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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115507
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】スライドレール機構
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/50 20170101AFI20240819BHJP
   A47B 88/913 20170101ALI20240819BHJP
   A47B 88/44 20170101ALI20240819BHJP
【FI】
A47B88/50
A47B88/913
A47B88/44
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175629
(22)【出願日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】112105467
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】梁 秀江
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AB33
3B160AB41
3B160CA13
3B160DB21
3B160DB41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スライドレール組立体の2つの可動レールが同時に開放又は伸長することを防止することができるスライドレール機構を提供する。
【解決手段】スライドレール機構が提供され、第1スライドレール組立体と、第2スライドレール組立体と、接続部材とを備えている。第1スライドレール組立体は、第1レールと、第1レールに対して長手方向に変位可能な第2レールとを含む。第2スライドレール組立体は、第3レールと、第3レールに対して長手方向に変位可能な第4レールとを含む。第2レールが第1レールに対して開放方向に変位した場合に、接続部材は、第4レールが第3レールに対して開放方向に変位することを防止するために、移動される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レールと、前記第1レールに対して長手方向に変位可能な第2レールとを含む第1スライドレール組立体と、
第3レールと、前記第3レールに対して長手方向に変位可能な第4レールとを含む第2スライドレール組立体と、
接続部材とを備え、
前記第2レールが前記第1レールに対して開放方向に変位した場合に、前記接続部材は、前記第4レールが前記第3レールに対して前記開放方向に変位することを防止するために、移動される、スライドレール機構。
【請求項2】
スライドレール機構はキャビネットに適合され、前記第1スライドレール組立体と前記第2スライドレール組立体とは、前記キャビネットに配置され、前記接続部材は、前記キャビネットと前記第1レールとの一方に移動可能に取り付けられ、前記第1レールは、縦部分と、支持部分と、前記縦部分及び前記支持部分の間に接続された水平部分とを含み、
前記接続部材は、前記第1レールの前記縦部分に移動可能に取り付けられ、高さ方向に移動可能であり、前記縦部分と前記支持部分とは、前記水平部分に実質的に垂直に接続され、前記縦部分は、前記高さ方向に第1高さを有し、前記支持部分は、前記高さ方向に前記第1高さよりも小さい第2高さを有し、前記縦部分は、前記キャビネットに取り付けられるように構成されている、請求項1記載のスライドレール機構。
【請求項3】
前記第1スライドレール組立体はさらに、前記第1レールに配置された自己閉鎖装置を含み、前記自己閉鎖装置は、弾性部材を含み、前記接続部材は、前記第4レールが前記第3レールに対して前記開放方向に変位することを防止するために移動され、
前記弾性部材は、前記第2レールが前記第1レールに対して後退位置から前記開放方向に伸長位置へ変位する間に弾性変形され、
前記第2レールが前記第1レールに対して前記伸長位置から後退方向に変位する間に、前記第2レールは、前記弾性部材によって前記後退方向に前記後退位置へ駆動されるように構成されている、請求項1記載のスライドレール機構。
【請求項4】
前記第1レールは、縦部分と、支持部分と、前記縦部分及び前記支持部分の間に接続された水平部分とを含み、前記接続部材は、前記第1レールの前記縦部分に移動可能に取り付けられ、高さ方向に移動可能である、請求項3記載のスライドレール機構。
【請求項5】
前記縦部分と前記支持部分とは、前記水平部分に実質的に垂直に接続され、前記縦部分は、前記高さ方向に第1高さを有し、前記支持部分は、前記高さ方向に前記第1高さよりも小さい第2高さを有する、請求項4記載のスライドレール機構。
【請求項6】
前記自己閉鎖装置はさらに、第1補助部材を含み、前記第2レールが前記第1レールに対して前記後退位置から前記開放方向に前記伸長位置へ変位する間に、前記第2レールは、前記第1補助部材を駆動して前記弾性部材を弾性変形させる、請求項3ないし5のいずれか1項に記載のスライドレール機構。
【請求項7】
前記自己閉鎖装置はさらに、第2補助部材を含み、前記第2レールが前記第1レールに対して前記後退位置から前記開放方向に前記伸長位置へ変位する間に、前記第2レールは、前記第1補助部材と前記第2補助部材との一方を駆動して前記接続部材を移動させ、前記第4レールが前記第3レールに対して前記開放方向に変位することを防止し、
前記第2補助部材と前記第1補助部材とは枢軸的に相互に接続され、前記自己閉鎖装置はさらに、ベースを含み、長手方向経路と、前記長手方向経路から曲がった曲がり経路とが、前記ベースに形成され、前記第1補助部材が移動することを可能にする、請求項6記載のスライドレール機構。
【請求項8】
前記第1スライドレール組立体はさらに、減衰装置をさらに含み、前記第2レールが前記弾性部材によって駆動され前記後退方向に前記後退位置へ変位する間に、前記減衰装置は、前記第2レールの変位速度を減少させるように構成されている、請求項3ないし5のいずれか1項に記載のスライドレール機構。
【請求項9】
前記減衰装置はさらに、相互に対して移動可能である第1物体と第2物体とを含む、請求項8記載のスライドレール機構。
【請求項10】
前記第1スライドレール組立体はさらに、前記第1レールと前記第2レールとの間に移動可能に取り付けられている中間レールを含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスライドレール機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の(特徴項に先立つ)プレアンブルに係るスライドレール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1441092号(特許文献2)は、引き出しキャビネットに適合するブロッキング装置を開示している。引き出しキャビネットは、キャビネット本体と、複数の引き出しと、複数のスライドレール組立体とを含む。ブロッキング装置は、複数の自己閉鎖組立体と複数のリフト部材とを含む。複数の自己閉鎖組立体のそれぞれは、対応する引き出し又は対応するスライドレール組立体に配置され、駆動部材を含む。複数の引き出しのうちの1つがキャビネット本体に対して開放された場合に、複数の引き出しのうちの1つは、複数のリフト部材によって形成されるインターロック機構を駆動する。これは、複数の駆動部材のうちの対応する1つのブロッキング捕捉部によって、複数の引き出しのうちの他のものがキャビネット本体に対して開放されることを防止するために、複数の駆動部材のうちの他のものをブロッキングすることで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9907400号
【特許文献2】欧州特許第1441092号
【発明の概要】
【0004】
しかし、前述のブロッキング装置は構造が複雑である。いくつかの異なる要求を満たすためには、改良されたスライドレール製品を提供することが重要な論題となる。
【0005】
そこで、本発明は、2つのスライドレール組立体の2つの可動レールが、接続部材によって同時に開放又は伸長されることを防止することができるスライドレール機構を提供することを目的とする。
【0006】
これは、請求項1に記載のスライドレール機構によって達成される。従属請求項は、対応する一層の開発及び改良に関係する。
【0007】
下記に続く詳細な説明から、さらに明確に分かるように、スライドレール機構は、第1スライドレール組立体と、第2スライドレール組立体と、接続部材とを備えている。第1スライドレール組立体は、第1レールと、第1レールに対して長手方向に変位可能な第2レールとを含む。第2スライドレール組立体は、第3レールと、第3レールに対して長手方向に変位可能な第4レールとを含む。第2レールが第1レールに対して開放方向に変位した場合に、接続部材は、第4レールが第3レールに対して開放方向に変位することを防止するために、移動される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下では、添付の図面を参照しつつ、本発明をさらに例として例示する。即ち、
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るキャビネット装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態に係るキャビネット装置の部分図である。
図3】本発明の実施形態に係り、第1スライドレール組立体と第2スライドレール組立体とが後退した状態でのスライドレール機構の図である。
図4】本発明の実施形態に係り、第1スライドレール組立体と第2スライドレール組立体とが後退した状態でのスライドレール機構の部分図である。
図5】本発明の実施形態に係り、第1スライドレール組立体と第2スライドレール組立体とが後退した状態でのスライドレール機構の断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の部分解斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係り、第1補助部材が第2補助部材から切り離された状態での第1自己閉鎖装置の図である。
図8】本発明の実施形態に係り、第1補助部材と第2補助部材とが互いに組み合わされた状態での第1自己閉鎖装置の図である。
図9】本発明の実施形態に係り、第1スライドレール組立体の第2レールが第1スライドレール組立体の第1レールに対して第1伸長位置へ変位することによって、接続部材が第2所定位置へ駆動された状態でのスライドレール機構の図である。
図10】本発明の実施形態に係り、第1スライドレール組立体の第2レールが第1スライドレール組立体の第1レールに対して第1伸長位置へ変位することによって、接続部材が第2所定位置へ駆動された状態でのスライドレール機構の断面図である。
図11】本発明の実施形態に係り、第1自己閉鎖装置が第1状態にある場合のスライドレール機構の図である。
図12】本発明の実施形態に係り、第1自己閉鎖装置が第2状態にある場合のスライドレール機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明で、本明細書の一部を構成し、本発明を実施することができる具体的な実施形態が例示として示される添付図面を参照する。これに関して、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向の用語は、説明される図の向きを参照して使用される。本発明の部材は、多数の異なる方向に配置されてよい。そのため、方向の用語は、例示の目的で使用され、決して限定的ではない。従って、図面及び説明は、本質的に例示的なものとみなされ、限定的なものとみなされない。また、特定されない場合に、「接続する」という用語は、間接的又は直接的な機械的接続のいずれかを意味することが意図される。従って、第1装置が第2装置に接続された場合に、その接続は、直接的な機械的接続を介してよく、他の装置や接続部を介した間接的な機械的接続を介してよい。
【0011】
図1及び図2に示すように、キャビネット装置は、キャビネット22と、キャビネット22に適合されたスライドレール機構とを含む。キャビネット22には、複数の引き出しが、キャビネット22の長手方向、即ち高さ方向、及び/又はキャビネット22の横方向、即ち側方方向に配置されている。本実施形態では、一例として、第1引き出し24aと第2引き出し24bとが、縦方向にキャビネット22に配置されてよい。スライドレール機構は、第1スライドレール組立体26と第2スライドレール組立体28とを備えている。第1スライドレール組立体26と第2スライドレール組立体28とは、それぞれ第1引き出し24aと第2引き出し24bとを支持するために、キャビネット22の壁Wに配置されるように構成されている。スライドレール機構はさらに、接続部材30を備え、キャビネット22と、第1スライドレール組立体26と、第2スライドレール組立体28とのうちの1つに移動可能に取り付けられている。この実施形態では、一例として、接続部材30は、第1スライドレール組立体26に移動可能に取り付けられてよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0012】
図3ないし図5に示すように、第1スライドレール組立体26と第2スライドレール組立体28とは、実質的に同一の構造を有してよい。例えば、第1スライドレール組立体26は、第1レール32、例えば固定レールと、第1レール32に対して長手方向に変位可能な第2レール34、例えば可動レールとを含む。第2スライドレール組立体28は、第3レール36、例えば固定レールと、第3レール36に対して長手方向に変位可能な第4レール38、例えば可動レールとを含む。好ましくは、第1スライドレール組立体26はさらに、第1レール32と第2レール34との間に移動可能に取り付けられている第1中間レール40を含む。第2スライドレール組立体28はさらに、第3レール36と第4レール38との間に移動可能に取り付けられている第2中間レール42を含む。第1中間レール40と第2中間レール42とは、接続部材30と協働しない。理解可能なことであるが、別の実施形態では、第1中間レールと第2中間レールとは省略してよい。この実施形態では、一例として、長手方向、即ち、レールの長さ方向又は変位方向は、X軸に平行であってよいことに留意するものとする。横方向、即ち、レールの側方方向又はキャビネット22の側方方向は、Y軸に平行であってよい。縦方向、即ち、レールの高さ方向又はキャビネット22の高さ方向は、Z軸に平行であってよい。
【0013】
接続部材30は、第1スライドレール組立体26と第2スライドレール組立体28との間に移動可能に取り付けられている。
【0014】
好ましくは、第1スライドレール組立体26の第1レール32と第2スライドレール組立体28の第3レール36とは、実質的に同一の構造を有してよく、第1スライドレール組立体26の第2レール34と第2スライドレール組立体28の第4レール38とは、実質的に同一の構造を有してよい。第2スライドレール組立体28に関する詳細な説明は、簡素化のため省略する。この実施形態では、一例として、第1スライドレール組立体26の第1レール32は、第1縦部分44と、第1支持部分46と、第1縦部分44及び第1支持部分46の間に接続された第1水平部分48とを含んでよい。第1スライドレール組立体26の第1レール32は、第1縦部分44の複数の取り付け特徴部50によってキャビネット22の壁Wに取り付けられるように構成されてよい。接続部材30は、キャビネット22の高さ方向、例えばZ軸に沿って移動可能であるように、第1レール32の第1縦部分44に移動可能に取り付けられている。その上、第1スライドレール組立体26の第2レール34と第2スライドレール組立体28の第4レール38とは、それぞれ第1引き出し24aと第2引き出し24bとを支持するように構成されてよい。
【0015】
好ましくは、第1縦部分44と第1支持部分46とは、第1水平部分48に実質的に垂直に接続されている。第1縦部分44は第1高さK1を有し、第1支持部分46は第1高さK1よりも小さい第2高さK2を有する。第1縦部分44と第1支持部分46とは、第1水平部分48の互いに反対側の2つの側部に位置する。
【0016】
好ましくは、第1スライドレール組立体26と第2スライドレール組立体28とのそれぞれは、複数のスライド補助装置を含む。例えば、第1スライドレール組立体26は、第1スライド補助装置と、第2スライド補助装置とを含む。第1スライド補助装置は、第1スライドレール組立体26の第1レール32と第1中間レール40との円滑な相対変位を容易にするために、第1スライドレール組立体26の第1レール32と第1中間レール40との間に移動可能に支持されている。第2スライド補助装置は、第1スライドレール組立体26の第2レール34と第1中間レール40との円滑な相対変位を容易にするために、第1スライドレール組立体26の第2レール34と第1中間レール40との間に移動可能に支持されている。
【0017】
さらに、接続部材30は、第1延長部52と、第2延長部54と、第1延長部52及び第2延長部54の間に接続された中間部分56とを含む。図4に示すように、所定の空間Sが、第1スライドレール組立体26の第1レール32の第1縦部分44に配置され、接続部材30の第1延長部52を少なくとも部分的に収容するように構成されている。好ましくは、複数の保持特徴部58がさらに、第1スライドレール組立体26の第1レール32の第1縦部分44に配置され、接続部材30の第1延長部52を保持又は支持するように構成され、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対する接続部材30の安定した移動を容易にする、
【0018】
好ましくは、接続部材30はロッドであり、接続部材30の長手方向は、キャビネット22の高さ方向と実質的に平行である。
【0019】
好ましくは、第1自己閉鎖装置60と第2自己閉鎖装置62とが、それぞれ第1スライドレール組立体26と第2スライドレール組立体28とに配置されている。第1自己閉鎖装置60と第2自己閉鎖装置62とは、実質的に同一の構造を有してよい。第2自己閉鎖装置62については、簡素化のため詳細な説明を省略する。第1自己閉鎖装置60は、第1スライドレール組立体26の第1レール32に配置され、第1補助部材64を含む。第2自己閉鎖装置62は、第2スライドレール組立体28の第3レール36に配置され、第3補助部材70を含む。
【0020】
好ましくは、第1作動特徴部66が、第1スライドレール組立体26の第2レール34に配置され、第1スライドレール組立体26の第2レール34が第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して変位した場合に、第1スライドレール組立体26の第2レール34とともに移動可能である。第2作動特徴部68が、第2スライドレール組立体28の第4レール38に配置され、第2スライドレール組立体28の第4レール38が第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して変位した場合に、第2スライドレール組立体28の第4レール38とともに移動可能である。この実施形態では、一例として、第1作動特徴部66と第2作動特徴部68とのそれぞれは、突出部、ピンなどであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。図3及び図4に示すように、第1スライドレール組立体26が後退された場合に、第1スライドレール組立体26の第2レール34は、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して第1後退位置Rにあり、第1自己閉鎖装置60の第1補助部材64は、第1スライドレール組立体26の第2レール34での第1作動特徴部66を解放可能に捕捉する。理解可能なことであるが、第2スライドレール組立体28が後退された場合に、第2スライドレール組立体28の第4レール38は、第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して第2後退位置にあり、第2自己閉鎖装置62の第3補助部材70は、第2スライドレール組立体28の第4レール38での第2作動特徴部68を解放可能に捕捉する。
【0021】
好ましくは、第1自己閉鎖装置60はさらに、第1補助部材64に隣接して配置された第2補助部材72を含む。第2自己閉鎖装置62はさらに、第3補助部材70に隣接して配置された第4補助部材74を含む。
【0022】
好ましくは、図5に示すように、第1貫通孔76は、第1スライドレール組立体26の第1レール32、例えば、第1スライドレール組立体26の第1レール32の第1水平部分48に配置されている。第2貫通孔82は、第2スライドレール組立体28の第3レール36、例えば、第2スライドレール組立体28の第3レール36の第2水平部分80に配置されている。
【0023】
図4及び図5に示すように、第1スライドレール組立体26の第2レール34が、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して第1後退位置Rにあり、第2スライドレール組立体28の第4レール38が、第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して第2後退位置にある場合に、接続部材30は第1所定位置H1にある。その上、接続部材30が第1所定位置H1にある場合に、接続部材30、例えば接続部材30の第2延長部54は、第2自己閉鎖装置62の第4補助部材74をブロッキングしない。
【0024】
図6に示すように、第1自己閉鎖装置60はさらに、第1補助部材64及び/又は第2補助部材72に弾性力を与えるように構成された第1弾性部材84を含む。本実施形態では、一例として、第1弾性部材84は、圧縮バネ又は引張バネであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。図4に示すように、第1補助部材64は、第1スライドレール組立体26の第2レール34での第1作動特徴部66を解放可能に捕捉するように構成された第1捕捉部86を含む。この実施形態では、一例として、図4に示すように、第1捕捉部86は、第1作動特徴部66の一部を受けるように構成された補助空間を有するフックであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0025】
好ましくは、第1自己閉鎖装置60はさらに、第1ベース88を含み、これは、第1スライドレール組立体26の第1レール32、例えば第1レール32の第1水平部分48に接続、例えば固定的に接続されるように構成されている。
【0026】
好ましくは、第1弾性部材84は、第2補助部材72に接続された第1端部94aと、第1ベース88に接続された第2端部94bとを含む。
【0027】
好ましくは、第1補助部材64と第2補助部材72との一方は、第1ガイド特徴部96を含む。本実施形態では、一例として、第2補助部材72が第1ガイド特徴部96を含む。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。その上、接続部材30、例えば接続部材30の第1延長部52は、第2ガイド特徴部98を含み、第2ガイド特徴部98は、第1ガイド特徴部96と協働して、第2補助部材72に従って接続部材30が移動することを可能にする。本実施形態では、一例として、図4に示すように、第1ガイド特徴部96と第2ガイド特徴部98との少なくとも一方は、傾斜面又は円弧面であってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0028】
好ましくは、第1スライドレール組立体26はさらに、第1減衰装置100(damping device 100)を含み、第2スライドレール組立体28はさらに、第2減衰装置を含む。第1減衰装置100と第2減衰装置とは、実質的に同一の構造を有してよい。第2減衰装置に関する詳細な説明は、簡略化のため省略する。第1減衰装置100は、相互に対して移動可能な第1物体102と第2物体104とを含む。第1物体102と第2物体104との一方は、その中に緩衝媒体及び/又は補助バネを含むシリンダであり、第1物体102と第2物体104との他方は、ピストンロッドである。図6に示すように、第1減衰装置100は、第1補助部材64に対応する位置にある。第1スライドレール組立体26の第2レール34が、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して第1後退位置Rへ変位した場合に、第1物体102と第2物体104との一方は、第1スライドレール組立体26の第2レール34の変位速度を減少させるために、第1補助部材64に突き当たることができる。この実施形態では、一例として、第2物体104は、第1補助部材64に突き当たるように構成してよい。
【0029】
図7及び図8に示すように、第1補助部材64と第2補助部材72とは互いに接続されている。本実施形態では、一例として、第1補助部材64と第2補助部材72とは、シャフト106を介して枢軸的に相互に接続されてよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。同様に、第3補助部材70と第4補助部材74とは、枢軸的に相互に接続されてよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0030】
好ましくは、第1補助部材64は第1支持区間108を含み、第2補助部材72は第2支持区間110を含む。第1支持区間108と第2支持区間110とは、第1ベース88と協働するように構成されている。本実施形態では、一例として、第1支持区間108と第2支持区間110とのそれぞれは、突出部であってよい。
【0031】
例示の目的のために、図9は、第1スライドレール組立体26の第1中間レール40及び第2レール34と、第2スライドレール組立体28の第2中間レール42及び第4レール38とがない状態で、第1スライドレール組立体26の第2レール34に配置された第1作動特徴部66と、第2スライドレール組立体28の第4レール38に配置された第2作動特徴部68とを示す。
【0032】
第1スライドレール組立体26の第2レール34が、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して開放方向D1に変位した場合に、接続部材30は、第2スライドレール組立体28の第4レール38が第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して開放方向D1に変位することを防止するために、移動される。
【0033】
例えば、第1スライドレール組立体26の第2レール34が、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して、開放方向D1に、図3に示す第1後退位置Rから離れるように変位して、第1作動特徴部66を図4に示す位置から図9に示す位置へ駆動した場合に、第1作動特徴部66は、第1スライドレール組立体26の第2レール34とともに移動する第1補助部材64によって捕捉される。これにより、第1スライドレール組立体26の第2レール34の変位に応答して、第1補助部材64と第2補助部材72とが移動する。従って、接続部材30は、第2補助部材72の第1ガイド特徴部96と接続部材30の第2ガイド特徴部98、例えば、接続部材30の第1延長部52との突き当たることによって、図5に示す第1所定位置H1から高さ方向Mに図10に示す第2所定位置H2へ駆動されてよい。図10に示すように、接続部材30が第2所定位置H2にある場合に、接続部材30、例えば、接続部材30の第2延長部54は、第2スライドレール組立体28の第3レール36、例えば、第2スライドレール組立体28の第3レール36の第2水平部分80での第2貫通孔82を通過する。これにより、第4補助部材74をブロッキングして、第2スライドレール組立体28の第4レール38が開放方向D1に第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して変位することを防止するようにし、即ち、第2スライドレール組立体28の第4レール38を図5に示す第2後退位置に保持するようにする。従って、第2スライドレール組立体28の第4レール38が、第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して開放方向D1に変位することが阻止されるので、第2引き出し24bは、キャビネット22に対してそれぞれ開放することができない。
【0034】
図11及び図12に示すように、第1補助部材64の第1支持区間108と第2補助部材72の第2支持区間110とは、第1ベース88の長手方向経路90に位置する。好ましくは、第1ベース88はさらに、長手方向経路90に対して曲げられた曲がり経路92を含む。第1補助部材64は、長手方向経路90と曲がり経路92とに沿って移動する。
【0035】
第1スライドレール組立体26の第2レール34が、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して、図11に示す位置から、開放方向D1に図12に示す第1伸長位置Eへ変位した場合に、第1補助部材64は、第1補助部材64によって捕捉された第1作動特徴部66によって駆動され、曲がり経路92を介して第2補助部材72に対して図12に示す係合位置へ旋回し、その後、第1作動特徴部66から係合解除される。この実施形態では、一例として、図12に示すように、第1補助部材64は、弾性部材84の弾性変形を維持するように、第1補助部材64を旋回の位置に保持するために、曲がり経路92の壁と係合するように構成された対応する支持区間112を含んでよい。その上、第1スライドレール組立体26の第2レール34が第1伸長位置Eにある場合に、第2物体104は第1物体102に対して完全に伸長する。即ち、第1減衰装置100は緩衝前状態にある。
【0036】
図12に示すように、第1スライドレール組立体26の第2レール34が、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して、第1伸長位置Eから後退方向D2に所定距離だけ離れるように変位した場合に、第1補助部材64の対応する支持区間112が、図11に示すように、第1補助部材64と第1作動特徴部66との突き当てにより駆動されて係合解除位置へ旋回することに留意するものとする。これは、曲がり経路92の壁から係合解除するためであり、第1補助部材64の第1捕捉部86によって第1作動特徴部66を捕捉するためである。これにより、第2レール34が、弾性変形した第1弾性部材84によって、後退方向D2に第1後退位置Rへ駆動されることが可能である。
【0037】
好ましくは、第2レール34が弾性部材84によって駆動され後退方向D2に第1後退位置Rへ変位する間に、第1補助部材64は、第1減衰装置100の第2物体104を駆動して第1減衰装置100の第1物体102に対して移動させるために、第1減衰装置100の第2物体104に突き当たり、第2レール34の変位速度が減少される。
【0038】
第1スライドレール組立体26の第2レール34が第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して後退され、第2スライドレール組立体28の第4レール38が第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して開放又は伸長された場合に、第4補助部材74は、開放方向D1にブロッキング位置へ移動して、接続部材30をブロッキングすることに留意するものとする。これにより、接続部材30が高さ方向Mに移動可動でなく、即ち接続部材30を第1所定高さH1に保持することができる。第1スライドレール組立体26の第2レール34が第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して開放方向D1に変位することを防止するために、第1所定高さH1に保持された接続部材30は、第2補助部材72をブロッキングすることができる。
【0039】
以上のことから、スライドレール機構は以下の特徴を有する。
【0040】
1.接続部材30は、キャビネット22と、第1スライドレール組立体26と、第2スライドレール組立体28とのうちの1つに移動可能に取り付けられている。接続部材30が、第1スライドレール組立体26、例えば第1スライドレール組立体26の第1レール32に移動可能に取り付けられている場合に、キャビネット22は、接続部材30を取り付ける追加の構造を含む必要がない。従って、スライドレール機構は、組み立てが容易であるという利点を有する。
【0041】
2.接続部材30は、第1補助部材64に移動可能に接続された自己閉鎖装置60の第2補助部材72と協働するように構成されている。従って、スライドレール機構は、構造が簡素化され、操作性が向上するという利点を有する。
【0042】
3.第1スライドレール組立体26の第2レール34が、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して開放又は伸長された場合に、第2スライドレール組立体28の第4レール38は、第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して伸長することができない。第2スライドレール組立体28の第4レール38が、第2スライドレール組立体28の第3レール36に対して開放又は伸長された場合に、第1スライドレール組立体26の第2レール34は、第1スライドレール組立体26の第1レール32に対して伸長することができない。従って、第1引き出し24aと第2引き出し24bとは、キャビネット22に対して同時に開放することができないので、開放された第1引き出し24aと開放された第2引き出し24bとに起因するキャビネット22の落下を防止する。従って、スライドレール機構は、使用の安全性の向上をもたらす。
【0043】
本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多数の修正及び変更を行ってよいことは、当業者であれば容易に理解するものである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。
図1
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図10
図11
図12