(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115539
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法および流し込み成形装置を制御する方法
(51)【国際特許分類】
B22D 46/00 20060101AFI20240819BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240819BHJP
B22D 18/04 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B22D46/00
G06Q50/04
B22D18/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019417
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】10 2023 103 582.7
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】515032363
【氏名又は名称】マーティンリー ホンゼル ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Martinrea Honsel Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Fritz-Honsel-Str. 30, D-59872 Meschede, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ボリス シュルテ
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流し込み成形部品用の安定したプロセスパラメータをより効率的に発見し制御することを可能にする、改善された流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法および改善された流し込み成形装置を制御するための方法を提供する。
【解決手段】流し込み成形プロセスのロバストな動作点を迅速に見出すための方法が提供され、メタモデルと補外可能なモデルとがシミュレーションおよび実用上のテストの双方におけるテストコストの削減に寄与し、次いでこれらのモデルが流し込み成形プロセスの自律的な制御に利用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法であって、前記方法は、次の方法ステップ、すなわち、
-テストポイント計算を実行するステップであって、
・流し込み成形部品用の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータが各テストポイントに対応付けられており、
・複数のプロセスパラメータによりn次元のテスト空間が定義され、
・前記テスト空間内でテスト空間を充填しながら前記テストポイントを連続的に計算して流し込み成形プロセスシミュレーションに引き渡す、
ステップと、
-流し込み成形プロセスシミュレーションを実行するステップであって、
・それぞれのテストポイントに対応付けられたプロセスパラメータに基づいて、テストポイント計算から引き渡されたテストポイントに対して、流し込み成形部品の製造が連続的にシミュレートされ、
・仮想の流し込み成形型における各テストポイントに対して、2つ以上の流し込み成形部品の連続製造が、前記仮想の流し込み成形型の温度が定常状態に達するまでシミュレートされ、
・1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して、1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、
ステップと、
-最適化を実行するステップであって、
・プロセスパラメータと対応付けられた出力パラメータとに基づいて、流し込み成形プロセスシミュレーションの少なくとも1つのメタモデルがn次元のテスト空間の少なくとも一部について作成され、
・1つもしくは複数の出力パラメータに対して、対応付けられたプロセスパラメータを有するロバストかつ定常的な最適値が算定される、
ステップと、
-流し込み成形プロセスを実行するステップであって、
・少なくとも1つの流し込み成形部品が流し込み成形装置により製造される際に、前記ロバストかつ定常的な最適値に対応付けられたプロセスパラメータが前記流し込み成形装置のプロセスパラメータとして使用され、
・前記流し込み成形部品に対する1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、
ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
-前記テスト空間は、少なくとも1つもしくは複数の既知の入力制約によって制限されており、
-前記入力制約は、特に、1つもしくは複数の既知の物理的な入力制約および/または1つもしくは複数の既知の機械技術的な入力制約および/または1つもしくは複数の既知の部品固有の入力制約である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
-前記テスト空間は、1つもしくは複数の出力制約によって制限されており、
-前記出力制約は、特に、1つもしくは複数の物理的な出力制約および/または1つもしくは複数の機械技術的な出力制約および/または1つもしくは複数の部品固有の出力制約であり、
-前記出力制約は、流し込み成形プロセスシミュレーションおよび/または流し込み成形プロセスの出力パラメータに基づいて算定される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
-少なくとも1つの出力制約に対して、補外可能なモデルが計算され、
-各テストポイントについて、流し込み成形プロセスシミュレーションに前記テストポイントを引き渡す前に、出力制約の遵守が補外可能なモデルに基づいて検査され、
-前記出力制約が遵守されている場合には、前記テストポイントが前記流し込み成形プロセスシミュレーションに引き渡され、
-前記出力制約が遵守されていない場合には、
・前記テストポイントが破棄され、テスト空間内の距離基準に基づいて新たなテストポイントが計算され、前記新たなテストポイントにつき再び出力制約の遵守が検査され、
または
・前記テストポイントが破棄され、前記出力制約の限界にある補外可能なモデルに基づいて新たなテストポイントが決定され、
または
・前記テストポイントが、前記補外可能なモデルにより、前記出力制約の限界までの安全距離が維持されるようにシフトされる、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
-前記補外可能なモデルは、線形回帰である、
または
-前記補外可能なモデルは、AIモデルである。
請求項4記載の方法。
【請求項6】
-第1のテストポイントとして、類似の部品のロバストなテストポイントが設定される、
または
-第1のテストポイントとして、前記プロセスパラメータが前記プロセスパラメータのパラメータ限界までの設定された最小距離を有するテスト空間内の中心テストポイントが選択され、特に既知の入力制約までの設定された最小距離を有するテスト空間内の中心テストポイントが選択される、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第1のテストポイントから出発して、まずテスト空間内のテストポイントが定義可能であり、前記テスト空間は、その時点で設定されているテストポイントと隣のテストポイントとに基づいてテストポイント固有に新たに計算された補外可能なモデルが形成可能となるまで、前記第1のテストポイントに対して設定された距離を上回らない、
請求項5および6記載の方法。
【請求項8】
前記テストポイントは、前記テスト空間を充填しながら前記テスト空間内の距離基準に基づいて連続的に計算され、
前記距離基準は、前記テスト空間内の先行のテストポイントの1つもしくは複数に対する、次に計算すべきテストポイントまでの距離を定義する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
各テストポイントに対して、溶融温度、圧力曲線、圧力保持時間、硬化時間、型開放時間、冷却パラメータ、オン/オフ時間から選択される1つもしくは複数のプロセスパラメータを設定することができる、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
1つもしくは複数のプロセスパラメータに対して、既知の入力制約により、前記テスト空間が制限される、
請求項2および請求項9記載の方法。
【請求項11】
-前記流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータは、ポーラス率、冷間運転などの流し込み成形部品の流し込み成形部品欠陥であり、
かつ/または
-前記流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータは、設定された位置などにおける仮想の流し込み成形型の工具温度のような機械パラメータである、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
連続する流し込み成形部品用の仮想の流し込み成形型の温度変化が設定された閾値を下回っている限り、前記流し込み成形プロセスシミュレーションにおける定常状態が達成されているとみなされる、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
-ポーラス率、冷間運転などの少なくとも1つの流し込み成形部品欠陥に関するメタモデルが作成され、
かつ/または
-設定された位置などにおける仮想の流し込み成形型の工具温度のような少なくとも1つの機械パラメータに関するメタモデルが作成される、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記メタモデルは、前記テストポイントのプロセスパラメータおよび前記流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータに基づいてトレーニングされて検証されるAIモデルである、
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
-前記AIモデルの検証は、次の方法ステップ、すなわち、
-検証テストポイントに対して、前記流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータと前記検証テストポイントの出力パラメータに関するAIモデルの予測とを比較することにより、前記AIモデルのモデル品質を判別するステップと、
-設定されたモデル品質が達成された場合、前記AIモデルのイネーブルが実行され、または、設定されたモデル品質が達成されない場合、1つもしくは複数の別のテストポイントについての検証の反復が行われるステップと、
-あらためての検証の前に、前記検証テストポイントに対して前記流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータが前記AIモデルのトレーニングのために使用されるステップと、
を含む、
請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
-テストポイント計算を用いて、可能かつロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるテストポイントが計算され、
-前記可能かつロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるテストポイントが、ロバストかつ定常的な最適値として前記可能かつロバストかつ定常的な最適値を確認するために、メタモデルに基づいて評価される、
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
-前記ロバストな最適値は、流し込み成形プロセスの実行前に、
-流し込み成形プロセスシミュレーションにより検証され、
-特に、前記ロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるテストポイントは、流し込み成形プロセスシミュレーションにより検証される、
請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記最適化は、ロバストなマルチオブジェクティブオプティマイゼーションである、
請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記ロバストかつ定常的な最適値から出発して、流し込み成形プロセスにより、別のテストポイントが走行され、特に前記ロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるテストポイントが走行される、
請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
-前記テストポイントの順序は、前記ロバストな最適値から出発して前記テスト空間内の距離の増大に伴って分類可能であり、かつ/または、エネルギ効率および/または時間効率のバックグラウンドに基づいて分類可能である、
請求項19記載の方法。
【請求項21】
-前記流し込み成形装置のセンサのセンサデータは、1つもしくは複数のメタモデルの検証および/または改善および/または新規作成のために使用される、
請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記流し込み成形装置のセンサのセンサデータは、少なくとも1つの補外可能なモデルの検証および/または改善および/または新規作成のために使用される、
請求項4または5記載の方法。
【請求項23】
流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法であって、前記方法は、次の方法ステップ、すなわち、
-テストポイント計算を実行するステップであって、
・流し込み成形部品用の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータが各テストポイントに対応付けられており、
・複数のプロセスパラメータによりn次元のテスト空間が定義され、
・前記テストポイントは、前記テスト空間内で前記テスト空間を充填しながら連続的に計算されて前記流し込み成形プロセスに引き渡される、
ステップと、
-前記流し込み成形プロセスを実行するステップであって、
・前記テストポイント計算から引き渡されたテストポイントに対して、流し込み成形部品の製造が、それぞれのテストポイントに対応付けられたプロセスパラメータに基づいて連続的に実行され、
・前記流し込み成形装置の1つの流し込み成形型における各テストポイントに対して、前記流し込み成形型の温度が定常状態に達するまで、2つ以上の流し込み成形部品の連続製造が実行され、
・1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して、1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、
ステップと、
-最適化を実行するステップであって、
・前記プロセスパラメータと前記対応付けられた出力パラメータとに基づいて、前記n次元のテスト空間の少なくとも一部に対して、前記流し込み成形プロセスの少なくとも1つのメタモデルが作成され、
・1つもしくは複数の出力パラメータに対して、対応付けられたプロセスパラメータを有するロバストかつ定常的な最適値が算定される、
ステップと、
-流し込み成形プロセスをさらに実行するステップであって、
・少なくとも1つの流し込み成形部品が前記流し込み成形装置により製造される際に、前記ロバストかつ定常的な最適値に対応付けられたプロセスパラメータが前記流し込み成形装置のプロセスパラメータとして使用され、
・前記流し込み成形部品に対する1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、
ステップと、
を含む方法。
【請求項24】
流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法であって、前記方法は、次の方法ステップ、すなわち、
-テストポイント計算を実行するステップであって、流し込み成形部品用の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータがそれぞれのテストポイントに対応付けられており、複数のプロセスパラメータによりn次元のテスト空間が定義され、前記テストポイントが、前記テスト空間内で前記テスト空間を充填するように連続的に計算されて、シミュレートされた流し込み成形プロセスにかつ/または流し込み成形プロセスに引き渡されるステップと、
-シミュレートされた流し込み成形プロセスおよび/または流し込み成形プロセスを実行するステップであって、前記テストポイント計算から引き渡されたテストポイントに対して、それぞれのテストポイントに対応付けられたプロセスパラメータに基づいて、流し込み成形部品の製造が連続的にシミュレートされかつ/または実行され、前記流し込み成形装置の仮想の流し込み成形型および/または1つの流し込み成形型における各テストポイントに対して、前記仮想の流し込み成形型の温度および/または前記流し込み成形型の温度が定常状態に達するまで2つ以上の流し込み成形部品の連続製造が実行され、1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われるステップと、
-最適化を実行するステップであって、前記プロセスパラメータと対応付けられた出力パラメータとに基づいて、n次元のテスト空間の少なくとも一部に対する少なくとも1つのメタモデルが作成され、1つもしくは複数の出力パラメータに対して、対応付けられたプロセスパラメータを有するロバストかつ定常的な最適値が算定されるステップと、
-流し込み成形プロセスをさらに実行するステップであって、少なくとも1つの流し込み成形部品が前記流し込み成形装置により製造される際に、前記ロバストかつ定常的な最適値に対応付けられたプロセスパラメータが前記流し込み成形装置のプロセスパラメータとして使用され、前記流し込み成形部品に対する1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われるステップと、
を含む方法。
【請求項25】
流し込み成形装置を閉ループ制御する方法であって、前記方法は、次の方法ステップ、すなわち、
-請求項1から24までのいずれか1項記載のメタモデルを提供するステップと、
-ロバストかつ定常的な最適値の領域において前記流し込み成形装置のプロセスパラメータを閉ループ制御するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法ならびに流し込み成形装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つもしくは複数の流し込み成形部品の品質は、いくつかのみを挙げるとするならば、溶融温度、型温度、圧力曲線、圧力保持時間、冷却時間および硬化時間のような様々なパラメータに依存している。したがって、個々の幾何学的部品形状を有する特定の部品に対して流し込み成形装置を制御するための、部品における欠陥またはエラー箇所の原因となるパラメータを見出すという特別の課題が生じる。
【0003】
よって、新しい部品が最初に製造される際には、該当する部品の信頼性の高い大量生産を可能にするプロセスパラメータを算定しなければならない。この場合、運用の実用上は従業員の経験値が利用されることが多く、安定したプロセスに到達するよう、「試行錯誤」(“Trial and Error”)方式に従ってパラメータの変更が実行される。このような過程は迅速に成功することもあるが、きわめて長い時間がかかることもある。なぜなら、当該過程は、従業員の個々の能力およびまぐれ当たりまたは偶然性にきわめて大きく依存しているからである。このため、新しい部品の大量生産の最初の開始には時間および費用がかかり、プランニングが困難である。
【0004】
誤って製造される流し込み成形部品の数を低減し、有意なプロセスパラメータの発見を簡単化するために、個々の部品についての流し込み成形プロセスを仮想的にシミュレートする、コンピュータ支援によるシミュレーションが実行される。ここで、当該シミュレーションは、一般に、現実の流し込み成形プロセスの物理プロセスを可能な限り正確にコンピュータ支援によってシミュレートすることを目的とした流し込み成形プロセスシミュレーションである。
【0005】
この場合、例えば100個のそれぞれ異なるパラメータセットが分析され評価される。この場合、パラメータセットにより1個のテストポイントが形成され、各テストポイントに対して例えば5個の部品の連続製造がシミュレートされる。各テストポイントに対して仮想的に5回のショットが走行される。この場合、「ショット」とは、流し込み成形型内に公知の形式で溶融物を導入することによる流し込み成形部品の製造を表している。
【0006】
ここで、テストプランの種類、テストポイント数、およびシミュレートすべき部品当たりのショット数は、ユーザによって設定される。全体で500個の流し込み成形部品のシミュレーションを含むこうした一連のテストは膨大な計算容量を必要とし、それ自体きわめて高性能のコンピュータを用いて数日乃至数週間の時間がかかる。したがって、最新のシミュレーションソフトウェアを使用しても、大量生産の最初の始動には依然として時間および費用がかかる。
【0007】
仮想的に製造される部品の品質に関しても同様に、コンピュータ支援によって分析可能である。この場合、通常、各テストポイントに対して、最後にシミュレートされた部品が分析される。というのも、当該部品では、仮想の流し込み成形型の温度に関して定常状態への到達が仮定されるからである。したがって、上述した過程では、それぞれのテストポイントでのそれぞれ5個目の部品が分析されることになる。次いで、仮想の部品の品質に基づいて、実際の最初のテストにとって有意となりうるパラメータが算定される。
【0008】
上述した手法は、各テストポイントの5回目のショットで流し込み成形型の温度の定常状態が達成されるとの仮定が常に満たされるとは限らないという欠点を有している。なぜなら、各テストポイントでの反復の回数が、ユーザによって、特にその経験値に基づいて設定されるからである。したがって、例えば、いくつかのテストポイントに対しては3回のショット後に既に定常状態に達するが、別のテストポイントに対しては定常状態に達するまでに7回のショットが必要となる、というケースが発生しうる。
【0009】
よって、定常状態に達する前に部品の評価が行われてしまうために、上述した一連のテストの結果が個々のテストポイントの特定のパラメータセットに適していないものとして破棄されることで、損なわれる可能性がある。ただし、まさにこれらのテストポイントが定常状態への到達によって優秀な結果を提供することもありうる。
【0010】
逆に、テストポイントの部品の評価が定常状態に達する前に行われているにもかかわらず、当該テストポイントが適正なものとして分類されるケースも発生しうる。つまり、このようなテストポイントは、定常状態への到達によって使用不能な結果を送出する。
【0011】
このような不確実性から、運用の実用上、全てのテストポイントに対していずれの場合にも定常状態を達成するために、テストポイント当たりのショット数が操作者によって予め増大されるかまたは安全面に関して推定されることになる。つまり、上述した部品に対しては、一連のシミュレーションが500個でなく各部品の流し込み成形製造のために700個または1000個の個別シミュレーションを含むものとしたとき、部品当たりのショット数が例えば5回から7回または10回へと増大される。これに応じて計算時間が増大する。この場合、選択されたテストプランに依存して、変更された境界条件を有するテストポイントまたは仮定されたサイクル数を有するテストポイントを、場合によってはさらにもう一度あらためて計算する必要がある。
【0012】
しかし、テストポイント当たりのショットを増大させるこのような手法においても、一方ではいくつかのテストポイントに対して引き続き定常状態に到達せず、他方では多数のテストポイントに対して定常状態への早期の到達が生じたためにきわめて多くのショットがシミュレートされるというケースが排除されない。
【0013】
さらに、それぞれのテストポイントにつきそれぞれ最後にシミュレートされたショットの単独評価には、型が定常状態まで加熱される間、シミュレーションによっても部品に対する品質予測が算定されないという欠点がある。なお、こうしたデータは、より迅速に物品を製造するためのプロセスの始動もしくはコールドスタートにとって有益でありうる。
【0014】
さらに、特定の幾何学的部品形状に関しては、ユーザ定義によって定められたテストポイントの数が適切なプロセスパラメータの算定にとって全体として十分でなくなること、またはテストポイントの数が過多となることが生じうる。
【0015】
テストプラン全体または一連のテスト全体についての予め定められた設定および処理の上述した過程には、さらに、ソフトウェアが他の部品の先行のシミュレーション結果を利用していないという欠点が含まれうる。例えば先行のテストにおいて特定の溶融温度または型温度が該当する部品の製造にとって低すぎることが判別されているにもかかわらず、テストプランを完全に処理するために、続いて、さらに低い溶融温度または型温度を有する別のテストポイントが計算されてしまう。このため、各テストポイントおよびテストプランの各部品が、既に述べた大きな計算能力および計算時間の負荷のもと、当該テストポイントが実用上重要であるか否かに関係なく、完全に新たに計算またはシミュレートされてしまう。
【0016】
上述した一連のシミュレーションに基づくプロセスパラメータの選択は、さらに、それぞれのテストポイントのロバスト性または安定性に関する記述が膨大な計算コストおよび/またはテストコストを用いてしか得られないという欠点を有する。例えば、シミュレーションおよび実用において最初は良好な部品品質を送出したテストポイントが、あらゆる小さなパラメータ変動に対してきわめて敏感となる可能性がある。したがって、大量生産においては、設定されたパラメータが常に正確に維持されない場合、重大な品質上の問題が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
このような背景から、本発明の基礎とする技術的課題は、特に流し込み成形部品用の安定したプロセスパラメータをより効率的に発見し制御することを可能にする、改善された流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法および改善された流し込み成形装置を制御するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した技術的課題は、各独立請求項の特徴によって解決される。本発明のさらなる実施形態は、各従属請求項および以下の説明から得られる。
【0019】
本発明の基礎となる着想は、公知の流し込み成形プロセスシミュレーションおよび/または実用上の実験に対して、より効率的なテストプランおよびプロセス分析のためのモデルを補完し、これによりロバストなプロセスパラメータの発見を加速して、流し込み成形プロセスの安定した制御を可能にすることである。
【0020】
本発明によれば、流し込み成形装置用のプロセス設計のための方法であって、次の方法ステップ、すなわち、テストポイント計算を実行するステップであって、流し込み成形部品用の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータが各テストポイントに対応付けられており、複数のプロセスパラメータによりn次元のテスト空間が定義され、テスト空間内でテスト空間を充填しながらテストポイントを連続的に計算して流し込み成形プロセスシミュレーションに引き渡す、ステップと、流し込み成形プロセスシミュレーションを実行するステップであって、それぞれのテストポイントに対応付けられたプロセスパラメータに基づいて、テストポイント計算から引き渡されたテストポイントに対して、流し込み成形部品の製造が連続的にシミュレートされ、仮想の流し込み成形型における各テストポイントに対して、2つ以上の流し込み成形部品の連続製造が、仮想の流し込み成形型の温度が定常状態に達するまでシミュレートされ、1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して、1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、ステップと、最適化を実行するステップであって、プロセスパラメータと対応付けられた出力パラメータとに基づいて、流し込み成形プロセスシミュレーションの少なくとも1つのメタモデルがn次元のテスト空間の少なくとも一部について作成され、1つもしくは複数の出力パラメータに対して、対応付けられたプロセスパラメータを有するロバストかつ定常的な最適値が算定される、ステップと、流し込み成形プロセスを実行するステップであって、少なくとも1つの流し込み成形部品が流し込み成形装置により製造される際に、ロバストかつ定常的な最適値に対応付けられたプロセスパラメータが流し込み成形装置のプロセスパラメータとして使用され、流し込み成形部品に対する1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、ステップとを含む、方法が提供される。
【0021】
本発明による手法は、まず、冒頭で述べたシミュレーションストラテジと比較して、ロバストなプロセスパラメータの発見に必要となる流し込み成形プロセスシミュレーションが格段に少なくなる、という利点を有する。ここではまず、各テストポイントに必要となるショット数、すなわち各テストポイントに対して連続してシミュレートされる部品製造の回数が、仮想の流し込み成形型の定常温度への到達という形態での中断基準が導入されることによって低減される。このようにして、関連する1つのテストポイントに対しての別のショットのシミュレーションを阻止することができ、しかも、定常状態への到達が既になされているので出力パラメータの変化が生じない。こうして、エネルギ、計算時間およびメモリ容量を節約することができる。
【0022】
冒頭で述べた手法との実質的な相違点は、1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われることにある。換言すれば、本発明により、1つのテストポイントの全てのショットが評価され、さらに定常状態への到達によってそれぞれのテストポイントの通過実行の中断が行われるのである。このようにすることで、一方では例えばコールドスタート中にまたは定常状態への到達前に流し込み成形装置の挙動についての関連データが収集され、他方では次のテストポイントが迅速にシミュレートされる。
【0023】
したがって、ここでの中断基準により、テストポイントごとに設定されたショット数を有する予め定められたテストプランと比較して、1つのテストポイントに対して過少の反復でのシミュレーションまたは過多の反復でのシミュレーションを回避することができる。さらに、定常状態に到達しなかったシミュレーション結果が良好と分類されること、または定常状態への到達がないにもかかわらずシミュレーション結果が破棄されることを回避することができる。
【0024】
本発明による手法はさらに、少なくとも1つのメタモデルの提供によって補間効果を利用することができ、より迅速に最適なプロセスパラメータを発見することができる、という利点を有する。
【0025】
さらに、プロセスパラメータと部品欠陥との間の関係を評価するために、少なくとも1つのメタモデルを用いて、迅速な原因分析を実行することができる。
【0026】
本明細書においてn次元のテスト空間につき言及する場合、テスト空間の当該“n”次元とは、特に、プロセスパラメータ数が自然数n≧2に対応することによって定義される。
【0027】
「流し込み成形部品」および「鋳造成形部品」もしくは「注型成形部品」なる用語は、本明細書では同義として使用する。「流し込み成形プロセス」および「鋳造成形プロセス」もしくは「注型成形プロセス」なる用語は、本明細書では同義として使用する。最適化のために2つ以上のメタモデルを使用することができる。最適化とは特にマルチオブジェクティブオプティマイゼーションであってよく、最適なプロセスパラメータは考慮すべき2つ以上の出力パラメータに対して決定される。
【0028】
全体として、本発明の手法により、必要な計算時間およびシミュレーションに必要となる電気エネルギならびにコストを大幅に低減することができ、このようにして、より迅速に有意なプロセスパラメータを取得し、これを引き続き現実のテストにおいて検証することができる。
【0029】
テストポイント計算の実行
テストポイント計算は、特に、可能な限り迅速に空間充填されるように設定されたテスト空間をカバーし、さらに、検証された1つもしくは複数のメタモデルへの到達が可能な限り迅速になされるように用いられる。したがって、1つもしくは複数のメタモデルの提供に必要とされる数の流し込み成形プロセスシミュレーションのみが実行され、この場合、最適化、特にマルチオブジェクティブオプティマイゼーションを1つもしくは複数のメタモデルに基づいて実行することができる。
【0030】
さらに、テストポイント計算は、特に、有意でないテストポイントを除外し、非実用的なもしくは走行不能なテストポイントに対する流し込み成形プロセスシミュレーションを回避するために使用される。したがって、テストポイント計算のフレームワークにおいて、観察されているテスト空間の実際の限界を共通に定める入力制約および出力制約が考慮される。
【0031】
テストポイント計算はまた、特に、最初に空間充填されるように設定されたテスト空間をカバーするためのみに用いられるのではなく、定常的な最適値のロバスト性を検査している間、テストポイントを決定するためにも用いることができる。
【0032】
さらに、テストポイント計算は、流し込み成形プロセスの実用上のテストの実行中にテストポイントを決定するために用いることもできる。実用上のテストの実行中にも、テストポイント計算を使用して入力制約および出力制約の遵守を検査することができる。
【0033】
テストポイント計算は、流し込み成形プロセスシミュレーションもしくは流し込み成形機のメモリプログラミング制御のためのインタフェースを有する独立したソフトウェアモジュールであってよい。代替的に、テストポイント計算は、流し込み成形プロセスシミュレーションの組み込み要素であってもよい。
【0034】
テスト空間は、少なくとも1つの既知のもしくは複数の既知の入力制約によって、特に1つもしくは複数の既知の物理的な入力制約および/または1つもしくは複数の既知の機械技術的な入力制約および/または1つもしくは複数の既知の部品固有の入力制約によって制限されるように構成可能である。
【0035】
入力制約とは、特に、理論的なテスト空間を予め設定する全ての既知の限界、すなわちテスト空間の最小限界値および最大限界値である。ここでの溶融温度の例では、最小限界値は合金の固相温度により設定され、最大限界値は既存の機械コンフィグレーションにおける最大加熱出力によって設定される。したがって、実用においてシミュレート不能であるため、固相温度よりも低い温度でのシミュレーションまたは達成可能な最高温度よりも高い温度でのシミュレーションの実行は有意ではない。
【0036】
流し込み成形プロセスシミュレーションにとって、シミュレートすべき流し込み成形プロセスの物理的限界、機械技術的限界または部品固有の限界は既知ではない。例えば、流し込み成形装置の特定の部品は、耐圧性および/または耐熱性に関する限界を有しうるものであり、これを無視すれば該当する部品の損傷が生じうる。したがって、該当する部品の負荷耐性の限界を超える領域においてプロセスパラメータを選択することは有意ではない。よって、これは、機械技術的限界または入力制約の例である。別の機械技術的限界の例として、例えば溶融物の加熱のための可能な速度が挙げられる。ここでは、単位時間当たりで達成すべき最大熱入力が、流し込み成形装置の該当する加熱装置の出力性能によって制限されている。したがって、これよりも高速での溶融物の加熱に基づくプロセスパラメータのシミュレーションは有意ではない。
【0037】
物理的限界の例としては、流し込み成形装置による該当する流し込み成形部品の製造に用いられる該当する合金の固相温度が挙げられる。ここでは、該当する部品を完全に固化する前に該当する流し込み成形部品を取り出すことを想定したプロセスパラメータのシミュレーションは有意ではない。同様に、固相温度よりも低い溶融温度をシミュレートすることも有用でないことも明らかである。
【0038】
同様に機械技術的限界または部品固有の限界とみなすことのできる例として、流し込み成形型に導入される溶融物の量または部品の体積が挙げられる。ここでは、流し込み成形型を完全に充填することのできないプロセスパラメータをシミュレートすることは有意ではない。なぜなら、この場合、該当する部品の製造がほぼ不可能となってしまうからである。
【0039】
機械技術的な入力制約とは、例えば、冷却剤の最大流量、最大加熱出力、最大圧力上昇勾配、または冷却開始が冷却終了前に位置していなければならないという条件である。
【0040】
したがって、ここでの入力制約により、第1のテストポイントの第1のシミュレーションの前に、テスト空間が、物理的なかつ/または機械技術的なかつ/または部品固有の境界条件を考慮して実用において実行可能なテスト空間部分領域へと既に限定されているので、実用上表示することのできないテストポイントまたは流し込み成形装置の損傷を招くおそれのあるテストポイントは除外される。
【0041】
テスト空間は、1つもしくは複数の出力制約によって制限されており、特に1つもしくは複数の物理的な出力制約および/または1つもしくは複数の機械技術的な出力制約および/または1つもしくは複数の部品固有の出力制約によって制限されており、ここで、出力制約は、流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータおよび/または流し込み成形プロセスの出力パラメータに基づいて算定されるように構成可能である。
【0042】
出力制約は既知ではなく、複数のテストポイントのシミュレーション後にはじめて得られる。ここでの出力制約も同様に、テスト空間を実用上重要なテストポイントに制限している。出力制約に関するテスト空間の限界は、この場合、アプリオリな意味では特に未知である。
【0043】
出力制約の一例として、例えば、流し込み成形部品のノズル長さが挙げられる。この場合、ノズル長さとは、流し込み成形型に溶融物を導入するノズルの領域において固化する部品の一部分である。該当する部品に対してノズル長さが過度に長いと、流し込み成形装置のノズルに損傷が生じ、これによりノズルが修理不能となるかまたは煩雑な取り付け作業によって固化した材料を除去しなければならなくなる。さらにこの場合、操作装置の損傷が生じるおそれもあり、場合によっては生産停止が引き起こされるおそれもある。
【0044】
出力制約の別の例として、該当する部品の排出温度または固相温度が挙げられる。固相温度が高すぎると、溶融物は既に固化しているにもかかわらず、該当する部品の形状保持性または寸法精度が損なわれてしまう。また、排出温度が高すぎると、該当する流し込み成形部品を流し込み成形型から取り出すために設けられた操作装置を損傷させるおそれがある。よって、ノズル長さおよび排出温度は、双方とも、該当する部品がシミュレートされた後または製造された後にはじめて決定可能となるパラメータである。
【0045】
さらに、該当するプロセスパラメータが実用上の動作において機械停止を生じさせた場合、出力制約を設定することができる。
【0046】
少なくとも1つの出力制約に対して補外可能なモデルを計算することができ、ここで、各テストポイントに対して、流し込み成形プロセスシミュレーションへの引き渡しの前に、出力制約の遵守が補外可能なモデルをベースとした補外によって検査され、ここで、出力制約が遵守されている場合には、当該テストポイントが流し込み成形プロセスシミュレーションへと引き渡され、出力制約が遵守されていない場合には、当該テストポイントが破棄され、テスト空間内で新たなテストポイントが計算され、この新たなテストポイントについても出力制約の遵守が検査される。
【0047】
この場合、当該テストポイントが破棄され、補外可能なモデルに基づいて出力制約の限界にある新たなテストポイントが決定されるように構成可能である。
【0048】
代替的に、テストポイントが補外可能なモデルを用いてシフトされ、その際、出力制約の限界に対する安全距離が維持されるように構成可能である。
【0049】
テスト空間内の第1のテストポイントが計算され評価された後、補外可能なモデルを用いて、後続のテストポイントに対して、これらのテストポイントが対応付けられた出力制約を遵守しているか、または該当する出力制約が違反されている可能性が高いかどうかの推定もしくは予測を行うことができる。
【0050】
例えば溶融温度とノズル長さとの間の強い相関が認められ、既にシミュレートされている比較的低い溶融温度について臨界的なノズル長さが既にほぼ達成されている場合、溶融温度がさらに強く低下すると臨界的なノズル長さが超過されてしまうと考えることができる。よって、補外可能なモデルにより、該当するテストポイントのシミュレーションを実行する前のテストプランにおいて既に出力制約の遵守を考慮する手段が得られる。したがって、非実用的なテストポイントに対して貴重な計算時間が浪費されることを回避することができる。
【0051】
この場合、臨界的な出力制約のための、補外可能な複数の別個のモデルを計算することができる。上述した出力制約の例と同様に、例えば排出温度と冷却時間との間の関係のための補外可能なモデルを作成することができる。
【0052】
このような補外可能なモデルには、複数のプロセスパラメータを入力量として導入することができる。例えば、上述した例では、冷却時間および溶融温度を入力量として使用することができ、また排出温度を出力量として使用することができる。
【0053】
このような補外可能なモデルでは、入力量としての複数のプロセスパラメータおよび出力量としての複数の出力制約を考慮できることを理解されたい。
【0054】
全体として、1つもしくは複数の出力制約に対する1つもしくは複数の補外可能なモデルのデータを利用して、実用上あまり重要でないテストポイントのシミュレーションを回避するために、流し込み成形プロセスシミュレーションの結果を可能な限り迅速に効率的なテストポイント計算のために使用することができる。
【0055】
さらに、出力制約は、補外可能なモデルに関連して、実用上重要なテスト空間の限界を評価することを可能にする。
【0056】
補外可能なモデルは線形回帰であってよい。補外可能なモデルは、ニューラルネットワークなどのようなAIモデルでありうる。設定されたモデル品質に達した場合、2つのケースのどちらにおいても、対応付けられた1つもしくは複数の出力制約の遵守または不遵守に関する予測を速やかに行うことができる。
【0057】
テストポイント計算の出発点として、きわめて高い確率で入力制約も出力制約も違反されない、可能な限り安全なテストポイントを選択することが有意でありうる。
【0058】
例えば、第1のテストポイントとして、類似の部品のロバストなテストポイントを設定することができる。「類似の」なる概念は、この場合、例えば、最初に製造される流し込み成形部品が既知の部品と同等の形状、同等の寸法および/または同等の壁厚さを有しており、特に同等の合金が使用されることを意味している。
【0059】
代替的に、第1のテストポイントとして、テスト空間内で、プロセスパラメータが自身のパラメータ限界までの設定された最小距離を有している中心のテストポイント、特に、既知の入力制約までの設定された最小距離を有する中心のテストポイントを選択することができる。よって、プロセス限界から可能な限り遠く離れた、シミュレーションを開始するためのテストポイントが選択されるべきである。プロセスパラメータについては、テスト空間を展開する値範囲が示されている限り、多数のプロセスパラメータに対して、例えば該当するプロセスパラメータの最小値と最大値との間の平均値を選択することができると仮定することができる。なぜなら、プロセスパラメータの限界は、通常、プロセスの予想される限界値へ向かって推定されるからである。
【0060】
第1のテストポイントから出発して、まず、その時点で設定されているテストポイントと隣のテストポイントとに基づいてテストポイント固有に新たに計算される補外可能なモデルが形成可能となるまで、テスト空間内で、第1のテストポイントまでの設定された距離を上回らないテストポイントが定義されるように構成可能である。
【0061】
したがって、テスト空間は、好ましくは、まず、1つもしくは複数の補外可能なモデルを用いて、入力制約および出力制約の双方を考慮したテスト空間の限界にテストポイントを近似させることが可能となるまで、内側から外側に向かって充填される。
【0062】
方法の別の実施形態によれば、テストポイントがテスト空間内の距離基準に基づいて連続的にテスト空間が充填されるように計算されることが定義されており、ここでの距離基準は、計算すべき次のテストポイントからテスト空間内の先行のテストポイントのうちの1つもしくは複数のテストポイントまでの距離を定義するように構成可能である。
【0063】
例えば、当該距離基準は、計算すべき次のテストポイントからテスト空間内の先行のテストポイントのうちの1つもしくは複数のテストポイントまでの距離を最大化することであるように構成可能である。
【0064】
距離基準を用いることにより、例えば、テスト空間のうち、これまで全くテストポイントが存在していない領域またはごく僅かなテストポイントしか存在していない領域を、所期の通りにテストポイントでカバーすることが可能となる。
【0065】
当該距離基準により、テスト空間内でのテストポイント計算を、例えば次の方式、すなわち、マクシミン法、ミニマックス法、MaxMean法、Audze-Eglais法などのうちの1つに基づいて実行することができる。
【0066】
このような距離基準を用いて算定されたテストポイントについては、上述した1つもしくは複数の補外可能なモデルを用いて、流し込み成形プロセスシミュレーションに該当するテストポイントを引き渡す前に、出力制約の遵守を検査することができる。出力制約が違反されている場合、テストポイントは破棄され、代わりに別のテストポイントが距離基準を用いて決定される。破棄されたテストポイントに従って提案された各テストポイントについても同様に出力制約の遵守が検査され、出力制約が遵守されていることが確認された後にはじめて、テストポイントとして流し込み成形プロセスシミュレーションに引き渡される。
【0067】
テストポイントが破棄され、出力制約の限界にある補外可能なモデルに基づいて新たなテストポイントが決定されるように構成可能である。
【0068】
代替的に、テストポイントが補外可能なモデルを用いてシフトされ、その際に、出力制約の限界までの安全距離が維持されるように構成することができる。
【0069】
したがって、距離基準と1つもしくは複数の出力制約に対する1つもしくは複数の補外可能なモデルとを組み合わせることによって、実用上重要なプロセス制約を考慮しながらテスト空間を迅速に充填することが可能となる。
【0070】
ここで、重要な態様は、テストポイントの決定の連続実行およびテストポイントの連続シミュレーションである。
【0071】
というのも、テストポイント計算によって計算される各テストポイントに対して、それぞれ次のテストポイントの選択もしくは計算の品質を改善するためには、先行のシミュレートされたテストポイントについて既に計算された、流し込み成形プロセスシミュレーションの結果が考慮されるからである。したがって、冒頭で述べた古典的なテストプランニングによって可能な、全てのテストポイントを第1の流し込み成形プロセスシミュレーションの前に既に予め定義して規定するテスト空間よりも少ないテストポイントによって、入力制約および出力制約を考慮するテスト空間がカバーされる。
【0072】
各テストポイントに対して、溶融温度、充填圧力もしくは圧力曲線、圧力保持時間、充填時間、副時間、硬化時間、型開放時間、冷却パラメータ、オン/オフ時間から選択される1つもしくは複数のプロセスパラメータを設定することができる。ここでの列挙は決定的なものではなく例示として理解されるべきであり、流し込み成形装置において調整可能かつ/または測定可能なパラメータに従って、必要に応じて補足するもしくは低減させることができる。
【0073】
連続するテストポイントに対して、プロセスパラメータのうちの少なくとも1つのプロセスパラメータまたは複数のプロセスパラメータが変更される。
【0074】
流し込み成形プロセスシミュレーションの実行
流し込み成形プロセスシミュレーションは、現実の流し込み成形プロセスを仮想的にシミュレートするために用いられる。このために、シミュレーションにおいて現実の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータをシミュレートできるようにすべく、物理的な条件、例えば仮想の流し込み成形装置の部品の寸法、材料および形状、対応する熱伝導率および熱伝達係数、溶融物の流動特性、温度特性および固化特性ならびに対応する自由度を流し込み成形プロセスシミュレーション内で可能な限り正確に格納する必要がある。このような流し込み成形プロセスシミュレーションでは、高い計算容量が必要であることが明らかである。
【0075】
流し込み成形プロセスシミュレーションの目的は、相応のテストポイントおよび機械挙動に関する部品品質を可能な限り正確にかつ現実に即した状態で予測することである。
【0076】
流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータは、ポーラス率、空洞率、気泡率、冷間運転などのような流し込み成形部品の流し込み成形部品欠陥、または例えば型の完全充填度などの上述した臨界的な出力もしくは出力制約であってよい。出力パラメータとして、前述したポーラス率もしくは冷間運転および空洞率もしくは気泡率などの2つ以上の品質特徴を、流し込み成形プロセスシミュレーションを用いて、特に予め定義された部品領域において決定することができる。
【0077】
流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータは、設定された位置などにおける仮想の流し込み成形型の工具温度のような機械パラメータであってよい。このために、流し込み成形プロセスシミュレーションは、例えば現実の温度センサもしくは現実の熱電対の特性を可能な限り正確にシミュレートした仮想の熱電対もしくは仮想の温度センサを有しうる。流し込み成形プロセスシミュレーションは、現実の温度センサもしくは現実の熱電対の挙動を可能な限り正確にシミュレートした複数の仮想の熱電対もしくは仮想の温度センサを有することができる。代替的にもしくは補足的に、仮想の流し込み成形型の表面の1つもしくは複数の点のシミュレートされた温度を使用することができる。
【0078】
流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータとして、2つ以上の機械パラメータ、特に現実の流し込み成形装置において対応するセンサまたは機械制御部によって決定可能な機械パラメータを決定することができる。
【0079】
既に上述したように、テストポイントの定常状態への到達は、現実のプロセスにおいて確実かつ再現性の高い、すなわちロバストなプロセス管理を可能にするための重要な境界条件である。
【0080】
連続する流し込み成形部品に対する仮想の流し込み成形型の温度の変化が設定された閾値を下回っている限り、流し込み成形プロセスシミュレーション内の定常状態が達成されているとみなされるように構成可能である。この場合、例えば、センサノイズの2倍の標準偏差を限界値として利用することができる。
【0081】
特に、連続する流し込み成形部品に対する仮想の流し込み成形型の仮想の熱電対における型温度の変化または定義された部品領域における流し込み成形部品欠陥の変化が、予め定義された閾値を下回っている場合、流し込み成形プロセスシミュレーション内の定常状態が達成されているとみなされるように構成可能である。
【0082】
最適化の実行
最適化は、ロバストかつ定常的なテストポイントを可能な限り効率的に算定するために使用され、ここで、最適化は、流し込み成形プロセスシミュレーションのモデルである(つまり換言すればモデルのモデルである)少なくとも1つのメタモデルに基づいて実行される。
【0083】
このようなメタモデルは、特に、入力パラメータとしてのプロセスパラメータと例えば達成すべき部品品質に関する出力パラメータとの間の相互作用および複雑な多重依存性を数学モデルへと移行させるために用いられ、これにより、設定された入力パラメータに対する出力パラメータを、流し込み成形プロセスシミュレーションと同等の品質で予測することができる。
【0084】
このようなメタモデルがさらなる経過において実用上のテストデータによって補完される場合、出力パラメータの予測品質は、数学モデルにより、純粋な流し込み成形プロセスシミュレーションと比較して、場合によってはさらに向上させることができる。
【0085】
この場合、「ロバストかつ定常的な最適値」なる用語は、特に、該当するテストポイントに対して、流し込み成形型の温度の定常状態が達成されており、そのうえでテストポイントの周囲でのパラメータ変動に対して感度が低下することを意味する。したがって、「ロバスト」なる用語は、換言すれば「安定」であり、1つもしくは複数のプロセスパラメータの僅かな変動があっても引き続き満足のいく部品品質を達成することができる、という意味を有している。
【0086】
この場合、「ロバストかつ定常的な最適値」なる用語はさらに、特に、該当するテストポイントに対して、1つもしくは複数の温度の定常状態が達成されていることまたは流し込み成形型の部品欠陥が生じており、この場合さらに、テストポイントの周囲でのパラメータ変動に対して低い感度が存在する、ということを意味する。
【0087】
例えば、ポーラス率、冷間運転などのような少なくとも1つの流し込み成形部品欠陥に関するメタモデルが作成されうる。よって、最適化が流し込み成形部品のポーラス率の最小化を志向している場合、該当するメタモデルに基づいて、ポーラス率およびポーラス率のばらつきまたはプロセスパラメータの変動のワーストケースシナリオにおけるポーラス率が最小であるテストポイントを算定することができ、テストポイントに対応付けられたプロセスパラメータを提示することができる。
【0088】
このような最適化はマルチオブジェクティブオプティマイゼーションであってよく、この場合、該当する流し込み成形部品に対するポーラス率および冷間運転の双方が最小化されることが望ましい。この場合、最適値は、対応付けられたそのプロセスパラメータを用いて、可能な限り低い冷間運転および可能な限り低いポーラス率ならびにそのばらつきの最小化を達成するためのテストポイントである。
【0089】
代替的にもしくは補足的に、設定された位置などにおける仮想の流し込み成形型の工具温度のような少なくとも1つの機械パラメータに関する動的メタモデルを作成することができる。このようなメタモデルは、特に、連続する流し込み成形サイクルにより流し込み成形型が加熱される際の流し込み成形プロセスのダイナミクスも再現する。なぜなら、本発明によれば、各テストポイントに対して、定常状態に到達するまで、全ての部品が出力パラメータに関して評価されるからである。したがって、メタモデルを算定するための流し込み成形プロセスシミュレーションのデータには、流し込み成形プロセスのダイナミクスに関するデータも含まれる。このような動的モデルは、特に、最適化の過程において定常状態を検出するもしくは予測するための境界条件として利用されうる。
【0090】
メタモデルは、ニューラルネットワークなどのようなAIモデルであってよく、この場合、AIモデルは、テストポイントのプロセスパラメータと流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータとに基づいてトレーニングされ、検証される。
【0091】
メタモデルは、特に1つの隠れ層のみを有する局所線形モデルネットワークとして構成されたニューラルネットワークなどのようなAIモデルであってよく、この場合、AIモデルは、テストポイントのプロセスパラメータと流し込み成形プロセスシミュレーションまたは現実の流し込み成形テストの出力パラメータとに基づいてトレーニングされ、検証される。
【0092】
したがって、迅速な計算を可能にするAIモデルとしての局所線形モデルを使用することができる。
【0093】
したがって、特にAIモデルは、単一の隠れ層を有するニューラルネットワークであってよく、この場合、隠れ層は特に密度層である。
【0094】
AIモデルの検証は、次の各方法ステップ、すなわち、検証テストポイントのために、流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータと当該検証テストポイントの出力パラメータに対するAIモデルの予測とを比較することによって、AIモデルのモデル品質を決定するステップであって、設定されたモデル品質が得られた場合にAIモデルのイネーブルが実行されるステップ、または設定されたモデル品質が得られない場合に、1つもしくは複数の別のテストポイントに対する検証の反復が実行されるステップであって、あらためて検証が行われる前に、検証テストポイントに対する流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータがAIモデルのトレーニングのために使用されるステップ、を含みうる。
【0095】
検証テストポイントの数に対するトレーニング点(テストポイント)の数の比が設定されており、例えば80:20または70:30となるように構成することができる。このことに応じて、トレーニング点の数に伴って、必要となる検証テストポイントの数が増大する。
【0096】
したがって、設定されたモデル品質が達成されるまで、検証ループを上述したように実行することができる。例えば、決定度が0.8よりも大きい場合、特に0.9よりも大きい場合、特に0.95よりも大きい場合に、検証のために設定されたモデル品質が得られるように構成することができる。
【0097】
したがって、ロバストかつ定常的な最適値を決定するための最適化を可能にするために、該当するメタモデルが十分な品質を達成するまで、特に正確に同じ個数の流し込み成形プロセスシミュレーションのみが実行される。
【0098】
流し込み成形プロセスシミュレーションに必要となるテストポイントの数は、構成部品固有であり、該当する入力制約および出力制約に依存する。したがって、本発明の手法により、十分な数の流し込み成形プロセスシミュレーションが実行されるものの過度に多い流し込み成形プロセスシミュレーションは実行されないことが保証される。
【0099】
テストプランは、テストポイントのシミュレーションの結果に依存して動的に生成される。
【0100】
上述したAIモデルに代えて、メタモデルを多項式または分類モデルとして提示することもできる。
【0101】
テストポイント計算により、ロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるテストポイントを計算し、ロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるこれらのテストポイントをメタモデルに基づいて評価することができるように構成可能である。
【0102】
該当するメタモデルを用いることにより、見出された最適値のプロセスパラメータの周囲におけるパラメータ変動に対して該当する最適値がどれだけの感度を有するかを予測することができる。例えば、該当するメタモデルに基づいて特定の融解温度での非常に低いポーラス率が予測される場合、その他のプロセスパラメータが変わらなければ、当該メタモデルに基づいて、融解温度を数度だけ変化させてこの変動によってポーラス率が大幅に増大し、したがって見出された最適値は不安定となりロバストでないことを予測することができ、またはプロセスパラメータにおける該当する温度変動が設定される場合にも、該当する最適値の周囲においてさらに低いポーラス率が生じ、したがって見出された最適値は安定となりまたはロバストであることを予測することができる。
【0103】
したがって、パラメータの変動を用いて、該当する定常的な最適値が実際にロバストかつ定常的な最適値であるか否かが検査される。最適化もしくはマルチオブジェクティブオプティマイゼーションのフレームワークにおいて、複数の定常的な最適値を見出すことができた場合には、特に、パラメータ変動に関して最小感度およびテスト空間の限界までの最大距離を有する最適値であって、したがって算定された定常的な最適値のうちの最もロバストなものである定常的な最適値を選択することができる。
【0104】
方法の一構成では、流し込み成形プロセスの実行前に、ロバストかつ定常的な最適値を流し込み成形プロセスシミュレーションによって検証し、特に、ロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるテストポイントを流し込み成形プロセスシミュレーションによって検証するように構成可能である。
【0105】
最適化がロバストなマルチオブジェクティブオプティマイゼーションであるように構成可能である。
【0106】
流し込み成形プロセスの実行
上述した各方法ステップの目的は、流し込み成形装置によって実行されなければならない必要な現実のテストの数を可能な限り少なく保つことにある。したがって、テストポイント計算、流し込み成形プロセスシミュレーションおよび最適化は、実用上のテストのための可能な限り良好な出発点を見出すために、またプロセス知識の不足に起因して失敗する可能性のあるテストポイントの走行を回避するために使用される。
【0107】
流し込み成形プロセスの実行は、特に、上述した補外可能なモデルおよびメタモデルの検証および/または改善にも役立つ。というのも、実用上のテストのテスト結果は、補外可能なモデルおよびメタモデルの結果を確認するために用いられ、補外可能なモデルおよびメタモデルの改善のために、また補外可能なモデルおよびメタモデルのあらためての計算のために用いることができるからである。
【0108】
方法の一構成では、可能かつロバストかつ定常的な最適値から出発して、流し込み成形プロセスにより別のテストポイントを走行させることができ、特に、ロバストかつ定常的な最適値としての可能かつロバストかつ定常的な最適値を確認するために、可能かつロバストかつ定常的な最適値の周囲におけるテストポイントを走行させることができる。流し込み成形プロセスシミュレーションに関して既に上述したように、該当する最適値の周囲におけるパラメータ変動が、該当する定常的な最適値のロバスト性を検査するために使用される。
【0109】
ロバスト性の検査は、出力パラメータのばらつきの分析によって、またはワーストケースシナリオによって評価することができる。
【0110】
テストポイントの順序がロバストかつ定常的な最適値から出発してテスト空間内の距離の増大に伴って分類されるように、かつ/またはエネルギ効率および/または時間効率のバックグラウンドにおいて分類されるように、構成可能である。
【0111】
方法の一構成によれば、流し込み成形装置のセンサのセンサデータを1つもしくは複数のメタモデルの検証および/または改善および/または新規作成のために使用することができる。例えば、該当するメタモデルがAIモデルである場合、AIモデルの決定度を現実のテスト結果と比較して改善することができる。したがって、特に0.9超の決定度、特に0.95超の決定度を達成することができる。これは、シミュレーションされたデータおよび実用上算定されたデータの双方に基づいてトレーニングされ検証されるハイブリッドAIモデルである。
【0112】
流し込み成形装置のセンサのセンサデータは、少なくとも1つの補外可能なモデルの検証および/または改善および/または新規作成のために使用できるように構成可能である。メタモデルに関する上述した態様は、該当する補外可能なモデルにも同様に当てはまる。ここでも、現実のテスト結果とセンサデータとを導入することにより、決定度を改善することができる。
【0113】
実用上の流し込み成形プロセスに関するテストポイントを決定するフレームワークにおいても、新たなテストポイントを決定し、出力制約の遵守を検査するために、テストポイント計算を使用することができる。
【0114】
流し込み成形プロセスは、低圧流し込み成形法、特に金属溶融物用の流し込み成形法であってよい。
【0115】
流し込み成形プロセスは、アルミニウム低圧流し込み成形法であってよい。
【0116】
流し込み成形プロセスは、再利用可能な型もしくは消失型を用いる流し込み成形プロセスであってよい。
【0117】
流し込み成形プロセスは、特に金属溶融物用の重力流し込み成形法であってよい。
【0118】
温度測定のために熱電対が使用可能であり、かつ/またはサーモグラフィ画像が検出可能である。
【0119】
本発明によれば、流し込み成形装置用のプロセス設計のための別の方法であって、次の各方法ステップ、すなわち、テストポイント計算を実行するステップであって、流し込み成形部品用の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータが各テストポイントに対応付けられており、複数のプロセスパラメータによりn次元のテスト空間が定義され、テストポイントは、テスト空間内でテスト空間を充填しながら連続的に計算されて流し込み成形プロセスに引き渡される、ステップと、流し込み成形プロセスを実行するステップであって、テストポイント計算から引き渡されたテストポイントに対して、流し込み成形部品の製造が、それぞれのテストポイントに対応付けられたプロセスパラメータに基づいて連続的に実行され、流し込み成形装置の1つの流し込み成形型における各テストポイントに対して、流し込み成形型の温度が定常状態に達するまで、2つ以上の流し込み成形部品の連続製造が実行され、1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して、1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、ステップと、最適化を実行するステップであって、プロセスパラメータと対応付けられた出力パラメータとに基づいて、n次元のテスト空間の少なくとも一部に対して、流し込み成形プロセスの少なくとも1つのメタモデルが作成され、1つもしくは複数の出力パラメータに対して、対応付けられたプロセスパラメータを有するロバストかつ定常的な最適値が算定される、ステップと、流し込み成形プロセスをさらに実行するステップであって、少なくとも1つの流し込み成形部品が流し込み成形装置により製造される際に、ロバストかつ定常的な最適値に対応付けられたプロセスパラメータが流し込み成形装置のプロセスパラメータとして使用され、流し込み成形部品に対する1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、ステップとを含む、方法が提供される。
【0120】
本発明によるここでの別の方法は、シミュレーションの代わりに実用上の現実のテストを使用してメタモデルのためのデータを収集し、これらのデータに基づいてメタモデルを作成するという点で、上述した構成とは異なる。したがって、テストポイント計算および最適化のための上述した全ての態様は、本発明による方法の当該変形形態にも適用可能である。
【0121】
さらに、メタモデルに対するデータ取得のためのテストポイントがシミュレーションおよび実用上のテストの双方によって走行されるというハイブリッドアプローチを追求した、本発明による方法を提供することもできる。
【0122】
したがって、本発明によれば、流し込み成形装置用のプロセス設計のための別の方法であって、次の方法ステップ、すなわち、テストポイント計算を実行するステップであって、流し込み成形部品用の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータがそれぞれのテストポイントに対応付けられており、複数のプロセスパラメータによりn次元のテスト空間が定義され、テストポイントが、テスト空間内でテスト空間を充填しながら連続的に計算されて、シミュレートされた流し込み成形プロセスにかつ/または実用上の流し込み成形プロセスに引き渡される、ステップと、シミュレートされた流し込み成形プロセスおよび/または流し込み成形プロセスを実行するステップであって、テストポイント計算から引き渡されたテストポイントに対して、それぞれのテストポイントに対応付けられたプロセスパラメータに基づいて、流し込み成形部品の製造が連続的にシミュレートされかつ/または実行され、流し込み成形装置の仮想の流し込み成形型および/または1つの流し込み成形型における各テストポイントに対して、仮想の流し込み成形型の温度および/または流し込み成形型の温度が定常状態に達するまで、2つ以上の流し込み成形部品の連続製造が実行され、1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、ステップと、最適化を実行するステップであって、プロセスパラメータと対応付けられた出力パラメータとに基づいて、n次元のテスト空間の少なくとも一部に対する少なくとも1つのメタモデルが作成され、1つもしくは複数の出力パラメータに対して、対応付けられたプロセスパラメータを有するロバストかつ定常的な最適値が算定される、ステップと、流し込み成形プロセスをさらに実行するステップであって、少なくとも1つの流し込み成形部品が流し込み成形装置により製造される際に、ロバストかつ定常的な最適値に対応付けられたプロセスパラメータが流し込み成形装置のプロセスパラメータとして使用され、流し込み成形部品に対する1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる、ステップとを含む、方法が提供される。
【0123】
流し込み成形装置の閉ループ制御
さらに、本発明は、流し込み成形装置を閉ループ制御する方法であって、本発明によるメタモデルを提供するステップと、ロバストかつ定常的な最適値の領域で流し込み成形装置のプロセスパラメータを閉ループ制御するステップとを含む方法に関する。
【0124】
該当するテストポイントの全てのサイクルの評価に基づき、1つもしくは複数のメタモデルを用いて、冷間状態から出発した流し込み成形型の動的挙動をマッピングすることができる。したがって、メタモデルにより、機械の冷間始動後に、優良部品の製造および定常状態への到達をより迅速に可能にするプロセスパラメータを提示することができる。この場合、流し込み成形型の周期的な温度特性は実質的にPT1挙動に対応する。ここでの挙動はメタモデルを用いてマッピングすることができる。なぜなら、対応するデータは、流し込み成形プロセスシミュレーションを用いて、特に実用上のテストに基づいて算定され、メタモデルのデータの基礎となるからである。
【0125】
1つもしくは複数のメタモデルは別のデータに基づいて継続的に適応化することができ、これにより、場合によってはロバストな最適値および/またはモデルベースの閉ループ制御の適応化も得られる。
【0126】
以下に、本発明につき、複数の実施例を示した図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図1A】流し込み成形部品を有する流し込み成形装置を示す図である。
【
図2】テスト空間内のテストポイントを示す図である。
【
図3】本発明による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0128】
図1Aには、流し込み成形装置100が示されている。流し込み成形装置100は、アルミニウム流し込み成形部品200を製造するために設けられている。
【0129】
流し込み成形装置100はるつぼ110を有しており、このるつぼ110内にアルミニウム溶融物112が貯えられている。流し込み成形装置100は型キャビティ130を備えた流し込み成形型120を有しており、ここで、アルミニウム溶融物112は、導管140を介して型キャビティ130内へ導入可能である。
【0130】
流し込み成形装置100により製造されたアルミニウム流し込み成形部品200は、流し込み成形欠陥、すなわちポーラス210もしくは欠陥箇所220を有している。ポーラスの数および特性ならびに部品内のエラーにより、部品の品質が決定される。
【0131】
アルミニウム流し込み成形部品200が流し込み成形装置100を動作させるための安定なプロセスパラメータをいまだ既知としていない新しい部品である限り、特に2つの課題が存在する。一方では、可能な限り迅速にかつ僅かな手間のみで安定したプロセスが開始され、アルミニウム流し込み成形部品200の設定された品質での確実な製造が可能となることが望ましい。他方では、部品における欠陥またはエラー箇所の発生の決定的な原因となるプロセスパラメータが算定されることが望ましい。
【0132】
安定なプロセスパラメータを見出すために必要となる現実のテストの数を低減すべく、本発明では、流し込み成形プロセスをシミュレートするための仮想の流し込み成形装置300が使用される(
図1B)。
【0133】
このために、設定されたプロセスパラメータを有するテストポイントがシミュレートされるよう、流し込み成形プロセスシミュレーション310に入力データ320が供給される。当該入力データには、例えば、溶融温度、圧力曲線、圧力保持時間、固化度、型開放時間、冷却パラメータなどが含まれる。したがって、1つのテストポイントのパラメータセットは、ここでの入力データの設定値を含んでおり、この場合、設定されたテストポイントに対して、流し込み成形型の1つもしくは複数の温度が仮想のもしくは現実の熱電対の数に応じて定常状態に到達するまで、仮想の部品が連続的に製造される。
【0134】
仮想的に製造された各部品に対して、出力パラメータ330、例えば、部品の欠陥、またはポーラス率、または仮想の温度センサに基づく型温度、および装置の安全な動作のための臨界的な出力量が算定される。
【0135】
流し込み成形プロセスシミュレーション310のデータは、AIモデル340の形態のメタモデルをトレーニングするために使用される。
【0136】
AIモデル340が流し込み成形プロセスシミュレーション310の結果を十分に正確に反映すると直ちに、すなわち、AIモデル340のトレーニングが終了して当該AIモデル340が検証されると直ちに、マルチオブジェクティブオプティマイゼーションを用いて、型温度の定常状態のためのプロセスパラメータを算定することができ、このプロセスパラメータにより、一方では安定したプロセス管理が保証され、他方では十分な部品品質が殊にまず純粋に仮想的に見て流し込み成形プロセスシミュレーション310およびAIモデル340に基づいて保証される。したがって、ここでのプロセスパラメータは、ロバストかつ定常的な最適値とも称されうるテストポイントに属する。
【0137】
仮想的に算定されたここでの最適値は、流し込み成形装置100による第1の現実の流し込み成形テストの基礎である。現実の流し込み成形テスト中、温度センサにより、様々な位置での溶融物の温度および流し込み成形型の温度が測定される。次いでこれらの測定値および算定された現実の部品品質が、AIモデル340をさらに改善するために、すなわちトレーニングおよび検証または新たな計算のために使用される。
【0138】
図2および
図3に基づいて、以下では、AIモデル340の準備を詳細に説明する。この場合、AIモデル340の品質にとって、またAIモデルの作成中の効率にとって重要となるのは、特に1つもしくは複数の第1のテストポイントの選択および部分的に既知となったテスト空間の設定である。
【0139】
テスト空間は、本明細書では多次元である。なぜなら、上述した全ての入力データに対して基本的にそれぞれ幅の広い値範囲が可能であり、該当するパラメータの各個別値が理論的には全ての別のパラメータの全ての個別値の考えうる全ての組み合わせおよび変動と組み合わせ可能であるからである。
【0140】
以下の実施形態を簡単化するために、
図2では、2つの入力パラメータのためのテストポイントのみを説明する。ただし、
図2に基づいて説明する手法を多次元のパラメータセットに適用できることは明らかなはずである。
【0141】
図2では、グラフ(I)に矩形のテスト空間V1が概略的に示されており、ここでは、横軸に溶融温度Tが単位[℃]で、縦軸に型開放時間tが単位[s]でプロットされている。
【0142】
流し込み成形プロセスシミュレーションでは、基本的にはグラフ(I)に示されているテスト空間全体をテストポイントに基づいてシミュレート可能であり、冒頭で既に説明したように、各テストポイントに対して、流し込み成形型の1つもしくは複数の温度の定常状態が達成されるまで、所定数の部品を仮想的にかつ連続的に製造することができる。
【0143】
ただし、グラフ(I)に示されているテストポイントの全てが、実用上流し込み成形装置100を用いてそもそも走行可能でないか、または流し込み成形装置100、流し込み成形型120もしくは別の部品(入力制約および出力制約)の損傷なしにはいずれの場合にも走行不能であるわけではない。入力制約は概略的に閾値S1によって表現されており、この場合、入力制約を考慮すると、閾値の左方にあるテストポイントはその全てが走行可能であるわけではなく、これに対して閾値の右方にあるテストポイントはその全てが走行可能である。
【0144】
さらに、図示されているいずれのテストポイントも、実用上、設定された品質(出力制約)での流し込み成形部品の製造を可能にするわけではない。したがって、テスト空間はさらに、閾値S2によって概略的に示されているように、出力制約によって制限される。
図2のグラフ(II)では閾値S2が破線で示されており、ここで、当該破線内に位置するテストポイントは現実において走行可能なテストポイントであり、当該破線の外側に位置するテストポイントは現実において走行不能なテストポイントである。
【0145】
このように、現実において走行可能なテストポイントは、種々の入力制約および出力制約によって制限されている。したがって、例えば溶融温度が低すぎると、型の充填不足およびエラーを有する部品が生じる。さらに、例えば流し込み成形装置の損傷を回避するには、冷却時間が流し込み成形型の閉鎖時間よりも短くなければならない。また、溶融物が完全に固化する前に流し込み成形型を開放すべきではない。よって、特定のテストポイントの走行可能性を制限する物理的な境界条件および機械技術的な境界条件が多数存在する。
【0146】
本明細書において、これらの入力制約は、現実においては表示不能なテストポイントに対して時間のかかるシミュレーションを計算することを回避するために、第1のシミュレーションの実行前のテストプランニングの際に考慮される。出力制約は既知ではなく、テストのフレームワークにおいて決定される。したがって、閾値S1は第1のテストポイントのシミュレーションの前に既知であるのに対し、閾値S2はテスト空間の充填中に動的に算定される。
【0147】
シミュレーションの第1のテストポイントのための開始点として、好ましくは、類似の部品に対して流し込み成形装置のための信頼性の高いもしくはロバストな動作点であると判明した確実なテストポイントP1が選択される。
【0148】
こうしたテストポイントの周囲では、引き続き、該当する出力制約のための線形回帰が可能となるまで別のテストポイントがシミュレートされ、これに基づいて、別のテストポイントがプランニングされ、空間充填のテストプランニングを連続的に実行することができる。
【0149】
このように、線形補外によって、テストポイントの実行またはシミュレーションの前に既に、テストポイントが現実において表示可能であるか否か、すなわち、例えば該当するパラメータを用いて現実のテストの実行中に機械停止または機械もしくは成形型などの損傷が生じうるかどうか、またはこのようなパラメータによってはいずれの部品も製造可能でないと予測可能であるかどうかを推定することができる。
【0150】
グラフ(III)およびグラフ(IV)にはテスト空間の段階的な充填が示されており、ここでは、十字で示されているテストポイントは一連のテストから除外されるテストポイントであり、黒丸で示されているテストポイントは現実において走行可能なテストポイントを表現している。
【0151】
図3に即して、以下では、本発明による方法をさらに説明する。
【0152】
方法ステップ(A)は、テストポイント計算を実行することであって、流し込み成形部品用の流し込み成形プロセスのプロセスパラメータがそれぞれのテストポイントに対応付けられており、プロセスパラメータの数は自然数n≧2に対応しておりかつn次元のテスト空間を定義しており、テストポイントは、テスト空間内でテスト空間を充填しながら連続的に計算されて流し込み成形プロセスシミュレーションに引き渡されることに関する。
【0153】
方法ステップ(B)は、流し込み成形プロセスシミュレーションを実行することであって、テストポイント計算から引き渡されるテストポイントに対して、第1のテストポイントP1から出発して、流し込み成形部品の製造が、それぞれのテストポイントに対応付けられたプロセスパラメータに基づいて連続的にシミュレートされ、仮想の流し込み成形型の温度が定常状態に達するまで、1つの仮想の流し込み成形型における各テストポイントに対して、2つ以上の流し込み成形部品の連続製造がシミュレートされ、1つのテストポイントの各流し込み成形部品に対して1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われることに関する。
【0154】
方法ステップ(C)は、最適化を実行することであって、プロセスパラメータと対応する出力パラメータとに基づいて、流し込み成形プロセスシミュレーションの少なくとも1つのメタモデルがn次元のテスト空間の少なくとも一部に対して作成され、出力パラメータのうちの1つもしくは複数に対して、対応付けられたプロセスパラメータを有するロバストかつ定常的な最適値が算定されることに関する。
【0155】
メタモデルは、ニューラルネットワークの形態でトレーニングされて検証されたAIモデルである。ステップ(D)は、AIモデルを検証することを記述しており、次のステップ、すなわち、検証テストポイントに対して、流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータと当該検証テストポイントの出力パラメータに対するAIモデルの予測とを比較することによってAIモデルのモデル品質を決定するステップであって、設定されたモデル品質が達成された場合、AIモデルのイネーブルが行われ、または設定されたモデル品質が達成されなかった場合、1つもしくは複数の別のテストポイントについて検証が反復され、あらためての検証が行われる前に、検証テストポイントに対して流し込み成形プロセスシミュレーションの出力パラメータがAIモデルのトレーニングのために使用されるステップを含む。
【0156】
ステップ(E)では、流し込み成形装置100により流し込み成形プロセスを実行することが行われ、ここで、少なくとも1つの流し込み成形部品が流し込み成形装置100により製造される際に、ロバストかつ定常的な最適値に対応付けられたプロセスパラメータが流し込み成形装置100のプロセスパラメータとして使用され、流し込み成形部品に対する1つもしくは複数の出力パラメータの評価が行われる。
【0157】
実用上のテスト中、AIモデル340をさらにトレーニングして検証し、該当するテストポイントのロバスト性をあらためて検査するために、流し込み成形型内の温度を測定する流し込み成形装置100の温度センサからのセンサデータが検出される。方法ステップ(F)は、流し込み成形装置のセンサのセンサデータが、1つもしくは複数のメタモデルの検証および/または改善および/または新規作成のために使用されることを記述している。
【0158】
このようにすることで、AIモデル340を、シミュレーションデータおよび現実のテストの双方に基づくハイブリッドモデルへと拡張することができる。
【0159】
AIモデル340は、モデルベースの閉ループ制御のフレームワークにおいて流し込み成形装置100を閉ループ制御するために使用することができ、その際に目標プロセスポイントはAIモデル340に基づいて設定され、このAIモデル340のプロセスパラメータはロバストな最適値を表す。
【0160】
AIモデル340は、特にロバストな動作点および自律的なプロセスの閉ループ制御を迅速に達成することを可能にする。
【外国語明細書】