IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115504
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】光学センサ、製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240819BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/497
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151638
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2023021054
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】青木 慶伸
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AC02
5J084DA01
5J084DA07
5J084EA19
(57)【要約】
【課題】光軸の調整精度を確保する光学センサの提供。
【解決手段】光学センサは、投光位置決め面222を有し、投光ビームBpを発光面226から投光する投光光源モジュール22と、投光光源モジュール22に接着される投光接着面264を有し、投光光源モジュール22からの投光ビームBpを投光光軸Opに沿って外界側へ導光する投光レンズモジュール26と、投光位置決め面222をY軸に沿って位置決めする、投光ベース面142を有するセンサベース14とを、備える。X軸に直交する投光調整方向Dpが投光接着面264に沿って想定されるとすると、投光光源モジュール22における発光面226の光学中心Cpが投光レンズモジュール26の主点Ppに対して投光調整方向Dpに偏位することにより、投光ベース面142とは直交するXZ平面上に投光光軸Opが調整される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
投光位置決め面(222)を有し、前記投光ビームを発光面(226)から投光する投光光源モジュール(22)と、
前記投光光源モジュールに接着される投光接着面(264)を有し、前記投光光源モジュールからの前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)と、
前記投光位置決め面を前記Y軸に沿って位置決めする、投光ベース面(142)を有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する投光調整方向(Dp)が前記投光接着面に沿って想定されるとすると、
前記投光光源モジュールにおける前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記投光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系において前記投光ベース面とは直交するXZ平面上に前記投光光軸が調整される光学センサ。
【請求項2】
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
投光位置決め面(222)を有し、前記投光ビームを発光面(226)から投光する投光光源モジュール(22)と、
前記投光光源モジュールに接着される投光接着面(264)を有し、前記投光光源モジュールからの前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)と、
前記投光位置決め面を位置決めする投光ベース面(142)を、前記Y軸に沿って有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する投光調整方向(Dp)が前記投光接着面に沿って想定されるとすると、
前記投光光源モジュールにおける前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記投光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系においてYZ平面とは直交する投光基準平面(Lp)上に前記投光光軸が調整される光学センサ。
【請求項3】
前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光調整方向に偏位する偏位量(Δp,Δpa)は、前記X軸まわりにおいて前記投光ベース面に対する前記投光接着面の傾斜角(θp)に相関する請求項1又は2に記載の光学センサ。
【請求項4】
前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光調整方向に偏位する偏位量(Δp,Δpa)は、前記X軸まわりにおいて前記投光接着面での法線方向(Np)の前記投光光軸に対する形成角(ψp,ψpa)に相関する請求項1又は2に記載の光学センサ。
【請求項5】
前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光調整方向に偏位する偏位量(Δp,Δpa)は、前記X軸まわりにおいて前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の姿勢角偏差(ωp)に相関する請求項1又は2に記載の光学センサ。
【請求項6】
前記センサベースを含んで構成されるハウジング(2011)を、備え、
前記ハウジングは、前記投光光源モジュールを介して前記投光レンズモジュールを保持する前記センサベースから伝導した熱を前記外界へ放射する、放熱部(2016)を有する請求項1又は2に記載の光学センサ。
【請求項7】
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)とを、備え、
前記センサベースは、前記受光位置決め面を前記Y軸に沿って位置決めする、受光ベース面(144)を有し、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系において前記受光ベース面とは直交するXZ平面上に前記受光光軸が調整される請求項1に記載の光学センサ。
【請求項8】
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)と、
前記受光位置決め面を前記Y軸に沿って位置決めする、受光ベース面(144)を有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系において前記受光ベース面とは直交するXZ平面上に前記受光光軸が調整される光学センサ。
【請求項9】
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)とを、備え、
前記センサベースは、前記受光位置決め面を位置決めする受光ベース面(144)を、前記Y軸に沿って有し、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系においてYZ平面とは直交する受光基準平面(Lr)上に前記受光光軸が調整される請求項2に記載の光学センサ。
【請求項10】
前記三次元座標系において前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように、前記投光位置決め面及び前記投光ベース面の間の投光位置決め箇所と、前記受光位置決め面及び前記受光ベース面の間の受光位置決め箇所とのうち、少なくとも一方に介装される位置決めシム(3411,4211)を、備える請求項9に記載の光学センサ。
【請求項11】
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)と、
前記受光位置決め面を位置決めする受光ベース面(144)を、前記Y軸に沿って有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系においてYZ平面とは直交する受光基準平面(Lr)上に前記受光光軸が調整される光学センサ。
【請求項12】
前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光調整方向に偏位する偏位量(Δr,Δra)は、前記X軸まわりにおいて前記受光ベース面に対する前記受光接着面の傾斜角(θr)に相関する請求項7~11のいずれか一項に記載の光学センサ。
【請求項13】
前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光調整方向に偏位する偏位量(Δr,Δra)は、前記X軸まわりにおいて前記受光接着面での法線方向(Nr)の前記受光光軸に対する形成角(ψr,ψra)に相関する請求項7~11のいずれか一項に記載の光学センサ。
【請求項14】
前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光調整方向に偏位する偏位量(Δr,Δra)は、前記X軸まわりにおいて前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の姿勢角偏差(ωr)に相関する請求項7~11のいずれか一項に記載の光学センサ。
【請求項15】
前記センサベースを含んで構成されるハウジング(2011)を、備え、
前記ハウジングは、前記受光検出モジュールを介して前記受光レンズモジュールを保持する前記センサベースから伝導した熱を前記外界へ放射する、放熱部(2016)を有する請求項7~11のいずれか一項に記載の光学センサ。
【請求項16】
請求項1に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
当該姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を接着することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【請求項17】
請求項7又は8に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
当該姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を接着することと、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【請求項18】
請求項10に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記受光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、受光位置決めシム(3411)の楔角(ρr)を前記投光誤差角と前記受光誤差角との相関に応じて調整することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により直に位置決めして前記センサベースに固定することとを、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により前記受光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【請求項19】
請求項10に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記投光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、投光位置決めシム(4211)の楔角(ρp)を前記投光誤差角と前記受光誤差角との相関に応じて調整することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により前記投光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することと、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により直に位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【請求項20】
請求項10に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記投光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、投光位置決めシム(4211)の楔角(ρp)前記投光誤差角に応じて調整することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記受光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、受光位置決めシム(3411)の楔角(ρr)を前記受光誤差角に応じて調整することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により前記投光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することと、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により前記受光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投光ビームを外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビームを受光することで、外界を検出する光学センサは、広く知られている。この種の光学センサとして特許文献1に開示される技術では、投光ビームを発生させる光源モジュールに対して、光源モジュールからの投光ビームを外界側へ導光するレンズモジュールの光軸が、姿勢調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-3938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の技術では、光源モジュールに対してレンズモジュールが三軸方向に限定して調心されている。このような調心技術では、各モジュール内及び各モジュール同士での傾きといった製造公差まで吸収することが困難なため、光軸の調整精度に限界が生じてしまう。
【0005】
以上より本開示の課題は、光軸の調整精度を確保する光学センサ及びその製造方法を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
投光位置決め面(222)を有し、投光ビームを発光面(226)から投光する投光光源モジュール(22)と、
投光光源モジュールに接着される投光接着面(264)を有し、投光光源モジュールからの投光ビームを投光光軸(Op)に沿って外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)と、
投光位置決め面をY軸に沿って位置決めする、投光ベース面(142)を有するセンサベース(14)とを、備え、
X軸に直交する投光調整方向(Dp)が投光接着面に沿って想定されるとすると、
投光光源モジュールにおける発光面の光学中心(Cp)が投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して投光調整方向に偏位することにより、三次元座標系において投光ベース面とは直交するXZ平面上に投光光軸が調整される。
【0008】
本開示の第二態様は、第一態様の光学センサを製造する製造方法であって、
投光接着面に対する投光位置決め面のX軸まわりでの姿勢角偏差(ωp)を、投光ビームの合焦状態において測定することと、
当該姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して発光面の光学中心(Cp)を投光調整方向に偏位させた状態の投光光源モジュールに対して、投光レンズモジュールの投光接着面を接着することと、
投光レンズモジュールの接着された投光光源モジュールにおいて投光位置決め面を、投光ベース面により位置決めしてセンサベースに固定することとを、含む。
【0009】
このように第一及び第二態様では、投光レンズモジュールの投光接着面に接着される投光光源モジュールにおいて投光位置決め面が、センサベースの投光ベース面によりY軸に沿って位置決めされる。そこで第一及び第二態様によると、投光光源モジュールにおける発光面の光学中心が投光レンズモジュールの主点に対して、X軸に直交する投光調整方向に投光接着面に沿って偏位することで、投光ベース面とは直交するXZ平面上に投光光軸が調整される。こうした偏位構成によれば、各モジュール内及び各モジュール同士での傾きを含む製造公差を吸収しつつ、XZ平面に合わせて投光光軸を調整することができる。故に、投光光軸の調整精度を確保することが、可能となる。
【0010】
さらに第二態様では、投光レンズモジュールの投光接着面が接着された投光光源モジュールにおいて投光位置決め面が、投光ベース面により位置決めされてセンサベースに固定される。そこで第二態様によると、投光接着面に対する投光位置決め面のX軸まわりでの姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、投光レンズモジュールの主点に対して発光面の光学中心を投光調整方向に偏位させた状態で、センサベースへの固定前にモジュール同士が接着させられる。これは換言すれば、投光接着面に対する投光位置決め面の姿勢角偏差は、XZ平面に合わせた投光光軸を形成するための偏位量に対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、投光光軸を高精度に調整することが、可能となる。
【0011】
本開示の第三態様は、第一態様の光学センサにおいて、
受光位置決め面(452)を有し、反射ビームを検出面(456)において受光することにより、外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、外界側からの反射ビームを受光光軸(Or)に沿って受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)とを、備え、
センサベースは、受光位置決め面をY軸に沿って位置決めする受光ベース面(144)を、有し、
X軸に直交する受光調整方向(Dr)が受光接着面に沿って想定されるとすると、
受光検出モジュールにおける検出面の光学中心(Cr)が受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して受光調整方向に偏位することにより、三次元座標系において受光ベース面とは直交するXZ平面上に受光光軸が調整される。
【0012】
本開示の第四態様は、
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
受光位置決め面(452)を有し、反射ビームを検出面(456)において受光することにより、外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、外界側からの反射ビームを受光光軸(Or)に沿って受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)と、
受光位置決め面をY軸に沿って位置決めする、受光ベース面(144)を有するセンサベース(14)とを、備え、
X軸に直交する受光調整方向(Dr)が受光接着面に沿って想定されるとすると、
受光検出モジュールにおける検出面の光学中心(Cr)が受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して受光調整方向に偏位することにより、三次元座標系において受光ベース面とは直交するXZ平面上に受光光軸が調整される。
【0013】
本開示の第五態様は、第三又は第四態様の光学センサを製造する製造方法であって、
受光接着面に対する受光位置決め面のX軸まわりでの姿勢角偏差(ωr)を、反射ビームの合焦状態において測定することと、
当該姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して検出面の光学中心(Cr)を受光調整方向に偏位させた状態の受光検出モジュールに対して、受光レンズモジュールの受光接着面を接着することと、
受光レンズモジュールの接着された受光検出モジュールにおいて受光位置決め面を、受光ベース面により位置決めしてセンサベースに固定することとを、含む。
【0014】
これら第三~第五態様では、受光レンズモジュールの受光接着面に接着される受光検出モジュールにおいて受光位置決め面が、センサベースの受光ベース面によりY軸に沿って位置決めされる。そこで第三~第五態様によると、受光検出モジュールにおける検出面の光学中心が受光レンズモジュールの主点に対して、X軸に直交する受光調整方向に受光接着面に沿って偏位することで、受光ベース面とは直交するXZ平面上に受光光軸が調整される。こうした偏位構成によれば、各モジュール内及び各モジュール同士での傾きを含む製造公差を吸収しつつ、XZ平面に合わせて受光光軸を調整することができる。故に、受光光軸の調整精度を確保することが、可能となる。
【0015】
さらに第五態様では、受光レンズモジュールの受光接着面が接着された受光検出モジュールにおいて受光位置決め面が、受光ベース面により位置決めされてセンサベースに固定される。そこで第五態様によると、受光接着面に対する受光位置決め面のX軸まわりでの姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、受光レンズモジュールの主点に対して検出面の光学中心を受光調整方向に偏位させた状態で、センサベースへの固定前にモジュール同士が接着させられる。これは換言すれば、受光接着面に対する受光位置決め面の姿勢角偏差は、XZ平面に合わせた受光光軸を形成するための偏位量に対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、受光光軸を高精度に調整することが、可能となる。
【0016】
本開示の第六態様は、
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
投光位置決め面(222)を有し、投光ビームを発光面(226)から投光する投光光源モジュール(22)と、
投光光源モジュールに接着される投光接着面(264)を有し、投光光源モジュールからの投光ビームを投光光軸(Op)に沿って外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)と、
投光位置決め面を位置決めする投光ベース面(142)を、Y軸に沿って有するセンサベース(14)とを、備え、
X軸に直交する投光調整方向(Dp)が投光接着面に沿って想定されるとすると、
投光光源モジュールにおける発光面の光学中心(Cp)が投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して投光調整方向に偏位することにより、三次元座標系においてYZ平面とは直交する投光基準平面(Lp)上に投光光軸が調整される。
【0017】
このような第六態様では、投光レンズモジュールの投光接着面に接着される投光光源モジュールにおいて投光位置決め面が、Y軸に沿ったセンサベースの投光ベース面により位置決めされる。そこで第六態様によると、投光光源モジュールにおける発光面の光学中心が投光レンズモジュールの主点に対して、X軸に直交する投光調整方向に投光接着面に沿って偏位することで、YZ平面とは直交する投光基準平面上に投光光軸が調整される。こうした偏位構成によれば、各モジュール内及び各モジュール同士での傾きを含む製造公差を吸収しつつ、投光基準平面に合わせて投光光軸を調整することができる。故に、投光光軸の調整精度を確保することが、可能となる。
【0018】
本開示の第七態様は、第六態様の光学センサにおいて、
受光位置決め面(452)を有し、反射ビームを検出面(456)において受光することにより、外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、外界側からの反射ビームを受光光軸(Or)に沿って受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)とを、備え、
センサベースは、受光位置決め面を位置決めする受光ベース面(144)を、Y軸に沿って有し、
X軸に直交する受光調整方向(Dr)が受光接着面に沿って想定されるとすると、
受光検出モジュールにおける検出面の光学中心(Cr)が受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して受光調整方向に偏位することにより、三次元座標系においてYZ平面とは直交する受光基準平面(Lr)上に受光光軸が調整される。
【0019】
本開示の第八態様は、
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
受光位置決め面(452)を有し、反射ビームを検出面(456)において受光することにより、外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、外界側からの反射ビームを受光光軸(Or)に沿って受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)と、
受光位置決め面を位置決めする受光ベース面(144)を、Y軸に沿って有するセンサベース(14)とを、備え、
X軸に直交する受光調整方向(Dr)が受光接着面に沿って想定されるとすると、
受光検出モジュールにおける検出面の光学中心(Cr)が受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して受光調整方向に偏位することにより、三次元座標系においてYZ平面とは直交する受光基準平面(Lr)上に受光光軸が調整される。
【0020】
これら第七及び第八態様では、受光レンズモジュールの受光接着面に接着される受光検出モジュールにおいて受光位置決め面が、Y軸に沿ったセンサベースの受光ベース面により位置決めされる。そこで第七及び第八態様によると、受光検出モジュールにおける検出面の光学中心が受光レンズモジュールの主点に対して、X軸に直交する受光調整方向に受光接着面に沿って偏位することで、YZ平面とは直交する受光基準平面上に受光光軸が調整される。こうした偏位構成によれば、各モジュール内及び各モジュール同士での傾きを含む製造公差を吸収しつつ、受光基準平面に合わせて受光光軸を調整することができる。故に、受光光軸の調整精度を確保することが、可能となる。
【0021】
本開示の第九態様は、第七態様の光学センサにおいて、
三次元座標系において投光光軸と受光光軸とが互いに沿うように、投光位置決め面及び投光ベース面の間の投光位置決め箇所と、受光位置決め面及び受光ベース面の間の受光位置決め箇所とのうち、少なくとも一方に介装される位置決めシム(3411,4211)を、備える。
【0022】
このように第九態様では、投光位置決め面及び投光ベース面の間の投光位置決め箇所と、受光位置決め面及び受光ベース面の間の受光位置決め箇所とのうち、少なくとも一方に位置決めシムが介装される。これによれば、接着時の硬化収縮に起因した偏位構成の製造公差に応じて投光光軸及び/又は受光光軸に誤差角が生じたとしても、それら光軸の方向を互いに合致させて当該製造公差を吸収することができる。故に、投光光軸及び受光光軸の調整精度を、相互間にて確保することが可能となる。
【0023】
本開示の第十態様は、第九態様の光学センサを製造する製造方法であって、
投光接着面に対する投光位置決め面のX軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、投光ビームの合焦状態において測定することと、
投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して発光面の光学中心(Cp)を投光調整方向に偏位させた状態の投光光源モジュールに対して、投光レンズモジュールの投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
投光接着材の硬化により投光光源モジュールと接着された投光レンズモジュールの投光光軸に、三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
受光接着面に対する受光位置決め面のX軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、反射ビームの合焦状態において測定することと、
受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して検出面の光学中心(Cr)を受光調整方向に偏位させた状態の受光検出モジュールに対して、受光レンズモジュールの受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
受光接着材の硬化により受光検出モジュールと接着された受光レンズモジュールの受光光軸に、三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
投光光軸と受光光軸とが互いに沿うように受光位置決め箇所に介装される位置決めシムである、受光位置決めシム(3411)の楔角(ρr)を投光誤差角と受光誤差角との相関に応じて調整することと、
投光レンズモジュールの接着された投光光源モジュールにおいて投光位置決め面を、投光ベース面により直に位置決めしてセンサベースに固定することとを、
受光レンズモジュールの接着された受光検出モジュールにおいて受光位置決め面を、受光ベース面により受光位置決めシムを介して位置決めしてセンサベースに固定することとを、含む。
【0024】
このような第十態様では、第二態様に準じて投光姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、投光レンズモジュールの主点に対して発光面の光学中心を投光調整方向に偏位させた偏位構成の状態で、モジュール同士が接着させられる。それと共に第十態様では、第五態様に準じて受光姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、受光レンズモジュールの主点に対して検出面の光学中心を受光調整方向に偏位させた偏位構成の状態で、モジュール同士が接着させられる。
【0025】
但し第十態様では、投光接着材の硬化により投光光源モジュールと接着された投光レンズモジュールの投光光軸に、投光接着材の硬化収縮に起因する製造公差に応じた投光誤差角が、生じたとしても測定される。それと共に、受光接着材の硬化により受光検出モジュールと接着された受光レンズモジュールの受光光軸に、受光接着材の硬化収縮に起因する製造公差に応じた受光誤差角が、生じたとしても測定される。これらのことから、投光光軸と受光光軸との方向を互いに合致させるため、投光誤差角と受光誤差角との相関に応じて、受光位置決めシムの楔角が正確に調整され得る。
【0026】
そこで第十態様によると、投光位置決め面が投光ベース面により直に位置決め固定される一方、受光位置決め面が受光ベース面により受光位置決めシムを介して位置決め固定される。故に、投光光軸及び受光光軸の調整精度を、それら光軸方向同士の合致によって確保することが可能となる。
【0027】
本開示の第十一態様は、第九態様の光学センサを製造する製造方法であって、
投光接着面に対する投光位置決め面のX軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、投光ビームの合焦状態において測定することと、
投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して発光面の光学中心(Cp)を投光調整方向に偏位させた状態の投光光源モジュールに対して、投光レンズモジュールの投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
投光接着材の硬化により投光光源モジュールと接着された投光レンズモジュールの投光光軸に、三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
受光接着面に対する受光位置決め面のX軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、反射ビームの合焦状態において測定することと、
受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して検出面の光学中心(Cr)を受光調整方向に偏位させた状態の受光検出モジュールに対して、受光レンズモジュールの受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
受光接着材の硬化により受光検出モジュールと接着された受光レンズモジュールの受光光軸に、三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
投光光軸と受光光軸とが互いに沿うように投光位置決め箇所に介装される位置決めシムである、投光位置決めシム(4211)の楔角(ρp)を投光誤差角と受光誤差角との相関に応じて調整することと、
投光レンズモジュールの接着された投光光源モジュールにおいて投光位置決め面を、投光ベース面により投光位置決めシムを介して位置決めしてセンサベースに固定することと、
受光レンズモジュールの接着された受光検出モジュールにおいて受光位置決め面を、受光ベース面により直に位置決めしてセンサベースに固定することとを、含む。
【0028】
このような第十一態様では、第二態様に準じて姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、投光レンズモジュールの主点に対して発光面の光学中心を投光調整方向に偏位させた偏位構成の状態で、モジュール同士が接着させられる。それと共に第十一態様では、第五態様に準じて姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、受光レンズモジュールの主点に対して検出面の光学中心を受光調整方向に偏位させた偏位構成の状態で、モジュール同士が接着させられる。
【0029】
但し第十一態様では、投光接着材の硬化により投光光源モジュールと接着された投光レンズモジュールの投光光軸に、投光接着材の硬化収縮に起因する製造公差に応じた投光誤差角が、生じたとしても測定される。それと共に、受光接着材の硬化により受光検出モジュールと接着された受光レンズモジュールの受光光軸に、受光接着材の硬化収縮に起因する製造公差に応じた受光誤差角が、生じたとしても測定される。これらのことから、投光光軸と受光光軸との方向を互いに合致させるため、投光誤差角と受光誤差角との相関に応じて、投光位置決めシムの楔角が正確に調整され得る。
【0030】
そこで第十一態様によると、受光位置決め面が受光ベース面により直に位置決め固定される一方、投光位置決め面が投光ベース面により投光位置決めシムを介して位置決め固定される。故に、投光光軸及び受光光軸の調整精度を、それら光軸方向同士の合致によって確保することが可能となる。
【0031】
本開示の第十二態様は、第九態様の光学センサを製造する製造方法であって、
投光接着面に対する投光位置決め面のX軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、投光ビームの合焦状態において測定することと、
投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して発光面の光学中心(Cp)を投光調整方向に偏位させた状態の投光光源モジュールに対して、投光レンズモジュールの投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
投光接着材の硬化により投光光源モジュールと接着された投光レンズモジュールの投光光軸に、三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
受光接着面に対する受光位置決め面のX軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、反射ビームの合焦状態において測定することと、
受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して検出面の光学中心(Cr)を受光調整方向に偏位させた状態の受光検出モジュールに対して、受光レンズモジュールの受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
受光接着材の硬化により受光検出モジュールと接着された受光レンズモジュールの受光光軸に、三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
投光光軸と受光光軸とが互いに沿うように投光位置決め箇所に介装される位置決めシムである、投光位置決めシム(4211)の楔角(ρp)を投光誤差角に応じて調整することと、
投光光軸と受光光軸とが互いに沿うように受光位置決め箇所に介装される位置決めシムである、受光位置決めシム(3411)の楔角(ρr)を受光誤差角に応じて調整することと、
投光レンズモジュールの接着された投光光源モジュールにおいて投光位置決め面を、投光ベース面により投光位置決めシムを介して位置決めしてセンサベースに固定することと、
受光レンズモジュールの接着された受光検出モジュールにおいて受光位置決め面を、受光ベース面により受光位置決めシムを介して位置決めしてセンサベースに固定することとを、含む。
【0032】
このような第十二態様では、第二態様に準じて姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、投光レンズモジュールの主点に対して発光面の光学中心を投光調整方向に偏位させた偏位構成の状態で、モジュール同士が接着させられる。それと共に第十二態様では、第五態様に準じて姿勢角偏差を測定した測定値に相関する偏位量分、受光レンズモジュールの主点に対して検出面の光学中心を受光調整方向に偏位させた偏位構成の状態で、モジュール同士が接着させられる。
【0033】
但し第十二態様では、投光接着材の硬化により投光光源モジュールと接着された投光レンズモジュールの投光光軸に、投光接着材の硬化収縮に起因する製造公差に応じた投光誤差角が、生じたとしても測定される。それと共に、受光接着材の硬化により受光検出モジュールと接着された受光レンズモジュールの受光光軸に、受光接着材の硬化収縮に起因する製造公差に応じた受光誤差角が、生じたとしても測定される。これらのことから、投光光軸と受光光軸との方向を互いに合致させるため、投光誤差角と受光誤差角とのそれぞれに応じて、投光位置決めシムの楔角と受光位置決めシムの楔角とが正確に調整され得る。
【0034】
そこで第十二態様によると、投光位置決め面が投光ベース面により投光位置決めシムを介して位置決め固定されると共に、受光位置決め面が受光ベース面により受光位置決めシムを介して位置決め固定される。故に、投光光軸及び受光光軸の調整精度を、それら光軸方向同士の合致によって確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第一実施形態による光学センサの全体構成を部分断面にて示す模式図である。
図2】第一実施形態による投光ユニットを示す斜視図である。
図3】第一実施形態による投光ユニットを模式的に示すXY平面視図である。
図4】第一実施形態による受光ユニットを示す斜視図である。
図5】第一実施形態による受光ユニットを模式的に示すXY平面視図である。
図6】第一実施形態による光学センサの詳細構成を部分断面にて示すYZ平面視図である。
図7】第一実施形態による投光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図8】第一実施形態による投光ユニットの製造方法を示すフローチャートである。
図9】第一実施形態による投光ユニットの製造方法を説明するための模式図である。
図10】第一実施形態による投光ユニットの製造方法を説明するための模式図である。
図11】第一実施形態による投光ユニットの製造方法を説明するための模式図である。
図12】第一実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図13】第一実施形態による受光ユニットの製造方法を示すフローチャートである。
図14】第一実施形態による受光ユニットの製造方法を説明するための模式図である。
図15】第一実施形態による受光ユニットの製造方法を説明するための模式図である。
図16】第一実施形態による受光ユニットの製造方法を説明するための模式図である。
図17】第二実施形態による光学センサの詳細構成を部分断面にて示すYZ平面視図である。
図18】第三実施形態による光学センサの詳細構成を部分断面にて示すYZ平面視図である。
図19】第三実施形態による投光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図20】第三実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図21】第三実施形態による光学センサの製造方法を示すフローチャートである。
図22】第三実施形態による光学センサの製造方法のうち投光シーケンスを説明するための模式図である。
図23】第三実施形態による光学センサの製造方法のうち投光シーケンスを説明するための模式図である。
図24】第三実施形態による光学センサの製造方法のうち受光シーケンスを説明するための模式図である。
図25】第三実施形態による光学センサの製造方法のうち受光シーケンスを説明するための模式図である。
図26】第四実施形態による光学センサの詳細構成を部分断面にて示すYZ平面視図である。
図27】第四実施形態による投光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図28】第四実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図29】第四実施形態による光学センサの製造方法を示すフローチャートである。
図30】第五実施形態による光学センサの詳細構成を部分断面にて示すYZ平面視図である。
図31】第五実施形態による投光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図32】第五実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
図33】第五実施形態による光学センサの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第一実施形態)
図1に示すように、本開示の第一実施形態による光学センサ10は、移動体に配置されて外界を光学的に検出するための、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)である。光学センサ10の配置対象となる移動体は、手動運転、自動運転、及び遠隔運転のうち少なくとも一種類の運転が可能な、例えば自動車等の車両である。尚、以下の説明では断り書きがない限り、前、後、上、下、左、及び右が示す各方向は、水平面上の車両を基準として定義される。また、以下の説明において水平方向及び鉛直方向とは、それぞれ水平面上の車両における、当該水平面に対しての平行方向及び垂直方向を意味する。
【0037】
光学センサ10は、例えば前方部、左右の側方部、後方部、及び上部ルーフ等のうち、車両における少なくとも一箇所に配置される。光学センサ10は、外界のうち車両での配置箇所に応じた検出領域Adへと向けて、投光ビームBpを投光する。光学センサ10は、外界において投光ビームBpが検出領域Adの物標により反射されることで戻ってくる戻り光を、反射ビームBrとして検出する。こうして反射ビームBrとなる投光ビームBpには、人間から視認困難な近赤外域の光が選択される。
【0038】
光学センサ10は、投光ビームBpに対して反射された反射ビームBrを受光することで、外界のうち検出領域Adに存在する物標を、検出する。こうした外界物標の検出とは、例えば光学センサ10から物標までの距離、物標が存在する方向、及び物標からの反射ビームBrの反射強度等のうち、少なくとも距離を含む一種類又は複数種類の検出である。車両に適用の光学センサ10において代表的な検出対象となる物標は、例えば歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。車両に適用の光学センサ10において代表的な検出対象となる物標は、例えばガードレール、道路標識、道路脇の構造物、及び道路上の落下物等の静止物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。
【0039】
光学センサ10には、互いに直交した三軸となるX軸、Y軸、及びZ軸により、三次元座標系が定義されている。特に光学センサ10の三次元座標系では、Y軸方向が車両の鉛直方向に沿って規定されていると共に、X軸方向及びZ軸方向がそれぞれ車両の相異なる水平方向に沿って規定されている。これにより水平面上の車両では、三次元座標系のXY平面及びYZ平面が水平面に垂直な鉛直面に沿うと共に、XZ平面が水平面に沿うこととなる。尚、図1においてY軸方向に沿う一点鎖線よりも左側部分(後述の光学窓13側)は、実際には当該一点鎖線よりも右側部分(後述のユニット21,41側)に対して垂直な断面を図示している。
【0040】
光学センサ10は、ハウジング11、投光ユニット21、走査ユニット31、受光ユニット41、及び制御ユニット51を備えている。外界と内部とを仕切るハウジング11は、外郭本体12、及び光学窓13を含んで構成されている。遮光性の外郭本体12は、例えば金属又は樹脂等により箱状に形成されている。外郭本体12は、投光ユニット21、走査ユニット31、受光ユニット41、及び制御ユニット51を内部に収容している。ハウジング11は、光学窓13により閉塞された開口部を、有している。透光性の光学窓13は、例えば樹脂又はガラス等により、板状に形成されている。
【0041】
図1,2に示すように投光ユニット21は、投光光源モジュール22、及び投光レンズモジュール26を含んで構成されている。図3に示すように投光光源モジュール22は、複数の投光光源24が基板220上においてアレイ状に実装されることで、構築されている。特に本実施形態の各投光光源24は、Y軸方向に沿って単列に配列された、レーザダイオードである。各投光光源24は、制御ユニット51からの制御信号に従うことで、それぞれ投光ビームBpの一部となるレーザ光を、パルス状に生成する。各投光光源24は、エッジエミッタレーザであってもよいし、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)であってもよい。
【0042】
図1,3に示すように投光光源モジュール22は、各投光光源24の発光により投光ビームBpを投射する発光面226を、基板220の片面側に形成している。発光面226は、各投光光源24におけるレーザ発振部の集合によって擬似的に、Y軸方向に長手且つX軸方向に短手の長方形輪郭に規定される。各投光光源24のレーザ発振部から投射されるレーザ光は、検出領域Adにおいては上下に長いライン状に整形される投光ビームBpとして、発光面226から投射される。
【0043】
図1,2に示すように投光レンズモジュール26は、少なくとも一つの投光レンズ260が投光鏡筒261によって保持される構造に、構築されている。透光性の投光レンズ260は、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。投光レンズ260は、例えば集光、コリメート、及び整形等のうち少なくとも一種類の光学作用を、投光光源モジュール22からの投光ビームBpに対して発揮する。投光レンズ260は、例えば金属又は樹脂等により筒状形成された遮光性の投光鏡筒261内に、位置決めされている。
【0044】
こうした構成の投光レンズモジュール26は、投光光軸Opを形成するように、投光光源モジュール22と位置合わせされている。そこで、投光光源モジュール22から投射された投光ビームBpは、投光レンズモジュール26からの光学作用により、XZ平面上の投光光軸Opに沿って車両の外界側へと導光される。
【0045】
図1に示すように走査ユニット31は、走査ミラー32、及び走査モータ35を含んで構成されている。走査ミラー32は、基材の片面である反射面33に反射膜が蒸着された板状に、形成されている。走査ミラー32は、Y軸方向の回転中心線まわりに回転駆動可能に、ハウジング11によって支持されている。走査ミラー32は、機械的又は電気的なストッパにより有限となる駆動範囲内において、揺動運動する。走査モータ35は、例えばボイスコイルモータ、ブラシ付きDCモータ、又はステッピングモータ等である。走査モータ35の出力軸は、走査ミラー32に対して直接的に、又は例えば減速機等の駆動機構を介して間接的に、結合されている。走査モータ35は、出力軸と共に走査ミラー32を回転駆動可能に、ハウジング11によって保持されている。走査モータ35は、制御ユニット51からの制御信号に従うことで、走査ミラー32を有限の駆動範囲内にて回転駆動(即ち、揺動駆動)する。
【0046】
走査ミラー32は、投光ユニット21から入射する投光ビームBpを、反射面33により反射して光学窓13を通して検出領域Adへと照射することで、当該領域Adを走査モータ35の回転角度に応じて走査する。このとき検出領域Adに対しての投光ビームBpによる走査は、走査ミラー32の回転駆動に従って、本実施形態では水平方向での走査に実質制限される。
【0047】
走査ミラー32は、検出領域Adの物標から光学窓13を通して入射してくる反射ビームBrを、反射面33により走査モータ35の回転角度に応じて受光ユニット41側へと反射する。このとき走査ミラー32の回転運動速度に対しては、投光ビームBp及び反射ビームBrの速度が十分に大きい。これにより反射ビームBrは、投光ビームBpに対する角度が実質同一回転角度と擬制可能な走査ミラー32から反射作用を受けることで、投光ビームBpとは逆行するように受光ユニット41側へと導光される。
【0048】
図1,4に示すように受光ユニット41は、受光レンズモジュール42、及び受光検出モジュール45を含んで構成されている。受光レンズモジュール42は、少なくとも一つの受光レンズ420が受光鏡筒421によって保持される構造に、構築されている。透光性の受光レンズ420は、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。受光レンズ420は、走査ミラー32からの反射ビームBrを受光検出モジュール45へ結像させるように、光学作用を発揮する。受光レンズ420は、例えば金属又は樹脂等により筒状形成された遮光性の受光鏡筒421内に、位置決めされている。
【0049】
こうした構成の受光レンズモジュール42は、受光光軸Orを形成するように、受光検出モジュール45と位置合わせされている。ここで受光レンズモジュール42の受光光軸Orは、投光レンズモジュール26の投光光軸Opに対してY軸方向にずらされている。これにより、走査ミラー32の反射面33からY軸方向にずれて反射されてくる反射ビームBrは、受光レンズモジュール42からの光学作用により、XZ平面上の受光光軸Orに沿って受光検出モジュール45側へと導光される。
【0050】
図5に示すように受光検出モジュール45は、複数の受光画素46が基板450上においてアレイ状に実装されることで、構築されている。各受光画素46は、少なくともY軸方向に配列されている。各受光画素46はさらに、それぞれ複数ずつの受光素子460としての、例えばシングルフォトンアバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode)等から形成されている。
【0051】
図1,5に示すよう受光検出モジュール45は、検出面456を、基板450の片面側に形成している。検出面456は、各受光画素46における入射面の集合により、Y軸方向に長手且つX軸方向に短手の長方形輪郭に構成されている。各受光画素46は、受光レンズモジュール42から検出面456へと入射したライン状の反射ビームBrを、受光光軸Orに沿って受光する。
【0052】
図1に示すように受光検出モジュール45は、出力回路47を有している。出力回路47は、投光光源モジュール22による投光ビームBpの投光周期に同期した、走査ミラー32の回転角度に対応付けられる走査ライン別の検出フレームにおいて、制御ユニット51からの制御信号に従う制御周期毎にサンプリング処理を実行する。このとき出力回路47は、制御周期毎に各受光画素46の受光素子460からの応答出力を合成することで、検出信号を生成する。こうして生成された検出信号は、出力回路47から走査ライン別に制御ユニット51へと出力される。
【0053】
制御ユニット51は、外界の検出領域Adに対する物標検出を、制御する。制御ユニット51は、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータの、少なくとも一つを主体として構築されている。制御ユニット51は、投光光源モジュール22、走査モータ35、及び受光検出モジュール45と接続されている。制御ユニット51は、投光周期毎に投光ビームBpを生成するように、投光光源モジュール22を制御する。それと共に制御ユニット51は、投光光源モジュール22による投光周期に同期した走査ミラー32による走査及び反射を制御するように、走査モータ35を制御する。さらに制御ユニット51は、投光光源モジュール22による投光周期、並びに走査ミラー32による走査及び反射に合わせて受光検出モジュール45から出力される検出信号を処理することで、検出領域Adにおける物標の検出データを生成する。
【0054】
(詳細構成)
次に、ハウジング11の詳細構成を説明する。ハウジング11は、図6に示すセンサベース14を、さらに含んで構成されている。
【0055】
遮光性のセンサベース14は、例えば樹脂又は金属等の基材を主体として、外郭本体12内を二分する隔壁状に形成されている。センサベース14は、外郭本体12により外周側から囲まれて保持されることで、光学窓13の内面に片面を向き合わせて位置決めされている。このような位置決め状態においてセンサベース14には、上述した定義の三次元座標系が想定されている。
【0056】
センサベース14は、投光ユニット21を位置決めするための投光ベース面142を、有している。投光ベース面142は、センサベース14において光学窓13側を向く片面からX軸方向へブロック状に突出する凸部の、側面に形成されている。投光ベース面142は、XY平面に沿って広がる平面状に、規定されている。即ち投光ベース面142は、X軸及びY軸に沿って広がっている。
【0057】
センサベース14は、受光ユニット41を位置決めするための受光ベース面144を、有している。受光ベース面144は、センサベース14において光学窓13側を向く片面からX軸方向へブロック状に突出する凸部の、側面に形成されている。受光ベース面144は、XY平面に沿って広がる平面状に、規定されている。即ち受光ベース面144は、X軸及びY軸に沿って広がっている。受光ベース面144は、投光ベース面142とは分離した、分離面状に構築されていてもよい。受光ベース面144は、投光ベース面142と連続する、連続面状に構築されていてもよい。尚、図6は、分離面状に構築されたベース面142,144の例を示している。
【0058】
次に、投光ユニット21の詳細構成を説明する。図6,7に示すように投光ユニット21において投光レンズモジュール26は、Z軸方向において投光光源モジュール22に接着されている。
【0059】
具体的に投光レンズモジュール26における投光鏡筒261は、投光光源モジュール22とはZ軸方向に対向する端面により、投光接着面264を形成している。投光光源モジュール22において投光光源24(図2参照)の複数実装された基板220を保持する投光ホルダ221は、投光レンズモジュール26とはZ軸方向に対向する端面により、投光接着面224を形成している。ここで遮光性の投光ホルダ221は、例えば樹脂又は金属等の基材を主体として筒状形成され、基板220を保持している。
【0060】
投光鏡筒261の投光接着面264と投光ホルダ221の投光接着面224との間には、投光光軸Opまわりの全周に連続して投光接着材210が介装されている。投光接着材210は、紫外線照射と加熱とのうち少なくとも前者により硬化可能な、例えばエポキシ樹脂等の紫外線熱併用型接着材である。硬化した投光接着材210を介して各モジュール26,22は、それぞれの投光接着面264,224にて互いに接着されている。
【0061】
投光ホルダ221は、センサベース14に対する位置決め用の構造として、投光位置決め面222を有している。投光位置決め面222は、Y軸及びX軸に沿って投光ベース面142により位置決めされている。そこで投光位置決め面222は、投光ベース面142との面接触によりセンサベース14に直に位置決め支持されることで、Y軸及びX軸に沿って広がる(即ちXY平面上に広がる)平面状に、規定されている。
【0062】
投光ホルダ221は、投光ベース面142とは直交するXZ平面上に投光光軸Opを調整するように、センサベース14の複数箇所に対して螺子留めされている。これにより、センサベース14を含むハウジング11は、投光光源モジュール22を直接的に保持していると共に、当該投光光源モジュール22を介して間接的に投光レンズモジュール26を保持している。
【0063】
投光ユニット21のうち投光鏡筒261においては、図7に示すようにX軸に直交する投光調整方向Dpが、投光接着面264に沿って幾何学的に想定される。そこで投光ユニット21では、投光光源モジュール22における発光面226の光学中心Cpが、投光レンズモジュール26における投光レンズ260の主点Ppに対して、投光調整方向Dpに偏位するように構成されている。こうした偏位構成により投光光源モジュール22と投光レンズモジュール26とは、Y軸方向に沿う投光ベース面142及び投光位置決め面222に対しては直交するXZ平面上に、投光光軸Opを共同して形成している。即ち投光ユニット21に構築される偏位構成は、三次元座標系においてYZ平面とは直交する投光基準平面Lp(図6参照)上としての、第一実施形態ではXZ平面上に、投光光軸Opを調整しているといえる。
【0064】
投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpが投光調整方向Dpに偏位する偏位量Δpは、投光レンズモジュール26の焦点距離を係数値fpとした、下記の数1~3を満たしているとよい。ここで主点Ppは、単一の投光レンズ260に関して、又は複数のうち代表的な少なくとも一つの投光レンズ260に関して、定義される。また、焦点距離を表す係数値fpは、単一の投光レンズ260に関する単独値、又は複数の投光レンズ260に関する合成値(即ち、合成焦点距離)に、定義される。
【数1】
【数2】
【数3】
【0065】
具体的に数1は、X軸まわりにおいて投光ベース面142に対する投光接着面264の傾斜角θpに相関する偏位量Δpを、表している。一方で数2は、X軸まわりにおいて投光接着面264での法線方向Npの投光光軸Opに対する形成角ψpに相関する偏位量Δpを、表している。さらに数3は、X軸まわりにおいて投光接着面264に対する投光位置決め面222の姿勢角偏差ωpに相関する偏位量Δpを、表している。
【0066】
ここで傾斜角θp、形成角ψp、及び姿勢角偏差ωpは、図7のYZ平面視において時計まわりを正且つ反時計まわりを負とする符号付き角度にいずれも定義されることで、下記数4を満たす相関関係にある。そこで、正のθp,ψp且つ負のωpに対して偏位量Δpは、図7のYZ平面視における投光調整方向Dpでは主点Ppから光学中心Cpが右側に偏位している状態を表した、正の値を取る。一方、負のθp,ψp且つ正のωpに対して偏位量Δpは、YZ平面視における投光調整方向Dpでは主点Ppから光学中心Cpが左側に偏位している状態を表した、負の値を取る。尚、正負の符号は、これらの定義のうち少なくとも一つに関して、上記説明とは逆に定義されてもよい。
【数4】
【0067】
以下、第一実施形態による光学センサ10の製造方法のうち、投光ユニット21を製造する方法を、図8に示す製造フローに従って説明する。尚、図8の製造フローにおいて「S」は、投光ユニット21を製造するための「製造工程」を、意味している。
【0068】
S101の投光セット工程は、投光レンズモジュール26において投光レンズ260を保持する投光鏡筒261を、図9に示す製造装置1の固定治具2により位置固定する。それと共に投光セット工程は、投光光源モジュール22において基板220を保持する投光ホルダ221の投光位置決め面222を、図9に示す製造装置1の可動ステージ3における可動ベース面3aに一体駆動可能に取り付ける。さらに投光セット工程は、各モジュール26,22の投光接着面264,224間に、例えばゲル状等の未硬化状態にある投光接着材210を挟持させる。
【0069】
このとき投光接着材210の挟持下、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して投光光源モジュール22での発光面226の光学中心Cpは、投光接着面264に沿ってX軸と直交する投光調整方向Dpにおいて、可動ステージ3の駆動により位置合わせされる。そこで、図9の如き投光セット工程による初期状態の光学中心Cpは、投光接着面264の法線方向Npにおいて主点Ppと並ぶ初期中心Cp0に、設定される。
【0070】
次に、図8に示すS102の投光測定工程は、投光レンズモジュール26における投光接着面264に対して、投光光源モジュール22における投光位置決め面222の姿勢角偏差ωpを、図10に示す投光ビームBpの合焦状態においてX軸まわりに測定する。そのために投光測定工程では、投光レンズモジュール26の主点Ppから設定距離のスクリーンにおいて投光ビームBpの、例えば結像サイズ等といった集光度合いを評価するデフォーカスにより、当該スクリーンの位置での合焦状態が探索される。ここで合焦状態とは、ライン状投光ビームBpが長手方向において全体的に許容錯乱円の範囲で合焦する状態を、意味するとよい。
【0071】
投光測定工程では、投光レンズモジュール26に対する投光光源モジュール22の相対姿勢が、投光接着面264に沿って初期中心Cp0上に想定されるX軸まわりに可動ステージ3によって微調整されることで、最適姿勢を与える合焦状態の探索が可能となる。そこで投光測定工程では、探索された合焦状態にある各モジュール26,22のX軸まわりでの相対姿勢を表す物理量として、投光接着面264に対する投光位置決め面222の姿勢角偏差ωpが測定される。このとき姿勢角偏差ωpの測定値は、可動ステージ3における可動ベース面3aのX軸まわりでの姿勢角誤差により、補正されてもよい。
【0072】
次に、図8に示すS103の投光接着工程は、S102による姿勢角偏差ωpの測定値に相関する偏位量Δp分、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して投光光源モジュール22での発光面226の光学中心Cpを、図11に示すように初期中心Cp0から投光調整方向Dpに偏位させる。さらに投光接着工程は、投光接着面264,224間に挟持された投光接着材210を硬化させることで、そうした偏位状態の投光光源モジュール22に対して投光レンズモジュール26の投光接着面264を、当該投光接着材210を介して接着する。このとき投光接着材210は、少なくとも投光光軸Opまわりの外周側からの紫外線照射によって硬化する。投光接着材210は、こうした紫外線硬化に加えて、加熱硬化されてもよい。
【0073】
次に、図8に示すS104の投光位置決め工程は、S103により投光レンズモジュール26の接着された投光光源モジュール22における投光位置決め面222を、図7に示すように投光ベース面142により位置決めしてセンサベース14に固定する。このとき、先の接着により投光ユニット21として一体化された各モジュール26,22は、S102で測定の姿勢角偏差ωpに応じたS103での偏位量Δpに従う偏位構成によってX軸まわりに調整される投光光軸Opを、投光ベース面142と直交するXZ平面上に共同形成可能となる。
【0074】
次に、受光ユニット41の詳細構成を説明する。図6,12に示すように受光ユニット41において受光レンズモジュール42は、Z軸方向において受光検出モジュール45に接着されている。
【0075】
具体的に受光レンズモジュール42における受光鏡筒421は、受光検出モジュール45とはZ軸方向に対向する端面により、受光接着面424を形成している。受光検出モジュール45において受光画素46(図5参照)の複数配列された基板450を保持する受光ホルダ451は、受光レンズモジュール42とはZ軸方向に対向する端面により、受光接着面454を形成している。ここで遮光性の受光ホルダ451は、例えば樹脂又は金属等の基材を主体として筒状形成され、基板450を保持している。
【0076】
受光鏡筒421の受光接着面424と受光ホルダ451の受光接着面454との間には、受光光軸Orまわりの全周に連続して受光接着材410が介装されている。受光接着材410も、紫外線照射と加熱とのうち少なくとも前者により硬化可能な、例えばエポキシ樹脂等の紫外線熱併用型接着材である。硬化した受光接着材410を介して各モジュール42,45は、それぞれの接着面424,454にて互いに接着されている。
【0077】
受光ホルダ451は、センサベース14に対する位置決め用の構造として、受光位置決め面452を有している。受光位置決め面452は、Y軸及びX軸のうち少なくともY軸に沿って受光ベース面144により位置決めされている。そこで受光位置決め面452は、受光ベース面144との間に複数シム411を介してセンサベース14に位置決め支持されることで、Y軸及びX軸のうち少なくともY軸に沿って広がる平面状に、規定されている。ここで各シム411は、例えば金属又は樹脂等により形成されて、X軸方向に並ぶ個別厚さの平板状を呈している。尚、図6,12は、YZ平面視(即ちX軸方向視)において、最も手前に位置するシム411のみを代表的に図示している。
【0078】
受光ホルダ451は、受光ベース面144とは直交するXZ平面上に受光光軸Orを調整するように、センサベース14の複数箇所に対して螺子留めされている。これにより、センサベース14を含むハウジング11は、受光検出モジュール45を直接的に保持していると共に、当該受光検出モジュール45を介して間接的に受光レンズモジュール42を保持している。
【0079】
受光ユニット41のうち受光鏡筒421においては、図12に示すようにX軸に直交する受光調整方向Drが、受光接着面424に沿って幾何学的に想定される。そこで受光ユニット41では、受光検出モジュール45における検出面456の光学中心Crが、受光レンズモジュール42における受光レンズ420の主点Prに対して、受光調整方向Drに偏位するように構成されている。こうした偏位構成により受光検出モジュール45と受光レンズモジュール42とは、Y軸方向に沿う受光ベース面144及び受光位置決め面452に対しては直交するXZ平面上に、受光光軸Orを共同して形成している。即ち受光ユニット41に構築される偏位構成は、三次元座標系においてYZ平面とは直交する受光基準平面Lr(図6参照)として、第一実施形態ではXZ平面上に、受光光軸Orを調整しているといえる。
【0080】
受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crが受光調整方向Drに偏位する偏位量Δrは、受光レンズモジュール42の焦点距離を係数値frとした、下記の数5~7を満たしているとよい。ここで主点Prは、単一の受光レンズ420に関して、又は複数のうち代表的な少なくとも一つの受光レンズ420に関して、定義される。また、焦点距離を表す係数値frは、単一の受光レンズ420に関する単独値、又は複数の受光レンズ420に関する合成値(即ち、合成焦点距離)に、定義される。
【数5】
【数6】
【数7】
【0081】
具体的に数5は、X軸まわりにおいて受光ベース面144に対する受光接着面424の傾斜角θrに相関する偏位量Δrを、表している。一方で数6は、X軸まわりにおいて受光接着面424での法線方向Nrの受光光軸Orに対する形成角ψrに相関する偏位量Δrを、表している。さらに数7は、X軸まわりにおいて受光接着面424に対する受光位置決め面452の姿勢角偏差ωrに相関する偏位量Δrを、表している。
【0082】
ここで傾斜角θr、形成角ψr、及び姿勢角偏差ωrは、図12のYZ平面視において時計まわりを正且つ反時計まわりを負とする符号付き角度にいずれも定義されることで、下記数8を満たす相関関係にある。そこで、負のθr,ψr且つ正のωrに対して偏位量Δrは、図12のYZ平面視における受光調整方向Drでは主点Prから光学中心Crが左側に偏位している状態を表した、負の値を取る。一方、正のθr,ψr且つ負のωrに対して偏位量Δrは、YZ平面視における受光調整方向Drでは主点Prから光学中心Crが右側に偏位している状態を表した、正の値を取る。尚、正負の符号は、これらの定義のうち少なくとも一つに関して、上記説明とは逆に定義されてもよい。
【数8】
【0083】
以下、第一実施形態による光学センサ10の製造方法のうち、受光ユニット41を製造する方法を、図13に示す製造フローに従って説明する。尚、図13の製造フローにおいて「S」は、受光ユニット41を製造するための「製造工程」を、意味している。
【0084】
S201の受光セット工程は、受光レンズモジュール42において受光レンズ420を保持する受光鏡筒421を、図14に示す製造装置1の固定治具2により位置固定する。それと共に受光セット工程は、受光検出モジュール45において基板450を保持する受光ホルダ451の受光位置決め面452を、図14に示す製造装置1の可動ステージ3における可動ベース面3aに一体駆動可能に取り付ける。さらに受光セット工程は、各モジュール42,45の受光接着面424,454間に、例えばゲル状等の未硬化状態にある受光接着材410を挟持させる。
【0085】
このとき受光接着材410の挟持下、受光レンズモジュール42の主点Prに対して受光検出モジュール45での検出面456の光学中心Crは、受光接着面424に沿ってX軸と直交する受光調整方向Drにおいて、可動ステージ3の駆動により位置合わせされる。そこで、図14の如き受光セット工程による初期状態の光学中心Crは、受光接着面424の法線方向Nrにおいて主点Prと並ぶ初期中心Cr0に、設定される。
【0086】
次に、図13に示すS202の受光測定工程は、受光レンズモジュール42における受光接着面424に対して、受光検出モジュール45における受光位置決め面452の姿勢角偏差ωrを、図15に示す反射ビームBrの合焦状態においてX軸まわりに測定する。そのために受光測定工程では、受光検出モジュール45の検出面456において反射ビームBrの、例えば結像サイズ又はエネルギー等といった集光度合いを評価するデフォーカスにより、当該検出面456の位置での合焦状態が探索される。ここで合焦状態とは、ライン状反射ビームBrが長手方向において全体的に許容錯乱円の範囲で合焦する状態を、意味するとよい。
【0087】
受光測定工程では、受光レンズモジュール42に対する受光検出モジュール45の相対姿勢が、受光接着面424に沿って初期中心Cr0上に想定されるX軸まわりに可動ステージ3によって微調整されることで、最適姿勢を与える合焦状態の探索が可能となる。そこで受光測定工程では、探索された合焦状態にある各モジュール45,42のX軸まわりでの相対姿勢を表す物理量として、受光接着面424に対する受光位置決め面452の姿勢角偏差ωrが測定される。このとき姿勢角偏差ωrの測定値は、可動ステージ3における可動ベース面3aのX軸まわりでの姿勢角誤差により、補正されてもよい。
【0088】
次に、図13に示すS203の受光接着工程は、S202による姿勢角偏差ωrの測定値に相関する偏位量Δr分、受光レンズモジュール42の主点Prに対して受光検出モジュール45での検出面456の光学中心Crを、図16に示すように初期中心Cr0から受光接着面424に沿った受光調整方向Drに偏位させる。そこでさらに受光接着工程は、受光接着面424,454間に挟持された受光接着材410を硬化させることで、そうした偏位状態の受光検出モジュール45に対して受光レンズモジュール42の受光接着面424を、当該受光接着材410を介して接着する。このとき受光接着材410は、少なくとも受光光軸Orまわりの外周側からの紫外線照射によって硬化する。受光接着材410は、こうした紫外線硬化に加えて、加熱硬化されてもよい。
【0089】
次に、図13に示すS204の受光位置決め工程は、S203により受光レンズモジュール42の接着された受光検出モジュール45における受光位置決め面452を、図12に示すように受光ベース面144により位置決めしてセンサベース14に固定する。このとき、先の接着により受光ユニット41として一体化された各モジュール42,45は、S202で測定の姿勢角偏差ωrに応じたS203での偏位量Δrに従う偏位構成によってX軸まわりに調整される受光光軸Orを、受光ベース面144と直交するXZ平面上に共同形成可能となる。
【0090】
ここで受光位置決め工程では、受光ユニット41における受光光軸OrのY軸まわり及びZ軸まわりでの姿勢が、先に製造された投光ユニット21における投光光軸OpのY軸まわり及びZ軸まわりでの姿勢に、合致させられる。そこで特に、受光検出モジュール45の受光位置決め面452と受光ベース面144との間には、図12に示すように受光光軸OrのY軸まわりでの姿勢に応じた個別厚さの複数シム411が挟持されることになる。
【0091】
(作用効果)
ここまで説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0092】
第一実施形態では、投光レンズモジュール26の投光接着面264に接着される投光光源モジュール22において投光位置決め面222が、センサベース14の投光ベース面142によりY軸に沿って位置決めされる。そこで、投光光源モジュール22における発光面226の光学中心Cpが投光レンズモジュール26の主点Ppに対して、X軸に直交する投光調整方向Dpに投光接着面264に沿って偏位することで、投光ベース面142とは直交するXZ平面上に投光光軸Opが調整される。こうした偏位構成によれば、各モジュール26,22内及び各モジュール26,22同士での傾きを含む製造公差を吸収しつつ、XZ平面に合わせて投光光軸Opを調整することができる。故に、投光光軸Opの調整精度を確保することが、可能となる。
【0093】
第一実施形態によると、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpが投光調整方向Dpに偏位する偏位量Δpは、X軸まわりにおいて投光ベース面142に対する投光接着面264の傾斜角θpに相関する。これは換言すれば、投光ベース面142に対する投光接着面264の傾斜角θpが、XZ平面に合わせた投光光軸Opを形成するための偏位量Δpに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、投光光軸Opを高精度に調整することが、可能となる。
【0094】
第一実施形態によると、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpが投光調整方向Dpに偏位する偏位量Δpは、X軸まわりにおいて投光接着面264における法線方向Npの投光光軸Opに対する形成角ψpに相関する。これは換言すれば、投光接着面264における法線方向Npの投光光軸Opに対する形成角ψpが、XZ平面に合わせた投光光軸Opを形成するための偏位量Δpに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、投光光軸Opを高精度に調整することが、可能となる。
【0095】
第一実施形態によると、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpが投光調整方向Dpに偏位する偏位量Δpは、X軸まわりにおいて投光接着面264に対する投光位置決め面222の姿勢角偏差ωpに相関する。これは換言すれば、投光接着面264に対する投光位置決め面222の姿勢角偏差ωpが、XZ平面に合わせた投光光軸Opを形成するための偏位量Δpに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、投光光軸Opを高精度に調整することが、可能となる。
【0096】
第一実施形態の製造方法では、投光レンズモジュール26の投光接着面264が接着された投光光源モジュール22において投光位置決め面222が、投光ベース面142により位置決めされてセンサベース14に固定される。そこで、投光接着面264に対する投光位置決め面222のX軸まわりでの姿勢角偏差ωpを測定した測定値に相関する偏位量Δp分、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpを投光調整方向Dpに偏位させた状態で、センサベース14への固定前にモジュール26,22同士が接着させられる。これは換言すれば、投光接着面264に対する投光位置決め面222の姿勢角偏差ωpが、XZ平面に合わせた投光光軸Opを形成するための偏位量Δpに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、投光光軸Opを高精度に調整することが、可能となる。
【0097】
さて第一実施形態では、受光レンズモジュール42の受光接着面424に接着される受光検出モジュール45において受光位置決め面452が、センサベース14の受光ベース面144によりY軸に沿って位置決めされる。そこで、受光検出モジュール45における検出面456の光学中心Crが受光レンズモジュール42の主点Prに対して、X軸に直交する受光調整方向Drに受光接着面424に沿って偏位することで、受光ベース面144とは直交するXZ平面上に受光光軸Orが調整される。こうした偏位構成によれば、各モジュール42,45内及び各モジュール42,45同士での傾きを含む製造公差を吸収しつつ、XZ平面に合わせて受光光軸Orを調整することができる。故に、受光光軸Orの調整精度を確保することが、可能となる。
【0098】
第一実施形態によると、受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crが受光調整方向Drに偏位する偏位量Δrは、X軸まわりにおいて受光ベース面144に対する受光接着面424の傾斜角θrに相関する。これは換言すれば、受光ベース面144に対する受光接着面424の傾斜角θrが、XZ平面に合わせた受光光軸Orを形成するための偏位量Δrに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、受光光軸Orを高精度に調整することが、可能となる。
【0099】
第一実施形態によると、受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crが受光調整方向Drに偏位する偏位量Δrは、X軸まわりにおいて受光接着面424における法線方向Nrの受光光軸Orに対する形成角ψrに相関する。これは換言すれば、受光接着面424における法線方向Nrの受光光軸Orに対する形成角ψrが、XZ平面に合わせた受光光軸Orを形成するための偏位量Δrに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、受光光軸Orを高精度に調整することが、可能となる。
【0100】
第一実施形態によると、受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crが受光調整方向Drに偏位する偏位量Δrは、X軸まわりにおいて受光接着面424に対する受光位置決め面452の姿勢角偏差ωrに相関する。これは換言すれば、受光接着面424に対する受光位置決め面452の姿勢角偏差ωrが、XZ平面に合わせた受光光軸Orを形成するための偏位量Δrに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、受光光軸Orを高精度に調整することが、可能となる。
【0101】
さらに第一実施形態の製造方法では、受光レンズモジュール42の受光接着面424が接着された受光検出モジュール45において受光位置決め面452が、受光ベース面144により位置決めされてセンサベース14に固定される。そこで、受光接着面424に対する受光位置決め面452のX軸まわりでの姿勢角偏差ωrを測定した測定値に相関する偏位量Δr分、受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crを受光調整方向Drに偏位させた状態で、センサベース14への固定前にモジュール42,45同士が接着させられる。これは換言すれば、受光接着面424に対する受光位置決め面452の姿勢角偏差ωrが、XZ平面に合わせた受光光軸Orを形成するための偏位量Δrに対応した適正角度となり得ることを、意味する。故に、受光光軸Orを高精度に調整することが、可能となる。
【0102】
(第二実施形態)
第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0103】
図17に示すように第二実施形態のハウジング2011は、内部のセンサベース14から伝導した熱を外界へ放射するために、放熱部2016を有している。放熱部2016は、ハウジング2011の外郭本体12において外界側へ平板状に突出する、複数の放熱フィンから構成されている。
【0104】
このような第二実施形態によると、センサベース14を含んで構成されるハウジング2011の放熱部2016は、投光光源モジュール22を介して投光レンズモジュール26を保持するセンサベース14から伝導した熱を、外界へ放射する。これによれば、投光光源モジュール22の熱を効率的に放射して、投光レンズモジュール26の熱変形に起因する投光光軸Opのずれを抑制することができる。しかも、比較的重い投光光源モジュール22を介した、比較的軽い投光レンズモジュール26の保持によれば、それらモジュール22,26の荷重バランスに応じた相対姿勢変化に起因する投光光軸Opのずれも、抑制することができる。故に、投光光軸Opの調整精度を継続的に確保することが、可能となる。
【0105】
同様に第二実施形態によると、ハウジング2011の放熱部2016は、受光検出モジュール45を介して受光レンズモジュール42を保持するセンサベース14から伝導した熱を、外界へ放射する。これによれば、受光検出モジュール45の熱を効率的に放射して、受光レンズモジュール42の熱変形に起因する受光光軸Orのずれを抑制することができる。しかも、比較的重い受光検出モジュール45を介した、比較的軽い受光レンズモジュール42の保持によれば、それらモジュール45,42の荷重バランスに応じた相対姿勢変化に起因する受光光軸Orのずれも、抑制することができる。故に、受光光軸Orの調整精度を継続的に確保することが、可能となる。
【0106】
(第三実施形態)
第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0107】
図18,19に示すように第三実施形態の投光光軸Opは、三次元座標系において投光ユニット21に生じた投光誤差角δψpに応じて、XZ平面に対しては傾斜する投光基準平面Lp上に、調整されている。こうした投光誤差角δψpは、投光接着材210の硬化収縮に起因する製造公差として、想定される。そこで、投光光軸Opに投光誤差角δψpの生じた第三実施形態の受光ユニット41における偏位構成は、第一実施形態の数1~数4に代えて、下記の数9~12を満たしているとよい。
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【0108】
ここで数9~11のΔpaは、投光接着材210の硬化収縮が想定される場合に、第一実施形態に準じた硬化収縮前における偏位量Δp(後述の図22参照)に対して、硬化収縮後における偏位量Δpaを意味する。それと共に数9~11のΔψpaは、投光接着材210の硬化収縮が想定される場合に、第一実施形態に準じた硬化収縮前における法線方向Npの投光光軸Opに対する形成角ψpに対して、硬化収縮後における形成角ψpaを意味する。尚、以下の説明では、数12を構成する姿勢角偏差ωpを特に、投光姿勢角偏差ωpという。
【0109】
図18,20に示すように第三実施形態の受光光軸Orは、三次元座標系において受光ユニット41に生じた受光誤差角δψrと、上述した投光誤差角δψpとの相関に応じて、XZ平面に対しては傾斜する受光基準平面Lr上に、調整されている。こうした受光誤差角δψrは、受光接着材410の硬化収縮に起因する製造公差として、想定される。そこで、受光光軸Orに受光誤差角δψrの生じた第三実施形態の受光ユニット41における偏位構成は、第一実施形態の数5~数8に代えて、下記の数13~16を満たしているとよい。
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【0110】
ここで数13~15のΔraは、受光接着材410の硬化収縮が想定される場合に、第一実施形態に準じた硬化収縮前における偏位量Δr(後述の図24参照)に対して、硬化収縮後における偏位量Δraを意味する。それと共に数13~15のΔψraは、受光接着材410の硬化収縮が想定される場合に、第一実施形態に準じた硬化収縮前における法線方向Nrの受光光軸Orに対する形成角ψrに対して、硬化収縮後における形成角ψraを意味する。尚、以下の説明では、数15を構成する姿勢角偏差ωrを特に、受光姿勢角偏差ωrという。
【0111】
図18~20に示すように、第三実施形態において投光光軸Opの調整は、数9~12を満たす偏位構成下、投光位置決め面222及び投光ベース面142間の投光位置決め箇所に構築された、直接的な位置決め構造により実現されている。一方、第三実施形態において受光光軸Orの調整は、数13~16を満たす偏位構成下、受光位置決め面452及び受光ベース面144間の受光位置決め箇所に受光位置決めシム3411を介装された、間接的な位置決め構造により実現されている。この間接的位置決め構造を与える受光位置決めシム3411は、三次元座標系での投光誤差角δψpと受光誤差角δψrとの相関に応じた楔角ρrを、受光位置決め面452及び受光ベース面144間に形成している。これらの複合的な位置決め構造により、互いに実質平行となる投光基準平面Lp上と受光基準平面Lr上とにおいては、それぞれ投光光軸Opと受光光軸Orとが互いに沿って実質同方向に調整されている。
【0112】
図21に示すように、第三実施形態による光学センサ10の製造方法は、投光ユニット21を製造する投光シーケンスと、受光ユニット41を製造する受光シーケンスとを、互いに関連付けて実行する。尚、図21の製造フローにおいて「S」は、投光シーケンスの「製造工程」と受光シーケンスの「製造工程」とを、それぞれ意味している。
【0113】
投光シーケンスにおいてS101~S103は、第一実施形態と同様に実行される。次に、投光シーケンスにおいて追加されるS3104の投光測定工程は、投光接着材210の硬化により投光光源モジュール22と接着された投光レンズモジュール26の投光光軸Opに、図22に示すS102での測定状態から、図23に示すように生じた投光誤差角δψpを測定する。そこで追加の投光測定工程では、投光レンズモジュール26の主点Ppから設定距離のスクリーンにおいて投光ビームBpの合焦状態が第一実施形態のS102に準じて三次元探索されることで、当該合焦状態のズレに応じた投光光軸Opの投光誤差角δψpが三次元測定される。
【0114】
このとき投光誤差角δψpの測定値は、可動ステージ3における可動ベース面3aの三次元での姿勢角誤差により、補正されてもよい。但し、S3104においてS102とは異なる可動ステージ3により、S102での可動ベース面3aの姿勢が再現されるような場合には、S102,S3104の各々における可動ベース面3aの姿勢角誤差により、補正されるとよい。
【0115】
次に、図21に示す投光シーケンスにおいてS3105の投光位置決め工程は、第一実施形態のS104に準ずる。即ちS3105の投光位置決め工程は、S103により投光レンズモジュール26の接着された投光光源モジュール22における投光位置決め面222を、図19の如く投光ベース面142により直に位置決めしてセンサベース14に固定する。但しこのとき、一体化された各モジュール26,22は、S102で測定の投光姿勢角偏差ωpとS3104で測定の投光誤差角δψpとに応じて偏位量Δpaが上述の数9~12を満たす偏位構成下、投光光軸Opを投光基準平面Lp上に共同形成可能となる。
【0116】
一方、受光シーケンスにおけるS201~S203は、第一実施形態と同様に実行される。次に、受光シーケンスにおいて追加されるS3204の受光測定工程は、受光接着材410の硬化により受光検出モジュール45と接着された受光レンズモジュール42の受光光軸Orに、図24に示すS202での測定状態から、図25に示すように生じた受光誤差角δψrを測定する。そこで追加の受光測定工程では、受光検出モジュール45の検出面456において反射ビームBrの合焦状態が第一実施形態のS202に準じて三次元探索されることで、当該合焦状態のズレに応じた受光光軸Orの受光誤差角δψrが三次元測定される。
【0117】
このとき受光誤差角δψrの測定値は、可動ステージ3における可動ベース面3aの三次元での姿勢角誤差により、補正されてもよい。但し、S3204においてS202とは異なる可動ステージ3により、S202での可動ベース面3aの姿勢が再現されるような場合には、S202,S3204の各々における可動ベース面3aの姿勢角誤差により、補正されるとよい。
【0118】
次に、図21に示す受光シーケンスにおいてS3205の受光シム調整工程は、投光光軸Opと受光光軸Orとが互いに沿うように受光位置決め面452及び受光ベース面144間の受光位置決め箇所に介装される、受光位置決めシム3411の楔角ρrを調整する。
【0119】
このとき、投光シーケンスのS3104で測定の投光誤差角δψpと、受光シーケンスのS3204で測定の受光誤差角δψrとが、それらS3104,S3204の各工程から申し送りされる。そこで受光シム調整工程は、下記の数17に基づくことにより、投光誤差角δψpと受光誤差角δψrとの相関として、受光誤差角δψrからの投光誤差角δψpの差分となる相対誤差角に、受光位置決めシム3411の楔角ρr(図20参照)を調整する。
【数17】
【0120】
次に、図21に示す受光シーケンスにおいてS3206の受光位置決め工程は、第一実施形態のS204とは異なっている。即ちS3206の受光位置決め工程は、S203により受光レンズモジュール42の接着された受光検出モジュール45における受光位置決め面452を、図20の如く受光位置決めシム3411を介して受光ベース面144により位置決めしてセンサベース14に固定する。このとき、一体化された各モジュール42,45は、S202で測定の受光姿勢角偏差ωrとS3204で測定の受光誤差角δψrとに応じて偏位量Δraが上述の数13~16を満たす偏位構成下、受光光軸Orを受光基準平面Lr上に共同形成可能となる。
【0121】
このように第三実施形態では、受光位置決め面452及び受光ベース面144の間の受光位置決め箇所に、受光位置決めシム3411が介装される。これによれば、接着時の硬化収縮に起因した偏位構成の製造公差に応じて投光光軸Op及び/又は受光光軸Orに、投光誤差角δψp及び/又は受光誤差角δψrが生じたとしても、それら光軸Op,Orの方向を互いに合致させて当該製造公差を吸収することができる。故に、投光光軸Op及び受光光軸Orの調整精度を、相互間にて確保することが可能となる。
【0122】
さらに第三実施形態の製造方法では、投光姿勢角偏差ωpを測定した測定値に相関する偏位量Δp分、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpを投光調整方向Dpに偏位させた状態で、モジュール26,22同士が接着させられる。それと共に第三実施形態の製造方法では、受光姿勢角偏差ωrを測定した測定値に相関する偏位量Δr分、受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crを受光調整方向Drに偏位させた状態で、モジュール42,45同士が接着させられる。
【0123】
但し第三実施形態の製造方法では、投光接着材210の硬化により投光光源モジュール22と接着された投光レンズモジュール26の投光光軸Opに、投光接着材210の硬化収縮に起因する製造公差に応じた投光誤差角δψpが、生じたとしても測定される。それと共に、受光接着材410の硬化により受光検出モジュール45と接着された受光レンズモジュール42の受光光軸Orに、受光接着材410の硬化収縮に起因する製造公差に応じた受光誤差角δψrが、生じたとしても測定される。これらのことから、投光光軸Opと受光光軸Orとの方向を互いに合致させるため、投光誤差角δψpと受光誤差角δψrとの相関に応じて、受光位置決めシム3411の楔角ρrが正確に調整され得る。
【0124】
そこで第三実施形態の製造方法によると、投光位置決め面222が投光ベース面142により直に位置決め固定される一方、受光位置決め面452が受光ベース面144により受光位置決めシム3411を介して位置決め固定される。故に、投光光軸Op及び受光光軸Orの調整精度を、それら光軸Op,Orの方向同士の合致によって確保することが可能となる。
【0125】
(第四実施形態)
第四実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0126】
図26~28に示すように、第四実施形態において受光光軸Orの調整は、第三実施形態に準じて数13~16を満たす偏位構成下、受光位置決め面452及び受光ベース面144間の受光位置決め箇所に構築された、直接的な位置決め構造により実現されている。一方、第四実施形態において投光光軸Opの調整は、第三実施形態に準じて数9~12を満たす偏位構成下、投光位置決め面222及び投光ベース面142間の投光位置決め箇所に投光位置決めシム4211を介装された、間接的な位置決め構造により実現されている。この間接的位置決め構造を与える投光位置決めシム4211は、三次元座標系での投光誤差角δψpと受光誤差角δψrとの相関に応じた楔角ρpを、投光位置決め面222及び投光ベース面142間に形成している。これらの複合的な位置決め構造により、互いに実質平行となる投光基準平面Lp上と受光基準平面Lr上とにおいては、それぞれ投光光軸Opと受光光軸Orとが互いに沿って実質同方向に調整されている。
【0127】
図29に示すように、第四実施形態による光学センサ10の製造方法では、受光シーケンスにおいて第三実施形態から、S3205が省かれると共に、S3206がS4205の受光位置決め工程に変更される。具体的にS4205の受光位置決め工程は、S203により受光レンズモジュール42の接着された受光検出モジュール45における受光位置決め面452を、図28の如く受光ベース面144により直に位置決めしてセンサベース14に固定する。このとき、一体化された各モジュール42,45は、S202で測定の受光姿勢角偏差ωrとS3204で測定の受光誤差角δψrとに応じて偏位量Δraが数13~16を満たす偏位構成下、受光光軸Orを受光基準平面Lr上に共同形成可能となる。
【0128】
図29に示すように、第四実施形態による光学センサ10の製造方法では、投光シーケンスにおいて、第三実施形態からS3105がS4106の投光位置決め工程に変更され、さらにS3104と当該S4106との間にS4105の投光シム調整工程が追加される。具体的にS4105の投光シム調整工程は、投光光軸Opと受光光軸Orとが互いに沿うように投光位置決め面222及び投光ベース面142間の投光位置決め箇所に介装される、投光位置決めシム4211の楔角ρpを調整する。
【0129】
このとき、投光シーケンスのS3104で測定の投光誤差角δψpと、受光シーケンスのS3204で測定の受光誤差角δψrとが、それらS3104,S3204の各工程から申し送りされる。そこで投光シム調整工程は、下記の数18に基づくことにより、投光誤差角δψpと受光誤差角δψrとの相関として、投光誤差角δψpからの受光誤差角δψrの差分となる相対誤差角に、投光位置決めシム4211の楔角ρp(図27参照)を調整する。
【数18】
【0130】
さらにS4106の投光位置決め工程は、S103により投光レンズモジュール26の接着された投光光源モジュール22における投光位置決め面222を、図27の如く投光位置決めシム4211を介して投光ベース面142により位置決めしてセンサベース14に固定する。このとき、一体化された各モジュール26,22は、S102で測定の投光姿勢角偏差ωpとS3104で測定の投光誤差角δψpとに応じて偏位量Δpaが数9~12を満たす偏位構成下、投光光軸Opを投光基準平面Lp上に共同形成可能となる。
【0131】
このように第四実施形態では、投光位置決め面222及び投光ベース面142の間の投光位置決め箇所に、投光位置決めシム4211が介装される。これによれば、接着時の硬化収縮に起因した偏位構成の製造公差に応じて投光光軸Op及び/又は受光光軸Orに、投光誤差角δψp及び/又は受光誤差角δψrが生じたとしても、それら光軸Op,Orの方向を互いに合致させて当該製造公差を吸収することができる。故に、投光光軸Op及び受光光軸Orの調整精度を、相互間にて確保することが可能となる。
【0132】
さらに第四実施形態の製造方法では、投光姿勢角偏差ωpを測定した測定値に相関する偏位量Δp分、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpを投光調整方向Dpに偏位させた状態で、モジュール26,22同士が接着させられる。それと共に第四実施形態の製造方法では、受光姿勢角偏差ωrを測定した測定値に相関する偏位量Δr分、受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crを受光調整方向Drに偏位させた状態で、モジュール42,45同士が接着させられる。
【0133】
但し第四実施形態の製造方法では、投光接着材210の硬化により投光光源モジュール22と接着された投光レンズモジュール26の投光光軸Opに、投光接着材210の硬化収縮に起因する製造公差に応じた投光誤差角δψpが、生じたとしても測定される。それと共に、受光接着材410の硬化により受光検出モジュール45と接着された受光レンズモジュール42の受光光軸Orに、受光接着材410の硬化収縮に起因する製造公差に応じた受光誤差角δψrが、生じたとしても測定される。これらのことから、投光光軸Opと受光光軸Orとの方向を互いに合致させるため、投光誤差角δψpと受光誤差角δψrとの相関に応じて、投光位置決めシム4211の楔角ρpが正確に調整され得る。
【0134】
そこで第四実施形態の製造方法によると、受光位置決め面452が受光ベース面144により直に位置決め固定される一方、投光位置決め面222が投光ベース面142により投光位置決めシム4211を介して位置決め固定される。故に、投光光軸Op及び受光光軸Orの調整精度を、それら光軸Op,Orの方向同士の合致によって確保することが可能となる。
【0135】
(第五実施形態)
第五実施形態は、第三実施形態と第四実施形態とを組み合わせて、さらに変形を加えた変形例である。
【0136】
図30~32に示すように、第五実施形態において投光光軸Opの調整は、第三実施形態に準じて数9~12を満たす偏位構成下、投光位置決め面222及び投光ベース面142間の投光位置決め箇所に投光位置決めシム4211を介装された、間接的な位置決め構造により実現されている。但し、この間接的位置決め構造を与える投光位置決めシム4211は、三次元座標系での投光誤差角δψpのみに応じた楔角ρpを、投光位置決め面222及び投光ベース面142間に形成している。
【0137】
一方、第五実施形態において受光光軸Orの調整は、第三実施形態に準じて数13~16を満たす偏位構成下、受光位置決め面452及び受光ベース面144間の受光位置決め箇所に受光位置決めシム3411を介装された、間接的な位置決め構造により実現されている。但し、この間接的位置決め構造を与える受光位置決めシム3411は、三次元座標系での受光誤差角δψrのみに応じた楔角ρrを、受光位置決め面452及び受光ベース面144間に形成している。
【0138】
このような第五実施形態の複合的な位置決め構造によっても、互いに実質平行となる投光基準平面Lp上と受光基準平面Lr上とにおいては、それぞれ投光光軸Opと受光光軸Orとが互いに沿って実質同方向に調整されている。ここで投光基準平面Lpと受光基準平面Lrとはいずれも、XZ平面に沿って規定される。これにより投光光軸Opと受光光軸Orとは、Y軸方向に互いにずれたXZ平面上にそれぞれ調整されて、互いに沿う関係を実現している。
【0139】
図33に示すように、第五実施形態による光学センサ10の製造方法では、投光シーケンスにおいて第四実施形態から、S4105がS5105の投光シム調整工程に変更される。具体的にS5105の投光シム調整工程には、投光シーケンスのS3104で測定の投光誤差角δψpが、申し送りされる。そこで投光シム調整工程は、下記の数19に基づくことにより、投光誤差角δψpのみと相関する角度に、投光位置決めシム4211の楔角ρp(図31参照)を調整する。尚、この調整後におけるS4106の投光位置決め工程は、第四実施形態に準ずる。
【数19】
【0140】
また図33に示すように、第五実施形態による光学センサ10の製造方法では、受光シーケンスにおいて第三実施形態から、S3205がS5205の受光シム調整工程に変更される。具体的にS5205の受光シム調整工程には、受光シーケンスのS3204で測定の受光誤差角δψrが、申し送りされる。そこで受光シム調整工程は、下記の数20に基づくことにより、受光誤差角δψrのみと相関する角度に、受光位置決めシム3411の楔角ρr(図32参照)を調整する。尚、この調整後におけるS3206の受光位置決め工程は、第三実施形態に準ずる。
【数20】
【0141】
このように第五実施形態では、投光位置決め面222及び投光ベース面142の間の投光位置決め箇所と、受光位置決め面452及び受光ベース面144の間の受光位置決め箇所とにそれぞれ、投光位置決めシム4211と受光位置決めシム3411とが介装される。これによれば、接着時の硬化収縮に起因した偏位構成の製造公差に応じて投光光軸Op及び/又は受光光軸Orに、投光誤差角δψp及び/又は受光誤差角δψrが生じたとしても、それら光軸Op,Orの方向を互いに合致させて当該製造公差を吸収することができる。故に、投光光軸Op及び受光光軸Orの調整精度を、相互間にて確保することが可能となる。
【0142】
さらに第五実施形態の製造方法では、投光姿勢角偏差ωpを測定した測定値に相関する偏位量Δp分、投光レンズモジュール26の主点Ppに対して発光面226の光学中心Cpを投光調整方向Dpに偏位させた状態で、モジュール26,22同士が接着させられる。それと共に第四実施形態の製造方法では、受光姿勢角偏差ωrを測定した測定値に相関する偏位量Δr分、受光レンズモジュール42の主点Prに対して検出面456の光学中心Crを受光調整方向Drに偏位させた状態で、モジュール42,45同士が接着させられる。
【0143】
但し第五実施形態の製造方法では、投光接着材210の硬化により投光光源モジュール22と接着された投光レンズモジュール26の投光光軸Opに、投光接着材210の硬化収縮に起因する製造公差に応じた投光誤差角δψpが、生じたとしても測定される。それと共に、受光接着材410の硬化により受光検出モジュール45と接着された受光レンズモジュール42の受光光軸Orに、受光接着材410の硬化収縮に起因する製造公差に応じた受光誤差角δψrが、生じたとしても測定される。これらのことから、投光光軸Opと受光光軸Orとの方向を互いに合致させるため、投光誤差角δψpと受光誤差角δψrとのそれぞれに応じて、投光位置決めシム4211の楔角ρpと受光位置決めシム3411の楔角ρrとが正確に調整され得る。
【0144】
そこで第五実施形態の製造方法によると、投光位置決め面222が投光ベース面142により投光位置決めシム4211を介して位置決め固定されると共に、受光位置決め面452が受光ベース面144により受光位置決めシム3411を介して位置決め固定される。故に、投光光軸Op及び受光光軸Orの調整精度を、それら光軸Op,Orの方向同士の合致によって確保することが可能となる。
【0145】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0146】
第一及び第二実施形態に関する変形例では、数4が成立しないことで、数1~3のいずれかが成立していなくてもよい。第一及び第二実施形態に関する変形例では、数8が成立しないことで、数5~7のいずれかが成立していなくてもよい。第一及び第二実施形態に関する変形例では、ユニット21,41のうちいずれか一方が、上述した偏位構成を備えていなくてもよい。
【0147】
第三~第五実施形態に関する変形例では、第一実施形態で説明の数12が成立しないことで、数9~11のいずれかが成立していなくてもよい。第三~第五実施形態に関する変形例では、第一実施形態で説明の数16が成立しないことで、数13~15のいずれかが成立していなくてもよい。第三~第五実施形態に関する変形例では、第二実施形態が適用されてもよい。
【0148】
第一~第五実施形態に関する変形例では、水平方向に沿うY軸方向と、鉛直方向に沿うX軸方向とが、規定されてもよい。第一~第五実施形態に関する変形例では、光学センサ10の適用対象となる移動体は、例えば走行をリモート制御可能な走行ロボット等であってもよい。変形例において光学センサ10の適用対象は、移動体以外、例えば静止構造物等であってもよい。
【0149】
(付言)
本明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0150】
(技術的思想1)
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
投光位置決め面(222)を有し、前記投光ビームを発光面(226)から投光する投光光源モジュール(22)と、
前記投光光源モジュールに接着される投光接着面(264)を有し、前記投光光源モジュールからの前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)と、
前記投光位置決め面を前記Y軸に沿って位置決めする、投光ベース面(142)を有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する投光調整方向(Dp)が前記投光接着面に沿って想定されるとすると、
前記投光光源モジュールにおける前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記投光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系において前記投光ベース面とは直交するXZ平面上に前記投光光軸が調整される光学センサ。
【0151】
(技術的思想2)
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
投光位置決め面(222)を有し、前記投光ビームを発光面(226)から投光する投光光源モジュール(22)と、
前記投光光源モジュールに接着される投光接着面(264)を有し、前記投光光源モジュールからの前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)と、
前記投光位置決め面を位置決めする投光ベース面(142)を、前記Y軸に沿って有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する投光調整方向(Dp)が前記投光接着面に沿って想定されるとすると、
前記投光光源モジュールにおける前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記投光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系においてYZ平面とは直交する投光基準平面(Lp)上に前記投光光軸が調整される光学センサ。
【0152】
(技術的思想3)
前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光調整方向に偏位する偏位量(Δp,Δpa)は、前記X軸まわりにおいて前記投光ベース面に対する前記投光接着面の傾斜角(θp)に相関する技術的思想1又は2に記載の光学センサ。
【0153】
(技術的思想4)
前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光調整方向に偏位する偏位量(Δp,Δpa)は、前記X軸まわりにおいて前記投光接着面での法線方向(Np)の前記投光光軸に対する形成角(ψp,ψpa)に相関する技術的思想1~3のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0154】
(技術的思想5)
前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)が前記投光調整方向に偏位する偏位量(Δp,Δpa)は、前記X軸まわりにおいて前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の姿勢角偏差(ωp)に相関する技術的思想1~4のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0155】
(技術的思想6)
前記センサベースを含んで構成されるハウジング(2011)を、備え、
前記ハウジングは、前記投光光源モジュールを介して前記投光レンズモジュールを保持する前記センサベースから伝導した熱を前記外界へ放射する、放熱部(2016)を有する技術的思想1~5のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0156】
(技術的思想7)
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)とを、備え、
前記センサベースは、前記受光位置決め面を前記Y軸に沿って位置決めする、受光ベース面(144)を有し、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系において前記受光ベース面とは直交するXZ平面上に前記受光光軸が調整される技術的思想1、及び技術的思想1に従属する技術的思想3~6のうちいずれか一項に記載の光学センサ。
【0157】
(技術的思想8)
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)と、
前記受光位置決め面を前記Y軸に沿って位置決めする、受光ベース面(144)を有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系において前記受光ベース面とは直交するXZ平面上に前記受光光軸が調整される光学センサ。
【0158】
(技術的思想9)
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)とを、備え、
前記センサベースは、前記受光位置決め面を位置決めする受光ベース面(144)を、前記Y軸に沿って有し、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系においてYZ平面とは直交する受光基準平面(Lr)上に前記受光光軸が調整される技術的思想2、及び技術的思想2に従属する技術的思想3~6のうちいずれか一項に記載の光学センサ。
【0159】
(技術的思想10)
前記三次元座標系において前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように、前記投光位置決め面及び前記投光ベース面の間の投光位置決め箇所と、前記受光位置決め面及び前記受光ベース面の間の受光位置決め箇所とのうち、少なくとも一方に介装される位置決めシム(3411,4211)を、備える技術的思想9に記載の光学センサ。
【0160】
(技術的思想11)
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサであって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
受光位置決め面(452)を有し、前記反射ビームを検出面(456)において受光することにより、前記外界を検出する受光検出モジュール(45)と、
前記受光検出モジュールに接着される受光接着面(424)を有し、前記外界側からの前記反射ビームを受光光軸(Or)に沿って前記受光検出モジュール側へ導光する受光レンズモジュール(42)と、
前記受光位置決め面を位置決めする受光ベース面(144)を、前記Y軸に沿って有するセンサベース(14)とを、備え、
前記X軸に直交する受光調整方向(Dr)が前記受光接着面に沿って想定されるとすると、
前記受光検出モジュールにおける前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記受光調整方向に偏位することにより、前記三次元座標系においてYZ平面とは直交する受光基準平面(Lr)上に前記受光光軸が調整される光学センサ。
【0161】
(技術的思想12)
前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光調整方向に偏位する偏位量(Δr,Δra)は、前記X軸まわりにおいて前記受光ベース面に対する前記受光接着面の傾斜角(θr)に相関する技術的思想7~11のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0162】
(技術的思想13)
前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光調整方向に偏位する偏位量(Δr,Δra)は、前記X軸まわりにおいて前記受光接着面での法線方向(Nr)の前記受光光軸に対する形成角(ψr,ψra)に相関する技術的思想7~12のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0163】
(技術的思想14)
前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)が前記受光調整方向に偏位する偏位量(Δr,Δra)は、前記X軸まわりにおいて前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の姿勢角偏差(ωr)に相関する技術的思想7~13のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0164】
(技術的思想15)
前記センサベースを含んで構成されるハウジング(2011)を、備え、
前記ハウジングは、前記受光検出モジュールを介して前記受光レンズモジュールを保持する前記センサベースから伝導した熱を前記外界へ放射する、放熱部(2016)を有する技術的思想7~14のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0165】
(技術的思想16)
技術的思想1~7のいずれか一項に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
当該姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を接着することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【0166】
(技術的思想17)
技術的思想7~15のいずれか一項に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
当該姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を接着することと、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【0167】
(技術的思想18)
技術的思想10、及び技術的思想10に従属する技術的思想12~15のうちいずれか一項に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記受光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、受光位置決めシム(3411)の楔角(ρr)を前記投光誤差角と前記受光誤差角との相関に応じて調整することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により直に位置決めして前記センサベースに固定することとを、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により前記受光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【0168】
(技術的思想19)
技術的思想10、及び技術的思想10に従属する技術的思想12~15のうちいずれか一項に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記投光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、投光位置決めシム(4211)の楔角(ρp)を前記投光誤差角と前記受光誤差角との相関に応じて調整することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により前記投光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することと、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により直に位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【0169】
(技術的思想20)
技術的思想10、及び技術的思想10に従属する技術的思想12~15のうちいずれか一項に記載の光学センサを製造する製造方法であって、
前記投光接着面に対する前記投光位置決め面の前記X軸まわりでの投光姿勢角偏差(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δp)分、前記投光レンズモジュールの主点(Pp)に対して前記発光面の光学中心(Cp)を前記投光調整方向に偏位させた状態の前記投光光源モジュールに対して、前記投光レンズモジュールの前記投光接着面を投光接着材(210)を介して接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(δψp)を、測定することと、
前記受光接着面に対する前記受光位置決め面の前記X軸まわりでの受光姿勢角偏差(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光姿勢角偏差の測定値に相関する偏位量(Δr)分、前記受光レンズモジュールの主点(Pr)に対して前記検出面の光学中心(Cr)を前記受光調整方向に偏位させた状態の前記受光検出モジュールに対して、前記受光レンズモジュールの前記受光接着面を受光接着材(410)を介して接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(δψr)を、測定することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記投光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、投光位置決めシム(4211)の楔角(ρp)を前記投光誤差角に応じて調整することと、
前記投光光軸と前記受光光軸とが互いに沿うように前記受光位置決め箇所に介装される前記位置決めシムである、受光位置決めシム(3411)の楔角(ρr)を前記受光誤差角に応じて調整することと、
前記投光レンズモジュールの接着された前記投光光源モジュールにおいて前記投光位置決め面を、前記投光ベース面により前記投光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することと、
前記受光レンズモジュールの接着された前記受光検出モジュールにおいて前記受光位置決め面を、前記受光ベース面により前記受光位置決めシムを介して位置決めして前記センサベースに固定することとを、含む製造方法。
【符号の説明】
【0170】
10:光学センサ、14:センサベース、22:投光光源モジュール、26:投光レンズモジュール、42:受光レンズモジュール、45:受光検出モジュール、142:投光ベース面、144:受光ベース面、210:投光接着材、222:投光位置決め面、226:発光面、264:投光接着面、410:受光接着材、424:受光接着面、452:受光位置決め面、456:検出面、2011:ハウジング、2016:放熱部、3411:受光位置決めシム、4211:投光位置決めシム、Bp:投光ビーム、Br:反射ビーム、Cp,Cr:光学中心、Dp:投光調整方向、Dr:受光調整方向、Np,Nr:法線方向、Lp:投光基準面、Lr:受光基準面、Op:投光光軸、Or:受光光軸、Pp,Pr:主点、Δp,Δr:偏位量、δψp:投光誤差角、δψr:受光誤差角、θp,θr:傾斜角、ψp,ψr:形成角、ρp,ρr:楔角、ωp,ωr:姿勢角偏差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33