(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115534
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】微細気泡を含有する組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240819BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q19/10
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018789
(22)【出願日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2023021206
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 一貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑一
(72)【発明者】
【氏名】増田 孝明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC401
4C083AC402
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD111
4C083AD112
4C083CC23
4C083DD08
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】新規な微細気泡を含有し、それを保持することができる組成物、前記組成物を収容した容器入り組成物、前記容器入り組成物の製造方法、及び微細気泡の個数濃度増大剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
表面張力が65mN/m以下である、微細気泡を含有する組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面張力が65mN/m以下である、微細気泡を含有する組成物。
【請求項2】
前記組成物は、炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、両親媒性エステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記両親媒性エステルは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとカルボン酸のエステルである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記両親媒性エステルは、炭素数が5~30である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記両親媒性のエステルは、エトキシジグリコールと、分子量が50~200のカルボン酸のエステルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記両親媒性エステルは、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール及び/又は酢酸エトキシジグリコールである、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、両親媒性エーテルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記両親媒性エーテルは、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルを構成するポリオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基から選ばれる1種以上であり、
前記ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数が5~70molである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含み、
前記オキシエチレン基の平均付加モル数が、1~50molであり、
前記オキシプロピレン基の平均付加モル数が、1~70molである、
請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基を含み、
前記オキシエチレン基及び前記オキシプロピレン基の平均付加モル数の比は、1:0.2~1:2であり、
前記オキシエチレン基及び前記オキシブチレン基の平均付加モル数の比は、1:0.1~1:2である、
請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記化合物は、保湿剤及び/又は防腐剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
前記保湿剤又は防腐剤は以下の性質を有する、請求項13に記載の組成物。
(性質)
保湿剤:0質量%を超える濃度から30質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
防腐剤:0質量%を超える濃度から5質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
【請求項15】
以下の性能を有するナノ粒子解析装置、及び測定方法での測定値として個数濃度2000万個/mL以上の微細気泡を含有する、請求項1に記載の組成物、
(ナノ粒子解析装置の性能)
測定個数範囲:100万個~10億個/mL
光源波長:405 nm(紫色)
カメラ:sCMOS
温度制御範囲:-5~50℃
粒子サイズ:10~1000 nm
(測定方法)
前記性能を有するナノ粒子解析装置を用いたナノトラッキング法によって、溶液に気泡を発生させる前後の粒子の個数濃度を測定し、
気泡発生後の溶液の粒子個数濃度から、
気泡発生前の溶液の粒子個数濃度を差し引き、
その差分を微細気泡個数濃度として算出する。
【請求項16】
前記微細気泡が、空気、水素、二酸化炭素、酸素、窒素及びオゾンからなる群から選択される1以上の気体で構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~16の何れかに記載の組成物と、これを収容する容器からなる、容器入り組成物。
【請求項18】
前記容器は微細気泡を発生させるための機構を有さない、請求項17に記載の容器入り組成物。
【請求項19】
前記微細気泡の個数濃度は、前記組成物が前記容器に収容された状態での個数濃度である、請求項17に記載の容器入り組成物。
【請求項20】
前記微細気泡の個数濃度は、前記組成物を容器に収容してから24時間以上経過後に測定された濃度である、請求項19に記載の容器入り組成物。
【請求項21】
微細気泡を含有する組成物の設計方法であって、
以下に示される指標によって成分と配合濃度の組み合わせを設計する、組成物の設計方法、
指標:配合濃度の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
【請求項22】
炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる1種以上の化合物を含み、表面張力が65mN/m以下である原料組成物に、微細気泡発生装置で、工業的に微細気泡を封入し、表面張力が65mN/m以下である組成物を得たのち、これを容器に収容し、容器入り組成物を得ることを含む製造方法。
【請求項23】
両親媒性エステル、及び/又は両親媒性エーテルから選ばれる1種以上の化合物を含み、表面張力が65mN/m以下である原料組成物に、微細気泡発生装置で、工業的に微細気泡を封入し、表面張力が65mN/m以下である組成物を得たのち、これを容器に収容し、容器入り組成物を得ることを含む製造方法。
【請求項24】
炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる1種以上の化合物からなる、微細気泡の個数濃度増大剤。
【請求項25】
両親媒性エステル、及び/又は両親媒性エーテルから選ばれる1種以上の化合物からなる、微細気泡の個数濃度増大剤。
【請求項26】
前記化合物が、以下の性質を有する保湿剤又は防腐剤である、請求項24又は25に記載の微細気泡の個数濃度増大剤。
(性質)
保湿剤:0質量%を超える濃度から30質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
防腐剤:0質量%を超える濃度から5質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡を含有する組成物、容器入り組成物、それらの製造方法、組成物の設計方法、微細気泡個数濃度増大剤に関する。
【背景技術】
【0002】
液体中に含まれる極小の気泡群のことを微細気泡という。液中の微細気泡は物質への吸着性に優れ、微細気泡含有液は、洗浄機能を発揮することが知られている。
【0003】
ここで、前記ナノバブルを化粧料に含有させるために、ナノバブル発生機構付きスプレー装置等が知られている(特許文献1)。また、ナノバブルを発生させる装置機構付き容器に用いられる、ナノバブル化粧料用外用組成物が知られている(特許文献2)。
さらに、CO2ハイドレートを化粧料に含有させることによって、高濃度のウルトラファインバブルを含有する化粧料を製造できることが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-30171号公報
【特許文献2】国際公開第2022/010000号公報
【特許文献3】特開2020-147520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、化粧料中に微細気泡を含有させる技術が種々開発されている。
しかし、微細気泡含有化粧料は、含有したバブルを十分に保持できないという課題があった。そのため、特許文献1や2に記載のように特殊な容器を用いて、使用時に微細気泡を発生させる形態をとらざるを得なかった。
また、他の手段としては、特許文献3に記載のように、CO2ハイドレート等の特殊な原料を用いる方法しか知られていなかった。
上述の状況を鑑みて、本発明は、新規である、微細気泡の保持力に優れた組成物、前記組成物を収容した容器入り組成物、これらの製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、微細気泡を含有する組成物の設計方法、微細気泡の個数濃度増大剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、表面張力が65mN/m以下である、微細気泡を含有する組成物である。
本発明の組成物は微細気泡を安定的に保持することができる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記組成物は、炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる1種以上の化合物を含む。
本発明によれば、前記化合物によって微細気泡を安定的に保持することができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記組成物は、両親媒性エステルを含む。
本発明によれば、微細気泡を安定的に保持することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性エステルは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとカルボン酸のエステルである。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性エステルは、炭素数が5~30である。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性のエステルは、エトキシジグリコールと、分子量が50~200のカルボン酸のエステルである。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性エステルは、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール及び/又は酢酸エトキシジグリコールである。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記組成物は、両親媒性エーテルを含む。
本発明によれば、微細気泡を安定的に保持することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性エーテルが、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルである。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルを構成するポリオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基から選ばれる1種以上であり、前記ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数が5~70molである。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含み、前記オキシエチレン基の平均付加モル数が、1~50molであり、前記オキシプロピレン基の平均付加モル数が、1~70molである。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基を含み、前記オキシエチレン基及び前記オキシプロピレン基の平均付加モル数の比は、1:0.2~1:2であり、前記オキシエチレン基及び前記オキシブチレン基の平均付加モル数の比は、1:0.1~1:2である。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記化合物は、保湿剤及び/又は防腐剤である。
本発明によれば、微細気泡を含有し、微細気泡による洗浄機能等の機能と、保湿機能及び/又は防腐機能を両立させた化粧料を得ることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記保湿剤又は防腐剤は以下の性質を有する。
(性質)
保湿剤:0質量%を超える濃度から30質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
防腐剤:0質量%を超える濃度から5質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
本発明によれば、組成物に適した濃度範囲の保湿剤又は防腐剤によって、微細気泡を安定的に含有し、それを保持することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記組成物は、以下の性能を有するナノ粒子解析装置、及び測定方法での測定値として個数濃度2000万個/mL以上の微細気泡を含有する。
(ナノ粒子解析装置の性能)
測定個数範囲:100万個~10億個/mL
光源波長:405 nm(紫色)
カメラ:sCMOS
温度制御範囲:-5~50℃
粒子サイズ:10~1000 nm
(測定方法)
前記ナノ粒子解析装置を用いたナノトラッキング法によって、溶液に気泡を発生させる前後の粒子の個数濃度を測定し、
気泡発生後の溶液の粒子個数濃度から、
気泡発生前の溶液の粒子個数濃度を差し引き、
その差分を微細気泡個数濃度として算出する。
前記測定方法による測定値として個数濃度2000万個/mL以上の微細気泡を含有する組成物は、洗浄力に優れる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記微細気泡が、空気、水素、二酸化炭素、酸素、窒素及びオゾンからなる群から選択される1以上の気体で構成される。
本発明によれば、洗浄力に優れた、組成物を提供できる。
さらに、使用目的によって適宜、気体を選択することで、洗浄力以外の効果を追加することができる。
例えば、気泡に水素を用いることで、組成物に活性酸素を除去する効果を付与することができる。また、例えば気泡に酸素を用いることで、組成物に細胞膜電位の調節による細胞遺伝子発現の向上の効果を付与することができる。
【0022】
上記課題を解決する本発明は、前記組成物と、これを収容する容器からなる、容器入り組成物である。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記容器は微細気泡を発生させる機構を有さない。
本発明の容器入り組成物には微細気泡が安定的に含有されている組成物が容器に充填されている。そのため、使用時に、微細気泡を発生させる手順を踏まずに、微細気泡を含んだ組成物を提供することができる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記微細気泡の個数濃度は、前記組成物が前記容器に収容された状態での個数濃度である。
本発明によれば、微細気泡を安定的に保持した組成物を提供することができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記微細気泡の個数濃度は、前記組成物を容器に収容してから24時間以上経過後に測定された濃度である。
本発明によれば、微細気泡をより安定的に保持した組成物を提供することができる。
【0026】
上記課題を解決する本発明は、微細気泡を含有する組成物の設計方法であって、以下に示される指標によって成分と配合濃度の組み合わせを設計する、組成物の設計方法である。
(指標)
配合濃度の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
本発明によれば、上記指標で組成物を設計することで、微細気泡を安定的に保持した組成物を得ることができる。
【0027】
上記課題を解決する本発明は、炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる1種以上の化合物を含み、表面張力が65mN/m以下である原料組成物に、微細気泡発生装置で、工業的に微細気泡を封入し、表面張力が65mN/m以下である組成物を得たのち、これを容器に収容し、容器入り組成物を得ることを含む製造方法である。
本発明によれば、上記原料組成物を用い、工業的に微細気泡を封入することで、微細気泡を安定的に保持した組成物を得ることができる。
【0028】
上記課題を解決する本発明は、両親媒性エステル、及び/又は両親媒性エーテルから選ばれる1種以上の化合物を含み、表面張力が65mN/m以下である原料組成物に、微細気泡発生装置で、工業的に微細気泡を封入し、表面張力が65mN/m以下である組成物を得たのち、これを容器に収容し、容器入り組成物を得ることを含む製造方法である。
本発明によれば、上記原料組成物を用い、工業的に微細気泡を封入することで、微細気泡を安定的に保持した組成物を得ることができる。
【0029】
上記課題を解決する本発明は、炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる1種以上の化合物からなる、微細気泡の個数濃度増大剤である。
【0030】
上記課題を解決する本発明は、両親媒性エステル、及び/又は両親媒性エーテルから選ばれる1種以上の化合物からなる、微細気泡の個数濃度増大剤である。
【0031】
本発明の好ましい形態では、上記化合物が、以下の性質を有する保湿剤又は防腐剤である。
(性質)
保湿剤:0質量%を超える濃度から30質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
防腐剤:0質量%を超える濃度から5質量%以下の濃度で混合した時の水溶液の表面張力が65mN/m以下である。
本発明によれば、上記性質を有する化合物、保湿剤又は防腐剤を使用することで、微細気泡の個数濃度を増大させる剤を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、微細気泡を安定的に含有した組成物、及び前記組成物を収容した化粧料、これらの製造方法、微細気泡を含有する化粧料の設計方法、及び微細気泡の個数濃度増大剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】各種のa)保湿剤水溶液及びb)防腐剤水溶液の微細気泡個数濃度を示すグラフ。
【
図2】各種化合物を含む水溶液の表面張力及び微細気泡個数濃度の関係を示すグラフ。
【
図3】界面活性剤(ステアリン酸PEG25,ステアリン酸PEG45)を添加したときの、30質量%DPG溶液の微細気泡個数濃度及び気泡径の経時安定性を示すグラフ。
【
図4】各希釈率のDPG水溶液に対する洗浄指数(W)の変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下本発明を、1)微細気泡を含有する組成物、2)前記組成物を収容した容器入り組成物、3)前記組成物及び容器入り組成物の製造方法、4)微細気泡入り組成物の設計方法、及び5)微細気泡個数濃度増大剤に項分けして詳細に説明する。
【0035】
1)微細気泡を含有する組成物
以下、本発明の組成物の実施形態を説明する。
なお、本明細書中において、微細気泡封入前の組成物を原料組成物、微細気泡封入後の組成物を組成物、前記組成物を容器に収容した物を容器入り組成物と表記する。
【0036】
本発明の組成物は、それ自体の表面張力が65mN/m以下であり、より好ましくは50mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下である。下限値の目安は20mN/mである。
前記組成物の表面張力は、協和界面化学(株)社製 自動表面張力計 CBVP-Zを用いて、測定することができる。なお、本明細書では、超純水(導電率18.2MΩ・cm)の表面張力が72.8mN/m(文献値)となる様に校正後、以下の条件で測定を実施した。
(条件)温度:20℃、測定方法:Wilhelmy Plate法、測定時間:30分
【0037】
(1)炭素数が12個以下の1~6価の1~2級アルコール
本発明の組成物は、炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる化合物を含む。該化合物は、組成物の表面張力を65mN/m以下とする目的で含むことができる。
【0038】
この目的において、前記化合物は、水に溶解した際に、水の表面張力を低下させる性質を有する化合物であることが好ましく、より好ましくは水に溶解した際に、水溶液の表面張力を65mN/m以下に低下させる性質を有する化合物である。
該化合物は、水溶液に対して、少なくとも0質量%を超える濃度から、30質量%以下の濃度における何れかの濃度で水に溶解したときに、水溶液の表面張力を65mN/m以下に低下させる性質を有することが好ましい。前記化合物は、好ましくは0.01~30質量%、より好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは1~30質量%、さらに好ましくは10~30質量%の範囲の何れかの濃度で水に溶解したときに、水溶液の表面張力を65mN/m以下に低下させる性質を有することが好ましい。
【0039】
一実施形態では、前記化合物は、好ましくは炭素数が1~10個である。
前記化合物の構造は、鎖式化合物、直鎖化合物、及び環式化合物の何れであってもよい。
前記化合物が、鎖式化合物又は直鎖化合物である場合、主鎖の炭素数は、好ましくは3個以上、より好ましくは3~6個である。
また、前記化合物が、環式化合物である場合、環状構造を除いた部分の炭素鎖の主鎖の炭素数は、好ましくは3個以上であり、より好ましくは3~6個である。
【0040】
前記化合物の炭素鎖の結合状態は特に限定されない。前記化合物が鎖式化合物又は直鎖化合物である場合には、好ましくは炭素鎖の主鎖に二重結合を有さない。前記化合物が環式化合物である場合には、環状構造を除いた部分の炭素鎖の主鎖は二重結合を有さない。
【0041】
前記化合物の炭素鎖は側鎖を有していてもよい。また、前記化合物は置換基として、エーテル基、フェニル基を有していてもよい。
【0042】
前記化合物は、多価アルコールであることが好ましく、1~6価のアルコールであることがより好ましい。
【0043】
前記化合物は、水酸基以外にエーテル基やエステル基などの親水性基の何れかを含んでいてもよい。
前記化合物に含まれる、水酸基及び水酸基以外の親水性基を含む親水性基の合計数は、2~6個であることが好ましい。
【0044】
(2)両親媒性エステル
別の実施形態では、前記化合物は、両親媒性エステルである。
本発明において、両親媒性エステルは、日本薬局方一般試験法に定められた方法による測定で、導電率70~110μs/mに調整されたイオン交換水に常温で2質量%以上溶解し、かつ、油剤であるイソノナン酸イソトリデシルにも常温(25℃)で10質量%以上溶解するものであることが好ましく、エステル系界面活性剤が除かれることが好ましい。
【0045】
両親媒性エステルの炭素数は、好ましくは5~30、より好ましくは10~25、さらに好ましくは8~20である。
【0046】
本発明では、両親媒性エステルとして、アルコキシアルコールとカルボン酸のエステルを用いることが好ましい。前記アルコキシアルコールとしては、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、エトキシジグリコール(別名:ジエチレングリコールモノエチルエーテル)等が挙げられる。
【0047】
一実施形態では、前記アルコキシアルコールは、オキシエチレン(EO)基を有することが好ましく、2-エトキシエタノール及び/又はエトキシジグリコールであることがより好ましい。
【0048】
また好ましい形態では、本発明における両親媒性エステルは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとカルボン酸のエステルである。
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル等が挙げられ、具体的には、例えば、エトキシジグリコール、及びメチルトリグリコール(別名:トリエチレングリコールモノエチルエーテル)等が挙げられる。
【0049】
両親媒性エステルにおけるエステル結合の数は、1または2とすることができる。一実施形態では、両親媒性エステルは、ジエステルである。
【0050】
両親媒性エステルにかかる前記カルボン酸としては、例えば、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、ペメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセトンジカルボン酸、フタル酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸などが挙げられる。
【0051】
好ましい形態では、前記カルボン酸の分子量は、50~200であることが好ましく、55~180であることが好ましく、60~175であることがより好ましい。一実施形態では、前記カルボン酸の分子量は、80~200であることが好ましく、100~180であることがより好ましく、150~175であることがさらに好ましい。
【0052】
本発明では、両親媒性エステルとして、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、酢酸エトキシジグリコール、コハク酸ビスエトキシジグリコール、及びコハク酸ジエトキシエチルから選択される1種以上を用いることが好ましく、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、酢酸エトキシジグリコール、及びコハク酸ビスエトキシジグリコールから選択される1種以上を用いることが好ましく、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール及び/又は酢酸エトキシジグリコールを用いることがさらに好ましい。
【0053】
一実施形態では、本発明で用いる両親媒性エステルは、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル、及びジカルボン酸ジアルコキシアルキルエステルから選ばれるものとすることができる。
より好ましくは、該両親媒性エステルは、シクロヘキサンジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルのジエステルであることが好ましく、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルのジエステルであることがより好ましく、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸とエトキシジグリコールのジエステルであることがさらに好ましい。
【0054】
上記の両親媒性エステルは、水に溶解した際に水の表面張力を低下させる機能に優れることから、該両親媒性エステルを含有する組成物において、微細気泡を安定的に保持することができる。
【0055】
(3)両親媒性エーテル
さらに別の実施形態では、前記化合物は、両親媒性エーテルである。
本発明では、両親媒性エーテルとして、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルを用いることが好ましい。
【0056】
ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、グリセリンに酸化アルキレンを付加重合したものである。付加重合するオキシアルキレンとしては、酸化ブチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上であることが好ましい。
すなわち、前記ポリオキシアルキレングリセリルエーテルを構成するポリオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0057】
ポリオキシアルキレングリセリルエーテルにおけるオキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは5~70molであり、より好ましくは8~60molであり、さらに好ましくは10~50molである。
【0058】
好ましい形態では、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシエチレン基を有する。
かかる場合、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルにおけるオキシエチレン基の平均付加モル数は、好ましくは1~50mol、より好ましくは1~30mol、さらに好ましくは1~20mol、さらに好ましくは1~10mol、さらに好ましくは5~10molである。
また、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルにおけるオキシエチレン基の平均付加モル数は、5~50mol、より好ましくは10~30mol、さらに好ましくは15~225molとすることもできる。
【0059】
好ましい形態では、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシプロピレン基を有する。
かかる場合、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルにおけるオキシプロピレン基の平均付加モル数は、好ましくは1~70mol、より好ましくは1~50mol、さらに好ましくは1~30mol、さらに好ましくは1~25mol、さらに好ましくは1~20mol、さらに好ましくは1~10mol、さらに好ましくは3~8molである。
また、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルにおけるオキシプロピレン基の平均付加モル数は、5~50mol、より好ましくは10~30mol、さらに好ましくは15~25molとすることもできる。
【0060】
好ましい形態では、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシブチレン基を有する。
かかる場合、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルにおけるオキシブチレン基の平均付加モル数は、好ましくは1~50mol、より好ましくは1~40mol、さらに好ましくは1~30mol、さらに好ましくは1~20mol、さらに好ましくは1~10mol、さらに好ましくは1~8mol、さらに好ましくは2~5molである。
【0061】
好ましい形態では、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む。かかる場合、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の平均付加モル数の比は、好ましくは1:0.2~1:2、より好ましくは1:0.5~1:1.5、さらに好ましくは1:0.5~1:1である。
【0062】
好ましい形態では、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルは、オキシブチレン基、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む。かかる場合、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の平均付加モル数の比は、好ましくは1:0.2~1:2、より好ましくは1:0.5~1:1.5、さらに好ましくは1:0.5~1:1である。
また、オキシエチレン基及びオキシブチレン基の平均付加モル数の比は、好ましくは1:0.1~1:2、より好ましくは1:0.2~1:1、さらに好ましくは1:0.3~1:0.5である。
また、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基の付加モル数の比は、好ましくは1:0.2~1:2、より好ましくは1:0.3~1:1、さらに好ましくは1:0.5~1:0.8である。
【0063】
本発明に用いるポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル等が挙げられる。本発明では、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、及び/又はポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを用いることが好ましい。
【0064】
より具体的には、本発明で用いるポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、ポリオキシプロピレン(8)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(16)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(50)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(70)グリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(24E.O.)(24P.O.)、及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.)を挙げることができる。
【0065】
前記化合物は、好ましくは保湿剤及び/又は防腐剤である。以下の説明における保湿剤又は防腐剤は、前記化合物に含まれるものとしての説明である。
【0066】
本発明における保湿剤は、好ましくは多価アルコール、グリコール、及び糖アルコールから選ばれる。
【0067】
前記保湿剤は、少なくとも0質量%を超える濃度から、30質量%以下の濃度の何れかの濃度で水に溶解したときに、その水溶液の表面張力を65mN/m以下とすることができる特性を有する化合物であることが好ましい。
このような保湿剤は、好ましくは、ジプロピレングリコール(DPG)、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ソルビトール、及びブチレングリコール(BG)から選ばれる。これらの保湿剤を、化粧料に通常適用される濃度で配合することで、一定濃度以上の微細気泡を発生させることができ、これを保持することができる。前記保湿剤は、特に好ましくはジプロピレングリコール(DPG)、及び1,3-プロパンジオールから選ばれる。これらの保湿剤は、特に、高濃度で微細気泡を発生させることができる。
また、グリセリン、ソルビトール、及びブチレングリコール(BG)についても、2000万個/mL以上の濃度で微細気泡を発生させることができる。
【0068】
本発明における保湿剤は、両親媒性エステル及び両親媒性エーテルから選ばれてもよい。より具体的には、本発明における保湿剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸のエステル、及びポリオキシアルキレングリセリルエーテルから選択することができる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのカルボン酸エステル、及びポリオキシアルキレングリセリルエーテルの好ましい形態は、上述の通りである。
【0069】
本発明における防腐剤は、好ましくは多価アルコール、及びグリコールエーテルから選ばれる。
前記防腐剤は、少なくとも0質量%を超える濃度から、5質量%以下の濃度の何れかの濃度で水に溶解したときに、その水溶液の表面張力を65mN/m以下とすることができる特性を有する化合物であることが好ましい。
このような防腐剤は、好ましくはエチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、及びペンチレングリコールから選ばれる。これらの防腐剤を、化粧料に通常適用される濃度で配合することで、一定濃度以上の微細気泡を発生させることができ、これを保持することができる。
【0070】
前記化合物としての前記保湿剤の好ましい含有量は、組成物の表面張力が65mN/mとなれば、組成物に対して、少なくとも0質量%を超える濃度から30質量%以下の何れかの濃度で含むことができる。好ましくは0.01~30質量%、より好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは1~30質量%、特に好ましくは10~30質量%である。
また、組成物中の前記保湿剤の含有量は、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.08~1質量%、さらに好ましくは0.1~0.5質量%としてもよい。
また、組成物中の前記保湿剤の含有量は、0.01質量%以上とすることができ、0.05質量%以上とすることができ、0.08質量%以上とすることができ、0.1質量%以上とすることができ、1質量%以上とすることができ、5質量%以上とすることができ、10質量%以上とすることができる。組成物中の前記保湿剤の含有量は、30質量%以下とすることができ、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすることができ、3質量%以下とすることができ、1質量%以下とすることができ、0.5質量%以下とすることができる。
【0071】
同様に、前記化合物としての前記防腐剤の好ましい含有量は、組成物の表面張力を65mN/m以下とする点から、組成物に対して、少なくとも0質量%を超える濃度から5質量%以下の何れかの濃度で含むことができる。好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~5質量%、特に好ましくは0.2~5質量%である。
また、組成物中の前記保湿剤の含有量は、0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。組成物中の前記保湿剤の含有量は、30質量%以下とすることができ、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0072】
また、本発明の組成物における保湿剤と防腐剤の質量比は、好ましくは6:1~75:1であり、より好ましくは3:1~30:1であり、さらに好ましくは1:1~10:1であり、特に好ましくは0.3:1~0.8:1である。
【0073】
本発明の好ましい形態では、界面活性剤を微細気泡の安定化剤として含む。
前記界面活性剤は、好ましくは直鎖飽和脂肪酸を含むもの、好ましくは、直鎖飽和脂肪酸エステルである。
前記、直鎖飽和脂肪酸の炭素数は特に限定されないが、炭素数が18のものが好ましい。さらに、直鎖飽和脂肪酸エステルにおける脂肪酸の付加数は特に限定されないが、モノエステルが好ましい。
また、前記界面活性剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤である。
さらに、前記界面活性剤は、HLB値が7~20であることが好ましい。特に好ましくは、HLB値が15~18のものである。
なお、本明細書におけるHLB値は以下のグリフィンの式により求められる。
HLB=20(MH/M)…(グリフィンの式)
ここで、本発明における安定化剤の好適な例として、ステアリン酸PEGが挙げられる。
前記、ステアリン酸PEGは、エステル結合した酸化エチレンのモル数が25~55のものが好ましい。特に好ましくは、エステル結合した酸化エチレンのモル数が25、又は45のものである。
また、上記の通り、ステアリン酸PEGの、脂肪酸の付加数は特に限定されないが、好ましくはモノステアリン酸PEGである。
なお、前記安定化剤は市販品を用いてもよい。
さらに、前記安定化剤の量は、組成物全体に対し、0.1~30質量%が好ましく、より好ましくは1~10質量%である。
【0074】
本発明の組成物の剤型は、液体状態が好ましく、液体であれば当業者が通常的に製造できるいかなる剤型でもよい。例として、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、せっけん、界面活性剤含有クレンジング、オイル、乳濁液ファウンデーション及びスプレーなどに剤型化されるが、これに限定されるものではない。
【0075】
本発明における微細気泡とは、直径が100μm以下の気泡のことを意味する。
前記微細気泡の直径は、1μm~100μmの数値範囲にあってもよいが、好ましくは1μm以下、より好ましくは、10nm~800nm、特に好ましくは10~300nmである。
特に、1μm以下の気泡(ウルトラファインバブル(UFB))は、水中での物質の吸着性に優れ、高い洗浄作用を有するため、本発明においては、1μm以下の気泡を用いることが好ましい。
上記微細気泡の気泡径の測定方法は特に限定されず、例として、粒子軌跡解析法(PTA)、レーザー回折・散乱法等、当業者であれば一般的に使用する手法を用いることができる。
【0076】
本発明の組成物における微細気泡の個数濃度(個/mL)としては、1千万個/mL以上であることが好ましいが、好ましくは2千万個/mL以上、より好ましくは5千万個/mL以上、さらに好ましくは7千万個/mL以上、さらに好ましくは1億個/mL以上、より好ましくは3億個/mL以上、さらに好ましくは4億個/mL以上であることが挙げられる。本発明の組成物における微細気泡濃度の上限としては特に制限されないが、目安として30億個/mL以下、20億個/mL以下、10億個/mL以下が挙げられる。
特に好ましくは、直径1μm以下の微細気泡の個数濃度(個/mL)が、1千万個/mL以上、より好ましくは2千万個/mL以上、より好ましくは5千万個/mL以上、さらに好ましくは7千万個/mL以上、さらに好ましくは1億個/mL以上、より好ましくは3億個/mL以上、さらに好ましくは4億個/mL以上であることが挙げられる。
さらに、直径1μm以下の微細気泡濃度の上限としては特に制限されないが、目安として30億個/mL以下、20億個/mL以下、10億個/mL以下が挙げられる。
【0077】
本発明における微細気泡の個数濃度は、以下の手法を用いて測定した値として定義される。
(1)溶液に微細気泡を発生させ、25mLガラススクリュー内に、微細気泡含有溶液を充填する。
(2)液温20℃で24時間保管後、市販のナノ粒子測定装置により微細気泡個数濃度を測定する。
(3)測定コントロール(バックグラウンドに相当)として、微細気泡発生前の溶液中の微細気泡粒子の個数濃度をあらかじめ測定し、前記液温20℃で一日保管後の測定値から差し引く。その差分を組成物中に含まれる微細気泡個数濃度として算出する。
本明細書中において、微細気泡の個数濃度は、市販のナノ粒子測定装置を用いてナノトラッキング法により測定することができる。
測定装置としては、好ましくは測定可能な個数濃度の範囲が100万個/mL以上10億個/mL以下である。また、測定の目的とする気泡の粒子サイズに応じて、対応する条件で測定可能な装置を適宜選択することができる。
ウルトラファインバブルの個数濃度を測定する場合には、例えば、Malvern Panalytical社製のナノ粒子解析装置(NS300)を用いることができる。
また、この場合において、上記の製品に限らず、以下と同等の性能を有すれば、いかなる装置も使用することができる。
(ナノ粒子解析装置の性能)
測定個数範囲:100万個~10億個/mL
光源波長:405 nm(紫色)
カメラ:sCMOS
温度制御範囲:-5~50℃
粒子サイズ:10~1000 nm
【0078】
本発明における微細気泡を構成する気体は、好ましくは空気、水素、二酸化炭素、酸素、窒素及びオゾンからなる群から選択される1以上の気体で構成される。特に好ましくは、空気、水素、酸素、窒素及びオゾンからなる群から選択される1以上の気体である。さらに、単体の物質から構成される気体に限らず、複合気体を用いてもよい。
【0079】
本発明の組成物は、好ましくは化粧料組成物である。
化粧料組成物の形態として、肌用化粧料、頭髪用化粧料、洗浄料、シェービングフォーム、手指消毒液等が挙げられる。上記肌用化粧料としては、化粧品、化粧水、乳液、美容液、クリーム、フェイスパック、ファンデーション、エッセンス、アイクリーム等が挙げられ、上記頭髪用化粧料としては、ヘアリンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアカラー、ヘアカラートリートメント、育毛剤、整髪料、ヘアローション等が挙げられ、上記洗浄料としては、洗顔料、クレンジング料、毛髪洗浄剤、身体洗浄剤等が挙げられる。
【0080】
本発明における組成物の任意成分としては、特に制限されず、通常化粧料に用いられる成分が挙げられる。前記成分として、界面活性剤、油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、粘剤、樹脂、香料、紫外線吸収剤(有機系、無機系を含む。UV-A、Bのいずれに対応していても構わない)、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分、アミノ酸類、美白剤、血行促進剤、抗炎症剤、殺菌剤、冷感剤、制汗剤、塩類、酸化防止剤、皮膚賦活剤、色素、ビタミン類、中和剤、pH調整剤等の成分が挙げられる。なお、これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途として転用、例えば、ビタミン類を抗酸化防止剤として使用したり、他の用途との兼用、例えば、界面活性剤を微細気泡の安定化剤としての効果を奏するものとして使用したりすることもできる。さらに上記の例に限定されるものではなく、当業者が通常使用するものであれば全て用いることができる。
【0081】
2)前記組成物を収容した容器入り組成物
次に、本発明の組成物を収容した容器入り組成物について説明する。
【0082】
本発明の容器入り組成物は、前述の通り、収容される組成物自体が微細気泡を安定的に含むものである。
そのため、用いる容器は、好ましくは、微細気泡を発生させるための機構を有さない。
容器の形状や材質は特に制限されないが、容器の形状としては、略直方体状、略立方体状、略円柱形状、袋状などが挙げられ、容器の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ガラスなどが挙げられる。
また、容器から吐出される組成物の剤型は、特に限定されず、例えばスプレータイプ、ミスト状、液状吐出タイプ、泡状タイプ、そのまま開口より吐出又は取り出すタイプ等が挙げられる。
【0083】
本発明の容器入り組成物の使用方法として、容器を開封し、組成物を取り出し、そのまま皮膚に接触させる等が好ましい。より好ましくは、使用直前に微細気泡を発生させずに、収容された組成物をそのまま皮膚に接触させて使用することが望ましい。
すなわち、本発明の容器入り組成物は、収容される組成物に高濃度の微細気泡が含有された状態で流通し、ユーザのもとに届けられる。
さらに、上述した、本発明の容器入り組成物中の、微細気泡の個数濃度の測定値は、製造直後の測定値ではなく、製造直後から一定時間を経たときの測定値であることが好ましい。
すなわち、組成物の容器への充填直後であっても、充填から24時間以上、1週間以上、1か月以上経過後であっても、前述の好ましい微細気泡濃度を保持していることが好ましい。
【0084】
本発明の容器入り組成物は、好ましくは、前記化粧料組成物を前記容器に含む、容器入り化粧料である。容器入り化粧料の形態において、化粧料組成物は、上記、1)微細気泡を含有する組成物の説明を援用できる。
【0085】
3)組成物、及び容器入り組成物の製造方法について
【0086】
本発明の組成物は、例えば、以下の方法で製造することができる。
a)液体溶媒に、表面張力が65mN/m以下となるように前記化合物、好ましくは前記保湿剤及び/又は防腐剤を添加し、原料組成物を得る。前記、原料組成物に微細気泡を封入し、本発明の組成物を得ることができる。
前記液体溶媒は、好ましくは純水である。
また前記、原料組成物には、微細気泡の保持を阻害しない範囲で、美白成分、しわ改善成分等、通常化粧料で使用される成分を、任意成分として配合することができる。
【0087】
本発明における、前記原料組成物に微細気泡を封入する方法は特に限定されず、公知の方法により行われていてもよい。
例えば、微細孔面に沿った高速液流により、微細孔面を通して液中に注入されたガスをせん断して気泡を発生させ含有する方法、又は気液混合物をポンプで加圧し、ガス成分を液中に過飽和まで溶解させ、未溶解気泡を分離し、過飽和液のみを減圧弁を経て常圧液中に噴出させ、気泡を析出させて含有する方法等が挙げられる。
【0088】
このようにして得られた組成物は、容器に収容して、容器入り組成物とする。
なお、組成物は、希釈溶媒等で目的の微細気泡個数濃度となるように希釈してから容器に収容してもよい。
【0089】
4)微細気泡入り組成物の設計方法について
次に、本発明における、組成物の設計方法について説明する。
なお、本発明の組成物の設計方法の実施の形態における、好ましい化合物やその含有量は、上記組成物の発明に記載の内容を援用できる。
【0090】
本発明の微細気泡入り組成物の設計方法は、配合濃度の水溶液の表面張力が65mN/m以下であることを指標として、成分と配合濃度の組み合わせを設計する、組成物の設計方法である。
設計の指標となる表面張力は、好ましくは65mN/m以下であり、より好ましくは50mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下である。下限値の目安は20mN/mである。
本発明の好ましい形態では、前記成分は、水溶液とした時の表面張力が、前記の値以下となれば、単体でも複数種類の成分を組み合わせてもよい。また、該成分の少なくとも一部は、前述の化合物から選択することが好ましい。当該化合物の好ましい形態は、前述のとおりである。
さらに、前記成分の配合量の決定に当たっては、任意の成分、それらの組み合わせを選択し、各成分の配合量を適宜増減させることで、原料組成物の表面張力が、前記指標を満たすように配合濃度を決定する。
この設計工程中に、調製した組成物の表面張力を測定する工程を含んでいることが好ましい。
本発明の好ましい形態では、前記成分は化粧料中に一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、好ましくは液体の成分である。また、組成物に可溶であれば、固体、粉末などの成分を使用してもよい。
【0091】
5)微細気泡個数濃度増大剤
次に、本発明における微細気泡個数濃度増大剤について説明する。
本発明の微細気泡個数濃度増大剤は、炭素数が12個以下の、1~6価の1~2級アルコールから選ばれる1種以上の化合物からなる。
また、本発明の微細気泡個数濃度増大剤は、両親媒性エステル及び両親媒性エーテルから選ばれる1種以上の化合物からなる。
前記化合物の好ましい実施形態は、上記組成物の発明に記載の内容を援用できる。
【0092】
前記、微細気泡個数濃度増大剤の使用方法は特に限定されないが、微細気泡を含有させたい液体溶媒と前記個数濃度増大剤を混合し、微細気泡を封入して使用することが好ましい。
さらに、前記個数濃度増大剤に微細気泡を封入する順序は特に限定されず、例えば、前記個数濃度増大剤と、微細気泡を含有させたい液体溶媒を混合してから微細気泡を封入してもよい。
また、液体溶媒に予め微細気泡を封入後、前記個数濃度増大剤を添加してもよい。
加えて、微細気泡を封入した後、希釈溶媒等で目的の微細気泡個数濃度となるように希釈してもよい。
【実施例0093】
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0094】
本発明における微細気泡のうち、特に高い洗浄作用を有する、直径1μm以下の気泡(ウルトラファインバブル:以降UFBと表記する)を用いて、以下の試験を行った。
<試験例1>UFB含有試験
各種化合物を含む水溶液が、化粧料組成物に適した濃度で、高濃度のUFBを含有できるかを確認した。
【0095】
(溶液調製)
1)保湿剤の調整
化粧料中で保湿目的として用いられるDPG、1,3-プロパンジオール、グリセリン、ソルビトール、BGそれぞれについて、10~30質量%水溶液を調製した。また、コントロールとして、純水についても測定を行った。
2)防腐剤の調整
化粧料中で防腐目的として用いられるエチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、ペンチレングリコールを選択し、前記成分が0.2~5質量%となるよう溶液を調製した。また、コントロールとして、純水についても測定を行った。
なお、1)、2)いずれの工程においても、希釈溶媒として純水を使用した。
【0096】
(UFB封入工程)
微細孔方式発生装置を用いて、上記の各溶液に空気を封入しUFBを発生させた。(反応温度:25℃、大気圧下)
【0097】
(UFB個数濃度測定)
1)UFBを含有する溶液を25mLスクリュー瓶に充填し、20℃で24時間静置した。
2)その後、各溶液中のUFBの個数濃度をMalvern Panalytical社製ナノ粒子解析装置(ナノサイトNS300)を用いて測定した。
3)UFB封入後の個数濃度から、予め測定したUFB封入前の個数濃度を差し引いた値を、個数濃度として算出した。
【0098】
(結果)
試験例1の結果を
図1に示す。
図1のa)は保湿剤溶液のUFB個数濃度、b)は防腐剤溶液のUFB個数濃度を示す。
図1に示すとおり、本発明の各保湿剤、防腐剤を含む溶液は、UFBを2000万個/mL以上含有できることが確認された。
【0099】
<試験例2>表面張力とUFB個数濃度の関係
各種化合物を含む水溶液の表面張力と、UFBの含有濃度との関係を調べた。
【0100】
(溶液調製)
以下の成分及び質量%濃度で、化粧料原料組成物を調製した。なお、希釈溶媒には純水を用いた。
・30質量%DPG
・30質量%1,3-プロパンジオール
・30質量%BG
・30質量%グリセリン
・0.2質量%エチルヘキシルグリセリン
・0.5質量%フェノキシエタノール
・5質量%ペンチレングリコール
・10質量%DPG
・20質量%DPG
・15質量%DPG+15質量%グリセリン
・0.2質量%エチルヘキシルグリセリン+15質量%DPG
・0.2質量%エチルヘキシルグリセリン+15質量%グリセリン
・0.1質量%シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
・0.1質量%PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン(ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.))
・0.1%PPG-24グリセレス-24(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(24E.O.)(24P.O.))
・0.1%酢酸エトキシジグリコール
(化粧料原料組成物の表面張力測定)
前述の各化粧料原料組成物の表面張力を測定した。
各化粧料原料組成物について3回測定を行い、その平均値を求めた。
なお、表面張力の測定には、協和界面化学(株)社製 自動表面張力計 CBVP-Zを用いた。表面張力計の校正は専用の分銅にて行い、校正後の測定精度を確認するため、超純水(導電率18.2MΩ・cm)の表面張力が72.8mN/m(文献値)となることを確認後、以下の条件で測定を実施した。
(条件)温度:20℃、測定方法:Wilhelmy Plate法、測定時間:30分
(UFB封入工程)
試験例1と同様の方法を用いて、前記化粧料原料組成物にUFBを封入し、UFB含有組成物(化粧料組成物)を得た。
(UFB個数濃度測定)
試験例1と同様に、得られた化粧料組成物中のUFBの個数濃度を測定した。
【0101】
(結果)
試験例2で測定した、各化粧料組成物の処方、得られた各化粧料原料組成物の表面張力、及びUFB個数濃度の測定値を表1に示す。なお、表中の濃度の表記はすべて質量%である。
化粧料原料組成物にUFBを封入して得られるUFB含有組成物の表面張力は、化粧料原料組成物の表面張力に対し、少なくとも14%程度低下した。
【表1】
図2(a)は、表1に示した成分(1)~(12)の結果をグラフにしたものである。
図2(b)は、表1に示した成分(1)~(16)の結果をグラフにしたものである。
縦軸は各種化粧料組成物のUFB個数濃度、横軸は各種化粧料原料組成物の表面張力を示す。
(考察)
図2からわかるように、化粧料原料組成物の表面張力とUFBの個数濃度には負の相間関係がみられた。従って、前記化粧料原料組成物の表面張力が低いほど、UFBの個数濃度が増大することが確認された。
また、UFB封入前と比較して、UFB封入後の化粧料組成物の表面張力が低下することから、化粧料組成物の表面張力が65mN/mより低いほど、UFBの個数濃度が増大することが示された。
【0102】
<試験例3>界面活性剤の添加試験
界面活性剤によるUFBの安定性への影響を試験した。
【0103】
(方法)
1)以下の各化粧料原料組成物を調製し、試験例1に記載の方法と同じ方法で、UFBを封入し、化粧料組成物を調製した。
・30質量%DPG-UFB溶液
・30質量%DPG-UFB及び+1質量%ステアリン酸PEG25混合溶液
・30質量%DPG-UFB及び+1質量%ステアリン酸PEG45混合溶液
2)0日、2週間、一か月経過後、前記調製した3種類の溶液に含まれる、UFBの個数濃度と粒子径をナノ粒子測定装置及びPTA測定法で測定した。
測定は各溶液を、5℃、20℃、40℃、50℃の恒温槽に入れ行った。
併せて、各溶液について、
-5℃条件で12時間保存後、12時間かけて40℃に戻す、さらに40℃で12時間保存後、12時間かけて―5℃に戻すサイクルを行う、NA(ノーマルエイジング)恒温槽で、測定を行った。
なお、UFB個数濃度の測定装置は試験例1と同様の方法を用いた。粒子径の測定はMalvern Panalytical社製ナノ粒子解析装置(ナノサイトNS300)を用いた。
【0104】
(結果)
図3に、30質量%DPG-UFB溶液(図中左)、30質量%DPG-UFB+1質量%ステアリン酸PEG25溶液(HLB値:15)(図中中央)、及び30質量%DPG-UFB+1質量%ステアリン酸PEG45溶液(HLB値:18)(図中右)の、UFB個数濃度及びUFB気泡径の測定結果を示す。
各グラフ中、系列名は、測定を行った恒温槽の温度(5℃、20℃、40℃、50℃、NA(ノーマルエイジング))を示す。
さらに、各図中、上段グラフはUFB個数濃度、下段グラフはUFBの気泡径を示す。
なお、各図中、上段グラフ中の破線はUFBの個数濃度の下限値目安(1.38億個/mL)を示し、各図中、上段グラフ中の破線はUFBの気泡径目安(100nm)を示している。
図3より、30質量%DPG-UFB溶液の場合と比較して、界面活性剤(ステアリン酸PEG25、ステアリン酸PEG45)の添加によって、気泡径が経時変化により小さくなることが抑制された。さらにUFB個数濃度も目標値の(1.38億個/mL)以上を維持し、UFBの気泡の経時安定性が保たれることが確認された。
【0105】
<試験例4>洗浄能力評価試験
次に、本発明の化粧料組成物を用いて、UFBの個数濃度と洗浄力との関係を調べた。ここで、市販品のクレンザー(比較用製品A)との比較も行った。
【0106】
(方法)
1.30質量%DPG-UFB溶液の調製
上記の試験例と同様に30質量%DPG-UFB溶液を調製した。
試験例1と同様の方法を用いてUFBを発生させ、得られた30質量%DPG-UFB溶液中のUFBを表2に記載の希釈率(1~300倍)で希釈し、30質量%DPG-UFB希釈溶液を得た。その後試験例1と同様に、各希釈溶液のUFB個数濃度を測定した。なお、希釈には30質量%DPG溶液を用いた。さらに、UFB個数濃度の測定は試験例1と同様の手法を用いて行った。
各30質量%DPG-UFB希釈溶液に対する、UFB個数濃度の測定結果を表2に示す。
【表2】
【0107】
2.比較用製品Aの調製
比較用として、市販のクレンザー製品(比較用製品A)の処方を再現し、調製した。
比較用製品Aの処方は以下の通りである。
(処方)水、ラウロイルグルタミン酸Na、PG、ステアリン酸PEG-150、ガラクトミセス培養液(ギュウニュウ)、PCA-Na、ステアリン酸グリコール、BG、コカミドMEA、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ノバラ油、ステアラミドAMP、トリクロサン、ペンチレングリコール、セイヨウシロヤナギ樹皮エキス、グリチルリチン酸2K、ヒドロキシフェニルプロパミド安息香酸
【0108】
3.洗浄指数Wの測定
調製した各30質量%DPG-UFB希釈溶液、及び比較用製品Aについて、以下の方法で溶液の洗浄指数(W)を求めた。
1)人工皮膚モデルに黒色顔料を均一に分散したオレイン酸を塗布して10分乾燥させた。
2)前記オレイン酸を塗布した人工皮膚モデルを撮影し、汚れ度合いを二値化した画像のピクセル数で評価し、洗浄前の汚れの指標BBを求めた。
3)皮膚モデルを洗浄液に浸し、60分間スターラー攪拌により洗浄した。
4)洗浄した人口皮膚モデルを10分乾燥後、同様に汚れの度合いを撮影し、汚れ度合いを二値化した画像のピクセル数で評価し、洗浄後の汚れの指標BWを求めた。
5)上記の値を用いて、以下の式1より洗浄指数(W)を算出した。
(W)=(BB-BW)/BB …(式1)
【0109】
(結果)
表2で得られた各30質量%DPG-UFB希釈溶液の、UFB個数濃度に対する洗浄指数(W)の結果を表3に示した。さらに表3の結果からグラフを作成し、
図4に示した。
【表3】
表3及び
図4より、各30質量%DPG-UFB希釈溶液のUFB個数濃度が高くなると、洗浄能力が高くなることが確認された。
また、30質量%DPG-UFB溶液は、UFB個数濃度7000万個/mL以上で比較用製品Aよりも高い洗浄指数を示した。
よって本発明の化粧料組成物が、市販品のクレンザーと比較して高い洗浄効果を有することが確認された。