IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コントレイル合同会社の特許一覧

<>
  • 特開-レーザ加工装置 図1
  • 特開-レーザ加工装置 図2
  • 特開-レーザ加工装置 図3
  • 特開-レーザ加工装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115483
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/08 20140101AFI20240819BHJP
【FI】
B23K26/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021212
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】523053314
【氏名又は名称】コントレイル合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】安藤 謙一
(72)【発明者】
【氏名】長光 文一郎
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168AD07
4E168AD11
4E168CB03
4E168DA03
4E168DA13
4E168DA26
4E168EA24
4E168HA05
4E168HA07
4E168KA16
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の加工ヘッドを有するレーザ加工装置において、全ての加工ヘッドの位置を精度よく、変位させることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【解決手段】レーザ加工装置100は、レーザ光を照射する複数の加工ヘッド1と、複数の加工ヘッド1を支持するヘッド支持部3と、ヘッド支持部をX軸方向に変位させるX軸フレーム5と、ヘッド支持部をY軸方向に変位させるY軸フレーム6と、X軸フレームをY軸フレームに沿って摺動させるY軸変位機構4Yと、X軸フレームに沿って摺動するガイド体71と、ガイド体を摺動させるX軸変位機構4Xと、からなる加工機構10を有し、ヘッド支持部3とガイド体71とが接続されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射する複数の加工ヘッドと、
複数の前記加工ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記ヘッド支持部をX軸方向に変位させるX軸フレームと、
前記ヘッド支持部をY軸方向に変位させるY軸フレームと、
前記X軸フレームを前記Y軸フレームに沿って摺動させるY軸変位機構と、
前記X軸フレームに沿って摺動するガイド体と、
前記ガイド体を摺動させるX軸変位機構と、
からなる加工機構を有し、
前記ヘッド支持部と前記ガイド体とが接続されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記ヘッド支持部は、
前記ガイド体に接続される変位移動フレームと、
前記加工ヘッドを支持するとともに、前記X軸方向或いは前記Y軸方向に平行な複数のヘッド支持フレームと、からなり、
複数の前記ヘッド支持フレームは、前記変位移動フレームに着脱可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記加工機構の周囲を覆う遮光カバーと、
前記加工機構の下方に位置する前記加工対象物を載置する載置部と、
前記載置機構の下方に位置する底受け部と、
を更に有し、
前記加工機構と、前記載置部と、前記底受け部は、前記X軸方向或いは前記Y軸方向に沿って、スライド可能となっていることを特徴とする請求項1に記載するレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ加工装置に関する。詳しくは、レーザ光を照射する複数の加工ヘッドを備えたレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2にあるように、レーザ光によって対象物を切断したり、孔をあけたり、文字等をマーキングしたりするレーザ加工装置が様々な分野で広く使用されている。また、特許文献1、2にあるレーザ加工装置は、加工ヘッドと、レーザ発振器とが別々になっているが、最近では、非特許文献1にあるレーザ加工装置のように加工ヘッドにレーザ発振器も内蔵した比較的小型で安価なレーザ加工装置も販売されており、木材、皮製品、食品等の加工にも手軽に使用されるようになっている。
【0003】
このように広くレーザ加工が行われているが、非特許文献1にあるように加工ヘッドの数が1つになると当然ながら、生産性は悪くなる。とくに非特許文献1のようなレーザ加工装置になるとレーザ光の出力は比較的低出力であり、木材、食品等への加工対象物の数は多くなりがちなため、効率的に加工を行わなければ非常に生産性が悪くなってしまう。
【0004】
したがって、加工ヘッドの数を増やすことにより、加工ヘッドの数だけ生産性を高めることが可能になる。そして、特許文献1、2のレーザ加工装置は、複数の加工ヘッドを備えたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-214421号公報
【特許文献2】特開2017-159303号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】SMART DIYs「FABOOL Laser Mini」 検索日:令和5年1月23日〈https://www.smartdiys.com/fabool-laser-mini/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、特許文献1のレーザ加工装置は、複数の加工ヘッドがそれぞれにX方向に沿って変位する構成となっているように、特許文献1、2のようなレーザ加工装置は、複数の加工ヘッドの各々がX方向やY方向に変位する構成となっている。
【0008】
しかしながら、各々の加工ヘッドがそれぞれに変位する構成になっていると、加工対象物に同じ加工を施すような場合、加工対象物はそれぞれの加工ヘッドに対応して設置されるが、実際に加工する加工ヘッドの位置が加工対象物によってズレが生じたりすることがある。
【0009】
また、特許文献2で記載されているプリント基板のような加工対象物であれば加工ヘッドの数を変えることはないかもしれない。しかしながら、非特許文献1のように木材、皮製品、食品等を加工対象物とする場合、加工対象物の大きさも大小様々なことから、その大きさによっては生産性を高めるため加工ヘッドの数を増減させることもあるが、特許文献1、2のように各々の加工ヘッドがそれぞれに変位する構成になっていると、簡単に加工ヘッドの数を増減させることができない。
【0010】
そこで本発明は、複数の加工ヘッドを有するレーザ加工装置において、全ての加工ヘッドの位置を精度よく、変位させることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
また、複数の加工ヘッドを有するレーザ加工装置において、加工ヘッドの数を簡単に増減させることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のレーザ加工装置は、レーザ光を照射する複数の加工ヘッドと、複数の前記加工ヘッドを支持するヘッド支持部と、前記ヘッド支持部をX軸方向に変位させるX軸フレームと、前記ヘッド支持部をY軸方向に変位させるY軸フレームと、前記X軸フレームを前記Y軸フレームに沿って摺動させるY軸変位機構と、前記X軸フレームに沿って摺動するガイド体と、前記ガイド体を摺動させるX軸変位機構と、からなる加工機構を有し、前記ヘッド支持部と前記ガイド体とが接続されていることを特徴とする。
【0012】
複数の加工ヘッドが装着されたヘッド支持部がX軸方向、Y軸方向に変位することになるが、加工ヘッド各々はヘッド支持部に支持されている装着位置を動くことがないため、全ての加工ヘッドを精度よく変位させることができる。また、このような効果を安価に実現することができる。なお、ヘッド支持部への加工ヘッドの装着については、Z軸方向への加工ヘッドの移動を可能にするZ軸微調整部を介して行うことができる。
【0013】
また、本発明のレーザ加工装置は、前記ヘッド支持部が、前記ガイド体に接続される変位移動フレームと、前記加工ヘッドを支持するとともに、前記X軸方向或いは前記Y軸方向に平行な複数のヘッド支持フレームと、からなり、複数の前記ヘッド支持フレームは、前記変位移動フレームに着脱可能となっていることを特徴とする。
【0014】
ヘッド支持フレームは変位移動フレームに着脱可能に取り付けられるので、加工ヘッドの数を変更する際に、個々の加工ヘッドの取付作業を行うことなく、ヘッド支持フレーム毎交換することで加工ヘッドの数を簡単に変更することができる。
【0015】
例えば、当初4個の加工ヘッド(第1のヘッド支持フレームに2個、第2のヘッド支持フレームに2個)を、8個にする場合に、別途準備しておいた4個の加工ヘッドが装着された第1のヘッド支持フレームと、同様に4個の加工ヘッドが装着された第2のヘッド支持フレームに変更することで簡単に交換することができる。なお、ガイド体に接続される変位移動フレームは、例えば、ネジを用いて固定するような場合だけでなく、両者を一体成型して形成したようなものも含む。
【0016】
また、本発明のレーザ加工装置は、前記加工機構の周囲を覆う遮光カバーと、前記加工機構の下方に位置する前記加工対象物を載置する載置部と、前記載置部の下方に位置する底受け部と、を更に有し、前記加工機構と、前記載置部と、前記底受け部は、前記X軸方向或いは前記Y軸方向に沿って、それぞれスライド可能となっていることが好ましい。
【0017】
このように、加工機構の周囲がレーザ波長と出力に対応した遮光カバーで覆われているので安全性が高く、また、この状態でも加工対象物の取り出し作業について載置部をスライドさせることで容易に行うことができる。また、加工により生じたゴミが底受け機構に溜まった場合には、底受け部をスライドさせることで容易に取り除くことができる。また、レーザ加工による煙等で、加工ヘッドのレンズ面が汚れたような場合には、加工機構をスライドさせることで、レンズ面の汚れを下方から簡単に拭き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】Aは本実施形態のレーザ加工装置の外観を示す斜視図であり、BはAの引き出し部を示す斜視図である。
図2】Aは試作した実際のレーザ加工装置における加工機構の撮像であり、Bは本実施形態の加工機構の要部を示す斜視図である。
図3】Aは本実施形態のX軸変位機構の概要を示す底面図であり、BはY軸変位機構の概要を示す平面図である。
図4】Aは実際のレーザ加工装置における載置部の治具と底受け部を示す撮像であり、Bは実際のレーザ加工装置における治具を含めた加工機構を示す撮像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
【0020】
[実施形態]
図1図4を用いて、本実施形態のレーザ加工装置100の全体の概要を説明する。なお、図1図4においては、実際のレーザ加工装置100を撮影した撮像を用いたり、レーザ加工装置100の図面を用いたりしている。そして、図面においては本発明をわかりやすく説明するために、実際のレーザ加工装置100を簡略化して描いたり、実際のレーザ加工装置100にはない構成を描いたりしている。
【0021】
レーザ加工装置100は、加工機構10と、これを収容する箱状のケース20と、加工機構10の下方に位置し加工対象物が載置される金属製の網からなる載置部30(図2A参照)と、加工により生じたゴミを受ける金属製の板状部材からなる底受け部40(図4A参照)と、からなる。
【0022】
なお、本実施形態のレーザ加工装置100は、具体的には加工対象物を板海苔としており、加工機構10により、板海苔に模様や図柄をカットによって付与する装置となっている。そして、レーザ加工装置100は、板海苔のような食品の加工だけでなく、木板の加工や金属への加工を行うことが可能な装置となっている。
【0023】
また、本実施形態において、X軸方向は、レーザ加工装置100の左右方向とし、Y軸方向は、レーザ加工装置100の前後方向とし、Z軸方向は、レーザ加工装置100の上下方向としている。
【0024】
ケース20は、中段あたりにおいて、図1A図1Bに示すように、上から順に第1引き出し201、第2引き出し202、第3引き出し203を備えている。そして、第1引き出し201に加工機構10が固定されており、第2引き出し202に載置部30である金属製の網が固定されており、第3引き出し203に底受け部40が固定されている。また、第1引き出し201、第2引き出し202、第3引き出し203は、図1Bに示すように、ケース20の外側にスライド可能な構造となっている。
【0025】
この順で収容されるので、ケース20の中では、加工機構10の下方に位置する載置部30に載置された加工対象物が加工機構10からレーザ加工されることができ、レーザ加工で生じたゴミ(板海苔の切断カス)が底受け部40で受けられる。また、加工機構10がスライドするので、ケース20の周囲に後述の遮光カバー204があったとしても、加工機構10の設定変更やメンテナンスなどが容易にできる。例えば、レーザ加工による煙等で、加工ヘッド1のレンズ面が汚れたような場合には、加工機構10をスライドさせることで、レンズ面の汚れを下方から簡単に拭き取ることができる。
【0026】
また、載置部30がスライドするので、加工対象物の取り出し作業を容易に行うことができる。また、底受け部40がスライドするので、加工により生じたゴミが底受け機構に溜まった場合には、このゴミを容易に取り除くことができる。そして、載置部30や底受け部40は、加工機構10に比べ頻繁に出し入れされることから、第2引き出し202、第3引き出しの正面には把手Hが設けられていることで出し入れがより一層容易になっている。
【0027】
更に、図1Aに示すように、加工機構10の周囲の4面に遮光カバー204と、加工機構10の上面に排煙ダクト205を備える。遮光カバー204は加工ヘッド1のレーザ波長と出力に対応した光透過率であり、作業者が安全に作業を行うことができる。排煙ダクト205はレーザ加工で生じた煙をケース20外に排出する。なお、本実施形態では、正面の遮光カバー204は、上方に開くことができ、加工機構10が固定された第1引き出し201をスライドさせて引き出す際には、正面の遮光カバー204を上方に開いて引き出す構成となっている。
【0028】
図2図3を用いて加工機構10の要部を説明する。加工機構10は加工ヘッド1と、制御部2と、ヘッド支持部3と、変位機構4と、X軸フレーム5と、Y軸フレーム6と、取付部8と、リード配線部9と、を備える。
【0029】
本実施形態の加工ヘッド1は、レンズだけでなくレーザ発信器を内蔵しており、より具体的には、出力10W、波長450nmの半導体レーザを備え、市販品としても入手可能なものである。そして、加工ヘッド1は、加工対象物を切断したり、孔をあけたり、文字等をマーキングしたりする。なお、加工ヘッド1は、レーザ発振器を内蔵しないで別体としたものでも構わない。
制御部2は、加工ヘッド1や変位機構4の駆動を制御するものであり、IC等の電子部品を搭載したプリント基板からなる。
【0030】
ヘッド支持部3は、複数の加工ヘッド1を支持するものであり、より具体的には、図2B図3に記すように、X軸と平行な2本のヘッド支持フレーム31と、Y軸と平行な2本の変位移動フレーム32と、6つのZ軸微調整部33で構成されている。なお、ヘッド支持フレーム31と変位移動フレーム32は強固で軽量なフレーム構造であり、材質は強固で軽く、安価で加工し易いアルミニウム押し出し材である。また、図2Aにおいては、Y軸と平行な変位移動フレーム32は4本となっているが、図2Bに示すように両サイドの変位移動フレーム32は軽量化の目的で削除して、2本の変位移動フレーム32とすることができる。
【0031】
2つのヘッド支持フレーム31は、X軸フレーム5を中心線として対象となるよう、X軸フレーム5の前後に位置している。そして、2つのヘッド支持フレーム31は、Z軸微調整部33を介してそれぞれ3つの加工ヘッド1を装着している。
【0032】
このZ軸調整部33は、図2Bに示すように、微調整レール331とロックつまみ332を備える。そして加工ヘッド1は、微調整レール331に沿ってZ軸方向に摺動する。ロックつまみ332は、この摺動のロック位置/ロック解除を行うつまみである。なお、このZ軸微調整の方法は、加工対象物が載置される場所にブロックゲージが置かれ、加工ヘッド1がブロックゲージに乗った状態でZ軸位置をロックつまみ332を操作してロックする。この方法で短時間且つ高い精度でZ軸の微調整を行うことができる。
【0033】
図2Bに記すように、2つの変位移動フレーム32の両端にヘッド支持フレーム31がネジBで螺着されている。このようにヘッド支持フレーム31は、変位移動フレーム32と着脱可能な構成となっている。なお、着脱可能な構成としては、実施形態のようなネジBでの螺着だけでなく係合による着脱でもよく、またクランプを用いたり、クイックシュー呼ばれるようなワンタッチ式の着脱構造でも構わない。そして、ヘッド支持フレーム31は、変位移動フレーム32と着脱可能な構成とすることで、ヘッド支持フレーム31毎交換することで、加工ヘッド1の数を簡単に増減することができる。
【0034】
図3Aに示すように、X軸フレーム5の底面側には、レール71がX軸フレーム5に沿って固着されている。また、このレール71にはガイド体72が係合している。また、X軸フレーム5の端部にはモータMを含むX軸変位機構4Xが固定されている。
【0035】
そして、ガイド体72とモータMとは図示していないタイミングベルトが接続されている。そして、制御部2の制御によって、X軸変位機構4XであるモータMの回転が制御され、この回転方向によって、ガイド体72がレール71の方向に沿って、左右方向に摺動する構成となっている。つまり、本実施形態では、レール71とモータMによってガイド体72を摺動させるX軸変位機構4Xが形成されている。そして、レール71とガイド体72とモータMによる所謂リニアガイドである直線運動を実現している。なお、ガイド体72であるキャリッジの駆動については、先に述べたタイミングベルトを用いたものだけでなく、ボールネジや油圧、空圧等によるものでもよい。
【0036】
そして、このガイド体72には、ヘッド支持部3を構成する変位移動フレーム32がネジによる螺着によって接続している。したがって、ガイド体72がレール71に沿って摺動することで、ヘッド支持部3がX軸方向に変位することになる。つまり、レール71とガイド体72を有するX軸フレーム5は、ヘッド支持部3をX軸方向に変位させるものとなっている。これにより、ヘッド支持部3がX軸方向に変位することで、6つの加工ヘッド1が一度にX軸に沿って変位することとなる。
【0037】
なお、ガイド体72と変位移動フレーム32とは別体として、互いにネジによる螺着により接続された具体例で説明しているが、ガイド体72と変位移動フレーム32との接続は、ガイド体72と変位移動フレーム32とが一体成型されたようなものも含む意味である。
【0038】
一方、X軸フレーム5の両端に位置する2本のY軸フレーム6の平面側にも、レール75がそれぞれY軸フレーム6に沿って固着されている。また、このレール75にもガイド体76がそれぞれ係合している。また、Y軸フレーム6の端部にもモータMを含むY軸変位機構4Yがそれぞれ固定されている。
【0039】
そして、ガイド体76とモータMとは図示していないタイミングベルトが接続されている。そして、制御部2の制御によって、Y軸変位機構4YであるモータMの回転が制御され、この回転方向によって、ガイド体76がレール75の方向に沿って、前後方向に摺動する構成となっている。つまり、本実施形態では、レール75とモータMによってガイド体76を摺動させるY軸変位機構4Yが形成されている。そして、レール75とガイド体76とモータMによっても所謂リニアガイドである直線運動を実現している。
【0040】
そして、このガイド体76には、X軸フレーム5がネジよる螺着により接続している。したがって、ガイド体76がレール75に沿って摺動することで、X軸フレーム5がY軸方向に変位することになる。つまり、レール75とガイド体76を有するY軸フレーム6は、X軸フレーム5を介してヘッド支持部3をY軸方向に変位させるものとなっている。これにより、ヘッド支持部3がY軸方向に変位することで、6つの加工ヘッド1が一度にY軸に沿って変位することとなる。
【0041】
また、加工機構10の制御部2は、図2Bに示すように、加工機構10の後方に配設された金属製の載置台からなる取付部8に取り付けられる。なお、図2Aの実際のレーザ加工装置100においては、制御部2を構成する制御基板を、加工機構10の後方のフレームに立設させて固定している。
【0042】
また、リード線保持部9は、図2Bに示すように、加工機構10の後方に設けた庇状の枠体で形成されている。そして、このリード線保持部9は、各加工ヘッド1と制御部2とに接続されたリード線11を束ねて載置しておくことで、リード線11の垂れ下がりによるヘッド支持部3等との接触を防止するものである。なお、図2Aの実際のレーザ加工装置100においては、束ねた複数のリード線11をケース20の天井からぶら下げられた紐状部材に固定することで、リード線11の垂れ下がりを防止している。
【0043】
このような構成の加工機構10は、ヘッド支持部3に支持されている6つの加工ヘッド1が一度にX軸方向とY軸方向に沿って変位することとなり、その際加工ヘッド1各々は装着位置を動くことがないため、全ての加工ヘッド1を精度よく変位させることができる。そして、レーザ加工装置100においては、一度に同じ変位となる加工ヘッド1の位置に合わせて、加工対象物は枠状の治具301(図4A図4B参照)を用いて載置部30に精度よく載置される。したがって、レーザ加工装置100は加工対象物に対して非常に精度よく加工を行うことができる。
【0044】
また、レーザ加工の際の加工ヘッド1の変位は高速で加速度の方向の変化が激しい。しかしながら、本実施形態のレーザ加工装置100は、6つの加工ヘッド1をセットとしたヘッド支持部3が変位することになるが、本実施形態のヘッド支持部3は強固で質量が小さいフレーム構造で、材質は安価で加工し易くて軽いアルミニウムの押し出し材であるので、変位時の慣性力も小さくなり、レーザ加工時の慣性力による位置ずれを低減することができる。また、振動も小さくなる。なお、このアルミニウムのフレーム構造に限定するものではなく、他の軽金属、非金属や合金の材料を用いてもよい。
【0045】
本実施形態の加工ヘッド1を支持するヘッド支持フレーム31は変位移動フレーム32にネジBで着脱可能に螺着されている構成となっている。したがって、加工対象物の変更に伴って加工ヘッド1の数や位置を変更する際に、個々の加工ヘッド1の取付作業を行うことなく、ヘッド支持フレーム31毎交換することで加工ヘッド1の数や位置を簡単に変更することができる。
【0046】
例えば、本実施形態のヘッド支持フレーム31には、それぞれ3つの加工ヘッド1が等間隔で装着されているが、4つの加工ヘッド1が等間隔で装着されている別のヘッド支持フレーム1や、2つの加工ヘッド1が装着されている別のヘッド支持フレーム1を用意しておくことで、加工対象物の数を8個へ変更したり、4個へ変更したりすることが短時間で非常に容易に行うことができる。そして、加工ヘッド1を精度よく配置することができる。
【0047】
なお、互いに直交するヘッド支持フレーム31と変位移動フレーム32は、本実施形態では、ヘッド支持フレーム31がX軸フレーム5に対して平行に延在しているが、ヘッド支持部3を90度回転させて、変位移動フレーム32がX軸フレーム5に対して平行に延在するように構成してもよい。
【0048】
また、本実施形態の加工機構10の下方には載置部30が設けられているが、この載置部30はベルトコンベヤのように移動する構成となっていても構わない。また、載置部30側でなく、加工機構10側がベルトコンベヤのように移動する構成となっていても構わない。
また、本実施形態の加工機構10は二次元レーザ加工であったが、本発明の加工機構10は、三次元レーザ加工にも適用することできる。
【符号の説明】
【0049】
100…レーザ加工装置、10…加工機構、1…加工ヘッド、3…ヘッド支持部、31…ヘッド支持フレーム、32…変位移動フレーム、4…変位機構、4X…X軸変位機構、4Y…Y軸変位機構、5…X軸フレーム、6…Y軸フレーム、20…ケース、201…第1引き出し、202…第2引き出し、203…第3引き出し、204…遮光カバー、40…底受け部、71…レール、72…ガイド体
図1
図2
図3
図4