(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115429
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】測定装置及び測定システム
(51)【国際特許分類】
G01C 5/00 20060101AFI20240819BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G01C5/00 Z
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021124
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】597118393
【氏名又は名称】一般財団法人中国電気保安協会
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】苗井 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】重友 大司
(72)【発明者】
【氏名】糸川 祥人
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AM01
5G352AM02
5G352AM05
(57)【要約】
【課題】測定誤差を抑制し、容易に電線から対象物までの距離が測定可能な測定装置及び測定システムを提供する。
【解決手段】測定装置は、棒材を接続するための継手と、電線を接触させるための電線接触部と、を有する本体部と、本体部に取り付けられた光学式距離計と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材を接続するための継手と、電線を接触させるための電線接触部と、を有する本体部と、
前記本体部に取り付けられた光学式距離計と、
を備える、
測定装置。
【請求項2】
前記本体部は、円柱状の軸部を備え、
前記光学式距離計が前記軸部の周りを回転可能に取り付けられている、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記本体部は、
前記軸部の外形よりも大きく、前記軸部が貫通する第1の板部材、第2の板部材、及び第3の板部材を有し、
前記第2の板部材が前記第1の板部材と前記第3の板部材との間を仕切り、
前記光学式距離計が、前記第1の板部材と前記第2の板部材との間の前記軸部の周りに配置され、
前記電線接触部は、前記第2の板部材と前記第3の板部材との間の前記軸部の領域であり、前記第2の板部材と前記第3の板部材との間の距離が可変可能である、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記継手は、
前記軸部が延びる第1軸と、前記棒材が延びる第2軸とのなす角を変更可能な回転機構を備える、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記光学式距離計を前記軸部に取り付けるホルダーをさらに備え、
前記第1の板部材と前記第2の板部材とにより前記ホルダーを挟むことで、前記ホルダーの回転を規制する、
請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置と、
前記測定装置と無線通信が可能な携帯端末と、
を備え、
前記携帯端末からの指示に基づいて、前記光学式距離計が計測し、前記光学式距離計の距離情報に基づいて、前記電線から測定対象までの距離が前記携帯端末で認識可能な測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱から一般住宅への低圧引き込み線は、道路法施行令の地上高の基準を満足する必要がある。従来、電線の地上高の測定は測定棹を地上から電線まで伸ばして測定する方法や、架空電線測定装置を用いた方法が知られている。
【0003】
架空電線測定装置の例として、エリアセンサ又はラインセンサから得られる画像から、画像処理により電線の地上高を測定するための測定装置が記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、引き込み線等の電線の地上高を測定するため、作業者は、測定棹を地上から電線まで(約4.5~5m)伸ばして、測定棹を設置する。測定棹の設置の仕方や、測定棹の使用法(伸ばし方)の違いは、作業者ごとにばらつきがあり、測定誤差が大きくなる可能性がある。これに対して、特許文献1に記載された測定方法は、測定棹を使用しないため、作業者の体力的負担が解消され、測定誤差の縮小が期待できる。しかしながら、測定対象が風などの影響を受けると、電線の最下点位置の特定が困難となり、電線の最低地上高の測定誤差が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定誤差を抑制し、容易に電線から対象物までの距離が測定可能な測定装置及び測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様の測定装置は、棒材を接続するための継手と、電線を接触させるための電線接触部と、を有する本体部と、前記本体部に取り付けられた光学式距離計と、を備える。
【0008】
他の態様の測定システムは、上記測定装置と、前記測定装置と無線通信が可能な携帯端末と、を備え、前記携帯端末からの指示に基づいて、前記光学式距離計が計測し、前記光学式距離計の距離情報に基づいて、前記電線から測定対象までの距離が前記携帯端末で認識可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測定誤差を抑制し、容易に電線から対象物までの距離が測定可能な測定装置及び測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る測定装置の使用法を説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る測定装置の平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る測定装置の正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る測定装置の左側面図である。
【
図5】
図5は、地上高測定時のホルダーと軸部の位置関係を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、絶縁棒の先端形状を示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る測定システム100の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、下方の対象物(地表面)と計測された距離情報との第1の関係を示す模式図である。
【
図11】
図11は、下方の対象物(地表面)と計測された距離情報との第2の関係を示す模式図である。
【
図12】
図12は、側方の対象物までの距離と計測された距離情報との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る測定装置の使用法を説明する図である。
図1に示すように、電線(引き込み線)EWは、電柱から工場や家庭などの電力を消費する場所へ引き込まれている。引き込まれた電線EWの地上高は、道路法施行令第十一条の二より基準が規定されている。作業者ENは、電線EWが地上高の基準を満たしているか確認する必要がある。実施形態1に係る測定装置1は、作業者ENが把持する棒材HDの先端に取り付けて使用する。棒材HDは、伸縮可能な絶縁棒である。
【0013】
作業者ENは、棒材HDを伸長し、棒材HDの先端に取り付けた測定装置1を電線EWの上方からのせるようにひっかける。これにより、電線EWが風などの影響を受けにくくなり、電線EWの挙動が安定する。続いて、作業者ENは、手元の携帯端末6を操作し、測定装置1へ測定開始を指示する。指示を受けた測定装置1は、測定を開始し、測定結果の距離情報を携帯端末6に送信する。携帯端末6は、測定装置1から測定結果を受信し、電線EWの最低地上高の距離HAを測定結果として出力することができる。
【0014】
作業者ENは、棒材HDの下端を下方の対象物(地表面)GLに接地させることで、電線EWの動きを抑制し、安定した測定が可能になる。作業者ENは、測定装置1を電線EWにひっかけて、測定装置1を片手で支えることで電線EWの挙動を安定させることができる。作業者ENは、空いたもう片方の手を使い、携帯端末6を操作することで、光学式距離計2を遠隔操作し、測定を開始することができる。
【0015】
測定装置1が実際に計測する距離は、光学式距離計2の先端から下方の対象物(地表面)GLまでの距離HLとなる。距離HL、電線EWの外径φAに基づいて、最低地上高となる距離HAの算出方法については後述する。なお、下方の対象物(地表面)GLには、地面のみならず、道路や工作物なども含む。
【0016】
図2は、実施形態1に係る測定装置の平面図である。
図3は、実施形態1に係る測定装置の正面図である。
図4は、実施形態1に係る測定装置の左側面図である。
図4における破線は、
図3におけるIV-IV’断面を示している。
図2から
図4が示すように、測定装置1は、本体部10、ホルダー20、及び継手5を有する。ホルダー20は、本体部10の軸部10Sに嵌合している。継手5は、接続部50及び回転機構30を有する。棒材HDは、伸縮棹であり、作業者ENの持ち手となる。
【0017】
本体部10は、円柱状の軸部10Sと、軸部10Sに取り付けられる複数の板材(第1の板部材11、端部固定板12、第2の板部材13、第3の板部材14、及び端部接続板15)を有している。
【0018】
軸部10Sは直径φDの丸棒材である。
図2から
図4において、直径φDの断面の半径方向と直交し、丸棒材の中心を通る軸を軸Ax1、棒材HDの中心軸を軸Ax2、軸Ax1及び軸Ax2に直交する軸を軸Ax3とする。ここで、軸Ax1、軸Ax2及び軸Ax3にそれぞれ平行な方向は、それぞれ方向Dx、方向Dy及び方向Dzとし、軸Ax1と軸Ax2とのなす角が変わっても、方向Dx、方向Dy及び方向Dzは、変わらない。
【0019】
第1の板部材11は、光学式距離計2の脱落を抑制する。第1の板部材11は、軸部10Sに嵌合する軸穴を有する円環形状の板材である。ホルダー20の脱落を防止するため、第1の板部材11の外径φYは、ホルダー20の穴直径Zより大きい必要がある。
【0020】
軸部10Sは、第1の板部材11の軸穴をAx1軸方向で貫通している。第1の板部材11の軸穴径φS1は、軸部10Sの直径Dに対して、わずかに大きいか、等しい径の中間ばめに設定してある。そのため、第1の板部材11は軸部10Sにおいて、Ax1軸方向に対し任意の位置で固定が可能である。第1の板部材11を軸部10Sに嵌合後、端部固定板12は軸部10Sの端部(端部接続板15から離れた軸Ax1方向の端部)にねじB1を介して、方向Dyの一方から固定される。第1の板部材11は、端部固定板12と隣接した状態で、木工用ボンドなどの接着材を介して固定される。接着材には、木工用ボンドを使用する。第1の板部材11の形状は、軸Ax1から第1の板部材11の外縁部のある一点までの距離が、ホルダー20の軸穴径φZより大きくなる点を有する形状であれば円環形状に限定されない。
【0021】
端部固定板12は、軸部10Sの端部(端部接続板15から離れた軸Ax1方向の端部)にねじB1を介して、方向Dyの一方から固定される円柱形状の板材である。端部固定板12の外径φX1は、第1の板部材11が軸部10Sからの脱落を防止するため、第1の板部材11の軸穴径φS1より大きい必要がある。端部固定板12の円柱中心には、ねじB1が貫通するキリ穴を有する。軸部10Sは、端部(端部接続板15から離れた軸Ax1方向の端部)に、雌ねじ部FT1を有する。ねじB1は、端部固定板12を方向Dyの一方より貫通し、軸部10Sの雌ねじ部FT1に到達し、端部固定板12と軸部10Sとを締結する。ねじB1は、金属製の平皿タッピングねじである。端部固定板12の形状は、軸Ax1から端部固定板12の外縁部のある一点までの距離が、第1の板部材11の軸穴径φS1より大きくなる点を有する形状であれば、円柱形状に限定されない。
【0022】
第2の板部材13は、仕切り板である。第2の板部材13は、軸部10Sに嵌合する軸穴を有する円環形状の板材である。軸部10Sは、第2の板部材13の軸穴をAx1軸方向で貫通している。第2の板部材13の軸穴径φS2は、軸部10Sの直径Dに対して、わずかに大きいか等しい径の中間ばめに設定してある。そのため、第2の板部材13は軸部10Sにおいて、Ax1軸方向の任意の位置に移動可能、及び固定が可能である。
【0023】
軸部10Sにおいて、第2の板部材13と、第1の板部材11に仕切られた軸部10Sの外周領域をセンサエリアSAとし、センサエリアSAにおいてホルダー20が嵌合される。ホルダー20が、第2の板部材13を乗り越えることを防止するため、第2の板部材13の外径φX2は、ホルダー20の軸穴径φZより大きい必要がある。また第2の板部材13の形状は、軸Ax1から第2の板部材13の外縁部のある一点までの距離が、ホルダー20の軸穴径φZより大きくなる点を有する形状であれば円環形状に限定されない。
【0024】
第2の板部材13と、第3の板部材14に仕切られた軸部10Sの外周領域は、電線接触部CAとなる。作業者ENは、測定装置1を電線EWに上方からのせるようにひっかけて、電線EWと電線接触部CAを接触させる。これにより、測定装置1は、電線EWの下方の対象物(地表面)GLまでの距離を測定することができる。測定装置1は、電線EWの風の影響などの測定誤差を抑制し、容易に電線EWから対象物(地表面)GLまでの距離を測定可能である。
【0025】
第3の板部材14は、電線EWの位置を規制する。第3の板部材14は、軸部10Sに嵌合する軸穴を有する円環形状の板材である。軸部10Sは、第3の板部材14の軸穴をAx1軸方向で貫通している。第3の板部材14の軸穴径φS3は、軸部10Sの直径Dに対して、わずかに大きいか、等しい径の中間ばめに設定してある。そのため、第3の板部材14は軸部10Sにおいて、Ax1軸方向の任意の位置に固定が可能である。端部接続板15は、軸部10Sの端部(端部固定板12から離れた軸Ax1方向の端部)にねじB2を介して固定される。第3の板部材14は、端部接続板15に隣接した状態で、木工用ボンドなどの接着材で固定される。
【0026】
端部接続板15は、段付き円柱形状の板材である。端部接続板15は、第3の板部材14を固定するための土台部と、回転機構30と接続する凸部とを有する。土台部及び凸部、円柱の軸中心と、軸Ax1が重なる形状である。土台部の形状は、第3の板部材14が軸部10Sからの脱落を防止するため、軸Ax1から土台部の外縁部のある一点までの距離が、第3の板部材14の軸穴径φS3より大きくなる点を有する形状であれば、円柱形状に限定されない。凸部は、土台部から方向Dyの一方に凸となる円柱形状である。端部接続板15の段付き円柱の中心には、ねじB2が貫通するキリ穴を有する。軸部10Sの軸Ax1に沿う方向の端部には、雌ねじ部FT2がある。ねじB2は、端部接続板15を方向Dyより貫通し、軸部10Sの雌ねじ部FT2に到達し、端部接続板15と軸部10Sとを締結する。ねじB2は、金属製の平皿タッピングねじである。第1ヒンジ部30Aの端部には、端部接続板15の凸部が方向Dyの一方から挿入される凹部がある。方向Dzに互いに近づくように、二本のねじB4が、第1ヒンジ部30Aを貫通し、端部接続板15の凸部に食い込むことで、第1ヒンジ部30Aと端部接続板15とが固定されている。ねじB4は、金属製の平皿タッピングねじである。
【0027】
軸部10Sと、軸部10Sに取り付けられる板材(第1の板部材11と、端部固定板12、第2の板部材13、第3の板部材14、端部接続板15)は、乾燥した木材を例とする絶縁材が用いられる。
【0028】
ホルダー20には、光学式距離計2が取り付けられる。ホルダー20の材料には、絶縁性のある樹脂部材又はファインセラミックスなどが用いられる。ホルダー20は、軸部10Sが貫通する環状部分を有し、ホルダー20が軸部10Sの周りを回転可能に取り付けられている。ホルダー20には、光学式距離計2が固定されるので、光学式距離計2が軸部10Sの周りを回転可能に取り付けられているといえる。
【0029】
光学式距離計2は、計測部2S(
図9参照)から測定方向へ、レーザ光を測定対象物に照射し、測定対象物からの反射光を利用して、測定対象物までの距離を測定する計測器である。光学式距離計2の背面には、雌ねじ部FT3がある。光学式距離計2の背面は、ホルダー20の保持部分と重ね合わされ、ねじB3は、方向Dyからホルダー20の保持部分を貫通し、雌ねじ部FT3に到達し、ホルダー20と、光学式距離計2とを固定する。ねじB3は、金属製の十字穴付き小頭皿小ねじである。
【0030】
図5は、地上高測定時のホルダーと軸部の位置関係を示す斜視図である。
図5に示すように、軸部10Sは、ホルダー20の軸穴をAx1軸方向で貫通し嵌合している。ホルダー20の軸穴径φZは、軸部10Sの直径φDより大きく、ホルダー20は軸部10Sを中心に回転可能である。
【0031】
軸Ax1が鉛直方向と交差している場合、ホルダー20には、少なくとも光学式距離計2の重力が作用し、ホルダー20が軸部10Sの周りを回転移動して光学式距離計2の測定方向が安定する。その結果、光学式距離計2の測定方向が方向Dzに沿う。そして、光学式距離計2の測定方向が方向Dzに沿う状態で、作業者ENが軸部10Sの電線接触部CAと電線EWを接触させる。これにより、光学式距離計2の計測方向が自動調整されるので、作業者ENは、容易に電線EWの地上高を測定することができる。
【0032】
図6は、
図2のVI-VI’断面である。
図6に示すように、回転機構30は、第1ヒンジ部30A、第2ヒンジ部30B、及びシャフト40Aを有する。回転機構30は、軸Ax1と軸Ax2とのなす角を変更するための機構である。
図6に示すように、第1ヒンジ部30Aには、軸Ax3に平行な方向にあけられた貫通孔TH1がある。
【0033】
第2ヒンジ部30Bは、ヒンジ基部MA、ヒンジ支持部LA及びヒンジ支持部RAを有する。ヒンジ基部MAは、ヒンジ支持部LA及びヒンジ支持部RAを連結する。ヒンジ支持部LA及びヒンジ支持部RAは、ヒンジ基部MAから軸Ax2と平行な方向に延び、かつ軸Ax3に沿う方向に間隔を置いて配置される。ヒンジ支持部LAと、ヒンジ支持部RAとの間の隙間には、第1ヒンジ部30Aが配置される。ヒンジ支持部LAは、軸Ax3に平行な方向にあけられた貫通孔TH2を有する。ヒンジ支持部RAは、軸Ax3に平行な方向にあけられた、雌ねじ部FT4を有している。第1ヒンジ部30A及び第2ヒンジ部30Bは、亜鉛合金など金属材料で作られている。
【0034】
シャフト40Aは、第1ヒンジ部30Aの貫通孔TH1と、第2ヒンジ部30Bのヒンジ支持部LAの貫通孔TH2を貫通する。シャフト40Aは、ヒンジ支持部RAの雌ねじ部FT4に到達し、雌ねじ部FT4と螺合する。シャフト40Aは、一般的な金属製の十字穴付き皿小ねじである。シャフト40Aの雄ねじ部分MT1は、雌ねじ部FT4と螺合する端部のみでもよい。
【0035】
シャフト40A(軸Ax3)は、第1ヒンジ部30A及び第2ヒンジ部30Bに支持されている。そして、第1ヒンジ部30Aは、シャフト40A(軸Ax3)を中心に回転が可能である。ここで、軸Ax1と平行な方向を、第1ヒンジ部30Aの方向Daとし、軸Ax2と平行な方向を、第2ヒンジ部30Bの方向Dbとすると、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bのなす角(方向Daと方向Dbのなす角)は、90°以上270°以下の範囲で任意に決定することができる。
図3に示すように、電線EWの地上高を測定する際は、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bのなす角(方向Daと方向Dbのなす角)を90°に設定する。
【0036】
回転機構30は、変更した測定装置1の測定方向を、保持する保持機構も備えている。シャフト40Aが雌ねじ部FT4に螺合されており、かつシャフト40Aの頭部がヒンジ支持部LAの座面BSに当接すると、シャフト40Aの回転に応じて、例えば、第2ヒンジ部30Bのヒンジ支持部LAが第1ヒンジ部30A側に押し込まれる。他方、第2ヒンジ部30Bのヒンジ支持部RAは、シャフト40Aの回転に応じて、例えば、第1ヒンジ部30A側に引っ張られる。これにより、第1ヒンジ部30Aは、ヒンジ支持部LAとヒンジ支持部RAとの間に挟まれ、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bとの間の摩擦力が大きくなる。その結果、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bのなす角は、保持される。シャフト40Aが逆回転すると、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bとの間の摩擦力が小さくなり、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bのなす角(方向Daと方向Dbのなす角)が変更可能になる。以上説明したように、回転機構30は、軸部1Sが延びる軸Ax1と、棒材HDが延びる軸Ax2とのなす角を変更できる。
【0037】
図7は、継手の接続部を示す模式図である。
図7が示すように、継手5の接続部50は、回転機構側に接続する第1接続部50Aと、棒材HD側に接続する第2接続部50Bとを有する。第1接続部50Aは、第2接続部50Bから方向Dzに突出する円柱形状の凸部である。第1接続部50Aと、第2接続部50Bとは、方向Dzに連続して設けられ、一体成形されている。継手5の接続部50は、グラスファイバー等で強化された絶縁材料で成形されている。
【0038】
図3に示すように、第2ヒンジ部30Bは、端部に凹部を有している。第2ヒンジ部30Bの凹部には、第1接続部50Aが方向Dzから挿入される。方向Dyから互いに近づくように、二本のねじB5が第2ヒンジ部30Bを貫通し、第1接続部50Aに食い込むことで、第2ヒンジ部30Bと第1接続部50Aとが固定されている。ねじB5は、金属製の平皿タッピングねじである。
【0039】
第2接続部50Bは、雄ねじ部分MT2を有する。第2接続部50Bの雄ねじ部分MT2と、棒材HDの雌ねじ部FT5とが接続される。
【0040】
図8は、棒材HDの先端形状の拡大図である。
図8に示すように、棒材HDの先端には雌ねじ部FT5を有する。棒材HDの材料は、グラスファイバー等の絶縁材料を使用する。
【0041】
図9は、実施形態1に係る測定システムの構成を示すブロック図である。
図9に示すように、測定システム100は、測定装置1の光学式距離計2と携帯端末6とを含む。測定システム100において、作業者ENが、携帯端末6を介して光学式距離計2に対し測定開始の指示をすると、光学式距離計2が計測する。光学式距離計2の距離情報に基づいて、電線EWから測定対象までの距離が携帯端末6に出力され、線EWから測定対象までの距離が携帯端末6で認識可能となる。
【0042】
光学式距離計2は、制御部21、計測部2S、メモリ22、入力部23、出力部24、及びデータ送受信部25を有する。
【0043】
制御部21は距離計測演算部211と、測定結果補正部212とを含む。制御部21は例えばCPUである。距離計測演算部211は、計測部2Sより入手した測定情報をもとに、光学式距離計2の先端から測定対象物までの距離を演算する回路である。
【0044】
測定結果補正部212は、距離計測演算部211により得られた結果と、メモリ22に予め記憶されている補正値を基に、電線EWから対象物までの距離を算出する回路である。
【0045】
メモリ22に保存されている補正値は、光学式距離計2の先端から軸部10Sまでの最小距離H0と、電線外径である。補正値は予め、作業者ENにより光学式距離計2の入力部23より入力されていた値、あるいは端末入力部63より入力された値である。
【0046】
計測部2Sは、対象物に対してレーザ光を照射し、測定対象物からの反射光を受光することで、光学式距離計2の先端にある計測部2Sから対象物までの距離情報を取得する。計測部2Sは、レーザ光以外の光を照射して、距離情報を取得してもよい。作業者ENが携帯端末6を介して入力した測定開始指示の信号が制御部21に送信され、制御部21は受信した作業者ENの指示をもとに、計測部2S部に距離測定開始を指示する。計測部2Sは取得した距離情報を距離計測演算部211に送る。
【0047】
入力部23は、作業者ENから情報や指示を受け付ける入力装置であり、例えばタクタイルスイッチ、タッチパネル等である。作業者ENは、入力部23を介して光学式距離計2に直接測定開始の指示や、補正値を入力することができる。出力部24は、作業者ENに情報を提供する表示装置であり、例えば、液晶パネル(Liquid Crystal Display)等である。出力部24は、距離計測演算部211が算出した光学式距離計2の先端から測定対象物までの距離あるいは、測定結果補正部212が算出した電線から対象物までの距離を測定結果として作業者ENに表示する。
【0048】
データ送受信部25は、距離計測演算部211より得られた光学式距離計2の先端から測定対象物までの距離あるいは、測定結果補正部212が算出した電線から対象物までの距離を携帯端末6に送信し、携帯端末6から補正値と、測定開始及び測定結果の携帯端末6への出力指示を受信する回路である。データ送受信には無線通信を使用する。
【0049】
携帯端末6は、端末制御部61、端末メモリ62、端末入力部63、端末出力部64、及び端末データ送受信部65を有する情報通信可能な電子機器であり、スマートフォンやタブレットが該当する。
【0050】
端末制御部61はデータ演算部611と、データ補正部612とを含む。端末制御部61は例えばCPUである。データ演算部611は、光学式距離計2から入手した測定結果を携帯端末6で表示するデータに変換する回路である。また、端末入力部63より光学式距離計2の測定開始の指示や、入力された補正値に関する情報を、光学式距離計2の制御部21が処理できる形式に変換する回路でもある。
【0051】
データ補正部612は、光学式距離計2から入手した測定結果が、測定結果補正部212の補正がされず、距離計測演算部211の算出値そのものだった場合、端末メモリ62に予め記憶されている補正値と、入手した算出値をもとに、電線から対象物までの距離を算出する回路である。データ補正部612によって算出された測定結果は、データ演算部611において端末出力部64で表示するデータに変換される。
【0052】
端末メモリ62に保存されている補正値は、光学式距離計2の先端から軸部10Sまでの最小距離H0と、電線外径である。補正値は、作業者ENにより端末入力部63より予め入力された値である。
【0053】
端末入力部63は、作業者ENから情報や指示を受け付ける入力装置であり、例えば液晶パネル(Liquid Crystal Display)、タッチパネル等である。作業者ENは、端末入力部63を介して光学式距離計2に対して測定開始の指示や、補正値を入力することができる。端末入力部63より入力された情報は、データ演算部611により、光学式距離計2の制御部21が処理できる形式に変換後、端末データ送受信部65より光学式距離計2に送られる。
【0054】
端末出力部64は、作業者ENに情報を提供する表示装置であり、例えば、液晶パネル(Liquid Crystal Display)等である。端末出力部64は、データ演算部611によって変換された、電線EWから対象物GLまでの距離である測定結果を作業者ENに表示する。
【0055】
端末データ送受信部65は、データ演算部611で変換された測定開始の指示や、補正値に関する情報を光学式距離計2に送信し、光学式距離計2からの測定結果を受信する回路である。データ送受信には無線通信を使用する。
【0056】
図10は、下方の対象物(地表面)と計測された距離情報との第1の関係を示す模式図である。
図10に示すように、作業者ENは、電線径がφAの電線EWに対し、最低地上高の測定をする。作業者ENは、棒材HDの先端に継手5を介して測定装置1を取り付ける。その際、回転機構30の第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bとがシャフト40Aを基点になす角(方向Daと方向Dbのなす角)は、90°になるように、回転機構30で角度変更及び固定される。
【0057】
電線接触部CAは、軸部10Sにおける第2の板部材13と第3の板部材14に仕切られた領域である。電線接触部CAの方向Dyの長さL1は、第2の板部材13を移動することで変更可能である。作業者ENは、第2の板部材13を移動し、長さL1を測定対象の電線EWの外径φAに対して少しだけ広い幅に設定することで、測定時に電線接触部CAの中で電線EWが動くのを抑制し、電線の最下点がずれることによる測定誤差を小さくすることができる。
【0058】
携帯端末6からの測定開始の指示を受けた制御部21は、計測部2Sに測定を開始させる。距離計測演算部211は、計測部2Sより計測された距離情報から、光学式距離計2の先端から下方の対象物(地表面)GLまでの距離HL1を算出する。測定結果補正部212は、HL1とメモリ22に予め保存されている補正値を用いて、最低地上高の距離HAを、下記式(1)により算出する。
【0059】
HA=HL1+H0-A・・・(1)
【0060】
補正値は、光学式距離計2の先端から軸部10Sまでの最小距離H0、測定対象の電線EWの外径φAの値である。補正値は、作業者ENが予め光学式距離計2の入力部23より入力するか、あるいは、携帯端末6の端末入力部63より入力が可能である。作業者ENは補正値の入力後、測定開始の指示を端末入力部63より入力する。
【0061】
距離HAの情報は、データ送受信部25より携帯端末6に送信され、データ演算部611において携帯端末6で表示できる形式に変換後、端末出力部64より作業者ENに、外径φAの電線EWの最低地上高の距離HAとして表示される。
【0062】
図11は、下方の対象物(地表面)と計測された距離情報との第2の関係を示す模式図である。
図11に示すように、電線EWの電線径が直径φB(B>A)である。作業者ENは、第2の板部材13を移動し、電線接触部CAの方向Dyの長さL2を電線EWの直径φBに対して少しだけ広い幅に設定する。このように、第2の板部材13が第1の板部材11と第3の板部材14との間を仕切っている。電線接触部CAは、第2の板部材13と第3の板部材14との間の軸部10Sの領域であり、第2の板部材13と第3の板部材14との間の距離が可変可能であることで、電線EWの電線径に適切な案内機構ができ、作業者ENは、電線接触部CAへ電線EWを導入しやすく、かつ電線EWが電線接触部CAへ接触する姿勢が安定する。
【0063】
図11に示すように、光学式距離計2先端から軸部10Sまでの最小距離H0は、電線EWの直径によらず一定である。そのため作業者ENが予め入力する補正値は、光学式距離計2の先端から軸部10Sまでの最小距離H0と、電線EWの直径φBの値である。制御部21における動作内容は、φAの電線測定時と同じため、説明は省略する。光学式距離計2の先端から下方の対象物(地表面)GLまでの距離をHL2とすると、測定結果補正部212は、HL2とメモリ22に予め保存されている補正値を用いて、最低地上高の距離HBを、式(2)により算出する。
【0064】
HB=HL2+H0-B・・・(2)
【0065】
距離HBの情報は、データ送受信部25より携帯端末6に送信され、データ演算部611において携帯端末6で表示できる形式に変換後、端末出力部64より作業者ENに、直径φBの電線EWの最低地上高の距離HBとして表示される。
【0066】
図1に示すように、漏電、及び断線リスク回避の観点から、電線EWは周辺物との距離を離す必要がある。そのため作業者ENには、電線EWの地上高に加えて、電線EWと側方の対象物OBとの距離WAを測定する作業が発生する。側方の対象物OBとは、引き込み線を直接引き込んでいない造営物、電話線、看板、アンテナ等が該当する。
【0067】
比較例として、測定棹を利用した距離測定方法で、電線と側方対象物までの最短距離を測定しようとする場合、作業者ENは、高所作業車等を利用して電線のある高さまで上がり、測定棹を電線に押し当てて、側方対象物までの距離を測定する必要がある。
【0068】
これに対して、実施形態1の測定装置1は、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bのなす角(方向Daと方向Dbのなす角)を変更するだけで、高所作業車等を利用することなく、電線EWと側方の対象物OBとの距離Wを算出することができる。
【0069】
測定装置1が実際に計測する距離は、光学式距離計2の先端から側方の対象物OBまでの距離WLとなる。距離WL、電線EWの外径φAに基づいて、電線EWと、側方の対象物OBとの距離WAを算出する算出方法について、
図12を参照しつつ説明する。
【0070】
図12は、側方の対象物までの距離と計測された距離情報との関係を示す模式図である。
図12が示すように、作業者ENは、電線径がφAの電線EWの側方距離を測定する際、棒材HDの先端に継手5を介して測定装置1を取り付ける。その際、電線の真下に障害物がない場合、作業者ENは回転機構30の第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bとがシャフト40Aを基点になす角(方向Daと方向Dbのなす角)が180°になるように、回転機構30で角度変更し固定する。
【0071】
図5で示したように、ホルダー20は、軸部10Sを中心に回転可能である。
図12に示すように、ホルダー20の回転軸である軸Ax1の方向が鉛直に沿う方向になるので、ホルダー20が測定時に回転し、作業者ENの意図しない光学式距離計2の測定方向となる可能性がある。光学式距離計2の測定方向のずれは、電線EWと側方の対象物OBとの距離の値に誤差が生じてしまう原因となる。
【0072】
光学式距離計2の測定方向を規制するため、作業者ENは、第2の板部材13を移動し、第1の板部材11と第2の板部材13でホルダー20を挟み、ホルダー20との間の摩擦力でホルダー20の回転を抑制する。これにより、作業者ENの意図しない光学式距離計2の測定方向を計測しにくくなり、測定の誤差が小さくなる。
図12に示すセンサエリアSAの方向Dzの長さL4は、ホルダー20の幅W1と等しくなる。また、電線接触部CAの方向Dzの長さL3は結果として、長さL2又は長さL1より大きくなる。第2の板部材13の軸穴径φS2は、軸部10Sの直径Dに対して、わずかに大きいか、等しい径の中間ばめに設定してあるため、第2の板部材13は軸部10Sにおいて、軸Ax1に沿う方向の任意の位置に移動可能、及び固定が可能である。
【0073】
作業者ENは、回転機構30とセンサエリアSAの幅の設定が完了後、棒材HDを伸長し、電線EWの側方(方向Dy)から測定装置1の電線接触部CAを電線EWに押し当て接触させる。
【0074】
作業者ENが測定開始前に予め入力する補正値は、光学式距離計2の先端から軸部10Sまでの最小距離H0と、電線EWの外径φAの値である。制御部21における動作内容は、φAの電線測定時と同じため、説明は省略する。光学式距離計2の先端から側方の対象物OBまでの距離をWLとすると、測定結果補正部212は、WLとメモリ22に予め保存されている補正値を用いて、距離WAを、式(3)により算出する。
【0075】
WA=WL+H0-A・・・(3)
【0076】
距離WAの情報は、データ送受信部25より携帯端末6に送信され、データ演算部611において携帯端末6で表示できる形式に変換後、端末出力部64より作業者ENに、外径φAの電線EWの側方対象物までの距離WAとして表示される。
【0077】
実施形態1の測定装置1は、電線EWの真下に障害物があり、電線の真下の下方の対象物(地表面)に作業者ENが棒材HDを接地できない場合も、電線EWの側方の対象物OBまでの距離WAを測定することができる。
【0078】
電線EWの真下に障害物があるときは、第1ヒンジ部30Aと第2ヒンジ部30Bとがシャフト40Aを基点になす角(方向Daと方向Dbのなす角)を180°+β(β≦90°)以上になるように、回転機構30で角度変更し、その角度を保持する。このとき、作業者ENは、原点から端部接続板15の円柱中心を通る方向であるDaを、方向Dz(下方の対象物(地表面)から鉛直上向き)となる向きに設定する。方向Daと方向Dbのなす角を180°+β°、絶縁棒の下方の対象物(地表面)と接する点からシャフト40Aまでの長さをγmとすると、三角関数により、作業者ENは電線の真下からγ×Sinβ m離れた位置の下方の対象物(地表面)に絶縁棒の下端を接地することで、電線EWの側方対象物までの最小距離測定が可能となる。
【0079】
方向Daと方向Dbのなす角の設定以外の測定手順や、制御部21における動作内容は、電線の真下に障害物にない場合と同じため、説明は省略する。
【0080】
(実施形態2)
実施形態2に係る計測システムは、実施形態1と同じく光学式距離計2と携帯端末6を有する計測システムであるが、距離計測演算部211が算出した光学式距離計2の先端から測定対象物までの距離を、測定結果補正部212ではなく、携帯端末6において補正し、電線から対象物までの距離を算出するシステムである。具体例として
図10に示す電線径がφAにおける電線の地上高を測定する例において説明する。
【0081】
作業者ENにおける回転機構30と電線接触部CAの幅の設定については、実施形態1と同じため、説明は省略する。携帯端末6からの測定開始指示を受けた制御部21は、計測部2Sに測定開始を指示する。距離計測演算部211は、計測部2Sより計測された距離情報から、光学式距離計2の先端から下方の対象物(地表面)GLまでの距離HL1を算出する。
【0082】
データ送受信部25より、HL1が携帯端末6に送信される。データ補正部612は、端末メモリ62に予め保存されている補正値を用いてHL1を補正し、HAを算出する。算出されたHAは、データ演算部611において出力する形式に変換され、端末出力部64より作業者ENに測定結果として提示される。補正値は、光学式距離計2の先端から軸部10Sまでの最小距離H0と、電線EWの外径φAの値であり、作業者ENが端末入力部63より、予め入力した値である。
【0083】
なお、側方距離測定時においても同様に、距離計測演算部211により得られる光学式距離計2の先端から側方の対象物OBまでの距離WLを携帯端末6に送信し、携帯端末6において補正し、WAを算出することができる。携帯端末6における処理は、地上高測定時と同じため、説明は省略する。
【符号の説明】
【0084】
1 測定装置
2 レーザ距離計
5 継手
6 携帯端末
10 本体部
10S 軸部
11 第1の板部材
12 端部固定板
13 第2の板部材
14 第3の板部材
15 端部接続板
20 ホルダー
30 回転機構
50 接続部
EW 電線
OB 側方対象物
HD 棒材
CA 電線接触部
SA センサエリア
EN 作業者
GL 下方の対象物(地表面)