(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115437
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240819BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240819BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20240819BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/16 103
G03G15/02 102
G03G21/00 314
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021134
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】小森 彩香
(72)【発明者】
【氏名】小川 航司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
【テーマコード(参考)】
2H134
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA05
2H134GB02
2H134HA08
2H134HA12
2H134HA16
2H134KA29
2H134KB03
2H134KB04
2H134KH01
2H200FA02
2H200GA12
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2H200GA34
2H200GA44
2H200GA56
2H200GB15
2H200HA02
2H200HA29
2H200HB12
2H200JA29
2H200JB06
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2H200NA02
2H200PA02
2H200PA10
2H200PA18
2H200PB27
2H200PB28
2H200PB38
2H270KA09
2H270KA19
2H270KA28
2H270KA38
2H270LA04
2H270LA24
2H270LA28
2H270LA63
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MA01
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2H270MA24
2H270MA28
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB36
2H270MC15
2H270MC29
2H270MC39
2H270MC48
2H270MC52
2H270MH07
2H270MH11
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】回転によって進行する感光ドラムの損耗を抑制できるとともに、ユーザが待つ時間を短くできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の制御部100は、感光ドラム52を回転させながら、転写後に感光ドラム52上に残ったトナーをクリーニングローラ55で回収する第1クリーニング動作と、感光ドラム52を回転させながら、クリーニングローラ55が回収したトナーを感光ドラム52および転写ベルト73を介してベルトクリーナで回収する第2クリーニング動作と、感光ドラム52を回転させながら、帯電バイアス印加回路110により帯電ローラ53に所定の電圧を印加したときに帯電ローラ53に流れる帯電電流を検知する帯電電流検知動作と、検知した帯電電流に基づいて帯電バイアスを決定する帯電バイアス決定動作とを実行可能である。制御部100は、第2クリーニング動作の実行中に、帯電電流検知動作を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、
帯電バイアスが印加されることで前記感光ドラムを帯電させる帯電ローラと、
帯電後の前記感光ドラムにトナーを供給して前記感光ドラムにトナー像を形成する現像ローラと、
前記感光ドラムに接触する無端状のベルトと、
前記感光ドラムとの間で前記ベルトを挟む転写ローラであって、前記感光ドラムに形成されたトナー像を被転写体に転写する転写ローラと、
転写後に前記感光ドラム上に残ったトナーを回収するクリーニングローラと、
前記ベルト上のトナーを回収するベルトクリーナと、
前記帯電ローラに所定の電圧を印加する印加回路と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記感光ドラムを回転させながら、転写後に前記感光ドラム上に残ったトナーを前記クリーニングローラで回収する第1クリーニング動作と、
前記感光ドラムを回転させながら、前記クリーニングローラが回収したトナーを前記感光ドラムおよび前記ベルトを介して前記ベルトクリーナで回収する第2クリーニング動作と、
前記感光ドラムを回転させながら、前記印加回路により前記帯電ローラに所定の電圧を印加したときに前記帯電ローラに流れる帯電電流を検知する帯電電流検知動作と、
前記帯電電流検知動作において検知した帯電電流に基づいて帯電バイアスを決定する帯電バイアス決定動作と、を実行可能であり、
前記制御部は、前記第2クリーニング動作の実行中に、前記帯電電流検知動作を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2クリーニング動作の実行中において、前記クリーニングローラから前記感光ドラムにトナーを移動させる動作を開始してから、前記クリーニングローラが1回転する時間と、前記感光ドラムの前記クリーニングローラと対向する部分が前記帯電ローラと対向する位置まで移動する時間とが経過した後に、前記帯電電流検知動作を開始することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記帯電電流検知動作において、
前記印加回路により前記帯電ローラに第1電圧を印加したときに前記帯電ローラに流れる第1帯電電流と、
前記印加回路により前記帯電ローラに、前記第1電圧に所定値を足した第2電圧を印加したときに前記帯電ローラに流れる第2帯電電流と、
前記印加回路により前記帯電ローラに、前記第1電圧から前記所定値を引いた第3電圧を印加したときに前記帯電ローラに流れる第3帯電電流と、を検知し、
前記帯電バイアス決定動作において、前記第1帯電電流、前記第2帯電電流および前記第3帯電電流から算出した直線近似式と、基準電流とに基づいて帯電バイアスを決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、前記感光ドラムと、前記帯電ローラと、前記感光ドラムおよび前記帯電ローラに関する情報を記憶するメモリとを有するカートリッジを備え、
前記制御部は、前記帯電電流検知動作において、
前記カートリッジが新品でないと判定した場合は、前記帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスに基づいて前記第1電圧を設定し、
前記カートリッジが新品であると判定した場合は、前記メモリに記憶された、前記感光ドラムおよび前記帯電ローラに関する情報に基づいて前記第1電圧を設定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスを前記メモリに記憶させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過し、その後、画像形成を実行する場合、前記帯電ローラに印加する帯電バイアスを、直前の前記帯電バイアス決定動作で決定した帯電バイアスの大きさよりも小さい大きさの帯電バイアスに設定する、印加帯電バイアス設定動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記印加帯電バイアス設定動作において、画像形成装置内の湿度が大きいほど、前記帯電ローラに印加する帯電バイアスの大きさを小さくすることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記印加帯電バイアス設定動作において、画像形成を終了した後、次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど、前記帯電ローラに印加する帯電バイアスの大きさを小さくすることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記帯電ローラに、前記印加帯電バイアス設定動作で設定した帯電バイアスを印加して、所定枚数のシートに画像を形成した後は、
前記帯電ローラに、直前の前記帯電バイアス決定動作で決定した帯電バイアスを印加して、シートに画像を形成することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行する場合、前記感光ドラムにトナー像を形成する前に、前記感光ドラム上のトナーを前記クリーニングローラで回収する第3クリーニング動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、画像形成装置内の湿度が大きいほど、前記第3クリーニング動作の実行時間を長くすることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど、前記第3クリーニング動作の実行時間を長くすることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過し、その後、画像形成を実行する場合、前記感光ドラムにトナー像を形成する前に、前記帯電電流検知動作および前記帯電バイアス決定動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラムを帯電させる帯電ローラを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムと、帯電バイアスが印加されることで感光ドラムを帯電させる帯電ローラとを備える画像形成装置が知られている(特許文献1)。この画像形成装置においては、所定のタイミングにおいて帯電ローラに異なる電圧値の電圧を印加して帯電ローラに流れる電流を検出し、検出結果から帯電ローラのインピーダンス特性を算出し、インピーダンス特性に基づいて帯電バイアスを決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、帯電ローラに流れる電流を検出するときには、感光ドラムを回転させる。感光ドラムは回転によって損耗が進行するため、シートに画像を形成しない状況で感光ドラムの回転回数が無駄に増えないことが望ましい。また、帯電バイアスを決定するためにユーザが待つ時間は短いことが望ましい。
【0005】
そこで、回転によって進行する感光ドラムの損耗を抑制できるとともに、ユーザが待つ時間を短くできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
画像形成装置は、感光ドラムと、帯電バイアスが印加されることで感光ドラムを帯電させる帯電ローラと、帯電後の感光ドラムにトナーを供給して感光ドラムにトナー像を形成する現像ローラと、感光ドラムに接触する無端状のベルトと、感光ドラムとの間でベルトを挟む転写ローラであって、感光ドラムに形成されたトナー像を被転写体に転写する転写ローラと、転写後に感光ドラム上に残ったトナーを回収するクリーニングローラと、ベルト上のトナーを回収するベルトクリーナと、帯電ローラに所定の電圧を印加する印加回路と、制御部と、を備える。
制御部は、第1クリーニング動作と、第2クリーニング動作と、帯電電流検知動作と、帯電バイアス決定動作と、を実行可能である。
第1クリーニング動作では、感光ドラムを回転させながら、転写後に感光ドラム上に残ったトナーをクリーニングローラで回収する。
第2クリーニング動作では、感光ドラムを回転させながら、クリーニングローラが回収したトナーを感光ドラムおよびベルトを介してベルトクリーナで回収する。
帯電電流検知動作では、感光ドラムを回転させながら、印加回路により帯電ローラに所定の電圧を印加したときに帯電ローラに流れる帯電電流を検知する。
帯電バイアス決定動作では、帯電電流検知動作において検知した帯電電流に基づいて帯電バイアスを決定する。
制御部は、第2クリーニング動作の実行中に、帯電電流検知動作を実行する。
【0007】
第2クリーニング動作の実行中に帯電電流検知動作を実行することで、シートに画像を形成しない状況で感光ドラムの回転回数が無駄に増えるのを抑制できる。これにより、回転によって進行する感光ドラムの損耗を抑制できる。また、第2クリーニング動作の実行中に帯電電流検知動作を実行することで、ユーザが待つ時間を短くできる。
【0008】
制御部は、第2クリーニング動作の実行中において、クリーニングローラから感光ドラムにトナーを移動させる動作を開始してから、クリーニングローラが1回転する時間と、感光ドラムのクリーニングローラと対向する部分が帯電ローラと対向する位置まで移動する時間とが経過した後に、帯電電流検知動作を開始する構成とできる。
【0009】
第2クリーニング動作の実行中において所定の時間が経過した後に帯電電流検知動作を開始することで、感光ドラム上のトナーを少なくした状態で帯電電流を検知できる。これにより、帯電電流が感光ドラム上のトナーの影響を受けにくいため、帯電バイアスを精度良く決定できる。
【0010】
制御部は、帯電電流検知動作において、第1帯電電流と、第2帯電電流と、第3帯電電流と、を検知し、帯電バイアス決定動作において、第1帯電電流、第2帯電電流および第3帯電電流から算出した直線近似式と、基準電流とに基づいて帯電バイアスを決定する構成とできる。
第1帯電電流は、印加回路により帯電ローラに第1電圧を印加したときに帯電ローラに流れる電流である。
第2帯電電流は、印加回路により帯電ローラに、第1電圧に所定値を足した第2電圧を印加したときに帯電ローラに流れる電流である。
第3帯電電流は、印加回路により帯電ローラに、第1電圧から所定値を引いた第3電圧を印加したときに帯電ローラに流れる電流である。
【0011】
3つの帯電電流から算出した直線近似式に基づいて帯電バイアスを決定することで、検知した3つの帯電電流の近傍において帯電バイアスを精度良く決定できる。
【0012】
画像形成装置は、画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、感光ドラムと、帯電ローラと、感光ドラムおよび帯電ローラに関する情報を記憶するメモリとを有するカートリッジを備える構成であってもよい。
制御部は、帯電電流検知動作において、カートリッジが新品でないと判定した場合は、帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスに基づいて第1電圧を設定し、カートリッジが新品であると判定した場合は、メモリに記憶された、感光ドラムおよび帯電ローラに関する情報に基づいて第1電圧を設定する構成とできる。
【0013】
カートリッジが新品であると判定した場合にカートリッジのメモリに記憶された情報に基づいて第1電圧を設定することで、カートリッジを新品に交換した場合において、カートリッジが有する帯電ローラに適した第1電圧を設定できる。これにより、帯電バイアスを精度良く決定できる。
【0014】
制御部は、帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスをメモリに記憶させる構成であってもよい。
【0015】
決定した帯電バイアスをメモリに記憶させることで、メモリに記憶された帯電バイアスの情報から、カートリッジの状態を判断できる。
【0016】
制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過し、その後、画像形成を実行する場合、帯電ローラに印加する帯電バイアスを、直前の帯電バイアス決定動作で決定した帯電バイアスの大きさよりも小さい大きさの帯電バイアスに設定する、印加帯電バイアス設定動作を実行する構成であってもよい。
【0017】
所定時間が経過した後の画像形成時に、小さい大きさの帯電バイアスを印加することで、感光ドラム上の付着物に電荷が集中するのを抑制できる。
【0018】
制御部は、印加帯電バイアス設定動作において、画像形成装置内の湿度が大きいほど、帯電ローラに印加する帯電バイアスの大きさを小さくする構成とできる。
【0019】
画像形成装置内の湿度が大きいほど帯電バイアスの大きさを小さくすることで、画像形成時に、湿度が大きい環境で水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム上の付着物に電荷が集中するのを抑制できる。
【0020】
制御部は、印加帯電バイアス設定動作において、画像形成を終了した後、次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど、帯電ローラに印加する帯電バイアスの大きさを小さくする構成とできる。
【0021】
次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど帯電バイアスの大きさを小さくすることで、画像形成時に、長い時間の放置により水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム上の付着物に電荷が集中するのを抑制できる。
【0022】
制御部は、帯電ローラに、印加帯電バイアス設定動作で設定した帯電バイアスを印加して、所定枚数のシートに画像を形成した後は、帯電ローラに、直前の帯電バイアス決定動作で決定した帯電バイアスを印加して、シートに画像を形成する構成とできる。
【0023】
制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行する場合、感光ドラムにトナー像を形成する前に、感光ドラム上のトナーをクリーニングローラで回収する第3クリーニング動作を実行する構成であってもよい。
【0024】
第3クリーニング動作を実行して画像形成前に感光ドラム上のトナーをクリーニングローラで回収することで、次の画像形成時に、帯電ローラに帯電バイアスを印加したときに、感光ドラム上のトナーに電荷が集中するのを抑制できる。
【0025】
制御部は、画像形成装置内の湿度が大きいほど、第3クリーニング動作の実行時間を長くする構成とできる。
【0026】
画像形成装置内の湿度が大きいほど第3クリーニング動作の実行時間を長くすることで、湿度が大きい環境で水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム上のトナーをしっかり回収できる。これにより、次の画像形成時に感光ドラム上のトナーに電荷が集中するのを抑制できる。
【0027】
制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど、第3クリーニング動作の実行時間を長くする構成とできる。
【0028】
次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど第3クリーニング動作の実行時間を長くすることで、長い時間の放置により水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム上のトナーをしっかり回収できる。これにより、次の画像形成時に感光ドラム上のトナーに電荷が集中するのを抑制できる。
【0029】
制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過し、その後、画像形成を実行する場合、感光ドラムにトナー像を形成する前に、帯電電流検知動作および帯電バイアス決定動作を実行する構成であってもよい。
【0030】
画像形成装置が所定時間以上放置されていた後の画像形成時において、トナー像を形成する前に帯電電流検知動作および帯電バイアス決定動作を実行することで、画像形成装置の状態に応じた最適な帯電バイアスを決定できる。これにより、画像形成装置が所定時間以上放置されていた後の画像形成時における画質の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0031】
回転によって進行する感光ドラムの損耗を抑制できるとともに、ユーザが待つ時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置を示す図である。
【
図2】画像形成部の要部とバイアス印加回路を説明する図である。
【
図3】接触離間機構を説明する図(a)~(c)である。
【
図4】帯電電流検知回路とドラムユニットのメモリを示す図である。
【
図5】帯電電流検知動作と帯電バイアス決定動作を説明する図である。
【
図6】第3クリーニング動作の実行時間を設定するテーブルを示す図(a)~(c)である。
【
図7】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】制御部の動作の一例を示す、
図7に続くフローチャートである。
【
図9】第3クリーニング動作の実行時間を設定する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】帯電電流検知動作の一例を示すフローチャート(a)と、帯電バイアス決定動作の一例を示すフローチャート(b)である。
【
図11】第2クリーニング動作と帯電電流検知動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図12】第1の変形例における帯電バイアスを設定するテーブルを示す図(a)~(c)である。
【
図13】第1の変形例における帯電バイアスを設定する動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、被転写体としてのシートSにカラー画像またはモノクロ画像を形成可能なカラープリンタである。画像形成装置1は、画像形成装置本体としての筐体2と、シート供給部3と、画像形成部4と、シート搬送部8と、ベルトクリーナ90と、制御部100と、内部温湿度センサ101と、外部温湿度センサ102とを備える。
【0034】
シート供給部3は、シートSを収容するシートトレイ3Aと、押圧板3Bと、シート供給機構3Cとを備える。シート供給部3は、シートトレイ3A内のシートSを押圧板3Bによってシート供給機構3Cに寄せ、シート供給機構3Cによって1枚ずつ分離して画像形成部4に供給する。
【0035】
画像形成部4は、露光ユニット40と、カートリッジとしてのドラムユニット50と、4つの現像カートリッジ60と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備える。
【0036】
露光ユニット40は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した光源と、ポリゴンミラーと、レンズと、反射鏡とを備える。露光ユニット40は、一点鎖線で示す光ビームを感光ドラム52に照射することで、感光ドラム52の表面を露光する。
【0037】
ドラムユニット50は、フレーム51と、4つの感光ドラム52と、4つの帯電ローラ53と、4つの除電装置54と、4つのクリーニングローラ55と、紙粉回収ローラ56と、4つの帯電ローラクリーナ57とを備える。
【0038】
ドラムユニット50は、筐体2に着脱可能である。具体的には、ドラムユニット50は、フロントカバー2Aを開いた状態で、筐体2の開口を通して筐体2に着脱可能である。画像形成装置1は、ドラムユニット50を交換することで、感光ドラム52、帯電ローラ53などを交換可能である。
フレーム51は、感光ドラム52、帯電ローラ53などを保持している。
【0039】
図2に示すように、感光ドラム52は、イエローに対応する感光ドラム52Yと、マゼンタに対応する感光ドラム52Mと、シアンに対応する感光ドラム52Cと、ブラックに対応する感光ドラム52Kとを含む。
【0040】
感光ドラム52Y,52M,52Cは、画像形成部4におけるシートSの搬送方向において感光ドラム52Kの上流に配置されている。具体的には、画像形成部4におけるシートSの搬送方向において、感光ドラム52Cは、感光ドラム52Kの上流に配置され、感光ドラム52Mは、感光ドラム52Cの上流に配置され、感光ドラム52Yは、感光ドラム52Mの上流に配置されている。
【0041】
4つの感光ドラム52は、画像形成部4におけるシートSの搬送方向の上流から下流に向けて、感光ドラム52Y、感光ドラム52M、感光ドラム52C、感光ドラム52Kの順に並んで配置されている。具体的には、4つの感光ドラム52は、前から後に向けて、感光ドラム52Y、感光ドラム52M、感光ドラム52C、感光ドラム52Kの順に並んで配置されている。
【0042】
本明細書および図面においては、各色に対応する部材について、色を区別する場合には、符号にY,M,C,Kを付し、色を区別しない場合には、符号にY,M,C,Kを付さない。
【0043】
帯電ローラ53は、帯電バイアスVcが印加されることで感光ドラム52を帯電させる。帯電ローラ53は、感光ドラム52Yに対応して設けられた帯電ローラ53Yと、感光ドラム52Mに対応して設けられた帯電ローラ53Mと、感光ドラム52Cに対応して設けられた帯電ローラ53Cと、感光ドラム52Kに対応して設けられた帯電ローラ53Kとを含む。
【0044】
帯電ローラ53Yは、帯電バイアスVcが印加されることで感光ドラム52Yを帯電させる。帯電ローラ53Mは、帯電バイアスVcが印加されることで感光ドラム52Mを帯電させる。帯電ローラ53Cは、帯電バイアスVcが印加されることで感光ドラム52Cを帯電させる。帯電ローラ53Kは、帯電バイアスVcが印加されることで感光ドラム52Kを帯電させる。
【0045】
除電装置54は、転写後かつ帯電前の感光ドラム52の表面電位の絶対値を低下させる装置である。除電装置54は、感光ドラム52Yに対応して設けられた除電装置54Yと、感光ドラム52Mに対応して設けられた除電装置54Mと、感光ドラム52Cに対応して設けられた除電装置54Cと、感光ドラム52Kに対応して設けられた除電装置54Kとを含む。
【0046】
一例として、除電装置54は、それぞれ、光源と、光源からの光を感光ドラム52の表面に導くライトガイドとを備える。除電装置54は、感光ドラム52の表面のうち、転写ローラ74と対向する位置と、クリーニングローラ55と対向する位置との間の位置に光を照射して感光ドラム52の表面電位の絶対値を低下させる。本実施形態では、除電装置54は、感光ドラム52の表面電位を略0Vにする。
【0047】
クリーニングローラ55は、転写後に感光ドラム52上に残ったトナーを回収する。クリーニングローラ55は、感光ドラム52Yに対応して設けられたクリーニングローラ55Yと、感光ドラム52Mに対応して設けられたクリーニングローラ55Mと、感光ドラム52Cに対応して設けられたクリーニングローラ55Cと、感光ドラム52Kに対応して設けられたクリーニングローラ55Kとを含む。
【0048】
クリーニングローラ55Yは、転写後に感光ドラム52Y上に残った転写残トナーを回収可能である。クリーニングローラ55Mは、転写後に感光ドラム52M上に残った転写残トナーを回収可能である。クリーニングローラ55Cは、転写後に感光ドラム52C上に残った転写残トナーを回収可能である。クリーニングローラ55Kは、転写後に感光ドラム52K上に残った転写残トナーを回収可能である。
【0049】
紙粉回収ローラ56は、クリーニングローラ55Yの表面に付着した紙粉を回収する。紙粉は、感光ドラム52と転写ベルト73との間を搬送されるシートSから、主に、シートSの搬送方向において最も上流に位置する感光ドラム52Yの表面に付着し、さらに、感光ドラム52Yからクリーニングローラ55Yの表面に付着しやすい。
【0050】
帯電ローラクリーナ57は、帯電ローラ53の表面に付着した付着物を回収する。帯電ローラクリーナ57は、帯電ローラ53Yに対応して設けられた帯電ローラクリーナ57Yと、帯電ローラ53Mに対応して設けられた帯電ローラクリーナ57Mと、帯電ローラ53Cに対応して設けられた帯電ローラクリーナ57Cと、帯電ローラ53Kに対応して設けられた帯電ローラクリーナ57Kとを含む。
【0051】
図1に示すように、現像カートリッジ60は、イエローのトナーを収容する現像カートリッジ60Yと、マゼンタのトナーを収容する現像カートリッジ60Mと、シアンのトナーを収容する現像カートリッジ60Cと、ブラックのトナーを収容する現像カートリッジ60Kとを含む。本実施形態では、トナーは、正帯電性の乾式トナーである。
【0052】
現像カートリッジ60は、それぞれ、現像ローラ61と、供給ローラ62と、層厚規制ブレード63と、トナーを収容する収容部64と、アジテータ65とを備える。現像カートリッジ60は、収容部64内のトナーをアジテータ65によって攪拌しながら、供給ローラ62に供給する。供給ローラ62に供給されたトナーは、現像ローラ61に供給され、回転する現像ローラ61と層厚規制ブレード63との間で一定の厚さに規制されて現像ローラ61上に担持される。
【0053】
現像カートリッジ60は、それぞれ、ドラムユニット50のフレーム51に着脱可能に支持されている。現像カートリッジ60は、ドラムユニット50を筐体2内から引き出した状態でフレーム51に着脱することで、個別に交換可能である。
【0054】
現像ローラ61は、帯電後の感光ドラム52にトナーを供給して感光ドラム52にトナー像を形成する。
図2に示すように、現像ローラ61は、感光ドラム52Yに対応して設けられた現像ローラ61Yと、感光ドラム52Mに対応して設けられた現像ローラ61Mと、感光ドラム52Cに対応して設けられた現像ローラ61Cと、感光ドラム52Kに対応して設けられた現像ローラ61Kとを含む。
【0055】
現像ローラ61Yは、感光ドラム52Yに接触した状態で現像バイアスVdが印加されることで帯電後の感光ドラム52Yにイエローのトナーを供給して感光ドラム52Yにイエローのトナー像を形成する。現像ローラ61Mは、感光ドラム52Mに接触した状態で現像バイアスVdが印加されることで帯電後の感光ドラム52Mにマゼンタのトナーを供給して感光ドラム52Mにマゼンタのトナー像を形成する。
【0056】
現像ローラ61Cは、感光ドラム52Cに接触した状態で現像バイアスVdが印加されることで帯電後の感光ドラム52Cにシアンのトナーを供給して感光ドラム52Cにシアンのトナー像を形成する。現像ローラ61Kは、感光ドラム52Kに接触した状態で現像バイアスVdが印加されることで帯電後の感光ドラム52Kにブラックのトナーを供給して感光ドラム52Kにブラックのトナー像を形成する。
【0057】
現像ローラ61Yは、感光ドラム52Yに接触する接触位置と、感光ドラム52Yから離間する離間位置との間で移動可能である。現像ローラ61Mは、感光ドラム52Mに接触する接触位置と、感光ドラム52Mから離間する離間位置との間で移動可能である。現像ローラ61Cは、感光ドラム52Cに接触する接触位置と、感光ドラム52Cから離間する離間位置との間で移動可能である。現像ローラ61Kは、感光ドラム52Kに接触する接触位置と、感光ドラム52Kから離間する離間位置との間で移動可能である。
【0058】
具体的には、
図3に示すように、各現像カートリッジ60は、ドラムユニット50のフレーム51(
図1参照)に対して、
図3(c)に示す第1位置と、
図3(a)に示す第2位置との間で移動可能に支持されている。第1位置は、現像ローラ61が接触位置となる位置であり、第2位置は、現像ローラ61が離間位置となる位置である。
【0059】
図2に示すように、転写ユニット70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状のベルトとしての転写ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備える。転写ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72とに架け渡され、感光ドラム52に接触している。転写ローラ74は、感光ドラム52との間で転写ベルト73を挟んでいる。画像形成装置1は、感光ドラム52と、転写ベルト73との間でシートSを前から後に向けて搬送する。
【0060】
転写ローラ74は、転写バイアスVtが印加されることで感光ドラム52に形成されたトナー像をシートSに転写する。転写ローラ74は、感光ドラム52Yに対応して設けられた転写ローラ74Yと、感光ドラム52Mに対応して設けられた転写ローラ74Mと、感光ドラム52Cに対応して設けられた転写ローラ74Cと、感光ドラム52Kに対応して設けられた転写ローラ74Kとを含む。
【0061】
転写ローラ74Yは、転写バイアスVtが印加されることで感光ドラム52Yに形成されたイエローのトナー像をシートSに転写する。転写ローラ74Mは、転写バイアスVtが印加されることで感光ドラム52Mに形成されたマゼンタのトナー像をシートSに転写する。転写ローラ74Cは、転写バイアスVtが印加されることで感光ドラム52Cに形成されたシアンのトナー像をシートSに転写する。転写ローラ74Kは、転写バイアスVtが印加されることで感光ドラム52Kに形成されたブラックのトナー像をシートSに転写する。
【0062】
図1に示すように、定着ユニット80は、シートSを加熱する加熱ローラ81と、加熱ローラ81との間でシートSを挟む加圧ローラ82とを備える。
【0063】
シート搬送部8は、第1搬送ローラ8Aと、第2搬送ローラ8Bと、排出ローラ8Cと、第3搬送ローラ8Dとを備える。第1搬送ローラ8Aは、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間から排出されるシートSを第2搬送ローラ8Bに向けて搬送する。
【0064】
第2搬送ローラ8Bおよび排出ローラ8Cは、順回転することで、シートSを筐体2の外に向けて搬送する。また、第2搬送ローラ8Bおよび排出ローラ8Cは、シートSの両面に画像を形成するときには、逆回転することで、第1面に画像が形成されたシートSを再搬送経路8Eに向けて搬送する。
【0065】
第3搬送ローラ8Dは、シートSを画像形成部4に向けて搬送する。第3搬送ローラ8Dは、再搬送経路8E上に設けられている。再搬送経路8Eに案内されたシートSは、第3搬送ローラ8Dおよびシート供給機構3Cによって再び画像形成部4に供給される。
【0066】
ベルトクリーナ90は、転写ベルト73上のトナーを回収する。ベルトクリーナ90は、ベルトクリーニングローラ91と、回収ローラ92と、ブレード93と、貯留部94と、ベルトクリーニングローラ91との間で転写ベルト73を挟むバックアップローラ95とを備える。
【0067】
ベルトクリーニングローラ91は、ベルトクリーニングバイアスVbcが印加されることで転写ベルト73の表面に付着したトナーを回収する。回収ローラ92は、ベルトクリーニングローラ91上のトナーを回収する。ブレード93は、回収ローラ92上のトナーを掻き取る。貯留部94は、ブレード93によって回収ローラ92上から掻き落とされたトナーを収容する。
【0068】
図3に示すように、画像形成装置1は、接触離間機構200をさらに備える。接触離間機構200は、現像カートリッジ60Kを、
図3(b),(c)に示す第1位置と、
図3(a)に示す第2位置との間で移動させる。また、接触離間機構200は、現像カートリッジ60Y,60M,60Cを、
図3(c)に示す第1位置と、
図3(a),(b)に示す第2位置との間で移動させる。これにより、接触離間機構200は、現像ローラ61Kを接触位置と離間位置との間で移動させるとともに、現像ローラ61Y,61M,61Cを接触位置と離間位置との間で移動させる。接触離間機構200は、制御部100によって制御される。
【0069】
図2に示すように、画像形成装置1は、印加回路としての帯電バイアス印加回路110と、現像バイアス印加回路120と、転写バイアス印加回路130と、ドラムクリーニングバイアス印加回路140と、ベルトクリーニングバイアス印加回路150と、紙粉回収バイアス印加回路160とを備える。各バイアス印加回路110~160は、制御部100に接続され、制御部100によって制御される。
【0070】
帯電バイアス印加回路110は、帯電ローラ53に所定の電圧を印加する回路であり、帯電ローラ53に接続されている。帯電バイアス印加回路110は、帯電ローラ53に帯電バイアスVcを印加する。帯電バイアスVcは、帯電ローラ53と感光ドラム52との間で放電を発生させて感光ドラム52の表面を所定の電位に帯電させるバイアスである。本実施形態では、帯電バイアスVcは、正のバイアスである。
【0071】
現像バイアス印加回路120は、現像ローラ61に現像バイアスVdを印加する回路であり、現像ローラ61に接続されている。現像バイアスVdは、現像ローラ61上に担持されたトナーを、現像ローラ61から感光ドラム52上の静電潜像に移動させるバイアスである。現像バイアスVdは、帯電バイアスVcと同極性のバイアスである。本実施形態では、現像バイアスVdは、正のバイアスである。
【0072】
転写バイアス印加回路130は、転写ローラ74に転写バイアスVtを印加する回路であり、転写ローラ74に接続されている。転写バイアスVtは、感光ドラム52上のトナーを、感光ドラム52からシートSまたは転写ベルト73に移動させるバイアスである。転写バイアスVtは、帯電バイアスVcと逆極性のバイアスである。本実施形態では、転写バイアスVtは、負のバイアスである。
【0073】
ドラムクリーニングバイアス印加回路140は、クリーニングローラ55に回収バイアスVaを印加する回路であり、クリーニングローラ55に接続されている。回収バイアスVaは、転写後に感光ドラム52上に残った転写残トナーを、感光ドラム52からクリーニングローラ55に移動させるバイアスである。回収バイアスVaは、帯電バイアスVcと逆極性のバイアスである。本実施形態では、回収バイアスVaは、負のバイアスである。
【0074】
また、ドラムクリーニングバイアス印加回路140は、クリーニングローラ55に吐出バイアスVbを印加可能である。吐出バイアスVbは、クリーニングローラ55が回収したトナーを、クリーニングローラ55から感光ドラム52に移動させるバイアスである。吐出バイアスVbは、帯電バイアスVcと同極性のバイアスである。本実施形態では、吐出バイアスVbは、正のバイアスである。
【0075】
ベルトクリーニングバイアス印加回路150は、ベルトクリーニングローラ91にベルトクリーニングバイアスVbcを印加する回路であり、ベルトクリーニングローラ91に接続されている。ベルトクリーニングバイアスVbcは、転写ベルト73上に付着したトナーを、転写ベルト73からベルトクリーニングローラ91に移動させるバイアスである。ベルトクリーニングバイアスVbcは、帯電バイアスVcと逆極性のバイアスである。本実施形態では、ベルトクリーニングバイアスVbcは、負のバイアスである。
【0076】
紙粉回収バイアス印加回路160は、紙粉回収ローラ56に紙粉回収バイアスVpを印加する回路であり、紙粉回収ローラ56に接続されている。紙粉回収バイアスVpは、クリーニングローラ55Y上に付着した紙粉を、クリーニングローラ55Yから紙粉回収ローラ56に移動させるバイアスである。本実施形態では、紙粉回収バイアスVpは、正のバイアスである。
【0077】
制御部100は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備える。制御部100は、ROMなどに記憶されたプログラム、データに基づいて演算処理を実行することで、制御を実行する。内部温湿度センサ101(
図1参照)は、筐体2(画像形成装置1)内の、温度および湿度を検出するセンサである。外部温湿度センサ102は、筐体2(画像形成装置1)外の、温度および湿度を検出するセンサである。内部温湿度センサ101および外部温湿度センサ102は、制御部100に接続され、検出結果を制御部100に出力する。
【0078】
制御部100は、カラー印刷モードと、モノクロ印刷モードとを実行可能である。カラー印刷モードは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いてシートSにカラー画像を形成するモードである。モノクロ印刷モードは、ブラックのトナーのみを用いてシートSにモノクロ画像を形成するモードである。
【0079】
制御部100は、カラー印刷モードにおいて、カラー画像転写動作を実行する。カラー画像転写動作は、現像ローラ61Kを接触位置に位置させ、現像ローラ61Y,61M,61Cを接触位置に位置させてシートSにカラー画像を転写する動作である。言い換えると、カラー画像転写動作は、すべての現像ローラ61を接触位置に位置させてシートSにカラー画像を転写する動作である。
【0080】
画像形成装置1は、印刷の指令や画像データを含む印刷ジョブが入力される前の待機状態にあるとき、すべての現像ローラ61が離間位置に位置している(
図3(a)参照)。
制御部100は、カラー印刷モードを実行する場合、接触離間機構200を制御して、4つの現像ローラ61を離間位置から接触位置に移動させる(
図3(c)参照)。
【0081】
次に、制御部100は、感光ドラム52を回転させながら、感光ドラム52の表面を帯電ローラ53によって帯電させる。このとき、制御部100は、帯電バイアス印加回路110を制御して、帯電バイアスVcを帯電ローラ53に印加する。
【0082】
次に、制御部100は、帯電後の感光ドラム52の表面を露光ユニット40からの画像データに基づく光ビームによって露光することで、感光ドラム52上に画像データに基づく静電潜像を形成する。
【0083】
次に、制御部100は、感光ドラム52に、現像ローラ61からトナーを供給して感光ドラム52上の静電潜像を可視像化することで、感光ドラム52上にトナー像を形成する。このとき、制御部100は、現像バイアス印加回路120を制御して、現像バイアスVdを現像ローラ61に印加する。
【0084】
次に、制御部100は、シート供給部3から供給されたシートSを、感光ドラム52と転写ベルト73との間で搬送することで、感光ドラム52上に形成されたトナー像をシートSにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に転写する。このとき、制御部100は、転写バイアス印加回路130を制御して、転写バイアスVtを転写ローラ74に印加する。
【0085】
次に、制御部100は、トナー像が転写されたシートSを、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間で搬送することで、シートSにトナー像を定着してシートSにカラー画像を形成する。
【0086】
シートSの片面のみに画像を形成する場合、制御部100は、画像が形成されたシートSを、第1搬送ローラ8A、第2搬送ローラ8Bおよび排出ローラ8Cによって排出トレイ2Bに排出する。
【0087】
シートSの両面に画像を形成する場合、制御部100は、シートSが排出ローラ8Cにニップされている状態で、排出ローラ8Cと第2搬送ローラ8Bを逆回転させ、シートSを再搬送経路8Eに案内する。その後、制御部100は、シートSを、第3搬送ローラ8Dとシート供給機構3Cとによって再び画像形成部4に供給し、画像形成部4でシートSに画像を形成する。そして、制御部100は、両面に画像が形成されたシートSを、第1搬送ローラ8A、第2搬送ローラ8Bおよび排出ローラ8Cによって排出トレイ2Bに排出する。
【0088】
制御部100は、モノクロ印刷モードにおいて、モノクロ画像転写動作を実行する。モノクロ画像転写動作は、現像ローラ61Kを接触位置に位置させ、現像ローラ61Y,61M,61Cを離間位置に位置させてシートSにモノクロ画像を転写する動作である。言い換えると、モノクロ画像転写動作は、現像ローラ61Kのみを接触位置に位置させてシートSにモノクロ画像を転写する動作である。
【0089】
制御部100は、モノクロ印刷モードを実行する場合、接触離間機構200を制御して、現像ローラ61Kのみを離間位置から接触位置に移動させる(
図3(b)参照)。
【0090】
次に、制御部100は、感光ドラム52を回転させながら、感光ドラム52の表面を帯電ローラ53によって帯電させる。このとき、制御部100は、帯電バイアス印加回路110を制御して、帯電バイアスVcを帯電ローラ53に印加する。
【0091】
次に、制御部100は、帯電後の感光ドラム52Kの表面を露光ユニット40からの画像データに基づく光ビームによって露光することで、感光ドラム52K上に画像データに基づく静電潜像を形成する。制御部100は、感光ドラム52Y,52M,52Cについては、露光しない。
【0092】
次に、制御部100は、感光ドラム52Kに、現像ローラ61Kからトナーを供給して感光ドラム52上の静電潜像を現像することで、感光ドラム52K上にトナー像を形成する。このとき、制御部100は、現像バイアス印加回路120を制御して、現像バイアスVdを現像ローラ61Kに印加する。制御部100は、現像ローラ61Y,61M,61Cについては、現像バイアスVdを印加しない。
【0093】
次に、制御部100は、シート供給部3から供給されたシートSを、感光ドラム52と転写ベルト73との間で搬送することで、感光ドラム52K上に形成されたブラックのトナー像をシートSに転写する。このとき、制御部100は、転写バイアス印加回路130を制御して、転写バイアスVtを転写ローラ74に印加する。
【0094】
次に、制御部100は、トナー像が転写されたシートSを、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間で搬送することで、シートSにトナー像を定着してシートSにモノクロ画像を形成する。
【0095】
シートSの片面のみに画像を形成する場合、制御部100は、画像が形成されたシートSを排出トレイ2Bに排出する。シートSの両面に画像を形成する場合、制御部100は、シートSを、再び画像形成部4に供給し、画像形成部4でシートSに画像を形成し、両面に画像が形成されたシートSを排出トレイ2Bに排出する。
【0096】
制御部100は、第1クリーニング動作と、第2クリーニング動作とを実行可能である。
第1クリーニング動作は、感光ドラム52を回転させながら、転写後に感光ドラム52上に残った転写残トナーをクリーニングローラ55で回収する動作である。制御部100は、カラー画像転写動作を実行しているとき、および、モノクロ画像転写動作を実行しているときのそれぞれにおいて、第1クリーニング動作を実行可能である。
【0097】
第1クリーニング動作では、制御部100は、感光ドラム52K上のトナー像をシートSに転写するときに、回収バイアスVaをクリーニングローラ55Kに印加して、感光ドラム52K上の転写残トナーをクリーニングローラ55Kによって回収させる。また、制御部100は、感光ドラム52Y,52M,52C上のトナー像をシートSに転写するときに、回収バイアスVaをクリーニングローラ55Y,55M,55Cに印加して、感光ドラム52Y,52M,52C上の転写残トナーをクリーニングローラ55Y,55M,55Cによって回収させる。
【0098】
第2クリーニング動作は、感光ドラム52を回転させながら、クリーニングローラ55が回収したトナーを感光ドラム52および転写ベルト73を介してベルトクリーナ90で回収する動作である。制御部100は、カラー画像転写動作の後、および、モノクロ画像転写動作の後のそれぞれにおいて、第2クリーニング動作を実行する。
【0099】
第2クリーニング動作では、制御部100は、感光ドラム52、転写ベルト73を回転させながら、現像ローラ61を離間位置に位置させる。次に、制御部100は、クリーニングローラ55に吐出バイアスVbを印加し転写ローラ74に転写バイアスVtを印加し、ベルトクリーニングローラ91にベルトクリーニングバイアスVbcを印加する。
【0100】
これにより、制御部100は、クリーニングローラ55上のトナーを感光ドラム52に移動させ、感光ドラム52上トナーを転写ベルト73に移動させ、転写ベルト73上のトナーをベルトクリーニングローラ91に移動させる。ベルトクリーニングローラ91上に移動したトナーは、回収ローラ92とブレード93とによって貯留部94内に回収される。
【0101】
図4に示すように、画像形成装置1は、帯電電流検知回路111をさらに備え、ドラムユニット50は、メモリ58をさらに有する。
帯電電流検知回路111は、帯電電流を検知する回路である。帯電電流は、帯電バイアス印加回路110により帯電ローラ53に所定の電圧を印加したときに帯電ローラ53に流れる電流である。帯電電流検知回路111は、制御部100に接続され、検知結果を制御部100に出力する。
【0102】
メモリ58は、ICチップなどの情報を記憶する媒体であり、感光ドラム52および帯電ローラ53に関する情報を記憶している。一例として、メモリ58は、感光ドラム52を製造したメーカの情報、感光ドラム52の種別情報、帯電ローラ53を製造したメーカの情報、帯電ローラ53の種別情報などを記憶している。
【0103】
メモリ58は、ドラムユニット50が新品であるか否かの情報をさらに記憶している。制御部100は、ドラムユニット50が筐体2に装着されてフロントカバー2A(
図1参照)が閉じられた場合に、メモリ58から、ドラムユニット50が新品であるか否かの情報を読み取り、装着されたドラムユニット50が新品であるか否かを判定する。
【0104】
制御部100は、帯電電流検知動作と、帯電バイアス決定動作とをさらに実行可能である。帯電電流検知動作は、感光ドラム52を回転させながら、帯電電流を検知する動作である。帯電バイアス決定動作は、帯電電流検知動作において検知した帯電電流に基づいて帯電バイアスVcを決定する動作である。制御部100は、帯電ローラ53Y,53M,53C,53Kごとに、帯電電流検知動作および帯電バイアス決定動作を実行して、帯電バイアスVcを決定する。
【0105】
制御部100は、第2クリーニング動作の実行中に、帯電電流検知動作を実行する。具体的には、制御部100は、第2クリーニング動作の実行中において、クリーニングローラ55から感光ドラム52にトナーを移動させる動作を開始してから、回転時間T10と、移動時間T20とが経過した後に、帯電電流検知動作を開始する。
【0106】
本実施形態では、制御部100は、クリーニングローラ55に吐出バイアスVbを印加した時点から回転時間T10が経過し、回転時間T10が経過した時点からさらに移動時間T20が経過した後に、帯電電流検知動作を開始する。回転時間T10は、クリーニングローラ55が1回転する時間である。移動時間T20は、感光ドラム52の回転によって感光ドラム52の、クリーニングローラ55と対向する部分P1が、帯電ローラ53と対向する位置P2まで移動する時間である。
【0107】
図5に示すように、制御部100は、帯電電流検知動作において、第1帯電電流C1と、第2帯電電流C2と、第3帯電電流C3とを検知する。第1帯電電流C1は、帯電バイアス印加回路110により帯電ローラ53に第1電圧V1を印加したときに帯電ローラ53に流れる電流である。
【0108】
制御部100は、帯電電流検知動作において、ドラムユニット50が新品でないと判定した場合は、帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスVcに基づいて第1電圧V1を設定する。本実施形態では、制御部100は、帯電電流検知動作において、ドラムユニット50が新品でないと判定した場合は、前回の帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスVcを第1電圧V1に設定する。
【0109】
制御部100は、帯電電流検知動作において、ドラムユニット50が新品であると判定した場合は、ドラムユニット50のメモリ58に記憶された、感光ドラム52および帯電ローラ53に関する情報に基づいて第1電圧V1を設定する。本実施形態では、制御部100は、ドラムユニット50が新品であると判定した場合は、メモリ58から、感光ドラム52の種別情報と帯電ローラ53の種別情報を読み出す。
【0110】
制御部100は、読み出した種別情報と、画像形成装置1のROMに記憶されたテーブルとに基づいて、帯電バイアスの初期値Vc0を決定する。制御部100は、ドラムユニット50が新品に交換された後の最初の画像形成時に帯電ローラ53に帯電バイアスVc0を印加する。制御部100は、最初の画像形成の後の帯電電流検知動作において、帯電バイアスの初期値Vc0を第1電圧V1に設定する。
【0111】
第2帯電電流C2は、帯電バイアス印加回路110により帯電ローラ53に第2電圧V2を印加したときに帯電ローラ53に流れる電流である。第2電圧V2は、第1電圧V1に所定値Vxを足した電圧である。第3帯電電流C3は、帯電バイアス印加回路110により帯電ローラ53に第3電圧V3を印加したときに帯電ローラ53に流れる電流である。第3電圧V3は、第1電圧V1から所定値Vxを引いた電圧である。
【0112】
制御部100は、帯電バイアス決定動作において、第1帯電電流C1、第2帯電電流C2および第3帯電電流C3から算出した直線近似式Laと、基準電流CTとに基づいて帯電バイアスVcを決定する。具体的には、制御部100は、まず、第1帯電電流C1、第2帯電電流C2および第3帯電電流C3から直線近似式Laを算出する。そして、制御部100は、直線近似式Laの基準電流CTに対応する電圧を、新たな帯電バイアスVcに決定する。
【0113】
制御部100は、帯電バイアス決定動作において新たに決定した帯電バイアスVcを、ドラムユニット50のメモリ58(
図4参照)に記憶させる。本実施形態では、制御部100は、帯電バイアスVcを、ドラムユニット50のメモリ58から読み出し、画像形成に用いたり、帯電電流検知動作の第1電圧V1に設定したりする。
【0114】
制御部100は、第3クリーニング動作をさらに実行可能である。第3クリーニング動作は、印刷ジョブが入力された後、感光ドラム52にトナー像を形成する前に、感光ドラム52上のトナーをクリーニングローラ55で回収する動作である。制御部100は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行する場合、第3クリーニング動作を実行する。
【0115】
本実施形態では、制御部100は、印刷ジョブが入力された場合であって、ドラムユニット50が新品でないと判定した場合に、第3クリーニング動作を実行する。言い換えると、制御部100は、印刷ジョブが入力された場合であっても、ドラムユニット50が新品であると判定した場合は、第3クリーニング動作を実行しない。
【0116】
制御部100は、第3クリーニング動作を、感光ドラム52上のトナーをクリーニングローラ55で回収させる動作を開始してから、実行時間Tgの間、実行する。具体的には、制御部100は、第3クリーニング動作を、感光ドラム52を回転させながらクリーニングローラ55に回収バイアスVaを印加した時点から、実行時間Tgの間、実行する。
【0117】
制御部100は、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、第3クリーニング動作の実行時間Tgを長くする。また、制御部100は、画像形成装置1内の温度が大きいほど、第3クリーニング動作の実行時間Tgを長くする。さらに、制御部100は、画像形成を終了した後、次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど、第3クリーニング動作の実行時間Tgを長くする。
【0118】
本実施形態では、制御部100は、画像形成を終了して感光ドラム52が停止した後、次の画像形成を開始するまでのドラム停止時間が所定以上である場合に、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、実行時間Tgを長くする。また、制御部100は、ドラム停止時間が所定以上である場合に、画像形成装置1内の温度が大きいほど、実行時間Tgを長くする。
【0119】
さらに、制御部100は、ドラム停止時間が所定以上である場合に、ドラム停止時間が長いほど、実行時間Tgを長くする。制御部100は、画像形成装置1の電源がONの状態で、感光ドラム52が停止した場合、感光ドラム52が停止した時点からの時間(ドラム停止時間)をカウントする。
【0120】
ドラム停止時間が所定以上である場合とは、例えば、(1)カウントしたドラム停止時間が所定以上である、(2)画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下である、(3)画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下である、(4)画像形成装置1がスリープモードである、などを少なくとも1つ満たした場合である。スリープモードとは、加熱ローラ81を加熱するヒータをOFF状態とするモードであり、制御部100は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せず、予め設定した時間が経過した場合にスリープモードを実行する。
【0121】
一例として、制御部100は、ドラム停止時間が所定以上である場合、
図6(a)に示す第1テーブルに基づいて、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、実行時間Tgを長くする。具体的には、制御部100は、まず、画像形成装置1内の湿度および温度と、第1テーブルとに基づいて、ΔTg1を取得する。そして、制御部100は、第3クリーニング動作の実行時間の初期値Tg0から、取得したΔTg1を足した時間を、実行時間Tgに設定する。第1テーブルは、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、ΔTg1が大きくなるように設定されている。
【0122】
なお、参照するテーブルに示した具体的な数値は、値の大小を示すだけのものであり、制御に用いる実際の値を示すものではない。
【0123】
また、制御部100は、ドラム停止時間が所定以上である場合、
図6(b)に示す第2テーブルに基づいて、カウントしたドラム停止時間が長いほど、実行時間Tgを長くする。具体的には、制御部100は、まず、カウントしたドラム停止時間と、第2テーブルとに基づいて、ΔTg2を取得する。そして、制御部100は、第3クリーニング動作の実行時間の初期値Tg0から、取得したΔTg2を足した時間を、実行時間Tgに設定する。第2テーブルは、ドラム停止時間が長いほど、ΔTg2が大きくなるように設定されている。
【0124】
また、制御部100は、ドラム停止時間が所定以上である場合であって、画像形成装置1の電源がON状態となってから最初の画像形成である場合、
図6(c)に示す第3テーブルに基づいて、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、実行時間Tgを長くする。具体的には、制御部100は、まず、画像形成装置1内の湿度および温度と、第3テーブルとに基づいて、ΔTg3を取得する。そして、制御部100は、第3クリーニング動作の実行時間の初期値Tg0から、取得したΔTg3を足した時間を、実行時間Tgに設定する。
【0125】
第3テーブルは、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、ΔTg3が大きくなるように設定されている。ここでのドラム停止時間が所定以上である場合とは、例えば、(1)画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下である、(2)画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下である、などを少なくとも1つ満たした場合である。
【0126】
制御部100は、ドラム停止時間が所定未満である場合、第3クリーニング動作の実行時間の初期値Tg0を、実行時間Tgに設定する。初期値Tg0および各テーブルは、画像形成装置1のROMに記憶されている。
【0127】
次に、制御部100の動作の一例について、フローチャートおよびタイミングチャートを参照しながら説明する。
図7に示すように、制御部100は、印刷ジョブが入力された場合、ドラムユニット50が新品であるか否かを判定する(S11)。
【0128】
ドラムユニット50が新品である場合(S11,Yes)、制御部100は、感光ドラム52を回転させるとともに、帯電バイアスVc、転写バイアスVt、回収バイアスVa、ベルトクリーニングバイアスVbcを印加する(S12)。このときの帯電バイアスVcは、初期値Vc0である。
【0129】
その後、制御部100は、画像形成に用いる現像ローラ61を離間位置から接触位置に移動させ(S21)、シートSへの画像形成および第1クリーニング動作を実行する(S22)。
【0130】
ステップS11において、ドラムユニット50が新品でない場合(No)、制御部100は、感光ドラム52を回転させるとともに、帯電バイアスVc、転写バイアスVt、回収バイアスVa、ベルトクリーニングバイアスVbcを印加して、第3クリーニング動作を開始する(S13)。このときの帯電バイアスVcは、前回の帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスVcである。
【0131】
また、制御部100は、第3クリーニング動作の実行時間Tgを設定する(S14)。具体的には、
図9に示すように、制御部100は、ドラム停止時間が所定以上であるか否かを判定する(S141)。一例として、制御部100は、印刷ジョブが入力された時点の、画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下であり、かつ、画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下であるか否かを判定する。
【0132】
ドラム停止時間が所定以上である場合(S141,Yes)、制御部100は、画像形成装置1の電源がON状態となってから最初の画像形成であるか否かを判定する(S142)。具体的には、制御部100は、画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下であり、かつ、画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下である場合、電源ON後、最初の画像形成であるか否かを判定する。
【0133】
最初の画像形成でない場合(S142,No)、制御部100は、画像形成装置1内の湿度および温度と、
図6(a)に示す第1テーブルとに基づいて、ΔTg1を設定する(S143)。また、制御部100は、カウントしたドラム停止時間と、
図6(b)に示す第2テーブルとに基づいて、ΔTg2を設定する(S144)。その後、制御部100は、初期値Tg0にΔTg1とΔTg2とを足した時間を実行時間Tgに設定する(S145)。
【0134】
ステップS142において、電源ON後、最初の画像形成である場合(Yes)、制御部100は、画像形成装置1内の湿度および温度と、
図6(c)に示す第3テーブルとに基づいて、ΔTg3を設定する(S146)。その後、制御部100は、初期値Tg0にΔTg3を足した時間を実行時間Tgに設定する(S147)。
【0135】
ステップS141において、ドラム停止時間が所定以上でない場合(No)、制御部100は、初期値Tg0を実行時間Tgに設定する(S148)。具体的には、制御部100は、画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値よりも大きい場合、または、画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値よりも大きい場合、初期値Tg0を実行時間Tgに設定する。
【0136】
実行時間Tgを設定したら、
図7に示すように、制御部100は、回収バイアスVaを印加した時点から実行時間Tgが経過したか否かを判定する(S15)。制御部100は、実行時間Tgが経過していない場合(S15,No)、経過するまで待ち、所定時間が経過した場合(S15,Yes)、第3クリーニング動作を終了し、画像形成に用いる現像ローラ61を離間位置から接触位置に移動させる(S21)。
【0137】
その後、制御部100は、シートSへの画像形成および第1クリーニング動作を実行する(S22)。画像形成が終了したら、制御部100は、現像ローラ61を接触位置から離間位置に移動させる(S23)。
【0138】
その後、
図8および
図11に示すように、制御部100は、帯電バイアスVcL、吐出バイアスVbを印加して、第2クリーニング動作を開始する(S31,t11)。帯電バイアスVcLは、第2クリーニングの実行中に、クリーニングローラ55から感光ドラム52に移動したトナーが、感光ドラム52から帯電ローラ53に移動しないようにするために、帯電ローラ53に印加されるバイアスである。
【0139】
制御部100は、クリーニングローラ55に吐出バイアスVbを、所定の吐出時間T30(t11~t17)の間、印加する。吐出時間T30は、クリーニングローラ55上のトナーを、クリーニングローラ55から感光ドラム52に十分に移動させることが可能な時間に設定されている。一例として、吐出時間T30は、クリーニングローラ55が9回転する時間である。
【0140】
制御部100は、吐出バイアスVbを印加した時点(t11)から回転時間T10が経過し、さらに移動時間T20が経過したか否かを判定する(S32)。制御部100は、回転時間T10と移動時間T20が経過していない場合(S32,No)、経過するまで待ち、経過した場合(S32,Yes)、帯電電流検知動作を開始する(S100,t13)。
【0141】
具体的には、
図10(a)および
図11に示すように、制御部100は、帯電ローラ53に第3電圧V3を印加し(S101)、第3帯電電流C3を検知する(S102,t13~t14)。次に、制御部100は、帯電ローラ53に第1電圧V1を印加し(S103)、第1帯電電流C1を検知する(S104,t14~t15)。次に、制御部100は、帯電ローラ53に第2電圧V2を印加し(S105)、第2帯電電流C2を検知する(S106,t15~t16)。
【0142】
第2帯電電流C2を検知したら、
図8および
図11に示すように、制御部100は、帯電ローラ53に帯電バイアスVcLを印加する(S34,t16)。そして、制御部100は、帯電バイアスVcLを印加した時点から第1時間T1が経過したか否かを判定する(S35)。第1時間T1が経過した場合(S35,Yes)、制御部100は、吐出バイアスVbの印加を停止して、回収バイアスVaを印加する(S36,t17)。
【0143】
吐出バイアスVbの印加を停止することで、クリーニングローラ55上のトナーが感光ドラム52に移動しなくなる。第1時間T1は、帯電電流C1~C3を検知して帯電電流検知動作が終了した時点から、吐出時間T30が経過するまでの時間である。なお、吐出時間T30の長さによっては、第1時間T1を0としてもよい。言い換えると、制御部100は、第2帯電電流C2を検知して帯電電流検知動作が終了しときに吐出バイアスVbの印加を停止する構成であってもよい。
【0144】
次に、制御部100は、吐出バイアスVbの印加を停止した時点から第2時間T2が経過したか否かを判定する(S37)。言い換えると、制御部100は、吐出時間T30が経過した時点から第2時間T2が経過したか否かを判定する。第2時間T2が経過した場合(S37,Yes)、制御部100は、転写バイアスVtの印加を停止する(S38,t18)。これにより、感光ドラム52上のトナーが転写ベルト73に移動しなくなる。
【0145】
第2時間T2は、感光ドラム52Yの、クリーニングローラ55Yと対向する部分が、感光ドラム52Yの回転によって、転写ベルト73と対向する位置まで移動する時間と、転写ベルト73の、感光ドラム52Yと対向する部分が、転写ベルト73の回転によって、感光ドラム52Kと対向する位置まで移動する時間との和以上の長さの時間である。
【0146】
次に、制御部100は、転写バイアスVtの印加を停止した時点から第3時間T3が経過したか否かを判定する(S39)。第3時間T3が経過した場合(S39,Yes)、制御部100は、感光ドラム52を停止させるとともに、帯電バイアスVcL、回収バイアスVa、ベルトクリーニングバイアスVbcの印加を停止して、第2クリーニング動作を終了する(t19)。
【0147】
ベルトクリーニングバイアスVbcの印加を停止することで、転写ベルト73上のトナーがベルトクリーナ90(
図1参照)のベルトクリーニングローラ91に移動しなくなる。第3時間T3は、転写ベルト73の、感光ドラム52Kと対向する部分が、転写ベルト73の回転によって、ベルトクリーニングローラ91と対向する位置まで移動する時間以上の長さの時間である。
【0148】
図10(b)に示すように、制御部100は、帯電バイアス決定動作において、帯電電流検知動作で検知した第1帯電電流C1、第2帯電電流C2および第3帯電電流C3から直線近似式Laを算出する(S201)。そして、制御部100は、直線近似式Laと基準電流CTとに基づいて帯電バイアスVcを決定する(S202)。
【0149】
制御部100は、決定した帯電バイアスVcをドラムユニット50のメモリ58に記憶させる(S203)。帯電バイアス決定動作を実行するタイミングは、次に帯電バイアスVcを用いるタイミングに間に合えば、いつ実行してもよい。例えば、帯電電流検知動作を実行した直後に実行してもよい。
【0150】
上述の画像形成装置1によれば、第2クリーニング動作の実行中に帯電電流検知動作を実行することで、シートSに画像を形成しない状況で感光ドラム52の回転回数が無駄に増えるのを抑制できる。これにより、回転によって進行する感光ドラム52の損耗を抑制できる。また、第2クリーニング動作の実行中に帯電電流検知動作を実行することで、第2クリーニング動作と帯電電流検知動作を別に実行する場合と比較して、ユーザが待つ時間を短くできる。
【0151】
第2クリーニング動作の実行中において回転時間T10と移動時間T20が経過した後に帯電電流検知動作を開始することで、感光ドラム52上のトナーを少なくした状態で帯電電流C1,C2,C3を検知できる。これにより、帯電電流C1,C2,C3が感光ドラム52上のトナーの影響を受けにくいため、帯電バイアスVcを精度良く決定できる。
【0152】
3つの帯電電流C1,C2,C3から算出した直線近似式Laに基づいて帯電バイアスVcを決定することで、検知した3つの帯電電流C1,C2,C3の近傍において帯電バイアスVcを精度良く決定できる。
【0153】
ドラムユニット50が新品であると判定した場合にドラムユニット50のメモリ58に記憶された情報に基づいて第1電圧V1を設定することで、ドラムユニット50を新品に交換した場合において、ドラムユニット50が有する帯電ローラ53に適した第1電圧V1を設定できる。これにより、帯電バイアスVcを精度良く決定できる。
【0154】
決定した帯電バイアスVcをドラムユニット50のメモリ58に記憶させることで、メモリ58に記憶された帯電バイアスVcの情報から、ドラムユニット50の状態を判断できる。例えば、ドラムユニット50がリサイクル可能であるか否かを判断できる。
【0155】
第3クリーニング動作を実行して画像形成前に感光ドラム52上のトナーをクリーニングローラ55で回収することで、次の画像形成時に、帯電ローラ53に帯電バイアスVcを印加したときに、感光ドラム52上のトナーに電荷が集中するのを抑制できる。
【0156】
画像形成装置1内の湿度が大きいほど第3クリーニング動作の実行時間Tgを長くすることで、湿度が大きい環境で水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム52上のトナーをしっかり回収できる。これにより、次の画像形成時に感光ドラム52上のトナーに電荷が集中するのを抑制できる。
【0157】
ドラム停止時間が長いほど第3クリーニング動作の実行時間Tgを長くすることで、長い時間の放置により水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム52上のトナーをしっかり回収できる。これにより、次の画像形成時に感光ドラム52上のトナーに電荷が集中するのを抑制できる。
【0158】
図11に示したように、吐出時間T30が経過した時点から第2時間T2が経過した時刻t18において転写バイアスVtの印加を停止することで、転写ローラ74に転写バイアスVtを印加する時間を必要最小限にできる。これにより、電力消費量を節約できる。また、転写バイアスVtの印加による、転写ローラ74の劣化を抑制できる。これにより、転写ローラ74の寿命を長くできる。
【0159】
なお、
図11に仮想線で示すように、制御部100は、吐出時間T30が経過した時点から第2時間T2と第3時間T3とが経過した時刻t19において、転写バイアスVtの印加を停止する構成であってもよい。第2クリーニング動作が終了するまで転写バイアスVtの印加を継続することで、転写ベルト73上のトナーが感光ドラム52に移動するのを防止できる。これにより、画質を向上できる。
【0160】
以上、実施形態について説明したが、画像形成装置は以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0161】
例えば、第1の変形例として、制御部100は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過し、その後、印刷ジョブが入力されて画像形成を実行する場合、印加帯電バイアス設定動作を実行する構成であってもよい。印加帯電バイアス設定動作は、画像形成時に帯電ローラ53に実際に印加する帯電バイアスVcを、直前の帯電バイアス決定動作で決定した帯電バイアスVcの大きさよりも小さい大きさの帯電バイアスに設定する動作である。
【0162】
以下では、画像形成時に帯電ローラ53に実際に印加する帯電バイアスVcを「印加バイアスVc」といい、直前の帯電バイアス決定動作で決定した帯電バイアスVcを「基準バイアスVcD」という。
【0163】
制御部100は、ドラムユニット50が新品であると判定した場合、ドラムユニット50のメモリ58から、感光ドラム52の種別情報と帯電ローラ53の種別情報を読み出す。制御部100は、読み出した種別情報と、画像形成装置1のROMに記憶されたテーブルとに基づいて、印加バイアスVcを、帯電バイアスの初期値Vc0に設定する。
【0164】
制御部100は、画像形成を終了した後、所定時間が経過する前に、印刷ジョブが入力されて画像形成を実行する場合、印加バイアスVcを、基準バイアスVcDに設定する。
【0165】
制御部100は、画像形成を終了した後、所定時間が経過した後に、印刷ジョブが入力されて画像形成を実行する場合、印加帯電バイアス設定動作を実行する。所定時間が経過した場合とは、例えば、(1)カウントしたドラム停止時間が所定以上である、(2)画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下である、(3)画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下である、(4)画像形成装置1がスリープモードである、などを少なくとも1つ満たした場合である。
【0166】
制御部100は、印加帯電バイアス設定動作において、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、印加バイアスVcの大きさを小さくする。また、制御部100は、印加帯電バイアス設定動作において、画像形成装置1内の温度が大きいほど、印加バイアスVcの大きさを小さくする。さらに、制御部100は、印加帯電バイアス設定動作において、画像形成を終了した後、次の画像形成を開始するまでの時間が長いほど、印加バイアスVcの大きさを小さくする。
【0167】
一例として、制御部100は、
図12(a)に示す第4テーブルに基づいて、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、印加バイアスVcの大きさを小さくする。具体的には、制御部100は、まず、画像形成装置1内の湿度および温度と、第4テーブルとに基づいて、ΔVc1を取得する。そして、制御部100は、基準バイアスVcDから、取得したΔVc1を引いたものを印加バイアスVcに設定する。第4テーブルは、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、ΔVc1が大きくなるように設定されている。
【0168】
また、制御部100は、
図12(b)に示す第5テーブルに基づいて、カウントしたドラム停止時間が長いほど、印加バイアスVcの大きさを小さくする。具体的には、制御部100は、まず、カウントしたドラム停止時間と、第5テーブルとに基づいて、ΔVc2を取得する。そして、制御部100は、基準バイアスVcDから、取得したΔVc2を引いたものを印加バイアスVcに設定する。第2テーブルは、ドラム停止時間が長いほど、ΔVc2が大きくなるように設定されている。
【0169】
また、制御部100は、画像形成を終了した後、所定時間が経過した後に画像形成を実行する場合において、画像形成装置1の電源がON状態となってから最初の画像形成である場合、
図12(c)に示す第6テーブルに基づいて、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、印加バイアスVcの大きさを小さくする。
【0170】
具体的には、制御部100は、まず、画像形成装置1内の湿度および温度と、第6テーブルとに基づいて、ΔVc3を取得する。そして、制御部100は、基準バイアスVcDから、取得したΔVc3を引いたものを印加バイアスVcに設定する。第3テーブルは、画像形成装置1内の湿度が大きいほど、また、画像形成装置1内の温度が大きいほど、ΔVc3が大きくなるように設定されている。
【0171】
ここでの所定時間が経過した場合とは、例えば、(1)画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下である、(2)画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下である、などを少なくとも1つ満たした場合である。
【0172】
制御部100は、帯電ローラ53に、印加帯電バイアス設定動作で設定した印加バイアスVcを印加して、所定枚数のシートSに画像を形成した後は、帯電ローラ53に、基準バイアスVcDを印加して、シートSに画像を形成する。
【0173】
具体的には、制御部100は、印加バイアスVcを設定した後は、帯電ローラ53に印加バイアスVcを印加して、シートSに画像を形成する。そして、制御部100は、総印刷枚数が所定枚数になった後は、帯電ローラ53に基準バイアスVcDを印加して、シートSに画像を形成する。なお、制御部100は、総印刷枚数が所定枚数になる前に、印加帯電バイアス設定動作を実行して、印加バイアスVcを再設定した場合は、印刷枚数をリセットする。
【0174】
次に、第1の変形例における印加バイアスVcの設定について、フローチャートを参照しながら説明する。
図13に示すように、制御部100は、印刷ジョブが入力された場合、ドラムユニット50が新品であるか否かを判定する(S301)。
【0175】
ドラムユニット50が新品でない場合(S301,No)、制御部100は、画像形成を終了した後、所定時間が経過しているか否かを判定する(S302)。一例として、制御部100は、印刷ジョブが入力された時点の、画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下であり、かつ、画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下であるか否かを判定する。
【0176】
所定時間が経過している場合(S302,Yes)、制御部100は、画像形成装置1の電源がON状態となってから最初の画像形成であるか否かを判定する(S303)。具体的には、制御部100は、画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下であり、かつ、画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下である場合、電源ON後、最初の画像形成であるか否かを判定する。
【0177】
最初の画像形成でない場合(S303,No)、制御部100は、画像形成装置1内の湿度および温度と、
図12(a)に示す第4テーブルとに基づいて、ΔVc1を設定する(S304)。また、制御部100は、カウントしたドラム停止時間と、
図12(b)に示す第5テーブルとに基づいて、ΔVc2を設定する(S144)。その後、制御部100は、印加バイアスVcを、基準バイアスVcDから、ΔVc1とΔVc2とを引いたものに設定する(S306)。
【0178】
ステップS303において、電源ON後、最初の画像形成である場合(Yes)、制御部100は、画像形成装置1内の湿度および温度と、
図12(c)に示す第6テーブルとに基づいて、ΔVc3を設定する(S307)。その後、制御部100は、制御部100は、印加バイアスVcを、基準バイアスVcDから、ΔVc3を引いたものに設定する(S308)。
【0179】
ステップS302において、所定時間が経過していない場合(No)、制御部100は、印加バイアスVcを基準バイアスVcDに設定する(S309)。具体的には、制御部100は、画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値よりも大きい場合、または、画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値よりも大きい場合、印加バイアスVcを基準バイアスVcDに設定する。また、ステップS301において、ドラムユニット50が新品である場合(Yes)、制御部100は、印加バイアスVcを初期値Vc0に設定する(S310)。
【0180】
所定時間が経過した後の画像形成時に、帯電ローラ53に、基準バイアスVcDよりも小さい大きさの印加バイアスVcを印加することで、感光ドラム52上の付着物に電荷が集中するのを抑制できる。
【0181】
画像形成装置1内の湿度が大きいほど印加バイアスVcの大きさを小さくすることで、画像形成時に、湿度が大きい環境で水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム52上の付着物に電荷が集中するのを抑制できる。
【0182】
ドラム停止時間が長いほど印加バイアスVcの大きさを小さくすることで、画像形成時に、長い時間の放置により水分を吸収して電気抵抗が下がった、感光ドラム52上の付着物に電荷が集中するのを抑制できる。
【0183】
なお、印加バイアスVcは、例えば、基準バイアスVcDから定数を引いたり、基準バイアスVcDに定数を掛けたりして、大きさを、基準バイアスVcDよりも小さくしたものであってもよい。言い換えると、印加バイアスVcは、画像形成装置1内の湿度、ドラム停止時間などによって変化しないものであってもよい。
【0184】
第2の変形例として、制御部100は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過し、その後、画像形成を実行する場合、感光ドラム52にトナー像を形成する前に、帯電電流検知動作および帯電バイアス決定動作を実行する構成であってもよい。
【0185】
制御部100は、印刷ジョブが入力された場合において、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過している場合、感光ドラム52にトナー像を形成する前に、帯電電流検知動作および帯電バイアス決定動作を実行する。所定時間が経過している場合とは、例えば、(1)カウントしたドラム停止時間が所定以上である、(2)画像形成装置1の内外の温度差が温度差閾値以下である、(3)画像形成装置1の内外の湿度差が湿度差閾値以下である、(4)画像形成装置1がスリープモードである、などを少なくとも1つ満たした場合である。
【0186】
制御部100は、前回の画像形成を終了してから所定時間が経過している状況で、印刷ジョブが入力された場合、感光ドラム52を回転させるとともに、帯電ローラ53に第3電圧V3を印加して、第3帯電電流C3を検知する。次に、制御部100は、帯電ローラ53に第1電圧V1を印加して、第1帯電電流C1を検知する。さらに、制御部100は、帯電ローラ53に第2電圧V2を印加して、第2帯電電流C2を検知する。第1電圧V1は、例えば、前回の画像形成時に帯電ローラ53に印加した帯電バイアスVcである。
【0187】
帯電電流C1,C2,C3を検知したら、制御部100は、直線近似式Laを算出し、直線近似式Laと基準電流CTとに基づいて、新たな帯電バイアスVcを決定する。その後、制御部100は、帯電ローラ53に、新たに決定した帯電バイアスVcを印加し、感光ドラム52にトナー像を形成して、シートSに画像を形成する。
【0188】
画像形成装置1が所定時間以上放置されていた後の画像形成時において、トナー像を形成する前に帯電電流検知動作および帯電バイアス決定動作を実行することで、画像形成装置1の状態に応じた最適な帯電バイアスVcを決定できる。これにより、画像形成装置1が所定時間以上放置されていた後の画像形成時における画質の低下を抑制できる。
【0189】
前記実施形態では、ドラム停止時間が所定以上である場合に、湿度、温度が大きいほど、第3クリーニング動作の実行時間Tgを長くしたが、例えば、ドラム停止時間が所定以上である場合か否かに関わらず、湿度、温度が大きいほど、第3クリーニング動作の実行時間を長くしてもよい。同様に、ドラム停止時間が所定以上である場合か否かに関わらず、ドラム停止時間が長いほど、第3クリーニング動作の実行時間を長くしてもよい。また、第3クリーニング動作の実行時間は、一定の時間(定数)であってもよい。
【0190】
また、制御部は、画像形成を終了した後、次の画像形成を実行せずに所定時間が経過し、その後、画像形成を実行する場合に第3クリーニング動作を実行する構成であってもよい。言い換えると、制御部は、画像形成装置が所定時間以上放置されていた場合に第3クリーニング動作を実行する構成であってもよい。画像形成装置は、第3クリーニング動作を実行しない構成であってもよい。
【0191】
前記実施形態では、帯電バイアス決定動作において決定した帯電バイアスVcをドラムユニット50のメモリ58に記憶させたが、例えば、決定した帯電バイアスVcをドラムユニット50のメモリ58に記憶させない構成であってもよい。
【0192】
前記実施形態では、ドラムユニット50が新品であると判定した場合は、ドラムユニット50のメモリ58から読み出した種別情報と、画像形成装置1のROMに記憶されたテーブルとに基づいて、帯電バイアスの初期値Vc0を決定し、第1電圧V1を設定した。しかし、例えば、ドラムユニットのメモリに帯電バイアスの初期値自体を記憶させておき、ドラムユニットが新品であると判定した場合は、ドラムユットのメモリから読み出した帯電バイアスの初期値を第1電圧に設定してもよい。
【0193】
また、例えば、ドラムユニットが新品であると判定した場合は、ドラムユニットのメモリに記憶された情報に基づくことなく、画像形成装置のROMに記憶された帯電バイアスの初期値を第1電圧に設定してもよい。ドラムユニット(カートリッジ)は、メモリを備えない構成であってもよい。
【0194】
前記実施形態では、帯電電流検知動作で検知した3つの帯電電流C1~C3に基づいて帯電バイアスVcを決定したが、例えば、帯電電流検知動作で検知した4つ以上の帯電電流に基づいて帯電バイアスを決定してもよい。
【0195】
前記実施形態では、第2クリーニング動作の実行中において、クリーニングローラ55から感光ドラム52にトナーを移動させる動作を開始してから、回転時間T10と、移動時間T20とが経過した後に、帯電電流検知動作を開始した。しかし、例えば、第2クリーニング動作の開始と同時に帯電電流検知動作を開始してもよい。
【0196】
前記実施形態では、無端状のベルトが、感光ドラム52との間でシートSを搬送する転写ベルト73であったが、例えば、ベルトは、感光ドラムから転写されたトナー像をシートなどに転写する中間転写ベルトであってもよい。また、前記実施形態では、感光ドラム52に形成されたトナー像が転写される被転写体が、シートSであったが、例えば、被転写体は、中間転写ベルトであってもよい。言い換えると、被転写体は、無端状のベルトであってもよい。
【0197】
前記実施形態では、画像形成装置1がカラープリンタであったが、例えば、画像形成装置は、感光ドラム、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、クリーニングローラなどを1つずつ備えるモノクロプリンタであってもよい。また、前記実施形態では、画像形成装置1がプリンタであったが、例えば、画像形成装置は、複写機であってもよいし、複合機であってもよい。
【0198】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0199】
1 画像形成装置
2 筐体
50 ドラムユニット
52 感光ドラム
53 帯電ローラ
55 クリーニングローラ
58 メモリ
61 現像ローラ
73 転写ベルト
74 転写ローラ
90 ベルトクリーナ
100 制御部
110 帯電バイアス印加回路
S シート