(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011548
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】脱水装置の運転方法および脱水装置
(51)【国際特許分類】
C02F 11/125 20190101AFI20240118BHJP
C02F 11/14 20190101ALI20240118BHJP
B01D 29/17 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C02F11/125 ZAB
C02F11/14
B01D29/30 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113618
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】島本 仙
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 晃人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真祐子
(72)【発明者】
【氏名】大津 秋人
【テーマコード(参考)】
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE04
4D059BE13
4D059BE26
4D059BE47
4D059BE54
4D059BJ00
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4D059EB20
4D116BB01
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4D116KK01
4D116KK04
4D116QA24C
4D116QA24G
4D116QB03
4D116QC20
4D116QC39
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】汚泥濃度の変化に起因するリスクを低減させることができる脱水装置の運転方法が提供される。
【解決手段】脱水装置の運転方法は、汚泥の投入口2に投入された汚泥の高さを測定し、測定された汚泥の高さに応じて、少なくとも第2スクリュー4の回転速度を独立して制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スクリューおよび第2スクリューを備える同軸型の脱水装置の運転方法であって、
汚泥の投入口に投入された汚泥の高さを測定し、
前記測定された汚泥の高さに応じて、少なくとも前記第2スクリューの回転速度を独立して制御する、脱水装置の運転方法。
【請求項2】
前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度をより大きな回転速度に変更する場合、前記第2スクリューの回転速度を変更した後に、前記第1スクリューの回転速度を変更する、請求項1に記載の脱水装置の運転方法。
【請求項3】
前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度をより小さな回転速度に変更する場合、第1スクリューの回転速度を変更し、それと同時またはその後に、前記第2スクリューの回転速度を変更する、請求項1に記載の脱水装置の運転方法。
【請求項4】
前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を段階的に変化させる段階変化方式で前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を制御する、請求項1に記載の脱水装置の運転方法。
【請求項5】
前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を急峻に変化させる急峻変化方式で前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を制御する、請求項1に記載の脱水装置の運転方法。
【請求項6】
前記少なくとも前記第2スクリューの回転速度を独立して制御する制御方式は、
前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を段階的に変化させる段階変化方式と、
前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を急峻に変化させる急峻変化方式と、を有する、請求項1に記載の脱水装置の運転方法。
【請求項7】
互いに独立して回転速度を制御可能な第1スクリューおよび第2スクリューと、
汚泥の投入口に投入された汚泥の高さに相当する信号を検出するレベルセンサと、
前記レベルセンサによって検出された信号に基づいて、前記汚泥の高さを測定し、かつ測定された前記汚泥の高さに応じて、少なくとも前記第2スクリューの回転速度を独立して制御する制御装置と、を備える、脱水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水装置の運転方法および脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水処理場、し尿処理場などの液体処理施設から排出される汚泥(液体含有物)を圧搾して、汚泥から水を分離する装置として、スクリュープレス(すなわち、脱水装置)が知られている。
【0003】
このスクリュープレスは、スクリーン(多孔板)から形成されたろ過筒と、ろ過筒の内部に配置されたスクリューと、を備える。スクリューは、ろ過筒と同心状に配置されたスクリュー軸と、スクリュー軸の外面に固定されたスクリュー羽根と、を有している。スクリュー軸に連結された回転機構によって、スクリュー羽根を回転させることにより、ろ過筒に投入された汚泥を圧搾し、脱水する。
【0004】
ろ過筒の下流側開口端には、汚泥を堰き止める背圧板が配置され、この背圧板により、回転するスクリュー羽根により送られてくるケーキ(脱水された汚泥)を滞留させ、プラグケーキ(栓)を形成する。このプラグケーキが後から送り込まれるケーキに背圧を加えて、ケーキをさらに圧搾することにより、ろ過筒内の汚泥の含水率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-51582号公報
【特許文献2】特開2001-340900号公報
【特許文献3】特開昭58-054999号公報
【特許文献4】特開2021-159878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、2軸型のスクリュープレスを開示している。このタイプのスクリュープレスは、ろ過筒内に直列に配列された第1スクリューおよび第2スクリューを備えている。これら第1スクリューと第2スクリューは、それぞれ別々の駆動装置によって異なる速度で回転するように構成されている。したがって、第1スクリューおよび第2スクリューの回転速度を独立して制御することで、背圧板を設けることなく、ろ過筒内にプラグケーキを形成し、ろ過筒内の汚泥を圧搾することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された2軸型のスクリュープレスは、背圧板を有していないため、汚泥濃度の変化の影響を大きく受ける。汚泥の供給量が低下した場合には、第2スクリューに空隙が生じてしまい、汚泥の含水率が上昇してしまうおそれがある。その一方で、汚泥の供給量が増加した場合には、汚泥の漏れが増加したり、ホッパレベルが上昇してしまうおそれがある。
【0008】
特許文献2は、テーパコーンのような背圧機能を有しないスクリュープレスにおけるホッパレベル監視制御方法を開示している。これは、背圧機能を持たないスクリュープレスにおいては、汚泥濃度の変化、特に濃度の減少にて空隙が生じやすくなり、結果として、汚泥の含水率が上昇するリスクが存在するためである。
【0009】
しかしながら、特許文献2は、プラグ部や背圧板などの背圧調整機構を有しない単一軸のスクリュープレスの運転方法を開示しているにすぎず、このような運転方法を単純に2軸型のスクリュープレスに適用することは困難である。
【0010】
特許文献4は、第1スクリューの回転のみでホッパレベルを調整する構成を開示しているが、第2スクリューの状態によってもホッパレベルは変化しうるため、第1スクリューの回転によって調整可能なホッパレベルの範囲は限定されるおそれがある。より具体的には、汚泥が十分に脱水されている条件下において、ある特定の第2スクリューの回転速度のときにホッパレベルを下げるために第1スクリューの回転速度を加速させた場合、汚泥の、第1スクリューとの供回りが進行するため、ホッパレベルは下がらない現象が確認されている。
【0011】
したがって、ホッパレベルを下げる目的で、第2スクリューの回転速度を上げる必要があり、これを前提に、画像解析および機械学習にて得られた結果に基づいて、スクリュープレスを調整する必要がある。特許文献4は、第1スクリューおよび第2スクリューを変更する順番を開示していないが、上記供回りを回避するために、変更する順番を十分に考慮する必要がある。
【0012】
本発明は、汚泥濃度の変化に起因するリスク(例えば、汚泥の含水率の上昇、ホッパレベルの上昇、ケーキのスクリューとの供回りなど)を低減させることができる脱水装置の運転方法および脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、第1スクリューおよび第2スクリューを備える同軸型の脱水装置の運転方法が提供される。脱水装置の運転方法は、汚泥の投入口に投入された汚泥の高さを測定し、前記測定された汚泥の高さに応じて、少なくとも前記第2スクリューの回転速度を独立して制御する。
【0014】
一態様では、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度をより大きな回転速度に変更する場合、前記第2スクリューの回転速度を変更した後に、前記第1スクリューの回転速度を変更する。
一態様では、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度をより小さな回転速度に変更する場合、第1スクリューの回転速度を変更し、それと同時またはその後に、前記第2スクリューの回転速度を変更する。
一態様では、前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を段階的に変化させる段階変化方式で前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を制御する。
【0015】
一態様では、前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を急峻に変化させる急峻変化方式で前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を制御する。
一態様では、前記少なくとも前記第2スクリューの回転速度を独立して制御する制御方式は、前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を段階的に変化させる段階変化方式と、前記汚泥の高さに応じて、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を急峻に変化させる急峻変化方式と、を有する。
【0016】
一態様では、互いに独立して回転速度を制御可能な第1スクリューおよび第2スクリューと、汚泥の投入口に投入された汚泥の高さに相当する信号を検出するレベルセンサと、前記レベルセンサによって検出された信号に基づいて、前記汚泥の高さを測定し、かつ測定された前記汚泥の高さに応じて、少なくとも前記第2スクリューの回転速度を独立して制御する制御装置と、を備える、脱水装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
測定された汚泥の高さに応じて、第1スクリューの回転速度および第2スクリューの回転速度を独立して制御することにより、汚泥濃縮の変化に起因するリスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】
図3(a)および
図3(b)は、非接触型のレベルセンサを示す図である。
【
図4】段階変化方式によるスクリュープレスの運転状態の一実施形態を示すグラフである。
【
図5】段階変化方式によるスクリュープレスの運転状態の他の実施形態を示すグラフである。
【
図6】段階変化方式における制御装置の制御フローを示す図である。
【
図7】加速変化方式によるスクリュープレスの運転状態の一実施形態を示すグラフである。
【
図8】加速変化方式によるスクリュープレスの運転状態の他の実施形態を示すグラフである。
【
図9】加速変化方式における制御装置の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、脱水システムを示す図である。脱水システム200は、有機性廃棄物としての汚泥(有機汚泥)に対して脱水処理を行うためのシステムである。
図1に示すように、脱水システム200は、汚泥を貯留する汚泥貯留槽201と、凝集汚泥を調製する凝集槽203と、汚泥貯留槽201内の汚泥を凝集槽203に供給する汚泥供給ポンプ202と、を備えている。
【0020】
脱水システム200は、ポリマ剤(すなわち、凝集剤)が溶解されたポリマ溶解槽205と、ポリマ溶解槽205内のポリマ剤を凝集槽203に供給するポリマ供給ポンプ206と、を備えている。凝集槽203内の凝集汚泥は、ポリマ剤を汚泥に添加することによって、調製される。脱水システム200は、凝集槽203で凝集された凝集汚泥から水分を分離して流動性の低い濃縮汚泥を生成する濃縮機204と、濃縮機204で濃縮された濃縮汚泥(液体含有物)を脱水する脱水装置100と、を備えている。
【0021】
図2は、脱水装置の一実施形態を示す図である。
図2に示すように、脱水装置100は、円筒状のスクリーンケーシング(ろ過筒)1と、スクリーンケーシング1内で、スクリーンケーシング1と同心状に配置され、濃縮汚泥を所定の移送方向Dに移送する、同軸(2軸)の第1スクリュー3および第2スクリュー4と、第1スクリュー3を回転させる第1回転機構7と、第1スクリュー3とは独立に第2スクリュー4を回転させる第2回転機構20と、を備えている。以下、脱水装置100をスクリュープレス100と呼ぶことがある。
【0022】
スクリーンケーシング1は、パンチングメタルなどのスクリーン(多孔板)から形成されており、外筒および内筒を有する二重構造を有している。スクリーンケーシング1の上流側端部には、汚泥の投入口(言い換えれば、ホッパ)2が形成されている。投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥は、回転する第1スクリュー3および第2スクリュー4により、スクリーンケーシング1内で所定の移送方向Dに移送される。
【0023】
脱水システム200は、その構成要素としての装置の動作を制御する制御装置6を備えている。
図1に示すように、制御装置6は、汚泥供給ポンプ202、ポリマ供給ポンプ206、凝集槽203、濃縮機204、およびスクリュープレス100の動作を制御するように構成されている。より具体的には、制御装置6は、凝集槽203内のポリマ剤および汚泥の混合液を攪拌する攪拌機203aの動作を制御するように構成されている。
【0024】
図2に示すように、制御装置6は、第1回転機構7および第2回転機構20の動作を制御するように構成されている。第2スクリュー4は、第1スクリュー3とは独立に回転可能なように、第1スクリュー3に連結されている。第1スクリュー3および第2スクリュー4は、スクリーンケーシング1および排出チャンバー33をそれぞれ貫通して延びている。排出チャンバー33は、スクリーンケーシング1に接続されている。この排出チャンバー33に、後述するプラグケーキがスクリーンケーシング1から排出される。第2スクリュー4の軸方向の長さは、第1スクリューの軸方向の長さよりも短い。
【0025】
第1スクリュー3は、汚泥の移送方向Dにおける下流側に向かってその径が徐々に大きくなる円錐台形状(テーパ形状)の第1スクリュー軸3Aと、第1スクリュー軸3Aの外面に固定された第1スクリュー羽根3Bと、を有している。第2スクリュー4は、円筒形状の第2スクリュー軸4Aと、第2スクリュー軸4Aの外面に固定された第2スクリュー羽根4Bと、を有している。第2スクリュー4は、汚泥の移送方向Dにおいて第1スクリュー3の下流側に配置されている。
【0026】
スクリーンケーシング1の上流側の端部は閉塞壁8によって密封されている。第1スクリュー軸3Aの一方の端部(移送方向Dにおける上流側端部)はこの閉塞壁8を貫通して延びている。この閉塞壁8には、閉塞壁8と第1スクリュー軸3Aとの間の隙間をシールする水封装置10が設置されている。閉塞壁8を貫通して延びる第1スクリュー軸3Aの上流側端部は、ベース(図示せず)に設置された軸受11,12により軸方向の移動を拘束されながら回転自在に支持されている。なお、軸受11,12の一方を省略することができる。
【0027】
第1スクリュー軸3Aの上流側端部は、第1スクリュー3を回転させるための第1回転機構7に連結されている。本実施形態では、第1回転機構7は、第1駆動機(例えば、電動機)14と、第1駆動機14の回転軸に固定されたスプロケット15と、第1スクリュー軸3Aに固定されたスプロケット16と、これらスプロケット15,16に巻きかけられたチェーン17と、を備える。
【0028】
スプロケット16は、上記軸受11,12の間に位置している。第1回転機構7の第1駆動機14を駆動すると、この第1駆動機14の回転軸に固定されたスプロケット15が回転し、チェーン17を介して第1スクリュー軸3Aに固定されたスプロケット16を回転させる。その結果、第1スクリュー3が第1回転機構7により回転させられる。第1駆動機14は、制御装置6に接続され、制御装置6は、第1駆動機14の動作を制御することができるように構成されている。
【0029】
第2スクリュー4の第2スクリュー軸4Aは、第1スクリュー軸3Aと同心状に配置される。第2スクリュー軸4Aの外径は第1スクリュー軸3Aの最大径と同一である。第2スクリュー軸4Aには、排出チャンバー33の内壁33Aを貫通して延びる縮径部が形成されている。
【0030】
第2スクリュー軸4Aの上流側端部は、図示しないすべり軸受を介して第1スクリュー軸3Aに回転自在に支持され、第2スクリュー軸4Aの下流側端部は、ベース(図示せず)に設置された軸受22,23により軸方向の移動を拘束されながら回転自在に支持されている。なお、軸受23を省略することができる。
【0031】
第2スクリュー軸4Aの下流側端部は、第2スクリュー4を回転させるための第2回転機構20に連結されている。本実施形態では、第2回転機構20は、第2駆動機(例えば、電動機)24と、第2駆動機24の回転軸に固定されたスプロケット25と、第2スクリュー軸4Aに固定されたスプロケット26と、これらスプロケット25,26に巻きかけられたチェーン27と、を備える。
【0032】
スプロケット26は、軸受22,23の間の位置している。第2回転機構20の第2駆動機24を駆動すると、この第2駆動機24の回転軸に固定されたスプロケット25が回転し、チェーン27を介して第2スクリュー軸4Aに固定されたスプロケット26を回転させる。その結果、第2スクリュー4が第2回転機構20により回転させられる。
【0033】
第2駆動機24は、制御装置6に接続される。第2駆動機24には、インバータ(図示せず)が内蔵されており、制御装置6は、インバータを介して第2駆動機24の動作を制御することができるように構成されている。すなわち、制御装置6は、インバータを介して第2駆動機24の回転速度および回転方向を制御することができる。第2駆動機24は、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは独立して回転させることが可能である。なお、第1駆動機14も、第1駆動機14の回転速度および回転方向を変更可能なインバータを内蔵している。
【0034】
第1スクリュー羽根3Bは、第1スクリュー軸3Aの軸方向に沿って螺旋状に延びており、第2スクリュー羽根4Bは、第2スクリュー軸4Aの軸方向に沿って螺旋状に延びている。第1スクリュー羽根3Bが固定されている第1スクリュー3の部分と、第2スクリュー羽根4Bが固定されている第2スクリュー4の部分を合計した長さは、スクリーンケーシング1の軸方向の長さと同一か、または長い。
【0035】
スクリーンケーシング1(より具体的には、内筒)と第1スクリュー羽根3Bとの間には微小な隙間が形成されており、第1スクリュー羽根3Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。同様に、スクリーンケーシング1の内面と第2スクリュー羽根4Bとの間には微小な隙間が形成されており、第2スクリュー羽根4Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。
【0036】
回転する第1スクリュー羽根3Bおよび第2スクリュー羽根4Bは、スクリーンケーシング1の上流側端部に形成された投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥を排出チャンバー33に向かって(すなわち、移送方向Dに)移送することができる。
【0037】
本実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向(すなわち、螺旋方向)は、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向とは逆である。したがって、投入口2から投入された汚泥を、排出チャンバー33へ送り出すときは、
図2に示すように、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは逆方向に回転させることになる。
【0038】
一実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向を、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向と同一にしてもよい。この場合、投入口2から投入された汚泥を、排出チャンバー33へ送り出すときは、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同方向に回転させることになる。
【0039】
図2に示すように、スクリーンケーシング1は、第1スクリュー3が配置された脱水領域1Aと、第2スクリュー4が配置されたプラグ形成領域1Bと、に分割される。脱水領域1Aで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第1スクリュー羽根3Bと、第1スクリュー軸3Aと、によって形成される。
【0040】
この移送空間の断面積は、
図2に示すように、汚泥の移送方向Dに沿って漸次減少する。したがって、投入口2から投入された汚泥がこの移送空間を第1スクリュー羽根3Bによって移送されるに従って、汚泥は圧搾され、脱水される。スクリーンケーシング1のスクリーン(多孔板)を通過したろ液は、スクリーンケーシング1の下方に配置されたろ液受け38によって回収される。ろ液受け38には、ドレイン39が接続されており、ろ液受け38によって回収されたろ液は、ドレイン39を介してスクリュープレス100から排出される。
【0041】
プラグ形成領域1Bで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第2スクリュー羽根4Bと、第2スクリュー軸4Aと、によって形成される。
図2に示すように、この移送空間の断面積は一定である。プラグ形成領域1Bでは、脱水領域1Aで脱水された汚泥(すなわち、ケーキ)によって、プラグケーキが形成される。
【0042】
プラグ形成領域1B内のケーキは、第2スクリュー羽根4Bによって移動を妨げられることで圧搾され、低含水率のケーキとなる。この低含水率のケーキが、後続のケーキの移動を妨げるプラグケーキを形成する。第2スクリュー軸4Aの周りに形成されたプラグケーキによって、後続のケーキには背圧が加えられ、後続のケーキはさらに圧搾される。プラグ形成領域1Bでプラグケーキから分離された液体は、ろ液受け38によって回収され、ドレイン39を介してスクリュープレス100から排出される。
【0043】
プラグケーキを形成した後、制御装置6は、第2回転機構20を駆動させて、第2スクリュー4を回転させる(または第2回転機構20を操作して、第2スクリュー4の回転速度を大きくする)。第2スクリュー4を第1スクリュー3の回転方向とは逆方向に回転させることにより、プラグケーキは、少しずつ排出チャンバー33に送り出される(すなわち、排出される)。このように、プラグケーキの形成とプラグケーキの排出とが連続的に行なわれるので、常にプラグ形成領域1Bにプラグケーキが存在する状態で、スクリュープレス100を運転することができる。
【0044】
従来のスクリュープレスでは、円筒形状に圧搾されたプラグケーキが硬くなりすぎると、この硬化したプラグケーキがスクリーンケーシングを閉塞させ、スクリーンケーシングから排出できなくなる。さらに、この硬化したプラグケーキがスクリューと供回りしてしまうおそれがある。結果として、スクリュープレスの運転が継続できなくなる。
【0045】
プラグケーキの、スクリューとの供回りの他、スクリーンケーシング1に投入された汚泥の含水率の上昇、ホッパレベル(すなわち、投入口2に投入された汚泥の高さ)の上昇など、汚泥濃度の変化に起因するリスクが存在する。そこで、以下、このようなリスクを低減させる構成について、説明する。
【0046】
スクリュープレス100は、ホッパレベルに相当する信号を検出するレベルセンサ50を備えている。制御装置6は、レベルセンサ50に電気的に接続されており、レベルセンサ50によって検出された信号に基づいて、ホッパレベルを測定し、かつ測定されたホッパレベルに応じて、第1スクリュー3の回転速度および第2スクリュー4の回転速度を独立して制御するように構成されている。
【0047】
図2に示す実施形態では、レベルセンサ50は、非接触型の計測器(例えば、レーザー距離計)である。このようなレベルセンサ50は、第1スクリュー羽根3Bよりも低い位置の汚泥の高さ(すなわち、信号)を検出することができ、結果として、制御装置6は、ホッパレベルの範囲を幅広く測定することができる。一実施形態では、レベルセンサ50は、接触型の計測器(例えば、ガイドパルス、電極棒)であってもよい。
【0048】
図3(a)および
図3(b)は、非接触型のレベルセンサを示す図である。
図3(a)および
図3(b)に示すように、レベルセンサ50は、投入口2の内壁2aに付着した汚泥の影響により、ホッパレベルに相当する信号を精度よく検出することができないおそれがある。そこで、レベルセンサ50は、投入口2の内壁2aから離間した位置に配置されることが望ましい。
【0049】
制御装置6は、ホッパレベルに応じて、第1スクリュー3の回転速度および第2スクリュー4の回転速度を段階的に変化させる段階変化方式と、ホッパレベルに応じて、第1スクリュー3の回転速度および第2スクリュー4の回転速度を急峻に(すなわち、加速度的に)変化させる急峻(加速)変化方式と、に基づいて、第1スクリュー3の回転速度および第2スクリュー4の回転速度を制御するように構成されている。
【0050】
段階変化方式および加速変化方式のそれぞれでは、制御装置6は、ホッパレベルを複数のレベルに設定(分割)可能である。本実施形態では、制御装置6は、ホッパレベルを4つのレベル(H,MH,ML,L)に設定している。レベルHは最も高いレベルである。レベルLは最も低いレベルである。レベルMHおよびレベルMLはレベルHとレベルLとの間のレベルであり、レベルMHはレベルMLよりも高いレベルである。一実施形態では、制御装置6は、レベルHよりも高いレベルHHを設定し、ホッパレベルがレベルHHに到達した場合には、スクリュープレス100に異常が発生していることを決定し、すべての装置(すなわち、脱水システム200の全体)の運転を停止してもよい。
【0051】
ホッパレベルがレベルHに到達すると、汚泥の、スクリュープレス100への供給が停止され、スクリュープレス100による汚泥の脱水運転が継続される。このような構成により、新たな汚泥が投入口2に供給されることなく、投入口2内の汚泥が徐々に排出される。結果として、ホッパレベルは徐々に低下する。ホッパレベルがレベルH以下のレベル(例えば、レベルMH)に到達すると、汚泥の供給停止は解除される。なお、汚泥の供給停止の解除のトリガとなるレベルは、レベルMHに限定されず、新たな専用レベルを設定可能である。
【0052】
ここで、汚泥の供給停止は、汚泥供給ポンプ202の運転停止、ポリマ供給ポンプ206の運転停止、および凝集槽203の攪拌機203aの運転停止を意味する。この場合、濃縮機204の運転は停止されてもよく、または継続されてもよい。
【0053】
仮に、汚泥の供給が停止され、スクリュープレス100による汚泥の脱水運転が行われても、ホッパレベルが低下しない場合には、ケーキの、第1スクリュー3(および/または第2スクリュー4)との供回りが発生している可能性がある。
【0054】
そこで、制御装置6は、ホッパレベルがレベルHに到達した後、所定時間の間、ホッパレベルが低下しない場合には、上記供回りが発生していると決定し、第2スクリュー4(および/または第1スクリュー3)の回転速度を現在の回転速度よりも一時的に大きくしてもよい。このような構成により、ケーキを速やかに排出することができ、上記供回りを解消することができる。
【0055】
一実施形態では、制御装置6は、第2スクリュー4の回転速度を一時的に第1スクリュー3の回転速度と同程度、または、第1スクリュー3の回転速度よりも大きくしてもよい(第2スクリュー4の回転速度≧第1スクリュー3の回転速度)。例えば、第1スクリュー3の回転速度を大きくしつつ、第2スクリュー4の回転速度も大きくしてもよいが、好ましくは、第1スクリュー3の回転速度を維持しつつ、第2スクリュー4の回転速度だけを大きくする。
【0056】
ホッパレベルがレベルLに到達すると、スクリュープレス100による汚泥の排出運転が停止され、汚泥のスクリュープレス100への供給が継続される。このような構成により、新たな汚泥が投入口2に供給され、投入口2内の汚泥が徐々に蓄積される。結果として、ホッパレベルは徐々に上昇する。ホッパレベルがレベルL以上のレベル(例えば、レベルML)に到達すると、汚泥の排出運転の停止は解除される。なお、汚泥の排出運転停止の解除のトリガとなるレベルは、レベルMLに限定されず、新たな専用レベルを設定可能である。
【0057】
図4は、段階変化方式によるスクリュープレスの運転状態の一実施形態を示すグラフである。
図4において、横軸は時間を示しており、縦軸はホッパレベルを示している。段階変化方式は、ホッパレベルが所定のレベルに到達し、かつ所定の時間が経過した後に、第1スクリュー3および第2スクリュー4の運転を切り替える運転方式である。
【0058】
図4に示すように、例えば、レベルMHとレベルMLとの間のホッパレベルがレベルMLまで低下した場合、制御装置6は、第1スクリュー3の回転速度を高設定値R1-H(すなわち、第1回転速度)から低設定値R1-L(すなわち、第2回転速度)まで低下させる。その後、制御装置6は、第2スクリュー4の回転速度を高設定値R2-H(すなわち、第1回転速度)から低設定値R2-L(すなわち、第2回転速度)まで低下させる。なお、第1回転速度は第2回転速度よりも大きな回転速度である。
【0059】
制御装置6は、第1スクリュー3の回転速度および第2スクリュー4の回転速度をより小さな回転速度に変更する場合、第1スクリュー3の回転速度を変更し、所定の待機時間の経過後、第2スクリュー4の回転速度を変更する。このような順序により、第1スクリュー3と第2スクリュー4との間の速度差を小さくすることができ、プラグ形成領域1B内のケーキに加えられる背圧を低減することができる。
【0060】
一実施形態では、所定の待機時間は、第2駆動機24のインバータの設定変更時間(例えば、5秒程度)に相当する。一実施形態では、待機時間は、第2スクリュー4の1回転分に相当する時間であってもよい。待機時間を形成することにより、第1スクリュー3と第2スクリュー4との間の切り替わり部分におけるケーキは、十分に入れ替わる。結果として、極端に硬いケーキの形成に起因する供回りのリスクを低減することができる。
【0061】
待機時間があまりに長いと、汚泥の含水率が高くなってしまう。そこで、一実施形態では、待機時間は、第2スクリュー4の回転速度よりも大きな回転速度を有する第1スクリュー3の1回転分に相当する時間であってもよい。一実施形態では、待機時間は、第1スクリュー3の0.5回転分に相当する時間から1回転分に相当する時間までの時間であってもよい。
【0062】
図4に示すように、第1スクリュー3の回転速度を低設定値R1-Lに変更し、かつ第2スクリュー4の回転速度を低設定値R2-Lに変更した後、さらにホッパレベルがレベルLまで低下した場合には、制御装置6は、スクリュープレス100(より具体的には、スクリュー3,4)の運転を停止する。スクリュープレス100の運転停止は、第1スクリュー3の減速および第2スクリュー4の減速に相当する。したがって、この場合、制御装置6は、第1スクリュー3の運転を停止し、所定の待機時間が経過した後、第2スクリュー4の運転を停止することが望ましい。一実施形態では、待機時間は、0秒を含んでもよい。この場合、制御装置6は、第1スクリュー3の運転および第2スクリュー4の運転を同時に停止する。
【0063】
スクリュープレス100の運転が停止されると、汚泥が投入口2に蓄積されるため、ホッパレベルが上昇する。ホッパレベルの上昇により、ホッパレベルがレベルMLに到達すると、制御装置6は、スクリュー3,4の回転速度を低設定値(R1-L,R2-L)に決定し、スクリュープレス100の運転を再開する。
【0064】
この場合、制御装置6は、第2スクリュー4の運転を開始し、所定の待機時間が経過した後、第1スクリュー3の運転を開始する。このような順序により、第1スクリュー3と第2スクリュー4との間の速度差を小さくすることができ、プラグ形成領域1B内のケーキに加えられる背圧を低減することができる。待機時間は、上述した待機時間と同一であってもよい。
【0065】
スクリュープレス100の運転が再開した後、ホッパレベルがレベルMHまで上昇した場合には、第2スクリュー4の回転速度を低設定値R2-Lから高設定値R2-Hに変更し、所定の待機時間が経過した後、第1スクリュー3の回転速度を低設定値R1-Lから高設定値R1-Hに変更する。この変更によっても、ホッパレベルがレベルHに到達した場合には、制御装置6は、汚泥の供給停止を決定する。
【0066】
制御装置6は、汚泥の供給を停止しつつ、スクリュープレス100の運転を継続するため、ホッパレベルは低下する。ホッパレベルがレベルMHまで低下した場合、制御装置6は、汚泥の供給停止を解除する。より具体的には、制御装置6は、汚泥供給ポンプ202の運転、ポリマ供給ポンプ206の運転、および凝集槽203の攪拌機203aの運転を再開する。一実施形態では、汚泥の供給停止を解除するためのホッパレベルは、レベルMHには限定されず、任意のレベルであってもよい。
【0067】
図4に示す実施形態では、スクリュープレス100は、低設定値と停止との間で運転されている。本実施形態では、制御装置6は、第1スクリュー3の回転速度および第2スクリュー4の回転速度を2段階の設定値(すなわち、低設定値および高設定値)で変更するように構成されているが、3段階以上の設定値で変更してもよい。なお、スクリュープレス100の運転開始時の設定値は任意の値に設定されてもよい。
【0068】
図5は、段階変化方式によるスクリュープレスの運転状態の他の実施形態を示すグラフである。
図5において、横軸は時間を示しており、縦軸はホッパレベルを示している。
図5に示す実施形態では、ホッパレベルがレベルMLまで低下した場合、制御装置6は、第1スクリュー3の回転速度を高設定値R1-Hから低設定値R1-Lまで低下させた後、第2スクリュー4の回転速度を高設定値R2-Hから低設定値R2-Lまで低下させる。
【0069】
その後、ホッパレベルがレベルMHまで上昇した場合、制御装置6は、第2スクリュー4の回転速度を低設定値R2-Lから高設定値R2-Hまで上昇させた後、第1スクリュー3の回転速度を低設定値R1-Lから高設定値R1-Hまで上昇させる。このように、
図5に示す実施形態では、スクリュープレス100は、高設定値と低設定値との間で運転される。
【0070】
図6は、段階変化方式における制御装置の制御フローを示す図である。
図6に示すように、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMHとレベルMLとの間のレベルであるときに、段階変化方式による制御を開始する。まず、制御装置6は、スクリュー3,4の回転速度を低設定値に決定する(ステップS101参照)。
【0071】
制御装置6は、ホッパレベルがレベルL以下であるか否かを判定し(ステップS102参照)、ホッパレベルがレベルL以下である場合(ステップS102の「Yes」参照)、スクリュー3,4の運転を停止する(ステップS103参照)。その後、汚泥が投入口2に蓄積され、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMH以下であるか否かを判定する(ステップS104参照)。ホッパレベルがレベルMH以下である場合(ステップS104の「Yes」参照)、制御装置6は、再び、ステップS101を実行する。ホッパレベルがレベルMH以下でない場合(ステップS104の「No」参照)、制御装置6は、スクリュー3,4の運転停止を継続する。
【0072】
ホッパレベルがレベルL以下でない場合(ステップS102の「No」参照)、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMH以上であるか否かを判定し(ステップS105参照)、ホッパレベルがレベルMH以上でない場合(ステップS105の「No」参照)、制御装置6は、ステップS101を継続する。
【0073】
ホッパレベルがレベルMH以上である場合(ステップS105の「Yes」参照)、制御装置6は、スクリュー3,4の回転速度を低設定値から高設定値に変更する(ステップS106参照)。その後、制御装置6は、ホッパレベルがレベルH以上であるか否かを判定し(ステップS107参照)、ホッパレベルがレベルH以上である場合には(ステップS107の「Yes」参照)、汚泥の供給を停止する(ステップS108参照)。このとき、制御装置6は、スクリュー3,4の運転を継続する。
【0074】
制御装置6は、スクリュー3,4の運転を継続した状態で、所定時間の間、ホッパレベルがレベルH以上であるか否かを判定する(ステップS109参照)。所定時間が経過しても、ホッパレベルがレベルH以上である場合には(ステップS109の「Yes」参照)、制御装置6は、供回りが発生していると決定し、汚泥の排出運転を実行する(ステップS110参照)。より具体的には、制御装置6は、第2スクリュー4(および/または第1スクリュー3)の回転速度を現在の回転速度よりも一時的に大きくする。本実施形態では、制御装置6は、第2スクリュー4(および/または第1スクリュー3)の回転速度を高設定値よりも高い設定値に変更し、供回りの原因となる汚泥を速やかに排出する。
【0075】
ホッパレベルがレベルH以上でない場合(ステップS109の「No」参照)、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMH以下であるか否かを判定し(ステップS111参照)、ホッパレベルがレベルMH以下である場合(ステップS111の「Yes」参照)、制御装置6は、ステップS106を実行する。ホッパレベルがレベルMH以下でない場合(ステップS111の「No」参照)、制御装置6は、ステップS108を実行する。
【0076】
ステップS107において、ホッパレベルがレベルH以上でない場合(ステップS107の「No」参照)、制御装置6は、ホッパレベルがレベルML以下であるか否かを判定する(ステップS112参照)。ホッパレベルがレベルML以下である場合(ステップS112の「Yes」参照)、制御装置6は、ステップS101を実行する。ホッパレベルがレベルML以下でない場合には(ステップS112の「No」参照)、制御装置6は、ステップS106を実行する。
【0077】
本実施形態では、制御装置6は、ホッパレベルに応じて、スクリュー3,4の回転速度を制御するように構成されている。一実施形態では、制御装置6は、ホッパレベルに応じて、汚泥流量、ポリマ流量、凝集槽203の攪拌機203aの回転速度、濃縮機204の回転速度に関する高設定値および低設定値を設定してもよい。
【0078】
本実施形態では、制御装置6は、高設定値と、低設定値と、スクリュー3,4の停止に相当する設定値と、を有しているが、必ずしも、すべての設定値を有する必要はない。一実施形態では、制御装置6は、高設定値と、低設定値と、スクリュー3,4の停止に相当する設定値と、のうち、一部の設定値を有してもよい。
【0079】
図7は、加速変化方式によるスクリュープレスの運転状態の一実施形態を示すグラフである。
図8は、加速変化方式によるスクリュープレスの運転状態の他の実施形態を示すグラフである。
図7および
図8のそれぞれにおいて、横軸は時間を示しており、縦軸はホッパレベルを示している。
図7は汚泥の濃度変化が極端に大きい場合におけるホッパレベルの変化を示しており、
図8は汚泥の濃度変化が比較的小さい場合におけるホッパレベルの変化を示している。
【0080】
加速変化方式は、ホッパレベルが所定のレベルの範囲内にある場合、所定の時間が経過した後に、第1スクリュー3および第2スクリュー4の運転の変化を繰り返す運転方式である。ホッパレベルがレベルMHとレベルMLとの間のレベルに位置している場合、スクリュー3,4の回転速度の設定値を変化させず、そのまま、スクリュー3,4の運転を継続する。ホッパレベルがレベルMLとレベルLとの間のレベルに到達すると、制御装置6は、所定の時間が経過した後に、所定の変更単位に基づいて、スクリュー3,4の回転速度を小さくする。一実施形態では、変更単位は、所定の数値であってもよく、スクリュープレス100の過去の運転結果に基づいて作成された関係式(例えば、検量線、変更表)であってもよい。
【0081】
以下、変更単位が数値である場合について説明する。なお、加速変化方式においても、プラグ形成領域1B内のケーキに加えられる背圧を低減するために、スクリュー3,4の回転速度の変更順序は、上述した実施形態(段階変化方式)と同一である。
【0082】
ホッパレベルがレベルMLとレベルLとの間のレベルに到達し、かつ所定の時間が経過した後、制御装置6は、現在設定値R1-0から減速設定値R1-Dを減算した目標設定値((R1-0)-(R1-D))で第1スクリュー3を回転させ、その後、現在設定値R2-0から減速設定値R2-Dを減算した目標設定値((R2-0)-(R2-D))で第2スクリュー4を回転させる。
【0083】
さらに所定時間が経過した後、制御装置6は、第1スクリュー3の回転速度の現在設定値((R1-0)-(R1-D))をさらに変更した目標設定値((R1-0)-(R1-D)×2)で第1スクリュー3を回転させ、その後、第2スクリュー4の回転速度の現在設定値((R2-0)-(R2-D))をさらに変更した目標設定値((R2-0)-(R2-D)×2)で第2スクリュー4を回転させる。
【0084】
このように、制御装置6は、時間の経過とともに、スクリュー3,4の回転速度を急峻に(すなわち、加速度的に)変化(減少)させる。制御装置6は、ホッパレベルがレベルMLとレベルLとの間の範囲から外れるまで、このような加速度的な変化を繰り返す。なお、本実施形態では、スクリュー3,4の回転速度を加速度的に減少させる場合、制御装置6は、時間の経過とともに、現在設定値から減速設定値の倍数(n倍)を減算しているが、スクリュー3,4の回転速度を加速度的に減少させる方法は特に限定されない。
【0085】
ホッパレベルがレベルLまで低下した場合には、制御装置6は、スクリュー3,4の運転を停止する。すると、投入口2には、汚泥が蓄積されるため、ホッパレベルが上昇する。ホッパレベルがレベルMLに到達した場合には、制御装置6は、スクリュー3,4の運転停止直前の回転速度でスクリュー3,4の運転を再開する。なお、この場合であっても、制御装置6は、まず、第2スクリュー4の運転を開始し、その後に、第1スクリュー3の運転を開始する。一実施形態では、スクリュー3,4の運転停止を解除するトリガとしてのホッパレベルは、レベルMLには限定されず、レベルL以上の任意のレベルであってもよく、運転再開のための新たな設定値が設定されてもよい。
【0086】
ホッパレベルがレベルHとレベルMHとの間のレベルに位置している場合、制御装置6は、所定の時間が経過した後、所定の変更単位に基づいて、スクリュー3,4の回転速度の設定値をより大きな設定値に変更する。例えば、制御装置6は、現在設定値R2-0から加速設定値R2-Uを加算した目標設定値((R2-0)+(R2-U))で第2スクリュー4を回転させ、その後、現在設定値R1-0から加速設定値R1-Uを加算した目標設定値((R1-0)+(R1-U))で第1スクリュー3を回転させる。
【0087】
さらに所定時間が経過した後、制御装置6は、第2スクリュー4の回転速度の現在設定値((R2-0)+(R2-U))をさらに変更した目標設定値((R2-0)+(R2-U)×2)で第2スクリュー4を回転させ、その後、第1スクリュー3の回転速度の目標設定値((R1-0)+(R1-U))をさらに変更した目標設定値((R1-0)+(R1-U)×2)で第1スクリュー3を回転させる。
【0088】
このように、制御装置6は、時間の経過とともに、スクリュー3,4の回転速度を加速度的に変化(増加)させる。制御装置6は、ホッパレベルがレベルHとレベルMHとの間の範囲から外れるまで、このような加速度的な変化を繰り返す。なお、本実施形態では、スクリュー3,4の回転速度を加速度的に増加させる場合、制御装置6は、時間の経過とともに、現在設定値から加速設定値の倍数(n倍)を加算しているが、スクリュー3,4の回転速度を加速度的に増加させる方法は特に限定されない。
【0089】
ホッパレベルがレベルHまで上昇した場合には、制御装置6は、汚泥の供給停止を決定する。制御装置6は、汚泥の供給を停止しつつ、スクリュープレス100の運転を継続するため、ホッパレベルは低下する。ホッパレベルがレベルMHまで低下した場合には、制御装置6は、汚泥の供給停止を解除しつつ、汚泥供給ポンプ202およびポリマ供給ポンプ206を駆動して、汚泥およびポリマの供給を再開する。一実施形態では、汚泥の供給停止を解除するトリガとしてのホッパレベルは、レベルMHには限定されず、レベルMH以下の任意のレベルであってもよい。
【0090】
本実施形態では、制御装置6は、ホッパレベルに応じて、スクリュー3,4の回転速度を制御するように構成されているが、一実施形態では、制御装置6は、汚泥流量、ポリマ流量、凝集槽203の攪拌機203aの回転速度、濃縮機204の回転速度に関する設定値(すなわち、減速設定値、加速設定値)を設定してもよい。
【0091】
一実施形態では、制御装置6は、スクリュー3,4の継続運転に相当する設定値と、加速設定値と、減速設定値と、スクリュー3,4の停止に相当する設定値と、のうち、一部の設定値を有してもよい。
【0092】
図9は、加速変化方式における制御装置の制御フローを示す図である。
図9に示すように、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMHとレベルMLとの間のレベルであるときに、加速変化方式による制御を開始する。まず、制御装置6は、スクリュー3,4の運転を継続した状態で、すなわち、何もしない状態で(ステップS201参照)、レベルセンサ50からの信号の受信を継続する。その後、制御装置6は、ホッパレベルがレベルLに到達したか否かを判定し(ステップS202参照)、ホッパレベルがレベルLに到達した場合(ステップS202の「Yes」参照)、スクリュー3,4の運転を停止する(ステップS203参照)。
【0093】
その後、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMLに到達したか否かを判定し(ステップS204参照)、ホッパレベルがレベルMLに到達した場合(ステップS204の「Yes」参照)、スクリュー3,4の運転停止を解除し(ステップS205参照)、ステップS201を実行する。ホッパレベルがレベルMLに到達していない場合(ステップS204の「No」参照)、ステップS204を継続する。
【0094】
ホッパレベルがレベルLに到達していない場合(ステップS202の「No」参照)、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMLとレベルLとの間のレベルであるか否かを判定する(ステップS206参照)。ホッパレベルがレベルMLとレベルLとの間のレベルである場合(ステップS206の「Yes」参照)、制御装置6は、スクリュー3,4を加速度的に減速し(ステップS207参照)、その運転を継続する(ステップS201参照)。
【0095】
ホッパレベルがレベルMLとレベルLとの間のレベルでない場合(ステップS206の「No」参照)、制御装置6は、ホッパレベルがレベルH以上であるか否かを判定する(ステップS208参照)。ホッパレベルがレベルH以上である場合(ステップS208の「Yes」参照)、制御装置6は、汚泥の供給停止を実行する(ステップS209参照)。その後、制御装置6は、所定時間が経過しても、ホッパレベルがレベルH以上であるか否かを判定する(ステップS210参照)。
【0096】
所定時間が経過しても、ホッパレベルがレベルH以上である場合には(ステップS210の「Yes」参照)、制御装置6は、供回りが発生していると決定し、汚泥の排出運転を実行する(ステップS211参照)。所定時間が経過した後、ホッパレベルがレベルH以上でない場合には(ステップS210の「No」参照)、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMHに到達したか否かを判定する(ステップS212参照)。ホッパレベルがレベルMHに到達していない場合には(ステップS212の「No」参照)、制御装置6は、ステップS209を実行する。
【0097】
ホッパレベルがレベルMHに到達した場合には(ステップS212の「Yes」参照)、制御装置6は、汚泥の供給停止を解除し(ステップS213参照)、スクリュー3,4の運転を継続する(ステップS201参照)。
【0098】
ホッパレベルがレベルH以上でない場合(ステップS208の「No」参照)、制御装置6は、ホッパレベルがレベルMHとレベルHとの間のレベルであるか否かを判定する(ステップS214参照)。ホッパレベルがレベルMHとレベルHとの間のレベルである場合には(ステップS214の「Yes」参照)、制御装置6は、スクリュー3,4を加速度的に加速(増速)し(ステップS215参照)、その運転を継続する(ステップS201参照)。ホッパレベルがレベルMHとレベルHとの間のレベルでない場合には(ステップS214の「No」参照)、制御装置6は、ステップS202を実行する。
【0099】
上述した実施形態では、制御装置6は、段階変化方式および加速変化方式において、ホッパレベルに応じて、スクリュー3,4の回転速度を変化させるように構成されているが、一実施形態では、制御装置6は、ホッパレベルに応じて、汚泥供給量を変化させるように構成されてもよい。より具体的には、制御装置6は、ホッパレベルに応じて、脱水システム200の構成要素に含まれる装置(汚泥供給ポンプ202、ポリマ供給ポンプ206、凝集槽203の攪拌機203aの回転速度、濃縮機204の回転速度)を動作させてもよい。
【0100】
汚泥の供給量を減少させる場合、制御装置6は、汚泥供給ポンプ202およびポリマ供給ポンプ206を操作して、汚泥の供給量およびポリマの供給量を低下させた後、凝集槽203の攪拌機203aの回転速度および濃縮機204の回転速度を小さくする。その一方で、汚泥の供給量を増加させる場合、制御装置6は、濃縮機204の回転速度を大きくした後、凝集槽203の攪拌機203aの回転速度を大きくし、その後、汚泥供給ポンプ202およびポリマ供給ポンプ206を操作して、汚泥の供給量およびポリマの供給量を低下させる。このような運転方法により、濃縮機204に対する一時的な汚泥の供給量の増加を防ぐことができ、濃縮機204の安定運転を実現することができる。待機時間は、上述した実施形態と同一であってもよい。
【0101】
一実施形態では、制御装置6は、段階変化方式および加速変化方式の組み合わせを採用してもよい。例えば、制御装置6は、ホッパレベルに応じて、段階変化方式および加速変化方式を交互に実行して、スクリュー3,4の回転速度を変化させてもよい。
【0102】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0103】
1 スクリーンケーシング
2 投入口
3 第1スクリュー
3A 第1スクリュー軸
3B 第1スクリュー羽根
4 第2スクリュー
4A 第2スクリュー軸
4B 第2スクリュー羽根
6 制御装置
7 第1回転機構
8 閉塞壁
10 水封装置
11,12 軸受
14 第1駆動機
15,16 スプロケット
17 チェーン
20 第2回転機構
22,23 軸受
24 第2駆動機
25,26 スプロケット
27 チェーン
33 排出チャンバー
38 ろ液受け
39 ドレイン
50 レベルセンサ
100 脱水装置(スクリュープレス)
200 脱水システム
201 汚泥貯留槽
202 汚泥供給ポンプ
203 凝集槽
203a 攪拌機
204 濃縮機
205 ポリマ溶解槽
206 ポリマ供給ポンプ