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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115444
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/284 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
G01F23/284
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021144
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】豊田 直樹
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014FC01
(57)【要約】
【課題】既存の容器をそのまま使用することができ、収容物の複数の残量を検知可能なセンサモジュールを提供する。
【解決手段】収容物が収容された容器1の開口部2に取付けられたキャップ3の外側に配置され、筐体10に収容されたセンサモジュール100は、センサ部20とレンズ部32を備える。センサ部20は、送受信部21、及び演算部を有する。センサモジュール100において、送受信部21は、電波を送信する送信部21aと電波を受信する受信部21bとを有し、送信部21aは、キャップ3を通過して容器の内部空間1aに到達する電波を送信し、受信部21bは、内部空間1aにおいて電波が収容物5で反射した後の反射波を受信し、演算部は、送信部21aから電波を送信してから受信部21bで反射波が受信されるまでの時間に基づいて、収容物5の残量を演算する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物が収容された容器の開口部に取付けられたキャップの外側に配置され、筐体に収容されたセンサモジュールであって、
センサ部とレンズ部とを備え、
前記センサ部は、電波を送信する送信部と前記電波を受信する受信部とを含む送受信部、及び演算部を有し、
前記送信部は、前記キャップを通過して前記容器の内部空間に到達する前記電波を送信し、
前記受信部は、前記内部空間において前記電波が前記収容物で反射した後の反射波を受信し、
前記レンズ部は、前記センサ部の前記送受信部に対向するように配置されると共に、前記電波及び前記反射波を通過させる底壁を有しており、
前記演算部は、前記送信部から前記電波を送信してから前記受信部で前記反射波が受信されるまでの時間に基づいて、前記収容物の残量を演算するセンサモジュール。
【請求項2】
前記レンズ部の底壁は、前記キャップの上面に当接している請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記筐体は係合部を有し、
前記キャップは被係合部を有し、
前記係合部と前記被係合部とが係合されることにより、前記容器に対して着脱可能に固定され、
前記レンズ部は、前記キャップに一体的に形成されている請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記レンズ部は、前記キャップの上面に向かう方向の付勢力を発揮する付勢手段によって前記筐体に対して支持されている請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記筐体は係合部を有し、
前記キャップは被係合部を有し、
前記係合部と前記被係合部とが係合されることにより、前記筐体と前記キャップとにより形成される閉塞空間は、水密状態になる請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記筐体は、前記容器に対して固定される被係合部材の被係合部に係合可能な係合部を有し、
前記係合部と前記被係合部とが係合されることにより、前記筐体と前記被係合部材と前記キャップとにより形成される閉塞空間は、水密状態になる請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
電源部と外部通信部とを更に備え、
前記電源部は、前記センサ部及び前記外部通信部へ電力を供給する機能を有し、
前記外部通信部は、前記演算部で演算された前記収容物の前記残量を無線信号により外部に無線送信する請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、北海道などの寒冷地においては、建物内の主な暖房器具の燃料として灯油が用いられている。冬場に暖房器具を継続して使用するために、暖房器具への灯油の供給源として、屋外に設置され、屋外から屋内の暖房器具に灯油を供給することができる燃料タンクが用いられることが多い。しかしながら、暖房器具を継続して使用するためには、燃料タンク内の灯油が空になってから補充するのではなく、灯油が空になる前に補充することが望ましい。そのため、に燃料タンクには専用の残量検知センサが取付けられているものもがある。
【0003】
特許文献1には、フォトセンサを使用して燃料タンク内の灯油が所定量以下になったことを検知する非接触微小位置変化検知センサが開示されている。非接触微小位置変化検知センサは、燃料タンクの残量表示器の周りにハウジングを嵌着して用いることにより、燃料タンク内の灯油の残量を検知する残量検知センサとして用いられる。残量表示器には、燃料タンク内の灯油の残量変化に伴って上下方向に移動するフロート式のインジケータが備えられており、このインジケータを被測定物としてその位置変化をフォトセンサで検知することにより、燃料タンク内の灯油が所定量以下になったことを検知する。また、特許文献1には、この検知信号が、燃料タンクを特定するIDと共に、電話回線などの公衆通信網を介して、燃料タンクを管理する燃料販売店や管理会社に送信されることが開示されている。これにより、燃料タンク内の灯油が空になる前に、新たな灯油を補充することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-234673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の非接触微小位置変化検知センサは、フォトセンサを一つだけ備えているので、灯油が所定量以下になったか否かしか検知できない。仮に、複数の所定量を検知するためには、所望の所定量の数だけフォトセンサを必要とする。この場合、複数の所定量の検知分解能をフォトセンサの高さ以下にするには、フォトセンサをインジケータの移動方向(上下方向)とは異なる方向(例えば周方向)にずらして複数配置しなければならない。このため、非接触微小位置変化検知センサのサイズが大きくなってしまう。また、既設の燃料タンクの全てがフロート式のインジケータを有する残量表示器を備えているわけではないので、そのような残量表示器を備えていない燃料タンクにおいては、特許文献1に記載の非接触微小位置変化検知センサでは灯油が所定量以下になったことを検知できないおそれがある。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存の容器(燃料タンク)をそのまま使用することができ、収容物(灯油)の複数の残量(所定量)を検知可能なセンサモジュールを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るセンサモジュールの一つの実施形態は、収容物が収容された容器の開口部に取付けられたキャップの外側に配置され、筐体に収容されたセンサモジュールであって、センサ部とレンズ部とを備え、前記センサ部は、電波を送信する送信部と電波を受信する受信部とを含む送受信部、及び演算部を有し、前記送信部は、前記キャップを通過して前記容器の内部空間に到達する前記電波を送信し、前記受信部は、前記内部空間において前記電波が前記収容物で反射した後の反射波を受信し、前記レンズ部は、前記センサ部の前記送受信部に対向するように配置されると共に、前記電波及び前記反射波を通過させる底壁を有しており、前記演算部は、前記送信部から前記電波を送信してから前記受信部で前記反射波が受信されるまでの時間に基づいて、前記収容物の残量を演算する。
【0008】
本実施形態によると、センサモジュールをキャップの外側に配置するので、既存の容器にセンサモジュールを配置するために容器を改造する必要がなく、そのままの状態で容器内に収容される収容物の残量を演算することができる。また、電波を用いて収容物の残量を演算するので、インジケータの位置を計測する場合とは異なり、収容物の複数の残量を容易に検知(演算)することができる。さらに、電波を直接収容物に反射させて電波を受信するまでの時間を演算することで収容物の残量を演算するので、一つのセンサモジュールで収容物の複数の残量を高分解能で検知することができる。
【0009】
本開示に係るセンサモジュールの他の一つの実施形態において、前記レンズ部の底壁は、前記キャップの上面に当接している。
【0010】
本実施形態によると、レンズ部の底壁がキャップの上面に当接しているので、送信部から送信される電波及び電波が収容物で反射した反射波がキャップの上面とレンズ部の底壁との境界で反射するのを抑制することができる。
【0011】
本開示に係るセンサモジュールの他の一つの実施形態において、前記筐体は係合部を有し、前記キャップは被係合部を有し、前記係合部と前記被係合部とが係合されることにより、前記容器に対して着脱可能に固定され、前記レンズ部は、前記キャップに一体的に形成されている。
【0012】
本実施形態によると、レンズ部をキャップや筐体等に支持させるための作業を必要とせずに、レンズ部とキャップの隙間をなくすことができる。
【0013】
本開示に係るセンサモジュールの他の一つの実施形態において、前記レンズ部は、前記キャップの上面に向かう方向の付勢力を発揮する付勢手段によって前記筐体に対して支持されている。
【0014】
本実施形態によると、仮にセンサモジュールがキャップから離間する方向に移動したとしても、レンズ部の底壁をキャップの上面に当接させ続けることができる。
【0015】
本開示に係るセンサモジュールの他の一つの実施形態において、前記筐体は係合部を有し、前記キャップは被係合部を有し、前記係合部と前記被係合部とが係合されることにより、前記筐体と前記キャップとにより形成される閉塞空間は、水密状態になる。
【0016】
本実施形態によると、センサモジュールが屋外に配置されていた場合でも、閉塞空間内に雨水が浸入することがない。
【0017】
本開示に係るセンサモジュールの他の一つの実施形態において、前記筐体は、前記容器に対して固定される被係合部材の被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部と前記被係合部とが係合されることにより、前記筐体と前記被係合部材と前記キャップとにより形成される閉塞空間は、水密状態になる。
【0018】
本実施形態によると、被係合部材を用いることで、容器やキャップを改造することなくセンサモジュールを容器に対して着脱可能に固定することができる。また、センサモジュールが屋外に配置されていた場合でも、閉塞空間内に雨水が浸入することがない。
【0019】
本開示に係るセンサモジュールの他の一つの実施形態において、電源部と外部通信部とを更に備え、前記電源部は、前記センサ部及び前記外部通信部へ電力を供給する機能を有し、前記外部通信部は、前記演算部で演算された前記収容物の前記残量を無線信号により外部に無線送信する。
【0020】
本実施形態によると、センサモジュールは外部電源を使用することなく駆動し続けることができると共に、容器の内部を目視等で確認することなく容器から離れた場所で収容物の残量を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るセンサモジュールと燃料タンクとを分離した状態を示す分解図である。
図2】センサモジュールの分解斜視図である。
図3】センサモジュールの分解斜視図である。
図4】燃料タンクに取付けられたセンサモジュールを示す断面図である。
図5】燃料タンクに取付けられた第1実施形態の変形例に係るセンサモジュールを示す断面図である。
図6】第2実施形態に係るセンサモジュールと燃料タンクとを分離した状態を示す分解図である。
図7】センサモジュールの分解斜視図である。
図8】センサモジュールの分解斜視図である。
図9】燃料タンクに取付けられたセンサモジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示に係るセンサモジュールの実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に記載される実施形態は、センサモジュールを説明するための例示であり、センサモジュールをこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本開示に係るセンサモジュールは、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0023】
〔第1実施形態〕
〔センサモジュールの構成〕
図1に示されるように、第1実施形態に係るセンサモジュール100は、燃料タンク1(容器の一例)の開口部2を閉塞するキャップ3の外側に取付けられ、筐体10に収容されて使用する。燃料タンク1は、タンク本体1b(容器本体の一例)と、タンク本体1bから突出した円筒形状の開口部2とを含んでいる。タンク本体1bの内部空間1aは、開口部2の内側空間と連通しており、灯油5(収容物の一例)は開口部2から注がれて内部空間1aに供給される。これにより、内部空間1aには、灯油5が貯留される。センサモジュール100は、燃料タンク1の内部空間1aに貯留された灯油5の残量を検出する。キャップ3は、樹脂からなり、開口部2に螺合されて開口部2を閉塞する。
【0024】
図2から図4に示されるように、センサモジュール100は、センサ部20とレンズ部32を備えている。センサ部20は、送受信用IC21(送受信部の一例)と、演算用IC22(演算部の一例)と、を含んで構成されている。
【0025】
図2図3に示されるように、送受信用IC21と演算用IC22とは、第1基板40の板面の異なる面にそれぞれ実装されている。送受信用IC21は送信部21aと受信部21bとを有する。なお、送受信用IC21と演算用IC22は、第1基板40の同一面に実装されていてもよい。
【0026】
送受信用IC21の送信部21aは送信する信号を変調した電波を外部に送信する機能を有し、受信部21bは外部からの電波を復調して信号を受信する機能を有する。送受信用IC21は、送信部21aから送信した電波を受信部21bで受信することができる。第1基板40に実装された送受信用IC21は、送信する信号を変調して送信部21aの送信アンテナ(不図示)から電波を送信すると共に、受信部21bの受信アンテナ(不図示)から受信した電波を復調する。演算用IC22は、送信アンテナから送信した電波が受信アンテナで受信されるまでの時間に基づいて、燃料タンク1の内部空間1aに貯留された灯油5の残量を演算する機能を有する。
【0027】
センサモジュール100は、電源用IC61と電池部62とを含む電源部60を有する。電源用IC61は、第1基板40の演算用IC22が実装された面と同じ面に実装されている。電池部62は、電池62aと電池62aを保持する電池ソケット62bとを含んで構成されている。電池62aが保持された電池ソケット62bは第2基板50の板面に実装されている。第1基板40に実装された送受信用IC21、演算用IC22、及び電源用IC61は、第2基板50に実装された電池62aから電力の供給を受けて作動する。なお、電源用IC61は、第1基板40の演算用IC22が実装された面と異なる面に実装されてもよい。また、センサモジュール100が第2基板50を備えない場合は、電池ソケット62bは第1基板40に実装されるように構成されてもよい。
【0028】
第2基板50の電池部62が実装された面と同じ面には、外部通信用IC90(外部通信部の一例)が実装されており、外部通信用IC90で生成された信号を外部に送信する外部通信アンテナ91が第2基板50の外部通信用IC90が実装された面と同じ面上にパターンで形成されている。外部通信アンテナ91は、パターンではなく、専用のアンテナ部品を用いて構成してもよい。
【0029】
図2図4に示されるように、第1基板40と第2基板50とは、接続部材80により電気的に接続されている。接続部材80は、FFC(Flexible Flat Cable)やFPC(Flexible Printed Circuit)等、第1基板40と第2基板50との間を電気的に接続するものであればよい。このとき、第1基板40と第2基板50には、接続部材80の両端が電気的に接続されるコネクタ82が実装されている。すなわち、第1基板40に実装されたコネクタ82、接続部材80、第2基板50に実装されたコネクタ82により、第1基板40と第2基板50とは電気的に接続される。なお、上記の構成に代えて、電線とプラグからなるハーネスと第1基板40と第2基板50のそれぞれに実装されるレセプタクルとにより構成されていてもよいし、基板対基板接続用コネクタで構成されていてもよいし、その他の構成であってもよい。
【0030】
レンズ部32は、基板ホルダ30に一体的に形成されている。基板ホルダ30は樹脂からなり、底壁31と底壁31の外縁から立設した周壁33を含む有底の円筒形状を有する。基板ホルダ30は、第1基板40と後述する第2基板50とを保持する。基板ホルダ30は、レンズ部32は、基板ホルダ30の底面から開口側に向けて隆起した形状を有する。第1基板40は、送受信用IC21がレンズ部32の頂面32aに当接するように、基板ホルダ30に固定される。すなわち、レンズ部32は、第1基板40を基板ホルダ30に固定したときに、送受信用IC21が頂面32aに当接する程度の高さだけ隆起している。なお、底壁31はレンズ部32の一部を構成する。
【0031】
基板ホルダ30の周壁33には、周壁33の立設方向に沿って延出する複数(本実施形態では四本)の支持ボス34が、周方向で均等になるように配置されている。第1基板40と第2基板50とは、支持ボス34で支持されることにより、基板ホルダ30に対して固定される。第1基板40と第2基板50には、支持ボス34に対応する箇所に貫通孔が形成されており、該貫通孔を支持ボス34が貫通している。支持ボス34は複数でなくても、一本であってもよい。なお、支持ボス34は、基板ホルダ30と一体的に形成されてもよいし、基板ホルダ30に対して圧入や接着等の方法により配置されていてもよい。
【0032】
支持ボス34により第1基板40及び第2基板50を基板ホルダ30に固定する方法としては、例えば、支持ボス34の先端を加熱して溶融させ、第2基板50に熱溶着してもよい。また、支持ボス34の先端を割ピン形状にして第1基板40及び第2基板50を固定してもよい。若しくは、支持ボス34の先端に雌ねじを形成し、雄ねじで固定してもよい。第1基板40及び第2基板50を基板ホルダ30に固定することができれば、任意の方法を採ることができる。
【0033】
支持ボス34に支持された状態で、第1基板40と第2基板50との間には、支持ボス34に挿通されたスペーサ42が配置されている。このスペーサ42により、第1基板40と第2基板50とは、互いに離間して配置される。また、上記の構成に代えて、支持ボス34の外径について、基端部を大径にすると共に先端部を小径にして、基端部と先端部との間に段差を設けてもよい。そして、第1基板40には支持ボス34の基端部に挿通可能な内径の貫通孔を形成し、第2基板50には支持ボス34の先端部に挿通可能だが基端部に挿通不可能な内径の貫通孔を形成する。これにより、第1基板40と第2基板50とを支持ボス34に挿通したときに、第2基板50は支持ボス34の基端部と先端部との間の段差に支持されるので、スペーサ42がなくても第1基板40と第2基板50とは離間した状態で固定される。なお、第1基板40と第2基板50とは異なる外径を持つ別々の支持ボス34により配置されていてもよい。この場合にも、スペーサ42は不要となる。
【0034】
センサモジュール100が第2基板50を備えている場合、第1基板40及び第2基板50は、少なくとも1本の支持ボス34と、第1基板40と第2基板50の対向する板面の距離を一定に保つためのスペーサ42とを用いることにより、キャップ3に対して固定されていてもよい(図4参照)。また、第1基板40は少なくとも1本の支持ボス34を用いることによりキャップ3に対して固定されており、第2基板50はその他の支持ボス(不図示)を用いることによりキャップ3に対して固定されていてもよい。さらに、第1基板40及び第2基板50は、いずれもその他の方法によりキャップ3に対して固定されていてもよい。「キャップ3に対して固定される」とは、キャップ3に直接固定される場合と、他の部材を介してキャップ3に間接的に固定される場合の両方を含むことを意味する。また、支持ボス34及び/又はその他の支持ボスは、キャップ3と一体的に形成されてもよいし、レンズ部32と一体的に形成されていてもよいし、別体であってもよい。
【0035】
第1基板40に実装された送受信用IC21(不図示の送信アンテナ及び受信アンテナを有している)は基板ホルダ30に覆われている。ここで、「基板ホルダ30に覆われる」とは、図4に示されるように、基板ホルダ30の周壁33と第1基板40とが当接して送受信用IC21が基板ホルダ30の内部に完全に収容された場合を含む。ただし、それだけではなく、基板ホルダ30の周壁33と第1基板40との間に間隙を有する場合も含む。この場合、基板ホルダ30の周壁33と第1基板40との隙間から、送受信用IC21、不図示の送信アンテナ、及び不図示の受信アンテナの少なくとも一部が視認可能となる。
【0036】
基板ホルダ30は、例えば両面テープによってキャップ3に固定することが可能である。具体的には、基板ホルダ30の底壁31をキャップ3の上面3cに当接させる。基板ホルダ30をキャップ3に固定する方法としては、例えば接着剤により固定してもよいし、その他の方法で固定してもよい。基板ホルダ30がキャップ3に固定されることで、支持ボス34で基板ホルダ30に固定されている第1基板40及び第2基板50も、キャップ3及び燃料タンク1に対して固定される。基板ホルダ30をキャップ3に固定することで、燃料タンク1の種類によりキャップ3の高さが異なる場合であっても、基板ホルダ30の底壁31を確実にキャップ3の上面3cに当接させることができる。
【0037】
レンズ部32は、センサ部20の送受信用IC21に対向する位置に配置されており、送受信用IC21とレンズ部32の頂面32aとは密着している。しかし、送受信用IC21とレンズ部32の頂面32aとは離間していてもよい。また、本実施形態においては、レンズ部32は、厚みや形状を変えることによりレンズ機能を有している。基板ホルダ30がレンズ部32を有することにより、送受信用IC21からの電波の送受信の効率を高めることができる。具体的には、レンズ部32は、底壁31から開口側に向かうほど外径が小さくなる三つの円柱を積層して構成されている。なお、本実施形態におけるレンズ部32は凸レンズ形状であるが、凹レンズ形状であってもよい。目的に応じて任意のレンズ形状を採ることができる。また、基板ホルダ30のレンズ部32はレンズ機能を有していなくてもよい。
【0038】
キャップ3は、蓋部3aと固定部3bを有する。蓋部3aは、有底の円筒形状を有しており、内側面に雌ねじが形成されている。該雌ねじと燃料タンク1の開口部2の外側面に形成された雄ねじとを螺合することにより、キャップ3を燃料タンク1に固定する。蓋部3aの底部は基板ホルダ30が固定される上面3cである。固定部3bは、蓋部3aの側面から径外方向に延出している。固定部3bの外縁は、径方向に対して立設した周壁3dになっており、周壁3dの内周面には雌ねじ3e(被係合部の一例)が形成されている。
【0039】
筐体10は、樹脂又は金属からなり、内径がキャップ3の外径よりも大きい有底の円筒形状を有している。筐体10の周壁10aの外周面には、雄ねじ10b(係合部の一例)が形成されている。キャップ3に基板ホルダ30とセンサモジュール100とが固定された状態で、筐体10の雄ねじ10bとキャップ3の雌ねじ3eとを螺合する。筐体10の周壁10aとキャップ3の固定部3bの周壁3dとの境界には環状のシール15が配置されており(図4参照)、これにより、キャップ3と筐体10とにより閉塞され、センサモジュール100が収容される第1空間11(閉塞空間の一例)は、水密状態に維持する構造とすることが可能である。
【0040】
キャップ3の固定部3bの雌ねじ3eと筐体10の周壁10aの雄ねじ10bとを逆にしてもよい。具体的には、固定部3bの周壁3dの外周面に雄ねじ(被係合部の一例)を形成すると共に筐体10の周壁10aに雌ねじ(係合部の一例)を形成し、雄ねじと雌ねじとを螺合する。このとき、筐体10の周壁10aと固定部3bの周壁3dとの境界には環状のシール15が配置されている。このような構造によっても、キャップ3と筐体10とにより閉塞され、センサモジュール100が収容される第1空間11を、水密状態に維持することが可能である。水密状態を維持するためのシール15はOリングであってもよいし、コーキング剤であってもよいし、撥水材を螺合部に塗布していてもよいし、その他の方法を使用してもよい。なお、図2図3においては、シール15の描写は省略されている。
【0041】
〔センサモジュールの動作〕
次に、センサモジュール100の動作について、図4を用いて説明する。燃料タンク1のキャップ3の外側に配置されたセンサモジュール100は、所定の時間毎(例えば10分毎)に、第1基板40に実装された送受信用IC21で生成された送信パルス信号が、変調されて送受信用IC21の不図示の送信アンテナから燃料タンク1の内部空間1aに向けて電波となって送信される。送信アンテナは、樹脂製のレンズ部32とキャップ3とを透過し、かつ灯油5で反射されるようなミリ波の電波を送信する。当該電波は例えば電磁パルスである。燃料タンク1の内部空間1aに入射した電波は、灯油5の液面5aで反射され、反射波となってセンサモジュール100に向かう。反射波はキャップ3とレンズ部32とを透過し、不図示の受信アンテナで受信される。受信アンテナで受信された反射波(電磁パルス)は復調されて受信パルス信号となった後に演算用IC22に入力される。演算用IC22では、電磁パルスが送信アンテナから送信されてから反射波が受信アンテナで受信されるまでの時間(以下、伝搬時間ともいう)を計測し、当該伝搬時間に基づいて、燃料タンク1の内部空間1a内の灯油5の残量を演算する。演算用IC22は、予め燃料タンク1の内部空間1aに灯油5が上限となる量(以下、満量ともいう)まで十分貯留されたときの伝搬時間(以下、満量伝搬時間ともいう)を記憶しており、満量伝搬時間と伝搬時間との比若しくは差から灯油5の残量を演算する。残量の演算は、満了伝搬時間との伝搬時間との比較に拘らず、灯油5が空の状態や50%の状態の伝搬時間を記憶しておき、これに基づいて残量を演算するように構成してもよい。
【0042】
演算用IC22は、燃料タンク1内の灯油5の残量が例えば満量の50%以下(以下、所定量以下ともいう)となったとき、灯油5の残量を示す信号を出力する。演算用IC22から出力された信号は、接続部材80を介して外部通信用IC90に入力される。外部通信用IC90は、演算用IC22から灯油5の残量を示す信号が入力されると、センサモジュール100の外部に向けて、当該灯油5の残量と当該燃料タンク1を表す固有番号とが含まれる無線信号を外部通信アンテナ91から送信する。当該無線信号を受信した燃料販売店や管理会社は、燃料タンク1における灯油5の残量を把握する。なお、演算用IC22から出力される信号、若しくは外部通信用IC90から送信された無線信号は、灯油5の残量ではなく、灯油5の満量に対する残量の比率であってもよい。
【0043】
センサモジュール100を用いることにより、燃料販売店や管理会社は、燃料タンク1の灯油5が所定量以下になったときに、外部通信アンテナ91から送信される無線信号を店や会社で受信することで、10分毎に灯油5の残量を把握することができる。これにより、燃料販売店や管理会社は燃料タンク1の設置箇所を巡回訪問して灯油5の残量を計量する必要がなくなる。燃料タンク1の灯油5の残量が所定量以下であることを把握した燃料販売店や管理会社は、燃料タンク1への灯油5の補充を適切に行うことができる。また、燃料タンク1の所有者が自宅で外部通信アンテナ91から送信される無線信号を受信することで、10分毎に灯油5の残量を把握することができるので、所有者は、燃料タンク1の灯油5の残量が所定量以下になった場合に燃料販売店や管理会社に灯油5の補充を依頼することができる。
【0044】
〔センサモジュールの効果〕
本実施形態のセンサモジュール100によると、センサモジュール100をキャップ3の外側に配置するので、既存の燃料タンク1にセンサモジュール100を配置するために燃料タンク1を改造する必要がなく、そのままの状態で燃料タンク1内に収容された灯油5の残量を演算することができる。また、電波を用いて灯油5の残量を演算するので、従来のようにインジケータの位置を計測する場合とは異なり、灯油5の複数の残量を容易に検知(演算)することができる。さらに、電波を直接灯油5に反射させて電波を受信するまでの時間を演算することで灯油5の残量を演算するので、一つのセンサモジュール100で灯油5の残量を高分解能で検知することができる。
【0045】
本実施形態のセンサモジュール100によると、レンズ部32の底壁31がキャップ3の上面3cに当接した状態で、センサモジュール100をキャップ3に対して安定して固定することができる。また、センサ部20の送受信用IC21を基板ホルダ30のレンズ機能を有する底壁31を含むレンズ部32に対向する位置に配置することができるので、送信部21aから送信される電波及び電波が灯油5で反射した反射波がキャップ3の上面3cと底壁31を含むレンズ部32を連続して通過する際、キャップ3の上面3cとレンズ部32の底壁31との境界で電波が反射するのを抑制することができる。
【0046】
本実施形態のセンサモジュール100によると、仮に燃料タンク1の種類によりキャップ3の高さが異なる場合でも、基板ホルダ30の底壁31をキャップ3の上面3cに当接させ続けることができると共に、センサ部20の送受信用IC21をレンズ機能を有するレンズ部32の底壁31に対向する位置に配置することができるので、電波の送受信の効率を高めることができる。
【0047】
本実施形態のセンサモジュール100によると、センサモジュール100が屋外に配置されていた場合でも、第1空間11内に雨水が浸入することがない。
【0048】
本実施形態のセンサモジュール100によると、燃料タンク1の内部を目視等で確認することなく燃料タンク1から離れた場所で灯油5の残量を知ることができる。
【0049】
本実施形態のセンサモジュール100によると、電波にミリ波を用いることで、電波が樹脂を透過することができる。このため、燃料タンク1の樹脂製のキャップ3においては、センサモジュール100をキャップ3の外側に配置しても、キャップ3越しに燃料タンク1内の灯油5の残量を演算することができる。電波が赤外線や可視光などの光である場合、キャップ3を通過させるにはキャップの一部又は全部を、透明又は半透明の樹脂で形成するかキャップに穴をあけなければならないが、電波にミリ波を使用することで、キャップ3は透明又は半透明の材料を使用することや穴をあける必要はなく、既存のキャップ3に使用される光を透過しない有色の絶縁材料で形成されていてもよく、穴をあけて水密性を阻害することもない。仮にキャップが金属製である場合は、燃料タンク1のメーカーが専用品として販売している樹脂製のキャップ3に交換することで、キャップ3越しに燃料タンク1内の灯油5の残量を演算できるようになるので、開口部2に対するキャップ3の取付け状態の安全面における信頼性は、燃料タンク1のメーカーによって保証される。このため、燃料タンク1としての従来機能の信頼性を損なうことはない。
【0050】
〔第1実施形態の変形例〕
次に、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。本変形例は、図5に示されるように、キャップ3と基板ホルダ30とが一体化されている点で第1実施形態と異なる。それ以外は第1実施形態と同様の構成を有している。そのため、本変形例の説明においては、第1実施形態と同様の構成の箇所については同じ符号を付し、同様の構成に関する詳細な説明を省略する。
【0051】
本変形例によると、キャップ3と基板ホルダ30とが一体化されているので、第1実施形態の基板ホルダ30の底壁31の底面に相当する箇所が、キャップ3の上面3cになっている。本変形例では、基板ホルダ30をキャップ3の上面3cに固定するための工数を必要とせずに、基板ホルダ30の底壁31とキャップ3の上面3cとの隙間をなくすことができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図6から図9を用いて説明する。本実施形態においては、キャップ3、筐体10の構成、及び第1基板40と第2基板50の支持方法が第1実施形態とは異なっている。それ以外は第1実施形態と同様の構成を有している。そのため、本実施形態の説明においては、第1実施形態と同様の構成の箇所については同じ符号を付し、同様の構成に関する詳細な説明を省略する。
【0053】
図7から図9に示されるように、本実施形態に係るセンサモジュール100は、筐体10、センサ部20、レンズ部32、カバー35、及び蓋18を含んで構成されている。筐体10は、樹脂又は金属からなり、内径がキャップ3の外径よりも大きい円筒形状を有している。筐体10の円筒内の空間は、仕切壁13により第1空間11(閉塞空間の一例)と第2空間12とに区画されている。仕切壁13は、第1空間11から第2空間12に向かう断面矩形状の凹部13aを有している。凹部13aの底壁13bには、第1空間11と第2空間12とを連通する矩形状の貫通孔である連通孔14が形成されている。
【0054】
センサ部20を構成する送受信用IC21、送信アンテナ21c(送受信部及び送信部の一例)、受信アンテナ21d(送受信部及び受信部の一例)、及び演算用IC22は、第1基板40の板面の同じ側に実装されている。第1基板40の両側の板面のうち、センサ部20を構成する素子が実装された板面と反対側の板面は、底壁13bに対向している。すなわち、センサ部20を構成する素子が実装された第1基板40の板面は、筐体10の底壁13bに対向していない。第1基板40は、筐体10の第1空間11の凹部13aに収容されている(図9参照)。第1基板40の外形は凹部13aの内寸よりも少し小さい。第1基板40は、4つの圧縮コイルばね44(付勢手段の一例)によって底壁13bに対して支持されている。
【0055】
レンズ部32は、カバー35に形成されている。カバー35は、樹脂からなり、有底角筒状を有しており、第1空間11の凹部13aに嵌め込まれ、第1基板40を内部に収容している。すなわち、第1基板40に実装された送受信用IC21、送信アンテナ21c、受信アンテナ21d、及び演算用IC22はカバー35に覆われている。ここで、カバー35に覆われるとは、図9に示されるように、カバー35が第1基板40の全体が内部に収容された場合だけではなく、第1基板40の全体がカバー35の内部に収容されていない場合も含む。具体的には、カバー35が第1基板40に対して間隙を有して配置されており、カバー35の側面と第1基板40との隙間から、送受信用IC21、送信アンテナ21c、受信アンテナ21d、及び演算用IC22の少なくとも一つの少なくとも一部が視認可能な場合も含む。
【0056】
カバー35は、例えば爪46aを有する割ピンである支持ピン46を4本用いることにより、凹部13aの底壁13bに支持されている。具体的には、4本の支持ピン46は、カバー35の外側からカバー35、第1基板40、底壁13bにそれぞれ形成された4つの孔を貫通し、支持ピン46の先端の爪46aが第2空間12側の仕切壁13に引っ掛けられて支持される。このとき、第1基板40と底壁13bとの間の4本の支持ピン46には、4つの圧縮コイルばね44がそれぞれ挿通されている。カバー35及び第1基板40は、圧縮コイルばね44の弾性力により、底壁13bから離間する方向に押圧され、送信アンテナ21cの先端及び受信アンテナ21dの先端がカバー35の底壁35aに押し付けられて密着している。また、カバー35を圧縮コイルばね44で押圧することにより、燃料タンク1の種類によりキャップ3の高さが異なる場合であっても、カバー35、送信アンテナ21c及び受信アンテナ21dを確実にキャップ3の上面3cに密着させることができる。なお、カバー35及び第1基板40は、支持ピン46の代わりにねじにより底壁13bに固定されていてもよい。また、送信アンテナ21cの先端及び受信アンテナ21dの先端の少なくとも一方がカバー35の底壁35aから離間していてもよい。
【0057】
本実施形態においては、送信アンテナ21cの先端及び受信アンテナ21dの先端に対向するカバー35の底壁35aの厚みを変えてレンズ部32を形成すること等により、カバー35の底壁35aにレンズ機能を持たせている。底壁35aがレンズ機能を有することにより、電波の送受信の効率を高めることができる。本実施形態におけるレンズ部32は凸レンズ形状であるが、凹レンズ形状であってもよい。目的に応じて任意のレンズ形状を採ることができる。なお、カバー35の底壁35aはレンズ機能を有していなくてもよい。
【0058】
筐体10の第2空間12には、第2基板50が収容されている。第1基板40と第2基板50とは、連通孔14に配置された接続部材80により電気的に接続されている。第2基板50には、センサモジュール100を作動させる電源である電池62aと電池ソケット62bとを含む電池部62、及び外部通信用IC90が実装されており、外部通信用IC90で生成された信号を外部に送信する外部通信アンテナ91が第2基板50上にパターンで形成されている。第2基板50は、4本のねじ52により仕切壁13に固定されている。
【0059】
第2空間12を区画する筐体10の周壁10aの内周面には、雌ねじ12bが形成されている。雌ねじ12bには、蓋18に形成された雄ねじ18aが螺合されており、これにより第2空間12は閉空間となる。筐体10の周壁10aと蓋18との境界には環状のシール19が配置されており(図9参照)、これにより第2空間12は水密状態に維持される。なお、蓋18は樹脂からなる。図7図8においては、シール19の描写は省略されている。
【0060】
本実施形態において、センサモジュール100は、固定部材70(被係合部材の一例)に係合されることにより、燃料タンク1のキャップ3に固定される。固定部材70は、中央に貫通孔71を有する円板形状を有すると共に、円形状の外縁から全周に亘って立設した環状の側壁である周壁72を有している。貫通孔71は、燃料タンク1の開口部2に外嵌可能な内径を有している。また、周壁72の内周面には雌ねじ73(被係合部の一例)が形成されている。固定部材70を燃料タンク1の開口部2に外嵌した状態でキャップ3を開口部2に螺合することにより、開口部2が閉塞されると共に、固定部材70が燃料タンク1のタンク本体1bとキャップ3とに挟持されて燃料タンク1に対して固定される。
【0061】
固定部材70が燃料タンク1に固定された状態で、センサモジュール100の筐体10の第1空間11を区画する周壁10aの外周面に形成された雄ねじ10b(係合部の一例) を固定部材70の雌ねじ73に螺合する。これにより、センサモジュール100は、キャップ3(燃料タンク1)に対して固定される。このとき、センサモジュール100のカバー35の底壁35aがキャップ3の上面3cに当接している。筐体10の周壁10aと固定部材70の周壁72との境界には環状のシール15が配置されており(図9参照)、これにより、キャップ3と固定部材70とで区画された筐体10の第1空間11は、水密状態に維持される。なお、図7図8においては、シール15の描写は省略されている。
【0062】
本実施形態のセンサモジュール100によると、固定部材70を用いることで、燃料タンク1を改造することなくセンサモジュール100を燃料タンク1のキャップ3に対して着脱可能に固定することができる。
【0063】
〔その他の実施形態〕
(1)上記第1実施形態のセンサモジュール100において、基板ホルダ30がキャップ3と別体である場合、両面テープを使用するなどして基板ホルダ30をキャップ3に固定することで、基板ホルダ30の底壁31がキャップ3の上面3cに当接することが可能となっているが、これに限られるものではない。基板ホルダ30は筐体10に直接支持されるように構成されてもよいし、基板ホルダ30が第1基板40に支持された状態で、第1基板40が筐体10に支持されてるように構成されてもよい。基板ホルダ30は直接的又は間接的に筐体10に支持されるように構成することが可能である。
【0064】
(2)上記第2実施形態においては、固定部材70は、キャップ3とタンク本体1bとに挟持されることにより燃料タンク1に対して固定されていたが、これに限られるものではない。固定部材70とキャップ3とを接着等の方法により一体化したものを用いることにより、固定部材70を燃料タンク1に対して固定してもよい。また、固定部材70を燃料タンク1と一体的に形成することにより、固定部材70を燃料タンク1に対して固定してもよい。さらに、固定部材70を燃料タンク1に接着固定等することにより燃料タンク1に対して固定してもよい。固定部材70を燃料タンク1に対して安定的に固定することができるのであれば、任意の方法を採用することができる。
【0065】
(3)上記第2実施形態では、固定部材70と100の筐体10とは別部品であったが、ヒンジ等で繋げられて一体化されていてもよい。
【0066】
(4)上記第2実施形態において、センサモジュール100を収容する筐体10は、固定部材70に対して螺合して固定されていたが、これに限られるものではない。例えば、筐体10の周壁10aが固定部材70の周壁72に対して圧入されることにより固定されてもよい。
【0067】
(5)上記実施形態においては、第1基板40に送受信用IC21、演算用IC22が実装され、第2基板50に外部通信用IC90が実装されていたが、各ICは任意の基板に実装することができる。
【0068】
(6)上記第2実施形態においては、カバー35及び第1基板40をキャップ3の上面3cに密着させるために圧縮コイルばね44を用いたが、これに限られるものではない。圧縮コイルばね44の代わりに、板ばねや弾性を有するゴムを用いてもよい。また、雄ねじ10bと雌ねじ73の螺合によりカバー35の底壁35aをキャップ3の上面3cに当接させてもよい。
【0069】
(7)上記各実施形態においては、センサモジュール100は電池62aにより作動するように構成したが、商用電源により作動するように構成してもよい。
【0070】
(8)上記第1実施形態においては、基板ホルダ30の底壁31を含むレンズ部32にレンズ機能を持たせ、第2実施形態においては、カバー35の底壁35aのレンズ部32にレンズ機能を持たせてもよい旨説明したが、これに限られるものではない。仮にキャップ3をセンサモジュール100に適した形状に変更可能であれば、キャップ3の上面3cにレンズ機能を持たせてもよい。また、基板ホルダ30若しくはカバー35、及びキャップ3の両方にレンズ機能を持たせてもよい。この場合、例えば、送信アンテナから送信される電波のレンズ機能を基板ホルダ30若しくはカバー35のレンズ部32に持たせ、受信アンテナで受信される反射波のレンズ機能をキャップ3に持たせてもよい。
【0071】
(9)上記実施形態では、灯油5の残量が50%以下になった後は、10分毎に灯油5の残量を無線信号で送信していたが、これに限られるものではない。例えば、灯油5の残量が50%以下になった後は、残量が40%、30%、20%になる毎に、すなわち、灯油5が10%減少する毎に無線信号を送信するようにしてもよい。また、灯油5の残量が20%以下になった後は、例えば、灯油5が3%減少する毎に無線信号を送信するようにしてもよい。このように、燃料タンク1が空に近づくにつれて無線信号の送信頻度を高めることで、燃料タンク1が空になる前に確実に燃料タンク1に灯油5を補充することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示はセンサモジュールに利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 :燃料タンク(容器)
2 :開口部
3 :キャップ
3c :上面
3e :雌ねじ(被係合部)
5 :灯油(収容物)
10 :筐体
10b :雄ねじ(係合部)
11 :第1空間(閉塞空間)
15 :シール
20 :センサ部
21 :送受信用IC(送受信部)
21a :送信部
21b :受信部
21c :送信アンテナ(送受信部、送信部)
21d :受信アンテナ(送受信部、受信部)
22 :演算用IC(演算部)
31 :底壁
32 :レンズ部
44 :圧縮コイルばね(付勢手段)
60 :電源部
70 :固定部材(被係合部材)
90 :外部通信用IC(外部通信部)
100 :センサモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9