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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115566
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】固液分離方法および固液分離設備
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/127 20190101AFI20240820BHJP
【FI】
C02F11/127 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021216
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】595011238
【氏名又は名称】クボタ環境エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 琢
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059AA02
4D059BE10
4D059BE15
4D059BE16
4D059BE38
4D059BE39
4D059BE46
4D059BE49
4D059BK01
4D059CA16
4D059CA22
(57)【要約】
【課題】サイクロンの排出部から排出された固形物が接続配管内に詰まるのを防止することが可能な固液分離方法を提供する。
【解決手段】被処理水1中に含まれる沈降性の固形物2をサイクロン15,16により固液分離した後、固形物2をサイクロン15,16の後段に設けられた脱水機17により脱水する固液分離方法であって、被処理水1をサイクロン15,16に供給しながら、固形物2をサイクロン15,16から排出する排出部21,29と脱水機17とを接続する接続配管33内に、補助水59を供給して、サイクロン15,16の排出部21,29から接続配管33内に排出された固形物2が脱水機17に向けて流れるように、補助水59によって接続配管33内の固形物2の流れを補助する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水中に含まれる沈降性の固形物をサイクロンにより固液分離した後、固形物をサイクロンの後段に設けられた脱水機により脱水する固液分離方法であって、
被処理水をサイクロンに供給しながら、固形物をサイクロンから排出する排出部と脱水機とを接続する接続配管内に、補助水を供給して、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が脱水機に向けて流れるように、補助水によって接続配管内の固形物の流れを補助することを特徴とする固液分離方法。
【請求項2】
接続配管の途中に、大気開放された槽を設けることを特徴とする請求項1記載の固液分離方法。
【請求項3】
槽よりも上流箇所において、補助水を接続配管内に供給することを特徴とする請求項2記載の固液分離方法。
【請求項4】
被処理水をサイクロンに供給するのを停止した状態で、補助水を接続配管内に供給して、接続配管内を洗浄することを特徴とする請求項1記載の固液分離方法。
【請求項5】
脱水機に遠心脱水機を用いることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固液分離方法。
【請求項6】
被処理水中に含まれる沈降性の固形物をサイクロンにより固液分離した後、固形物をサイクロンの後段に設けられた脱水機により脱水する固液分離設備であって、
固形物をサイクロンから排出する排出部と脱水機とが接続配管を介して接続され、
接続配管の途中に、大気開放された槽が設けられ、
補助水を接続配管内に供給する補助水供給装置が、槽よりも上流箇所において、接続配管に接続されており、
補助水は、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が槽に向けて流れるように、接続配管内の固形物の流れを補助することを特徴とする固液分離設備。
【請求項7】
槽の内部から外部へ漏洩した臭気を脱臭する脱臭設備が備えられていることを特徴とする請求項6記載の固液分離設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中に含まれる沈降性の固形物をサイクロンにより固液分離した後、固形物をサイクロンの後段に設けられた脱水機により脱水する固液分離方法および固液分離設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、し尿や浄化槽汚泥等の原水を生物処理する際、原水中に含まれる細砂等の沈降性の固形物を、固液分離設備を用いて、原水から分離して除去している。図3に示すように、固液分離設備101は、サイクロン102と、サイクロン102の後段に設置された濾過装置103とを有している。
【0003】
サイクロン102は、原水104が流入する流入部105と、原水104中の固形物106を下端部から排出する固形物排出部107と、分離水108を上部から排出する分離水排出部109とを有している。固形物排出部107と濾過装置103の入口とは接続配管110によって接続されている。
【0004】
原水104をサイクロン102に供給することにより、原水104が流入部105からサイクロン102内に流入し、原水104中の固形物106は、サイクロン102の固形物排出部107から排出され、接続配管110内を流れて濾過装置103に供給され、濾過装置103でろ過され、その後、濾過装置103から外部へ取り出される。
【0005】
また、固形物106が分離された原水104は、分離水108として、サイクロン102の分離水排出部109から排出され、貯留槽111に貯留される。貯留槽111内の分離水108は、貯留槽111の後段に設置された生物処理装置112(脱窒槽、硝化槽、膜分離槽等)によって生物処理される。
尚、上記のようなサイクロンと濾過装置とを有する固液分離設備は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4061327号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、サイクロン102の固形物排出部107から排出された固形物106が接続配管110内に詰まり易いといった問題がある。このように接続配管110が固形物106で閉塞してしまうと、固形物106をサイクロン102から濾過装置103に安定して供給することが困難になる。
【0008】
本発明は、サイクロンの排出部から排出された固形物が接続配管内に詰まるのを防止することが可能な固液分離方法および固液分離設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、被処理水中に含まれる沈降性の固形物をサイクロンにより固液分離した後、固形物をサイクロンの後段に設けられた脱水機により脱水する固液分離方法であって、
被処理水をサイクロンに供給しながら、固形物をサイクロンから排出する排出部と脱水機とを接続する接続配管内に、補助水を供給して、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が脱水機に向けて流れるように、補助水によって接続配管内の固形物の流れを補助するものである。
【0010】
これによると、被処理水をサイクロンに供給しながら、補助水を接続配管内に供給することにより、接続配管内の固形物の流れが補助水によって補助される。このため、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が接続配管内に詰まるのを防止することができ、固形物は、サイクロンから脱水機に向けて安定して供給され、脱水機で脱水される。
また、サイクロンに供給されて固形物が分離された被処理水は、分離水として、サイクロンから排出される。
【0011】
本第2発明における固液分離方法は、接続配管の途中に、大気開放された槽を設けるものである。
【0012】
これによると、槽の内部が大気圧に保たれるので、槽に接続されている接続配管の出口の圧力もほぼ大気圧に保たれる。このため、接続配管内の圧力が大きく変動するのを防止することができる。これにより、接続配管内の圧力の上昇に伴いサイクロン内において分離水が排出される方向へ固形物が引き寄せられることはなく、サイクロンから排出される分離水中に含まれる固形物の排出量が増加するとともに、サイクロンの排出部から接続配管内に排出される固形物の排出量が減少するといった不具合を防止することができる。従って、固形物はサイクロンの排出部から接続配管内に安定して排出される。
【0013】
本第3発明における固液分離方法は、槽よりも上流箇所において、補助水を接続配管内に供給するものである。
【0014】
これによると、補助水は、先ず、槽よりも上流の接続配管内を流れ、次に、槽内を流れ、その後、槽よりも下流の接続配管内を流れる。このため、接続配管内および槽内の固形物の流れが補助水によって補助され、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が接続配管内に詰まるのを防止することができる。
【0015】
本第4発明における固液分離方法は、被処理水をサイクロンに供給するのを停止した状態で、補助水を接続配管内に供給して、接続配管内を洗浄するものである。
【0016】
これによると、補助水を用いて容易に接続配管内を洗浄することができる。
【0017】
本第5発明における固液分離方法は、脱水機に遠心脱水機を用いるものである。
【0018】
本第6発明は、被処理水中に含まれる沈降性の固形物をサイクロンにより固液分離した後、固形物をサイクロンの後段に設けられた脱水機により脱水する固液分離設備であって、
固形物をサイクロンから排出する排出部と脱水機とが接続配管を介して接続され、
接続配管の途中に、大気開放された槽が設けられ、
補助水を接続配管内に供給する補助水供給装置が、槽よりも上流箇所において、接続配管に接続されており、
補助水は、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が槽に向けて流れるように、接続配管内の固形物の流れを補助するものである。
【0019】
これによると、被処理水をサイクロンに供給しながら、補助水供給装置が補助水を接続配管内に供給することにより、接続配管内の固形物の流れが補助水によって補助される。このため、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が接続配管内に詰まるのを防止することができ、固形物は、サイクロンから脱水機に安定して供給され、脱水機で脱水される。
また、サイクロンに供給されて固形物が分離された被処理水は、分離水として、サイクロンから排出される。
【0020】
槽の内部が大気圧に保たれるので、槽に接続されている接続配管の出口の圧力もほぼ大気圧に保たれる。このため、接続配管内の圧力が大きく変動するのを防止することができる。これにより、接続配管内の圧力の上昇に伴いサイクロン内において分離水が排出される方向へ固形物が引き寄せられることはなく、サイクロンから排出される分離水中に含まれる固形物の排出量が増加するとともに、サイクロンの排出部から接続配管内に排出される固形物の排出量が減少するといった不具合を防止することができる。従って、固形物はサイクロンの排出部から接続配管内に安定して排出される。
【0021】
本第7発明における固液分離設備は、槽の内部から外部へ漏洩した臭気を脱臭する脱臭設備が備えられているものである。
【0022】
これによると、槽は大気開放されているため、槽の内部の臭気が槽の外部へ漏洩しても、漏洩した臭気は脱臭設備で脱臭される。これにより、臭気が槽の外部へ広範囲に拡散するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によると、被処理水をサイクロンに供給しながら、補助水を接続配管内に供給することにより、接続配管内の固形物の流れが補助水によって補助される。このため、サイクロンの排出部から接続配管内に排出された固形物が接続配管内に詰まるのを防止することができ、固形物はサイクロンから脱水機に向けて安定して供給される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態における固液分離設備の模式図である。
図2】同、固液分離設備の一部拡大断面図である。
図3】従来の固液分離設備の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、し尿や浄化槽汚泥等の原水1(被処理水の一例)を生物処理する際、生物処理の前段階において、原水1中に含まれる細砂2(沈降性の固形物の一例)を、固液分離設備10を用いて、原水1から分離して除去している。
【0027】
固液分離設備10の前段(上流)には、原水1を受け入れる複数台(例えば2台)の受入槽11,12が設けられている。固液分離設備10の後段(下流)には、原水1から細砂2を分離除去することによって得られる分離水3を貯留する貯留槽13が設けられている。
【0028】
固液分離設備10は、複数台(例えば2台)のサイクロン15,16と、サイクロン15,16の後段(下流)に設けられた1台の遠心脱水機17(脱水機の一例)とを有している。
【0029】
第1のサイクロン15は、受入槽11から供給される原水1が流入する流入口20と、原水1中の細砂2を下端部から排出する固形物排出口21(排出部の一例)と、分離水3を上部から排出する分離水排出口23とを有している。
第2のサイクロン16は、第1のサイクロン15と同様に、流入口28と固形物排出口29(排出部の一例)と分離水排出口30とを有している。
【0030】
受入槽11と第1のサイクロン15の流入口20との間には、第1の供給配管75が接続されている。同様に、受入槽12と第2のサイクロン16の流入口28との間には、第2の供給配管76が接続されている。第1の供給配管75には第1の供給弁79と第1の供給ポンプ80とが設けられ、第2の供給配管76には第2の供給弁81と第2の供給ポンプ82とが設けられている。
【0031】
第1のサイクロン15の分離水排出口23と貯留槽13との間には、第1の排出配管77が接続されている。同様に、第2のサイクロン16の分離水排出口30と貯留槽13との間には、第2の排出配管78が接続されている。
【0032】
第1および第2のサイクロン15,16の固形物排出口21,29と遠心脱水機17とが接続配管33を介して接続されている。接続配管33の途中には、大気開放された槽34が設けられている。
【0033】
図1図2に示すように、接続配管33は、第1のサイクロン15の固形物排出口21と槽34との間に接続された第1の管35と、第2のサイクロン16の固形物排出口29と槽34との間に接続された第2の管36と、槽34と遠心脱水機17の入口との間に接続された第3の管37とを有している。
槽34は、四角箱状の槽であり、天壁43と、底壁44と、左右一対の側壁45,46と、前後一対の側壁47とを有している。
【0034】
第1の管35の上流側は第1の弁39を介して第1のサイクロン15の固形物排出口21に接続されており、第1の管35の下流側は槽34の一方の側壁45に接続されている。同様に、第2の管36の上流側は第2の弁40を介して第2のサイクロン16の固形物排出口29に接続されており、第2の管36の下流側は槽34の他方の側壁46に接続されている。第3の管37の上流端部は槽34の底壁44に接続されている。
【0035】
槽34の天壁43には、貫通孔50と、貫通孔50に連通する連通管51とが設けられている。槽34の内部は、貫通孔50と連通管51とを介して、槽34の外部に連通している。これにより、槽34の内部が大気開放される。
【0036】
固液分離設備10には、槽34の内部から連通管51を通って外部へ漏出する臭気52を捕集して脱臭する脱臭設備53が備えられている。脱臭設備53は、上方から連通管51の先端開口部に被せられた捕集部材54(フード)と、脱臭装置55と、捕集部材54と脱臭装置55との間に接続された脱臭用配管56とを有している。
【0037】
補助水59を接続配管33に供給する補助水供給装置60が接続配管33に接続されている。補助水供給装置60は、補助水59を貯留する補助水貯留槽61と、補助水供給主管62と、補助水供給主管62から分岐した第1および第2の補助水供給管63,64と、第1および第2の補助水供給管63,64に設けられた第1および第2の補助水供給弁65,66と、補助水供給主管62に設けられた補助水供給ポンプ67とを有している。
【0038】
第1の補助水供給管63は、槽34よりも上流箇所において、接続配管33の第1の管35の端部に接続されている。同様に、第2の補助水供給管64は、槽34よりも上流箇所において、接続配管33の第2の管36の端部に接続されている。
【0039】
補助水59は、第1および第2のサイクロン15,16の固形物排出口21,29から接続配管33内に排出された細砂2が槽34並びに遠心脱水機17に向けて流れるように、接続配管33内の細砂2の流れを補助する液体である。補助水59としては、例えば、水道水や工業用水、井戸水等、或いは、遠心脱水機17から得られる分離水85や後段の生物処理装置87からの処理水等を使用してもよい。
【0040】
遠心脱水機17において細砂2を脱水することにより得られる分離水85は、第3の排出配管86を流れて、貯留槽13に排出される。貯留槽13の後段(下流)には、生物処理装置87(例えば脱窒槽、硝化槽、膜分離槽等)が設置されている。
【0041】
以下に、原水1中に含まれる細砂2を第1および第2のサイクロン15,16により固液分離した後、細砂2を遠心脱水機17により脱水する固液分離方法を説明する。
【0042】
第1および第2の弁39,40と第1および第2の供給弁79,81とをそれぞれ開き、第1および第2の供給ポンプ80,82を駆動して、受入槽11内の原水1を第1のサイクロン15に供給して固液分離するとともに、受入槽12内の原水1を第2のサイクロン16に供給して固液分離する。
【0043】
第1のサイクロン15内において細砂2が分離された原水1は、分離水3として、第1のサイクロン15の分離水排出口23から排出され、第1の排出配管77を流れて貯留槽13に回収される。同様に、第2のサイクロン16内において細砂2が分離された原水1は、分離水3として、第2のサイクロン16の分離水排出口30から排出され、第2の排出配管78を流れて貯留槽13に回収される。
【0044】
第1のサイクロン15内で分離された細砂2は、固形物排出口21から排出されて接続配管33の第1の管35内を流れ、第1の管35から槽34内に流入する。同様に、第2のサイクロン16内で分離された細砂2は、固形物排出口29から排出されて接続配管33の第2の管36内を流れ、第2の管36から槽34内に流入する。
【0045】
上記のように受入槽11,12内の原水1を第1および第2のサイクロン15,16に供給しながら、補助水供給装置60の第1および第2の補助水供給弁65,66を開き、補助水供給ポンプ67を駆動する。
【0046】
これにより、補助水貯留槽61内の補助水59は、補助水供給主管62内から第1および第2の補助水供給管63,64内を流れ、第1の補助水供給管63内から接続配管33の第1の管35内に供給され、細砂2と共に第1の管35内から槽34内に流入するとともに、第2の補助水供給管64内から接続配管33の第2の管36内に供給され、細砂2と共に第2の管36内から槽34内に流入する。
【0047】
このようにして槽34内に流入した細砂2と補助水59とは、混合された状態で、接続配管33の第3の管37内を流れ、遠心脱水機17に供給されて脱水される。このようにして脱水された細砂2が遠心脱水機17から外部へ排出される。尚、図2に示すように、槽34の内部には、主に細砂2と補助水59とが混合してなる液相88と、空気からなる気相89とが形成される。
【0048】
また、細砂2を脱水することにより得られる分離水85は遠心脱水機17から第3の排出配管86を流れて貯留槽13に回収される。貯留槽13内の分離水3,85は生物処理装置87に供給されて生物処理される。
【0049】
上記のように補助水59を接続配管33の各管35,36,37内と槽34内とに供給することにより、接続配管33内の細砂2の流れと槽34内の細砂2の流れとが補助水59によって補助される。このため、両サイクロン15,16の固形物排出口21,29から接続配管33内に排出された細砂2が接続配管33内に詰まるのを防止することができ、細砂2は、両サイクロン15,16から遠心脱水機17に安定して供給され、遠心脱水機17で脱水される。
【0050】
また、槽34は大気開放されているため、槽34の内部は大気圧に保たれ、接続配管33の第1の管35の出口(図2参照)の圧力および第2の管36の出口(図2参照)の圧力もほぼ大気圧に保たれる。このため、接続配管33内の圧力が大きく変動するのを防止することができる。これにより、接続配管33の第1の管35又は第2の管36の内部の圧力の上昇に伴い両サイクロン15,16内において細砂2が分離水排出口23,30の方向(上方向)へ引き寄せられることはなく、両サイクロン15,16の分離水排出口23,30から排出される分離水3中に含まれる細砂2の排出量が増加するとともに、両サイクロン15,16の固形物排出口21,29から接続配管33内に排出される細砂2の排出量が減少するといった不具合を防止することができる。従って、細砂2は両サイクロン15,16の固形物排出口21,29から接続配管33内に安定して排出される。
【0051】
また、図2に示すように、槽34は貫通孔50と連通管51とを介して大気開放されているが、槽34の内部の臭気52が貫通孔50と連通管51とを通って槽34の外部へ漏洩しても、漏洩した臭気52は、脱臭設備53の捕集部材54で捕集されて脱臭用配管56内を流れ、脱臭装置55で脱臭される。これにより、臭気52が槽34の外部へ広範囲に拡散するのを防止することができる。
【0052】
また、上記のような固液分離工程が終了した後、以下のような洗浄工程を行うことができる。すなわち、洗浄工程において、第1および第2の供給ポンプ80,82の駆動を停止するとともに、第1および第2の供給弁79,81を閉じて、受入槽11,12から第1および第2のサイクロン15,16への原水1の供給を停止する。
【0053】
この状態で、第1および第2の弁39,40を閉じ、補助水供給装置60の第1および第2の補助水供給弁65,66を開き、補助水供給ポンプ67を駆動する。
【0054】
これにより、補助水貯留槽61内の補助水59が、補助水供給主管62内から第1および第2の補助水供給管63,64内を流れ、第1の補助水供給管63内から接続配管33の第1の管35内に供給されて槽34内に流入するとともに、第2の補助水供給管64内から接続配管33の第2の管36内に供給されて槽34内に流入する。
【0055】
このようにして槽34内に流入した補助水59は接続配管33の第3の管37内を流れて遠心脱水機17に送られる。これにより、補助水59を用いて、容易に、接続配管33の内部と槽34の内部とを洗浄することができる。
【0056】
上記実施の形態では、図1に示すように、2台のサイクロン15,16を備えた固液分離設備10を例示したが、いずれか1台のサイクロンを備えた固液分離設備であってもよい。この場合、接続配管33の第1および第2の管35,36のいずれか片方が不要になる。また、3台以上のサイクロンを備えた固液分離設備であってもよい。
【0057】
上記実施の形態では、脱水機の一例として遠心脱水機17を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機等の他の型式の脱水機を用いてもよい。
【0058】
上記実施の形態では、被処理水の一例として、し尿や浄化槽汚泥等の原水1を示したが、このような原水1に限定されるものではなく、沈降性の固形物を含んだ液体であればよい。また、沈降性の固形物の一例として、細砂2を示したが、これに限定されるものではなく、例えば金属片やガラス片等であってもよい。
【0059】
上記実施の形態では、図1に示すように、接続配管33の第1の管35および第2の管36の其々一箇所(上流側端部)から補助水59を供給しているが、複数個所から補助水59を供給してもよく、或いは、槽34と遠心脱水機17とを接続する接続配管33の第3の管37に対して補助水59を供給してもよい。すなわち、細砂2(沈降性の固形物)が接続配管33内で滞留する虞のある箇所に対して適宜補助水59を供給すればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 原水(被処理水)
2 細砂(固形物)
10 固液分離設備
15,16 サイクロン
17 遠心脱水機(脱水機)
21 固形物排出口(排出部)
33 接続配管
34 槽
52 臭気
53 脱臭設備
59 補助水
60 補助水供給装置
図1
図2
図3