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特開2024-115561制御装置、制御システム、制御方法、及び噴出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115561
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法、及び噴出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240820BHJP
   B60H 3/00 20060101ALI20240820BHJP
   B60R 16/037 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F3/01 510
B60H3/00 J
B60R16/037
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105192
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】長田 浩二
【テーマコード(参考)】
3L211
5E555
【Fターム(参考)】
3L211BA11
3L211DA76
5E555AA54
5E555BA01
5E555BA23
5E555BB01
5E555BB23
5E555BC01
5E555BE10
5E555CA42
5E555CB23
5E555CB51
5E555CB69
5E555CB80
5E555DA26
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングで香りを噴出制御することが可能な制御装置、制御システム、制御方法及び噴出装置を提供する。
【解決手段】本技術の一形態に係る制御装置は、算出部と、信号生成部とを具備する。上記算出部は、ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する。上記信号生成部は、上算出部の出力に基づいて、噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する算出部と、
前記算出部の出力に基づいて、噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する信号生成部と
を具備する制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記信号生成部は、前記呼吸周期に基づき、前記ユーザの吸気期間内に前記噴出部から噴出された香りが前記所定領域に到達するように前記出力信号を生成する
制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記ユーザを撮像する撮像部の出力に基づいて前記ユーザの顔の位置を検出する処理部と、
前記処理部の出力に基づいて、前記ユーザの顔が前記所定の空間領域内に位置するか否かを判定する第1の判定部と
をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記第1の判定部により前記ユーザの顔が前記所定の空間領域内に位置すると判定されたときに、前記出力信号を生成する
制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記処理部は、前記ユーザの鼻の位置を検出し、
前記信号生成部は、前記第1の判定部により前記ユーザの鼻の位置が前記所定の空間領域内に位置すると判定されたときに、前記出力信号を生成する
制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記信号生成部は、前記香りの噴出総量を制御する出力信号を生成する
制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の制御装置であって、
予め取得された前記ユーザの情報に基づいて、前記噴出部が噴出可能な複数種類の香りの中から所定の香りを選択することが可能な選択部をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記選択部によって選択された前記所定の香りを噴出させる出力信号を生成する
制御装置。
【請求項7】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記ユーザが乗車する車両状態を検出する車両状態検出部の出力に基づいて車両状態を判定する第2の判定部をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記第2の判定部の出力に基づいて、前記出力信号を生成する
制御装置。
【請求項8】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記撮像部の出力に基づいて、前記出力信号の生成前後における前記ユーザの状態を評価する評価部をさらに具備する
制御装置。
【請求項9】
ユーザに香りを噴出する噴出部と、
ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する算出部と、前記算出部の出力に基づいて、前記噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する信号生成部と、を有する制御装置と
を具備する噴出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の噴出装置であって、
前記噴出部は、複数種類の香りをそれぞれ収容する複数のカートリッジ部を有し、
前記制御装置は、前記複数のカートリッジ部から所定のカートリッジ部を選択する選択部をさらに有する
噴出装置。
【請求項11】
請求項9に記載の噴出装置であって、
前記噴出部は車室内に配置され、
前記所定の空間領域は、前記車室内の所定の空間領域である
噴出装置。
【請求項12】
制御装置が、
ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出し、
前記呼吸周期に基づいて、噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する
制御方法。
【請求項13】
ユーザに香りを噴出する噴出部と、
前記ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部と、
前記体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する算出部と、前記呼吸周期に基づいて、前記噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する信号生成部と、を有する制御装置と
を具備する制御システム。
【請求項14】
請求項13に記載の制御システムであって、
前記ユーザを撮像する撮像部をさらに具備し、
前記制御装置は、前記撮像部の出力に基づいて、前記出力信号の生成前後における前記ユーザの状態を評価する評価部をさらに有する
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、香りの噴出を制御することが可能な制御装置、制御システム、制御方法及び噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、香りには気分を転換する効果が期待されることから、生活シーンが切り替わるタイミングに香りを提供する技術が知られている。生活シーンの切り替わるタイミングは例えば自動車の乗り降りであり、特許文献1には、車室内に芳香剤を送り込む芳香剤噴霧装置と、車室内の乗員を検出する圧力センサと、芳香剤噴霧装置を制御する制御回路とを備え、圧力センサによって車室内に乗員が検知された場合に、乗降用ドアの開状態から閉状態への移動に基づいて、車室内に芳香剤を送り込む構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-283975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ドアを閉めなおしただけでも噴出されてしまい、必ずしも適切なタイミングで噴出することができないという課題があった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、適切なタイミングで香りを噴出することが可能な制御装置、制御システム、制御方法及び噴出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一形態に係る制御装置は、算出部と、信号生成部とを具備する。
上記算出部は、ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する。
上記信号生成部は、上記算出部の出力に基づいて、噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する。
【0007】
上記制御装置は、ユーザの呼吸周期に基づいて香りを噴出するため、ユーザに対して適切なタイミングで香りを噴出することができる。
【0008】
上記信号生成部は、上記呼吸周期に基づき、上記ユーザの吸気期間内に乗記噴出部から噴出された香りが上記所定領域に到達するように上記出力信号を生成してもよい。
【0009】
上記ユーザを撮像する撮像部の出力に基づいて上記ユーザの顔の位置を検出する処理部と、上記処理部の出力に基づいて、上記ユーザの顔が上記所定の空間領域内に位置するか否かを判定する第1の判定部とをさらに具備してもよい。
上記信号生成部は、上記第1の判定部により上記ユーザの顔が上記所定の空間領域内に位置すると判定されたときに、上記出力信号を生成する。
【0010】
上記処理部は、上記ユーザの鼻の位置を検出し、
上記信号生成部は、上記第1の判定部により上記ユーザの鼻の位置が上記所定の空間領域内に位置すると判定されたときに、上記出力信号を生成してもよい。
【0011】
信号生成部は、前記香りの噴出総量を制御する出力信号を生成してもよい。
【0012】
予め取得された上記ユーザの情報に基づいて、上記噴出部が噴出可能な複数種類の香りの中から所定の香りを選択することが可能な選択部をさらに具備してもよい。
上記信号生成部は、上記選択部によって選択された上記所定の香りを噴出させる出力信号を生成する。
【0013】
上記ユーザが乗車する車両状態を検出する車両状態検出部の出力に基づいて車両状態を判定する第2の判定部をさらに具備してもよい。
前記信号生成部は、前記第2の判定部の出力に基づいて、前記出力信号を生成する。
【0014】
上記撮像部の出力に基づいて、上記出力信号の生成前後における上記ユーザの状態を評価する評価部をさらに具備してもよい。
【0015】
本技術の一形態に係る噴出装置は、噴出部と、制御装置とを具備する。
上記噴出部は、ユーザに香りを噴出する。
上記制御部は、算出部と、信号生成部とを有する。
上記算出部は、上記ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する。
上記信号生成部は、上記算出部の出力に基づいて、上記噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する。
【0016】
上記噴出部は、複数種類の香りをそれぞれ収容する複数のカートリッジ部を有してもよい。
上記制御装置は、上記複数のカートリッジ部から所定のカートリッジ部を選択する選択部をさらに有する。
【0017】
上記噴出部は車室内に配置され、上記所定の空間領域は、上記車室内の所定の空間領域であってもよい。
【0018】
本技術の一形態に係る制御方法は、制御装置が、ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出することを含む。
上記呼吸周期に基づいて、噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する。
【0019】
本技術の一形態に係る制御システムは、噴出部と、体動検出部と、制御装置とを具備する。
上記噴出部は、ユーザに香りを噴出する。
上記体動検出部は、上記ユーザの呼吸時体動を検出する。
上記制御装置は、算出部と、信号生成部とを有する。
上記算出部は、上記体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する。
上記信号生成部は、上記呼吸周期に基づいて、上記噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する。
【0020】
上記ユーザを撮像する撮像部をさらに具備してもよい。
上記制御装置は、上記撮像部の出力に基づいて、上記出力信号の生成前後における上記ユーザの状態を評価する評価部をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本技術の一実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】車室内を後方から見た図である。
図3】ユーザと所定領域を示す図である。
図4】記憶部に記憶されたユーザの情報を示す表である。
図5】上記制御装置により実行される処理手順を示すフローチャートである。
図6】噴出条件を判定する処理を説明するフローチャートである。
図7】香り選択の処理を説明するフローチャートである。
図8】噴出タイミングを判定する処理を説明するフローチャートである。
図9】ユーザの呼吸と制御装置により実行される各種処理等との関係を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態の制御システムは、車両や船舶、航空機などの移動体に設置される。本実施形態では、移動体として、例えば車両を例に挙げて、本実施形態の制御システムについて説明する。
【0024】
図1は、本実施形態の制御システム100の構成を示すブロック図、図2は、車両1の室内(以下、車室内1Aともいう。)を後方から見た図、図3はユーザUと所定の空間領域Wを示す図、図4は記憶部50に記憶されたユーザUの情報を示す表である。本実施形態では、ユーザUとは、運転席S1に位置するユーザを示す。
【0025】
<第1の実施形態>
[制御システム]
図1に示すように、制御システム100は、主として制御装置10と、撮像部20と、噴射装置30と、通信部40と、記憶部50と、車両状態検出部60とを備える。
【0026】
(制御装置)
制御装置10は、ユーザUを撮像する撮像部20の出力に基づいて、ユーザUの呼吸周期を算出するとともに、ユーザUの呼吸周期に基づいて噴射装置30から香りを噴出させるように構成される。なお、制御装置10の詳細については後述する。
【0027】
(撮像部)
撮像部20は、車室内1Aに設置される。撮像部20は、ユーザUを撮像し、ユーザUの呼吸時の体の動き(胸の動き)を検出する体動検出部としての機能を有する。
【0028】
撮像部20は、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサ等のイメージセンサを備えるデジタルカメラである。その他、例えばTOF(Time Of Flight)方式の距離計測センサを搭載したデジタルカメラや赤外線LED等の赤外線照明を搭載した赤外線カメラが用いられてもよい。また撮影される画像は、静止画像及び動画像(映像)の両方を含む。
【0029】
撮像部20は、運転席S1に乗車するユーザUの胸と顔を撮像できるように設置される。撮像部20の個数や設置場所は特に限定されず、本実施形態では図2に示されるように、車室内1Aのルームミラー2とサンバイザー4の間の天井部1Bに設置される。撮影対象は運転席S1に乗車するユーザUだけでなく、助手席S2に乗車するユーザが含まれてもよい。本実施形態では、一人のユーザに対して一つの撮像部20によって撮像されるが、もちろんこれに限られない。例えば、ルームミラー2とAピラー(フロントピラー)3の二か所に設けられた撮像部で一人のユーザを撮像してもよい。
【0030】
ユーザUの呼吸の検出方法は、例えば、ユーザUの胸の動きによって判定される。ここで、胸の動きとは、息を吸うときは、肺が膨らむため胸の厚みが膨らみ、息を吐くときは、肺がしぼむため胸の厚みが薄くなる動きのことであるが、もちろんこれに限られず、ユーザUの息遣いや、口、鼻の動きを検出してもよい。
【0031】
本実施形態では、体動検出部は、ユーザUの顔を撮像する撮像部20で構成されているが、これに限られず、撮像部20とは別のカメラでユーザUの呼吸時の体動を検出してもよい。
【0032】
また本実施形態では、体動検出部はカメラであるが、これに限らず、運転席S1に設けられた圧力を感知するシートセンサによって、ユーザUの呼吸時の体動を検出してもよい。
【0033】
(通信部)
通信部40は、車内及び車外の様々な機器、サーバなどから得られる各種データを制御装置10へ送信する。
【0034】
各種データとは例えば、車両1の位置情報であり、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両1の位置情報を取得する。ほかには、渋滞情報等の道路交通情報であり、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標))により送信される電磁波を受信する。
【0035】
(記憶部)
記憶部50は、ハードディスク、半導体メモリ等の記憶装置で構成される。記憶部50は、制御装置10に後述する各種機能を実行させるためのプログラムや演算パラメータが格納される。
また、記憶部50は、各種機能を実行させるためのプログラムだけでなく、後述するユーザUの香りに関する情報も格納される。
記憶部50は、制御システム100に内蔵される場合に限られず、ネットワークを介して制御装置10と接続可能なクラウドサーバ等であってもよい。
【0036】
(車両状態検出部)
車両状態検出部60は、車両1の状態を検出するための各種のセンサであり、各センサからのセンサデータを制御装置10に供給する。車両状態検出部60が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0037】
各種センサは、例えば、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、それらを統合した慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))や、エンジンの始動を認識するセンサ、ドア5の開閉を認識するセンサ、シフトレバー6(又はセレクトレバー)のシフト位置を認識するセンサ、駐車ブレーキ8などである。
また、カーナビゲーション7の案内情報については車両状態検出部60が取得するようにしてもよいし、通信部40が取得するようにしてもよい。
【0038】
続いて、制御装置10によって香りの噴出を制御される噴射装置30について説明する。
【0039】
[噴射装置]
噴射装置30は、制御装置10から出力される出力信号に基づいて香りの噴出を制御される。
【0040】
噴射装置30は、本実施形態では、サンバイザー4付近に配置されており、噴出部31と、カートリッジ部32と、噴出駆動部33と、を有する。
噴出部31は、香りを噴出するノズルとしての機能を有しており、その噴出口がユーザUの位置する領域に向けられている。
カートリッジ部32は、香りを充填したタンクとしての機能を有しており、噴出部31に接続されている。また、カートリッジ部32に充填される香りの種類は1種類以上であって、異なる種類の複数の香りがそれぞれ充填された複数のカートリッジ部が備えられているとより好ましい。
噴出駆動部33は、制御装置10の出力に基づいて噴出部31とカートリッジ部32の制御を行う。例えば、複数のカートリッジ部32から所定の香りを充填したカートリッジ部32を選択し、当該所定の香りを噴出部31から噴出させる。
【0041】
噴射装置30は、例えば、噴霧する機構を有する装置である。この種の装置としては、例えば、ポンプや圧縮空気などで香りを送出するスプレー方式などの指向性を有する噴射装置が好適に用いられる。
【0042】
噴射装置30は、香りをユーザUに噴出させる構成は噴霧する機構に限られず、揮発性の香りを送り出すエアポンプであってもよい。
また噴出部31の噴出方向は、固定式であってもよいし、自動又は手動によって変更可能な可動式であってもよい。自動式の場合、例えば、撮像部20によって撮像されたユーザUの顔の位置に基づいて制御装置10が噴出部31の噴出方向を変えるようにしてもよい。
【0043】
[制御装置の詳細]
続いて、制御装置10の詳細について説明する。また図9はユーザUの呼吸と制御装置10により実行される各種処理等との関係を説明するタイミングチャートである。
【0044】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを含むコンピュータ(情報処理装置)で構成される。上記メモリには、CPUにより後述する各種機能を実行させるためのプログラムや各種パラメータが格納される。なお、これらのプログラムやパラメータは、記憶部50に格納されてもよい。
【0045】
図1に示されるように、制御装置10は、取得部11と、制御部12と、処理部13とを有する。
【0046】
取得部11は、撮像部20や通信部40、記憶部50、車両状態検出部60から上述したユーザUの呼吸やユーザUの位置や、車両情報などの各種情報を取得する。取得部11はさらに、記憶部50から各種機能を実行させるためのプログラムや各種パラメータに関する情報を取得する。
【0047】
処理部13は、撮像部20によって撮像されたユーザUの撮像画像から、ユーザUの顔の位置を検出する画像処理部である。本実施形態では、処理部13は、撮像部20によって撮像されたユーザUの撮像画像から、ユーザUの鼻の位置を検出することが可能に構成される。
【0048】
また処理部13は、体動検出部によって検出されたユーザUの呼吸時の体動として例えばユーザUの胸の動きを検出する。
【0049】
制御部12は、算出部121と、信号生成部122と、判定部123と、選択部124と、評価部125とを有する。
【0050】
算出部121は、処理部13の出力に基づいて呼吸周期を算出する。信号生成部122は、算出部121の出力に基づいて、噴出部31から所定の空間領域Wに香りを噴出させる出力信号を生成する。
【0051】
ここで、信号生成部122の出力信号を生成するとは、出力信号を生成するだけでなく、生成した出力信号を噴射装置30に出力することも含む。
【0052】
図9に示されるように、算出部121は、処理部13の出力結果に基づいて、ユーザUの胸の動きから、胸の位置が最も手前(ハンドルH側)の時点をユーザUが息を最も吸い込んだ点YKとし、ユーザUの胸の位置が最も奥側(シートS1側)の時点をユーザUが息を最も吐いた点KYとして、ユーザUの呼吸周期を算出する。
【0053】
ここで、図9に示される点Kは、ユーザUの胸の位置が最も奥側に移動する速度が最も速い点である。
また、図9に示される点Yは、ユーザUの胸の位置が最も手前側に移動する速度が最も速い点である。
【0054】
続いて、算出部121は、算出した呼吸周期から吸気期間と呼気期間とを判定する。
吸気期間とは、図9に示すように、点KYから点Yを含んだ点YKまでの期間である。
また、呼気期間とは、図9に示すように、点YKから点Kを含んだ点KYまでの期間である。
【0055】
以上から、算出部121は、ユーザUの呼吸周期を算出する。
また算出部121は図9に示されるように、撮像部20から撮像画像を取得した現在の時点までの呼吸周期(実線部分)のみではなく、撮像部20から出力された検出結果を取得した現在の時点から所定時間後のユーザUの予測呼吸周期(点線部分)も算出する。
所定時間後のユーザUの予測呼吸周期は、例えば、現在の時点から過去数回の周期を平均した平均周期から算出されてもよい。
【0056】
所定時間後とは、特に限られないが、例えば、現在の時点から2周期分、3周期分の時間である。また本実施形態では、点Kおよび点Yを通る波形を正弦波で算出したが、直線状であっても、矩形であってもよい。
【0057】
図3に示されるように、所定の空間領域Wとは、噴出部31から香りが噴出される噴出領域Fのうち、ユーザUが着座している運転席S1のヘッドレストHR1の前方(ハンドルH側)の空間領域である。また所定の空間領域Wは、ユーザUの鼻Nが位置する領域を含むことが好ましい。
【0058】
信号生成部122は、算出部121において算出されたユーザUの呼吸周期に基づいて、噴出部31から所定の空間領域Wに香りを噴出させる出力信号を生成する。これにより、ユーザUにとって適切なタイミングで香りを提供することができる。
【0059】
特に本実施形態において信号生成部122は、ユーザUの呼吸周期に基づき、ユーザUの吸気期間内に噴出部31から噴出された香りが所定の空間領域Wに到達するように、出力信号を生成する。これにより、ユーザUにより効率よく香りを吸い込ませることができる。
【0060】
図9に示すように、ユーザUの吸気期間とは、上述したように点KYから点Yを含んだ点YKまでの期間である。噴出部31から香りが噴出されてから所定の空間領域Wに到達するまでに、タイムラグが生じてしまう。しかしながら、上記タイムラグに基づき、ユーザUの吸気期間内に香りが到達するように信号生成部122が、噴射装置30に出力信号を生成する。これにより、香りのタイムラグなく、ユーザUの吸気期間内に香りを提供することができる。
【0061】
タイムラグとは、香りの噴出速度と、噴出部31と所定の空間領域Wとの距離と、に基づいて算出される。上記噴出速度と上記距離は、予め記憶部50に記憶されていてもよい。記憶部50に記憶されたタイムラグの情報に基づいて信号生成部122は、香りの噴出タイミングを算出し、噴射装置30に上述した出力信号を生成する。
【0062】
判定部123は、第1の判定部1231と第2の判定部1232とを有する。第1の判定部1231は、ユーザUを撮像する撮像部20の出力に基づいたユーザUの顔の位置を検出する処理部13の出力に基づいて、ユーザUの顔が所定の空間領域W内に位置するか否かを判定する。
信号生成部122は、第1の判定部1231によりユーザUの顔が所定の空間領域W内に位置すると判定されたときに、香りを噴射装置30に噴出させる出力信号を生成する。
【0063】
これにより、香りが噴出される所定の空間領域W内にユーザUがいるときに、噴出部31から香りが噴出されるため、適切な位置に香りを提供することができる。
【0064】
特に本実施形態において処理部13は、ユーザUを撮像する撮像部20の出力に基づいてユーザUの鼻Nの位置を検出し、信号生成部122は、第1の判定部1231によりユーザUの鼻Nの位置が所定の空間領域W内に位置すると判定されたときに、香りを噴射装置30に噴出させる出力信号を生成する。
【0065】
処理部13は、撮像部20によって撮像された撮像画像から、あらかじめ検出対象として設定された部位(本実施形態では、鼻N)を検出する。本実施形態では、処理部13は、深層学習器を含み、処理部13に格納された学習モデル(顔認識アルゴリズム)を使用しながら、撮像画像における検出対象の存在の有無を判定し、検出対象が存在する場合はその位置を検出する。
【0066】
これにより、ユーザUが香りを検知しやすい位置に香りを噴出することができるため、噴出する香りの量が多くなることを防ぐことができ、適度な量の香りをユーザUに提供することができる。
【0067】
信号生成部122は、噴射装置30に香りの噴出総量を制御する出力信号を生成する。これにより、香りが過度に強くなりすぎることを防ぐことができる。
【0068】
香りの噴出総量は記憶部50に記憶されたユーザUの情報を用いて制御する。
また、ユーザUの情報とは、後述する評価部125によるユーザUの表情に基づいた情報である。
【0069】
香りの噴出総量とは、一回の噴出時の香りの噴出量と香りの噴出回数に基づいて算出される量である。
ここで噴射装置30の信号生成部122による制御方式は特に限定されず、典型的には、Оn/Оff制御であり、Onの継続時間で香りの流量を決めてもよい。
【0070】
また、信号生成部122は、噴射装置30に香りの噴出回数を制御する出力信号を生成する。これにより、より適切なタイミングでユーザUに香りを提供することができる。さらに、一回で噴出してしまうと香りの量が多くユーザUにとって不快になるおそれがあるが、複数回に分けて噴出することで、香りが強くなりすぎることを防ぐことができる。
【0071】
これも香りの噴出量と同様に、香りの噴出量は記憶部50に記憶された、後述する評価部125によるユーザUの表情に基づくユーザUの情報を用いて制御する。
また信号生成部122は出力信号によって噴射装置30が噴出する香りの噴出回数を制御することができる。
【0072】
選択部124は、予め取得されたユーザUの情報に基づいて、噴出部31が噴出可能な複数種類の香りの中から所定の香りを選択することができ、信号生成部122は、選択部124によって選択された所定の香りを噴出する出力信号を生成することができる。
【0073】
複数種類の香りとは、カートリッジ部32に充填されている香りの種類の数であり、ユーザUによって適宜設定可能である。香りの種類としては、ラベンダーやローズマリー、柑橘系、オーヴ、シトラスなどの香りが挙げられる。
【0074】
所定の香りとは、一種類の香りに限られない。例えば、香りのブレンドすることを目的として、複数種類の香りを選択することも可能である。これにより、ユーザUの好みや、ユーザUの状況に応じて適切な香りを提供することができる。
【0075】
選択部124は、記憶部50に記憶されたユーザUの情報に基づいて香りを選択することができる。
【0076】
記憶部50は、ユーザUの好みの香りや、過去に使用された香りの情報が記憶されているため、選択部124は、例えば、月日、時間、現在位置などの状況に合わせて、より適切な香りを提供することができる。
【0077】
第2の判定部1232は、ユーザUが乗車する車両状態を検出する車両状態検出部60の出力に基づいて車両状態を判定し、信号生成部122は、車両状態の所定条件を満たしたときに、噴射装置30に香りを噴出させる出力信号を生成する。
【0078】
車両状態とは、例えば、車両1の施錠状態やドアの開閉状態、運転席へのユーザUの着座の有無、エンジンのオンオフ状態、カーナビゲーションが案内中か否か、駐車ブレーキ8のオンオフ状態、シフトレバー6の状態、道路状況(例えば、高速道路か一般道路か、渋滞度合い)などが挙げられる。
【0079】
所定条件とは、例えば、車両1が発進する際に香りを提供する場合、シフトレバー6がドライブであるかどうかであり、シフトレバー6がドライブであると、噴射装置30に香りを噴出させるための出力信号を生成する。これにより、ユーザにより適切なタイミングで香りを提供することができる。
【0080】
また、発進時や目的地到着時など状況に合わせて選択部124により香りが選択されることで、ユーザUに適切なタイミングかつ適切な香りを提供することができる。
【0081】
評価部125は処理部13の出力に基づいて、出力信号の生成前後におけるユーザUの状態を評価する。
ユーザUの表情とは、例えば、元気な表情、リラックスした表情、すっきりした表情、眠そうな表情、香りがきつそうな表情等が挙げられる。
【0082】
評価部125は、撮像部20によって取得された撮像画像に基づいてと、あらかじめ検出対象として設定された表情とを評価する。本実施形態では、評価部125は、例えば深層学習器を含み、評価部125に格納された学習モデルを使用しながら、ユーザUの表情を認識し、評価する。
【0083】
また、評価部125は、ユーザUの表情を認識し、評価したあと、図4に示すようにその情報を記憶部50に記憶させる。これにより、ユーザUに香りを提供したときの情報が蓄積されるため、より適切な香りをユーザUに提供することができる。
【0084】
図4は、本実施形態においてユーザUが車両1に乗る前に過去に乗車し取得された情報である。
【0085】
図4の「個人ID」とは、各ユーザの番号であり、ユーザごとに「0001」、「0002」と振り分けられる。個人IDは、制御装置10によって深層学習などを用いて各ユーザを判別してもよいし、各ユーザが手動で設定してもよい。
【0086】
続いて、「手動、自動」とは、香りがユーザによって手動で噴出されたか、制御装置10によって自動で噴出されたかを示している。「乗車」、「降車」とは、香りが噴出された時点のことであり、「乗車」とは、車両1に乗ったとき、「降車」とは、車両1から降りるときのことである。
【0087】
続いて、「日時」は香りが噴出された日時のことである。図4では、何月であるかと何時であるかが記憶部50に記憶されているが、これに限られず、何月何日や、何時何分まで記憶させてもよい。
【0088】
続いて、「場所」とは、香りが噴出された場所であり、図4に示されるように、自宅や会社が挙げられるが、もちろんこれに限られず、遊園地などであってもよい。制御装置10によって車両状態検出部60や通信部40から位置情報を取得される。
【0089】
続いて、「気温・天気」とは、香りが噴出されたときの気温と天気であり、図4に示されるように、20℃、晴れといった情報であり、制御装置10によって通信部40から取得される。図4では、気温を摂氏で示したが華氏で示されてもよい。
【0090】
続いて、「前状態」とは、ユーザUに香りを噴出する前(信号生成部122が出力信号を生成する前)のユーザUの表情である。ユーザUの表情は、上述したように評価部125によって評価する。図4に示されるように、例えば、眠そうな表情や、憂鬱な表情である。
【0091】
「前状態」において、ユーザUの表情が評価されるタイミングは特に限られないが、例えば、後述する図5のS131のステップで評価されてもよい。
【0092】
続いて、「香り」とは、ユーザUに噴出された香りの種類であり、上述したようにラベンダーやローズマリー、柑橘系、オーヴ、シトラスなどの香りが挙げられる。
【0093】
続いて、「後状態」とは、ユーザUに香りを噴出したあと(信号生成部122が出力信号を生成した後)のユーザUの表情である。ユーザUの表情は、上述したように評価部125によって評価する。図4に示されるように、例えば、すっきりした表情や、元気な表情である。
【0094】
「後状態」において、ユーザUの表情が評価されるタイミングは特に限られないが、例えば、信号生成部122が出力信号を生成した後、1秒後や10秒後であってもよい。
【0095】
ここで図4に示される表は、一例であって、本技術を限定するものではなく、このほかにも様々な条件が加味されてもよい。
【0096】
[制御システムの動作]
(適用例1)
続いて、制御装置10の詳細について、制御システム100の動作とともに説明する。図5は、制御装置10により実行される処理手順を示すフローチャートである。また、図6は、噴出条件を判定する処理を説明するフローチャートであり、図7は香り選択の処理を説明するフローチャート、図8は噴出タイミングを判定する処理を説明するフローチャートである。適用例1では、制御装置10が車両に搭載され、車両1が発進する場合において実行される処理手順について説明する。
【0097】
まず、第2の判定部1232は、車両状態検出部60の出力に基づいて車両状態を判定し、噴出条件を満たしているかどうかを判定する(図5のS101)。
【0098】
図6に示されるように、噴出条件とは、S111~S117の各条件であり、上記条件を満たした場合、図5のS102へ進む。
【0099】
S111では、ドアロックは解除されたかどうかを判定し、S112では、ドア5が開けられたかどうかを判定する。S111、S112の判定方法は、車両状態検出部60が取得する、ドアロックの状態の情報やドア5の開閉情報に基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0100】
S113では、ユーザUが着座したかどうかを判定する。S113の判定方法は、例えば、車両状態検出部60が取得する、運転席S1に設けられた圧力センサに基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0101】
S114では、エンジンがかかったかどうかを判定する。S114の判定方法は、例えば、車両状態検出部60が取得する、エンジンの始動を認識するセンサに基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0102】
S115では、カーナビゲーション7が案内中かどうかを判定する。S115の判定方法は、無線又は有線によりカーナビゲーション7の情報を受信可能に接続された車両状態検出部60に基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0103】
S116では駐車ブレーキ8がオフかどうかを判定する。S116の判定方法は、例えば、車両状態検出部60が取得する、駐車ブレーキの状態を認識するセンサに基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0104】
S117ではシフトレバーがドライブであるかどうかを判定する。S117の判定方法は、例えば、車両状態検出部60が取得する、シフトレバーのシフト位置を認識するセンサに基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0105】
第2の判定部1232は、図6に示されるように、S111~S114、S116およびS117の判定結果が「yes」、S115の判定結果が「no」の場合、噴出条件を満たすと判定する。
【0106】
ここで、車両1の発進時に関して、噴出条件として上記条件(S111~S117)をすべて満たすことを前提としたが、勿論これに限られず、これら条件のうち少なくとも1つが満たされたときの噴出条件と満たすと判定してもよい。例えば、発進時に関して、エンジンかかった時点で、S102へ進んでもよい。また、上記条件に限られず、その他条件によって噴出条件を判定されてもよい。
【0107】
続いて、顔認識を行う(図5のS102)。
顔認識に関して、処理部13は、撮像部20によって撮像された撮像画像からユーザUの顔を検出する。上述のように処理部13は、深層学習器を含み、処理部13に格納された学習モデル(顔認識アルゴリズム)を使用しながら、撮像画像からユーザUの顔を検出する。
【0108】
続いて、記憶部50にS102で検出されたユーザUの顔情報を記憶し(図5のS103)、図5のS104へ進む。
【0109】
選択部124は、上記ユーザUの顔情報に基づいて予め記憶されたユーザUの情報に基づく香りを選択する(図5のS104)。
【0110】
図7に示すように、S131では、撮像部20によって撮像されたユーザUの顔の撮像画像と、あらかじめ記憶部50に記憶されたユーザの顔情報とを判別する。上述のように評価部125は、深層学習器を含み、評価部125に格納された学習モデルを使用しながら、撮像画像のユーザUの顔とユーザの顔情報とが一致するかどうか判別する。そこで、撮像部20によって取得された顔情報と登録された顔情報とが一致し(S131でyes)、そのユーザUの情報から、効果の高い香りがある場合(S132でyes)、その香りが選択部124によって選択される(S133)。
【0111】
一方、撮像部20によって取得された顔情報と記憶部50に登録された顔情報とが一致しない場合(S131でno)や、効果の高い香りがないと判断された場合(S132でno)は、予め用意された香りからランダムに選択される(S134)。
【0112】
ここで、効果の高い香りとは、評価部125によって、評価された香りである。例えば、図4に示されるように、朝自宅から乗車する際、ユーザUの表情から眠気を検知し、柑橘系の香りを噴出したあと、すっきりした表情になった場合などが効果の高い香りとなる。一方で効果の低い香りとは、例えば、朝自宅から乗車する際、ユーザUの表情から眠気を検知し、特定の香りを噴出したあと、さらに眠い表情になった場合が効果の低い香りとなる。
【0113】
また、あらかじめ記憶されたユーザの顔情報とは、例えば、図4に示される「個人ID」が「0001」に記憶される顔情報である。
【0114】
続いて、噴出タイミングを判定する(図5のS105)。
【0115】
第1の判定部1231は、ユーザUの鼻Nの位置を検出する処理部13の出力に基づいて、鼻Nが所定の空間領域Wに位置するか否かを判定する。
【0116】
鼻Nが所定の空間領域Wに位置する場合、図9に示されるように、適といった状態となる。これにより、第1の判定部1231は、鼻Nが所定の空間領域Wに位置する信号を信号生成部122へ出力することができる。
【0117】
算出部121は、体動検出部20によって検出されたユーザUの呼吸時の体動から呼吸周期を算出し、信号生成部122は、その呼吸周期に基づいてユーザUの吸気期間内に噴出部31から噴出された香りが所定の空間領域Wに到達できるかどうかを判定する。
【0118】
図5のS105に関して図9に示されるように、香りを噴出してからユーザUへ香りが届くまでタイムラグが発生する。このため、信号生成部122は上記タイムラグを考慮して香りを噴出するタイミングを算出する。
【0119】
ここで、タイムラグは、噴出部31と鼻Nとの距離に基づいて判定部123によって算出されてもよい。またこれに限られず、窓の空き具合や、エアコンの可動の有無、窓やエアコンからの風量などに応じてタイムラグが補正されてもよい。
また、吸気期間内にユーザUが香りを認識できることが好ましく、例えば、吸気期間に最も香りが提供されるように香りのタイムラグを信号生成部122によって算出されてもよい。香りが到達するタイミングとして、例えば、図9の点KYや点Yが挙げられる。
【0120】
ユーザUの吸気周期内にユーザUに香りを噴出できると判定された場合、信号生成部122は香りを噴出する出力信号を生成する。
【0121】
続いて、信号生成部122によって出力信号を受けた噴出駆動部33は、出力信号に基づいて、香りを噴出する(図5のS106)。
【0122】
続いて、評価部125は、ユーザUに香りを噴出したあとに、ユーザUの状態を評価する(図5のS107)。
【0123】
評価されたユーザUの状態は、図4に示されるように、記憶部50に記憶される。
【0124】
このように本実施形態では、ユーザに対して適切なタイミングで適切な量の香りを噴出することができる。
【0125】
以上、本実施形態では、ユーザUに対して香りを一回噴出する場合を用いて説明したが、複数回噴出してもよい。
以下、各種適用例において、香りの噴出条件の詳細について説明する。
【0126】
(適用例2:降車)
制御装置10が車両1に搭載され、車両1が目的地に到着する場合において実行される処理手順について説明する。
【0127】
まず、第2の判定部1232は、車両状態検出部60の出力に基づいて車両状態を判定し、噴出条件を満たしているかどうかを判定する(図6のS121)。
【0128】
図6に示されるように、噴出条件とは、S121~S124の各条件であり、上記各条件(S121~S124)を満たした場合、S102へ進む。
【0129】
S121では、シフトレバー6はパーキングであるかどうかを判定する。S121の判定方法は、車両状態検出部60が取得する、シフトレバーのシフト位置を認識するセンサに基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0130】
S122では、カーナビゲーション7が案内中かどうかを判定する。S122の判定方法は、無線又は有線によりカーナビゲーション7の情報を受信可能に接続された車両状態検出部60に基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0131】
S123では、エンジンが切られているかどうかを判定する。S123の判定方法は、例えば、車両状態検出部60が取得する、エンジンの停止を認識するセンサに基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0132】
S124では、ドアを開けたかどうかを判定する。S115の判定方法は、車両状態検出部60が取得する、ドア5の開閉情報に基づいて、第2の判定部1232により判定される。
【0133】
第2の判定部1232は、図6に示されるように、S121、S123およびS124の判定結果が「yes」、S122の判定結果が「no」の場合、噴出条件を満たすと判定する。
【0134】
ここで、車両1の目的地到着時に関して、噴出条件として上記条件(S121~S124)をすべて満たすことを前提としたが、勿論これに限られず、これら条件のうち少なくとも1つが満たされたときの噴出条件と満たすと判定してもよい。例えば、目的地到着時に関して、エンジンを切った時点で、S102へ進んでもよい。また、上記条件に限られず、その他条件によって噴出条件を判定されてもよい。
【0135】
図5に示すS102からS107までのステップに関して、上述した車両1の発進時と同様に行う。
【0136】
また目的地到着時の効果の高い香りとは、例えば、図4に示されるように、朝の通勤で会社に到着したときのユーザUの表情は、憂鬱な表情であったが、ハーブ系の香りを噴出後、元気な表情になった場合などが挙げられる。一方で効果の低い香りとは、憂鬱な表情のままであるような場合である。
【0137】
(適用例3)
香りを噴出する条件として上述した車両状態以外の場合、例えば高速道路に乗った時について説明する。
【0138】
適用例3において図5に示されるS101の噴出条件では、車両1が高速道路に乗ったかどうかを判定する。S101の判定方法は、例えば、通信部40により、車両1から高速道路に乗ったかどうかの情報をGNSS等から取得し、その取得した情報に基づいて制御装置10が高速道路に乗ったかどうかが判定される。
【0139】
続いて、高速道路の場合の効果の高い香りとは、例えば、リラックス効果のあるラベンダー系の香りである。これにより、高速道路で落ち着いて運転することができる。
【0140】
以上、高速道路に乗った場合といった、車の発進、到着以外の生活シーンの変化に対しても香りを適切なタイミングで提供することができる。
【0141】
(適用例4)
香りを噴出する条件として上述した車両状態以外の、例えば渋滞にあったときについて説明する。
【0142】
適用例4において図5に示されるS101の噴出条件では、車両1が渋滞にあったかどうかを判定する。S101の判定方法は、例えば、GNSS情報を有する通信部40から車両1の速度情報を取得する。ここで、第2の判定部1232は、一定期間、一定速度以下で走行されている場合、制御装置10は渋滞にあったと判定する。
【0143】
続いて、渋滞にあった場合の効果の高い香りとは、例えば、リラックス効果のあるラベンダー系の香りである。これにより、渋滞中でも落ち着いて運転することができる。
【0144】
以上、渋滞にあった場合といった、車の発進、到着以外の生活シーンの変化に対しても香りを適切なタイミングで提供することができる。
【0145】
また上述した車両状態以外にも例えば、一定時間以上運転している場合に眠気を覚ますためにハーブ系の香りを噴出するなど、上記以外にも香りの噴出条件は適宜設定可能である。
【0146】
<第2の実施形態>
香りを噴出する条件として、ユーザUが車両1にいない場合、例えば、ユーザUが屋内にいる場合について説明する。本例では、例えば、仕事の始業時などが挙げられる。
以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0147】
仕事の始業時の場合について説明する。第1の判定部1231は、ユーザUの顔の位置を検出する処理部13の出力に基づいて、ユーザUが所定の空間領域W内に位置するか否かを判定し、信号生成部122は、第1の判定部1231によりユーザの顔が所定の空間領域W内に位置すると判定されたときに、香りを噴出する出力信号を生成する。
【0148】
まず、取得部11により、時刻情報を通信部40より取得する。
そして記憶部50に記憶されたユーザUの会社の始業時間から、判定部123によって始業開始が判定される。
【0149】
またユーザUが着席しているかどうかを撮像部20によって撮像された撮像画像から第1の判定部1231によって、判定される。撮像部20の設置位置は例えばユーザUの使用するデスクである。これにより、始業時間経過後かつユーザUが着席している場合に香りを噴出することができる。ここで噴出部31の設置位置は、例えば撮像部20同様にユーザUの使用するデスクである。
【0150】
ここで所定の空間領域Wとは、ユーザが座る椅子から所定の高さにある空間であり、第1の実施形態同様、ユーザが椅子に座ったときにユーザの顔(主に鼻)がくる位置に所定の空間領域Wが設定されることが好ましい。
【0151】
上記デスク以外にも、ノートPC、デスクトップパソコンのディスプレイに撮像部20や噴出部31が備えられてもよい。
【0152】
始業開始時に効果の高い香りとは、例えば、柑橘系の香りである。これにより、集中して仕事をすることができる。
【0153】
第2の実施形態では、始業のタイミングを例に説明したが、これに限られない。例えば、終業時にも始業時同様に香りが噴出されてもよい。この場合、終業時に効果の高い香りとは、例えば、ローズ、ラベンダー、カモミールである。これにより、就業時のイライラやストレスを解消して、仕事を終えることができる。
【0154】
また上記以外のタイミングとして、会議開始時や終了時に香りを噴出するといった場合が挙げられる。例えば、会議に使うアプリを起動したときやそのアプリを終了したときに香りが噴出されてもよい。会議開始時に効果の高い香りとは、例えば、柑橘系の香りである。これにより、集中して会議をすることができる。
また会議終了時に効果の高い香りとは、例えば、バラ、ジャスミン、すずらんである。これにより、会議時の疲労感を軽減することができる。
【0155】
これにより、屋内にいながら生活シーンの変化が生じる場合であっても、香りを適切なタイミングで適切な量を提供することができる。
【0156】
以上、各例を用いて本技術を説明したが、本技術は上記の例に限られず、種々様々な生活シーンの変化に応じて香りを提供することができる。
【0157】
上記の実施形態では、噴射装置30は、サンバイザー4付近に設置するとして説明をした。
しかしながら、噴射装置30の設置例としては、サンバイザー4付近に限られない。例えば、香りが提供される乗員の席の上の天井や、香りが提供される乗員の席の近くのサイドウィンドウ付近や、香りが提供される乗員の席の近くのドアや、香りが提供される乗員の席近くのピラー、香りが提供される乗員の椅子のヘッドレスト付近(特に、乗員の肩や頭の近くの場所)に、噴射装置30を設置しても良い。ドライバ向けにはハンドルHやコックピットパネル付近、サンバイザー4自体に噴射装置30を設置しても良い。助手席の乗員向けには、グローブボックス付近やサンバイザー自体に噴射装置30を設置しても良い。後部座席の乗員向けには、座席前の乗員の椅子の背面(後部座席の乗員の目の前の領域やその領域付近)に噴射装置30を設置しても良い。
【0158】
また、上記の実施形態では、制御装置10は車両内にあるとして説明したが、制御装置10の機能(算出部121、信号生成部122、判定部123、選択部124、評価部125)の全て、あるいは、一部は、車外の車と離れた場所に設けられるようなシステム構成であっても良い。
例えば、制御装置10が車から離れた場所に設けられる場合、制御装置10は、車両状態検出部60や撮像部20、噴射装置30と通信ネットワークを介して接続される。
また、制御装置10の一部の機能が車から離れた場所に設けられた装置(遠隔地の装置)で処理される構成の場合には、遠隔地の装置は、制御装置10や車両状態検出部60、撮像部20、噴射装置30と通信ネットワークを介して接続される。
【0159】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
【0160】
(1)ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する算出部と、
前記算出部の出力に基づいて、噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する信号生成部と
を具備する制御装置。
(2)上記(1)に記載の制御装置であって、
前記信号生成部は、前記呼吸周期に基づき、前記ユーザの吸気期間内に前記噴出部から噴出された香りが前記所定領域に到達するように前記出力信号を生成する
制御装置。
(3)上記(1)又は(2)に記載の制御装置であって、
前記ユーザを撮像する撮像部の出力に基づいて前記ユーザの顔の位置を検出する処理部と、
前記処理部の出力に基づいて、前記ユーザの顔が前記所定の空間領域内に位置するか否かを判定する第1の判定部と
をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記第1の判定部により前記ユーザの顔が前記所定の空間領域内に位置すると判定されたときに、前記出力信号を生成する
制御装置。
(4)上記(3)に記載の制御装置であって、
前記処理部は、前記ユーザの鼻の位置を検出し、
前記信号生成部は、前記第1の判定部により前記ユーザの鼻の位置が前記所定の空間領域内に位置すると判定されたときに、前記出力信号を生成する
制御装置。
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
前記信号生成部は、前記香りの噴出総量を制御する出力信号を生成する
制御装置。
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
予め取得された前記ユーザの情報に基づいて、前記噴出部が噴出可能な複数種類の香りの中から所定の香りを選択することが可能な選択部をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記選択部によって選択された前記所定の香りを噴出させる出力信号を生成する
制御装置。
(7)上記(3)又は(4)に記載の制御装置であって、
前記ユーザが乗車する車両状態を検出する車両状態検出部の出力に基づいて車両状態を判定する第2の判定部をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記第2の判定部の出力に基づいて、前記出力信号を生成する
制御装置。
(8)上記(3)又は(4)に記載の制御装置であって、
前記撮像部の出力に基づいて、前記出力信号の生成前後における前記ユーザの状態を評価する評価部をさらに具備する
制御装置。
(9) ユーザに香りを噴出する噴出部と、
ユーザに香りを噴出する噴出部と、
ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する算出部と、前記算出部の出力に基づいて、前記噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する信号生成部と、を有する制御装置と
を具備する噴出装置。
(10)上記(9)に記載の噴出装置であって、
前記噴出部は、複数種類の香りをそれぞれ収容する複数のカートリッジ部を有し、
前記制御装置は、前記複数のカートリッジ部から所定のカートリッジ部を選択する選択部をさらに有する
噴出装置。
(11)上記(9)又は(10)に記載の噴出装置であって、
前記噴出部は車室内に配置され、
前記所定の空間領域は、前記車室内の所定の空間領域である
噴出装置。
(12)制御装置が、
ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出し、
前記呼吸周期に基づいて、噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する
制御方法。
(13) ユーザに香りを噴出する噴出部と、
前記ユーザの呼吸時体動を検出する体動検出部と、
前記体動検出部の出力に基づいて呼吸周期を算出する算出部と、前記呼吸周期に基づいて、前記噴出部から所定の空間領域に香りを噴出させる出力信号を生成する信号生成部と、を有する制御装置と
を具備する制御システム。
(14)上記(13)に記載の制御システムであって、
前記ユーザを撮像する撮像部をさらに具備し、
前記制御装置は、前記撮像部の出力に基づいて、前記出力信号の生成前後における前記ユーザの状態を評価する評価部をさらに有する
制御システム。
【符号の説明】
【0161】
1…車両
1A…車室内
10…制御装置
11…取得部
12…制御部
121…算出部
122…信号生成部
123…判定部
124…選択部
125…評価部
20…撮像部(体動検出部)
30…噴射装置
31…噴出部
32…カートリッジ部
50…記憶部
100…制御システム
W…所定の空間領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9