合、エステル基、炭素数30以下の脂肪族アルキル鎖、芳香族鎖、ポリエチレングリコール鎖、又はこれらを組み合わせてなる連結基を表し、何れもスピロジオキサン環を含んでいてもよい。
【請求項5】
前記着色層は、ジアルキルジチオホスフェート、ジアルキルジチオカルバネート、ベンゼンジチオール、これらの遷移金属錯体、及び下記式(2)で表される化合物の1以上を、前記ラジカル捕捉剤、前記一重項酸素クエンチャ、及び前記過酸化物分解剤の少なくとも一部として含んだ請求項3に記載の表面保護部材。
【化2】
ここで、R
1は、各々が独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、R
9CO-、R
10SO
2-、及びR
11NHCO-で表される基の何れかであり、R
9、R
10、及びR
11は、各々が独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びへテロ環基の何れかであり、R
2及びR
3は、各々が独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、及びアルケニルオキシ基の何れかであり、R
4乃至R
8は、各々が独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基の何れかである。
【請求項6】
前記着色層は、前記第1色材、前記第2色材及び前記第3色材の少なくとも1つとして、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造の何れかを有する化合物及びその金属錯体からなる群から選択される1以上の化合物を含んだ請求項1に記載の表面保護部材。
【請求項7】
前記着色層は粘着層としての機能を有している請求項1に記載の表面保護部材。
【請求項8】
前記着色層を間に挟んで前記紫外線遮蔽層と向き合った粘着層を更に含んだ請求項1に記載の表面保護部材。
【請求項9】
前記紫外線遮蔽層は、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能、及び強化機能の1以上の機能を更に発揮する請求項1に記載の表面保護部材。
【請求項10】
前記紫外線遮蔽層と前記着色層とを支持した基材を更に含んだ請求項1に記載の表面保護部材。
【請求項11】
前記基材は、前記紫外線遮蔽層を間に挟んで前記着色層と向き合い、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能、及び強化機能の1以上の機能を発揮する請求項10に記載の表面保護部材。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表面保護部材と、
タイリングされた複数の表示パネルからなり、前面に前記表面保護部材が設けられたパネル群と
を備えた表示装置。
【請求項13】
前記複数の表示パネル間に介在し、散乱粒子と、これら散乱粒子が分散したバインダとを含んだ光散乱層を更に備えた請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記散乱粒子の平均粒子径は0.01乃至20μmの範囲内にある請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記複数の表示パネル間に介在した屈折率調整層を更に備え、波長λの光に対する前記屈折率調整層の屈折率nt(λ)は、507乃至589nmの波長範囲の全域で、不等式:
1.2≦nt(λ)≦2.0
に示す関係を満たしている請求項12に記載の表示装置。
【請求項16】
前記複数の表示パネル間に介在した黒色層を更に備えた請求項12に記載の表示装置。
【請求項17】
前記黒色層は、厚さが1μmの層とした場合に507乃至589nmの波長範囲の全域で0.2以上の光学濃度を示す材料からなる請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記複数の表示パネルの各々は、各サブ画素が発光ダイオードを含んだ表示パネルである請求項12に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画面サイズが大きな表示装置の製造方法として、タイリングを利用した方法がある。タイリングを利用した製造方法では、画面サイズが小さな複数の表示パネルをタイリングしてなるパネル群、即ち、タイルを敷き詰めるように複数の表示パネルを並べてなるパネル群を、画面サイズがより大きな表示装置として得る。
【0003】
画面サイズが小さな複数の表示パネルは、比較的安価な装置で製造することができる。また、タイリングを利用した場合、表示パネルの数を変更することにより、表示装置の画面サイズを変更することができる。
【0004】
タイリングを利用して製造した表示装置には、表示パネル間の継ぎ目が視認されるという問題がある。特許文献1乃至3には、この継ぎ目を見え難くするための技術が記載されている。
【0005】
具体的には、特許文献1には、例えば液晶表示装置からなる表示部と、その前面に設けられた透明基材とを各々が含んだ複数の単位パネルを連結することが記載されている。透明基材の端面において全反射を生じると、単位パネルを並べてなる表示装置を斜め方向から観察した場合に、この表示装置が表示する透過像に、単位パネル間の接続部に対応した反射像が重なり合って見える。特許文献1には、透明基材の屈折率と、隣り合った単位パネル間の隙間を充填する接着剤の屈折率との関係を最適化して、上記の全反射を防止することが記載されている。
【0006】
特許文献2には、表示部と、その前面に設けられた円偏光フィルムとを各々が含んだ複数の表示モジュールを並べてなる表示装置が記載されている。表示部は、複数の発光ダイオードが実装された電子基板と、電子基板の円偏光フィルム側に設けられた平坦化層とを含んでいる。この表示装置では、円偏光フィルムが収縮すると、表示モジュール間の継ぎ目の位置で表示部が露出し、この位置において円偏光フィルムによる外光の反射抑制効果が得られない。特許文献2には、円偏光フィルムが含んでいる偏光フィルムの厚さを10μm以下とすることにより、円偏光フィルムの収縮を抑制することが記載されている。
【0007】
特許文献3には、タイリングされた複数の単位基板からなる表示パネルと、その前面に設けられた前面板とを含んだ表示装置が記載されている。単位基板は、配線基板と、これに実装され、赤色、緑色及び青色の光を発する複数の素子とを含んでいる。前面板は、光透過性基材と、開口部を有する遮光層とを含んでいる。遮光層は、銅フタロシアニン構造を有する青色顔料を含んでいる。遮光層は、単位基板間の境界部を遮光して、これら境界部を視認され難くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-20996号公報
【特許文献2】国際公開第2022/124095号
【特許文献3】国際公開第2019/026858号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、タイリングされた表示パネル間の継ぎ目が肉眼による観察では目立たず、製造が容易な表示装置の実現に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によると、タイリングされた複数の表示パネルからなるパネル群の前面に設けられる表面保護部材であって、紫外線遮蔽率が85%以上である紫外線遮蔽層と、前記表面保護部材を前記パネル群の前記前面に設けた場合に前記パネル群と前記紫外線遮蔽層との間に位置する着色層とを含み、前記着色層は、極大吸収波長が470乃至530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至45nmの範囲内にある第1色材、極大吸収波長が560乃至620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至55nmの範囲内にある第2色材、及び、400乃至780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650乃至780nmの範囲内にある第3色材の1以上を含んだ表面保護部材が提供される。
【0011】
本発明の他の側面によると、前記着色層は、前記第1色材と前記第2色材と前記第3色材とを含んだ上記側面に係る表面保護部材が提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、前記着色層は、ラジカル捕捉剤、一重項酸素クエンチャ、及び過酸化物分解剤の1以上を更に含んだ上記側面の何れかに係る表面保護部材が提供される。
【0013】
本発明の更に他の側面によると、前記着色層は、繰り返し単位が下記式(1)に示す構造を含んだポリマーを、前記ラジカル捕捉剤の少なくとも一部として含んだ上記側面に係る表面保護部材が提供される。
【0014】
【0015】
ここで、R12は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシカルボニル基、炭素数10以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数10以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数10以下のアルコキシ基、炭素数10以下のアルキルチオ基、炭素数10以下のアリールオキシ基、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数10以下のアシルオキシ基、炭素数10以下のアシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数10以下のアリール基、置換アミノ基、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、又は複素環基を表し、R13は、水素原子又は炭素数30以下のアルキル基を表し、Xは、単結合、エステル基、炭素数30以下の脂肪族アルキル鎖、芳香族鎖、ポリエチレングリコール鎖、又はこれらを組み合わせてなる連結基を表し、何れもスピロジオキサン環を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、前記着色層は、ジアルキルジチオホスフェート、ジアルキルジチオカルバネート、ベンゼンジチオール、これらの遷移金属錯体、及び下記式(2)で表される化合物の1以上を、前記ラジカル捕捉剤、一重項酸素クエンチャ及び過酸化物分解剤の少なくとも一部として含んだ上記側面の何れかに係る表面保護部材が提供される。
【0017】
【0018】
ここで、R1は、各々が独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、R9CO-、R10SO2-、及びR11NHCO-で表される基の何れかであり、R9、R10、及びR11は、各々が独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びへテロ環基の何れかであり、R2及びR3は、各々が独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、及びアルケニルオキシ基の何れかであり、R4乃至R8は、各々が独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基の何れかである。
【0019】
本発明の更に他の側面によると、前記着色層は、前記第1色材、前記第2色材及び前記第3色材の少なくとも1つとして、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造の何れかを有する化合物及びその金属錯体からなる群から選択される1以上の化合物を含んだ上記側面の何れかに係る表面保護部材が提供される。
【0020】
本発明の更に他の側面によると、前記着色層は粘着層としての機能を有している上記側面の何れかに係る表面保護部材が提供される。
【0021】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記着色層を間に挟んで前記紫外線遮蔽層と向き合った粘着層を更に含んだ上記側面の何れかに係る表面保護部材が提供される。
【0022】
本発明の更に他の側面によると、前記紫外線遮蔽層は、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能、及び強化機能の1以上の機能を更に発揮する上記側面の何れかに係る表面保護部材が提供される。
【0023】
本発明の更に他の側面によると、前記紫外線遮蔽層と前記着色層とを支持した基材を更に含んだ上記側面の何れかに係る表面保護部材が提供される。
【0024】
本発明の更に他の側面によると、前記基材は、前記紫外線遮蔽層を間に挟んで前記着色層と向き合い、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能、及び強化機能の1以上の機能を発揮する上記側面に係る表面保護部材が提供される。
【0025】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る表面保護部材と、タイリングされた複数の表示パネルからなり、前面に前記表面保護部材が設けられたパネル群とを備えた表示装置が提供される。
【0026】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の表示パネル間に介在し、散乱粒子と、これら散乱粒子が分散したバインダとを含んだ光散乱層を更に備えた上記側面に係る表示装置が提供される。
【0027】
本発明の更に他の側面によると、前記散乱粒子の平均粒子径は0.01乃至20μmの範囲内にある上記側面に係る表示装置が提供される。
【0028】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の表示パネル間に介在した屈折率調整層を更に備え、波長λの光に対する前記屈折率調整層の屈折率nt(λ)は、507乃至589nmの波長範囲の全域で、1.2≦nt(λ)≦2.0を満たしている上記側面に係る表示装置が提供される。
【0029】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の表示パネル間に介在した黒色層を更に備えた上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【0030】
本発明の更に他の側面によると、前記黒色層は、厚さが1μmの層とした場合に507乃至589nmの波長範囲の全域で0.2以上の光学濃度を示す材料からなる上記側面に係る表示装置が提供される。
【0031】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の表示パネルの各々は、各サブ画素が発光ダイオードを含んだ表示パネルである上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、タイリングされた表示パネル間の継ぎ目が肉眼による観察では目立たず、製造が容易な表示装置の実現に有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2の表示装置が含んでいる表示パネルの一部を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4の表面保護部材が含む着色層が有し得る光学特性の一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、
図3の表示パネルが含むサブ画素が有し得る発光特性の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の他の例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の更に他の例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の更に他の例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態に係る表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態に係る表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第4実施形態に係る表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
【
図15】
図15は、比較例1-1に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。
【
図16】
図16は、例1-1に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。
【
図17】
図17は、例2に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。
【
図18】
図18は、例3に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0035】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0036】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0037】
<1>第1実施形態
<1.1>表示装置
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の斜視図である。
図2は、
図1に示す表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
図3は、
図1及び
図2の表示装置が含んでいる表示パネルの一部を拡大して示す断面図である。
【0038】
なお、各図において、X方向及びY方向は、表示装置の表示面に対して平行であり且つ互いに交差する方向である。ここでは、X方向及びY方向は、互いに直交している。また、Z方向は、X方向及びY方向に対して垂直な方向である。
【0039】
図1及び
図2に示す表示装置1Aは、パネル群2と、図示しないコントローラと、図示しない支持部材と、表面保護部材3とを含んでいる。
【0040】
パネル群2は、タイリングされた複数の表示パネル20からなる。ここでは、表示パネル20は、X方向とY方向に配列している。具体的には、
図1に示すように、9つの表示パネル20がパネル群2を構成しており、これら表示パネル20は3行3列の配列を形成している。これら表示パネル20の隣り合ったものは、端面同士が接しているか又は僅かな間隙を隔てて向き合っている。ここで、表示パネル20の隣り合ったものは、それらを電気的に接続するために、図示しない電気配線端子部分同士が接していてもよい。パネル群2を構成する表示パネル20の数、表示パネル20が形成する行の数、及び表示パネル20が形成する列の数の各々は任意である。
【0041】
表示パネル20の各々は、ここでは、アクティブマトリクス駆動方式によるカラー表示が可能であり、各サブ画素が発光ダイオード(LED)を含んだマイクロLEDディスプレイパネルである。
【0042】
図3に示す表示パネル20は、調光装置22と、ブラックマトリクス基板23と、接着層24とを含んでいる。
【0043】
調光装置22は、ブラックマトリクス基板23へ向けて光を射出するとともに、この光の強さ及びこの光を射出する時間の少なくとも一方を、サブ画素毎に調節可能な装置である。調光装置22は、基板221と、多層配線層222と、発光ダイオード223とを含んでいる。
【0044】
基板221は、例えば、ガラス基板などの絶縁基板を含んでいる。基板221は、絶縁基板のブラックマトリクス基板23と向き合った主面に設けられたアンダーコート層を更に含んでいてもよい。アンダーコート層は、例えば、絶縁基板上に順次積層されたシリコン窒化物層とシリコン酸化物層との積層体である。基板221は、シリコン基板などの半導体基板であってもよい。基板221は、硬質であってもよく、可撓性であってもよい。
【0045】
多層配線層222は、基板221のブラックマトリクス基板23と向き合った主面上に設けられている。多層配線層222は、映像信号線と、第1電源線と、第2電源線と、走査信号線と、画素回路と、層間絶縁膜とを含んでいる。
【0046】
映像信号線は、Y方向へ各々が伸び、X方向へ配列している。走査信号線は、X方向へ各々が伸び、Y方向へ配列している。第1及び第2電源線は、映像信号線に対応して、Y方向へ各々が伸び、X方向へ配列している。第1及び第2電源線は、走査信号線に対応して、X方向へ各々が伸び、Y方向へ配列していてもよい。或いは、第1及び第2電源線の一方は、映像信号線に対応して、Y方向へ各々が伸び、X方向へ配列し、それらの他方は、走査信号線に対応して、X方向へ各々が伸び、Y方向へ配列していてもよい。
【0047】
画素回路は、基板221の上記主面上でX方向及びY方向へ配列している。画素回路の各々は、駆動制御素子とスイッチとキャパシタとを含んでいる。駆動制御素子は、例えば、ソースが第1電源線へ接続されたpチャネル電界効果トランジスタである。スイッチは、例えば、ゲートが走査信号線へ接続され、ソースが映像信号線へ接続され、ドレインが駆動制御素子のゲートへ接続されたnチャネル電界効果トランジスタである。キャパシタは、例えば、一方の電極が駆動制御素子のゲートへ接続され、他方の電極が第1電源線へ接続された薄膜キャパシタである。画素回路は、他の構成を有していてもよい。
【0048】
発光ダイオード223は、多層構造を有している。ここでは、発光ダイオード223が含んでいる層の積層方向はZ方向である。この積層方向は、Z方向に対して垂直であってもよい。
【0049】
発光ダイオード223は、発光スペクトルが互いに等しい。発光ダイオード223は、例えば、青色光及び紫外光などの短波長の光を射出する。ここでは、一例として、発光ダイオード223は、青色光を射出する青色発光ダイオードであるとする。
【0050】
発光ダイオード223は、多層配線層222上で、画素回路に対応して配列している。発光ダイオード223の各々は、陽極が駆動制御素子のドレインへ接続され、陰極が第2電源線へ接続されている。
【0051】
ブラックマトリクス基板23は、調光装置22と向き合っている。具体的には、ブラックマトリクス基板23は、発光ダイオード223等を間に挟んで基板221と向き合っている。
【0052】
ブラックマトリクス基板23は、透明基板231と、ブラックマトリクス232と、隔壁層234と、第1着色層233R及び第2着色層233Gを含んだカラーフィルタ233と、下地層233Bと、第1波長変換層236Rと、第2波長変換層236Gと、充填層236Bとを含んでいる。
【0053】
透明基板231は、可視光透過性を有している。透明基板231は、例えば、無色の基板である。透明基板231は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。透明基板231は、例えば、ガラス、透明樹脂又はそれらの組み合わせからなる。透明基板231は、硬質であってもよく、可撓性であってもよい。透明基板231は、調光装置22と向き合った第1主面と、その裏面である第2主面とを有している。
【0054】
ブラックマトリクス232は、透明基板231の第1主面上に設けられている。ブラックマトリクス232は、可視光を遮る黒色層である。ブラックマトリクス232は、例えば、バインダ樹脂と着色剤とを含んだ混合物からなる。着色剤は、例えば、黒色顔料であるか、又は、減法混色によって黒色を呈する顔料の混合物、例えば、青色顔料、緑色顔料及び赤色顔料を含んだ混合物である。
【0055】
ブラックマトリクス232は、発光ダイオード223の位置に第1貫通孔を有している。各第1貫通孔の透明基板231側の開口は、発光ダイオード223と比較して、Z方向に垂直な方向の寸法がより大きい。
【0056】
第1着色層233R、第2着色層233G、及び下地層233Bは、例えば、ブラックマトリクス232が設けられた透明基板231上で、ストライプ配列を形成している。これらは、第1着色層233R、第2着色層233G、及び下地層233Bから各々がなる複数の画素を形成しており、これら画素はX方向及びY方向へ配列している。第1着色層233R、第2着色層233G、及び下地層233Bは、ブラックマトリクス232が設けられた透明基板231上で、デルタ配列と呼ばれる一画素単位ごとにジグザグな並びを形成してもよい。
【0057】
上記の通り、ここでは、第1着色層233Rは赤色着色層であり、第2着色層233Gは緑色着色層である。また、下地層233Bは、ここでは、無色の光透過層又は青色着色層である。第1着色層233Rの各々は、第1貫通孔の1つを埋め込んでいる。第2着色層233Gの各々は、第1貫通孔の他の1つを埋め込んでいる。下地層233Bの各々は、第1貫通孔の更に他の1つを埋め込んでいる。
【0058】
隔壁層234は、第1着色層233R、第2着色層233G、及び下地層233Bからなる複合膜上に設けられている。一例によれば、隔壁層234は透明である。この場合、隔壁層234は、着色していてもよく、無色であってもよい。隔壁層234は、光散乱性を有していてもよい。
【0059】
隔壁層234は、第1貫通孔の位置に第2貫通孔をそれぞれ有している。第2貫通孔は、ここでは、透明基板231側の開口の第1主面への正射影の輪郭(以下、第2輪郭という)が、それぞれ、第1貫通孔の第1主面への正射影の輪郭(以下、第1輪郭という)を取り囲むように設けられている。第2輪郭は、第1輪郭を取り囲んでいなくてもよい。第2輪郭が第1輪郭を取り囲んだ構造では、第2輪郭が第1輪郭を取り囲んでいない構造と比較して、迷光が表示へ及ぼす影響が小さい。
【0060】
隔壁層234のうち隣り合った第2貫通孔によって挟まれた部分は、矩形状の断面形状を有している。この部分は、順テーパ状の断面形状を有していてもよく、逆テーパ状の断面形状を有していてもよく、他の断面形状を有していてもよい。
【0061】
隔壁層234は、多層構造を有していてもよい。例えば、隔壁層234は、樹脂層と、その表面を少なくとも部分的に被覆した反射層とを含んでいてもよい。
【0062】
反射層は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。反射層が含む層は、例えば、金属、合金又は透明誘電体である。金属又は合金からなる反射層は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
【0063】
第1波長変換層236Rは、第1着色層233R上に設けられている。第1波長変換層236Rは、無機蛍光体などの蛍光体及び/又は量子ドット(QD)と透明樹脂とを含んだ層である。ここでは、第1波長変換層236Rは、発光ダイオード223が射出した青色光を赤色光へと変換する。
【0064】
第2波長変換層236Gは、第2着色層233G上に設けられている。第2波長変換層236Gは、無機蛍光体などの蛍光体及び/又はQDと透明樹脂とを含んだ層である。ここでは、第2波長変換層236Gは、発光ダイオード223が射出した青色光を緑色光へと変換する。
【0065】
充填層236Bは、下地層233B上に設けられている。上記の通り、ここでは、充填層236Bは無色透明な層である。この場合、充填層236Bは、例えば、透明樹脂からなる。
【0066】
接着層24は、調光装置22とブラックマトリクス基板23との間に介在しており、それらを互いに対して貼り合わせている。接着層24は、発光ダイオード223が射出した光を透過させる。接着層24は、例えば、無色透明な層である。接着層24は、接着剤又は粘着剤からなる。
【0067】
上記の通り、表示パネル20の各々は、ここでは、マイクロLEDディスプレイパネルである。表示パネル20の各々は、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルなどの他の表示パネルであってもよい。
【0068】
コントローラは、各表示パネル20の裏面側に設置されている。コントローラは、表示パネル20へ電気的に接続されたプリント回路基板を含んでいる。プリント回路基板は、ドライバ集積回路を搭載している。
【0069】
支持部材は、複数の表示パネル20を一体に支持するとともに、上記のプリント回路基板を支持している。支持部材は、例えば、1以上の枠体を含む。
【0070】
表面保護部材3は、
図1及び
図2に示すように、パネル群2の前面に設けられている。ここでは、1つのパネル群2に対して1つの表面保護部材3が設けられている。即ち、ここでは、9つの表示パネル20に対して1つの表面保護部材3が設けられている。表面保護部材3の光学的性質は、面内で均一である。
【0071】
<1.2>表面保護部材
図4は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の一例を示す断面図である。
【0072】
図4に示す表面保護部材3Aは、一例によれば、フィルム、シート又は板である。表面保護部材3Aの厚さは、10乃至140μmの範囲内にあることが好ましく、15乃至120μmの範囲内にあることがより好ましく、20乃至100μmの範囲内にあることが更に好ましい。
【0073】
表面保護部材3Aは、紫外線遮蔽層31Aと着色層32Aとを含んでいる。紫外線遮蔽層31Aと着色層32Aとは積層構造を形成している。表面保護部材3Aは、紫外線遮蔽層31Aが、着色層32Aを間に挟んでパネル群2と向き合うように設置される。
【0074】
表面保護部材3Aは、上記の通り、構成要素の数が少ない。また、表面保護部材3Aが含む各層は、組成及び特性が面内で均一である。従って、表面保護部材3Aは、安価に製造することができる。
【0075】
<1.2.1>紫外線遮蔽層
紫外線遮蔽層31Aは、可視光透過性を有しており、着色層32Aを透過した表示パネル20からの可視光を透過させる。また、紫外線遮蔽層31Aは、紫外線遮蔽率が85%以上である。紫外線遮蔽層31Aは、表示装置1Aの外部からの紫外線が着色層32Aへ入射するのを抑制し、紫外線による着色層32Aの劣化を生じ難くする。
【0076】
ここで、紫外線遮蔽率は、JIS L1925:2019に基づいて測定及び算出される値であって、290乃至400nmの波長範囲における平均透過率(%)を100%から引いた値(%)として表されるものである。紫外線遮蔽層31Aの紫外線領域における吸収波長域は、290乃至370nmの範囲であることがより好ましい。ここで、吸収波長域は、紫外線の吸収率が90%以上となる波長領域であると定義する。
【0077】
紫外線遮蔽層31Aは、基材としての役割も果たしている。紫外線遮蔽層31Aは、紫外線吸収性を有している透明材料を含んでいるか、又は、紫外線吸収性を有しているか若しくは有していない透明材料と紫外線吸収剤とを含んでいる。
【0078】
紫外線遮蔽層31Aが含み得る透明材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の透明樹脂や無機ガラスを利用できる。これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(PET)、トリアセチルセルロースからなるフィルム(TAC)、ポリメチルメタクリレートからなるフィルム(PMMA)、ポリエステルからなるフィルムを好適に利用できる。
【0079】
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系の化合物を使用できる。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノールを使用することができる。トリアジン系の紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノールを使用することができる。
【0080】
紫外線遮蔽層31Aの厚さは、特に限定されないが、10乃至100μmの範囲内とすることが好ましい。
【0081】
<1.2.1>着色層
着色層32Aは、表面保護部材3Aをパネル群2の前面に設けた場合に、パネル群2と紫外線遮蔽層31Aとの間に位置する。着色層32Aは、可視域における1以上の波長域で低い透過率を示し、可視域における他の1以上の波長域で高い透過率を示す。具体的には、着色層32Aは、表示パネル20の各サブ画素が射出する光の波長域で高い透過率を示し、他の波長域の少なくとも一部で低い透過率を示す。着色層32Aは、このような光学フィルタとしての役割に加え、粘着層としての役割を更に果たすものであってもよい。
【0082】
着色層32Aは、第1色材、第2色材及び第3色材の1以上を含んでいる。ここでは、一例として、着色層32Aは、第1色材、第2色材及び第3色材の全てを含んでいることとする。
【0083】
着色層32Aは、色材を溶解又は分散させる透明材料を更に含んでいる。透明材料は、例えば、紫外線遮蔽層31Aについて上述した透明樹脂、又は、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させてなる樹脂硬化物である。
【0084】
着色層32Aは、例えば、紫外線遮蔽層31Aの一方の主面上に着色層形成用組成物を塗工し、塗膜を硬化させることにより得ることができる。着色層形成用組成物は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂と上記の色材とを含んでいる。そのような着色層形成用組成物を使用した場合、塗膜は、紫外線及び電子線などの活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。
【0085】
着色層32Aの厚さは、例えば、0.5乃至10μmの範囲内にあることが好ましい。着色層32Aの厚さを十分に大きくすると、着色層32Aの外観に異常を発生させることなく色素を含有させることができ、色素の光吸収性により反射特性や色再現性を向上させる効果が高まる。他方、薄い着色層32Aは、表示装置の薄型化に有利である。
【0086】
着色層32Aの厚さは、表面保護部材3Aの厚さ方向の断面を電子顕微鏡等で観察することにより求められる。
【0087】
<1.2.1.1>色材
第1色材は、極大吸収波長が470乃至530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至45nmの範囲内にある。ここで、極大吸収波長とは、光吸収率のスペクトル(吸収スペクトル)において、光吸収率の極大値のうちの最大値を与える波長を意味する。この極大吸収波長は、光透過率のスペクトルでは、極小値のうち最小値を与える波長である。極大吸収波長は、以下も同様である。極大吸収波長は、上記下限値未満であると青色発光の輝度効率を低下させやすく、上記上限値超であると緑色発光の輝度効率を低下させやすい。吸光スペクトルの半値幅は、上記下限値未満であると外光に対する反射特性への抑制効果が小さく、上記上限値超であると、外光に対する反射特性は向上しやすいが、輝度効率を低下させやすい。
【0088】
第2色材は、極大吸収波長が560乃至620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至55nmの範囲内にある。極大吸収波長は、上記下限値未満であると緑色発光の輝度効率を低下させやすく、上記上限値超であると赤色発光の輝度効率を低下させやすい。吸光スペクトルの半値幅は、上記下限値未満であると外光に対する反射特性への抑制効果が小さく、上記上限値超であると、外光に対する反射特性は向上しやすいが、輝度効率を低下させやすい。
【0089】
第3色材は、400乃至780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650乃至780nmの範囲内にある。第3の色材の吸光スペクトルの半値幅は、例えば10乃至300nmの範囲内にあるが、特に限定されない。第3色材の400乃至780nmの波長範囲における最も透過率の低い波長が、上記下限値未満であると赤色発光の輝度効率を低下させやすく、上記上限値超であると外光に対する反射特性への抑制効果が小さくなる。
【0090】
着色層32Aは、第1色材、第2色材及び第3色材の少なくとも1つとして、例えば、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造の何れかを有する化合物及びその金属錯体からなる群から選択される1以上の化合物を含むことができる。特には、ポルフィリン構造、ピロメテン構造、フタロシアニン構造、スクアリリウム構造を分子内に持つ化合物を用いることが好ましい。これらの化合物又はその金属錯体は、第1色材に含まれていてもよく、第2色材に含まれていてもよく、第3色材に含まれていてもよく、これらの色材の2種以上に含まれていてもよい。
【0091】
<1.2.1.2>活性エネルギー線硬化性樹脂
活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射により重合して硬化する樹脂である。活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート等を含むことができる。ここで、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方又は何れか一方を意味するものとする。
【0092】
活性エネルギー線硬化性樹脂に含ませることができる単官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタン、アダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の双方又は何れか一方を意味するものとする。
【0093】
活性エネルギー線硬化性樹脂に含ませることができる2官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0094】
活性エネルギー線硬化性樹脂に含ませることができる3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0095】
活性エネルギー線硬化性樹脂に含ませることができる樹脂として、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー又はプレポリマーを反応させて得られた生成物に、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
【0096】
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0097】
単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート等は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、一部が重合したオリゴマーであってもよい。
【0098】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、ラジカル捕捉剤、一重項酸素クエンチャ、及び過酸化物分解剤の1以上を更に含むことができる。即ち、着色層形成用組成物及び着色層32Aは、ラジカル捕捉剤、一重項酸素クエンチャ、及び過酸化物分解剤の1以上を含むことができる。
【0099】
ラジカル捕捉剤は、色材が酸化劣化する際のラジカルを捕捉して、その自動酸化を抑制する。従って、着色層32Aへラジカル捕捉剤を含ませることにより、色材の劣化を抑制すること、即ち、着色層32Aの退色を抑制することができる。
【0100】
ラジカル捕捉剤としては、アミン構造を有する樹脂が挙げられる。ここで、「アミン構造」とは、アンモニアの水素原子を炭化水素基又は芳香族原子団で置換した構造をいう。アミン構造としては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンが挙げられ、第四級アンモニウムカチオンであってもよい。
【0101】
ラジカル捕捉剤として、例えば、分子量が2000以上のヒンダードアミン系光安定剤を用いると、高い退色抑制効果が得られる。ラジカル捕捉剤の分子量が低い場合、その揮発や溶出、又は塗膜の表面に浮き出る現象であるブリードアウトを生じ易い。それ故、この場合、着色層内へ留まる分子が少なく、十分な退色抑制効果を得ることが難しい。ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、例えば20万程度であるが、上限値は特に限定されない。なお、本明細書において、「分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)でポリスチレンを標準物質として測定される「質量平均分子量」を意味する。
【0102】
ラジカル捕捉剤として好適に用いられる材料としては、例えば、BASF社製Chimassorb(登録商標)2020FDL、Chimassorb(登録商標)944FDL、Tinuvin(登録商標)622、ADEKA社製LA-63Pなどが挙げられる。
【0103】
活性エネルギー線硬化性樹脂、着色層形成用組成物、及び着色層32Aは、繰り返し単位が下記式(1)に示す構造を含んだポリマーを、ラジカル捕捉剤の少なくとも一部として含んでいることが好ましい。
【0104】
【0105】
ここで、R12は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシカルボニル基、炭素数10以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数10以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数10以下のアルコキシ基、炭素数10以下のアルキルチオ基、炭素数10以下のアリールオキシ基、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数10以下のアシルオキシ基、炭素数10以下のアシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数10以下のアリール基、置換アミノ基、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、又は複素環基を表し、R13は、水素原子又は炭素数30以下のアルキル基を表し、Xは、単結合、エステル基、炭素数30以下の脂肪族アルキル鎖、芳香族鎖、ポリエチレングリコール鎖、又はこれらを組み合わせてなる連結基を表し、何れもスピロジオキサン環を含んでいてもよい。
【0106】
R12は、水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数10以下のアルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1乃至6の範囲内にあることが好ましく、1乃至3の範囲内にあることがより好ましい。
【0107】
R13は、水素原子又は炭素数10以下のアルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1乃至6の範囲内にあることが好ましく、1乃至3の範囲内にあることがより好ましい。
【0108】
Xは、単結合又は炭素数30以下の脂肪族アルキル鎖であることが好ましい。脂肪族アルキル鎖の炭素数は、10以下であることが好ましく、1乃至6の範囲内にあることがより好ましく、2乃至4の範囲内にあることが更に好ましい。
【0109】
繰り返し単位が式(1)に示す構造を含んだポリマーは、以下に記載する繰り返し単位の何れかを更に含んだ共重合体であってもよい。追加の繰り返し単位を含めることにより、その他成分との相溶性を制御することができる。
【0110】
追加の繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリレート系繰り返し単位、オレフィン系繰り返し単位、ハロゲン原子含有繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、酢酸ビニル系繰り返し単位、ビニルアルコール系繰り返し単位等が挙げられる。
【0111】
(メタ)アクリレート系繰り返し単位としては、例えば、直鎖又は分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位等が挙げられる。
【0112】
直鎖又は分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記のなかでも炭素数が1乃至4の直鎖又は分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位を好適に用いることができる。
【0113】
水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系モノマー由来の繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシフェニル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0114】
オレフィン系繰り返し単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0115】
ハロゲン原子含有繰り返し単位としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0116】
スチレン系繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0117】
酢酸ビニル系の繰り返し単位としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの飽和カルボン酸とビニルアルコールのエステル体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0118】
ビニルアルコール系繰り返し単位としては、例えば、ビニルアルコールが挙げられ、側鎖に1,2-グリコール結合を有していてもよい。
【0119】
共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及び、グラフト共重合体のいずれの構造を有していてもよい。共重合体の構造がランダム共重合体であれば、製造工程及びその他成分との調製が容易である。そのため、ランダム共重合体は、他の共重合体よりも好ましい。
【0120】
共重合体を得るための重合方法には、ラジカル重合を用いることができる。ラジカル重合は、工業的な生産が容易である点で好ましい。ラジカル重合は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、及び、懸濁重合法などであってよい。ラジカル重合には、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いることによって、共重合体における分子量の制御が容易である。
【0121】
ラジカル重合では、上述したモノマーを溶剤によって希釈した後に、重合開始剤を加えてモノマーの重合を行ってもよい。
【0122】
溶剤は、例えば、エステル系溶剤、アルコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系溶剤、アミド系溶剤、及び、アルコール系溶剤などであってよい。エステル系溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t-ブチル、乳酸メチル、及び、乳酸エチルなどであってよい。アルコールエーテル系溶剤は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、及び、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどであってよい。ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び、シクロヘキサノンなどであってよい。芳香族系溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、及び、キシレンなどであってよい。アミド系溶剤は、例えば、ホルムアミド、及び、ジメチルホルムアミドなどであってよい。アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール、及び、2-メチル-2-ブタノールなどであってよい。なお、上述した溶剤において、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0123】
ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化物及びアゾ化合物などであってよい。過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、及び、ジ-t-ブチルパーオキシドなどであってよい。アゾ化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、及び、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などであってよい。
【0124】
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマーの合計を100質量部に設定した場合に、0.0001乃至20質量部の範囲内にあることが好ましく、0.001乃至15質量部の範囲内にあることがより好ましく、0.005乃至10質量部の範囲内にあることが更に好ましい。ラジカル重合開始剤は、モノマー及び溶剤に対して、重合開始前に添加されてもよいし、重合反応系中に滴下されてもよい。ラジカル重合開始剤をモノマー及び溶剤に対して重合反応系中に滴下することは、重合による発熱を抑制することができる点で好ましい。
【0125】
ラジカル重合の反応温度は、ラジカル重合開始剤及び溶剤の種類によって適宜選択される。反応温度は、製造上の容易性、及び、反応制御性の観点から、60乃至110℃の範囲内にあることが好ましい。
【0126】
ラジカル捕捉能を有するアミン構造を有する樹脂が式(1)で表される構造単位を含むポリマーである場合、式(1)で表される構造単位の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂を構成するモノマーの総モル量に対して、1乃至95モル%の範囲内にあることが好ましく、10乃至90モル%の範囲内にあることがより好ましい。式(1)で表される構造単位の含有量が上記数値範囲内であると、着色層32Aの耐光性及び耐熱性が向上し、退色を抑制しやすい。
【0127】
一重項酸素クエンチャは、色材を酸化劣化させやすい性質を持つ反応性の高い一重項酸素を不活性化する。従って、活性エネルギー線硬化性樹脂へ一重項酸素クエンチャを含ませることにより、色材の劣化を抑制すること、即ち、着色層32Aの退色を抑制することができる。
【0128】
一重項酸素クエンチャとしては、遷移金属錯体、色素類、アミン類、フェノール類、スルフィド類が挙げられる。好適に用いられる材料は、ジアルキルホスフェイト、ジアルキルジチオカルバネート又はベンゼンジチオールの遷移金属錯体であり、中心金属としては、ニッケル、銅又はコバルトが好適に用いられる。例えば、(株)林原生物化学研究所 感光色素研究所製NKX1199、NKX113、NKX114、東京化成社製D1781、B1350、B4360、T3204などが挙げられる。
【0129】
活性エネルギー線硬化性樹脂、着色層形成用組成物、及び着色層32Aは、ジアルキルジチオホスフェート、ジアルキルジチオカルバネート、ベンゼンジチオール、これらの遷移金属錯体、及び下記式(2)で表される化合物の1以上を、ラジカル捕捉剤、一重項酸素クエンチャ及び過酸化物分解剤の少なくとも一部として含んでいることが好ましい。
【0130】
【0131】
ここで、R1は、各々が独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、R9CO-、R10SO2-、及びR11NHCO-で表される基の何れかであり、R9、R10、及びR11は、各々が独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びへテロ環基の何れかであり、R2及びR3は、各々が独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、及びアルケニルオキシ基の何れかであり、R4乃至R8は、各々が独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基の何れかである。
【0132】
過酸化物分解剤は、色材が酸化劣化した際に発生する過酸化物を分解して、その自動酸化サイクルを停止させる。従って、着色層32Aへ酸化物分解剤を含ませることにより、色材の劣化を抑制すること、即ち、着色層32Aの退色を抑制することができる。
【0133】
過酸化物分解剤としては、例えば、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤を用いることができる。
【0134】
リン系酸化防止剤としては、例えば2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及び6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなどが挙げられる。
【0135】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル-ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、2-メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。
【0136】
活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、20乃至80質量%が好ましく、30乃至70質量%がより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量が上記下限値以上であると、退色抑制効果をより高められる。活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量が上記上限値以下であると、着色層形成用組成物の取扱い性をより高められる。
【0137】
<1.3>効果
パネル群2を含んでいるが、表面保護部材3Aを含んでいない表示装置では、これに外光が入射すると、表示パネル20間の継ぎ目の位置で多重反射を生じる。それ故、パネル群2のうち表示パネル20間の継ぎ目に対応した領域からの反射光は、他の領域からの反射光と比較して、より高い強度を有することになる。その結果、表示パネル20間の継ぎ目が、明るい線として視認され得る。
【0138】
上述した表示装置1Aは、以下に説明するように、タイリングされた表示パネル間の継ぎ目が肉眼による観察では目立たない。
【0139】
図5は、
図4の表面保護部材が含む着色層が有し得る光学特性の一例を示すグラフである。
図6は、
図3の表示パネルが含むサブ画素が有し得る発光特性の一例を示すグラフである。
【0140】
青色の光を射出するサブ画素、緑色の光を射出するサブ画素、及び、赤色の光を射出するサブ画素は、例えば、
図6において、曲線C
Bで表される発光スペクトル、曲線C
Gで表される発光スペクトル、及び曲線C
Rで表される発光スペクトルでそれぞれ発光する。
【0141】
上記の通り、着色層32Aは、第1乃至第3色材を含んでいる。第1色材は、極大吸収波長が470乃至530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至45nmの範囲内にある。第2色材は、極大吸収波長が560乃至620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15乃至55nmの範囲内にある。第3色材は、400乃至780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650乃至780nmの範囲内にある。従って、着色層32Aは、例えば、
図5に示す光透過特性を有し得る。
【0142】
図5に示す光透過特性を有している着色層32Aは、
図6に示す発光特性を有している表示パネル20の各サブ画素が射出する光の殆どを、吸収することなしに透過させる一方で、外光のうち特定の波長域の光成分を高い吸収率で吸収する。即ち、表面保護部材3Aは、画像の明るさを殆ど低下させることなしに、外光の反射を抑制する。それ故、パネル群2のうち表示パネル20間の継ぎ目に対応した領域からの反射光が相対的に弱まり、これら継ぎ目は、肉眼による観察では目立たなくなる。
【0143】
なお、パネル群2の前面に表面保護部材3Aを設ける代わりに、パネル群2の前面に円偏光板を設けても、外光の反射を抑制できる。しかしながら、この場合、円偏光板による光の吸収が大きく、画像の明るさが大幅に低下する。それ故、表面保護部材3Aの代わりに円偏光板を設けた場合、画像の明るさに対する継ぎ目に対応した領域の相対的な明るさを低減する効果は、表面保護部材3Aを設けた場合ほど大きくはない。
【0144】
また、上記の通り、表面保護部材3Aは、光学的性質が面内で均一である。それ故、表面保護部材3Aをパネル群2の前面に設けるに際して、高い位置合わせ精度は要求されない。
【0145】
従って、上述した表示装置1Aは、タイリングされた表示パネル間の継ぎ目の視認が肉眼による観察では目立たず、製造が容易である。
【0146】
<1.4>変形例
上記の表示装置及び表面保護部材には、様々な変形が可能である。
【0147】
<1.4.1>第1変形例
図7は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の他の例を示す断面図である。
【0148】
図7に示す表面保護部材3Bは、上述した表面保護部材3Aと同様の光学的性質を有している。表面保護部材3Bは、紫外線遮蔽層31Bと着色層32Bと基材33Bとを含んでいる。紫外線遮蔽層31Bと着色層32Bとは、基材33Bを間に挟んで向き合っている。
【0149】
基材33Bは、フィルム、シート又は板である。基材33Bは、透明材料からなる。基材33Bは、例えば、可視域の全体で透過率が100%に近いことが好ましい。ここで、可視域は、380乃至780nmの波長帯域ある。
【0150】
基材33Bを構成する透明材料としては、例えば、紫外線遮蔽層31Aについて例示した透明材料を使用することができる。基材33Bの厚さは、特に限定されないが、10乃至100μmの範囲内とすることが好ましい。
【0151】
紫外線遮蔽層31Bは、基材33Bの一方の主面に設けられている。紫外線遮蔽層31Bは、紫外線遮蔽層31Aと同様の光学特性を有している。
【0152】
紫外線遮蔽層31Bは、紫外線吸収剤と樹脂硬化物とを含んでいる。そのような紫外線遮蔽層31Bは、例えば、紫外線吸収剤を含有した活性エネルギー線硬化性樹脂を基材33B上へ塗布し、塗膜を乾燥させ、紫外線及び電子線などの活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることによって形成することができる。
【0153】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、溶剤とを含んでいる。
【0154】
単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、着色層32Aについて例示したものを使用することができる。
【0155】
紫外線吸収剤としては、例えば、紫外線遮蔽層31Aについて例示したものを使用することができる。紫外線吸収剤による紫外領域の吸収波長域は、290乃至370nmの範囲とすることが好ましい。
【0156】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、光重合開始剤として、紫外線領域における吸収波長域が紫外線吸収剤の紫外線領域における吸収波長域とは異なっているものを1種以上含有していることが好ましい。この場合、紫外線吸収剤に吸収されない紫外線領域の光によって活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させることができるので、効率的に硬化膜を形成できる。紫外線吸収剤の吸収波長域を290乃至370nmの範囲とした場合、当該波長域とは吸収波長域が異なるアシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤を好適に使用することができ、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドやフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドなどを例示できる。紫外線吸収剤とは光重合開始剤の吸収波長域が異なるものを用いることにより、紫外線吸収剤を含有する紫外線遮蔽層を形成する際の硬化阻害を抑制できると共に、硬化後においては、着色層に含まれる色素が紫外線により劣化することを抑制できる。
【0157】
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂が含み得る他の光重合開始剤としては、例えば、2,2-エトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p-クロロベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2-クロロチオキサントンが挙げられる。これらの1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0158】
溶剤としては、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノン等のケトン類、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n-ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n-ペンチル、及びγ-プチロラクトン等のエステル類、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0159】
活性エネルギー線硬化性樹脂及び紫外線遮蔽層31Bには、紫外線遮蔽層31Bの屈折率調整や硬度向上を目的として、金属酸化物微粒子を更に含有させてもよい。金属酸化物微粒子としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛などが挙げられる。
【0160】
活性エネルギー線硬化性樹脂及び紫外線遮蔽層31Bには、紫外線遮蔽層31Bに撥水性及び/又は撥油性を付与する目的で、珪素酸化物、フッ素含有シラン化合物、フルオロアルキルシラザン、フルオロアルキルシラン、フッ素含有珪素系化合物、パーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤の何れかを更に含有させてもよい。
【0161】
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂には、その他添加剤として、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、光安定剤、光増感剤、導電材料等を更に含有させてもよい。
【0162】
着色層32Bは、基材33Bの他方の主面に設けられている。着色層32Bは、着色層32Aと同様である。
【0163】
表面保護部材3Bは、紫外線遮蔽層31Bが、基材33B及び着色層32Bを間に挟んでパネル群2と向き合うように設置される。
【0164】
基材に紫外線遮蔽層としての役割を担わせると、基材に要求される性能、例えば強度が低下する可能性がある。表面保護部材3Bでは、基材33Bを設けており、紫外線遮蔽層31Bに基材の役割は担わせていない。それ故、表面保護部材3Bでは、基材に要求される性能を犠牲にすることなしに、高い紫外線遮蔽率を達成することができる。
【0165】
<1.4.2>第2変形例
図8は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の更に他の例を示す断面図である。
【0166】
図8に示す表面保護部材3Cは、上述した表面保護部材3Aと同様の光学的性質を有している。表面保護部材3Cは、紫外線遮蔽層31Cと着色層32Cと粘着層34Cとを含んでいる。着色層32Cと粘着層34Cとは、この順に紫外線遮蔽層31C上に設けられている。
【0167】
紫外線遮蔽層31Cは、紫外線遮蔽層31Aと同様である。着色層32Cは、粘着性を有していないこと以外は、着色層32Aと同様である。粘着層34Cは、粘着剤を含んでいるが、色材を含んでいない層である。
【0168】
表面保護部材3Cは、紫外線遮蔽層31Cが、着色層32C及び粘着層34Cを間に挟んでパネル群2と向き合うように設置される。
【0169】
粘着層に色材を配合すると、粘着層の粘着性が低下する可能性がある。表面保護部材3Cでは、色材を含んでいない粘着層34Cを設けており、着色層32Cに粘着層の役割は担わせていない。それ故、表面保護部材3Cによると、粘着性を犠牲にすることなしに、表示パネル20間の継ぎ目を肉眼による観察では目立たなくすることができる。
【0170】
<1.4.3>第3変形例
図9は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の更に他の例を示す断面図である。
【0171】
図9に示す表面保護部材3Dは、上述した表面保護部材3Aと同様の光学的性質を有している。表面保護部材3Dは、紫外線遮蔽層31Dと着色層32Dと基材33Dと粘着層34Dとを含んでいる。着色層32Dと紫外線遮蔽層31Dとは、この順に基材33Dの一方の主面上に設けられている。紫外線遮蔽層31D及び基材33Dは、それぞれ、紫外線遮蔽層31B及び基材33Bと同様である。着色層32Dは、粘着性を有していないこと以外は、着色層32Bと同様である。粘着層34Dは、基材33Dの他方の主面上に設けられている。粘着層34Dは粘着剤からなる。
【0172】
表面保護部材3Dは、紫外線遮蔽層31Dが、着色層32D、基材33D及び粘着層34Dを間に挟んでパネル群2と向き合うように設置される。
【0173】
表面保護部材3Dでは、基材33Dを設けており、紫外線遮蔽層31Dに基材の役割は担わせていない。それ故、表面保護部材3Dでは、基材に要求される性能を犠牲にすることなしに、高い紫外線遮蔽率を達成することができる。
【0174】
また、表面保護部材3Dでは、色材を含んでいない粘着層34Dを設けており、着色層32Dに粘着層の役割は担わせていない。それ故、表面保護部材3Dによると、粘着性を犠牲にすることなしに、表示パネル20間の継ぎ目を肉眼による観察では目立たなくすることができる。
【0175】
<1.4.4>第4変形例
図10は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の更に他の例を示す断面図である。
【0176】
図10に示す表面保護部材3Eは、上述した表面保護部材3Aと同様の光学的性質を有している。表面保護部材3Eは、紫外線遮蔽層31Eと着色層32Eと基材33Eと粘着層34Eとを含んでいる。紫外線遮蔽層31Eは、基材33Eの一方の主面上に設けられている。着色層32Eと粘着層34Eとはこの順に基材33Eの他方の主面上に設けられている。紫外線遮蔽層31E、着色層32E、基材33E及び粘着層34Eは、ぞれぞれ、紫外線遮蔽層31D、着色層32D、基材33D及び粘着層34Dと同様である。
【0177】
表面保護部材3Eは、紫外線遮蔽層31Eが、基材33E、着色層32E及び粘着層34Eを間に挟んでパネル群2と向き合うように設置される。
【0178】
表面保護部材3Eでも、表面保護部材3Dと同様に、基材に要求される性能を犠牲にすることなしに、高い紫外線遮蔽率を達成することができる。また、表面保護部材3Eでも、表面保護部材3Dと同様に、粘着性を犠牲にすることなしに、表示パネル20間の継ぎ目を肉眼による観察では目立たなくすることができる。
【0179】
更に、表面保護部材3Eでは、紫外線遮蔽層31Eと着色層32Eとを、基材33Eを間に挟んで向き合うように配置している。このような構造を採用した表面保護部材3Eは、反りを生じ難い。
【0180】
<1.4.5>第5変形例
図11は、
図1及び
図2の表示装置が含み得る表面保護部材の更に他の例を示す断面図である。
【0181】
図11に示す表面保護部材3Fは、上述した表面保護部材3Aと同様の光学的性質を有している。表面保護部材3Fは、紫外線遮蔽層31Fと着色層32Fと機能層35Fとを含んでいる。紫外線遮蔽層31Fは基材であり、着色層32Fと機能層35Fとは、紫外線遮蔽層31Fを間に挟んで向き合っている。紫外線遮蔽層31F及び着色層32Fは、それぞれ、紫外線遮蔽層31A及び着色層32Bと同様である。表面保護部材3Fは、機能層35Fが、紫外線遮蔽層31F及び着色層32Fを間に挟んでパネル群2と向き合うように設置される。
【0182】
機能層35Fは、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能、及び強化機能の1以上の機能を発揮する層である。機能層35Fは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。機能層35Fが多層構造を有している場合、機能層35Fが含む層は、異なる機能を発揮するものであってもよく、同じ機能を発揮するものであってもよい。
【0183】
機能層35Fは、反射防止機能を発揮する場合、低屈折率層を含むことができる。低屈折率層は、可視域における屈折率が、そのパネル群2と向き合った面と接している層と比較してより低い。
【0184】
低屈折率層には、その屈折率調整のために、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、ヘキサフルオロアルミニウムナトリウム(氷晶石、クリオライト、3NaF・AlF3、Na3AlF6)、フッ化アルミニウム(AlF3)等の微粒子や、シリカ微粒子等を配合してもよい。シリカ微粒子としては、多孔質シリカ微粒子や中空シリカ微粒子等の粒子内部に空隙を有するものを用いることが、低屈折率層の低屈折率化に有効である。また、低屈折率層を形成する組成物(低屈折率層形成用組成物)には、着色層について上述した、光重合開始剤、溶剤及び添加剤を適宜配合してもよい。
【0185】
低屈折率層は、可視域における屈折率が1.20乃至1.55の範囲内にあることが好ましい。
【0186】
低屈折率層の厚さは、特に限定されないが、40nm乃至1μmの範囲内にあることが好ましい。
【0187】
機能層35Fは、防眩機能を発揮する場合、防眩層を含むことができる。防眩層は、表面に微細な凹凸を有し、この凹凸で外光を散乱させ、映り込みを抑えて表示品位を向上させる層である。防眩層は、低屈折率層と組み合わされる場合、これらの組み合わせが反射防止層を構成する。
【0188】
防眩層には、必要に応じて、有機微粒子及び無機微粒子から選択される1種以上が含まれる。
【0189】
有機微粒子は、表面に微細な凹凸を形成し、外光を散乱させる機能を付与する材料である。有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等の透光性樹脂材料からなる樹脂粒子が挙げられる。屈折率や樹脂粒子の分散性を調整するために、材質(屈折率)の異なる2種類以上の樹脂粒子を混合して使用してもよい。
【0190】
無機微粒子は、有機微粒子の沈降や凝集を調整する材料である。無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、金属酸化物微粒子、各種の鉱物微粒子等を使用することができる。シリカ微粒子としては、例えば、コロイダルシリカや(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基で表面修飾されたシリカ微粒子等を使用することができる。
【0191】
金属酸化物微粒子としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタニア(二酸化チタン)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)等からなる微粒子を使用することができる。
【0192】
鉱物微粒子としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等からなる微粒子を使用することができる。鉱物微粒子は、天然物及び合成物(置換体、誘導体を含む)のいずれであってもよく、両者の混合物であってもよい。
【0193】
鉱物微粒子のなかでも、層状有機粘土が特に好ましい。層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機オニウムイオンを導入したものをいう。有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。鉱物微粒子として、層状有機粘土鉱物を用いる場合、上述した合成スメクタイトを好適に使用できる。合成スメクタイトは、防眩層形成用の塗工液の粘性を増加させ、樹脂粒子及び無機微粒子の沈降を抑制して、防眩層の表面の凹凸形状を調整する機能を有する。
【0194】
機能層35Fは、帯電防止機能を発揮する場合、帯電防止層を含むことができる。帯電防止層としては、例えば、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)等の金属酸化物からなる微粒子、高分子型導電性組成物、4級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有する層が挙げられる。
【0195】
機能層35Fが、帯電防止層を含んだ多層構造を有している場合、帯電防止層は、機能層35Fの最表面層であってもよく、機能層35Fが含む他の1以上の層と紫外線遮蔽層31Fとの間に介在していてもよい。或いは、機能層35Fが、帯電防止以外の機能を発揮する層を含んでいる場合、この層へ帯電防止剤を配合することにより、この層に帯電防止の機能を更に発揮させてもよい。
【0196】
帯電防止機能を発揮する層を表面保護部材3Fが含んでいる場合、表面保護部材Fの表面抵抗値は、1.0×106乃至1.0×1012Ω/cmの範囲内にあることが好ましい。
【0197】
機能層35Fは、防汚機能を発揮する場合、最表面層として防汚層を含むことができる。防汚層は、撥水性及び撥油性の双方又は何れか一方を表面保護部材3Fへ付与することにより、その防汚性を高めるものである。防汚層としては、珪素酸化物、フッ素含有シラン化合物、フルオロアルキルシラザン、フルオロアルキルシラン、フッ素含有珪素系化合物、パーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤等の防汚剤を含有した層が挙げられる。機能層35Fが、防汚以外の機能を発揮する層を最表面層として含んでいる場合、この最表面層へ防汚剤を配合することにより、この層に防汚機能を更に発揮させてもよい。
【0198】
機能層35Fは、強化機能を発揮する場合、強化層を含むことができる。強化層は、表面保護部材3Fの強度を高める層である。強化層としては、例えば、ハードコート層が挙げられる。ハードコート層としては、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを含むハードコート剤で形成された層が挙げられる。
【0199】
<1.4.6>他の変形例
上記の表示装置及び表面保護部材には、更に他の変形も可能である。
【0200】
例えば、表面保護部材3B乃至3Eに機能層35Fを追加してもよい。或いは、紫外線遮蔽層31A乃至31Eを、機能層35Fについて上述した機能の1以上を更に発揮するように構成してもよい。
【0201】
表面保護部材が、紫外線遮蔽層と基材とを含んでいる場合、紫外線遮蔽層は、基材と着色層との間に介在していてもよい。この場合、表面保護部材は、最表面層として機能層35Fを更に含んでいてもよく、基材を、機能層35Fについて上述した機能の1以上を更に発揮するように構成してもよい。
【0202】
<2>第2実施形態
図12は、本発明の第2実施形態に係る表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
図12に示す表示装置1Bは、光散乱層4を更に含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。
【0203】
光散乱層4は、表示パネル20間に介在している。光散乱層4は、散乱粒子と、これら散乱粒子が分散したバインダとを含んでいる。散乱粒子は、光散乱層4へ光散乱機能を付与するために使用される。
【0204】
散乱粒子は、例えば、可視光透過性を有している粒子である。散乱粒子は、例えば、無色の材料からなる。散乱粒子は、例えば、架橋アクリル系樹脂、架橋スチレン樹脂、架橋ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの有機系樹脂、又は、シリカなどの無機化合物からなる透明粒子である。上記透明粒子の具体例としては、日本触媒社製のベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物からなる粒子であるエポスター(登録商標)M30(屈折率1.66)、同社製のメラミシリコーンアルデヒド縮合物からなる粒子であるエポスター(登録商標)(屈折率1.66)、同社製のポリメタクリル酸メチル系架橋物からなる粒子であるエポスター(登録商標)MX(屈折率1.49)、積水化成品工業社製の架橋ポリメタクリル酸メチルからなる粒子であるテクポリマー(登録商標)MBX(屈折率1.49)、同社製の架橋ポリスチレンからなる粒子であるテクポリマー(登録商標)SBX(屈折率1.59)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のシリコーン樹脂からなる粒子であるトスパール(屈折率1.43)、東レ社製のエポキシ樹脂からなる粒子であるトレパール(登録商標)(屈折率1.59)等が挙げられる。なお、ここに記載した屈折率は、波長が550nmである光に対する屈折率である。
【0205】
散乱粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01乃至20μmの範囲内にあり、より好ましくは0.1乃至10μmの範囲内にあり、特に好ましくは0.2乃至5μmの範囲内にある。0.2μm未満であると、光散乱効果が小さくなり、20μmを超えると、接着性に悪影響を及ぼすため、好ましくない。
【0206】
ここで、散乱粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いた粒子の観察により、50個の粒子について円相当径(長径と短径の幾何平均)を算出し、その算術平均によって得られる値である。
【0207】
光散乱層4に占める散乱粒子の割合は、好ましくは1乃至70質量%の範囲内にあり、より好ましくは3乃至60質量%の範囲内にあり、特に好ましくは5乃至55質量%の範囲内にある。この割合を小さくすると、光散乱効果が小さくなる。この割合を過剰に大きくすると、光散乱層4の材料としての組成物の硬化性が著しく低下するため、好ましくない。
【0208】
バインダは、可視光透過性を有している。バインダは、散乱粒子とは、可視域における屈折率が異なっている。バインダ及び散乱粒子の屈折率は、高い散乱効果を得るために公知の方法で選定される。また、粒径が例えば0.5μm以下の散乱粒子は、後述する屈折率調整の目的でも添加することができ、散乱による継ぎ目の視認を困難にする効果と、屈折率調整による継ぎ目の視認を困難にする効果との両方に寄与する可能性がある。バインダは、例えば、透明樹脂からなる。透明樹脂は、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アリル系樹脂、(メタ)アクリルアミド系樹脂、又はチオール化合物である。(メタ)アクリル系樹脂は、単独重合体の屈折率が1.50以上となる少なくとも1種類の高屈折率モノマーを含む複数種のモノマーを共重合してなる(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。上記高屈折率モノマーの具体例としては、芳香族環を有するスチレンやα-メチルスチレンなどのスチレン誘導体、べンジル(メタ)アクリレートやナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレート、ビニルトルエンやα-ビニルトルエンなどの誘導体などが挙げられる。高屈折率モノマーを使用することにより、屈折率の更なる向上を期待することができ、有効である。
【0209】
光散乱層4に占めるバインダの割合は、30乃至99質量%の範囲内にあることが好ましい。
【0210】
光散乱層4の形成には、公知の方法を用いることができる。光散乱層の材料の塗布には、自動化に向くことからディスペンサが好んで用いられる。高性能なディスペンサを用いると、継ぎ目の隙間部よりはみ出る量を最小に抑えることができ、最小量で精密塗布できる。
【0211】
光散乱層4の材料の固定化には、硬化収縮率を極力少なくできることから、紫外線(UV)照射による硬化が好んで用いられる。UV硬化に有効な波長は200乃至400nmの範囲内にある。UV硬化に使用されている代表的なランプには、高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプの2種類がある。それらランプが射出する光の主波長はともに365nmであるが、一般的に、光散乱層4の材料からなる塗膜が散乱粒子を多量に含んでいるか又はこの塗膜が比較的厚い場合には、メタルハライドランプを使用すると効率よく塗膜を硬化させることができるとされている。UV照射装置には、ベルトコンベア方式と石英ファイバガイドを用いたスポット方式とがある。スポット方式のUV照射装置は、任意の小面積のポイントにおける紫外線照射が可能であることから、表示パネル間の継ぎ目部分のUV照射に利用しやすい。同様の理由で、LEDスポット光源も、表示パネル間の継ぎ目部分のUV照射に利用しやすい。
【0212】
上記光散乱層4においては、バインダ又はその一部として、タッキファイヤー(粘着付与剤)を使用してもよい。タッキファイヤーは、光散乱層4へ粘着性を付与する。また、タッキファイヤーは、バインダの屈折率の調整に利用することができる。
【0213】
タッキファイヤーは、芳香族環を有するタッキファイヤーであって、屈折率が1.51乃至1.75の範囲内にあるものが好ましく、1.53乃至1.70の範囲内にあるものがより好ましい。なお、着色したタッキファイヤーは光散乱層4を着色させるため好ましくなく、無色透明のタッキファイヤーを使用することが好ましい。ここで、上記の屈折率は、波長が550nmの光に対する屈折率である。
【0214】
タッキファイヤーは、重量平均分子量が1000乃至3000の範囲内にあり、軟化点が90℃以下であることが好ましい。重量平均分子量が3000を超える場合や、軟化点が90℃を超える場合は、アクリル系樹脂との相溶性が低下する可能性があり、重量平均分子量が1000未満の場合には、粘着剤の凝集力が低下する可能性がある。
【0215】
上記タッキファイヤーとしては、好ましくは、その50重量%トルエン溶液の色が1以下のガードナー色数に相当するものが使用される。なお、ガードナー色数による色の測定方法は、JIS K0071-2:1998において規定されている。
【0216】
タッキファイヤーの具体例としては、スチレンオリゴマー、フェノキシエチルアクリレートオリゴマー、スチレンとα-メチルスチレンとの共重合体、ビニルトルエンとα-メチルスチレンとの共重合体、C9系石油樹脂の水添物、テルペンフェノールの水添物、ロジン及びその誘導体の水添物などが挙げられる。軟化点が40℃以下のタッキファイヤーは、全タッキファイヤーに占める割合を20%以上とすることが好ましく、耐熱性の観点から、軟化点が50℃以上のタッキファイヤーと併用することが好ましい。この場合、軟化点が40℃以下のタッキファイヤー軟化点と50℃以上のタッキファイヤーとの合計が全タッキファイヤーに占める割合は、50質量%以上であることが好ましい。また、耐熱性の観点から、軟化点が40℃以下のタッキファイヤーは、全タッキファイヤーに占める割合を30質量%未満とすることが好ましい。
【0217】
タッキファイヤーの量は、(メタ)アクリル系樹脂固形分100重量部に対して、好ましくは10乃至150重量部の範囲内とし、より好ましくは20乃至100重量部の範囲内とし、更に好ましくは30乃至100重量部の範囲内とする。タッキファイヤーの量が少ない場合、バインダの屈折率を高める効果が小さい。また、タッキファイヤーの量を少なくすると、光散乱層4を柔軟にする効果が小さくなり、それ故、接着性が低下する。
【0218】
図2に示すように、表示装置1Aでは、表面保護部材3は、表示パネル20間の継ぎ目以外の位置では表示パネルと接触しているが、これら継ぎ目の位置では表示パネルから離間している。即ち、表示装置1Aは、パネル群2と表面保護部材3との間であって、表示パネル20間の継ぎ目の位置に、隙間を有している。そして、これら隙間は空気で満たされている。
【0219】
表面保護部材3は、外光の一部を吸収するものの、外光の他の一部を透過させる。上記の継ぎ目以外の位置では、表面保護部材3へ入射した外光の一部は、表面保護部材3と表示パネル20との間の界面によって反射され得るが、表面保護部材3のうち表示パネル20と隣接した部分と、表示パネル20のうち表面保護部材3と隣接した部分とは、屈折率は大きくは相違しない。それ故、この界面からの反射光は低強度である。
【0220】
これに対し、上記の継ぎ目の位置では、上記の隙間を満たしている空気層と表面保護部材3との間の界面による反射や、空気層と表示パネル20との間の界面による反射を生じる。表面保護部材3のうち空気層と隣接した部分及び表示パネル20のうち空気層と隣接した部分の各々は、空気とは屈折率が大きく相違する。このように、継ぎ目の位置では、反射を生じる界面の数が多く、また、各界面は高い反射率を示す。
【0221】
それ故、表示装置1Aでは、表面保護部材3を省略した構造と比較すれば、継ぎ目は肉眼による観察で目立たないものの、継ぎ目が視認される可能性は依然としてある。
【0222】
表示装置1Bでは、上記の隙間を光散乱層4で充填している。光散乱層4は、上記の隙間へ入射した光を拡散させて、表示装置が継ぎ目の位置で特定の方向へ射出する反射光の強度を低下させる。従って、表示装置1Bについて上述した構造を採用すると、継ぎ目の視認を困難にすることができる。
【0223】
<3>第3実施形態
図13は、本発明の第3実施形態に係る表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
図13に示す表示装置1Cは、屈折率調整層5を更に含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。屈折率調整層5の形成方法は、光散乱層4の形成方法と同様である。
【0224】
屈折率調整層5は、表示パネル20間に介在している。屈折率調整層5は、表示パネル20間の継ぎ目の位置で表面保護部材3と表示パネル20との間に生じた隙間を充填している。
【0225】
屈折率調整層5は、単独重合体の屈折率が507乃至589nmの波長範囲の全域で1.55以上となる1以上の高屈折率モノマーと、単独重合体の屈折率が上記波長範囲の少なくとも一部で、例えば、1.48乃至1.55の範囲にあるなど、1.50付近となる他の1以上のモノマーとを共重合してなる(メタ)アクリル系樹脂からなる。高屈折率モノマーの具体例としては、芳香族環を有するスチレンやα-メチルスチレンなどのスチレン誘導体、べンジル(メタ)アクリレートやナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレート、ビニルトルエンやα-ビニルトルエンなどの誘導体などが挙げられる。他のモノマーの具体例としては、フルオレン骨格含有(メタ)アクリレート、ハロゲン含有(メタ)アクリレート、硫黄含有(メタ)アクリレートが挙げられる。高屈折率モノマーを使用することにより、屈折率の更なる向上を期待することができ、有効である。
【0226】
上記高屈折率モノマーを使用する場合、高屈折率モノマーに由来する繰り返し単位が共重合体に占める割合は、好ましくは10乃至50重量%の範囲内にあり、より好ましくは15乃至40重量%の範囲内にある。上記高屈折率モノマーの含有量が少なすぎると屈折率の向上を図ることができず、多すぎると接着性が低下する場合がある。
【0227】
屈折率の調整には、低屈折率モノマーを使用することもできる。低屈折率が求められる場合には、低屈折率モノマーとして、例えば、1以上のフッ素含有モノマーと、上記1以上の他のモノマーとを共重合してなる(メタ)アクリル系樹脂を用いることができる。
【0228】
屈折率調整層5は、透明樹脂と、これに分散させたナノ微粒子とを含んだ混合物からなる層であってもよい。
【0229】
透明樹脂は、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アリル系樹脂、(メタ)アクリルアミド系樹脂、又はチオール化合物である。
【0230】
ナノ微粒子の平均粒子径は、好ましくは1乃至500nmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至300nmの範囲内にある。ここで、ナノ微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いた粒子の観察により、50個の粒子について円相当径(長径と短径の幾何平均)を算出し、その算術平均によって得られる値である。
【0231】
屈折率調整層5に占めるナノ微粒子の割合は、好ましくは0.1乃至90質量%の範囲内にあり、より好ましくは10乃至80質量%の範囲内にあり、更に好ましくは20乃至70質量%の範囲内にある。屈折率調整層5にナノ微粒子を含有させることによって、屈折率調整層5の屈折率の調整を容易に行うことができる。
【0232】
ナノ微粒子は、例えば、無機酸化物からなる。無機酸化物からなるナノ微粒子としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、中空ナノシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、又は酸化ジルコニウムからなる微粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、又は酸化ジルコニウムからなる微粒子が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0233】
ナノ微粒子の具体例としては、NTTアドバンステクノロジ社製光路用接着剤AT6001(屈折率1.505@589nm)及びAT9968(屈折率1.512@589nm)、並びに、エドモンド・オプティクス・ジャパン社製光学接着剤Norland 86TH(屈折率1.54@589nm)などが挙げられる。
【0234】
波長λの光に対する屈折率調整層5の屈折率nt(λ)は、507乃至589nmの波長範囲の全域で、1.2≦nt(λ)≦2.0を満たしている。
【0235】
このような構成を採用すると、上記隙間の位置において、各界面の反射率が低下する。それ故、継ぎ目の位置からの反射光の強度が低下し、継ぎ目の視認を困難にすることができる。
【0236】
<4>第4実施形態
図14は、本発明の第4実施形態に係る表示装置の一部を拡大して示す断面図である。
図14に示す表示装置1Dは、黒色層6を更に含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。
【0237】
黒色層6は、表示パネル20間に介在している。黒色層6は、表示パネル20間の継ぎ目の位置で表面保護部材3と表示パネル20との間に生じた隙間を充填している。黒色層6は、厚さが1μmの層とした場合に507乃至589nmの波長範囲の全域で0.2以上の光学濃度を示す材料からなる。
【0238】
黒色層を形成する材料は、黒色顔料又は黒色染料を含有していてもよい。黒色顔料又は黒色染料としては、カーボンブラック、黒鉛、アニリンブラック及びシアニンブラックなどの有機顔料、酸化チタン、窒化チタン、及び酸化鉄などの無機顔料が挙げられるが、遮光性に優れたカーボンブラックが特に好ましい。黒色層6に占める黒色顔料又は黒色染料の割合は、好ましくは1乃至40質量%の範囲内にあり、より好ましくは2乃至30質量%の範囲にある。上記割合がこの範囲内にある時に、塗膜の1μm当りの光学濃度が0.2以上となり、継ぎ目の視認性を低下させる効果が得られる。黒色顔料の含有量が1質量%未満である場合、十分な黒色を得ることができず、継ぎ目の視認性を低下させる効果が小さい。一方、黒色顔料の含有量が40質量%超である場合、継ぎ目の接着性や密着性が不足するため、亀裂などの不具合が生じる。黒色層6を形成する材料は、上述の黒色顔料又は黒色染料の他に、有機顔料、反射率調整剤、反射色調整剤、重合性多官能モノマー、バインダ樹脂、熱重合開始剤又は光重合開始剤を含有することができる。
【0239】
このような構成を採用した場合も、継ぎ目の位置からの反射光の強度を低下させることができる。従って、継ぎ目の視認を困難にすることができる。
【実施例0240】
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。本発明の技術的範囲は、これら実施例の具体的内容のみを根拠として何ら限定されるものではない。
【0241】
<例1-1>
図1乃至
図6を参照しながら説明した表示装置1Aを製造した。
【0242】
具体的には、表示パネル20として、マイクロLEDディスプレイパネルを使用した。これら表示パネル20は、隣り合ったものの端面同士が接触するように配置した。また、隣り合った表示パネル20間には、
図2に示すように、何も介在させなかった。
【0243】
紫外線遮蔽層31Aとしては、厚さが80μmであり、紫外線遮蔽率が88.3%であるポリエチレンテレフタレートフィルム(品名:SRF、東洋紡社製)を使用した。
【0244】
着色層32Aは、紫外線遮蔽層31Aの一方の主面上に着色層形成用組成物を塗工し、塗膜を乾燥させることにより、25μmの厚さに形成した。着色層形成用組成物としては、粘着剤と、溶剤と、第1乃至第3色材と、ラジカル捕捉剤とを含んだものを使用した。
【0245】
粘着剤としては、以下の組成を有するものを使用した。
【0246】
・粘着樹脂:ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)共重合体のエチルアセテート溶液 70質量部
・硬化剤:イソシアネート系架橋剤 0.037質量部
・添加剤:シラン系カップリング剤 0.048質量部
・溶剤:メチルエチルケトン(MEK)30質量部
粘着剤の量は、着色層形成用組成物100質量部に対して76.24質量部とした。
【0247】
溶剤としては、酢酸エチルを使用した。酢酸エチルの量は、着色層形成用組成物100質量部に対して14.61質量部とした。
【0248】
第1色材としては、Dye-1、即ち、下記製造例に従って製造したピロメテンコバルト錯体染料(最大吸収波長:493nm、半値幅:26nm)を使用した。第1色材の量は、着色層形成用組成物100質量部に対して0.07質量部とした。
【0249】
Dye-1の製造例:
2.5gの5-ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸エチルを反応容器に封入し、これを50mLのメタノールに溶解させた。そして、この混合液に、45gの47%臭化水素酸を添加して、1時間還流を行った。析出した固体を濾別することで、2.6gの3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジ-エトキシカルボニル-2,2’-ジピロメテン臭化水素酸塩を得た。
【0250】
次いで、0.6gの3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジ-エトキシカルボニル-2,2’-ジピロメテン臭化水素酸塩を反応容器に封入し、これに、5mLのメタノール、0.17gのトリエチルアミン、及び0.18gの酢酸コバルト四水和物を添加し、2時間還流を行った。析出した固体を濾別することで、0.42gのDye-1を得た。
【0251】
第2色材としては、テトラアザポルフィリン銅錯体染料(品名:PD-311S、山本化成社製、最大吸収波長:584nm、半値幅:17nm)と、テトラアザポルフィリン銅錯体染料(品名:FDG-007、山田化学社製、最大吸収波長:593nm、半値幅:18nm)とを使用した。第2色材の量は、着色層形成用組成物100質量部に対して0.13質量部とし、それら染料の比率(PD-311S/FDG-007)は70/30とした。
【0252】
第3色材としては、76質量部のフタロシアニン銅錯体染料(品名:FDN-002、山田化学社製、最大吸収波長:800nm、400乃至780nmでの最小透過率波長:780nm)と、24質量部のフタロシアニンコバルト錯体染料(品名:FDR-002、山田化学社製、最大吸収波長:683nm、400乃至780nmでの最小透過率波長:683nm)とを使用した。第3色材の量は、着色層形成用組成物100質量部に対して0.48質量部とし、それら染料の比率(FDN-002/FDR-002)は76/24とした。
【0253】
ラジカル捕捉剤としては、上記式(1)に示すラジカル捕捉剤(以下、樹脂Aと呼ぶことがある)を使用した。ラジカル捕捉剤の量は、着色層形成用組成物100質量部に対して8.47質量部とした。なお、樹脂Aは、以下の方法により製造したものである。
【0254】
樹脂Aの製造例:
2.4gのメタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル(商品名:FA-711MM、昭和電工マテリアルズ社製)、5.6gのメタクリル酸メチル(関東化学社製)、31gのシクロヘキサノン(関東化学社製)、及び0.11gの2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(富士フイルム和光純薬社製)を反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、70℃で8時間加熱攪拌した。その後、100℃で1時間加熱攪拌を行うことでポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を400mLのメタノール(関東化学社製)中へ注ぐことで生じた析出物をろ過し、乾燥させることで、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルとメタクリル酸メチルとを15:85のモル比で共重合させてなる樹脂Aを得た。
【0255】
この方法では、100℃で1時間に亘る追加の加熱攪拌を行うことで、開始剤である2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を完全に分解させることができる。従って、残存開始剤による光学フィルムの劣化を抑制することができる。
【0256】
また、ポリマー溶液をメタノール中へ注ぐことで、未反応のモノマー、重合溶媒、及び開始剤の分解物などを除くことができ、光学フィルムの劣化を抑制することができる。
【0257】
<例1-2乃至1-9>
図13を参照しながら説明した表示装置1Cを製造した。表示装置1Cは、以下の点を除き、例1-1と同様の方法により製造した。
【0258】
表面保護部材3には、以下の表1に示す構成を採用した。表1の各列では、表面保護部材3が含む層を、それらの積層順序と等しい順序で記載している。また、各列において、「-」は、その位置に層が存在していないことを表している。
【0259】
【0260】
表1において、「TAC」は、厚さが60μmであり、紫外線遮蔽率が92.9%であるトリアセチルセルロースフィルム(品名:TG60UL、富士フイルム社製)を表している。「PMMA」は、厚さが80μmであり、紫外線遮蔽率が13.9%であるポリメチルメタクリレートフィルム(品名:W002N80、住友化学社製)を表している。
【0261】
また、表1において、「CL1」乃至「CL5」は、それぞれ、以下の表2に示す着色層形成用組成物CC1乃至CC5を用いて形成した着色層を表している。
【0262】
【0263】
以下に、表2の各成分に関する説明を記載する。
(エネルギー線硬化性樹脂)
・DCPM:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
・510H:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(品名:UA-510H、共栄社化学社製)
(光重合開始剤)
・Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)
(ラジカル捕捉剤)
・LA-63P:ヒンダードアミン系光安定剤アデカスタブLA-63P(アデカ社製)
・樹脂A:上記式(1)で表される構造単位を含むポリマー
(溶剤)
・MEK:メチルエチルケトン
(添加剤)
・T1477:上記式(2)で表され、R1がC3H7であり、R2乃至R8がHである化合物
・D1781:一重項酸素クエンチャ(ビス(ジブチルジチオカルバミン酸)ニッケル(II)、東京化成工業社製)
なお、表2及び他の表において、「%」は質量%を表し、「比率」は質量比を表している。また、「種類」及び「添加量」の欄における「-」は、その成分が含まれていないことを表している。
【0264】
着色層は、以下の方法により形成した。
透明基材上に、表2に示す組成の着色層形成用組成物を塗布し、塗膜を80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて照射線量150mJ/cm2で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmである着色層を形成した。
【0265】
表1において、「HC1」及び「HC2」は、それぞれ、以下の表3に示すハードコート剤HC1及びHC2を用いて形成したハードコート層を表している。
【0266】
【0267】
以下に、表3の各成分に関する説明を記載する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂)
・UA-306H:ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(品名:UA-306H、共栄社化学社製)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・PE-3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート(品名:ライトアクリレートPE-3A、共栄社化学社製)
(光重合開始剤)
・Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)
(紫外線吸収剤)
・Tinuvin479:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(Tinuvin(登録商標)479、BASFジャパン社製)
・LA-36:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(アデカスタブ(登録商標)LA-36、アデカ社製)
(溶剤)
MEK:メチルエチルケトン
ハードコート層は、以下の方法により形成した。
透明基材又は着色層上にハードコート剤を塗布し、塗膜を80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて照射線量150mJ/cm2で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmであるハードコート層を形成した。なお、ハードコート剤HC1から形成したハードコート層は紫外線吸収能を有しておらず、ハードコート剤HC2から形成したハードコート層は紫外線吸収能を有している。
【0268】
防眩層の形成に用いる防眩層形成用組成物として、下記の組成を有するものを用いた。
・活性エネルギー線硬化性樹脂:PE-3A 43.7質量部
・光重合開始剤:Omnirad TPO
(IGM Resins B.V.社製) 4.55質量部
・樹脂粒子:スチレン-メタクリル酸メチル共重合体粒子
(屈折率1.515、平均粒径2.0μm) 0.5質量部
・無機微粒子:合成スクメタイト 0.25質量部
アルミナナノ粒子(平均粒径40nm) 1.0質量部
・溶剤:トルエン 15質量部
イソプロピルアルコール 35質量部
防眩層は、以下の方法により形成した。
透明基材上に、上記の防眩層形成用組成物を塗布し、塗膜を80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて照射線量150mJ/cm2で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmである防眩層を形成した。
【0269】
低屈折率層の形成に用いる低屈折率層形成用組成物として、下記の組成を有するものを用いた。
【0270】
・屈折率調整剤:多孔質シリカ微粒子(平均粒径75nm)の
メチルイソブチルケトン分散液(固形分20%) 8.5質量部
・防汚付与剤:オプツール(登録商標)AR-110(ダイキン工業(株)製、
固形分15%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 5.6質量部
・活性エネルギー線硬化性樹脂:PE-3A 0.4質量部
・光重合開始剤:Omnirad TPO
(IGM Resins B.V.社製) 0.07質量部
・レベリング剤:RS-77(DIC社製) 1.7質量部
・溶剤:メチルイソブチルケトン 83.73質量部
低屈折率層は、以下の方法により形成した。
ハードコート層上又は防眩層上に、上記の低屈折率層形成用組成物を塗布し、塗膜を80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて照射線量200mJ/cm2で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が100nmである低屈折率層を形成した。
【0271】
<例2>
図12を参照しながら説明した表示装置1Bを製造した。表示装置1Bは、表示パネル20間の隙間を光散乱層4で充填したこと以外は、例1-1と同様の方法により製造した。光散乱層4は、散乱粒子とバインダとを含んだ混合物で構成した。
【0272】
散乱粒子としては、メラミンホルムアルデヒド縮合物からなる微粒子である日本触媒社製のエポスターS12(屈折率:1.66)を使用した。散乱粒子の粒径は、1乃至2μmの範囲内にあった。散乱粒子の量は、散乱粒子とバインダとの合計100質量部に対して8.1質量部とした。
【0273】
バインダとしては、以下で製造される(メタ)アクリル系ポリマーを使用した。バインダの量は、散乱粒子とバインダとの混合物100質量部に対して53.9質量部とした。光散乱層形成用組成物としては、散乱粒子とバインダとの混合物100質量部に対して、タッキファイヤーとしてのスチレンオリゴマー(軟化点:72乃至77℃、重量平均分子量:1350、屈折率:1.59、イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA75)21.6質量部と、へキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD-160N)0.2質量部と、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1質量部とを添加し、更に酢酸エチル16.2質量部を添加して、散乱粒子に均一に分散させたものを使用した。
【0274】
(メタ)アクリル系ポリマーは、以下の方法により製造した。
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌機を備えた反応容器に、溶剤としての酢酸エチル233重量部、アクリル酸ブチル99.0重量部、アクリル酸4-ヒドロキシブチル1.0重量部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を入れた。窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。これにより、重量平均分子量94万の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。この(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.46であった。
【0275】
<例3>
図13を参照しながら説明した表示装置1Cを製造した。表示装置1Cは、表示パネル20間の隙間を屈折率調整層5で充填したこと以外は、例1-1と同様の方法により製造した。屈折率調整層5は、微粒子とバインダとを含んだ混合物で構成した。
【0276】
屈折率調製層5を形成するための微粒子分散液としては、以下で製造される酸化ジルコニウム微粒子分散液を使用した。酸化ジルコニウム微粒子の粒径は、1乃至200nmの範囲内にあった。酸化ジルコニウム微粒子の量は、散乱粒子とバインダとの合計100質量部に対して8.1質量部とした。
【0277】
酸化ジルコニウム透明分散液は、以下の方法により作製した。
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加えて、酸化ジルコニウム前駆体スラリーを調整した。次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えて、混合物を作製した。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンの酸化ジルコニウム換算値に対して30質量%であった。次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を作製した。次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。その後、乾燥器にて乾燥させ、酸化ジルコニウム粒子を作製した。次いで、この酸化ジルコニウム粒子20gに、分散媒としてのトルエン74gと、表面修飾剤としてのメトキシ変性シリコーン(信越化学工業社製、屈折率1.5)6gとを加え、次いで、超音波ホモジナイザーを用いて60℃に加温しながら表面修飾及び分散処理を行い、酸化ジルコニウム粒子を20質量%含む酸化ジルコニウム透明分散液を作製した。
【0278】
<例4>
図14を参照しながら説明した表示装置1Dを製造した。表示装置1Dは、表示パネル20間の隙間を黒色層6で充填したこと以外は、例1-1と同様の方法により製造した。黒色層6は、カーボンブラックとバインダとを含んだ混合物で構成した。
【0279】
黒色層6を形成するための黒色樹脂組成物は、以下の方法により作製した。
ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(固形分50.0%)12.2gに対し、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート混合物(日本化薬社製「KAYARAD DPHA」)1.5g、カーボンブラック分散液(固形分22.7%)14.8g、光ラジカル重合開始剤(ADEKA社製「NCI‐831」)0.4g、熱ラジカル重合開始剤(和光純薬工業社製「VA-061」)0.4g、C.I.PigmentYellow139分散液(固形分22.7%)2.7g、シリカ微粒子分散液(固形分22.7%)2.7g、表面調整剤(ビックケミー社製「BYK‐323」)の1%プロピレングリコールモノメチルアセテート溶液0.7g、シランカップリング剤(信越化学「KBE-9007」)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液0.7g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65.3gを加えてよく攪拌した。これにより、黒色樹脂組成物を得た。
【0280】
<比較例1-1>
表面保護部材を省略したこと以外は、例1-1と同様の方法により表示装置を製造した。
【0281】
<例1-10乃至1-13並びに比較例1-2及び1-3>
図13を参照しながら説明した表示装置1C及びこれと類似した表示装置を製造した。これら表示装置は、以下の点を除き、例1-2乃至1-9と同様の方法により製造した。
【0282】
表面保護部材には、以下の表4に示す構成を採用した。表4の各列では、表面保護部材が含む層を、それらの積層順序と等しい順序で記載している。また、各列において、「-」は、その位置に層が存在していないことを表している。
【0283】
【0284】
表4において、「TAC」は、厚さが60μmであり、紫外線遮蔽率が92.9%であるトリアセチルセルロースフィルム(品名:TG60UL、富士フイルム社製)を表している。
【0285】
また、表4において、「CL6」乃至「CL10」は、それぞれ、以下の表5に示す着色層形成用組成物CC6乃至CC10を用いて形成した着色層を表している。
【0286】
【0287】
表5に記載した成分は、表2に記載した成分と同様である。表5において、エネルギー線硬化性樹脂について記載している略号は、以下の材料を表している。
【0288】
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・PMMA:メタクリル酸メチルポリマー(富士フィルム和光純薬社製)
<評価>
(隠蔽性試験)
例1-1乃至1-13、例2乃至4及び比較例1-1乃至1-3において製造した表示装置の各々に黒色画像を表示させるとともに、その表示面を白色光で照明しながら、表示面を撮像した。次いで、このようにして取得した画像データをモノクローム画像データへ変換した。その後、これらモノクローム画像データの各々から、表示パネル間の継ぎ目を垂直に横切る線分に沿った輝度データを取得した。結果を
図15乃至
図18並びに表6及び表7に示す。
【0289】
【0290】
【0291】
図15は、比較例1-1に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。
図16は、例1-1に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。
図17は、例2に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。
図18は、例3に係る表示装置が表示パネル間の継ぎ目及びその近傍の領域で示す反射特性を示すグラフである。なお、
図15乃至
図18において、「300」で示す位置は、表示パネル間の継ぎ目の位置である。
【0292】
また、表6及び表7において、「継ぎ目(ピーク/ベース平均比)」は、上記のようにして得られた輝度データから作成したグラフにおいて、横軸の値が290乃至310の範囲内に現れるピークトップの輝度と、横軸の値が0乃至290の範囲及び横軸の値が310乃至600の範囲(以下、「ベース」と称する)における輝度平均値との比(ピーク/ベース輝度比)である。
【0293】
図15に示すように、表面保護部材を省略した場合、表示パネル間の継ぎ目に対応した領域の輝度と他の領域の輝度との比が大きかった。そして、この場合、表示パネル間の継ぎ目は、肉眼による観察で明るい線として視認された。また、この場合、ピーク/ベース輝度比は3.73であった。
【0294】
図16に示すように、表面保護部材を設けた場合、表示パネル間の継ぎ目に対応した領域の輝度と他の領域の輝度との比を小さくすることができた。そして、この場合、表示パネル間の継ぎ目は、肉眼による観察では目立たなかった。また、この場合、ピーク/ベース輝度比は3.06であった。
【0295】
そして、
図17に示すように、表面保護部材を設けるとともに、表示パネル間の隙間を光散乱層で充填した場合、表示パネル間の継ぎ目に対応した領域の輝度と他の領域の輝度との比を更に小さくすることができた。また、この場合、ピーク/ベース輝度比は1.88であり、表示パネル間の継ぎ目は、肉眼による観察では視認が困難であった。
【0296】
図18に示すように、表面保護部材を設けるとともに、表示パネル間の隙間を屈折率調整層で充填した場合、表示パネル間の継ぎ目に対応した領域の輝度と他の領域の輝度との比を更に小さくすることができた。そして、この場合、ピーク/ベース輝度比は1.82であり、表示パネル間の継ぎ目は、肉眼による観察では視認が困難であった。
【0297】
例4に係る表示装置では、ピーク/ベース輝度比は1.95であり、表示パネル間の継ぎ目は、肉眼による観察では視認が困難であった。即ち、表面保護部材を設けるとともに、表示パネル間の隙間を黒色層で充填することにより、表示パネル間の継ぎ目を、肉眼による観察で視認困難とすることができた。
【0298】
また、例1-2乃至1-13に係る表示装置でも、ピーク/ベース輝度比3.46以下とすることができた。即ち、表示パネル間の継ぎ目を、肉眼による観察で目立たなくすることができた。
【0299】
(紫外線遮蔽率の測定)
着色層が基材を間に挟んで観察者と向き合うように設置される表面保護部材については、基材の透過率を、自動分光光度計(日立製作所社製、U-4100)を用いて測定した。基材が着色層を間に挟んで観察者と向き合うように設置される表面保護部材については、JIS-K5600-5-6:1999において規定されている付着性試験に準拠して、透明感圧付着テープを用いて着色層より上層を剥離し、剥離した上層の透過率を、自動分光光度計(日立製作所社製、U-4100)を用い、粘着テープをリファレンスとして測定した。これらの透過率を用いて、紫外域(290乃至400nm)の平均透過率を算出し、100%から紫外域(290乃至400nm)の平均透過率(%)を引いた値を紫外線遮蔽率(%)として算出した。結果を、上記表6及び表7に示す。
【0300】
(耐光性試験)
上記表示装置の製造に使用した表面保護部材の各々に対して、耐光性試験を行った。耐光性試験では、キセノンウェザーメーター試験機(スガ試験機会製、X75)を用い、キセノンランプ照度を60W/m2(300乃至400nm)とし、試験機内温度及び湿度をそれぞれ45℃及び50%RHとして、120時間に亘って表面保護部材への光照射を行った。光は、機能層側から照射した。試験前後に自動分光光度計(日立製作所社製、U-4100)を用いて透過率測定を行い、試験前に470乃至530nmの波長範囲内で最小透過率を示す波長λ1における試験前後での透過率差ΔTλ1と、試験前に560乃至620nmの波長範囲内で最小透過率を示す波長λ2における試験前後での透過率差ΔTλ2とを算出した。
【0301】
これら透過率差はゼロに近い方が良好である。波長λ1及びλ2の各々について、|ΔTλN|≦15(N=1又は2)となるものが好ましく、|ΔTλN|≦10(N=1又は2)となるものが更に好ましい。従って、耐光性は、以下の3段階で評価した。
A:|ΔTλN|≦10
B:10<|ΔTλN|≦15
C:15<|ΔTλN|
結果を、上記表6及び表7に示す。
【0302】
表6及び表7に示すように、例1-2乃至1-9及び1-11において使用した表面保護部材は、良好な耐光性を示した。そして、例1-5乃至1-9において使用した表面保護部材は、特に優れた耐光性を示した。これに対し、例1-10、1-12及び1-13並びに比較例1-2において使用した表面保護部材は、耐光性が低かった。
【0303】
(耐熱性試験)
上記表示装置の製造に使用した表面保護部材の各々に対して、耐熱性試験を行った。耐熱性試験では、表面保護部材を90℃の温度に500時間保持した。試験前後に自動分光光度計(日立製作所社製、U-4100)を用いて透過率測定を行い、試験前に470乃至530nmの波長範囲内で最小透過率を示す波長λ1における試験前後での透過率差ΔTλ1と、試験前に560乃至620nmの波長範囲内で最小透過率を示す波長λ2における試験前後での透過率差ΔTλ2とを算出した。
【0304】
これら透過率差はゼロに近い方が良好である。波長λ1及びλ2の各々について、|ΔTλN|≦15(N=1又は2)となるものが好ましく、|ΔTλN|≦10(N=1又は2)となるものが更に好ましい。従って、耐熱性は、以下の3段階で評価した。
【0305】
A:|ΔTλN|≦10
B:10<|ΔTλN|≦15
C:15<|ΔTλN|
結果を、上記表6及び表7に示す。
【0306】
表6及び表7に示すように、例1-2乃至1-9、1-11及び1-13並びに比較例1-2において使用した表面保護部材は、良好な耐熱性を示した。そして、例1-6乃至1-9において使用した表面保護部材は、特に優れた耐熱性を示した。これに対し、例1-10及び1-12において使用した表面保護部材は、耐熱性が低かった。
【0307】
(鉛筆硬度試験)
鉛筆(三菱鉛筆社製UNI、鉛筆硬度H)に500gの荷重をかけて行う、JIS-K5400-1990に準拠した鉛筆硬度試験を、クレメンス型引掻き硬度試験機(テスター産業社製、HA-301)を用いて、各例に係る着色層の表面に実施した。キズによる外観の変化を目視で評価し、キズが観察されなかった場合を「A」と評価し、キズが観察された場合を「C」と評価した。結果を、上記表6及び表7に示す。
【0308】
(白表示透過特性の評価)
上記表示装置の製造に使用した表面保護部材の各々の透過率を、自動分光光度計(日立製作所社製、U-4100)を用いて測定した。透過率の測定は、白色有機EL光源とカラーフィルタと表面保護部材とをこの順に配置して行った。この透過率を用いて、白表示時における表面保護部材の光透過効率を算出し、白表示透過特性として評価した。白表示透過特性としては、比較例1-3において使用した表面保護部材について得られた効率を100とした相対値を算出した。この値が100に近いほど白表示時の透過率が高く、輝度効率に優れる。結果を、以下の表8に示す。
【0309】
【0310】
(反射特性の評価)
上記表示装置の製造に使用した表面保護部材の各々の透過率T(λ)及び表面反射率R2(λ)を、自動分光光度計(U-4100)を用いて測定した。表面反射率R2(λ)の測定においては、表面保護部材の機能層が形成された面とは反対側の面につや消し黒色染料を塗布して反射防止の処理を行い、入射角5°の分光反射率を測定して表面反射率R2(λ)とした。電極反射率RE(λ)を380nmから780nmまでの波長範囲の全域で100%として、各層での界面反射及び表面反射は考慮せず、光学フィルムの無い状態でのD65光源(CIE(国際照明委員会)標準光源D65)に対する表示装置反射値を100とした際の相対反射値を下記等式(1)から(4)に基づいて算出し、観測者側最表層の表面反射率R(λ)を表示装置反射特性として評価した。表示装置反射特性の値が低いほど、外光反射を低減可能で、反射特性に優れる。なお、等式(1)から(4)において、R1(λ)は内部反射成分を表し、YはD65光源の白色点における3刺激値のうちの一つを表し、PD65(λ)はD65光源のスペクトルを表し、オーバーラインy(λ)はCIE1931等色関数を表している。結果を、上記表8に示す。
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
(色再現性)
上記表示装置の製造に使用した表面保護部材の各々の透過率を、自動分光光度計(U-4100)を用いて測定した。透過率の測定においては、白色有機EL光源とカラーフィルタと表面保護部材とをこの順に配置し、赤色表示、緑色表示、青色表示スペクトルを測定した。この測定結果を用いて算出されるCIE1931色度値からNTSC(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)比を算出し、NTSC比を色再現性の指標として評価した。NTSC比が高いほど色再現性に優れる。結果を、上記表8に示す。
1A…表示装置、1B…表示装置、1C…表示装置、1D…表示装置、2…パネル群、3…表面保護部材、3A…表面保護部材、3B…表面保護部材、3C…表面保護部材、3D…表面保護部材、3E…表面保護部材、3F…表面保護部材、4…光散乱層、5…屈折率調整層、6…黒色層、20…表示パネル、22…調光装置、23…ブラックマトリクス基板、24…接着層、31A…紫外線遮蔽層、31B…紫外線遮蔽層、31C…紫外線遮蔽層、31D…紫外線遮蔽層、31E…紫外線遮蔽層、31F…紫外線遮蔽層、32A…着色層、32B…着色層、32C…着色層、32D…着色層、32E…着色層、32F…着色層、33B…基材、33D…基材、33E…基材、34C…粘着層、34D…粘着層、34E…粘着層、35F…機能層、221…基板、222…多層配線層、223…発光ダイオード、231…透明基板、232…ブラックマトリクス、234…隔壁層、233…カラーフィルタ、233B…下地層、233G…第2着色層、233R…第1着色層、236B…充填層、236G…第2波長変換層、236R…第1波長変換層。