(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115494
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】血小板凝集抑制用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/353 20060101AFI20240819BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20240819BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240819BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240819BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240819BHJP
A23G 1/32 20060101ALI20240819BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20240819BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20240819BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20240819BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K31/353
A61P7/02
A61P9/12
A23L33/10
A23L2/00 F
A23L2/52
A23G1/32
A23L29/256
A23L29/281
A23L29/238
A23C9/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092130
(22)【出願日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2023020448
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】田中 夏子
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B018
4B041
4B117
4C086
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC05
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4B014GB01
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4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA42
4C086ZA54
(57)【要約】
【課題】血小板凝集抑制が可能な組成物を提供すること。また、高血圧改善が可能な組成物を提供すること。
【解決手段】(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であることを特徴とする組成物。さらに、(C)カテキンを含有してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である血小板凝集抑制用組成物。
【請求項2】
(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である血小板凝集抑制用組成物。
【請求項3】
(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である、血小板凝集抑制用組成物。
【請求項4】
(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である高血圧改善用組成物。
【請求項5】
(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である高血圧改善用組成物。
【請求項6】
(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である、高血圧改善用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板凝集抑制用組成物に関する。また、本発明は、高血圧改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞、心筋梗塞、末梢血管閉塞症などの血栓性疾患は生命にかかわるものであるため、血栓性疾患を予防することは重要である。血栓性疾患は血液中に血栓が形成されることが要因であるため、血小板の凝集を抑制し、血栓の形成を抑制することが、その予防につながる。従って、長期間にわたって安全かつ効果的に、血小板の凝集を抑制する飲食品が求められている。例えば、血小板凝集抑制作用を有する成分としては、インドール-3-カルビノールやヘリセノンBが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、血栓症疾患は高血圧も関与する。従って、長期間にわたって安全かつ効果的に、高血圧を改善する飲食品が求められている。例えば、高血圧改善作用を有する成分としては、ラッキョウ抽出物や雲南百薬加工物が知られている(特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-001131号公報
【特許文献2】特開2010-184920号公報
【特許文献3】特開2021-143132号公報
【特許文献4】特開2014-141438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまで開発された血小板凝集抑制用組成物及び高血圧改善用組成物は必ずしも効果が十分とは言えないため、血小板凝集抑制作用及び高血圧改善作用に優れた新たな組成物の開発が求められている。
【0006】
本発明の課題は、血小板凝集抑制が可能な組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、高血圧改善が可能な組成物を提供することにある。
【0007】
本発明者らは、プロシアニジンB1(Procyanidin B1;以下、「PB1」とも言う)及びプロシアニジンB3(Procyanidin B3;以下、「PB3」とも言う)を特定の比率とすることにより、優れた血小板凝集抑制効果及び高血圧改善効果が得られることを見いだした。さらに、プロシアニジンB1、プロシアニジンB3に加えて、カテキンを含有することにより、優れた血小板凝集抑制効果及び高血圧改善効果が得られることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1](A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である血小板凝集抑制用組成物。
[2](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である血小板凝集抑制用組成物。
[3](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である、血小板凝集抑制用組成物。
[4](A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下である血小板凝集抑制用組成物。
[5](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下である血小板凝集抑制用組成物。
[6](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する血小板凝集抑制用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上10以下である、血小板凝集抑制用組成物。
[7](A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である高血圧改善用組成物。
[8](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である高血圧改善用組成物。
[9](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である、高血圧改善用組成物。
[10](A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下である高血圧改善用組成物。
[11](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下である高血圧改善用組成物。
[12](A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3及び(C)カテキンを含有する高血圧改善用組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上10以下であり、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上10以下である、高血圧改善用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、優れた血小板凝集抑制効果を奏する。また、本発明の組成物は、優れた高血圧改善効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例及び比較例におけるプロスタグランジンI2の産生量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の血小板凝集抑制用組成物及び高血圧改善用組成物(以下、まとめて「本発明の組成物」とも記載する。)は、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3を特定の比率で含有することを特徴とする。さらに、本発明の組成物は、(C)カテキンを含有してもよい。以下、各成分及び本発明の組成物について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の主旨の範囲内で種々改変することができる。
【0012】
本発明の組成物は、血小板凝集抑制効果を奏することから、血小板凝集抑制用組成物として用いることができる。また、本発明の組成物は、高血圧改善効果を奏することから、高血圧改善用組成物として用いることができる。
【0013】
以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
[(A)プロシアニジンB1]
(A)プロシアニジンB1は、(-)エピカテキンと(+)カテキンとがC4-C8結合した二量体であり、下記式(1)に示す化学構造を有する。
【0014】
【0015】
本発明の(A)プロシアニジンB1は、合成物やリンゴ、ブドウ、松などの植物由来物を用いることができ、使用時の安全性の観点から植物由来物が好ましく、プロシアニジンB1を豊富に含むことから、ブドウ又は松がより好ましく、松を用いることが特に好ましい。
【0016】
植物由来物の加工方法は特に限定されず、粉砕物、搾汁、抽出物等の処理物を使用することができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。ペースト状や乾燥粉末とする場合は、そのもののみを用いて製造しても良いし、賦形剤と共に加工しても良い。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、プロシアニジンB1を豊富に含むことができる点から、抽出物を用いることが特に好ましい。
【0017】
本発明の組成物におけるプロシアニジンB1の含有量は、HPLCにて分析することができる。例えば、紫外部吸収検出器付きHPLC分析装置により測定することができ、分析カラムは一般財団法人化学物質評価研究機構製のL-Column ODS 3μm(4.6×250mm)を用い、移動相の液媒として、0.1M酢酸水溶液(移動相A)、0.1M酢酸アセトニトリル溶液(移動相B)を用い、カラム温度は40℃、流量1.0mL/分とすることができる。グラジエント条件は以下の通りとすることができる。
【0018】
【0019】
[(B)プロシアニジンB3]
(B)プロシアニジンB3は、(+)カテキンと(+)カテキンとがC4-C8結合した二量体であり、下記式(2)に示す化学構造を有する。
【0020】
【0021】
本発明の(B)プロシアニジンB3は、合成物やリンゴ、ブドウ、松などの植物由来物を用いることができ、使用時の安全性の観点から植物由来物が好ましく、プロシアニジンB3を豊富に含むことから、ブドウ又は松がより好ましく、松を用いることが特に好ましい。
【0022】
植物由来物の加工方法は特に限定されず、粉砕物、搾汁、抽出物等の処理物を使用することができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。ペースト状や乾燥粉末とする場合は、そのもののみを用いて製造しても良いし、賦形剤と共に加工しても良い。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、プロシアニジンB3を豊富に含むことができる点から、抽出物を用いることが特に好ましい。
【0023】
本発明の組成物におけるプロシアニジンB3の含有量は、HPLCにて分析することができる。例えば、紫外部吸収検出器付きHPLC分析装置により測定することができ、分析カラムは一般財団法人化学物質評価研究機構製のL-Column ODS 3μm(4.6×250mm)を用い、移動相の液媒として、0.1M酢酸水溶液(移動相A)、0.1M酢酸アセトニトリル溶液(移動相B)を用い、カラム温度は40℃、流量1.0mL/分とすることができる。グラジエント条件は以下の通りとすることができる。
【0024】
【0025】
[(C)カテキン]
本発明の組成物は、(C)カテキンを含有しても良い。カテキンとは、化学式C15H14O6で表される化合物であり、本発明におけるカテキンとは、下記化学式(3)で示す(+)‐カテキン、または化学式(4)で示す(-)‐カテキンである。カテキンとしては、(+)‐カテキン、(-)‐カテキンのいずれを使用してもよく、2種を組み合わせて使用してもよいが、より高い効果を得ることができる点から、2種を組み合わせて使用することが好ましい。
【0026】
【0027】
本発明の(C)カテキンは、合成物や茶、松などの植物由来物を用いることができ、使用時の安全性の観点から植物由来物が好ましく、カテキンを豊富に含むことから、茶又は松がより好ましく、松を用いることが特に好ましい。
【0028】
植物由来物の加工方法は特に限定されず、粉砕物、搾汁、抽出物等の処理物を使用することができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。ペースト状や乾燥粉末とする場合は、そのもののみを用いて製造しても良いし、賦形剤と共に加工しても良い。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、カテキンを豊富に含むことができる点から、抽出物を用いることが特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物におけるカテキンの含有量は、HPLCにて分析することができる。例えば、紫外部吸収検出器付きHPLC分析装置により測定することができ、分析カラムは一般財団法人化学物質評価研究機構製のL-Column ODS 3μm(4.6×250mm)を用い、移動相の液媒として、0.1M酢酸水溶液(移動相A)、0.1M酢酸アセトニトリル溶液(移動相B)を用い、カラム温度は40℃、流量1.0mL/分とすることができる。グラジエント条件は以下の通りとすることができる。
【0030】
【0031】
本発明の組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等として用いることができる。
【0032】
本発明の組成物は、血小板凝集抑制用組成物として用いることができ、かかる血小板凝集抑制用組成物としては、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3とを含有し、任意でカテキンを含有し、血小板凝集抑制の機能が発揮される点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、血小板凝集抑制の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。
【0033】
また、本発明の組成物は、高血圧改善用組成物として用いることができ、かかる高血圧改善用組成物としては、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3とを含有し、任意でカテキンを含有し、高血圧改善の機能が発揮される点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、高血圧改善の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。
【0034】
なお、本発明の組成物は、カテキンを含有しない場合は、プロシアニジンB1又は/及びプロシアニジンB3が有効成分として表示されているものであってもよいが、プロシアニジンB1、プロシアニジンB3が有効成分として表示されているものに限られない。カテキンを含有する場合は、プロシアニジンB1又は/及びプロシアニジンB3又は/及びカテキンが有効成分として表示されているものであってもよいが、プロシアニジンB1、プロシアニジンB3、カテキンが有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分が表示されていないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、機能・用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として機能・用途に言及する体験談をホームページ等に掲載して販売される食品が挙げられる。
【0035】
具体的に、血小板凝集抑制用組成物においては、例えば、「血小板の凝集を抑制する」、「血小板の凝集を防ぐ」、「血小板凝集能を維持する」、「血液のサラサラ度の維持に役立つ」、「血液の流動性(血小板凝集能)の維持に役立つ」、「血液の流れやすさ(血小板凝集能)の維持に役立つ」等を表示したものを例示することができる。
【0036】
具体的に、高血圧改善用組成物においては、例えば、「高血圧を改善する」、「血圧が高めな方に」、「高めの血圧を下げる」、「正常な血圧を維持する」、「健康な血圧を維持する」等を表示したものを例示することができる。
【0037】
本発明の組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、経口的な使用に適した形態、具体的には、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ジェル状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。
【0038】
本発明の組成物は、摂取が容易である点から、顆粒状、錠状、カプセル状、液状が好ましく、顆粒状、錠状、カプセル状がより好ましい。ここで、顆粒状とは粉末を造粒したものをいい、直接飲用してもよく、水などの液体に溶かして飲用してもよい。また、ジェル状とは水とゲル化剤を含有し、粘性又は弾性を有する状態のものをいう。
【0039】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3との質量比[(A)/(B)]としては、1以上であれば良いが、1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。また、上限は特に限定されないが、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3.5以下であることが特に好ましい。これらの質量比であることにより、より高い効果を得ることができる。
【0040】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(C)カテキンとの質量比[(A)/(C)]としては、特に限定されないが、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。また、上限は特に限定されないが、10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。これらの質量比であることにより、より高い効果を得ることができる。
【0041】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計と(C)カテキンとの質量比[((A)+(B))/(C)]としては、特に限定されないが、0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1以上であることが特に好ましい。また、上限は特に限定されないが、10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、3.5以下であることが特に好ましい。これらの質量比であることにより、より高い効果を得ることができる。
【0042】
本発明の組成物における(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計含有量としては、カテキン含有の有無に関わらず、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、0.00001~30質量%含有させることができ、0.0001~20質量%含有させることが好ましく、0.001~10質量%含有させることがより好ましい。
【0043】
本発明における組成物の摂取量としては特に制限はないが、より高い効果を得ることができる点から、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計摂取量が、成人の1日当たり、0.1mg以上となるように摂取することが好ましく、1mg以上となるように摂取することがより好ましく、2mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、100mgであり、好ましくは50mgであり、より好ましくは20mgである。
【0044】
本発明の組成物は、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3の合計の1日の摂取量が上記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの容器に、又は2~4の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。また、本発明の組成物の1日の摂取量は、例えば、本発明の組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、0.05~50gとなるように摂取することが好ましく、0.1~10gとなるように摂取することがより好ましく、0.2~5gとなるように摂取することがさらに好ましい。また、例えば、本発明の組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、10~1500gとなるように摂取することが好ましく、30~1000gとなるように摂取することがより好ましく、50~750gとなるように摂取することがさらに好ましい。
【0045】
本発明の組成物は、必要に応じて、(A)プロシアニジンB1、(B)プロシアニジンB3、(C)カテキン以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
<試験 プロスタグランジンI2産生量の評価>
プロスタグランジンI2(PGI2)産生量について評価した。プロスタグランジンI2には、血小板の凝集を抑制する作用がある。また、プロスタグランジンI2には、高血圧改善作用があり、プロスタグランジンI2製剤は肺高血圧症などの治療に使用されている。したがって、プロスタグランジンI2産生量を評価することで、血小板凝集抑制効果及び高血圧改善効果を評価することができる。なお、プロスタグランジンI2は半減期が短いため、プロスタグランジンI2産生量の評価として、プロスタグランジンI2の代謝産物である6-ケトプロスタグランジンF1αを評価した。
【0048】
[被験物質]
被験物質には、(A)プロシアニジンB1としてプロシアニジンB1試薬(ChemFaces社製)、(B)プロシアニジンB3としてプロシアニジンB3試薬(ChemFaces社製)、(C)カテキンとしてカテキン試薬(長良サイエンス社製)を使用した。
【0049】
下記表1の割合となるように、DMSOで溶解し、添加濃度でDMSOが0.5%になるようにEndothelial Cell Growth Medium 2(EGM-2)培地(Lonza製)で希釈することで、実施例1~9及び比較例1~4の被験物質を調製した。
【0050】
【0051】
[細胞培養]
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC:Lonza製)をEGM-2培地で培養した。コラーゲンコートされた96ウェルプレートに前記の細胞を1×104cells/wellとなるように100μL/wellで播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。各wellより培地を除去後、表1の被験物質含有培地を100μL/well添加し、24時間培養した。
【0052】
[プロスタグランジンI2産生量の測定]
各wellより培地を回収し、6-keto Prostaglandin F1α ELISAキット(Cayman製)を用いて培地中の6-ケトプロスタグランジンF1α量を測定し、プロスタグランジンI2産生量を評価した。
【0053】
[プロスタグランジンI
2産生量の評価]
表1の試験群において、(A)プロシアニジンB1を3.0μg/ml及び(B)プロシアニジンB3を7.0μg/ml投与した群(比較例1)のプロスタグランジンI
2産生量を100とした場合の相対値を算出した。結果を
図1に示す。
【0054】
図1に示すように、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を添加し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1以上である群(実施例1~9)は、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を添加し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が1未満である群(比較例1~4)に比べて、プロスタグランジンI2産生量の増加が認められた。その中でも、(C)カテキンを添加した群(実施例4~9)は、(C)カテキンを添加しなかった群(実施例1~3)に比べて、より優れたプロスタグランジンI2産生量の増加が認められた。さらにその中でも、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5以上である群(実施例4~8)は、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が0.5未満である群(実施例9)に比べて、特に優れたプロスタグランジンI
2産生量の増加が認められた。
従って、(A)プロシアニジンB1及び(B)プロシアニジンB3を組み合わせ、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]を1以上とすることにより、プロスタグランジンI
2産生量の増加がみられることから、優れた血小板凝集抑制効果及び高血圧改善効果を得ることができる。また、(C)カテキンを組み合わせることにより、より優れたプロスタグランジンI
2産生量の増加がみられることから、より優れた血小板凝集抑制効果及び高血圧改善効果を得ることができる。さらに、成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]を0.5以上とすることにより、特に優れたプロスタグランジンI2産生量の増加がよりみられることから、特に優れた血小板凝集抑制効果及び高血圧改善効果を得ることができる。
【0055】
実施例の結果に基づいて、以下に本発明の製造例を示す。
【0056】
[製造例1-3](顆粒剤の製造)
表2の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する顆粒剤を製造した。製造例1-3に記載の顆粒剤は、1日あたり3gを摂取すればよく、100mlの水などの溶媒に溶かして摂取してもよく、溶かさずにそのまま摂取してもよい。製造例1-3のいずれの顆粒剤も血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0057】
【0058】
[製造例4-6](顆粒剤の製造)
表3の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する顆粒剤を製造した。製造例4-6に記載の顆粒剤は、1日あたり25gを摂取すればよく、200mlの水などに溶かして摂取することができる。製造例4-6のいずれの顆粒剤も血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0059】
【0060】
[製造例7-9:錠剤]
表4の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有する錠剤を製造した。錠剤は、錠径8mmφ、錠厚4.5mm、重量250mg、硬度5kgf以上で製造した。製造例7-9に記載の錠剤は1日あたり1~4粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。製造例7-9のいずれの錠剤も血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0061】
【0062】
[製造例10-12:ハードカプセル]
表5の配合の内容物をゼラチン又はヒドロキシプロピルセルロースを含む被膜で被包することで、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するハードカプセルを製造した。ハードカプセルは1粒300mgで製造した。1日あたり1~4粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。また、製造例10-12のいずれのハードカプセルも血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0063】
【0064】
[製造例13-15:ソフトカプセル]
表6の配合の内容物を、ゼラチンを含む被膜で被包することで、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するソフトカプセルを製造した。ソフトカプセルは1粒300mgで製造した。1日あたり1~4粒摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。また、製造例13-15のいずれのソフトカプセルも血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0065】
【0066】
[製造例16-18:PET飲料]
表7の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するPET飲料を製造した。PET飲料は1本500mlで製造した。1日あたり1本摂取すればよい。また、製造例16-18のいずれのPET飲料も血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0067】
【0068】
[製造例19-21:チョコレート]
表8の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するチョコレートを製造した。1日あたり30gを摂取すればよい。また、製造例19-21のいずれのチョコレートも血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0069】
【0070】
[製造例22-24:ゼリー]
表9の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するゼリーを製造した。1日あたり150gを摂取すればよい。また、製造例22-24のいずれのゼリーも血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0071】
【0072】
[製造例25-27:グミ]
表10の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するグミを製造した。1日あたり4gを摂取すればよい。また、製造例25-27のいずれのグミも血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0073】
【0074】
[製造例28-30:ヨーグルト]
表11の配合にて、(A)プロシアニジンB1と(B)プロシアニジンB3とを含有するヨーグルトを製造した。1日あたり150gを摂取すればよい。また、製造例28-30のいずれのヨーグルトも血小板凝集抑制及び高血圧改善に有効である。
【0075】