(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115501
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ゴルフバッグ及びフレーム
(51)【国際特許分類】
A63B 55/57 20150101AFI20240819BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240819BHJP
【FI】
A63B55/57
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118962
(22)【出願日】2023-07-21
(62)【分割の表示】P 2023021128の分割
【原出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】523055617
【氏名又は名称】株式会社シャンロン
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】慎 ▲海▼竜
(57)【要約】
【課題】ゴルフバッグ本体を支持する展開位置に変位可能な脚を備え、脚を容易に展開位置に変位させることができるゴルフバッグ及びゴルフバッグ用のフレームを提供する。
【解決手段】ゴルフバッグ1であって、ゴルフクラブが挿入されるゴルフバッグ本体3と、ゴルフバッグ本体を上側に開口7が位置するように支持するフレーム本体15と、待機位置及びフレーム本体を支持可能な展開位置の間で変位可能に、フレーム本体の一方の側にて枢支された一対の脚17、17A,17Bと、フレーム本体の他方の側の上部にて、所定方向に変位可能に設けられた操作部材19と、操作部材の変位によって、脚を待機位置から展開位置に変位させるべく、少なくとも一部において開口の側縁に沿って延在する伝達部材49と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブが挿入されるゴルフバッグ本体と、
前記ゴルフバッグ本体を上側に開口が位置するように支持するフレーム本体と、
待機位置及び前記フレーム本体を支持可能な展開位置の間で変位可能に、前記フレーム本体の一方の側にて枢支された一対の脚と、
前記フレーム本体の他方の側の上部にて、所定方向に変位可能に設けられた操作部材と、
前記操作部材の変位によって、前記脚を前記待機位置から前記展開位置に変位させる伝達部材とを備え、
前記伝達部材は、前記脚と前記操作部材とを接続し、且つ、少なくとも一部において前記開口の側縁に沿って延在するワイヤを含むゴルフバッグ。
【請求項2】
前記脚は前記フレーム本体に回転可能に支持され、
前記操作部材の前記所定方向の変位によって、前記脚は前記ワイヤに引っ張られて回転し、前記待機位置から前記展開位置に変位する請求項1に記載のゴルフバッグ。
【請求項3】
前記フレーム本体は前記ゴルフバッグ本体の前記開口の側縁に沿って前記延在する上枠を含み、
前記ワイヤは前記上枠に沿って延在する部分を含む請求項1に記載のゴルフバッグ。
【請求項4】
前記上枠は中空のパイプ材によって構成され、
前記ワイヤは前記上枠の内部に挿通されている請求項3に記載のゴルフバッグ。
【請求項5】
前記上枠は左右に配置された一対の左右枠を有し、
前記操作部材は前記左右枠の間にて、2つの前記左右枠に、前記脚が前記待機位置となる前位置と、前記脚が前記展開位置となる後位置とに変位可能に支持され、
前記脚は対応する回転軸を中心に前記フレーム本体に回転可能に支持され、
前記操作部材は、前記後位置にあるときに、前記前位置にあるときよりも、前記回転軸から離れた位置にある請求項3に記載のゴルフバッグ。
【請求項6】
前記ワイヤは両端において前記脚に接続され、前記操作部材に掛け止めされている請求項5に記載のゴルフバッグ。
【請求項7】
前記上枠の前記他方の側の端部には下方に延びる支柱が設けられ、
前記操作部材と前記支柱とはグリップ部材によって接続されている請求項5に記載のゴルフバッグ。
【請求項8】
前記操作部材には前記他方の側の端部にて下方に延出するグリップ部が設けられている請求項1に記載のゴルフバッグ。
【請求項9】
前記フレーム本体には、前記脚を前記待機位置に向けて付勢する付勢部材を更に備える請求項1~請求項8のいずれか1つの項に記載のゴルフバッグ。
【請求項10】
ゴルフバッグ用のフレームであって、
ゴルフクラブが挿入されるゴルフバッグ本体を上側に開口が位置するように支持するフレーム本体と、
待機位置及び前記フレーム本体を支持可能な展開位置の間で変位可能に、前記フレーム本体の一方の側にて枢支された一対の脚と、
前記フレーム本体の他方の側の上部にて、所定方向に変位可能に設けられた操作部材と、
前記操作部材の変位によって、前記脚を前記待機位置から前記展開位置に変位させる伝達部材とを備え、
前記伝達部材は、前記脚と前記操作部材とを接続し、且つ、少なくとも一部において前記開口の側縁に沿って延在するワイヤを含むフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフバッグ及びゴルフバッグ用のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブを収納するゴルフバッグであって、格納可能な支持部材を備えたものが公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1のゴルフバッグは、ゴルフクラブが収容される本体と、該本体を受け入れるフレームとを備えている。
【0003】
フレームには底部に回動可能に設けられた押圧部材と、フレームに回動可能に接続された支持部材(スタンド)とが設けられている。
【0004】
ゴルフバッグを傾斜させると、底部に設けられた押圧部材が地面によって押圧される。これにより、弾性部材を介して支持部材が押圧され、支持部材が回転してフレームから突出して開いた状態となる。ユーザが支持部材を開いたまま、その先端を地面に当接させると、支持部材によってゴルフバッグは地面に対して傾斜した状態で支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ゴルフバッグが載置される地面は平坦であるとは限らない。そのため、特許文献1のゴルフバッグでは、地面の状態によっては、ゴルフバッグを傾斜させても、押圧部材が十分に押圧されず、支持部材(脚)が開かれない虞がある。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑み、ゴルフバッグ本体を支持する展開位置に変位可能な脚を備え、脚を容易に展開位置に変位させることができるゴルフバッグ及びゴルフバッグ用のフレームを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、ゴルフバッグ(1)であって、ゴルフクラブが挿入されるゴルフバッグ本体(3)と、前記ゴルフバッグ本体を上側に開口(7)が位置するように支持するフレーム本体(15)と、待機位置及び前記フレーム本体を支持可能な展開位置の間で変位可能に、前記フレーム本体の一方の側にて枢支された一対の脚(17、17A,17B)と、前記フレーム本体の他方の側の上部にて、所定方向に変位可能に設けられた操作部材(19)と、前記操作部材の変位によって、前記脚を前記待機位置から前記展開位置に変位させるべく、少なくとも一部において前記開口の側縁に沿って延在する伝達部材(49)と、を有する。
【0009】
この態様によれば、脚を展開位置に変位させるための操作部材がフレーム本体の上部に設けられるため、脚を容易に展開位置に変位させることができるゴルフバッグを提供できる。更に、伝達部材が開口の側縁に沿って延在するため、伝達部材によって開口が狭められることが防止できる。
【0010】
上記の態様において、好ましくは、前記フレーム本体は前記ゴルフバッグ本体の前記開口の側縁に沿って前記延在する上枠(25)を含み、前記伝達部材は前記上枠に沿って延在するワイヤ状をなす。
【0011】
この態様によれば、伝達部材が開口に沿って延在する上枠に沿うため、伝達部材によって開口が狭められることが防止できる。
【0012】
上記の態様において、好ましくは、前記上枠は中空のパイプ材によって構成され、前記伝達部材は前記上枠の内部に挿通されている。
【0013】
この態様によれば、伝達部材によってゴルフバッグ本体の開口が狭められることが防止できる。
【0014】
上記の態様において、好ましくは、前記上枠は左右に配置された一対の左右枠(25A、25B)を有し、前記操作部材は前記左右枠の間にて、2つの前記左右枠に、前記脚が前記待機位置となる前位置と、前記脚が前記展開位置となる後位置とに変位可能に支持されている。
【0015】
この態様によれば、操作部材の操作が容易であり、且つ、意匠性の高いゴルフバッグを提供できる。
【0016】
上記の態様において、好ましくは、前記伝達部材は両端において前記脚に接続され、前記操作部材に掛け止めされている。
【0017】
この態様によれば、1つの操作部材の変位によって、2つの脚を展開位置に変位させることができる。
【0018】
上記の態様において、好ましくは、前記上枠の前記他方の側の端部には下方に延びる支柱(31)が設けられ、前記操作部材と前記支柱とはグリップ部材(201)によって接続されている。
【0019】
この態様によれば、グリップ部材を把持することで、脚を容易に操作することができる。
【0020】
上記の態様において、好ましくは、前記操作部材には前記他方の側の端部にて下方に延出するグリップ部が設けられている。
【0021】
この態様によれば、グリップ部(19D)を把持することで、脚を容易に操作することができる。
【0022】
上記の態様において、好ましくは、前記フレーム本体には、前記脚を前記待機位置に向けて付勢する付勢部材(53)を更に備える。
【0023】
この態様によれば、ゴルフバッグが若干傾いたときにも、付勢部材の付勢力によって脚が待機位置に維持される。そのため、例えば、ゴルフバッグの運搬時に意図せず脚が待機位置に変位することが防止できる。
【0024】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、ゴルフバッグ(1)用のフレーム(5)であって、ゴルフクラブが挿入されるゴルフバッグ本体(3)を上側に開口(7)が位置するように支持するフレーム本体(15)と、待機位置及び前記フレーム本体を支持可能な展開位置の間で変位可能に、前記フレーム本体の一方の側にて枢支された一対の脚(17、17A,17B)と、前記フレーム本体の他方の側の上部にて、所定方向に変位可能に設けられた操作部材(19)と、前記操作部材の変位によって、前記脚を前記待機位置から前記展開位置に変位させるべく、少なくとも一部において前記開口の側縁に沿って延在する伝達部材と、を有する。
【0025】
この態様によれば、脚を展開位置に変位させるための操作部材がフレーム本体の上部に設けられるため、脚を容易に展開位置に変位させることができるゴルフバッグ用のフレームを提供できる。更に、伝達部材が開口の側縁に沿って延在するため、伝達部材によって開口が狭められることが防止できる。
【発明の効果】
【0026】
以上の態様によれば、ゴルフバッグ本体を支持する展開位置に変位可能な脚を備え、脚を容易に展開位置に変位させることができるゴルフバッグ及びゴルフバッグ用のフレームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図7】(A)付勢部材53及び接続部43の結合部分の分解斜視図と、(B)結合部分の側面図
【
図8】第2実施形態に係るゴルフバッグのフレームの上部を後方から見たときの斜視図
【
図9】第3実施形態に係るゴルフバッグのフレームの上部を前方から見たときの斜視図
【
図10】第3実施形態に係る操作部材の一部の分解斜視図
【
図11】第3実施形態に係るゴルフバッグのフレームの変形例
【
図12】第3実施形態に係るゴルフバッグのフレームの変形例
【
図13】第3実施形態に係るゴルフバッグのフレームの変形例
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明に係るゴルフバッグ及びゴルフバッグ用フレームの実施形態について説明する。
【0029】
ゴルフバッグ1は主として、ユーザがゴルフクラブを運搬するために使用される。以下、ゴルフバッグ1がいわゆるキャディバッグを構成する場合を例示して説明する。
【0030】
<<第1実施形態>>
図1に示すように、ゴルフバッグ1は、ゴルフバッグ本体3と、フレーム5とを有している。
【0031】
ゴルフバッグ本体3は開口7を備えた袋状をなしている。ゴルフバッグ本体3は可撓性を有する布部材によって構成されているとよい。ゴルフバッグ本体3は適所にてフレーム5に固定されることにより、有底な筒状をなす。ゴルフクラブはユーザによって開口7からゴルフバッグ本体3の内部に挿入されて、ゴルフバッグ本体3に収納される。ゴルフバッグ本体3の外周面には図示しない肩掛け用のベルトや、ボールやティ・マーカ等を収納するための収納部が設けられていてもよい。
【0032】
以下、説明の便宜上、
図1に示すように、ゴルフバッグ本体3の開口7が上側に位置する状態を基準として上下の各方向を定めて説明を行う。但し、これらの方向は説明の便宜上定めたものであって、本発明はこの方向の記載には限定されない。
【0033】
ゴルフバッグ本体3の開口7には環状の口枠9が設けられているとよい。口枠9は布部材により覆われているとよい。その他、ゴルフバッグ本体3には、その内部を仕切る板状の仕切壁11が設けられているとよい。仕切壁11はゴルフバッグ本体3の内部を区切る態様であれば、いかなる態様であってもよい。
【0034】
図2に示すように、フレーム5は、フレーム本体15と、フレーム本体15に設けられた脚17及び操作部材19とを備える。
【0035】
以下、
図1及び
図2に示すように、フレーム5の脚17が設けられている側を前方とし、それを基準として、前後左右の各方向を定めて説明を行う。但し、これらの方向は説明の便宜上定めたものであって、本発明はこの方向の記載には限定されない。
【0036】
フレーム本体15はゴルフバッグ1の骨格を形成する。
図1に示すように、フレーム本体15にはゴルフバッグ本体3の適所が固定され、フレーム本体15はゴルフバッグ本体3を上側に開口7が位置するように支持する。
【0037】
図2に示すように、フレーム本体15は、パイプ材によって構成された主部21と、主部21に結合された副部23とを備えている。
【0038】
主部21は、その上部を構成する上枠25と、その下部を構成する下枠27と、下枠27に設けられた連接部29と、上枠25及び下枠27を接続する複数の支柱31とを備えている。上枠25はゴルフバッグ本体3の上部、すなわち、口枠9の径外側にて開口7の側縁に沿って延在し、所定方向に向けて開く略U字状をなしている。下枠27はゴルフバッグ本体3の下部の外側にて、ゴルフバッグ本体3の下縁に沿って延在し、上枠25と同じ方向に向けて開く略U字状をなしている。
【0039】
上枠25は左枠25A、右枠25B及び後枠25Cを有している。左枠25A及び右枠25Bはそれぞれ略前後方向に延び、左右に間隔をおいて配置されている。後枠25Cは左枠25Aの後端及び右枠25Bの後端を接続している。
【0040】
下枠27もまた左枠27A、右枠27B及び後枠27Cを有している。左枠27A及び右枠27Bはそれぞれ略前後方向に延び、左右に間隔をおいて配置されている。後枠27Cは左枠27Aの後端及び右枠27Bの後端を接続している。本実施形態では、下枠27の左枠27A及び右枠27Bの間の距離は、上枠25の左枠25A及び右枠27Bの間の距離よりも大きく、下枠27の左右方向の幅は、上枠25の左右方向の幅よりも大きい。
【0041】
連接部29は左右に延び、左端において下枠27の左枠27Aに、右端において下枠27の右枠27Bにそれぞれ接続されている。本実施形態では、主部21は前連接部29A及び後連接部29Bの2つの連接部29を含み、前連接部29Aと後連接部29Bはそれぞれ前後に並んで配置されている。前連接部29A及び後連接部29Bは下枠27の左枠27A及び下枠27の右枠27Bをそれぞれ接続している。
【0042】
主部21は支柱31として、第1支柱31A、第2支柱31B、第3支柱31C及び第4支柱31Dの4つの支柱31を有する。但し、本発明は、主部21の有する支柱31の数には限定されない。第1支柱31A及び第2支柱31Bは左右に並んで配置され、第3支柱31C及び第4支柱31Dはそれぞれ第1支柱31A及び第2支柱31Bの前方にて左右に並んで配置されている。
【0043】
第1支柱31A及び第2支柱31Bはそれぞれ下方に延び、略中央部において屈曲して、斜め前下方に延びた後、更に屈曲して下方に延びている。換言すれば、第1支柱31A及び第2支柱31Bは下端から上方に延び、略中央部にて後上方に延びた後、更に屈曲して上方に延びている。これにより、第1支柱31A及び第2支柱31Bはそれぞれ上部に後方に膨出した膨出部31Eを備えている。第1支柱31A及び第2支柱31Bは上端にて上枠25にそれぞれ結合され、下端にて後連接部29Bの左右端にそれぞれ結合されている。
【0044】
第3支柱31C及び第4支柱31Dはそれぞれ上下方向に略直線状に延びている。第3支柱31C及び第4支柱31Dはそれぞれ、上枠25の左右前端と、下枠27の左右前端とを接続している。但し、これらの支柱31の形状はゴルフバッグ本体3の形状や大きさに応じて設定されてもよい。
【0045】
上枠25、下枠27、第1支柱31A、第2支柱31B、第3支柱31C及び第4支柱31Dによってゴルフバッグ本体3を収容する収容空間32が画定されている。
【0046】
本実施形態では、上枠25、下枠27、第3支柱31C及び第4支柱31Dは、曲げ加工された中空のパイプ材が連続した態様をなすように接続されることによって構成されている。前連接部29A及び後連接部29Bはそれぞれ1つのパイプ材によって構成され、左右端部において下枠27に接続されている。第3支柱31C及び第4支柱31Dもまたそれぞれ1つのパイプ材によって構成され、上端において上枠25に、下端において後連接部29Bにそれぞれ接続されている。上枠25、下枠27、第3支柱31C及び第4支柱31Dを構成するパイプ材は、ねじによる締結や溶接等のいかなる方法によって接続されていてもよい。また前連接部29A、後連接部29B、第3支柱31C及び第4支柱31Dを構成するパイプ材もまた、上枠25や下枠27に、ねじによる締結や溶接等のいかなる方法によって接続されていてもよい。
【0047】
本実施形態では、主部21はアルミニウム製のパイプ材に、アルミニウム製又は樹脂製のパーツを嵌め合わせて連結させることによって構成されている。これにより、ゴルフバッグ1の強度を保ちつつ、軽量化を図ることができる。
【0048】
副部23は主部21を補強することや、また、機能部をフレーム本体15に構成することを目的として、主部21に設けられる。本実施形態では、フレーム本体15は、副部23として、フレーム本体15の前部に設けられる第1副部33及び第2副部35と、フレーム本体15の後部に設けられる第3副部37とを備えている。
【0049】
第1副部33は主部21の前側上部に設けられる。第1副部33は左右に延在して第3支柱31Cの上部と第4支柱31Dの上部とを接続する。本実施形態では、第1副部33は、前方を向く主面を有する中央部33Aと、中央部33Aの左端に設けられ第3支柱31Cに結合された左端部33Bと、中央部33Aの右端に設けられ第4支柱31Dに結合された右端部33Cとを備えている。第1副部33は樹脂製の部材によって構成されていてもよく、また、金属製の部材によって構成されていてもよい。本実施形態では、第1副部33は樹脂製の部材によって構成されている。
【0050】
第2副部35は主部21の前側中央部分に設けられる。第2副部35は左右に延在して第3支柱31Cの上下方向中央部分と第4支柱31Dの上下方向中央部分とを接続する。本実施形態では、第2副部35は、前方を向く主面を有する板状の中央部35Aと、中央部35Aの左端に設けられ第3支柱31Cに結合された左端部35Bと、中央部35Aの右端に設けられ第4支柱31Dに結合された右端部35Cとを備えている。第2副部35は樹脂製の部材によって構成されていてもよく、また、金属製の部材によって構成されていてもよい。本実施形態では、第2副部35は金属製のパイプ材によって構成されている。
【0051】
第3副部37は主部21の後部に設けられる。第3副部37は左右方向に延在し上下に対をなすように配置され一対の横部37Aと、上下に延在して上下端においてそれぞれ横部37Aの左右方向略中央部に接続された縦部37Bと、を備えている。上側の横部37Aは上枠25の後枠25Cに結合されている。上側の横部37Aは後枠25Cの外周面を覆うように配置されて、後枠25Cに結合されている。下側の横部37Aは左端において第1支柱31Aに結合され、右端において第2支柱31Bに結合されている。第3副部37はユーザがゴルフバッグ1を持ち上げるための把持部を構成する。本実施形態では、第3副部37は樹脂製の部材によって構成されている。
【0052】
フレーム5には左右一対の脚17が設けられている。
図3及び
図4に示すように、脚17はそれぞれフレーム本体15の前側に枢支されている。これにより、脚17はそれぞれ上端において回転軸41においてフレーム本体15の前部に回転可能に支持されている。本実施形態では、左側に位置する脚17(以下、左脚17A)の回転軸41Aは左斜め前方向に延びるように設定され、右側に位置する脚17(以下、右脚17B)の回転軸41Bは右斜め前方向に延びるように設定されている。左脚17Aはフレーム本体15の前部の左側部に、右脚17Bはフレーム本体15の前部の右側部にてそれぞれ、回転可能に支持されている。本実施形態では、左脚17A及び右脚17Bは左右対称をなすように構成されている。
【0053】
本実施形態では、
図2に示すように、左脚17A及び右脚17Bはそれぞれ、第1副部33の前側左右側部にそれぞれ回動可能に連結された接続部43と、直管状に形成され、一端(上端)において接続部43に連結された脚本体45と、を備えている。
図4に示すように、接続部43と、第1副部33とは、回転軸41に沿って延在する支持体47によって接続されている。支持体47の一端は第1副部33によって回動可能に支持され、支持体47の他端は接続部43に固定されているとよい。これにより、接続部43と第1副部33とは互いに回転軸41の回りに回動可能に連結されている。
【0054】
本実施形態では、
図2に示すように、左脚17A及び右脚17Bはそれぞれ、脚本体45の他端(下端)に設けられ、脚本体45の開口部分を封止する封止部材45A(キャップ)を備えている。脚本体45は金属製(例えば、アルミニウム製)のパイプ材によって構成され、封止部材45Aは樹脂製の部材によって構成されているとよい。
【0055】
脚17はそれぞれ回転によって、
図2に示す待機位置(閉位置ともいう)と、
図5に示す展開位置(開位置や拡開位置ともいう)との間で変位可能となっている。待機位置にあるときには、脚17はそれぞれ垂下してその下端がゴルフバッグ本体3に近接した位置にある。一方、展開位置にあるとき、脚17はそれぞれ待機位置よりもその下端が前方に位置し、下端がゴルフバッグ本体3から離れた位置にある。脚17がそれぞれ展開位置にあるときに、ゴルフバッグ1を傾けて、脚17それぞれの下端を地面に当接させると、フレーム5及びゴルフバッグ本体3はともに脚17によって支持される。
【0056】
左脚17Aの下端は展開位置にあるとき、待機位置にあるときに比べて左前方に位置し、右脚17Bの下端は展開位置にあるとき、待機位置にあるときに比べて右前方に位置している。これにより、左脚17A及び右脚17Bがともに展開位置にあるときには、右脚17B及び左脚17Aがともに待機位置にあるときに比べて、左脚17Aの下端と右脚17Bの下端との距離が長くなっている。
【0057】
操作部材19(レバーやハンドルともいう)は脚17を待機位置から展開位置に変位させるためのユーザの操作入力を受け付ける。操作部材19は、フレーム本体15の後側上部にて、前後方向に変位可能に支持されている(
図2及び
図5も参照)。
【0058】
本実施形態では、
図3に示すように、操作部材19は上枠25の左枠25A及び右枠25Bの間に位置している。操作部材19は左右両端において左枠25A及び右枠25Bにそれぞれ前後方向に摺動可能に支持されている。本実施形態では、操作部材19は左右方向に延在する中央部19Aと、中央部19A左端において左枠25Aの右側面に摺接する左端部19Bと、中央部19A右端において右枠25Bの左側面に摺接する右端部19Cとを含む。
【0059】
このように、操作部材19は左枠25A及び右枠25Bの間(すなわち、左右枠の間)において左右方向に延在するように設けられている。そのため、操作部材19が比較的大きくすることができ、ユーザが操作部材19を把持し易くすることができるため、操作部材19の操作性が向上する。また、操作部材19がフレーム本体15の外部に突出せず、ゴルフバッグ1の意匠性の高めることができる。
【0060】
図6に示すように、左端部19Bは左枠25Aの右側面に整合する管状をなし、右端部19Cは右枠25Bの左側面に整合する管状をなしている。
図3に示すように、左端部19Bと右端部19Cとはそれぞれ左枠25A及び右枠25Bに摺動可能に構成されている。中央部19Aの前面中央部分には、ユーザが指を引っ掛けて握るためのグリップ19D(グリップ部)が設けられているとよい。グリップ19Dが設けられることによって、操作部材19を容易に後方に引くことができるため、脚17の操作が容易になる。
【0061】
図3及び
図6に示すように、フレーム5には操作部材19の操作力を左右の脚17それぞれに伝える伝達部材49が設けられている。詳細には、伝達部材49は、操作部材19の後方への変位によって、左右の脚17をそれぞれ回転させて、待機位置から展開位置に変位させる。
【0062】
以下、脚17が待機位置にあるときの操作部材19の位置を前位置と記載し、脚17が展開位置となるときの操作部材19の位置をそれぞれ後位置と記載する。操作部材19は左枠25A及び右枠25Bの間にて、前位置と後位置との間で変位可能に支持されている。
【0063】
図6に示すように、伝達部材49は、操作部材19及び左脚17Aと、操作部材19及び右脚17Bとをそれぞれ連結する連結部材51を含む。連結部材51は一つ又は複数のワイヤ(索状部材、ケーブルともいう)によって構成されているとよい。
【0064】
本実施形態では、伝達部材49は、筒状のアウタケーシングと、アウタケーシングの内部に収容された内部ケーブルとを含むフレキシブルケーブル(いわゆるボーデンケーブル)によって構成され、その内部ケーブルが連結部材51に相当する。
【0065】
図3に示すように、連結部材51は両端において脚17に接続されている。本実施形態では、連結部材51の端部は、回転軸41の上方向から回転軸41の前方を通過して下方に延び、回転軸41よりも下側にて脚17(詳細には、接続部43)に接続されている。これにより、連結部材51の引張力によって、脚17はそれぞれ待機位置から展開位置に変位するように回転する。
【0066】
図4に示すように、連結部材51は中央部分において操作部材19の後側面に掛け止めされて、操作部材19に結合されている。
【0067】
図3に示すように、連結部材51は端部と中央部分との間において上枠25(詳細には、左枠25A及び右枠25B)に沿うように配置されている。これにより、伝達部材49(詳細には、伝達部材49の一部)は上枠25に沿って配置され、ゴルフバッグ本体3の開口7の側縁に沿って延在している。
【0068】
上枠25の左枠25A及び右枠25Bには、連結部材51を内部に導入するための貫通孔55が適所に設けられている。連結部材51のうち上枠25の左枠25Aに沿う部分はその貫通孔55を介して、左枠25Aの内部に侵入している。これにより、連結部材51のうち上枠25の左枠25Aに沿う部分の少なくとも一部は、上枠25の左枠25Aの内部に挿通されている。連結部材51のうち上枠25の右枠25Bに沿う部分はその貫通孔55を介して、右枠25Bの内部に侵入している。連結部材51のうち上枠25の右枠25Bに沿う部分の少なくとも一部もまた、上枠25の右枠25Bの内部に挿通されている。
【0069】
操作部材19が前位置(
図2参照)にあるときから、後位置(
図5参照)に移動すると、連結部材51の中央部分が後方に引っ張られる。これにより、連結部材51の両端が後方に引っ張られて、左右の脚17がそれぞれ回転軸41を中心として回転して待機位置から展開位置に変位する。
【0070】
図2に示すように、フレーム5には、更に、付勢部材53が設けられている。付勢部材53は、脚17を待機位置に向けて付勢する。付勢部材53は、左右の脚17の回転軸41それぞれに設けられたねじりコイルばねや各種の弾性部材によって構成されていてもよい。
【0071】
付勢部材53は、左右の脚17の下端(外端)を互いに近接する方向に付勢するように構成されていてもよい。展開位置にあるときには、右脚17Bの下端と左脚17Aの下端との距離が待機位置にあるときに比べて長いため、左右の脚17の下端(外端)を互いに近接する方向に付勢することで、右脚17B及び左脚17Aはそれぞれ付勢部材53によって待機位置に向けて付勢されることになる。
【0072】
本実施形態では、付勢部材53は、折曲加工された中実の金属製の棒状部材によって構成されている。棒状部材は、左右の脚17の下端(外端)を互いに近接する方向に付勢する弾性部材として機能する。
【0073】
詳細には、付勢部材53は左端において左脚17Aに接続され、右下方に延びた左半部53Aと、右端において右脚17Bに接続され、左下方に延びた右半部53Bと、左右に延びて左半部53Aの下端及び右半部53Bの下端を接続する中央部53Cとを備えている。付勢部材53(詳細には、左半部53Aの上端)は左端において、左脚17Aの回転軸41よりも下方(下端側)に連結され、付勢部材53(詳細には、右半部53Bの上端)は右端において、右脚17Bの回転軸41よりも下方(下端側)に連結されている。
【0074】
左脚17Aと右脚17Bとがそれぞれ待機位置から展開位置に変位すると、左半部53Aの上端と、右半部53Bの上端とがそれぞれ離れる方向に引っ張られる。そのため、付勢部材53は左半部53Aの上端と、右半部53Bの上端とを近づけるように付勢力を発揮する。これにより、左脚17Aと右脚17Bとがそれぞれ待機位置になるように付勢される。
【0075】
本実施形態では、付勢部材53の両端部がそれぞれ、接続部43に設けられた貫通孔に挿入されることで、付勢部材53が接続部43に結合している。付勢部材53の端部に連結部材51が結合されることによって、連結部材51は接続部43に結合している。
【0076】
図7(A)は、別実施例に係る、付勢部材53及び接続部43の結合部分101の分解斜視図を示し、
図7(B)は結合部分101の側面図(二点鎖線内参照)を示している。
【0077】
図7(A)及び
図7(B)に示す別実施例では、結合部分101には、筒状のカラー103が設けられている。付勢部材73は端部において、カラー103の内孔103Aと、接続部43に設けられた貫通孔43Aとを順に通過している。付勢部材73の挿入端には封止部材105が設けられている。これにより、付勢部材73が接続部43の貫通孔43Aから抜け落ちることが防止できる。
【0078】
図7(A)に示すように、カラー103は貫通孔107Aを有する円筒状のカラー本体107と、カラー本体107の貫通孔107Aに挿入される筒状の筒部材109とを含む。カラー本体107はゴム製の部材によって構成されているとよい。筒部材109は金属製の部材によって構成されている。筒部材109の内孔109Aは付勢部材73の外径よりも若干大きい。筒部材109の内孔109Aには付勢部材73が挿入され、その挿入端に封止部材105が設けられることによって、カラー103は付勢部材73の端部に回動可能に支持されている。
【0079】
カラー本体107の外周には溝107Bが形成されている。連結部材51の端部には円環状の掛止部51Aが結合されている。掛止部51Aがカラー本体107の溝107Bに収容されることによって、連結部材51はカラー103に掛け止めされている。これにより、連結部材51が付勢部材53の端部に結合されている。
【0080】
第2副部35には付勢部材53を収容するための収容部57が設けられている。収容部57は第2副部35と協働して、付勢部材53の下部の一部(詳細には、左半部53Aの下部及び右半部53Bの下部)を収容するポケット59を構成する。ポケット59に付勢部材53の下部の一部が収容されることによって、付勢部材53の下部が前方に突出することが防止される。
【0081】
その他、付勢部材53には、左半部53A及び右半部53Bを近づけた状態で保持する保持部材61が設けられている。保持部材61は左半部53A及び右半部53Bに対して上下方向に摺動可能に構成されている。保持部材61は左半部53A及び右半部53Bの前側に設けられた前部材61Aと、左半部53A及び右半部53Bの後側に設けられた後部材61Bとをねじ止めすることによって構成されているとよい。保持部材61の位置を上下方向に変更することによって、ユーザは付勢部材53が発揮する付勢力を適切な大きさに設定することができる。
【0082】
次に、このように構成したゴルフバッグ1及びフレーム5の動作について説明する。
【0083】
ゴルフバッグ1が起立し、上方に向けて開口7が位置しているときには、
図1に示すように、左脚17A及び右脚17Bはともに、待機位置となっている。
【0084】
ユーザが操作部材19を把持して後方に引くと、操作部材19の後面に掛け止めされた連結部材51が後方に引っ張られる。これにより、連結部材51の左右両端が引っ張られ、左脚17A及び右脚17Bがそれぞれ対応する回転軸41を中心に回転する。操作部材19が後位置まで引っ張られると、左脚17A及び右脚17Bがそれぞれ展開位置となる。
【0085】
ユーザが操作部材19を把持して後位置に維持したまま、ゴルフバッグ1の上部を前方に向けて傾けて、左脚17A及び右脚17Bの下端をそれぞれ地面に当接させる。これにより、
図5に示すように、左脚17A及び右脚17Bが開かれ、それぞれの下端が地面に当接したまま、フレーム5及びゴルフバッグ本体3は左脚17A及び右脚17Bによって支持される。
【0086】
次に、ユーザが、ゴルフバッグ1の前端を後方に傾けて、ゴルフバッグ1を起立させると、付勢部材53による付勢力によって、左脚17A及び右脚17Bはそれぞれ展開位置から回転して、下方に垂下し、展開を待機する待機位置となる。
【0087】
起立したゴルフバッグ1が若干前方に傾いたときには、付勢部材53の付勢力によって左脚17A及び右脚17Bはそれぞれ互いに近接した待機位置に維持される。これにより、ゴルフバッグ1の運搬時に意図せず脚17が開かれることが防止できる。
【0088】
次に、このように構成したゴルフバッグ1及びフレーム5の効果について説明する。
【0089】
このように、操作部材19を操作することによって、左脚17A及び右脚17Bを同時に待機位置から展開位置に変位(移動)させることができる。
【0090】
操作部材19は上枠25に設けられているため、フレーム本体15の上部に位置している。そのため、脚17を開くために操作するべき部材がフレーム本体15の下部に設けられている場合に比べて、脚17を開くための操作が容易である。また、脚17はフレーム本体15の前側(一方の側)に位置し、操作部材19はフレーム本体15上部の後側(他方の側)に位置している。そのため、操作部材19がフレーム本体15上部の前側に位置している場合に比べて、脚17の展開位置への移動を妨げることなく、操作部材19を操作することができる。
【0091】
連結部材51は一部において、フレーム本体15(詳細には上枠25)に沿って延在しているため、連結部材51が上面視で本体の開口7に横切るように配置されず、ゴルフバッグ本体3の開口7が連結部材51によって狭められることが防止できる。よって、ゴルフバッグ1へのゴルフクラブの収納が容易になる。
【0092】
上枠25は中空のパイプ材によって構成され、連結部材51は上枠25の左枠25A及び右枠25Bの内部にそれぞれ挿通されている。これにより、連結部材51が露出せず、ゴルフバッグ(及びフレーム5)の意匠性が高められるとともに、連結部材51によってゴルフバッグ本体3の開口7が狭められることがより確実に防止できる。
【0093】
連結部材51は両端において左右の脚17にそれぞれ接続され、中央部分において操作部材19の後側面に掛け止めされている。そのため、ユーザは1つの操作部材19を後方に引くことによって、左脚17A及び右脚17Bの2つの脚17を同時に展開位置に変位させることができる。
【0094】
本実施形態では、連結部材51が1本のワイヤによって構成されているため、伝達部材49を操作部材19及び左脚17Aを接続するワイヤと、操作部材19及び右脚17Bを接続するワイヤとの2つのワイヤで構成する場合に比べて、ワイヤを固定するための固定部の数を低減することができ、フレーム5の構成が簡素になる。
【0095】
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係るゴルフバッグ1及びゴルフバッグ1用のフレーム5は、
図8に示すように、第1実施形態とは異なり、操作部材19が第3副部37に設けられている点と、連結部材51の配設構造とが異なり、他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0096】
操作部材19は第3副部37に上下方向に変位可能に支持されている。操作部材19は第3副部37の横部37Aの背面から後方に突出する突出部63を備えているとよい。
【0097】
連結部材51は第1実施形態と同様にワイヤ状の部材であり、両端において左脚17A及び右脚17Bにそれぞれ結合されている。連結部材51と左脚17Aとの結合位置と、連結部材51と右脚17Bとの結合位置とは、第1実施形態と同様であってよい。連結部材51は上枠25の左枠25A、右枠25B及び後枠25Cの内部を通過するように構成されている。
【0098】
連結部材51は中央部分において、操作部材19に掛け止めされている。左右の脚17がそれぞれ待機位置にあるときに、ユーザによって操作部材19が押し下げられると、連結部材51の中央部分が下方に引っ張られる。これにより、連結部材51の左右両端が後方に引っ張られて、左右の脚17はそれぞれ回転し、展開位置に変位する。
【0099】
次に、このように構成したゴルフバッグ1及びゴルフバッグ1用のフレーム5の効果について説明する。
【0100】
脚17を開くための操作部材19がフレーム本体15の上部に配置されている。そのため、ユーザは容易に脚17を開くことができる。更に、連結部材51は上枠25の内部を通過するように構成されているため、伝達部材49によってゴルフバッグ本体3の開口7が狭められることが防止できる。
【0101】
<<第3実施形態>>
第3実施形態に係るゴルフバッグ1及びゴルフバッグ1用のフレーム5は、
図9に示すように、支柱31及び第3副部37それぞれの構成と、グリップ19Dの代わりに操作部材19及び支柱31を接続するグリップ部材201が設けられている点とが異なり、他の構成については同様である。よって、他の構成については説明を省略する。
【0102】
フレーム本体15は、パイプ材によって構成された主部21と、主部21に結合された第1副部33及び第2副部35(不図示)とを備えている。第1副部33及び第2副部35は第1実施形態と同様である。
【0103】
主部21は第1実施形態と同様に、上枠25、下枠27(不図示)、及び複数の支柱31を備える。上枠25は、第1実施形態と同様に、ゴルフバッグ本体3の開口7の側縁に沿って延在している。上枠25は中空のパイプ材によって構成され、第1実施形態と同様、伝達部材49は貫通孔55を介して上枠25の内部に挿通されている。
【0104】
本実施形態では、主部21はフレーム本体15の前部に位置する左右一対の前側支柱31Fと、フレーム本体15の後部に位置する1つの後側支柱31Gとを備えている。前側支柱31Fはそれぞれ第1実施形態の第3支柱31C及び第4支柱31Dと同様の機能を奏する。後側支柱31Gは上枠25の後端部、詳細には、後枠25Cの左右中央部分に結合されている。後側支柱31Gは上枠25から後方に延びた後、更に、下方に延び、下枠27に接続されている。
【0105】
第3副部37は後側支柱31Gの上部に設けられている。第3副部37は後側支柱31Gの上部にて、外面を覆う筒状をなしている。
【0106】
上枠25は、第1実施形態と同様に、左右一対の左枠25A及び右枠25B(合わせて左右枠)と、後枠25Cとを備え、上面視でU字状をなしている。左枠25A及び右枠25Bはそれぞれ前後方向に延在し、後枠25Cは左枠25Aの後端及び右枠25Bの後端を接続している。
【0107】
操作部材19は左枠25A及び右枠25Bの間にて、左枠25A及び右枠25Bそれぞれに、前後に摺動可能に支持されている。第1実施形態と同様に、操作部材19が前位置にあるときには、2つの脚17がそれぞれ閉じられた待機位置となる。操作部材19が前位置より後方の後位置にあるときには、2つの脚17が開かれた展開位置となる。
【0108】
本実施形態では、操作部材19は左右一対の結合部19Eと、左右の結合部19Eを接続する接続部19Fとを備えている。結合部19Eは左枠25A及び右枠25Bそれぞれに沿って延在し、左枠25A及び右枠25Bのそれぞれに摺動可能に結合されている。
【0109】
図10には、結合部19Eの分解斜視図が示されている。
図10に示すように、結合部19Eはそれぞれ2つの半割の筒状部材19Gが螺子19Hによって結合されることによって構成されている。筒状部材19Gの下部には伝達部材49を収容するための溝19Jが設けられている。2つの筒状部材19Gが結合されることによって、伝達部材49を収容するための貫通孔19Kが形成される。結合部19E材が上枠25に結合されたときには、貫通孔19Kは左枠25A及び右枠25Bに沿ってそれぞれ延在している。
【0110】
接続部19Fは上面視で前方に向けて開口するU字状をなす線状部材によって構成されている。接続部19Fは両端においてそれぞれ結合部19Eに結合されている。接続部19Fはその後端部に加わる荷重に応じて弾性変形可能に構成されているとよい。
【0111】
接続部19Fは左側の結合部19Eの貫通孔19Kと右側の結合部19Eの貫通孔19Kとに連通する1つの貫通孔(不図示)が設けられたパイプ状をなしている。伝達部材49は左側の結合部19Eの貫通孔19K、結合部19Eの貫通孔、及び、右側の結合部19Eの貫通孔19Kにそれぞれ挿通されている。これにより、
図9に示すように、伝達部材49は、操作部材19の結合部19Eの内部にて、左枠25A及び右枠25Bに沿うように配置されている。
【0112】
グリップ部材201は操作部材19と後側支柱31Gとを接続している。グリップ部材201は後側支柱31Gに回転可能に結合されている。本実施形態では、グリップ部材201は上端において操作部材19の後縁に結合され、下端において後側支柱31Gに左右方向に延びる軸線203を中心として回転可能に結合されている。
【0113】
グリップ部材201は、操作部材19の前位置及び後位置との変位を妨げないように、操作部材19に結合されていればよく、操作部材19との結合態様はいかなるものであってもよい。例えば、接続部19Fが操作部材19の前位置及び後位置の間の変位によって弾性変形可能である場合には、操作部材19とグリップ部材201は互いに固定されていてもよい。また、グリップ部材201の上端に接続部19Fを挿通させるための貫通孔が左右方向の延在するように設けられ、接続部19Fはその貫通孔に挿通されていてもよい。これにより、接続部19Fは操作部材19に対して左右方向にスライド移動可能に結合されていてもよい。
【0114】
次に、このように構成したゴルフバッグ1及びゴルフバッグ1用のフレーム5の効果について説明する。
【0115】
ユーザがグリップ部材201と後側支柱31Gを把持すると、グリップ部材201が下端を中心として上端が後方に移動するように回転し(
図9の矢印を参照)、操作部材19が後方に移動する。これにより、操作部材19が前位置から後位置に移動し、脚17はそれぞれ待機位置から展開位置に移動する。ユーザがグリップ部材201と後側支柱31Gとの把持を止めると、第1実施形態と同様に、付勢部材の付勢力や重力などによって、脚17はそれぞれ展開位置から待機位置に移動する。
【0116】
このように、グリップ部材201と後側支柱31Gとを把持することで、操作部材19を後方に移動させることができるため、ユーザが容易に脚17を操作することができる。
【0117】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。各部材や部位の具体的構成や配置、数量、具体的制御態様などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
【0118】
上記実施形態では、フレーム本体15に車輪が設けられていなかったが、フレーム本体15の下部に左右一対の車輪が設けられていてもよい。左脚17A及び右脚17Bがともに展開位置にあるときには、左右の車輪がともに回転不能となるように構成されていてもよい。これにより、フレーム5及びゴルフバッグ本体3が左脚17A及び右脚17Bによって支持されているときに、車輪の回転を防止することができる。
【0119】
上記第3実施形態において、後側支柱31Gは上端にて後方に延出した後、下方に延びるように構成されていたが、この態様には限定されない。
図11に示すように、後側支柱31Gは上枠25から直接下方に延びるように構成されていてもよい。
【0120】
上記第3実施形態において、主部21に3つの支柱が設けられていたが、本発明は支柱の数には限定されない。例えば、第1実施形態と同様に、
図12に示すように、主部21には4つの支柱31が設けられていてもよい。その場合には、第1実施形態と同様の第3副部37がフレーム本体15の後部に配置された支柱31に設けられていてもよい。
【0121】
また上記第1実施形態において、第1支柱31A及び第2支柱31Bがそれぞれ上端において上枠25に結合されるように構成されていたがこの態様には限定されない。例えば、
図13の第3実施形態の変形例に示すように、第1支柱31A及び第2支柱31Bはそれぞれ、上端において、上枠25の下縁に沿って延在するように屈曲されて、上枠25(詳細には、左枠25A及び右枠25Bそれぞれ)の下縁に結合されていてもよい。
【0122】
また
図13に示すように、第1支柱31A及び第2支柱31Bはそれぞれ上枠25のとの結合部分において屈曲し、下方に向かって後方に傾斜する方向に延びた後、下方に向かって前方に傾斜する方向に延びて、下枠27(不図示)に結合されていてもよい。
【0123】
上記実施形態において、伝達部材49の少なくとも一部において、開口7の縁部に沿って延在する場合を例示して説明したが、本願発明はこの態様には限定されない。伝達部材49の全長に渡って、開口7の縁部に沿って延在していてもよく、また、伝達部材49が開口7の中央を横切らない態様であればいかなる態様であってもよい。具体的には、例えば、伝達部材49が開口7を画定する縁部から下側にオフセットした位置に沿って延在するように構成されていてもよい。伝達部材49は少なくとも一部において、ゴルフバッグ本体3を構成する部材(シート状部材や樹脂部材等)の外縁に沿って延在していてもよい。また、伝達部材49は少なくとも一部において、ゴルフバッグ本体3を構成する部材の内縁に沿って延在していてもよい。その他、伝達部材49は少なくとも一部において、ゴルフバッグ本体3を構成する部材の内部に収容されていてもよい。
【0124】
また、本発明はゴルフバッグ本体3の上下方向の長さや、開口7の大きさ、形状等には限定されない。その他、本発明はゴルフバッグ1に収容されるクラブの本数には限定されない。上記実施形態では、キャディバッグを構成するゴルフバッグ1に本発明を適用した例について記載したが、本発明はゴルフクラブを収容するためのあらゆるバッグに適用可能である。ゴルフバッグ1は、いわゆるキャディバッグの他、例えば、ユーザがゴルフクラブを1本から数本選んで持ち運ぶために使用されるケース(いわゆるゴルフクラブケース)を構成してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 :ゴルフバッグ
3 :ゴルフバッグ本体
5 :フレーム
7 :開口
15 :フレーム本体
17 :脚
17A :左脚
17B :右脚
19 :操作部材
19D :グリップ(グリップ部)
25 :上枠
25A :左枠
25B :右枠
49 :伝達部材
53 :付勢部材
201 :グリップ部材