(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115535
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】コアンダ効果を利用した高速アーススイッチ
(51)【国際特許分類】
H02B 13/075 20060101AFI20240819BHJP
H01H 9/44 20060101ALI20240819BHJP
H01H 33/915 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H02B13/075
H01H9/44 Z
H01H33/915
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019085
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】23305195.2
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール・フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ギュヨン・オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】モンベル・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】レギザモン・カブラ・ディアナ
【テーマコード(参考)】
5G001
5G017
5G027
【Fターム(参考)】
5G001AA04
5G001BB03
5G001CC03
5G001DD03
5G001EE01
5G017BB03
5G017HH06
5G027AA03
5G027BA03
5G027BC14
(57)【要約】
【課題】GIS用の高速アーススイッチ(10)を提供する。
【解決手段】GIS用の高速アーススイッチ(10)は、端部(14)を有する可動コンタクトロッド(12)と、前記コンタクトに固定され、前記コンタクトロッドの少なくとも一部の周囲にガスチャンバ(28)を形成するシリンダ(20)とを含み、前記ガスチャンバは、前記コンタクトロッドが閉位置から開位置に移動するときに、前記コンタクトロッド(12)とその端部(14)に沿ってガスが流れることができるように、前記コンタクトロッドの周囲に出口(22)を含み、スイッチ(10)は、前記コンタクトロッドを閉位置と開位置との間で作動させるための手段(6、8)を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GIS用高速アーススイッチ(10)であって、
端部(14)を有する可動コンタクトロッド(12)と、
前記コンタクトに固定され、前記コンタクトロッドの少なくとも一部の周囲にガスチャンバ(28)を形成するシリンダ(20)であって、前記ガスチャンバは、前記コンタクトロッドが閉位置から開位置に移動するときに、前記コンタクトロッド(12)とその端部(14)に沿ってガスが流れることができるように、前記コンタクトロッドの周囲に出口(22)を含む、前記シリンダ(20)と、
前記コンタクトロッドを閉位置と開位置との間で作動させるための手段(6、8)と、
を含む、高速アーススイッチ(10)。
【請求項2】
前記シリンダ(20)は、リップ(24)を備える端部を有し、前記リップ(24)は、前記シリンダ(20)から前記ロッド(12)に向かって延び、前記リップ(24)は、前記ロッド(12)から離間する端部(241)を備え、それにより、前記ロッドと共に出口スロット(22)を形成する、請求項1に記載の高速アーススイッチ(10)。
【請求項3】
前記シリンダ(20)は、アルミニウム製又はプラスチック製である、請求項1又は2に記載の高速アーススイッチ(10)。
【請求項4】
前記シリンダ(20)の端部と前記端部(14)との間の距離(d1)は、10mm以上60mm以下である、請求項1乃至3のいずれかに記載の高速アーススイッチ(10)。
【請求項5】
前記出口(22)は、3mmから10mmの間の厚さ(e)を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の高速アーススイッチ(10)。
【請求項6】
ガスで満たされた金属タンク(1)と、
請求項1乃至5のいずれかに記載の高速アーススイッチ(10)と、
を含む、GIS。
【請求項7】
前記ガスは、SF6、又はヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトン(2-ブタノン、1,1,1,3,4,4.4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-(CAS番号756-12-7))及び/又はCO2及び/又はO2及び/又はN2及び/又は酸素化化合物、例えばCO2とフッ素化化合物(例えばヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトン)の両方を含む、請求項6に記載のGIS。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のGISのアーススイッチ(10)を開放する方法であって、
前記GISの前記固定接点(5)から前記可動コンタクトロッド(12)を分離するステップと、
前記ガスの流れが前記ロッド(12)の前記端部(14)の形状に沿うように前記ロッドに沿ってガスの流れを吹き出すステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記固定接点(5)は、前記スイッチの開放後、3kVから30kVの間の電圧にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ロッドは、前記固定接点(5)からの前記可動コンタクトロッド(12)の分離の間、1m/sと10m/sとの間の速度で移動する、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にガス絶縁サブステーション(GISs:Gas-Insulated Substations)と呼ばれるガス絶縁サブステーション(gas-insulated substations)に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特にこの種の電気機器の高速アーススイッチ(fast earthing switches)に関する。アーススイッチは、機器に接続する電気ネットワーク(electrical network running through the equipment)の動作に応じて、又はこの最後の保守作業中(during maintenance operations of this last)に、電気導体又はバー(electrical conductors or bars)を接地することを可能にする。
【0003】
より具体的には、スイッチは、導体又はバーを貫通し、スイッチのケーシングに接続されるコンタクトロッドから構成される。
【0004】
ガス絶縁サブステーション(GIS)は一般に、六フッ化硫黄(SF6:sulfur hexafluoride)を使用しで絶縁され、六フッ化硫黄(SF6)は0.4メガパスカル(MPa:megapascals)から0.8MPa、例えば0.7MPaの使用圧力(service pressure)で、金属タンク(service pressure)に加圧充填される。
【0005】
六フッ化硫黄(SF6)は温室効果ガスの一種とされ、近年他のガスに置き換えられつつある。特に、ヘプタフルオロイソブチロニトリル(heptafluoroisobutyronitrile)に二酸化炭素と多くの酸素を含む希釈ガス(dilution gas)を混合したg3と呼ばれるガスがSF6の代替ガスとして使用されている。このような新しいガスは、環境負荷を大幅に低減し(ガス地球温暖化係数(GWP:global warming potential)を99%以上低減)、SF6製品と同じ温度範囲(-30℃まで)で制限なく作動する。
【0006】
しかし、この新しいガスは、当該ガスを導入しているGISの高速アーススイッチを開くと、より容易に分解されることが分かっている。特に、このガスはイオン化しやすく、元のガスに再結合(ecombine into the original gas)しない。その結果、アークは停止しない。
【0007】
従って、GIS、特に前記g3ガスを使用するGISだけでなく、他の代替ガスを使用するGISの高速アーススイッチの開放中に、アークを制限し、可能な限り高速で停止させるという問題がある。
【0008】
従って、GISにSF6又はその代わりのガスが充填されたGISにおいて、高速スイッチング動作を行うことができる新しいアーススイッチを見つけるという問題がある。代わりのガスは、例えばヘプタフルオロイソブチロニトリル(heptafluoroisobutyronitrile)及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトン(heptafluoroisopropyl trifluoromethyl ketone)(2-ブタノン、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-(CAS番号756-12-7)とも称される)及び/又はCO2及び/又はO2及び/又はN2及び/又は酸素化合物を含むガス、例えば、CO2とフッ素化化合物(fluorinated compound、例えばヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトン:heptafluoroisobutyronitrile and/or heptafluoroisopropyl trifluoromethyl ketone)の両方を含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3611745A1号
【発明の概要】
【0010】
上記の問題を解決するため、本発明者らは、高速アーススイッチの開放時に発生するアークをより効率的に吹き飛ばす解決策を見出した。
本発明の一態様は、以下の構成要素を含むGIS用アーススイッチに関する。GIS用アーススイッチは、
可動コンタクトロッドと、
前記コンタクトに固定され、前記コンタクトロッドの少なくとも一部の周囲にガスチャンバを形成するシリンダであって、前記ガスチャンバは、前記コンタクトロッドが閉位置から開位置に移動するときに前記コンタクトロッドに沿ってガスが流れるように、前記コンタクトロッドの周囲に出口を含む、前記シリンダと、
前記コンタクトロッドを閉位置と開位置との間で作動させるための手段とを含む。
コンタクトロッドの端部におけるガスの流れは、以前にアークが発生したガス(previously arced gas)の温度を低下させる。このゾーンの「冷却」によってガスの誘電特性(dielectric properties)が回復し、電気アークが中断される。
前記シリンダは、リップを備えた端部を有することがでる。リップは、前記シリンダから前記ロッドに向かって延び、前記端部が前記ロッドから離間しているので、それにより、前記ロッドで出口スロットが形成される。
前記シリンダは、例えばアルミニウム製又はプラスチック製である。
好ましくは、本発明による高速アーシングスイッチであり、
前記シリンダの端部と前記端部との間の距離(d1)は、例えば10mmから60mmの間であり、及び/又は前記排出口は、例えば3mmから10mmの間の厚さ(e)を有する。
【0011】
本発明はまた、GISにも関する。GISは、
ガスで満たされた金属タンクと、
上記又は本出願に開示された、本発明によるアーシングスイッチとを含む。
本発明によるGISは、SF6で充填することができるが、これに代えて、例えばヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトン(2-ブタノン、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-(CAS番号756-12-7)とも称される)及び/又はCO2及び/又はO2及び/又はN2及び/又は酸素化合物からなる代替ガスで充填することができ、あるいは代替ガスを含むことができる。例えば、CO2及びフッ素化化合物、例えばヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトンの両方を含むことができる。前記代替ガスは、上記で説明したように、分解して多くの粉末を生成し得る。
【0012】
本発明はまた、本発明によるGISのアーシングスイッチを開放する方法にも関する。方法は、
可動コンタクトロッドを固定接点に対して移動させ、それによって可動接点を固定接点から分離するステップと、
前記ロッドに沿ってガスの流れを吹き込むステップと、を含み、前記ガスは前記コンタクトの湾曲した端部に沿って流れ、それによりアークを消弧する。
本発明による方法では、
前記固定接点は、例えば、前記スイッチの開放後、2kVから30kVの間の電圧であり、及び/又は前記ロッドは、前記固定接点から可動コンタクトロッドを分離する間、1m/秒から10m/秒の間の速度で移動する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の実施形態によるガス絶縁サブステーション及び開閉器の例を示す。
【
図1B】本発明の実施形態によるガス絶縁サブステーション及び開閉器の例を示す。
【
図4】本発明によるスイッチのロッドに沿って流れるガスの流れを示している。
【
図6A】本発明によるアーシングスイッチの開放段階の様々なステップを示している。
【
図6B】本発明によるアーシングスイッチの開放段階の様々なステップを示している。
【
図6C】本発明によるアーシングスイッチの開放段階の様々なステップを示している。
【
図6D】本発明によるアーシングスイッチの開放段階の様々なステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態によるスイッチ10を構成する金属タンク1、または遮断チャンバ(interrupting chamber)の一例を
図1A及び
図1Bに示す。
【0015】
金属タンク1は、ガス、例えばSF6又は他のガス、例えばヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトン(2-ブタノン、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-(CAS番号756-12-7)とも称される)及び/又はCO2及び/又はO2及び/又はN2及び/又は酸素化合物を含む他のガスで充填される。例えば、前記他のガスは、CO2及びフッ素化化合物、例えばヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトンの両方を含むことができる。
【0016】
外側部品(コロナシールドを形成する導体)3は、静止接点(stationary contact:固定接点)5を収容し、それ自体が導電体7(コロナシールドの内側を形成する導体)と接触している。参照番号31は電気絶縁部品である。
【0017】
アーススイッチ10は、前記静止接点5(
図1A)と接触することができ、それによりアースと接続される。静止接点5は、例えばタングステン製の複数のフィンガー(チューリップ形状)から構成することができる。
【0018】
遮断後、両接点は互いに分離され(
図1B)、静止接点5は例えば数kVの電圧、例えば2kVから30kVの間にある。
【0019】
スイッチ10は、ハウジング又は筐体30(金属タンク1に固定され、タンク1に対して固定されたままである)に収められ、軸AA’に沿って延びている(
図1A及び
図2参照)。ハウジング又は筐体30は、例えばアルミニウム製である。
【0020】
スイッチは、作動システム6、8の助けを借りて、前記軸AA’に沿って固定接点(fixed contact)5に対して移動するように取り付けられた可動コンタクトロッド12を含む。可動コンタクトロッド12は、電流がスイッチ(接点5は接地されている)及びロッドの側方接点(lateral contacts)16を通って流れることができる閉位置(
図1A)から、固定接点5とロッド12との間の電流が遮断される開位置(
図1B)へ、又はその逆へ移動することができる。側方接点16は、例えばタングステンを含まない銅とクロム(Cu-Cr)の混合物で作られ、チューリップ形状を持つことができる。それらは金属タンク1に対して固定されたままであり、コンタクトロッドはその中を摺動(slide)する。例えば、ハウジング30に固定されたフランジやカラー17に取り付けられる。ハウジングの後部にガスを注入できるように、カラー17に開口部19を設けることができる。
【0021】
図2に見られるように、本発明によるスイッチは、通常、銅とタングステン(Cu-W)を含み、好ましくは丸みを帯びた形状を有する端部14(先端部)を含むロッド12で構成された可動接点からなる。これは、例えば、Cu-Crで作成されたロッドの残りの部分に電子ビーム溶接される。
【0022】
シリンダ20は、固定手段27(例えば1つ以上のリベット又は1つ以上のネジ)によってロッドに固定され、ロッドを部分的に取り囲んで円筒形のガスチャンバ(gas chamber:ガス室)28を形成する。このガスチャンバ又はブローイングチャンバ(gas or blowing chamber)は、システムが閉じているとき(
図1A)には例えば0.64リットルという大きな容積を有し、システムが開いているとき(
図1B及び
図2)には例えば0.034リットルという小さな容積を有する。リップ24はシリンダ20からロッド12に向かって延びているが、その端部241はロッドと接触しないので、ロッドと出口スロット22を形成する。端部241とロッド12との間の距離(
図4の厚さ「e」を参照)及びシリンダの端部とロッド12の端部14との間の距離d1(
図2を参照)は、チャンバから排出されるガスがピンの近くに留まるように選択される(例えば、d1は10mmから60mmの間で構成され、eは3mmから10mmの間で構成され得る)。各構成に最適なパラメータは、実験又は流体シミュレーションによって求めることができる。
【0023】
従って、ブローイングチャンバ28に収容された圧縮ガスは、例えば1m/sから10m/sの速度で、スイッチの開放中にシリンダによって圧縮されると、リップ24の端部241とロッド12の側方表面との間の、前記スロット22を通って逃げる(escape)ことができる(
図4の矢印参照)。実際には、圧縮はスイッチの開き始めから始まり、急冷プロセス(quenching process)の効率に寄与する。
【0024】
シリンダ20は、例えばアルミニウム製又はプラスチック製である。ハウジング30内をスライドすることができる。絶縁スペーサ33(ハウジング30及びタンク1に固定可能)がガスチャンバを閉じる。シリンダ20は絶縁スペーサ33上をスライドする。
【0025】
スイッチ10の開放手順の間、2つの接点5、12は、例えば1m/sから10m/sの間、例えば5m/sの速度で分離する。固定接点5(数kV、例えば2kVから30kVの間)とロッドの端部14との間の所定の距離d(
図5参照)において、最大数百A、例えば10Aから500Aの電流のアーク40が形成される。
【0026】
ガスチャンバ28内の冷却ガス(cool gas)の圧縮により、このガスの流れはロッド12の表面に沿って端部14に向かって流れる。冷却ガスは、コアンダ効果(Coanda effect)により丸みを帯びた形状の端部14に沿って流れ、アークの非常に効率的な消弧に寄与する。実際、冷却ガスはピンの端部14に付着する効果(sticking effect)がある。その後、冷却ガスはアークゾーン(arcing zone)に到達してアークを冷却し、アークの電流を遮断する。
【0027】
本発明によるスイッチの開放プロセスの一例を、
図6A~6Dにより正確に示す。上記と同じ参照は同じ要素を示す。
【0028】
図6Aには、両接点5、12がちょうど分離した最初の位置が示されている。可動接点は矢印の方向に例えば5m/sの速度で移動する。両接点の分離により、チャンバ28内のガスは圧縮され始める。
【0029】
第2の位置が
図6Bに示されており、両接点5、12間の距離dは例えば5mmから30mmの間、例えば約25mmである。チャンバ28に収容された圧縮ガスは、ロッド12に沿ってその端部14に向かって流れ始める。ガスの流れはコアンダ効果を受け、端部14の丸みを帯びた形状に沿う。
【0030】
図6Cに示す第3の位置では、両接点5、12間の距離が大きくなり(例えば30mmから60mmの間、例えば約50mm)、コアンダ効果が
図6Bよりも重要になる。ブローイングチャンバから流出するガスの速度も(ブローイングチャンバの容積が減少したため)増加し、例えば約20m/sとなり、このガスはロッドの端部まで来てからアーク点火点に到達する。接点5と12の間でアークが発生し、ガスが分解される。末端部14でのガスの流れは、このゾーンで先にアークが発生したガスの温度を下げる。このゾーンの「冷却」によってガスの誘電特性が回復し、電気アークが遮断(interrupt)される。
【0031】
図6Dは、両接点5、12間の距離が最大となる(例えば60mmより大きく、例えば約90mm)最終位置を示す。
【0032】
作動システム6、8(スイッチを開閉するための手段を形成する)は、例えば、軸81(遮断器の軸AA’に対して垂直)を中心に回動するように取り付けられたレバー8(
図1A、2、5参照)によってその一端が作動するロッド6を含む。ロッド6の他端も、軸AA’に沿ってロッド12を移動させるために、軸を中心にロッド12上で回転するように取り付けられている。言い換えれば、作動システムは、軸81の回転(詳細には説明しない機構によって駆動される)を、軸AA’に沿ったロッド12の並進(translation)に変換する。
【0033】
ロッド6とレバー8のアームの長さは、ニーズ、特にアーク放電の予想されるタイミングに応じて寸法を決めることができる。例えば、レバー8の長さは108mm、ロッド6の長さは69mmである。
【0034】
本発明によるGISは、例えばSF6のようなガスを含み、その中で作動する。代替的に、SF6の使用から生じる温室効果を低減するために、他のガスを使用してもよい。ヘプタフルオロイソブチロニトリル及び/又はヘプタフルオロイソプロピルトリフルオロメチルケトン(2-ブタノン、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-(CAS番号756-12-7)とも称される)を含むガスであって、場合により、少なくともCO2及び/又はN2及び/又は酸素化合物からなるガス又は希釈ガスと混合されたガス又は、少なくともCO2及び/O2及び/又はN2及び/又は酸素化合物(oxygenated compound)を含むガス(said gas comprising SF6, or heptafluoroisobutyronitrile and/or heptafluoroisopropyl trifluoromethyl ketone (also named 2-butanone, 1,1,1,3,4,4,4-heptafluoro-3-(trifluoromethyl)- (CAS No 756-12-7)) and/or CO2 and/or O2 and/or N2 and/or an oxygenated compounds, for example said comprising both CO2 and a fluorinated compound, for example heptafluoroisobutyronitrile and/or heptafluoroisopropyl trifluoromethyl ketone)。
【0035】
本発明は、非常に高い電圧(例えば400kV、より一般的には100kVから500kVの間)で作動するGISに適用できる。しかし、本発明はより高い電圧にも適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1:金属タンク 3:外側部品 5:静止接点 6:作動システム 7:導電体 8:作動システム 10:アーススイッチ 12:可動コンタクトロッド 14:端部 16:側方接点 17:カラー 19:開口部 20:シリンダ 22:出口スロット 24:リップ 27:固定手段 28:ガスチャンバ 30:ハウジング 31:電気絶縁部品 33:絶縁スペーサ 40:アーク 81:軸 241:端部
【外国語明細書】