(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011547
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】配車管理装置及び配車管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240118BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240118BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240118BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/09 F
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113617
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 一朗
(72)【発明者】
【氏名】中島 宏
(72)【発明者】
【氏名】江川 絢也
(72)【発明者】
【氏名】脇田 謙一
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 隆由
(72)【発明者】
【氏名】惠良 和隆
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA14
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB05
5H181FF13
5H181FF32
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】移動体の配車までの時間を短縮する。
【解決手段】配車管理装置1は、第1種別の第1移動体の空き状況と、第1移動体よりも乗客を乗せる機会が多い第2種別の第2移動体の空き状況とを示す状況データを記憶する記憶部12と、移動体への乗車を希望するユーザが使用する情報端末2から、配車要求データを受信する端末通信部131と、端末通信部131が配車要求データを受信したときに、第1移動体に空きがあることを状況データが示している場合、第2移動体に空きがあるか否かによらず第1移動体に配車依頼データを送信し、第1移動体に空きがないことを状況データが示していることを条件として、第2移動体に配車依頼データを送信する移動体通信部132と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1種別の第1移動体の空き状況と、前記第1移動体よりも乗客を乗せる機会が多い第2種別の第2移動体の空き状況とを示す状況データを記憶する記憶部と、
移動体への乗車を希望するユーザが使用する情報端末から、配車要求データを受信する端末通信部と、
前記端末通信部が前記配車要求データを受信したときに、前記第1移動体に空きがあることを前記状況データが示している場合、前記第2移動体に空きがあるか否かによらず前記第1移動体に配車依頼データを送信し、前記第1移動体に空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記第2移動体に前記配車依頼データを送信する移動体通信部と、
を有する配車管理装置。
【請求項2】
前記状況データは、複数の前記第1移動体及び複数の前記第2移動体の空き状況を示し、
前記移動体通信部は、前記複数の第1移動体の全てに空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記複数の第2移動体から選択した一以上の前記第2移動体に前記配車依頼データを送信する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記移動体通信部が前記配車依頼データを前記第1移動体に送信したことに応じて、当該第1移動体から配車を承諾することを示す配車承諾データを受信した場合、前記端末通信部は、前記第1種別の前記第1移動体が配車されることを前記情報端末に通知する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、複数の前記第1移動体を運転する複数の乗務員それぞれの属性を前記第1移動体に関連付けて記憶し、
前記移動体通信部は、前記端末通信部が前記配車要求データを受信した時点又は前記情報端末から通知された乗車位置と、前記属性との関係に基づいて、空きがある複数の前記第1移動体から前記配車依頼データを送信する対象とする前記第1移動体を選択する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記移動体通信部は、前記配車依頼データを送信した前記第1移動体から配車を承諾することを示す配車承諾データを受信した後に、当該第1移動体に乗車した前記ユーザが支払った決済額を示す決済額データを当該第1移動体から受信し、受信した前記決済額データを前記属性に関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項4に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記移動体通信部は、前記端末通信部が前記配車要求データを取得したときに、前記情報端末から通知された乗車位置から所定の範囲内の前記第1移動体に空きがあることを前記状況データが示している場合、前記第2移動体に空きがあるか否かによらず前記第1移動体に配車依頼データを送信し、前記所定の範囲内の前記第1移動体に空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記第2移動体に前記配車依頼データを送信する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項7】
前記第1移動体は配車依頼を受けることなく乗客を乗せることができない移動体であり、前記第2移動体は配車依頼を受けることなく乗客を乗せることができる移動体である、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
移動体への乗車を希望するユーザが使用する情報端末から、配車要求データを受信するステップと、
前記配車要求データを受信したときに、記憶部に記憶された第1種別の第1移動体の空き状況と、前記第1移動体よりも乗客を乗せる機会が多い第2種別の第2移動体の空き状況とを示す第2種別の第2移動体の空き状況とを示す状況データが、前記第1移動体に空きがあることを示している場合、前記第2移動体に空きがあるか否かによらず前記第1移動体に配車依頼データを送信し、前記第1移動体に空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記第2移動体に前記配車依頼データを送信するステップと、
を有する配車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の配車を管理する配車管理装置及び配車管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーを利用したいユーザが、情報端末を用いてタクシーの配車を要求することができるシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タクシーを利用したいユーザは、情報端末を用いて配車を要求せず、タクシーが空車状態で走行中にユーザが手を上げて合図をすることによってもタクシーに乗車することができる。したがって、このようにして乗車するユーザが多い状況においては、ユーザが情報端末を用いて配車を要求しても、配車が可能なタクシーが見つかるまでに長時間を要してしまう場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、移動体の配車までの時間を短縮できる配車管理装置及び配車管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の配車管理装置は、第1種別の第1移動体の空き状況と、前記第1移動体よりも乗客を乗せる機会が多い第2種別の第2移動体の空き状況とを示す状況データを記憶する記憶部と、移動体への乗車を希望するユーザが使用する情報端末から、配車要求データを受信する端末通信部と、前記端末通信部が前記配車要求データを受信したときに、前記第1移動体に空きがあることを前記状況データが示している場合、前記第2移動体に空きがあるか否かによらず前記第1移動体に配車依頼データを送信し、前記第1移動体に空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記第2移動体に前記配車依頼データを送信する移動体通信部と、を有する。
【0007】
前記状況データは、複数の前記第1移動体及び複数の前記第2移動体の空き状況を示し、前記移動体通信部は、前記複数の第1移動体の全てに空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記複数の第2移動体から選択した一以上の前記第2移動体に前記配車依頼データを送信してもよい。
【0008】
前記移動体通信部が前記配車依頼データを前記第1移動体に送信したことに応じて、当該第1移動体から配車を承諾することを示す配車承諾データを受信した場合、前記端末通信部は、前記第1種別の前記第1移動体が配車されることを前記情報端末に通知してもよい。
【0009】
前記記憶部は、複数の前記第1移動体を運転する複数の乗務員それぞれの属性を前記第1移動体に関連付けて記憶し、前記移動体通信部は、前記端末通信部が前記配車要求データを受信した時点又は前記情報端末から通知された乗車位置と、前記属性との関係に基づいて、空きがある複数の前記第1移動体から前記配車依頼データを送信する対象とする前記第1移動体を選択してもよい。
【0010】
前記移動体通信部は、前記配車依頼データを送信した前記第1移動体から配車を承諾することを示す配車承諾データを受信した後に、当該第1移動体に乗車した前記ユーザが支払った決済額を示す決済額データを当該第1移動体から受信し、受信した前記決済額データを前記属性に関連付けて前記記憶部に記憶させてもよい。
【0011】
前記移動体通信部は、前記端末通信部が前記配車要求データを取得したときに、前記情報端末から通知された乗車位置から所定の範囲内の前記第1移動体に空きがあることを前記状況データが示している場合、前記第2移動体に空きがあるか否かによらず前記第1移動体に配車依頼データを送信し、前記所定の範囲内の前記第1移動体に空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記第2移動体に前記配車依頼データを送信してもよい。
【0012】
前記第1移動体は配車依頼を受けることなく乗客を乗せることができない移動体であり、前記第2移動体は配車依頼を受けることなく乗客を乗せることができる移動体であってもよい。
【0013】
本発明の第2の態様の配車管理方法は、コンピュータが実行する、移動体への乗車を希望するユーザが使用する情報端末から、配車要求データを受信するステップと、前記配車要求データを受信したときに、記憶部に記憶された第1種別の第1移動体の空き状況と、前記第1移動体よりも乗客を乗せる機会が多い第2種別の第2移動体の空き状況とを示す第2種別の第2移動体の空き状況とを示す状況データが、前記第1移動体に空きがあることを示している場合、前記第2移動体に空きがあるか否かによらず前記第1移動体に配車依頼データを送信し、前記第1移動体に空きがないことを前記状況データが示していることを条件として、前記第2移動体に前記配車依頼データを送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動体の配車までの時間を短縮できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】配車管理システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】配車管理システムSの特徴の概要を説明するための図である。
【
図4】記憶部12に記憶された車両情報の一例を示す図である。
【
図5】記憶部12に記憶された履歴情報の一例を示す図である。
【
図6】制御部13の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】配車管理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[配車管理システムSの概要]
図1は、配車管理システムSの概要を説明するための図である。配車管理システムSは、移動体の利用希望者(以下、「ユーザ」という)の要求に応じて移動体を配車するためのシステムである。移動体は、タクシー、バス、小型船舶又は小型飛行機のように、ユーザを乗せて移動することが可能な物体である。本明細書においては、これらの移動体にユーザが乗れるように、ユーザの位置まで移動体を移動させることを「配車」という。
【0017】
配車管理システムSは、配車管理装置1と、複数の情報端末2(情報端末2-1から情報端末2-M、Mは自然数)と、複数の移動体に搭載された複数の乗務員端末3とを備える。配車管理装置1は、ネットワークNを介して、複数の情報端末2及び複数の乗務員端末3との間でデータを送受信する。
【0018】
配車管理装置1は、例えば配車サービスを提供する事業者、又は移動体を管理する事業者のサーバである。配車管理装置1は、ユーザが使用する情報端末2から配車要求を受けたことに応じて、予め登録された移動体の乗務員端末3に配車依頼データを送信し、配車承諾データを乗務員端末3から受けた場合、配車の結果を情報端末2に通知する。
【0019】
情報端末2は、移動体を利用するユーザの端末であり、例えばスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータである。情報端末2は、無線通信回線及びネットワークNを介して配車管理装置1との間でデータを送受信することができる。ネットワークNは、例えばインターネットである。
【0020】
乗務員端末3は、移動体に搭載されており、移動体の乗務員が使用する情報端末である。乗務員端末3は、各種の情報を表示するディスプレイ、及び移動体の乗務員の操作を受け付ける操作部を有している。乗務員端末3は、無線通信回線及びネットワークNを介して配車管理装置1との間でデータを送受信することができる。乗務員端末3は、移動体の位置を示す位置情報を定期的に配車管理装置1に送信してもよい。
【0021】
以下の説明においては、移動体がタクシーTである場合を例示する。タクシーTには、第1種別の第1移動体であるタクシーT1と、第2種別の第2移動体であるタクシーT2とがある。第2種別のタクシーT2は、第1種別のタクシーT1よりも乗客を乗せる機会が多いタクシーである。
【0022】
具体的には、タクシーT1は配車依頼を受けることなく乗客を乗せることができない移動体であり、タクシーT2は配車依頼を受けることなく乗客を乗せることができる移動体である。より具体的には、タクシーT1は、ユーザからの配車要求に応じて配車管理装置1から配車依頼を受けた場合にユーザを乗せることができるが、「流し」又は「待ち受け」によりユーザを乗せることができないタクシーである。本明細書において、タクシーT1を「アプリ配車専用車」という場合がある。
【0023】
タクシーT2は、ユーザからの配車要求に応じてユーザを乗せることができるとともに、「流し」又は「待ち受け」によってもユーザを乗せることができるタクシーである。本明細書において、タクシーT2を「通常車」という場合がある。タクシーT2には行燈及びスーパーサインが設けられているが、タクシーT1は「流し」によりユーザを乗せることができないので、行燈及びスーパーサインが設けられていない。
【0024】
タクシーは、「流し」や「待ち受け」でユーザを乗せる機会が多いため、「流し」や「待ち受け」でタクシーに乗るユーザが多いエリアや時間帯において、配車が可能な台数が減ってしまうおそれがある。その結果、タクシーT2のように、「流し」や「待ち受け」でユーザを乗せられるタクシーしかないと、ユーザが情報端末2を用いて配車を要求したとしても、配車が可能なタクシーがなく配車までに長時間を要するという問題が生じる。これに対して、タクシーT1は「流し」や「待ち受け」でユーザを乗せないので、情報端末2から配車要求が発生した時点で配車が可能な状態である確率が高い。そこで、配車管理システムSは、ユーザが情報端末2を用いて配車を要求した場合に、優先的にタクシーT1を配車することを特徴としている。
【0025】
図2は、配車管理システムSの特徴の概要を説明するための図である。
図2に示すように、情報端末2には、タクシーの配車を要求するための画面が表示される。ユーザが「タクシーを呼ぶ」というボタンにタッチすると、タクシーT1が優先的に配車される。以下、
図1を参照しながら配車管理システムSにおける配車の流れの概要を説明する。
【0026】
配車管理装置1は、ユーザが使用する情報端末2から配車要求を受けた場合(
図1における(1))、タクシーT2が配車できる状態であるとしても、タクシーT1に搭載された乗務員端末3に対して、優先的に配車依頼を送信する(
図1における(2))。タクシーT1の乗務員が配車依頼を承諾するための操作を乗務員端末3で行うと、乗務員端末3は配車が承諾されたことを配車管理装置1に通知する(
図1における(3))。
【0027】
続いて、配車管理装置1は、配車が完了したことを示す配車結果をユーザに通知する(
図1における(4))。配車管理装置1がタクシーT1に対して優先的に配車依頼をすることで、情報端末2を用いて配車を依頼するユーザに対して配車をするまでの時間を短縮することが可能になる。
以下、配車管理装置1の構成及び動作を詳細に説明する。
【0028】
[配車管理装置1の構成]
図3は、配車管理装置1の構成例を示す図である。配車管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、端末通信部131及び移動体通信部132を有する。
【0029】
通信部11は、配車管理装置1が情報端末2及び乗務員端末3との間でデータを送受信するための通信インターフェースを含む。通信部11は、情報端末2から配車要求データを受信し、受信した配車要求データを端末通信部131に通知する。通信部11は、端末通信部131から入力された配車通知データを情報端末2に送信する。また、通信部11は、移動体通信部132から入力された配車依頼データを乗務員端末3に送信し、乗務員端末3から受信した配車承諾データを移動体通信部132に通知する。
を有する。
【0030】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、配車の管理に用いられる各種のデータを記憶する。記憶部12は、例えば、第1種別の第1移動体であるタクシーT1の空き状況と、第1移動体よりも乗客を乗せる機会が多い第2種別の第2移動体であるタクシーT2の空き状況とを示す状況データを記憶する。また、記憶部12は、複数の第1移動体を運転する複数の乗務員それぞれの属性を第1移動体に関連付けて記憶してもよい。
【0031】
図4は、記憶部12に記憶された車両情報の一例を示す図である。
図4に示す車両情報には、複数の車両に関する情報が含まれている。
図4に示す車両情報においては、車両IDと、車両のアドレスと、車両種別と、乗務員属性と、空き状況とが関連付けられている。
【0032】
「車両ID」は、車両を識別するための文字又は記号を含む。「車両種別」は、車両が第1種別のタクシーT1であるか第2種別のタクシーT2であるかを識別するためのデータである。
図4に示す運転情報においては車両IDと車両種別が異なる欄に示されているが、車両IDに含まれる文字により車両の種別が識別できるようになっていてもよい。
【0033】
「アドレス」は、車両に搭載された乗務員端末3のアドレスであり、配車管理装置1が乗務員端末3に配車依頼データを送信する際の宛先として使用される。「乗務員属性」は、乗務員の勤務条件を示す情報である。「乗務員属性」は、例えば正社員であるか正社員以外(例えば派遣社員)であるかを示す情報である。本実施の形態においては、「流し」や「待ち受け」でユーザを乗せないタクシーT1は派遣社員が運転でき、「流し」や「待ち受け」でユーザを乗せるタクシーT2は正社員のみが運転できるものとしている。
【0034】
「乗務員属性」は、乗務員が勤務可能な時間帯を示す情報、又は勤務可能なエリアを示す情報であってもよい。一例として、乗務員属性が正社員である場合、乗務員は24時間のうち乗務員ごとに登録された時間帯に運転可能であり、乗務員属性が派遣社員である場合、予め契約された時間帯(例えば午前9時から午後6時)の時間帯にのみ運転が可能である。また、乗務員属性が正社員である場合、乗務員は任意のエリアを運転可能であり、乗務員属性が派遣社員である場合、予め契約されたエリア(例えば自宅から10km以内のエリア)においてのみ運転が可能である。
【0035】
「空き状況」は、タクシーが実車中又は迎車中ではなく、配車を受けられる可能性がある状態(
図4における「OK」状態)であるか、実車中又は迎車中で配車を受けられる可能性がない状態(
図4における「NG」状態)であるかを示す情報である。「空き状況」は、乗務員端末3から送信される状況データに基づいて更新される。
【0036】
図5は、記憶部12に記憶された履歴情報の一例を示す図である。履歴情報は、乗務員への報酬の支払額の算出に用いられる。
図5に示す履歴情報においては、車両IDと、乗車日時と、乗車地と、降車地と、乗車料金と、乗務員属性とが関連付けられている。
【0037】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、端末通信部131及び移動体通信部132として機能する。
【0038】
端末通信部131は、通信部11を介して、タクシーへの乗車を希望するユーザが使用する情報端末2から、配車要求データを受信する。端末通信部131は、配車要求データを受信したことを移動体通信部132に通知する。
【0039】
移動体通信部132は、通信部11を介して、配車依頼データを乗務員端末3に送信する。具体的には、移動体通信部132は、端末通信部131が配車要求データを受信したときに、第1移動体であるタクシーT1に空きがあることを状況データが示している場合、第2移動体であるタクシーT2に空きがあるか否かによらず第1移動体に配車依頼データを送信する。
【0040】
そして、移動体通信部132は、タクシーT1に空きがないことを状況データが示していることを条件として、タクシーT2に配車依頼データを送信する。車両情報に複数のタクシーT1が含まれている場合、移動体通信部132は、複数のタクシーT1の全てに空きがないことを状況データが示していることを条件として、複数のタクシーT2から選択した一以上のタクシーT2に配車依頼データを送信する。移動体通信部132がこのように動作することで、タクシーT2よりも配車依頼に対する承諾を得られる確率が高いタクシーT1に対して優先的に配車依頼データが送信されるので、配車までの時間を短縮できる確率が高まる。
【0041】
ところで、タクシーT1には行燈及びスーパーサインが設けられていないので、ユーザの位置までタクシーT1が到着した場合にユーザが不安に感じるというおそれがある。そこで、移動体通信部132が配車依頼データをタクシーT1に送信したことに応じて、当該タクシーT1から配車を承諾することを示す配車承諾データを受信した場合、端末通信部131は、第1種別のタクシーT1が配車されることを情報端末2に通知する。具体的には、端末通信部131は、行燈及びスーパーサインが設けられていないタクシーが到着することを情報端末2に通知したり、タクシーT1の画像データを情報端末2に送信したりする。端末通信部131がこのような情報を情報端末2に送信してユーザに通知することで、ユーザが安心してタクシーT1に乗車することができる。
【0042】
移動体通信部132は、ユーザが乗車を希望している位置とタクシーT1の位置との関係を考慮してタクシーT1を選択するかタクシーT2を選択するかを決定してもよい。具体的には、移動体通信部132は、端末通信部131が配車要求データを取得したときに、情報端末2から通知された乗車位置から所定の範囲内のタクシーT1に空きがあることを状況データが示している場合、タクシーT2に空きがあるか否かによらずタクシーT1に配車依頼データを送信する。一方、移動体通信部132は、所定の範囲内のタクシーT1に空きがないことを状況データが示していることを条件として、タクシーT2に配車依頼データを送信する。移動体通信部132がこのように構成されていることで、乗車位置から遠くにいるタクシーT1に配車依頼データが送信されることで配車までの時間が長くなってしまうことを防げる。
【0043】
なお、所定の範囲は、例えば、ユーザが配車を要求してからタクシーT1が乗車位置に到着するまでの平均的な所要時間とタクシーT2が乗車地に到着するまでの平均的な所要時間との差に基づいて決定されている。当該差が大きければ大きいほど、乗車位置からタクシーT1までの距離が大きいとしてもタクシーT1に配車を依頼するメリットが大きくなる。したがって、ユーザが配車を要求してからタクシーT1が乗車位置に到着するまでの平均的な所要時間とタクシーT2が乗車地に到着するまでの平均的な所要時間との差が大きいほど、所定の範囲は大きく設定されることが好ましい。
【0044】
移動体通信部132は、端末通信部131が配車要求データを受信した時点又は情報端末2から通知された乗車位置と、乗務員の属性との関係に基づいて、空きがある複数の第1移動体から配車依頼データを送信する対象とする第1移動体を選択してもよい。一例として、端末通信部131が配車要求データを受信した時点が、記憶部12に記憶された車両情報が示すタクシーT1の乗務員の属性に対応する勤務可能時間帯に含まれている場合、移動体通信部132はタクシーT1を選択する。一方、端末通信部131が配車要求データを受信した時点が、記憶部12に記憶された車両情報が示すタクシーT1の乗務員の属性に対応する勤務可能時間帯に含まれていない場合、移動体通信部132は、当該乗務員に対応するタクシーT1を選択せず、他のタクシーT1又はタクシーT2を選択する。
【0045】
他の例として、配車要求データが示す乗車地又は降車地のいずれか一方の位置が、記憶部12に記憶された車両情報が示すタクシーT1の乗務員の属性に対応する運転可能エリアに含まれている場合、移動体通信部132はタクシーT1を選択する。一方、乗車地又は降車地のいずれか一方の位置が、記憶部12に記憶された車両情報が示すタクシーT1の乗務員の属性に対応する運転可能エリアに含まれていない場合、移動体通信部132は、当該乗務員に対応するタクシーT1を選択せず、他のタクシーT1又はタクシーT2を選択する。移動体通信部132がこのように構成されていることで、乗務員が適切に勤務することができる範囲で、配車までに要する時間を短縮することができる。
【0046】
移動体通信部132は、配車依頼データを送信したタクシーT1から配車を承諾することを示す配車承諾データを受信した後に、当該タクシーT1に乗車したユーザが支払った決済額を示す決済額データを当該タクシーT1から受信し、受信した決済額データを乗務員の属性に関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。移動体通信部132は、タクシーT2から決済額データを受信した場合にも、決済額データを乗務員の属性に関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。具体的には、移動体通信部132は、決済額データをタクシーT1又はタクシーT2から受信した時点で、
図5に示すような履歴情報のデータを更新する。
【0047】
制御部13は、履歴情報が更新された時点で、又は所定のタイミング(例えば午後6時の時点)で、タクシーT1及びタクシーT2を管理するタクシー事業者に履歴情報を送信してもよい。タクシー事業者は、受信した履歴情報が示す乗車料金と、乗務員の属性に関連付けられた係数とを乗算することで、乗務員に支払う報酬を算出することができる。
【0048】
制御部13は、履歴情報をタクシー事業者に送信することに代えて、又は履歴情報をタクシー事業者に送信するとともに、受信した履歴情報が示す乗車料金と、乗務員の属性に関連付けられた係数とを乗算することで、乗務員に支払う報酬額を算出し、算出した報酬額を出力してもよい。制御部13がこのように構成されていることで、勤務体系が異なる乗務員がタクシーT1を運転する場合に、乗務員に適した報酬額を支払うことが可能になる。
【0049】
[制御部13の処理のフローチャート]
図6は、制御部13の処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、タクシーに乗車したいユーザの操作に応じて情報端末2が配車要求データを送信した時点から開始している。
【0050】
端末通信部131が配車要求データを受信すると(S11)、移動体通信部132は、アプリ専用車(タクシーT1)に空きがあるか否かを判定する(S12)。移動体通信部132は、配車依頼データを未送信のアプリ専用車がある場合(S13においてYES)、当該アプリ専用車に配車依頼データを送信する(S14)。
【0051】
アプリ専用車に空きがない場合(S12においてNO)、又は空いている全てのアプリ専用車に配車依頼メールを送信した場合(S13においてNO)、移動体通信部132は、通常車(タクシーT2)に空きがあるか否かを判定する(S15)。移動体通信部132は、空きがある通常車がない場合(S15においてNO)、配車不可の通知を情報端末2に送信する(S16)。移動体通信部132は、空きがある通常車がある場合(S15においてYES)、空きがある通常車に配車依頼データを送信する(S17)。
【0052】
移動体通信部132は、配車依頼データを送信した後に配車承諾データの受信を待機する(S18)。移動体通信部132は、アプリ専用車から配車承諾データを受信し、アプリ専用車を配車することに決定した場合(S19においてYES)、アプリ専用車用の通知を情報端末2に送信する(S20)。アプリ専用車用の通知には、例えば、行燈がない車両が配車されることを示す情報が含まれている。移動体通信部132は、通常車から配車承諾データを受信し、通常車を配車することに決定した場合(S19においてNO)、通常車用の通知を情報端末2に送信する(S21)。
【0053】
[配車管理システムSにおける処理のシーケンス]
図7は、配車管理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図7に示すシーケンス図は、タクシーに乗車したいユーザの操作に応じて情報端末2が配車要求データを送信した時点から開始している。ここでは、2台のタクシーT1が空いている状態の処理の流れを例示する。
【0054】
情報端末2が配車要求データを配車管理装置1に送信すると、配車管理装置1の移動体通信部132は、複数のタクシーT1のうち1台のタクシーT1に配車依頼データを送信する。移動体通信部132は、例えば、複数のタクシーT1のうち情報端末2の位置に最も近いタクシーT1-1に配車依頼データを送信する。移動体通信部132は、タクシーT1-1から配車承諾データを受信した場合(S31においてYES)、アプリ専用車用の配車通知データを情報端末2に送信する。一方、タクシーT1-1から配車承諾データを受信しない場合(S31においてNO)、複数のタクシーT1のうち他のタクシーT1-2に配車依頼データを送信する。
【0055】
移動体通信部132は、タクシーT1-2から配車承諾データを受信した場合(S32においてYES)、アプリ専用車用の配車通知データを情報端末2に送信する。一方、タクシーT1-2から配車承諾データを受信しない場合(S32においてNO)、複数のタクシーT2から選択したタクシーT2-1に配車依頼データを送信する。
【0056】
移動体通信部132は、タクシーT2-1から配車承諾データを受信した場合(S33においてYES)、通常車用の配車通知データを情報端末2に送信する。一方、タクシーT2-1から配車承諾データを受信しない場合(S33においてNO)、配車不可通知データを情報端末2に送信する。
【0057】
[配車管理システムSによる効果]
以上説明したように、配車管理装置1は、アプリ専用車に空きがある場合、通常車に空きがあるか否かによらずアプリ専用車に配車依頼データを送信し、アプリ専用車に空きがないことを条件として、通常車に配車依頼データを送信する。配車管理装置1がこのように構成されていることで、配車依頼に対する承諾を得られる確率が相対的に高いアプリ専用車に対して優先的に配車依頼データが送信されるので、配車までの時間を短縮できる確率が高まる。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0059】
1 配車管理装置
2 情報端末
3 乗務員端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 端末通信部
132 移動体通信部
S 配車管理システム