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  • 特開-クラッチシェル保護板 図1
  • 特開-クラッチシェル保護板 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115485
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】クラッチシェル保護板
(51)【国際特許分類】
   F16D 13/52 20060101AFI20240819BHJP
   F16D 13/60 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F16D13/52 Z
F16D13/60 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021215
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】523055938
【氏名又は名称】森 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】森 秀樹
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA60
3J056BA05
3J056BC02
3J056CC13
3J056CD01
3J056EA02
3J056EA23
3J056GA02
3J056GA13
(57)【要約】
【課題】アルミ製クラッチシェルの底板の摩耗を防止するクラッチシェル保護板を提供すること。
【解決手段】クラッチシェル保護板1は、クラッチシェル10の底板11とクラッチプレート20との間に配置され、外縁2aと内縁2bとを有するドーナツ形状の板材である本体2を有し、本体2の外縁2aの直径は、クラッチシェル10の壁部12の内径と同じ又は壁部12の内径L1より小さく、クラッチシェル10の壁部12に沿って延びる一対のリブ121の内面間の寸法L2より大きい寸法で形成され、本体2の内縁2bの直径は、クラッチハブ30のクラッチシェル10の底板11を貫通する部分の外径と同じ又は当該外径よりより大きい寸法で形成され、本体2の外縁2aには、クラッチシェル10のリブ121と係合する欠き込み3が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車において、円形状に形成された底板と、前記底板の外縁から立設する壁部と、を有し、アルミで形成されたクラッチシェルの前記底板に、前記クラッチシェルの内部に配置されたクラッチプレートを、押圧することで、エンジンにより発生した回転力を、トランスミッションに伝達するクラッチ装置に設けられるクラッチシェル保護板であって、
前記クラッチシェルの前記底板と前記クラッチプレートとの間に配置され、
外縁と内縁とを有するドーナツ形状の板材である本体を有し、
前記本体の外縁の直径は、
前記クラッチシェルの前記壁部の内径と同じ又は前記壁部の内径より小さく、
前記クラッチシェルにおいて、前記クラッチシェルの内側に突出して、前記壁部に沿って、前記壁部が立設する方向に延び、前記クラッチシェルの中心を挟んで互いに対向するように配置された一対のリブの内面間の寸法より大きい寸法で形成され、
前記本体の内縁の直径は、前記クラッチ装置において、前記トランスミッション側に設けられたクラッチハブの前記クラッチシェルの前記底板を貫通する部分の外径と同じ又は当該外径よりより大きい寸法で形成され、
前記本体の前記外縁には、前記クラッチシェルの前記リブと係合する欠き込みが形成されていることを特徴とするクラッチシェル保護板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチシェル保護板に関し、詳しくは、自動二輪車において、円形状に形成された底板と、底板の外縁から立設する壁部と、を有し、アルミで形成されたクラッチシェルの底板に、クラッチシェルの内部に配置されたクラッチプレートを、押圧することで、エンジンにより発生した回転力を、トランスミッションに伝達するクラッチ装置に設けられるクラッチシェル保護板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、自動二輪車のクラッチに関する技術として、プレッシャプレートにフリクションプレートとクラッチプレートとが接触する方向の力を付与するクラッチスプリングと、略円環形状に形成され、クラッチスプリングのプレッシャプレート側と反対側の一端を支えることでクラッチスプリングの反力を受けるリテナーと、略円環形状を有し、周方向の一部に半径方向に延びるスリットが形成され、クラッチハウジングの内周側に嵌め合わされ、リテナーのクラッチスプリング側と反対の側に当接することによりリテナーをクラッチハウジングに係止するサークリップと、を備え、サークリップが半径方向内側への変形を抑制されるように構成されている技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-197991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動二輪車を購入する需用者には、既に生産が中止された古い車種を、修理や改造して乗りたいという要望がある。
【0005】
このような車種には、エンジンにより発生した回転力が、チェーンやベルトを介してクラッチ装置に伝達され、このクラッチ装置が回転することで、クラッチ装置からトランスミッションを介して後輪に伝達される車種がある。
【0006】
そして、このような車種のクラッチ装置は、円形状の底板の側縁から立設する壁を有するクラッチシェルと、クラッチシェルの内部に配置された複数のクラッチプレートと、このクラッチプレートをクラッチシェルの底板側に押圧するプレッシャプレートと、を備える。
【0007】
このようなクラッチ装置によれば、クラッチシェルの底板にクラッチプレートに押圧された状態(クラッチオン状態)では、エンジンにより発生した回転力が、トランスミッションに伝達される。そして、ドライバーの操作により、プレッシャプレートによるクラッチプレートの押圧が解除された状態(クラッチオフ状態)では、エンジンにより発生した回転力により回転するクラッチシェルの回転力が、トランスミッションに伝達されなくなる。
【0008】
すなわち、このような車種におけるクラッチ装置では、クラッチシェルの底板に対する、当該底板に当接したクラッチプレートの接触面の摩擦により、クラッチシェルの回転力が、クラッチプレートを介してトランスミッションに伝達される。このため、クラッチオフ状態からクラッチオン状態に移行する場合、高速で回転するクラッチシェルの底板に、クラッチプレートを押圧するため、クラッチシェルの底板がクラッチプレートにより削られる。
【0009】
ここで、上記古い車種において、当該車種のメーカーによる販売時には、エンジンにより発生した回転力をチェーンによりクラッチ装置に伝達していた態様を、ベルトによりクラッチ装置に伝達する態様に改造したいという要望がある。
【0010】
このような要望があった場合、クラッチ装置のクラッチシェルを、ベルトにより回転可能な物に交換する必要がある。このようなクラッチシェルは、上記メーカー以外の他社により提供されるが、鉄に比較して融点が低く、ダイキャストにより鋳造が容易なアルミにより形成されている。
【0011】
ところが、アルミ製のクラッチシェルは、鉄製のクラッチシェルに比べ、表面が柔らかく、摩擦により摩耗しやすいため、クラッチシェルの底板がクラッチプレートにより削られ、摩耗が激しいという問題がある。
【0012】
そして、クラッチシェルの底板がクラッチプレートにより削られ、摩耗すると、クラッチオン状態におけるクラッチシェルの底板とクラッチプレートの接触面との摩擦力が低下し、エンジンにより発生した回転力が、トランスミッションに伝達されなくなる。このような場合、クラッチシェル全体を交換する必要がある。
【0013】
本発明は、アルミ製クラッチシェルの底板の摩耗を防止するクラッチシェル保護板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、クラッチシェル保護板は、
自動二輪車において、円形状に形成された底板と、前記底板の外縁から立設する壁部と、を有し、アルミで形成されたクラッチシェルの前記底板に、前記クラッチシェルの内部に配置されたクラッチプレートを、押圧することで、エンジンにより発生した回転力を、トランスミッションに伝達するクラッチ装置に設けられるクラッチシェル保護板であって、
前記クラッチシェルの前記底板と前記クラッチプレートとの間に配置され、
外縁と内縁とを有するドーナツ形状の板材である本体を有し、
前記本体の外縁の直径は、
前記クラッチシェルの前記壁部の内径と同じ又は前記壁部の内径より小さく、
前記クラッチシェルにおいて、前記クラッチシェルの内側に突出して、前記壁部に沿って、前記壁部が立設する方向に延び、前記クラッチシェルの中心を挟んで互いに対向するように配置された一対のリブの内面間の寸法より大きい寸法で形成され、
前記本体の内縁の直径は、前記クラッチ装置において、前記トランスミッション側に設けられたクラッチハブの前記クラッチシェルの前記底板を貫通する部分の外径と同じ又は当該外径よりより大きい寸法で形成され、
前記本体の前記外縁には、前記クラッチシェルの前記リブと係合する欠き込みが形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の構成によれば、クラッチシェル保護板は、自動二輪車において、円形状に形成された底板と、底板の外縁から立設する壁部と、を有し、アルミで形成されたクラッチシェルの底板に、クラッチシェルの内部に配置されたクラッチプレートを、押圧することで、エンジンにより発生した回転力を、トランスミッションに伝達するクラッチ装置に設けられる。
【0016】
そして、クラッチシェル保護板は、クラッチシェルの底板とクラッチプレートとの間に配置され、外縁と内縁とを有するドーナツ形状の板材である本体を有する。
本体の外縁の直径は、クラッチシェルの壁部の内径と同じ又は壁部の内径より小さく、クラッチシェルにおいて、クラッチシェルの内側に突出して、壁部に沿って、壁部が立設する方向に延び、クラッチシェルの中心を挟んで互いに対向するように配置された一対のリブの内面間の寸法より大きい寸法で形成されている。
また、本体の内縁の直径は、クラッチ装置において、トランスミッション側に設けられたクラッチハブのクラッチシェルの底板を貫通する部分の外径と同じ又は当該外径よりより大きい寸法で形成されている。
また、本体の外縁には、クラッチシェルのリブと係合する複数の欠き込みが形成されている。
これら複数の欠き込みは、本体の中心から半径方向に、60°間隔で延びる複数の仮想線上に、それぞれ配置されている。
【0017】
これにより、本発明によれば、アルミで形成されたクラッチシェルの底板と、クラッチプレートとの間に、外縁と内縁とを有するドーナツ形状の板材である本体を配置したので、クラッチオフ状態からクラッチオン状態に移行する場合、クラッチプレートはクラッチシェル保護板に当接し、クラッチシェルからの回転力が、クラッチシェル保護板を介して、クラッチプレートに伝達される。
したがって、クラッチプレートが直接的にクラッチシェルの底板に当接しないので、クラッチプレートにより、クラッチシェルの底板が削られるのを防止できる。
【0018】
また、本体の外縁に、クラッチシェルのリブと係合する欠き込みを形成した。これにより、本体がクラッチシェルに対して回転しないので、本体により、クラッチシェルの底板が削られることも防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、クラッチシェルの底板に、クラッチプレートの接触面を当接させてクラッチオン状態とするクラッチ装置のクラッチシェルを、アルミ製クラッチシェルに交換した場合に、アルミ製クラッチシェルの底板の摩耗を防止するクラッチシェル保護板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るクラッチシェル保護板を適用する態様を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係るクラッチシェル保護板を、クラッチシェルの中心軸方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図1は、本発明の実施形態に係るクラッチシェル保護板を適用する態様を説明する図である。
本発明の実施形態に係るクラッチシェル保護板1は、自動二輪車のクラッチ装置100に設けられる。
【0022】
クラッチシェル保護板1が適用されるクラッチ装置100は、公知の構成であり、クラッチシェル10と、クラッチシェル10の内部に配置されるクラッチプレート20と、クラッチオン状態においてクラッチプレート20をクラッチシェル10の底板側に押圧するプレッシャプレート(図示無し)と、クラッチシェル10のトランスミッション(図示無し)側(図1に示す例では右側であり、以下、クラッチシェル10の「背面側」ともいう。)に配置されたクラッチハブ30と、クラッチシェル10の外縁に係止され、クラッチプレート20を覆うクラッチカバー(図示無し)と、を備える。
【0023】
クラッチシェル10は、アルミで形成され、底板11の外縁から立設する壁部12と、を有する。
【0024】
底板11には、中央に、クラッチハブ30の複数のクラッチハブピン31が挿通する挿通孔111が形成されている。
【0025】
壁部12には、クラッチシェル10の内側に突出して、壁部12に沿って、壁部12が立設する方向に延び、クラッチシェル10の中心を挟んで互いに対向するように配置された一対のリブ121が所定間隔で複数設けられている。リブ121は、クラッチシェル10の中心から半径方向に、60°間隔で延びる複数の仮想線上に、それぞれ配置されている(詳しくは、後述する図2参照)。
【0026】
クラッチプレート20は、ドーナツ形状の円板であるクラッチディスクとドライブディスクが交互に、複数枚重ねて配置されたものである。クラッチディスクは、クラッチシェル10の挿通孔111を挿通したクラッチハブ30の複数のクラッチハブピン31と係合する。
【0027】
クラッチハブ30は、クラッチシェル10と同一軸上に配置された円筒形状のベースから、クラッチプレート20と係合する複数のクラッチハブピン31が、クラッチシェル10側に延びる。
【0028】
このようなクラッチ装置100は、クラッチシェル10にベルトが巻き回され、このベルトを介して、エンジンにより発生した回転力が、クラッチシェル10に伝達される。そして、クラッチ装置100は、クラッチオン状態において、クラッチシェル10の底板11にクラッチプレート20がプレッシャプレートにより押圧されており、クラッチシェル10の底板11とクラッチプレート20との摩擦力により、クラッチシェル10の回転に伴い、クラッチプレート20も回転する。そして、クラッチプレート20の回転に伴い、クラッチプレート20と係合したクラッチハブ30が回転することで、その回転力が、トランスミッションを介して、自動二輪車の後輪に伝達される。
【0029】
また、このようなクラッチ装置100は、例えば、ドライバーの操作により、クラッチオフ状態となる。クラッチ装置100は、クラッチオフ状態では、クラッチシェル10の底板11にクラッチプレート20を押圧する状態が解除され、底板11とクラッチプレート20とが互いに離間する。これにより、クラッチシェル10の回転力は、クラッチプレート20及びクラッチハブ30に伝達されず、トランスミッションにおけるギアを変更することが可能となる。
【0030】
そして、このようなクラッチ装置100は、例えば、ドライバーの操作により、クラッチオフ状態からクラッチオン状態にする場合、高速回転するクラッチシェル10の底板11に、回転していないクラッチプレート20がプレッシャプレートにより押圧することになる。この際、クラッチシェル10の底板11が、クラッチプレート20により削られることになる。
【0031】
本発明の実施形態に係るクラッチシェル保護板1は、このようなクラッチ装置100に適用される。
クラッチシェル保護板1は、クラッチシェル10の底板11とクラッチプレート20との間に配置される。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係るクラッチシェル保護板を、クラッチシェルの中心軸方向から見た図である。
クラッチシェル保護板1は、外縁2aと内縁2bとを有するドーナツ形状の板材である本体2を有する。本体2は、例えば、厚さ1.2mmの鋼材(例えば、SS400等)で形成される。
【0033】
本体2の外縁2aの直径は、クラッチシェル10の壁部12の内径L1と同じ又は壁部12の内径L1より小さく、クラッチシェル10において、クラッチシェル10の壁部12に配置されたリブ121の内面間の寸法L2より大きい寸法で形成されている。具体的には、外縁2aの直径は、171mm~177mmで形成され、174mmが望ましい。
【0034】
本体2の内縁2bの直径は、クラッチ装置100において、トランスミッション側に設けられたクラッチハブ30のクラッチシェル10の底板11の挿通孔111を貫通する部分の外径と同じ又は当該外径より大きい寸法で形成されている。又は、本体2の内縁2bの直径は、挿通孔111の直径L3より大きい寸法で形成されている。具体的には、内縁2bの直径は、100mm~110mmで形成され、106mmが望ましい。
【0035】
また、本体2の外縁2aには、クラッチシェル10の複数のリブ121とそれぞれ係合する複数の欠き込み3が形成されている。
欠き込み3は、クラッチシェル10の中心軸と直交する面によるリブ121の断面形状に沿った形状に形成されている。
また、欠き込み3は、本体2の中心から半径方向に、60°間隔で延びる複数の仮想線上に、それぞれ配置されている。これにより、本体2の底板11にクラッチプレート20に当接した際に生ずる回転力を、均等に配置された6箇所の欠き込み3とクラッチシェル10のリブ121との係合によっても受けることができるので、クラッチオフ状態からクラッチオン状態にする場合に、底板11に生ずる負荷をより軽減できる。
【0036】
なお、欠き込み3により形成される出隅は、面取りしてもよい。これにより、例えば、クラッチシェル保護板1を、クラッチ装置100に取り付ける作業者が、当該出隅により、負傷するのを防止できる。
【0037】
このような実施形態によれば、クラッチシェル保護板1は、自動二輪車において、円形状に形成された底板11と、底板11の外縁から立設する壁部12と、を有し、アルミで形成されたクラッチシェル10の底板11に、クラッチシェル10の内部に配置されたクラッチプレート20を、押圧することで、エンジンにより発生した回転力を、トランスミッションに伝達するクラッチ装置100に設けられる。
【0038】
そして、クラッチシェル保護板1は、クラッチシェル10の底板11とクラッチプレート20との間に配置され、外縁2aと内縁2bとを有するドーナツ形状の板材である本体2を有する。
本体2の外縁2aの直径は、クラッチシェル10の壁部12の内径と同じ又は壁部12の内径より小さく、クラッチシェル10において、クラッチシェル10の内側に突出して、壁部12に沿って、壁部12が立設する方向に延び、クラッチシェル10の中心を挟んで互いに対向するように配置された一対のリブ121の内面間の寸法より大きい寸法で形成されている。
また、本体2の内縁2bの直径は、クラッチ装置100において、トランスミッション側に設けられたクラッチハブ30のクラッチシェル10の底板11を貫通する部分の外径と同じ又は当該外径よりより大きい寸法で形成されている。
また、本体2の外縁2aには、クラッチシェル10のリブ121と係合する複数の欠き込み3が形成されている。
これら複数の欠き込み3は、本体2の中心から半径方向に、60°間隔で延びる複数の仮想線上に、それぞれ配置されている。
【0039】
これにより、アルミで形成されたクラッチシェル10の底板11と、クラッチプレート20との間に、外縁2aと内縁2bとを有するドーナツ形状の板材である本体2を配置したので、クラッチオフ状態からクラッチオン状態に移行する場合、クラッチプレート20はクラッチシェル保護板1に当接し、クラッチシェル10からの回転力が、クラッチシェル保護板1を介して、クラッチプレート20に伝達される。
したがって、クラッチプレート20が直接的にクラッチシェル10の底板11に当接しないので、クラッチプレート20により、クラッチシェル10の底板が削られるのを防止できる。
【0040】
また、本体2の外縁2aに、クラッチシェル10のリブ121と係合する欠き込み3を形成した。これにより、本体2がクラッチシェル10に対して回転しないので、本体2により、クラッチシェル10の底板11が削られることも防止できる。
【0041】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 クラッチシェル保護板
2 本体
2a 外縁
2b 内縁
3 欠き込み
10 クラッチシェル
11 底板
12 壁部
20 クラッチプレート
30 クラッチハブ
31 クラッチハブピン
100 クラッチ装置
111 挿通孔
121 リブ


図1
図2