(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115495
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ソーラパネルの取付金具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240819BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20240819BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101860
(22)【出願日】2023-06-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2023021122
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513326761
【氏名又は名称】株式会社 FD
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政司
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕康
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM05
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】 雨天においてもソーラパネルと折半屋根との間を絶縁し得る取付金具を提供する。
【解決手段】 取付金具は、一又は複数の部品で構成されているとともに、第1方向に沿って一定の外形形状を有する金具本体と、金具本体に取り付けられているとともに、金具本体と折半屋根との間に介在して金具本体と折半屋根との間を電気的に絶縁する絶縁体とを備える。金具本体は、少なくとも一つの本体部品を有し、その本体部品は、折半屋根に絶縁体を介して固定される固定部と、固定部の上方においてソーラパネルを支持する支持部とを構成する。金具本体の前記した外形形状では、金具本体の支持部から固定部に至る左右の各側面に、固定部に向かうにつれて上方へ傾斜する水返し面が本体部品へ一体に設けられている。左右の各側面において、水返し面の左右方向における先端は、側面の水返し面から固定部に至る範囲よりも、左右方向において外側に位置している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラパネルを折半屋根に取り付けるための取付金具であって、
一又は複数の部品で構成されているとともに、第1方向に沿って一定の外形形状を有する金具本体と、
前記金具本体に取り付けられているとともに、前記金具本体と前記折半屋根との間に介在し、前記金具本体と前記折半屋根との間を電気的に絶縁する絶縁体と、を備え、
前記金具本体は、少なくとも一つの本体部品を有し、前記少なくとも一つの本体部品は、前記折半屋根に前記絶縁体を介して固定される固定部と、前記固定部の上方において前記ソーラパネルを支持する支持部とを構成し、
前記金具本体の前記外形形状では、前記金具本体の前記支持部から前記固定部に至る左右の各側面に、前記固定部に向かうにつれて上方へ傾斜する水返し面が、前記少なくとも一つの本体部品へ一体に設けられており、
前記左右の各側面において、前記水返し面の左右方向における先端は、前記側面の前記水返し面から前記固定部に至る範囲よりも、前記左右方向において外側に位置している、
取付金具。
【請求項2】
前記少なくとも一つの本体部品は、前記固定部を構成する第1本体部品及び第2本体部品を含み、
前記第1本体部品及び前記第2本体部品は、ボルトによって互いに締結されることで、前記折半屋根を挟持するように構成されており、
前記左右の各側面の一方では、前記水返し面が前記第1本体部品へ一体に設けられており、
前記左右の各側面の他方では、前記水返し面が前記第2本体部品へ一体に設けられている、
請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
前記支持部は、前記第1本体部品の上部に一体に設けられている、請求項2に記載の取付金具。
【請求項4】
前記第1本体部品の前記上部は、前記第1方向に沿って延びるとともに上方が開放された溝形状を有し、前記支持部は前記溝形状の一対の上端に位置している、請求項3に記載の取付金具。
【請求項5】
前記左右の各側面において、前記溝形状の底壁に位置する範囲は、前記固定部に向かうにつれて上方へ傾斜する第2の水返し面となっている、請求項4に記載の取付金具。
【請求項6】
前記第1本体部品の前記上部の前記第1方向における両端は、前記第1本体部品の前記上部よりも下方に位置する残部の前記第1方向における両端よりも、前記第1方向において外側に位置する、請求項4に記載の取付金具。
【請求項7】
前記第2本体部品は、前記第1本体部品の前記上部よりも下方に位置しており、
前記第1本体部品の前記上部の前記第1方向における両端は、前記第2本体部品の前記第1方向における両端よりも、前記第1方向において外側に位置する、請求項6に記載の取付金具。
【請求項8】
前記左右の各側面は、固定部から折半屋根に対向しながら延びる下面部分と、前記下面部分から上方に延びる立ち上がり部分とを有し、
前記水返し面は、前記下面部分と前記立ち上がり部分との境界に位置する角部に設けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項9】
前記左右の各側面において、前記水返し面の少なくと一部は、前記固定部の少なくとも一部よりも下方に位置する、請求項8に記載の取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、ソーラパネルの取付金具に関し、特に、ソーラパネルを折半屋根に取り付けるための取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-7に、ソーラパネルを折半屋根に取り付けるための取付金具が記載されている。この種の取付金具は、折半屋根に固定される固定部と、固定部の上方においてソーラパネルを支持する支持部と有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-110451号公報
【特許文献2】特開2015-124521号公報
【特許文献3】特開2013-7228号公報
【特許文献4】特開2018-155053号公報
【特許文献5】特開2016-194238号公報
【特許文献6】特開2007-107345号公報
【特許文献7】特開2021-38589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、ソーラパネルの取付金具は金属で構成されており、それが固定される折半屋根も金属で構成されている。そのため、折半屋根に取り付けられたソーラパネルが、取付金具を通じて折半屋根と電気的に短絡するおそれがある。これを避けるためには、取付金具と折半屋根との間に絶縁体を介在させることが考えられる。しかしながら、雨天においてソーラパネルや取付金具が被水すると、取付金具から絶縁体の表面を通って折半屋根へと、雨水の流れが形成されるおそれがある。この場合、不純物を含む雨水の流れを介して、取付金具と折半屋根との間が電気的に接続され、ソーラパネルが折半屋根に短絡するリスクが生じる。
【0005】
上記を鑑み、本明細書は、ソーラパネルの取付金具に関して、雨天においてもソーラパネルと折半屋根との間を絶縁するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、ソーラパネルを折半屋根に取り付けるための取付金具に具現化される。その第1の態様において、この取付金具は、一又は複数の部品で構成されているとともに、第1方向に沿って一定の外形形状を有する金具本体と、金具本体に取り付けられているとともに、金具本体と折半屋根との間に介在し、金具本体と前記折半屋根との間を電気的に絶縁する絶縁体とを備える。金具本体は、少なくとも一つの本体部品を有し、その少なくとも一つの本体部品は、折半屋根に絶縁体を介して固定される固定部と、固定部の上方においてソーラパネルを支持する支持部とを構成する。金具本体の前記した外形形状(即ち、第1方向に垂直な断面における外形形状)では、金具本体の支持部から固定部に至る左右の各側面に、固定部に向かうにつれて上方へ傾斜する水返し面が、前記した本体部品へ一体に設けられている。左右の各側面において、水返し面の左右方向における先端は、側面の水返し面から固定部に至る範囲よりも、左右方向において外側に位置している。
【0007】
上記した構成では、金具本体の固定部が、絶縁体を介して折半屋根に固定される。これにより、折半屋根と取付金具(即ち、ソーラパネル)との間が電気的に絶縁される。また、金具本体の側面には、固定部に向かうにつれて上方へ傾斜する水返し面が設けられている。このような構成によると、雨天においてソーラパネルや金具本体が被水し、金具本体の側面に沿って雨水が流れる場合でも、その流れが水返し面によって阻止される。また、水返し面の左右方向における先端は、金具本体の側面の水返し面から固定部に至る範囲よりも、左右方向において外側に位置している。これにより、水返し面の先端から落下する水滴が、金具本体へ落下することが防止される。さらに、水返し面が金具本体へ一体に設けられているので、固定部に向けて雨水が侵入する隙間や孔が形成されることもない。これにより、固定部や絶縁体に達する雨水の量が低減され、上述した雨水の流れを介した短絡が回避又は抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図8】
図7中のVIII-VIII線における断面図。
【
図9】実施例6の取付金具510に、結束バンド用の孔Hを設けた変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記した第1の態様において、少なくとも一つの本体部品は、固定部を構成する第1本体部品及び第2本体部品を含んでもよい。この場合、第1本体部品及び第2本体部品は、ボルトによって互いに締結されることで、折半屋根を挟持するように構成されてもよい。そして、金具本体の左右の各側面の一方では、水返し面が第1本体部品へ一体に設けられており、金具本体の左右の各側面の他方では、水返し面が第2本体部品へ一体に設けられていてもよい。このような構成によると、金具本体の左右の各側面において、水返し面を固定部の近傍に設けることができ、固定部や絶縁体に達する雨水の量をさらに低減することができる。
【0010】
上記した第1の態様において、支持部は、第1本体部品の上部に一体に設けられていてもよい。この場合、第1本体部品の上部は、第1方向に沿って延びるとともに上方が開放された溝形状を有し、支持部は当該溝形状の一対の上端に位置していてもよい。このような構成によると、ソーラパネルから金具本体へ伝う雨水を溝形状の上部で受け止めて、金具本体の第1方向における両端から排水することができる。
【0011】
上記した第1の態様において、金具本体の左右の各側面では、前記した溝形状の底壁に位置する範囲が、固定部に向かうにつれて上方へ傾斜する第2の水返し面となっていてもよい。このような構成によると、第1本体部品の上部の側面に付着した雨水が、固定部に向けて流れることを防止することができる。
【0012】
上記した第1の態様において、第1本体部品の上部の第1方向における両端は、第1本体部品の上部よりも下方に位置する残部の第1方向における両端よりも、第1方向において外側に位置してもよい。このような構成によると、前記溝形状の上部から排水される雨水が、第1本体部品の端部を伝って固定部に達することを防止することができる。
【0013】
上記した第1の態様において、前記第2本体部品は、第1本体部品の上部よりも下方に位置していてもよい。この場合、第1本体部品の上部の第1方向における両端は、第2本体部品の第1方向における両端よりも、第1方向において外側に位置してもよい。このような構成によると、前記溝形状の上部から排水される雨水が、第2本体部品の端部を伝って固定部に達することを防止することができる。
【0014】
上記した第1の態様において、金具本体の左右の各側面は、固定部から折半屋根に対向しながら延びる下面部分と、その下面部分から上方に延びる立ち上がり部分とを有してもよい。この場合、水返し面は、下面部分と立ち上がり部分との境界に位置する角部に設けられていてもよい。このような構成によると、このような構成によると、金具本体の左右の各側面の大部分が、水返し面よりも上方に位置することになり、金具本体の左右の各側面12sを伝う雨水を、水返し面によって確実に排除することができる。この点に関して、特に限定されないが、水返し面の少なくとも一部が、固定部よりも下方に位置してもよい。
【0015】
本技術の第2の態様としては、金具本体が、固定部及び支持部を構成する少なくとも一つの本体部品と、その本体部品に取り付けられているとともに水返し面を有する庇部品とを有してもよい。即ち、水返し面は、金具本体へ一体に構成されていなくてもよい。このような構成によると、固定部及び支持部を有する従来の取付金具に、水返し面を有する庇部品を付加することによって、本技術を簡便に実施することができる。
【0016】
上記した第2の態様において、少なくとも一つの本体部品は、固定部を構成する第1本体部品及び第2本体部品を含んでもよい。この場合、第1本体部品及び第2本体部品は、ボルトによって互いに締結されることで、折半屋根(例えば、折半屋根のハゼ)を挟持するように構成されてもよい。そして、庇部品は、その同じボルトによって、第1本体部品及び第2本体部品と共締めされてもよい。このような構成によると、必要とされるボルトの数が削減されるとともに、取付作業を簡便に行うことができる。
【0017】
上記した第2の態様において、支持部は、第1本体部品に一体に形成されていてもよい。即ち、第1本体部品には、固定部の一部と支持部とが一体に形成されていてもよい。このような構成によると、固定部及び支持部を少ない部品点数で構成することができる。
【0018】
上記した第2の態様において、水返し面の第1方向における両端は、固定部の第1方向における両端よりも外側に位置してもよい。このような構成によると、金具本体の第1方向における両端においても、雨天において絶縁体が被水したり、金具本体を伝う雨水が絶縁体に達することを回避又は抑制することができる。
【実施例0019】
(実施例1)図面を参照して、実施例1の取付金具10について説明する。実施例1の取付金具10は、前記した第2の態様における一実施例である。本実施例の取付金具10は、ソーラパネル2を折半屋根4に取り付けるための金具である。
図1、
図2に示すように、取付金具10は、主に、金具本体12と、押え金具14と、絶縁体16とを備える。詳しくは後述するが、金具本体12は、複数の金属部品22、24、26で構成されている。各々の金属部品22、24、26は、アルミニウムで構成された押出加工品である。複数の金属部品22、24、26で構成された金具本体12の全体は、長手方向(図中のX軸方向)に沿って一定の外形形状を有している。但し、金具本体12は、単一の部品で構成されてもよい。金具本体12(金属部品22、24、26)を構成する材料はアルミニウムに限定されず、他の金属材料であってもよい。例えば、金具本体12(金属部品22、24、26)は、鉄系材料のプレス加工品であってもよい。
【0020】
金具本体12は、折半屋根4に固定される固定部18と、固定部18の上方においてソーラパネル2を支持する支持部20とを有する。特に限定されないが、本実施例における固定部18は、折半屋根4において突出するハゼ6に固定される。固定部18には、絶縁体16が取り付けられている。これにより、固定部18は、絶縁体16を介して折半屋根4のハゼ6に固定される。絶縁体16を構成する材料は、例えば樹脂材料又はゴム材料であってよい。絶縁体16により、金具本体12は折半屋根4との接触が禁止されており、金具本体12と折半屋根4との間が電気的に絶縁されている。一方、支持部20では、押え金具14によってソーラパネル2が固定される。特に限定されないが、押え金具14は、ボルト15によって金具本体12に締結され、支持部20と押え金具14との間にソーラパネル2が挟持される。
【0021】
前述したように、金具本体12は、全体として、長手方向(図中のX軸方向)に沿って一定の外形形状を有している。
図2に示すように、その外形形状では、固定部18が下端に位置するとともに、支持部20が上端に位置している。そして、支持部20から固定部18に至る金具本体12の両側面12sには、水返し面30が設けられている。水返し面30は、金具本体12の側面12sの一部を構成しており、固定部18に向かうにつれて上方へ傾斜している。
【0022】
このような構成によると、雨天においてソーラパネル2や金具本体12が被水し、金具本体12の側面12sに沿って雨水が流れる場合でも(
図2中の矢印F参照)、その流れFが水返し面30によって阻止されて、水返し面30の先端から水滴Dとなって落下する。また、金具本体12のうち、水返し面30よりも下方に位置する部分は、幅方向(Y方向)に関して水返し面30の両端よりも内側に位置する。従って、水返し面30の先端から落下した水滴Dが、金具本体12に再度付着することもない。これにより、固定部18や絶縁体16に達する雨水の量が低減され、雨水の流れを介した短絡が回避又は抑制される。
【0023】
金具本体12の具体的な構成については、特に限定されない。一例ではあるが、本実施例における金具本体12は、前述した複数の金属部品22、24、26として、第1本体部品22と、第2本体部品24と、一対の庇部品26とを有する。
【0024】
第1本体部品22及び第2本体部品24は、前述した折半屋根4への固定部18を構成している。第1本体部品22及び第2本体部品24は、ボルト25によって互いに締結されることで、折半屋根4のハゼ6を挟持する。また、第1本体部品22には、前述したソーラパネル2の支持部20が一体に構成されている。第1本体部品22では、下端に固定部18が設けられており、上端に支持部20が設けられている。詳しくは、第1本体部品22の上側部分は、上方に開放されたU字形状を有しており、その二つの上端に支持部20がそれぞれ設けられている。第2本体部品24では、下端に固定部18が設けられており、上端が第1本体部品22へ締結されている。
【0025】
一対の庇部品26は、本体部品22、24に対して、幅方向(Y方向)の外側へ張り出すように設けられている。庇部品26の下面は、上述した水返し面30となっており、固定部18に向かうにつれて上方へ傾斜している。特に限定されないが、一対の庇部品26は、ボルト25によって、第1本体部品22及び第2本体部品24と共締めされている。このような構成によると、必要とされるボルトの数が削減されるとともに、取付作業を簡便に行うことができる。但し、他の実施形態として、一対の庇部品26の少なくとも一方が、第1本体部品22及び第2本体部品24と共締めされることなく、他のボルトによって固定されてもよい。
【0026】
図1に示すように、金具本体12の長手方向(X方向)に関して、固定部18の寸法L18は、支持部20の寸法L20よりも小さい。これにより、金具本体12の固定部18は、金具本体12の支持部20を含む上側部分によって、上方から完全に覆われている。また、庇部品26の寸法L26は、支持部20の寸法L20とほぼ等しく、固定部18の寸法L18よりも大きい。従って、金具本体12の長手方向に関して、水返し面30の両端30eは、固定部18の両端18eよりも外側に位置している。このような構成によると、金具本体12の長手方向における両端においても、雨天において絶縁体16が被水したり、金具本体12を伝う雨水が固定部18や絶縁体16に達することを回避又は抑制することができる。
【0027】
特に、金具本体12の上側部分は、U字形状を有しており、雨水を案内する流路を形成する。即ち、U字形状を有する上側部分は、ソーラパネル2の上面から流れ込む雨水を受け止めて、金具本体12の長手方向における一端又は両端に案内する。これにより、ソーラパネル2の上面から流れ込む雨水が、金具本体12の側面12sを通って固定部18へ至ることが抑制される。また、金具本体12の長手方向に関して、支持部20を含む上側部分の両端は、固定部18の両端18eよりも外側に位置している。これにより、金具本体12の長手方向における各端では、上側部分によって案内されてきた雨水が、金具本体12の端面を伝うことなく、直接的に排水されやすい。
【0028】
(実施例2)
図3を参照して、実施例2の取付金具110について説明する。実施例2の取付金具110は、前記した第1の態様における一実施例である。実施例2の取付金具110は、実施例1の取付金具10と比較して、金具本体12の構成が変更されている。以下の説明では、実施例1と共通する構成に同一の符号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0029】
本実施例の金具本体12は、第1本体部品122と第2本体部品124とを有する。第1本体部品122は、概して、実施例1における第1本体部品22と庇部品26とを一体化した形状を有する。同様に、第2本体部品124は、実施例1における第2本体部品24と庇部品26とを一体化した形状を有する。即ち、第1本体部品122には、固定部18及び支持部20に加えて、水返し面30が一体に設けられている。そして、第2本体部品124には、固定部18に加えて、水返し面30が一体に設けられている。このような構成によると、金具本体12を構成する部品点数を削減して、その製造コストの低減や取付作業の簡便化を図ることができる。
【0030】
(実施例3)
図4を参照して、実施例3の取付金具210について説明する。実施例3の取付金具210は、前記した第1の態様における一実施例である。実施例3の取付金具210は、実施例2の取付金具110と比較して、金具本体12の構成が変更されている。詳しくは、第1本体部品222及び第2本体部品224において、水返し面30の設けられた位置が相違している。これにより、第1本体部品222及び第2本体部品224の形状が簡素化され、押出加工による成形が容易となっている。なお、第1本体部品222及び第2本体部品224に、水返し面30が一体に設けられている点については、実施例2の取付金具110と共通している。
【0031】
(実施例4)
図5を参照して、実施例4の取付金具310について説明する。実施例4の取付金具310は、前記した第1の態様における一実施例である。実施例4の取付金具310は、実施例3の取付金具210と比較して、金具本体12の構成が変更されている。詳しくは、第1本体部品322及び第2本体部品324において、水返し面30の設けられた位置が相違している。なお、第1本体部品222及び第2本体部品224に、水返し面30が一体に設けられている点については、実施例2の取付金具110と共通している。
【0032】
本実施例における金具本体12では、一対の水返し面30が、第1本体部品322へ一体に設けられている。一対の水返し面30は、第1本体部品322の上部に位置しており、特に、第1本体部品322と第2本体部品324との締結箇所(即ち、ボルト25の位置)よりも上方に位置している。このような構成によると、第1本体部品322と第2本体部品324との合わせ面から、雨水が固定部18や絶縁体16へ伝うことを抑制することができる。また、実施例3の金具本体12と比較しても、第1本体部品322及び第2本体部品324の形状がさらに簡素化されており、押出加工による成形が容易となっている。
【0033】
(実施例5)
図6を参照して、実施例5の取付金具410について説明する。実施例5の取付金具410は、前記した第2の態様における一実施例である。実施例5の取付金具410は、実施例1の取付金具10と比較して、金具本体12の構成が変更されている。詳しくは、庇部品26にヘリ427が設けられている。ヘリ427は、庇部品26の先端に位置しており、上方へ折り返された形状を有する。このような構成によると、庇部品26の表面を伝う雨水をヘリ427によって受け止めて、金具本体12の長手方向へ案内することができる。これにより、庇部品26から雨水が落下する位置を、庇部品26の長手方向における一端に集中させることができる。
【0034】
本実施例で説明したヘリ427は、他の実施例の取付金具110、210、310、510においても、庇状に突出する部分の先端、あるいは、水返し面30の下端に設けることができる。
【0035】
(実施例6)
図7、
図8を参照して、実施例6の取付金具510について説明する。実施例6の取付金具510は、前記した第1の態様における一実施例である。実施例6の取付金具510は、実施例2-4の取付金具110、210、310と比較して、金具本体12の構成が変更されている。詳しくは、第1本体部品522及び第2本体部品524において、水返し面30の設けられた位置が相違している。但し、実施例2-4の取付金具110、210、310と同様に、左右の各側面12sにおいて、水返し面30の左右方向(Y方向、金具本体12の幅方向でもある)における先端30tは、側面12sの水返し面30から固定部18に至る範囲12s’よりも、左右方向(即ち、幅方向)において外側に位置している。
【0036】
第1本体部品522及び第2本体部品524に、水返し面30が一体に設けられている点については、実施例2-4の取付金具110、210、310と共通している。特に、金具本体12の左右の各側面12sの一方(
図8において右側の側面12s)では、水返し面30が第1本体部品522へ一体に設けられており、左右の各側面12sの他方(
図8において左側の側面12s)では、水返し面30が第2本体部品524へ一体に設けられている。
【0037】
但し、本実施例の取付金具510では、水返し面30が、固定部18の近傍に位置している。具体的には、左右の各側面12sにおいて、固定部18から折半屋根4に対向しながら延びる下面部分(
図8中のA)と、その下面部分から上方に延びる立ち上がり部分(
図8中のB)との境界に位置する角部に、水返し面30が設けられている。本実施例における水返し面30は、第1本体部品522及び第2本体部品524の最下部又はその近傍に位置しており、水返し面30の少なくとも一部は、上下方向(Z方向)において、固定部18の少なくとも一部よりも下方に位置している。このような構成によると、金具本体12の左右の各側面12sの大部分が、水返し面30よりも上方に位置することになり、金具本体12の左右の各側面12sを伝う雨水を、水返し面30によって確実に排除することができる。
【0038】
第1本体部品522の上部522aは、第1方向(X方向)に沿って延びるとともに、上方が開放された溝形状を有する。そして、支持部20は、当該溝形状の一対の上端に位置している。このような構成によると、ソーラパネル2から金具本体12へ伝う雨水を溝形状の上部522aで受け止めて、第1方向(X方向)における両端522fから排水することができる。
【0039】
図7に示すように、第1本体部品522の第1方向における両端部は、上部522aを除いた部分が切り欠かれた形状を有する。即ち、第1本体部品522の上部522aの第1方向における両端522eは、第1本体部品522の上部522aよりも下方に位置する残部の第1方向における両端522fよりも、第1方向において外側に位置している。このような構成によると、溝形状の上部522aから排水される雨水が、第1本体部品522の端部を伝って固定部18に達することを防止することができる。
【0040】
加えて、第2本体部品524の全体は、第1本体部品522の上部522aよりも下方に位置している。そして、第1本体部品522の上部522aの第1方向における両端522eは、第2本体部品524の第1方向における両端よりも、第1方向において外側に位置している。このような構成によると、溝形状の上部522aから排水される雨水が、第2本体部品524の端部を伝って固定部18に達することを防止することができる。
【0041】
図8に示すように、金具本体12の左右の各側面12sにおいて、溝形状を有する上部522aの底壁に位置する範囲は、固定部18に向かうにつれて上方へ傾斜する第2の水返し面32となっている。この点については、実施例4の取付金具310と共通している。このような構成によると、第1本体部品522の上部522aの側面に付着した雨水が、固定部18に向けて流れることを防止することができる。
【0042】
図9に示すように、第1本体部品522には、結束バンド用の孔Hが設けられてもよい。このような構成によると、ソーラパネル2に接続されたケーブル類(図示省略)を、結束バンドを用いて金具本体12に固定することができる。なお、孔Hを設ける位置は特に限定されない。孔Hは、第1本体部品522の上部522aに設けられてもよいし、第1本体部品522の下部に設けられてもよい。あるいは、孔Hは、第2本体部品524に設けられてもよい。但し、金具本体12において孔Hが上方に位置するほど、金具本体12に固定されたケーブル類が、折半屋根4に接触することを避けることができる。ここで、結束バンド用の孔Hは、他の実施例の取付金具にも同様に設けることができる。
【0043】
特許請求の範囲に記載された技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載された組み合わせに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成することだけでも、技術的有用性を持つものである。
2:ソーラパネル、 4:折半屋根、 6:ハゼ、 10、110、210、310、410、510:取付金具、 12:金具本体、 16:絶縁体、 18:固定部、 20:支持部、 22、122、222、322、522:第1本体部品、 24、124、224、324、524:第2本体部品、 26:庇部品、 30:水返し面、 F:雨水の流れを示す矢印、 W:落下する水滴