(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115422
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021113
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 祐太
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA10
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA14
3C064BB58
3C064BB71
3C064CA03
3C064CA29
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB09
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB24
3C064CB27
3C064CB63
3C064CB73
(57)【要約】
【課題】表示ユニットの視認性を改善することができる技術を開示する。
【解決手段】前後方向において前部に位置する作業部を備える作業ユニットと、電動工具を前後方向に沿って見たときに前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザにより把持されるグリップと、前後方向においてグリップよりも前方に配置されており、グリップに対向している対向面と、対向面に配置されており、電動工具の状態を表示する表示ユニットと、を備えている。表示ユニットは、ユーザが電動工具を前後方向と上下方向を含む仮想面に直交する左右方向に沿って見たときに、ユーザに視認可能である表示面を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具であって、
前後方向において前部に位置する作業部を備える作業ユニットと、
前記電動工具を前記前後方向に沿って見たときに前記前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザにより把持されるグリップと、
前記前後方向において前記グリップよりも前方に配置されており、前記グリップに対向している対向面と、
前記対向面に配置されており、前記電動工具の状態を表示する表示ユニットと、を備えており、
前記表示ユニットは、前記ユーザが前記電動工具を前記前後方向と前記上下方向を含む仮想面に直交する左右方向に沿って見たときに、前記ユーザに視認可能である表示面を備えている、電動工具。
【請求項2】
前記表示面は、前記仮想面に対して、90度未満の角度で傾斜している、請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記表示面は、前記仮想面に対して、45度以上かつ90度未満の角度で傾斜している、請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記表示面は、前記電動工具を後方から見たときに、前記グリップと重なり合っている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記対向面に配置されるとともに、前記電動工具の前記状態を変更可能であり、前記ユーザに操作される操作ユニットをさらに備えており、
前記操作ユニットは、前記ユーザが前記電動工具を前記左右方向に沿って見たときに、前記ユーザに視認可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項6】
前記操作ユニットは、前記電動工具を後方から見たときに、前記グリップと重なり合っている、請求項5に記載の電動工具。
【請求項7】
ワイヤを送る送りユニットと、
前記ワイヤを鉄筋の周りに案内する案内ユニットと、をさらに備えており、
前記作業ユニットは、前記鉄筋の周りの前記ワイヤを捩る、請求項1から6のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項8】
前記ワイヤと前記ワイヤが巻回されているボビンとを備えるリールを収容しており、前記グリップよりも前方に配置されているリール収容部をさらに備えており、
前記表示ユニットは、前記リール収容部よりも前記作業ユニット側に配置されている、請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記表示ユニットは、前記作業ユニットが前記ワイヤを捩る力を表示する、請求項7または8に記載の電動工具。
【請求項10】
電動工具であって、
前後方向において前部に位置する作業部を備える作業ユニットと、
前記電動工具を前記前後方向に沿って見たときに前記前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザに把持されるグリップと、
前記前後方向において前記グリップよりも前方に配置されており、前記グリップに対向している対向面と、
前記対向面に配置されており、前記電動工具の状態を表示する平面形状の表示面と、を備えており、
前記表示面は、前記前後方向と前記上下方向に直交する左右方向に延びる左右線と交わるように構成されている。電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、電動工具が開示されている。電動工具は、前後方向において前部に位置する作業部を備える作業ユニットと、電動工具を前後方向に沿って見たときに前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザにより把持されるグリップと、前後方向においてグリップよりも前方に配置されており、グリップに対向している対向面と、対向面に配置されており、電動工具の状態を表示する表示ユニットと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電動工具では、ユーザが電動工具を前後方向と上下方向を含む仮想面に直交する左右方向に沿って見たときに、表示ユニットは、ユーザに視認されない。本明細書では、表示ユニットの視認性を改善することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電動工具は、前後方向において前部に位置する作業部を備える作業ユニットと、電動工具を前後方向に沿って見たときに前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザにより把持されるグリップと、前後方向においてグリップよりも前方に配置されており、グリップに対向している対向面と、対向面に配置されており、電動工具の状態を表示する表示ユニットと、を備えている。表示ユニットは、ユーザが電動工具を前後方向と上下方向を含む仮想面に直交する左右方向に沿って見たときに、ユーザに視認可能である表示面を備えている。
【0006】
上記の構成によれば、ユーザは、電動工具を仮想面に直交する左右方向に沿って見るとき、表示ユニットの表示面を視認することができる。これにより、表示ユニットの視認性を向上させることができる。
【0007】
本明細書が開示する電動工具は、前後方向において前部に位置する作業部を備える作業ユニットと、電動工具を前後方向に沿って見たときに前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザに把持されるグリップと、前後方向においてグリップよりも前方に配置されており、グリップに対向している対向面と、対向面に配置されており、電動工具の状態を表示する平面形状の表示面と、を備えている。表示面は、前後方向と上下方向に直交する左右方向に延びる左右線と交わるように構成されている。
【0008】
上記の構成によれば、表示面が左右方向に延びる左右線と交わらない構成と比較して、表示面の左右方向の幅を小さくすることができる。これにより、電動工具を左右方向に小型化することができる。また、上記の構成によれば、ユーザは、電動工具を左右方向に見たとき、表示面を視認することができる。これにより、表示面の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】実施例の電動工具2において、左側ハウジング8とリールカバー10を取り外した状態の左側面図である。
【
図5】実施例の電動工具2において、左右方向と前後方向を含む面で切断したときの操作表示ユニット70近傍の断面図である。
【
図6】実施例の電動工具2において、右側ハウジング6を取り外した状態のリール収容部22近傍の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電動工具、その製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0011】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0012】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0013】
本明細書が開示する電動工具は、前後方向において前部に位置する作業部を備える作業ユニットと、電動工具を前後方向に沿って見たときに前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザにより把持されるグリップと、前後方向においてグリップよりも前方に配置されており、グリップに対向している対向面と、対向面に配置されており、電動工具の状態を表示する表示ユニットと、を備えている。表示ユニットは、ユーザが電動工具を前後方向と上下方向を含む仮想面に直交する左右方向に沿って見たときに、ユーザに視認可能である表示面を備えている。
【0014】
1またはそれ以上の実施形態において、表示面は、仮想面に対して、90度未満の角度で傾斜していてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、簡素な構成により、表示ユニットの視認性を向上させることができる。
【0016】
1またはそれ以上の実施形態において、表示面は、仮想面に対して、45度以上かつ90度未満の角度で傾斜していてもよい。
【0017】
表示面が仮想面に対して45度未満の角度で傾斜しているとき、表示ユニットが仮想面に沿う方向(例えば、前後方向)に大型化する。上記の構成によれば、表示ユニットが仮想面に沿う方向(例えば、前後方向)に大型化することを抑制することができる。
【0018】
1またはそれ以上の実施形態において、表示面は、電動工具を後方から見たときに、グリップと重なり合っていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、電動工具が仮想面に直交する方向に大型化することを抑制することができる。
【0020】
1またはそれ以上の実施形態において、電動工具は、対向面に配置されるとともに、電動工具の状態を変更可能であり、ユーザに操作される操作ユニットをさらに備えていてもよい。操作ユニットは、ユーザが電動工具を左右方向に沿って見たときに、ユーザに視認可能であってもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ユーザが操作ユニットを操作するときに、操作ユニットを視認し易くすることができる。
【0022】
1またはそれ以上の実施形態において、操作ユニットは、電動工具を後方から見たときに、グリップと重なり合っていてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、電動工具が仮想面に直交する方向に大型化することを抑制することができる。
【0024】
1またはそれ以上の実施形態において、電動工具は、ワイヤを送る送りユニットと、ワイヤを鉄筋の周りに案内する案内ユニットと、をさらに備えていてもよい。作業ユニットは、鉄筋の周りのワイヤを捩ってもよい。
【0025】
上記の電動工具は、ワイヤを用いて鉄筋を結束するときに使用される。上記の構成によれば、ワイヤを用いて鉄筋を結束するときに使用される電動工具において、表示ユニットの視認性を向上させることができる。
【0026】
1またはそれ以上の実施形態において、電動工具は、ワイヤとワイヤが巻回されているボビンとを備えるリールを収容しており、グリップよりも前方に配置されているリール収容部をさらに備えていてもよい。表示ユニットは、リール収容部よりも作業ユニット側に配置されていてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、リール収容部と作業ユニットとの間の空間を表示ユニットの配置に利用することができる。これにより、電動工具が大型化することをより抑制することができる。
【0028】
1またはそれ以上の実施形態において、表示ユニットは、作業ユニットがワイヤを捩る力を表示してもよい。
【0029】
ユーザは、電動工具による作業時に、作業ユニットがワイヤを捩る力を変更することがある。このとき、ユーザは、作業ユニットがワイヤを捩る力を確認する必要がある。上記の構成によれば、ユーザは、作業ユニットがワイヤを捩る力を容易に確認することができる。
【0030】
(実施例)
図1に示すように、電動工具2は、例えば、鉄筋結束機である。電動工具2は、ワイヤWを用いて複数の鉄筋Rを結束する。電動工具2では、使用される鉄筋Rの直径に応じて、様々な直径(例えば、直径0.5mmから2.5mm)のワイヤWが使用される。例えば、直径が16mm以下(例えば、直径16mm)の細径の鉄筋Rを結束するとき、1.6mm以下(例えば0.8mm)の直径を有するワイヤWが使用され、直径が16mmよりも大きい(例えば、直径25mmまたは32mm)の太径の鉄筋Rを結束するとき、1.6mm以上(例えば2.0mm)の直径を有するワイヤWが使用される。以下では、捩りユニット44(
図4参照)の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0031】
電動工具2は、本体4と、バッテリパックBPと、を備えている。本体4は、本体4の右半面の外形形状を規定している右側ハウジング6と、本体4の左半面の外形形状を規定している左側ハウジング8と、左側ハウジング8の前方下部に回動可能に取り付けられているリールカバー10と、を備えている。
【0032】
本体4は、捩りユニット収容部14と、グリップ部16と、バッテリ取付部18と、送りユニット収容部20と、リール収容部22と、を備えている。捩りユニット収容部14と、グリップ部16と、バッテリ取付部18と、送りユニット収容部20は、右側ハウジング6と左側ハウジング8により形成されている。リール収容部22は、右側ハウジング6と、左側ハウジング8と、リールカバー10により形成されている。
【0033】
図2に示すように、捩りユニット収容部14は、前後方向に延びている。グリップ部16は、捩りユニット収容部14の後方下部に配置されている。グリップ部16は、ユーザにより把持される。グリップ部16は、上下方向に対して僅かに傾いた方向に長い形状を有する。このため、グリップ部16の長手方向は、上下方向に対して僅かに傾斜している。グリップ部16は、下端から上端に向かうにつれて後方から前方に傾斜するように延びている。グリップ部16の前面上部には、トリガ24が取り付けられている。
図3に示すように、電動工具2を前後方向に沿って後方から見たときに、グリップ部16は上下方向に延びている。
【0034】
バッテリ取付部18は、グリップ部16の下端に配置されている。バッテリパックBPは、バッテリ取付部18の下端に着脱可能に取り付けられる。
図2に示すように、バッテリパックBPは、バッテリパックBPをバッテリ取付部18に対して前方下側にスライドさせることにより、バッテリ取付部18に取り付けられ、バッテリパックBPをバッテリ取付部18に対して後方上側にスライドさせることにより、バッテリ取付部18から取り外される。バッテリパックBPのスライド方向は、前後方向に対して傾斜している。バッテリパックBPは、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池を備えている。バッテリパックBPは、グリップ部16と上下方向に重なり合う。
【0035】
送りユニット収容部20は、捩りユニット収容部14の前方下部に配置されている。送りユニット収容部20は、前後方向においてグリップ部16の前方に配置されている。送りユニット収容部20の後面26は、グリップ部16と対向している。上下方向において、後面26の上端は、グリップ部16の上端よりも下方に配置されている。また、後面26の下端は、グリップ部16の下端よりも上方に配置されている。
図3に示すように、後面26は、ユーザが電動工具2を後方から見たときに、グリップ部16と前後方向に重なり合っている。
【0036】
図4に示すように、リール収容部22は、送りユニット収容部20の下端に配置されている。なお、
図4では、リール収容部22が破線により図示されている。リール収容部22は、グリップ部16とバッテリ取付部18よりも前方に配置されている。グリップ部16がユーザにより把持されているとき、ユーザの指は、グリップ部16とリール収容部22との間の空間に配置される。リール収容部22は、リール28を収容可能である。リール28は、ワイヤWと、ワイヤWが巻回されているボビン32と、を備えている。リール28は、リール収容部22に回転可能に支持されている。
【0037】
電動工具2は、送りユニット38と、案内ユニット40と、切断ユニット42と、捩りユニット44と、制御ユニット46と、をさらに備えている。
【0038】
送りユニット38は、送りユニット収容部20に収容されている。送りユニット38は、送りモータ50と、送りローラユニット52と、を備えている。送りモータ50は、例えば、ブラシレスモータである。送りモータ50は、バッテリパックBPから供給される電力により回転する。送りモータ50が回転すると、送りローラユニット52が動作する。送りローラユニット52は、回転することによりワイヤWをボビン32から引き出して、鉄筋Rに向けて前方上側に送り出す。また、送りローラユニット52は、回転することによりワイヤWをボビン32に向けて引き戻す。
【0039】
案内ユニット40は、捩りユニット収容部14の前端に固定されている。案内ユニット40は、上側カールガイド56と、下側カールガイド58と、を備えている。鉄筋Rは、結束時には上側カールガイド56と下側カールガイド58との間に配置される。送りローラユニット52から送り出されたワイヤWは、まず、上側カールガイド56に案内されて、上側カールガイド56内を後方から前方に通過する。ワイヤWが上側カールガイド56内を通過する間に、ワイヤWには、上側カールガイド56により下向きの巻きぐせが付与される。ワイヤWは、上側カールガイド56内を通過した後、下側カールガイド58に案内されて、下側カールガイド58内を前方から後方に向かって通過する。その後、ワイヤWは、後方上側に移動する。これにより、ワイヤWは、鉄筋Rの周りに巻回される。
【0040】
切断ユニット42と捩りユニット44は、捩りユニット収容部14に収容されている。切断ユニット42は、鉄筋Rの周りのワイヤWを切断する。
【0041】
捩りユニット44は、前後方向に延びている。捩りユニット44は、捩りモータ60と、スリーブユニット62と、把持ユニット64と、を備えている。捩りモータ60は、捩りユニット44の後端に位置している。捩りモータ60は、グリップ部16の上方に配置されている。捩りモータ60は、例えば、ブラシレスモータである。捩りモータ60は、バッテリパックBPから供給される電力により回転する。捩りモータ60が回転すると、スリーブユニット62は、前後方向に移動し、または前後方向に延びる回転軸を中心にして回転する。把持ユニット64は、捩りユニット44の前部に位置している。把持ユニット64は、スリーブユニット62の前部に取り付けられている。把持ユニット64は、スリーブユニット62が前方に移動したときに、鉄筋Rの周りのワイヤWの両端を把持する。また、把持ユニット64は、スリーブユニット62が回転したときに回転する。これにより、把持ユニット64は、ワイヤWを捩る。この結果、鉄筋RがワイヤWを用いて結束される。
【0042】
制御ユニット46は、バッテリ取付部18に収容されている。制御ユニット46は、トリガ24がユーザにより押し込まれると、ワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する結束動作を実行する。また、制御ユニット46は、動作モードとして、トリガ24が押し込まれる毎に1回の結束動作を実行可能な単発モードと、トリガ24が押し込まれている状態で複数回の結束動作を連続して実行可能な連発モードを選択的に実行する。
【0043】
図1に示すように、電動工具2は、操作表示ユニット70をさらに備えている。操作表示ユニット70は、リール収容部22の後面26に配置されている。操作表示ユニット70は、上下方向において、捩りユニット収容部14とリール収容部22との間に配置されている。操作表示ユニット70は、ベースプレート72と、操作部74と、表示部76と、を備えている。
【0044】
ベースプレート72は、リール収容部22の後面26に固定されている。ベースプレート72は、平面形状を有する後面78を備えている。後面78は、後方左方上方を向いている。後面78は、リール収容部22の後面26に略平行である。
図2に示すように、後面78は、グリップ部16と対向している。上下方向において、後面78の上端は、グリップ部16の上端よりも下方に配置されており、後面78の下端は、グリップ部16の下端よりも上方に配置されている。
図3に示すように、後面78は、ユーザが電動工具2を後方から見たときに、グリップ部16と前後方向に重なり合っている。
図3では、後面78のうちのグリップ部16に隠れて見えない部分が破線により図示されている。グリップ部16は、グリップ中心軸16aを有しており、後面78は、ユーザが電動工具2を後方から見たときに、グリップ中心軸16aと前後方向に重なり合っている。
図2に示すように、グリップ中心軸16aは、グリップ部16の長手方向に延びている。後面78は、上下方向と前後方向を含む平面である第1仮想面80(
図5参照)と交差線82上で交差している。なお、第1仮想面80は、前後方向とグリップ部16の長手方向を含む平面であるとともに、左右方向に直交する平面ともいえる。交差線82は、グリップ中心軸16aと略平行である。このため、グリップ部16と後面78との間の距離は、グリップ中心軸16aの長手方向に略一定である。また、グリップ部16と後面78との間の前後方向の距離は、後面78の右端から左端に向かうにつれて、徐々に長くなる。
【0045】
図5に示すように、後面78は、第1仮想面80に対して傾斜している。第1仮想面80に対する後面78の傾斜角度A1は、0度よりも大きく、かつ90度未満である。このため、後面78は、ユーザが電動工具2を左方から右方向に(第1仮想面80に直交する方向に)見たときに、ユーザにより視認可能である。また、傾斜角度A1は、45度以上かつ90度未満である。本実施例では、傾斜角度A1は、70度である。
【0046】
また、後面78は、上下方向と左右方向を含む第2仮想面84に対して傾斜している。なお、第2仮想面84は、前後方向に直交する平面ともいえる。第2仮想面84に対する後面78の傾斜角度A2は、0度よりも大きく、かつ90度未満である。このため、後面78は、ユーザが電動工具2を左方から右方向に(第2仮想面84に沿う方向に)見たときに、ユーザにより視認可能である。また、傾斜角度A2は、0度よりも大きく、かつ45度以下である。本実施例では、傾斜角度A2は、20度である。また、第2仮想面84上を左右方向に延びる左右線84aは、後面78に交わっている。電動工具2を上下方向に直交する面で切断したとき、左右線84aに対する後面78の傾斜角度は、第2仮想面84に対する後面78の傾斜角度A2と同一である。
【0047】
図1に示すように、操作部74は、ベースプレート72の後面78に配置されている。操作部74は、主電源スイッチ88と、モード切換スイッチ90と、結束力増加スイッチ92と、結束力低減スイッチ94と、を備えている。主電源スイッチ88は、電動工具2の主電源のオンとオフを切り替えるためのユーザからの操作を受け入れる。モード切換スイッチ90は、主電源スイッチ88の右方に配置されている。モード切換スイッチ90は、動作モードを単発モードと連発モードとの間で切り換えるためのユーザからの操作を受け入れる。結束力増加スイッチ92は、主電源スイッチ88とモード切換スイッチ90の下方に配置されている。結束力増加スイッチ92は、ワイヤWの結束力(即ち、ワイヤWを捩る力)を増加するためのユーザからの操作を受け入れる。結束力低減スイッチ94は、結束力増加スイッチ92の下方に配置されている。結束力低減スイッチ94は、ワイヤWの結束力を低減するためのユーザからの操作を受け入れる。ユーザは、結束力増加スイッチ92と結束力低減スイッチ94を操作することにより、ワイヤWの結束力を、1、2、3、4、5、6の6段階の中から所定の数値を選択することができる。なお、選択された数値が大きいほど、ワイヤWの結束力が高い。
【0048】
表示部76は、ベースプレート72の後面78に配置されている。表示部76は、単発モード表示LEDパネル96と、連発モード表示LEDパネル98と、結束力表示LEDパネル100と、を備えている。単発モード表示LEDパネル96は、主電源スイッチ88の上方に配置されている。単発モード表示LEDパネル96は、動作モードとして単発モードが選択されているときに点灯する。連発モード表示LEDパネル98は、モード切換スイッチ90の上方であって、単発モード表示LEDパネル96の右方に配置されている。連発モード表示LEDパネル98は、動作モードとして連発モードが選択されているときに点灯する。電動工具2の主電源がオンであるときには、単発モード表示LEDパネル96と連発モード表示LEDパネル98の一方が点灯している。また、電動工具2の主電源がオフであるときには、単発モード表示LEDパネル96と連発モード表示LEDパネル98の両方が消灯している。結束力表示LEDパネル100は、主電源スイッチ88とモード切換スイッチ90の下方であって、結束力増加スイッチ92の上方に配置されている。結束力表示LEDパネル100は、ワイヤWの結束力についての現在の設定(即ち、1、2、3、4、5、6の数字の内のうちの1つ)を表示する。本実施例では、結束力表示LEDパネル100は、ワイヤWの結束力についての現在の設定を常時表示している。なお、変形例では、結束力表示LEDパネル100は、通常時には消灯しており、結束力増加スイッチ92または結束力低減スイッチ94が操作されると、点灯してワイヤWの結束力についての現在の設定を表示してもよい。
【0049】
図2に示すように、主電源スイッチ88と、モード切換スイッチ90と、結束力増加スイッチ92と、結束力低減スイッチ94と、単発モード表示LEDパネル96と、連発モード表示LEDパネル98と、結束力表示LEDパネル100は、ユーザが電動工具2を左方から右方向に(第1仮想面80に直交する方向であって、第2仮想面84に沿う方向に)見たときに、ユーザにより視認可能である。
図3に示すように、主電源スイッチ88と、モード切換スイッチ90と、結束力増加スイッチ92と、結束力低減スイッチ94と、単発モード表示LEDパネル96と、連発モード表示LEDパネル98と、結束力表示LEDパネル100は、ユーザが電動工具2を後方から見たときに、グリップ部16と前後方向に重なり合っている。すなわち、主電源スイッチ88と、モード切換スイッチ90と、結束力増加スイッチ92と、結束力低減スイッチ94と、単発モード表示LEDパネル96と、連発モード表示LEDパネル98と、結束力表示LEDパネル100は、ユーザが電動工具2を後方から見たとき、ユーザにより視認不可能である。
図3では、主電源スイッチ88と、モード切換スイッチ90と、結束力増加スイッチ92と、結束力低減スイッチ94と、単発モード表示LEDパネル96と、連発モード表示LEDパネル98と、結束力表示LEDパネル100が破線により図示されている。
【0050】
図6に示すように、送りユニット収容部20の下端とバッテリ取付部18の前端は、接続部104により接続されている。また、接続部104は、リール収容部22の右面と後面に形成されている。さらに、接続部104は、左側ハウジング8に形成されている。
図7に示すように、接続部104は、右側ハウジング6により覆われている。
【0051】
図6に示すように、操作表示ユニット70には、第1接続電線106が接続されている。また、送りモータ50には、第2接続電線108が接続されている。第1接続電線106と第2接続電線108は、接続部104を通過して、送りユニット収容部20からバッテリ取付部18まで延びている。
図4に示すように、第1接続電線106と第2接続電線108は、制御ユニット46に接続されている。操作表示ユニット70の操作部74は、操作部74が操作されたときに、信号を第1接続電線106を介して制御ユニット46に出力する。操作表示ユニット70の表示部76は、制御ユニット46に入力された信号に基づいて、第1接続電線106を介して制御ユニット46により制御される。送りモータ50は、第2接続電線108を介して制御ユニット46により制御される。
【0052】
(効果)
本実施例の電動工具2は、前後方向において前部に位置する把持ユニット64(作業部の一例)を備える捩りユニット44(作業ユニットの一例)と、電動工具2を前後方向に沿って見たときに前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザにより把持されるグリップ部16(グリップの一例)と、前後方向においてグリップ部16よりも前方に配置されており、グリップ部16に対向している後面26(対向面の一例)と、後面26に配置されており、電動工具2の状態を表示する操作表示ユニット70(表示ユニットの一例)と、を備えている。操作表示ユニット70は、ユーザが電動工具2を前後方向と上下方向を含む第1仮想面80(仮想面の一例)に直交する左右方向に沿って見たときに、ユーザに視認可能である後面78(表示面の一例)を備えている。
【0053】
上記の構成によれば、ユーザは、電動工具2を第1仮想面80に直交する左右方向に沿って見るとき、操作表示ユニット70の後面78を視認することができる。これにより、操作表示ユニット70の視認性を向上させることができる。
【0054】
また、操作表示ユニット70の後面78は、第1仮想面80に対して、90度未満の角度で傾斜している。
【0055】
上記の構成によれば、簡素な構成により、操作表示ユニット70の視認性を向上させることができる。
【0056】
また、操作表示ユニット70の後面78は、第1仮想面80に対して、45度以上かつ90度未満の角度で傾斜している。
【0057】
後面78が第1仮想面80に対して45度未満の角度で傾斜しているとき、操作表示ユニット70が第1仮想面80に沿う方向(例えば、前後方向)に大型化する。上記の構成によれば、操作表示ユニット70が第1仮想面80に沿う方向(例えば、前後方向)に大型化することを抑制することができる。
【0058】
また、操作表示ユニット70の後面78は、電動工具2を後方から見たときに、グリップ部16と重なり合っている。
【0059】
上記の構成によれば、電動工具2が第1仮想面80に直交する方向に大型化することを抑制することができる。
【0060】
また、操作表示ユニット70(操作ユニットの一例)は、後面26に配置されるとともに、電動工具2の状態を変更可能であり、ユーザに操作される。操作表示ユニット70は、ユーザが電動工具2を左右方向に沿って見たときに、ユーザに視認可能である。
【0061】
上記の構成によれば、ユーザが操作表示ユニット70を操作するときに、操作表示ユニット70を視認し易くすることができる。
【0062】
また、操作表示ユニット70は、電動工具2を後方から見たときに、グリップ部16と重なり合っている。
【0063】
上記の構成によれば、電動工具2が第1仮想面80に直交する方向に大型化することを抑制することができる。
【0064】
また、電動工具2は、ワイヤWを送る送りユニット38と、ワイヤWを鉄筋Rの周りに案内する案内ユニット40と、をさらに備えている。捩りユニット44は、鉄筋Rの周りのワイヤWを捩る。
【0065】
上記の電動工具2は、ワイヤWを用いて鉄筋Rを結束するときに使用される。上記の構成によれば、ワイヤWを用いて鉄筋Rを結束するときに使用される電動工具2において、操作表示ユニット70の視認性を向上させることができる。
【0066】
また、電動工具2は、ワイヤWとワイヤWが巻回されているボビン32とを備えるリール28を収容しており、グリップ部16よりも前方に配置されているリール収容部22をさらに備えている。操作表示ユニット70、リール収容部22よりも捩りユニット44側に配置されている。
【0067】
上記の構成によれば、リール収容部22と捩りユニット44との間の空間を操作表示ユニット70の配置に利用することができる。これにより、電動工具2が大型化することをより抑制することができる。
【0068】
また、操作表示ユニット70は、捩りユニット44がワイヤWを捩る力、即ちワイヤWの結束力を表示する。
【0069】
ユーザは、電動工具2による作業時に、ワイヤWの結束力を変更することがある。このとき、ユーザは、ワイヤWの結束力を確認する必要がある。上記の構成によれば、ユーザは、ワイヤWの結束力を容易に確認することができる。
【0070】
本実施例の電動工具2は、前後方向において前部に位置する把持ユニット64(作業部の一例)を備える捩りユニット44(作業ユニットの一例)と、電動工具2を前後方向に沿って見たときに前後方向に直交する上下方向に延びており、ユーザに把持されるグリップ部16(グリップの一例)と、前後方向においてグリップ部16よりも前方に配置されており、グリップ部16に対向している後面78(対向面の一例)と、後面78に配置されており、電動工具2の状態を表示する平面形状の後面78(表示面の一例)と、を備えている。後面78は、前後方向と上下方向に直交する左右方向に延びる左右線84aと交わるように構成されている。
【0071】
上記の構成によれば、後面78が左右方向に延びる左右線84aと交わらない構成と比較して、後面78の左右方向の幅を小さくすることができる。これにより、電動工具2を左右方向に小型化することができる。また、上記の構成によれば、ユーザは、電動工具2を左右方向に見たとき、後面78を視認することができる。これにより、後面78の視認性を向上させることができる。
【0072】
(変形例)
一実施形態において、電動工具2は、鉄筋結束機以外の電動工具、例えば、スクリュードライバ、ハンマドリル、レシプロソー、ジグソー、または釘打機であってもよい。
【0073】
一実施形態において、ベースプレート72の後面78は、湾曲する湾曲形状を有していてもよい。
【0074】
一実施形態において、交差線82は、グリップ中心軸16aに対して略平行でなくてもよい。
【0075】
一実施形態において、電動工具2は、バッテリパックBPに代えて、外部電源に接続可能な電源コードを備えていてもよい。この場合、電動工具2は、電源コードを介して外部電源から供給される電力により動作する。
【0076】
一実施形態において、操作部74は、ワイヤWを鉄筋Rの周りに巻回させるワイヤWの巻回数を変更するための周回数変更スイッチを備えていてもよい。このとき、表示部76は、ワイヤWの巻回数を表示する巻回数表示LEDパネルを備えていてもよい。
【0077】
一実施形態において、リール収容部22は、捩りユニット収容部14の後端に配置されていてもよい。
【0078】
一実施形態において、把持ユニット64は、開閉可能な一対のフック部材を備えていてもよい。このとき、一対のフック部材は、閉じたときにワイヤWを把持し、開いたときにワイヤWを開放してもよい。
【符号の説明】
【0079】
2 :電動工具
16 :グリップ部
16a :グリップ中心軸
22 :リール収容部
24 :トリガ
26 :後面
28 :リール
32 :ボビン
38 :送りユニット
40 :案内ユニット
44 :捩りユニット
64 :把持ユニット
70 :操作表示ユニット
72 :ベースプレート
74 :操作部
76 :表示部
78 :後面
80 :第1仮想面
82 :交差線
84 :第2仮想面
88 :主電源スイッチ
90 :モード切換スイッチ
92 :結束力増加スイッチ
94 :結束力低減スイッチ
96 :単発モード表示LEDパネル
98 :連発モード表示LEDパネル
100 :結束力表示LEDパネル
A1、A2:傾斜角度
BP :バッテリパック
R :鉄筋
W :ワイヤ