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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115569
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】通電用プローブユニット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20240820BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20240820BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240820BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 D
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021227
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 光太
(72)【発明者】
【氏名】原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】塚本 健一
(72)【発明者】
【氏名】小西 信
(72)【発明者】
【氏名】中原 正仁
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG03
2G003AG12
2G003AH04
2G003AH05
2G003AH08
2G011AA10
2G011AA16
2G011AA21
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB04
2G011AB07
2G011AC14
2G011AE01
2G011AF03
2G011AF06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試験対象品の通電部と試験装置の通電部との間の電気的接続をより確実に、かつ、より簡単に行えること。
【解決手段】通電用プローブユニット10は、第1の端面11aと第2の端面11bを有し、導電性材料で形成される導電性ブロック11と、第1の端面11aに対して露出し、第1の方向に向いた接触面を有する第1の接触部15aを有し、導電性ブロック11に電気的及び機械的に接続され、第1の接触部15aが反対方向の第2の方向に可動でき、第1の方向に押圧力が与えられて通電部に第1の接触部15aの接触面が電気的に接続される通電用プローブ15と、導電性ブロック11の第2の端面11bに対して露出し、第2の接触部16aを有し、導電性ブロック11に電気的及び機械的に接続され、第2の接触部16aが第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品の電気特性を確認する試験を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端面と前記第1の端面に対して重ならずに並行に位置する第2の端面を有し、導電性材料で形成される導電性ブロックと、
前記導電性ブロックの第1の端面に対して露出し、第1の方向に向いている接触面を有する第1の接触部を有し、前記導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第1の接触部が前記第1の方向及び前記第1の方向とは反対方向である第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品に対する通電部に前記第1の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験対象品側の通電用プローブと、
前記導電性ブロックの第2の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第2の接触部を有し、前記導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第2の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられて前記試験対象品の電気特性を確認する試験を行う試験装置における通電部に前記第2の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験装置側の通電用プローブと、
を備える通電用プローブユニット。
【請求項2】
前記試験対象品側の通電用プローブは、前記導電性ブロックの第1の端面の周囲に形成された第1の挿入孔に挿抜可能であり、
前記試験装置側の通電用プローブは、前記導電性ブロックの第2の端面の周囲に形成された第2の挿入孔に挿抜可能である、
請求項1に記載の通電用プローブユニット。
【請求項3】
前記導電性ブロックは、前記第1の端面を有する第1の導電体と、前記第2の端面を有する第2の導電体と、前記第1の導電体の前記第2の方向に位置する端部から前記第2の導電体の前記第2の方向に位置する端部まで前記第1の方向と直交する第3の方向に延在する第3の導電体を有する請求項2に記載の通電用プローブユニット。
【請求項4】
前記導電性ブロックの第1の端面に対して露出し、第1の方向に向いている接触面を有する第1の信号検出用接触部を有し、前記導電性ブロックに電気的に絶縁状態にして装着され、前記第1の信号検出用接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられて前記試験対象品に対する信号検出用端子部に前記第1の信号検出用接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験対象品側の信号検出用プローブを備えた請求項1に記載の通電用プローブユニット。
【請求項5】
前記導電性ブロックの第2の端面に対して露出し、第1の方向に向いている接触面を有する第2の信号検出用接触部を有し、前記導電性ブロックに電気的に絶縁状態にして装着され、前記第2の信号検出用接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられて前記試験装置に対する信号検出用端子部に前記第2の信号検出用接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験装置側の信号検出用プローブを備えた請求項4に記載の通電用プローブユニット。
【請求項6】
前記試験対象品側の通電用プローブの第1の接触部における前記第1の方向及び前記第2の方向への有効可動範囲であるストローク量と、前記試験装置側の通電用プローブの第2の接触部における前記第1の方向及び前記第2の方向への有効可動範囲であるストローク量が異なる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通電用プローブユニット。
【請求項7】
前記導電性ブロックの側面に放熱用フィンが設けられた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通電用プローブユニット。
【請求項8】
前記導電性ブロックは流体流入口と流体流出口を有し、前記導電性ブロックの内部に、前記流体流入口から前記流体流出口に至る流体流路を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通電用プローブユニット。
【請求項9】
前記流体流出口は前記第1の端面に形成された第1の流体流出口と前記第2の端面に形成された第2の流体流出口を有し、
前記流体流路は前記流体流入口から前記第1の流体流出口に至る第1の流体流路と前記流体流入口から前記第2の流体流出口に至る第2の流体流路を有する、
請求項8に記載の通電用プローブユニット。
【請求項10】
前記導電性ブロックは流体流入口と流体流出口を有し、前記導電性ブロックの内部に、前記流体流入口から前記流体流出口に至る流体流路を有する請求項7に記載の通電用プローブユニット。
【請求項11】
前記流体流出口は前記第1の端面に形成された第1の流体流出口と前記第2の端面に形成された第2の流体流出口を有し、
前記流体流路は前記流体流入口から前記第1の流体流出口に至る第1の流体流路と前記流体流入口から前記第2の流体流出口に至る第2の流体流路を有する、
請求項10に記載の通電用プローブユニット。
【請求項12】
前記導電性ブロックを第1の極の通電を行う第1の導電性ブロックとし、前記試験対象品側の通電用プローブを試験対象品側の第1の通電用プローブとし、前記試験装置側の通電用プローブを試験装置側の第1の通電用プローブとし、
前記第1の導電性ブロックの第1の端面と第2の端面は前記第1の方向と直交する第3の方向に離隔して位置し、
前記第1の導電性ブロックと前記第1の方向及び第3の方向とそれぞれ直交する第5の方向に絶縁体を介して設けられ、第3の端面と当該第3の断面に並行に位置する第4の端面を有し、第2の極の通電を行う導電性材料で形成される第2の導電性ブロックと、
前記第2の導電性ブロックの第3の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第3の接触部を有し、前記第2導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第3の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験対象品に対する第2の極の通電に対する通電部に前記第3の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験対象品側の第2の通電用プローブと、
前記第2の導電性ブロックの第4の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第4の接触部を有し、前記第2の導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第4の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験装置における第2の極の通電に対する通電部に前記第4の接触部の接触面が接触して電気的に接続される複数の試験装置側の第2の通電用プローブと、
を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通電用プローブユニット。
【請求項13】
前記導電性ブロックを第1の極の通電を行う第1の導電性ブロックとし、前記試験対象品側の通電用プローブを試験対象品側の第1の通電用プローブとし、前記試験装置側の通電用プローブを試験装置側の第1の通電用プローブとし、
前記第1の導電性ブロックの第1の端面と第2の端面は前記第1の方向と直交する第3の方向に離隔して位置し、
前記第1の導電性ブロックと前記第1の方向及び第3の方向とそれぞれ直交する第5の方向に絶縁体を介して設けられ、第3の端面と当該第3の断面に並行に位置する第4の端面を有し、第2の極の通電を行う導電性材料で形成される第2の導電性ブロックと、
前記第2の導電性ブロックの第3の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第3の接触部を有し、前記第2導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第3の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験対象品に対する第2の極の通電に対する通電部に前記第3の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験対象品側の第2の通電用プローブと、
前記第2の導電性ブロックの第4の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第4の接触部を有し、前記第2の導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第4の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験装置における第2の極の通電に対する通電部に前記第4の接触部の接触面が接触して電気的に接続される複数の試験装置側の第2の通電用プローブと、
を備える請求項6に記載の通電用プローブユニット。
【請求項14】
前記導電性ブロックを第1の極の通電を行う第1の導電性ブロックとし、前記試験対象品側の通電用プローブを試験対象品側の第1の通電用プローブとし、前記試験装置側の通電用プローブを試験装置側の第1の通電用プローブとし、
前記第1の導電性ブロックの第1の端面と第2の端面は前記第1の方向と直交する第3の方向に離隔して位置し、
前記第1の導電性ブロックと前記第1の方向及び第3の方向とそれぞれ直交する第5の方向に絶縁体を介して設けられ、第3の端面と当該第3の断面に並行に位置する第4の端面を有し、第2の極の通電を行う導電性材料で形成される第2の導電性ブロックと、
前記第2の導電性ブロックの第3の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第3の接触部を有し、前記第2導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第3の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験対象品に対する第2の極の通電に対する通電部に前記第3の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験対象品側の第2の通電用プローブと、
前記第2の導電性ブロックの第4の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第4の接触部を有し、前記第2の導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第4の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験装置における第2の極の通電に対する通電部に前記第4の接触部の接触面が接触して電気的に接続される複数の試験装置側の第2の通電用プローブと、
を備える請求項7に記載の通電用プローブユニット。
【請求項15】
前記導電性ブロックを第1の極の通電を行う第1の導電性ブロックとし、前記試験対象品側の通電用プローブを試験対象品側の第1の通電用プローブとし、前記試験装置側の通電用プローブを試験装置側の第1の通電用プローブとし、
前記第1の導電性ブロックの第1の端面と第2の端面は前記第1の方向と直交する第3の方向に離隔して位置し、
前記第1の導電性ブロックと前記第1の方向及び第3の方向とそれぞれ直交する第5の方向に絶縁体を介して設けられ、第3の端面と当該第3の断面に並行に位置する第4の端面を有し、第2の極の通電を行う導電性材料で形成される第2の導電性ブロックと、
前記第2の導電性ブロックの第3の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第3の接触部を有し、前記第2導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第3の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験対象品に対する第2の極の通電に対する通電部に前記第3の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験対象品側の第2の通電用プローブと、
前記第2の導電性ブロックの第4の端面に対して露出し、前記第1の方向に向いている接触面を有する第4の接触部を有し、前記第2の導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、前記第4の接触部が前記第1の方向及び前記第2の方向に可動自在に移動し、前記第1の方向に押圧力が与えられ、前記試験装置における第2の極の通電に対する通電部に前記第4の接触部の接触面が接触して電気的に接続される複数の試験装置側の第2の通電用プローブと、
を備える請求項8に記載の通電用プローブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モーター、インバータ、又はパワー半導体装置等の半導体製品などの試験対象品(以下、被試験体と言う)の通電部と、被試験体の特性性能等の電気特性を確認する試験を行う試験装置の通電部とを電気的に接続する通電用プローブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
被試験体の通電部と試験装置の通電部とを電気的に接続する通電コンタクトユニットが特許文献1により提案されている。
特許文献1に示された通電コンタクトユニットは、導電性材料で形成されるホルダーブロックと、ホルダーブロックに装着され、ホルダーブロックと電気的に接続され、被試験体に設けられた通電部に接触導通する複数のコンタクトプローブとを備え、ホルダーブロックはコンタクトプローブが装着された側の反対側に通電ケーブルを接続する接続部を有し、接続部が通電ケーブルを固定するための締結体を含む。
通電ケーブルからの電力は、接続部、ホルダーブロック、及びコンタクトプローブを介して被試験体の通電部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された通電コンタクトユニットは被試験体の通電部と試験装置の通電部との間の電気的接続を確立する提案がなされているものの、被試験体の通電部と試験装置の通電部との間をより確実に、かつ、より簡単に行える電気的接続が望まれている。
【0005】
本開示は、上記した点に鑑みてなされたものであり、試験対象品の通電部と試験装置の通電部との間の電気的接続をより確実に、かつ、より簡単に行える通電用プローブユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る通電用プローブユニットは、第1の端面と第1の端面に対して重ならずに並行に位置する第2の端面を有し、導電性材料で形成される導電性ブロックと、導電性ブロックの第1の端面に対して露出し、第1の方向に向いている接触面を有する第1の接触部を有し、導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、第1の接触部が第1の方向及び第1の方向とは反対方向である第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品に対する通電部に第1の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験対象品側の通電用プローブと、導電性ブロックの第2の端面に対して露出し、第1の方向に向いている接触面を有する第2の接触部を有し、導電性ブロックに電気的及び機械的に接続され、第2の接触部が第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品の電気特性を確認する試験を行う試験装置における通電部に第2の接触部の接触面が接触して電気的に接続される試験装置側の通電用プローブを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、試験対象品の通電部と試験装置の通電部との間の電気的接続を容易に、かつ確実に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る通電用プローブユニットを示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る通電用プローブユニットを示す一部破断した要部上面図である。
図3】実施の形態1に係る通電用プローブユニットを示す正面図である。
図4】実施の形態1に係る通電用プローブユニットを組み込んだ試験システムを示す構成図である。
図5】実施の形態2に係る通電用プローブユニットを示す斜視図である。
図6】実施の形態2に係る通電用プローブユニットを示す正面図である。
図7】実施の形態3に係る通電用プローブユニットを示す一部断面側面図である。
図8】実施の形態3に係る通電用プローブユニットを示す正面図である。
図9】実施の形態4に係る通電用プローブユニットを示す斜視図である。
図10】実施の形態4に係る通電用プローブユニットを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1に係る通電用プローブユニット10を図1から図4に基づいて説明する。
実施の形態1に係る通電用プローブユニット10は試験対象品20の通電部21と試験装置30の通電部31とを電気的に接続する。
通電用プローブユニット10と試験装置30は試験システムを構成する。
試験対象品20はモーター、インバータ、又はパワー半導体装置等の半導体製品など、特に大電流、例えば100Aの大電流が流れる大電流仕様の製品である。
【0010】
試験対象品20の通電部21は、特性性能等の電気特性を確認する電気特性試験において、電流が供給される電力入力端子である。
試験対象品20の通電部21は試験対象品20自身の電力入力端子又は試験対象品20自身の電力入力端子が接続された試験装置30における試験治具32の電力入力端子である。
試験対象品20は電流入力端子を介して電流が供給され、電気特性試験が実施される。
【0011】
試験装置30は試験対象品20の電気特性試験を行う。
試験対象品20の電気特性試験は、試験対象品20がパワー半導体素子又はパワー半導体モジュールである半導体装置である場合、例えば、半導体装置のターンオフ時のサージ電圧による破損防止試験、静特性(DC:Direct Current)試験における電流の立ち上がり特性試験、及び、短絡耐量等の動特性(AC:Alternating Current)試験を対象としている。
また、試験対象品20の電気特性試験として、3相通電試験(負荷試験)なども対象とする。
試験装置30の通電部31は、電気特性試験において、試験対象品20に電流を供給するための電力出力端子である。
【0012】
通電用プローブユニット10は試験装置30の通電部31から試験対象品20の通電部21へ大電流を通電する通電経路を形成する通電導体の役割を果たす。
試験対象品20の電気特性試験は通電用プローブユニット10を介して試験装置30の通電部31から試験対象品20の通電部21へ電力、つまり大電流が供給されて実施される。
試験対象品20の電気特性試験において、試験対象品20の測定ノードに現れる電圧等の電気信号を試験装置30が検出して試験対象品20の電気特性を試験装置30が計測する。
【0013】
試験装置30は、図4に示すように、通電部31と試験治具32と試験台33と電力供給部34と信号検出部35と計測制御部36と表示部37とプローブユニット用可動部38と装置本体39を備える。
試験装置30における通電部31は装置本体39の上面に装置本体39とは電気的に絶縁されて装着される。
【0014】
通電部31は、装置本体39に対して立設され、第2の方向に向いている平坦面である接触面31aを有する板状の導電体である。
接触面31aは第2の方向と直交する垂直面である。
第2の方向は前後方向の内の後退方向であり、図4において、図示左右方向の内の右方向である。
前後方向の内の前進方向、図4において、図示左右方向の内の左方向が第1の方向である。
【0015】
なお、本例において、上下方向の内の下方向、図4において、図示上下方向の内の下方向を第3の方向、上下方向の内の上方向、図4において、図示上下方向の内の上方向を第4の方向、左右方向の内の左方向、図4において、図示表裏方向の内の表方向を第5の方向、左右方向の内の右方向、図4において、図示表裏方向の内の裏方向を第6の方向という。
また、通電用プローブユニット10においても、第1の方向から第6の方向は図4において示した第1の方向から第6の方向とする。
【0016】
試験装置30の通電部31は、電力供給部34からの電力が伝達される板状の導電体であるバスバー又はブロック形状の導電体であるブロック体からなる伝達部31bの一端部に電気的に接続され、機械的に固定されて装置本体39の上面に装着される。
伝達部31bは装置本体39とは電気的に絶縁され、他端部が電力供給部34から電力の供給を受ける。
伝達部31bがバスバー又はブロック体により構成されることにより、電力供給部34から通電部31までのインダクタンスの安定化、低インピーダンス化が図れる。
【0017】
試験治具32は試験台33の上面に装着され、試験対象品20の電気特性試験時に試験対象品20が上面に着脱自在に載置固定される。
試験対象品20に対して高温条件下での特性試験を行う試験装置30にあっては、試験治具32にヒーター等の加熱機器が内蔵され、試験対象品20を試験治具32内蔵の加熱機器により加熱するようになっている。
【0018】
試験対象品20が試験治具32の上面に設置されると、試験対象品20における通電部21の接触面21aとなる平坦面が第2の方向に向いている。
接触面21aは第2の方向と直交する垂直面である。
試験対象品20における通電部21の接触面21aは試験装置30における通電部31の接触面31aに対して重ならずに並行に位置する。
【0019】
試験対象品20における通電部21の接触面21aは、試験装置30における通電部31の接触面31aに対し、第1の方向に離隔し、第4の方向に離隔して位置する。
すなわち、試験対象品20における通電部21の接触面21aと試験装置30における通電部31の接触面31aは第1の方向及び第2の方向と第3の方向及び第4の方向に離隔し、第5の方向及び第6の方向には位置ずれがない状態に位置する。
【0020】
なお、試験対象品20の通電部21を試験対象品20自身の電力入力端子とした場合、試験対象品20自身の電力入力端子である試験対象品20の通電部21の接触面21aとなる平坦面が第2の方向に向いて試験治具32の上面に設置される。
また、試験対象品20の通電部21を試験対象品20自身の電力入力端子が接続された試験装置30における試験治具32の電力入力端子とした場合も同様に、試験治具32の電力入力端子である通電部21の接触面21aとなる平坦面が第2の方向に向いているように通電部21が試験治具32に立設して設けられる。
【0021】
電力供給部34は装置本体39内に配設され、計測制御部36の制御に従い、試験対象品20に大電流からなる電力を供給する試験対象品用電源であり、一般に知られている電源回路により構成される。
信号検出部35は、試験設定条件下において、試験対象品20の測定ノードに現れる電圧等のアナログである電気信号を検出し、検出した電気信号をデジタル信号に変換して計測用データとして計測制御部36へ出力する。
【0022】
計測制御部36は電力供給部34及び信号検出部35を制御し、試験対象品20の電気特性試験時に、電力供給部34から電力を試験対象品20に供給させ、信号検出部35により試験対象品20からの電気信号を計測値として検出させる。
計測制御部36は信号検出部35からの計測用データを受け、計測用データを基に計測処理を行い、試験対象品20の電気特性として計測を行い、計測結果を表示部37に表示させる。
【0023】
プローブユニット用可動部38は通電用プローブユニット10が装着され、通電用プローブユニット10を前後方向に稼働する、つまり、第1の方向に前進させ、第2の方向に後退せせる。
プローブユニット用可動部38は通電用プローブユニット10を第1の方向に前進させることにより、通電用プローブユニット10における複数の試験対象品側の通電用プローブ15の第1の接触部15aを試験対象品20における通電部21の接触面21aに押圧接触させ、通電用プローブユニット10における複数の試験装置側の通電用プローブ16の第2の接触部16aを試験装置30における通電部31の接触面31aに押圧接触させる。
【0024】
なお、複数の通電用プローブ15として、本例においては7つの通電用プローブ15~15を有しているが、個々に区別して説明する必要がある場合を除いて説明の煩雑さを避けるため、添え字を省略して通電用プローブ15として説明する。以下の説明においても同様である。
また、複数の通電用プローブ16として、本例においては8つの通電用プローブ16~16を有しているが、個々に区別して説明する必要がある場合を除いて説明の煩雑さを避けるため、添え字を省略して通電用プローブ16として説明する。以下の説明においても同様である。
【0025】
プローブユニット用可動部38はアクチュエータ38aと可動部38bと装着部38cを有する。
アクチュエータ38aは、例えば、エアーシリンダである。
装着部38cは可動部38bの先端に取り付けられた平板上の絶縁材である。
装着部38cは第1の方向に向いている平坦面である装着面38caを有し、当該装着面38caに通電用プローブユニット10が装着される。
アクチュエータ38aが稼働することにより可動部38bが前後進し、可動部38bの前後進に伴い、装着部38c及び装着部38cに装着された通電用プローブユニット10も前後進する。
【0026】
アクチュエータ38aは試験対象品20の電気特性試験を実施する前は通電用プローブユニット10を待機位置にする。
試験対象品20の電気特性試験を開始すると、アクチュエータ38aは、通電用プローブユニット10における複数の試験対象品側の通電用プローブ15の第1の接触部15aが試験対象品20における通電部21の接触面21aに押圧接触し、通電用プローブユニット10における複数の試験装置側の通電用プローブ16の第2の接触部16aが試験装置30における通電部31の接触面31aに押圧接触するまで、通電用プローブユニット10を前進、つまり、第1の方向に移動させて停止する。
試験対象品20の電気特性試験が終了すると、アクチュエータ38aは通電用プローブユニット10を待機位置まで後退、つまり、第2の方向に移動させて停止する。
【0027】
通電用プローブユニット10は導電性ブロック11と複数の試験対象品側の通電用プローブ15~15と複数の試験装置側の通電用プローブ16~16と信号検出用プローブ17を有する。
導電性ブロック11は第1の端面11aと第1の端面11aに対して重ならずに並行に位置する第2の端面11bを有し、銅又はアルミニウムなどの電気抵抗度の小さい導電性材料で形成される。
なお、導電性ブロック11の全ての外周面に絶縁層又は絶縁膜を形成してもよい。
【0028】
第1の端面11a及び第2の端面11bは平坦面であり、平坦面は通電用プローブユニット10が装着部38cに装着されると第1の方向に向き、第1の方向と直交する垂直面となる。
第1の端面11aは第2の端面11bに対し、第1の方向に離隔し、第4の方向に離隔して位置する。
すなわち、第1の端面11aと第2の端面11bは第1の方向及び第2の方向と第3の方向及び第4の方向に離隔し、第5の方向及び第6の方向には位置ずれがない状態に位置する。
【0029】
導電性ブロック11の第1の端面11aの周囲には、複数の試験対象品側の通電用プローブ15それぞれに対応して第1の端面11aから内部に穿たれた複数の第1の挿入孔が形成されている。
複数の通電用プローブ15それぞれは対応した複数の第1の挿入孔それぞれに挿抜可能である。
【0030】
複数の通電用プローブ15それぞれが対応した第1の挿入孔それぞれに挿入されると、通電用プローブ15の第1の接触部15aが導電性ブロック11の第1の端面11aから第1の方向に突出した状態で導電性ブロック11に機械的に接続されて装着され、導電性ブロック11に電気的に接続される。
複数の通電用プローブ15それぞれを独立に第1の端面11aの周囲に等間隔に配置しているので、試験対象品20における通電部21と導電性ブロック11との間の低インピーダンス化を実現できる。
【0031】
複数の通電用プローブ15は第1の端面11aの周囲に等間隔に配置されるのが好ましいが、必ずしも等間隔に配置する必要はなく、まばらな配置でもよい。
また、第1の端面11aにおける制約面積内に最短ピッチで密に配置することにより、第1の端面11aに対して最大数の通電用プローブ15を配置できる。
【0032】
すなわち、複数の通電用プローブ15を第1の端面11aの周囲に配置することにより、試験対象品20における通電部21の接触面21aが完全な平坦面でなく、平面度にバラツキがあったとしても、複数の通電用プローブ15それぞれが通電部21の接触面21aに押圧接触するので、複数の通電用プローブ15と通電部21の接触面21aとの間が低接触抵抗となる接触構造であるため、導電性ブロック11から通電部21への大電流の通電が安定的にできる。
【0033】
導電性ブロック11の第2の端面11bの周囲には複数の試験装置側の通電用プローブ16それぞれに対応して第2の端面11bから内部に穿たれた複数の第2の挿入孔が形成されている。
複数の通電用プローブ16それぞれは対応した複数の第2の挿入孔それぞれに挿抜可能である、
【0034】
複数の通電用プローブ16それぞれが対応した第2の挿入孔それぞれに挿入されると、通電用プローブ16の第2の接触部16aが導電性ブロック11の第2の端面11bから第1の方向に突出した状態で導電性ブロック11に機械的に接続されて装着され、導電性ブロック11に電気的に接続される。
複数の通電用プローブ16それぞれを独立に第2の端面11bの周囲に等間隔に配置しているので、試験装置30における通電部31と導電性ブロック11との間の低インピーダンス化を実現できる。
【0035】
複数の通電用プローブ16は第2の端面11bの周囲に等間隔に配置されるのが好ましいが、必ずしも等間隔に配置する必要はなく、まばらな配置でもよい。
また、第2の端面11bにおける制約面積内に最短ピッチで密に配置することにより、第2の端面11bに対して最大数の通電用プローブ15を配置できる。
【0036】
すなわち、複数の通電用プローブ16を第2の端面11bの周囲に配置することにより、試験装置30における通電部31の接触面31aが完全な平坦面でなく、平面度にバラツキがあったとしても、複数の通電用プローブ16それぞれが通電部31の接触面31aに押圧接触するので、複数の通電用プローブ16と通電部31の接触面31aとの間が低接触抵抗となる接触構造であるため、通電部31から導電性ブロック11への大電流の通電が安定的にできる。
【0037】
なお、図1において、試験対象品側の通電用プローブ15及び試験装置側の通電用プローブ16それぞれが導電性ブロック11の第1の挿入孔及び第2の挿入孔それぞれに対して挿抜可能であることを示すため、第1の挿入孔及び第2の挿入孔それぞれから抜き出した状態の通電用プローブ15及び通電用プローブ16を参考として示している。
【0038】
本例において、通電用プローブ15として7つの通電用プローブ15~15を示しているが、この数7つに限られるものではなく、第1の端面11aの周囲に配置された複数の通電用プローブ15により構成されれば良く、試験対象品20における通電部21と導電性ブロック11との間のさらなる低インピーダンス化を実現するために、7つ以上の通電用プローブ15を配置してもよい。
また、通電用プローブ15として大電流が通電可能な1つの通電用プローブを用いるものであってもよい。
【0039】
本例において、通電用プローブ16として8つの通電用プローブ16~16を示しているが、この数8つに限られるものではなく、第2の端面11bの周囲に配置された複数の通電用プローブ16により構成されれば良く、試験装置30における通電部31と導電性ブロック11との間のさらなる低インピーダンス化を実現するために、8つ以上の通電用プローブ15を配置してもよい。
また、通電用プローブ16として大電流が通電可能な1つの通電用プローブを用いるものであってもよい。
【0040】
導電性ブロック11は一隅部に第1の端面11aから第2の方向に切りかかれた信号検出用プローブ17を装着するための切り欠き部を有する。
導電性ブロック11は第1の導電体12と第2の導電体13と第3の導電体14により構成される。
第1の導電体12は第1の端面11aを有する。第2の導電体13は第2の端面11bを有し、第1の導電体12と並行する。第3の導電体14は第1の導電体12の第2の方向に位置する端部から第2の導電体13の第2の方向に位置する端部まで第1の方向と直交する第3の方向に延在する。
【0041】
第1の導電体12から第3の導電体14はそれぞれ角柱形状をなし、第1の導電体12から第3の導電体14への内側面は円弧状又はCカットされた形状であり、第3の導電体14から第2の導電体13への内側面は円弧状又はCカットされた形状である。
なお、第1の導電体12から第3の導電体14はそれぞれ円柱形状でもよい。
また、第1の導電体12から第3の導電体14への内側面及び第3の導電体14から第2の導電体13への内側面はそれぞれ90度の角形状でもよい。
円弧状又はCカットされた形状であると、導電性ブロック11における電子の流れがスムーズになる。
【0042】
第1の導電体12の第3の導電体14の内側面から第1の端面11aまでの第1の方向に延在する長さは、第2の導電体13の第3の導電体14の内側面から第2の端面11bまでの第1の方向に延在する長さより長い。
なお、試験対象品20における通電部21の接触面21aが試験装置30における通電部31の接触面31aに対して第2の方向に離隔している場合は、第1の端面11aが第2の端面11bに対して第2の方向に離隔させるので、第1の導電体12の長さを第2の導電体13の長さより第1の方向に延在する長さを短くする。
また、試験対象品20における通電部21の接触面21aと試験装置30における通電部31の接触面31aが同一垂直面上に位置している場合は、第1の端面11aと第2の端面11bが同一垂直面上に位置させるので、第1の導電体12の長さと第2の導電体13の長さは同じにする。
【0043】
試験対象品20における通電部21の接触面21aが試験装置30における通電部31の接触面31aに対して第3の方向に離隔している場合は、第1の導電体12の第1の端面11aを第2の導電体13の第2の端面11bに対して第3の方向に離隔する。
試験対象品20における通電部21の接触面21aが試験装置30における通電部31の接触面31aに対して第5の方向又は第6の方向にずれている場合は、接触面21aと接触面31aに対応させて、第1の導電体12の第1の端面11aを第2の導電体13の第2の端面11bに対して第5の方向又は第6の方向にずれさせる。
【0044】
第1の導電体12の第1の端面11aの周囲には、複数の試験対象品側の通電用プローブ15それぞれに対応して第1の端面11aから内部に穿たれた複数の第1の挿入孔が形成されている。
第1の導電体12は一隅部に第1の端面11aから第2の方向に切りかかれた信号検出用プローブ17を装着するための切り欠き部を有する。
第2の導電体13の第2の端面11bの周囲には複数の試験装置側の通電用プローブ16それぞれに対応して第2の端面11bから内部に穿たれた複数の第2の挿入孔が形成されている。
【0045】
複数の試験対象品側の通電用プローブ15はそれぞれ、先端部に第1の接触部15aを有し、第1の接触部15aが先端方向、つまり第1の方向に押圧されるスプリング式コンタクトプローブである。
各通電用プローブ15は第1の接触部15aとバレル15bとスプリング15cを有する。
【0046】
バレル15bは有底の筒状の導電材により構成される。バレル15bは一端部及び他端部の外径が第1の導電体12の第1の端面11aに形成された第1の挿入孔の内径と同じであり、中央部が樽状に膨らみ、中央部の外径が第1の挿入孔の内径より大きい。その結果、バレル15bは第1の挿入孔に圧入され、バレル15bの外周面は第1の挿入孔の内周面に挿抜可能に密接される。バレル15bと第1の導電体12は低い接触抵抗により電気的にも接続される。
バレル15bが第1の挿入孔に装着されると、バレル15bの他端面である底部の外面は第1の挿入孔の底面に接し、バレル15bの一端面と第1の導電体12の第1の端面11aはほぼ同一面になる。
【0047】
なお、バレル15bは一端部から他端部まで同一の外径を有し、第1の挿入孔の内径がバレル15bの外径より小さめにして全体を圧入することにより、バレル15bを第1の挿入孔に挿抜可能に装着してもよい。
また、バレル15bの有底部にねじを設け、有底部のねじを第1の挿入孔における第1の導電体12にねじ込むことにより、バレル15bを第1の挿入孔に挿抜可能に装着してもよい。
第1の導電体12の第1の端面11aに対するバレル15bの一端面の位置決めは、バレル15bの一端面にフランジを設け、フランジが第1の端面11aに接触することにより行ってもよい。
【0048】
スプリング15cは導電材により構成される。スプリング15cはバレル15bの内部に収納され、他端がバレル15bの底部の内面に接する。
第1の接触部15aは、図1及び図2に示すように、プローブ接触子15a1とプランジャー15a2とボス部15a3を有する。
プローブ接触子15a1とプランジャー15a2とボス部15a3はそれぞれ導電材により一体的に構成される。
【0049】
プローブ接触子15a1とプランジャー15a2とボス部15a3はそれぞれ円柱状である。プローブ接触子15a1とボス部15a3の外径がプランジャー15a2の外径より太くなっている。
プローブ接触子15a1とボス部15a3の外径がプランジャー15a2の外径と同じであってもよい。
【0050】
ボス部15a3の外径はバレル15bの内径より若干小さい。ボス部15a3はバレル15bの内部に収納され、ボス部15a3の外周面がバレル15bの内周面と密接して摺動する。ボス部15a3とバレル15bは低い接触抵抗により電気的にも接続される。
ボス部15a3の他端がスプリング15cの一端に接触し、ボス部15a3がスプリング15cの弾性力による付勢力によりバレル15bの内周面を摺動する。
ボス部15a3がバレル15bの内部から抜けださないように、バレル15bの一端がボス部15a3の一端に対してストッパとして機能する。
【0051】
ボス部15a3の外周面がバレル15bの内周面と密接し、ボス部15a3とバレル15bが低い接触抵抗により電気的にも接続されることにより、スプリング15cは絶縁材のスプリングとしてもよい。この場合、スプリング15cに電流が流れることによる発熱を防げ、スプリング15cの劣化を防げる。
【0052】
通電用プローブ15は第1の接触部15aの有効可動範囲であるストロークを有する。
ストロークは、プローブ接触子15a1の先端位置から、つまり、ボス部15a3のストッパ位置からボス部15a3がスプリング15cの付勢力に抗してバレル15bの内部を有効可動範囲まで摺動したプローブ接触子15a1の後退位置までの長さである。
【0053】
第1の接触部15aにおいて、通電用プローブユニット10が待機位置である時、ボス部15a3がスプリング15cの付勢力によりバレル15bの一端に押し付けられ、プローブ接触子15a1はバレル15bの一端面から最大の距離に位置する。つまり、プローブ接触子15a1は導電性ブロック11の第1の端面11aから第1の方向に最大の距離で突出している。
【0054】
試験対象品20の電気特性試験を開始し、プローブユニット用可動部38により通電用プローブユニット10が前進させられ、通電用プローブ15の第1の接触部15aのプローブ接触子15a1が試験対象品20における通電部21の接触面21aに接触し、押圧されるとスプリング15cの付勢力に抗してボス部15a3が内部を第2の方向に摺動する。
その結果、プローブ接触子15a1はスプリング15cの付勢力により通電部21の接触面21aに押圧された状態で接触する。
通電用プローブ15は一般に市販されているスプリング式コンタクトプローブを用いることができる。
【0055】
なお、通電用プローブ15として本例ではスプリング式コンタクトプローブを用いているが、板バネ構造の薄板状のプローブプレートを積層した積層プローブ、コイルスプリングを先端に有し、コイル一巻一巻を接触子としたバットコンタクトプローブ、あるいはワイヤプローブ形式のコンタクトプローブ等を導電性ブロックに装着した通電プローブなど、スプリング式コンタクトプローブとは異なる他の方式のプローブを通電用プローブ15として用いてもよい。
要するに、通電用プローブ15として、第1の方向に突出した接触部を有し、接触部が第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられるプローブであればよい。
【0056】
複数の試験装置側の通電用プローブ16はそれぞれ、先端部に第2の接触部16aを有し、第2の接触部16aが先端方向、つまり第1の方向に押圧されるスプリング式コンタクトプローブである。
各通電用プローブ16は、断面図を示していないものの、各通電用プローブ15と同様に、第2の接触部16aとバレル16bとスプリング16cと有する。
通電用プローブ15における構成要素と区別するために通電用プローブ16における構成要素に符号を付している。
【0057】
バレル16bは有底の筒状の導電材により構成される。バレル16bは一端部及び他端部の外径が第2の導電体13の第2の端面11bに形成された第2の挿入孔の内径と同じであり、中央部が樽状に膨らみ、中央部の外径が第2の挿入孔の内径より大きい。その結果、バレル16bは第2の挿入孔に圧入され、バレル16bの外周面は第2の挿入孔の内周面に挿抜可能に密接される。バレル16bと第2の導電体13は低い接触抵抗により電気的にも接続される。
バレル16bが第2の挿入孔に装着されると、バレル16bの他端面である底部の外面は第2の挿入孔の底面に接し、バレル16bの一端面と第2の導電体13の第2の端面11bはほぼ同一面になる。
【0058】
なお、バレル16bは一端部から他端部まで同一の外径を有し、第2の挿入孔の内径がバレル16bの外径より小さめにして全体を圧入することにより、バレル16bを第2の挿入孔に挿抜可能に装着してもよい。
また、バレル16bの有底部にねじを設け、有底部のねじを第2の挿入孔における第2の導電体13にねじ込むことにより、バレル16bを第2の挿入孔に挿抜可能に装着してもよい。
第2の導電体13の第2の端面11bに対するバレル16bの一端面の位置決めは、バレル16bの一端面にフランジを設け、フランジが第2の端面11bに接触することにより行ってもよい。
【0059】
スプリング16cは導電材により構成される。スプリング16cはバレル16bの内部に収納され、他端がバレル16bの底部の内面に接する。
第2の接触部16aは、各通電用プローブ15における第1の接触部15aと同様に、プローブ接触子16a1とプランジャー16a2とボス部16a3を有する。
第1の接触部15aにおける構成要素と区別するために第2の接触部16aにおける構成要素に符号を付している。
【0060】
プローブ接触子16a1とプランジャー16a2とボス部16a3はそれぞれ導電材により一体的に構成される。
プローブ接触子16a1とプランジャー16a2とボス部16a3はそれぞれ円柱状である。プローブ接触子16a1とボス部16a3の外径がプランジャー16a2の外径より太くなっている。
プローブ接触子16a1とボス部16a3の外径がプランジャー16a2の外径と同じであってもよい。
【0061】
ボス部16a3の外径はバレル16bの内径より若干小さい。ボス部16a3はバレル16bの内部に収納され、ボス部16a3の外周面がバレル16bの内周面と密接して摺動する。ボス部16a3とバレル16bは低い接触抵抗により電気的にも接続される。
ボス部16a3の他端がスプリング16cの一端に接触し、ボス部16a3がスプリング16cの弾性力による付勢力によりバレル16bの内周面を摺動する。
ボス部16a3がバレル16bの内部から抜けださないように、バレル16bの一端がボス部16a3の一端に対してストッパとして機能する。
【0062】
ボス部16a3の外周面がバレル16bの内周面と密接し、ボス部16a3とバレル16bが低い接触抵抗により電気的にも接続されることにより、スプリング16cは絶縁材のスプリングとしもよい。この場合、スプリング16cに電流が流れることによる発熱を防げ、スプリング16cの劣化を防げる。
【0063】
通電用プローブ16は第2の接触部16aの有効可動範囲であるストロークを有する。
ストロークは、プローブ接触子16a1の先端位置から、つまり、ボス部16a3のストッパ位置からボス部16a3がスプリング16cの付勢力に抗してバレル16bの内部を有効可動範囲まで摺動したプローブ接触子16a1の後退位置までの長さである。
【0064】
第2の接触部16aにおいて、通電用プローブユニット10が待機位置である時、ボス部16a3がスプリング16cの付勢力によりバレル16bの一端に押し付けられ、プローブ接触子16a1はバレル16bの一端面から最大の距離に位置する。つまり、プローブ接触子16a1は導電性ブロック11の第1の端面11aから第1の方向に最大の距離で突出している。
【0065】
試験対象品20の電気特性試験を開始し、プローブユニット用可動部38により通電用プローブユニット10が前進させられ、通電用プローブ16の第2の接触部16aのプローブ接触子16a1が試験装置30における通電部31の接触面31aに接触し、押圧されるとスプリング16cの付勢力に抗してボス部16a3が内部を第2の方向に摺動する。
その結果、プローブ接触子16a1はスプリング16cの付勢力により通電部31の接触面31aに押圧された状態で接触する。
通電用プローブ16は一般に市販されているスプリング式コンタクトプローブを用いることができる。
【0066】
なお、通電用プローブ16として本例ではスプリング式コンタクトプローブを用いているが、板バネ構造の薄板状のプローブプレートを積層した積層プローブ、コイルスプリングを先端に有し、コイル一巻一巻を接触子としたバットコンタクトプローブ、あるいはワイヤプローブ形式のコンタクトプローブ等を導電性ブロックに装着した通電プローブなど、スプリング式コンタクトプローブとは異なる他の方式のプローブを通電用プローブ16として用いてもよい。
要するに、通電用プローブ16として、第1の方向に突出した接触部を有し、接触部が第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられるプローブであればよい。
【0067】
通電用プローブユニット10において、独立に第1の導電体12の第1の端面11aの周囲に配置された複数の通電用プローブ15により複数の通電用プローブ15と試験対象品20における通電部21の接触面21aとの間が低接触抵抗の状態により接続されるため、通電部21と導電性ブロック11における第1の導電体12との間が低インピーダンスである。
また、独立に第2の導電体13の第2の端面11bの周囲に配置された複数の通電用プローブ16により複数の通電用プローブ16と試験装置30における通電部31の接触面31aとの間が低接触抵抗の状態により接続されるため、通電部31と導電性ブロック11における第2の導電体13との間が低インピーダンスである。
その結果、導電性ブロック11自身も低インピーダンスであるので、通電用プローブユニット10は試験装置30の通電部31から試験対象品20の通電部21へ大電流を供給できる。
【0068】
信号検出用プローブ17は4端子法で計測するためのセンシングプローブの役割を果たすプローブである。
信号検出用プローブ17は先端部に信号検出用接触部17aを有し、信号検出用接触部17aが先端方向、つまり第1の方向に押圧されるスプリング式コンタクトプローブである。
信号検出用プローブ17における信号検出用接触部17aが試験対象品20における信号検出用端子部22の接触面22aに押圧されて接触し電気的に接続される。
信号検出用プローブ17は後端部が信号配線40に接続される。
【0069】
信号検出用接触部17aが信号検出用端子部22の接触面22aに電気的に接続されると、信号検出用端子部22から信号検出用プローブ17及び信号配線40を介して試験装置30の信号検出部35に至る信号経路が形成される。
信号検出部35は、試験設定条件下において、試験対象品20の測定ノードに現れる電圧等のアナログである電気信号を信号検出用端子部22から信号検出部35に至る信号経路を介して検出し、検出した電気信号をデジタル信号に変換して計測用データとして計測制御部36へ出力する。
計測制御部36は、信号検出部35からの計測用データにより試験対象品20の電気特性を計測処理する。
【0070】
試験対象品20における信号検出用端子部22は、試験対象品20の電気特性試験において、試験対象品20からの電圧等による試験信号が取り出されるための信号検出用端子部である。
試験対象品20における信号検出用端子部22は試験対象品20自身の信号検出用端子部又は試験対象品20自身の信号検出用端子部が接続された試験装置30における試験治具32の信号検出用端子部である。
【0071】
試験対象品20が試験治具32の上面に設置されると、試験対象品20における信号検出用端子部22の接触面22aとなる平坦面は試験対象品20における通電部21の接触面21aとなる平坦面と同一平面に位置し、第2の方向に向いている。
試験対象品20における信号検出用端子部22の接触面22aは試験対象品20における通電部21の接触面21aの一部であるが、説明の煩雑さを避けるため、通電部21と信号検出用端子部22とを別構成として説明している。
【0072】
プローブ保持体18は絶縁材料で形成され、導電性ブロック11の第1の導電体12に切りかかれた信号検出用プローブ17を装着するための切り欠き部に第1の導電体12と絶縁してねじ等で固定装着される。
プローブ保持体18は外形が矩形をなし、上面が第1の導電体12の上面と面一にし、一側面が第1の導電体12の一側面と面一にし、一端面が第1の導電体12の第1の端面11aと面一にして、底面及び他側面が第1の導電体12の切り欠き部に接して固定される。
なお、プローブ保持体18の外形は円形でもよく、また、プローブ保持体18の上面等の側面は第1の導電体12の側面と面一にしなくとも良い。
【0073】
プローブ保持体18は、一端面から内部に穿たれた断面円形のバレル用挿入孔と、バレル用挿入孔から連通し、バレル用挿入孔より小径の断面円形の信号配線体用挿入孔と、上面から信号配線体用挿入孔まで穿たれた信号配線用連通孔18aを有する。
信号検出用プローブ17はバレル用挿入孔に挿抜可能であり、プローブ保持体18に組み込まれる。
信号検出用プローブ17はバレル用挿入孔に挿入されると、信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aがプローブ保持体18の一端面から第1の方向に突出した状態でプローブ保持体18に機械的に接続されて装着される。
また、信号検出用プローブ17の後端部はプローブ保持体18の信号配線用連通孔18aを挿通される信号配線40の一端に電気的に接続される。
【0074】
信号検出用プローブ17は信号検出用接触部17aとバレル17bとスプリング17cと信号配線体17dを有する。
バレル17bは有底の筒状の導電材により構成される。バレル17bは一端部及び他端部の外径がプローブ保持体18に形成されたバレル用挿入孔の内径と同じであり、中央部が樽状に膨らみ、中央部の外径がバレル用挿入孔の内径より大きい。その結果、バレル17bはバレル用挿入孔に圧入され、バレル17bの外周面はバレル用挿入孔の内周面に挿抜可能に密接される。
【0075】
バレル17bがバレル用挿入孔に装着されると、バレル17bの他端面である底部の外面はバレル用挿入孔の底面に接し、バレル17bの一端面とプローブ保持体18の一端面はほぼ同一面になる。
なお、バレル17bは一端部から他端部まで同一の外径を有し、バレル用挿入孔の内径がバレル17bの外径より小さめにして全体を圧入することにより、バレル17bをバレル用挿入孔に挿抜可能に装着してもよい。
【0076】
スプリング17cは導電材により構成される。スプリング17cはバレル17bの内部に収納され、他端がバレル17bの底部の内面に接する。
信号検出用接触部17aは、図2に示すように、プローブ接触子17a1とプランジャー17a2とボス部17a3を有する。
【0077】
プローブ接触子17a1とプランジャー17a2とボス部17a3はそれぞれ導電材により一体的に構成される。
プローブ接触子17a1とプランジャー17a2とボス部17a3はそれぞれ円柱状である。プローブ接触子17a1とボス部17a3の外径がプランジャー17a2の外径より太くなっている。
プローブ接触子17a1とボス部17a3の外径がプランジャー17a2の外径と同じであってもよい。
【0078】
ボス部17a3の外径はバレル17bの内径より若干小さい。ボス部17a3はバレル17bの内部に収納され、ボス部17a3の外周面がバレル17bの内周面と密接して摺動する。ボス部17a3とバレル17bは低い接触抵抗により電気的にも接続される。
ボス部17a3の他端がスプリング17cの一端に接触し、ボス部17a3がスプリング17cの弾性力による付勢力によりバレル17bの内周面を摺動する。
ボス部17a3がバレル17bの内部から抜けださないように、バレル17bの一端がボス部17a3の一端に対してストッパとして機能する。
【0079】
信号配線体17dは一端がバレル17bの底部の外面から第2の方向に突出した導電性の角棒又は丸棒により形成される。
信号配線体17dは信号配線体17dと一体に形成されてもよく、また、別体にして機械的及び電気的に接続してもよい。
信号検出用プローブ17の後端部となる信号配線体17dの他端部に、プローブ保持体18の信号配線用連通孔18aを挿通される信号配線40の一端がねじ止めされて、信号配線体17dと信号配線40が電気的に接続される。
【0080】
信号検出用プローブ17は、信号検出用接触部17aの有効可動範囲であるストロークを有する。
信号検出用接触部17aにおいて、通電用プローブユニット10が待機位置である時、ボス部17a3がスプリング17cの付勢力によりバレル17bの一端に押し付けられ、プローブ接触子17a1はバレル17bの一端面から最大の距離に位置する。つまり、プローブ接触子17a1はプローブ保持体18の一端面から第1の方向に最大の距離で突出している。
【0081】
試験対象品20の電気特性試験を開始し、プローブユニット用可動部38により通電用プローブユニット10が前進させられ、信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aのプローブ接触子17a1が試験対象品20における信号検出用端子部22の接触面22aに接触し、押圧されるとスプリング17cの付勢力に抗してボス部17a3が内部を第2の方向に摺動する。
その結果、プローブ接触子17a1はスプリング17cの付勢力により信号検出用端子部22の接触面22aに押圧された状態で接触する。
信号検出用プローブ17は一般に市販されているスプリング式コンタクトプローブを用いることができる。
【0082】
なお、信号検出用プローブ17として本例ではスプリング式コンタクトプローブを用いているが、板バネ構造の薄板状のプローブプレートを積層した積層プローブ、コイルスプリングを先端に有し、コイル一巻一巻を接触子としたバットコンタクトプローブ、あるいはワイヤプローブ形式のコンタクトプローブ等を導電性ブロックに装着した通電プローブなど、スプリング式コンタクトプローブとは異なる他の方式のプローブを信号検出用プローブ17として用いてもよい。
【0083】
要するに、信号検出用プローブ17として、第1の方向に突出した接触部を有し、接触部が第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられるプローブであればよい。
また、信号検出用プローブ17としてバレル17bが絶縁材である一般に外バネ式と呼ばれるプローブを用い、第1の導電体12の第1の端面11aの一隅部に第1の端面11aから内部に穿たれたバレル用挿入孔及び信号配線体用挿入孔を形成し、バレル用挿入孔に信号検出用プローブ17を圧入装着してもよい。
【0084】
なお、本例において、信号検出用プローブ17が1つのものを示したが、試験対象品20の電気特性試験において、試験対象品20から複数の試験信号を取り出すために試験対象品20における信号検出用端子部22が複数ある場合は、複数の信号検出用端子部22それぞれに対応して複数の信号検出用プローブ17を設ければよい。
この場合、プローブ保持体18に、複数の信号検出用端子部22それぞれに対応した複数のバレル用挿入孔と複数の信号配線体用挿入孔と複数の信号配線用連通孔18aを形成すればよい。
【0085】
次に、通電用プローブユニット10により、試験装置30の通電部31から試験対象品20の通電部21に至る通電経路の形成、及び、信号検出用プローブ17における信号検出用接触部17aと試験対象品20における信号検出用端子部22との電気的接続を行う動作について説明する。
プローブユニット用可動部38におけるアクチュエータ38aは試験対象品20の電気特性試験を実施する前は通電用プローブユニット10を待機位置にする。
【0086】
試験対象品20の電気特性試験を開始すると、アクチュエータ38aは、プローブユニット用可動部38における可動部38bを前進させ、つまり第1の方向に移動させてプローブユニット用可動部38における装着部38cに装着された通電用プローブユニット10を第1の方向に移動させる。
【0087】
通電用プローブユニット10における複数の試験対象品側の通電用プローブ15の第1の接触部15aが試験対象品20に対する通電部21の接触面21aに押圧接触し、通電用プローブユニット10における複数の試験装置側の通電用プローブ16の第2の接触部16aが試験装置30における通電部31の接触面31aに押圧接触し、通電用プローブユニット10における信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aが試験対象品20に対する信号検出用端子部22の接触面22aに押圧接触するまで、アクチュエータ38aは通電用プローブユニット10を第1の方向に移動させ、停止する。
この時の、通電用プローブ15の第1の接触部15aの位置、通電用プローブ16の第2の接触部16aの位置、及び、信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aの位置を、図4において破線により示す。
【0088】
通電用プローブ15の第1の接触部15aが通電部21の接触面21aに押圧接触すると、第1の接触部15aのボス部15a3がスプリング15cの付勢力に抗してバレル15bの内部を第2の方向に摺動するため、スプリング15cの付勢力により第1の接触部15aのプローブ接触子15a1は通電部21の接触面21aに押圧された状態で確実に接触する。
したがって、通電用プローブ15が複数独立に第1の端面11aの周囲に配置されていることと併せて通電部21と導電性ブロック11との間の低インピーダンス化を実現できる。
【0089】
通電用プローブ16の第2の接触部16aが通電部31の接触面31aに押圧接触すると、第2の接触部16aのボス部16a3がスプリング16cの付勢力に抗してバレル16bの内部を第2の方向に摺動するため、スプリング16cの付勢力により第2の接触部16aのプローブ接触子16a1は通電部31の接触面31aに押圧された状態で確実に接触する。
したがって、通電用プローブ16が複数独立に第2の端面11bの周囲に配置されていることと併せて通電部31と導電性ブロック11との間の低インピーダンス化を実現できる。
【0090】
その結果、導電性ブロック11自身も低インピーダンスであるので、通電用プローブユニット10は試験装置30の通電部31から試験対象品20の通電部21までの通電経路の全体において、低インピーダンス化が図れるとともにインダクタンスの安定化が図れ、通電部31から通電部21まで、つまり、試験対象品20へ大電流を供給できる。
【0091】
信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aが信号検出用端子部22の接触面22aに押圧接触すると、信号検出用接触部17aのボス部17a3がスプリング17cの付勢力に抗してバレル17bの内部を第2の方向に摺動するため、スプリング17cの付勢力により信号検出用接触部17aのプローブ接触子17a1は信号検出用端子部22の接触面22aに押圧された状態で確実に接触する。
その結果、信号検出用端子部22に現れた電気信号を確実に信号検出部35に伝達できる。
【0092】
このようにして、通電用プローブユニット10により、試験装置30の通電部31から試験対象品20の通電部21へ大電流を供給した状態で、試験対象品20における電気特性試験結果を得ることができる。
試験対象品20の電気特性試験が終了すると、アクチュエータ38aは通電用プローブユニット10を待機位置まで後退、つまり、第2の方向に移動させて停止する。
【0093】
以上に述べたように、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10は、導電性材料で形成される導電性ブロック11に電気的及び機械的に接続され、導電性ブロック11の第1の端面11aから第1の方向に突出し、第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動する第1の接触部15aが第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品20に対する通電部21に電気的に接続される試験対象品側の通電用プローブ15と、導電性ブロック11に電気的及び機械的に接続され、導電性ブロック11の第2の端面11bから第1の方向に突出し、第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動する第2の接触部16aが第1の方向に押圧力が与えられて試験装置30における通電部31に電気的に接続される試験装置側の通電用プローブ16を備えたので、第1の方向に移動させるだけで試験対象品20に対する通電部21と試験装置30における通電部31との間の通電経路を形成でき、通電部21と通電部31との通電経路に通電用配線を使用する必要もなく、電気的接続が容易である。
【0094】
通電部21と通電部31との間の通電経路に通電用配線を必要としないため、第1の方向及び第2の方向に移動させたとしても、通電用配線による断線となるトラブル発生もない。
試験対象品20の電気特性試験において高温条件下での特性試験を行う場合、試験対象品20を試験治具32に内蔵された加熱機器により加熱する場合、試験対象品20を移動させる必要もなく、試験対象品20対して容易に大電流を供給できる。
【0095】
また、電気特性試験毎に、通電用プローブ15の第1の接触部15aと試験対象品20に対する通電部21との電気的接続及び通電用プローブ16の第2の接触部16aと試験装置30における通電部31との電気的接続が繰り返されたとしても、複数の通電用プローブ15及び複数の通電用プローブ16を有し、それぞれの第1の接触部15aが第1の方向に押圧力が与えられて通電部21に電気的に接続され、それぞれの第2の接触部16aが第1の方向に押圧力が与えられて通電部31に電気的に接続されるため、通電部21と通電部31との間の通電経路は低インピーダンス化を実現でき、通電部21と通電部31との間の通電経路におけるインダクタンスは安定しており、試験対象品20の電気特性試験における計測が安定して行える。
【0096】
さらに、通電用プローブ15を複数有するので、通電用プローブ15と通電部21との電気的接続が安定する。通電用プローブ16を複数有するので、通電用プローブ16と通電部21との電気的接続が安定する。
また、複数の通電用プローブ15はそれぞれ導電性ブロック11の第1の端面11aの周囲に形成された複数の第1の挿入孔それぞれに挿抜可能であり、複数の通電用プローブ16それぞれは、導電性ブロック11の第2の端面11bの周囲に形成された複数の第2の挿入孔それぞれに挿抜可能であるので、通電用プローブ15及び通電用プローブ16それぞれの交換メンテナンスを、通電用プローブユニット10をプローブユニット用可動部38の装着部38cに装着したまま行え、通電用プローブ15及び通電用プローブ16それぞれの交換作業が容易であり、メンテナンス時間を削減できる。
【0097】
導電性ブロック11の第1の端面11aから第1の方向に突出し、第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動する信号検出用接触部17aが第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品20に対する信号検出用端子部22に電気的に接続される試験対象品側の信号検出用プローブ17を備えることにより、通電用プローブユニット10を第1の方向に移動させるだけで信号検出用接触部17aと信号検出用端子部22との電気的接続が容易かつ確実に行える。
【0098】
変形例1
実施の形態1に係る通電用プローブユニット10は、試験対象品側の通電用プローブ15において、通電用プローブ15が第1の導電体12の第1の端面11aから内部に穿たれた第1の挿入孔に挿入されると、通電用プローブ15の第1の接触部15aが導電性ブロック11の第1の端面11aから第1の方向に突出した状態で導電性ブロック11に装着される。
【0099】
これに対して、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1は、試験対象品側の通電用プローブ15において、通電用プローブ15が第1の導電体12の第1の端面11aから内部に穿たれた第1の挿入孔に挿入されると、通電用プローブ15の第1の接触部15aにおける第1の方向に向いている接触面が導電性ブロック11の第1の端面11aと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第1の端面11aより内側に位置した状態で導電性ブロック11に装着される。
【0100】
同様に、信号検出用プローブ17において、信号検出用プローブ17がプローブ保持体18の一端面から内部に穿たれたバレル用挿入孔及び信号配線体用挿入孔に挿入されると、信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aにおける第1の方向に向いている接触面がプローブ保持体18の一端面と同じ平面上に位置する状態、もしくは、一端面より内側に位置した状態でプローブ保持体18に装着される。
【0101】
そして、変形例1の場合、試験対象品20の通電部21において、通電部21の第2の方向に向いている平坦面における通電用プローブユニット10の通電用プローブ15に対応した位置に、通電用プローブ15の第1の接触部15aにおける接触面と接触する接触面を有する突出部を設ければよい。
また、試験対象品20における信号検出用端子部22において、信号検出用端子部22の第2の方向に向いている平坦面における通電用プローブユニット10の信号検出用プローブ17に対応した位置に、信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aにおける接触面と接触する接触面を有する突出部を設ければよい。
【0102】
試験対象品20の電気特性試験において、通電用プローブ15の第1の接触部15aが試験対象品20の通電部21における突出部の接触面に押圧接触し、信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aが試験対象品20の信号検出用端子部22における突出部の接触面に押圧接触する。
従って、変形例1においても、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0103】
要するに、実施の形態1では、変形例1を含めて、通電用プローブ15の第1の接触部15aにおける接触面が導電性ブロック11の第1の端面11aに対して露出した状態で通電用プローブ15が導電性ブロック11に装着されればよい。
また、信号検出用プローブ17の信号検出用接触部17aにおける接触面が導電性ブロック11の第1の端面11a、本例においては導電性ブロック11の第1の端面11aに相当するプローブ保持体18の一端面に対して露出した状態で信号検出用プローブ17が導電性ブロック11に装着されればよい。
【0104】
また、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10は、試験装置側の通電用プローブ16において、通電用プローブ16が第2の導電体13の第2の端面11bから内部に穿たれた第2の挿入孔に挿入されると、通電用プローブ16の第2の接触部16aが導電性ブロック11の第2の端面11bから第1の方向に突出した状態で導電性ブロック11に装着される。
【0105】
これに対して、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1は、試験装置側の通電用プローブ16において、通電用プローブ16が第2の導電体13の第2の端面11bから内部に穿たれた第2の挿入孔に挿入されると、通電用プローブ16の第2の接触部16aにおける第1の方向に向いている接触面が導電性ブロック11の第2の端面11bと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第2の端面11bより内側に位置した状態で導電性ブロック11に装着される。
【0106】
そして、変形例1の場合、試験装置30の通電部31において、通電部31の第2の方向に向いている平坦面における通電用プローブユニット10の通電用プローブ16に対応した位置に、通電用プローブ16の第2の接触部16aにおける接触面と接触する接触面を有する突出部を設ければよい。
【0107】
試験対象品20の電気特性試験において、通電用プローブ16の第2の接触部16aが試験装置30の通電部31における突出部の接触面に押圧接触する。
従って、変形例1においても、実施の形態1と同様の効果を有する。
要するに、実施の形態1では、変形例1を含めて、通電用プローブ16の第2の接触部16aにおける接触面が導電性ブロック11の第2の端面11bに対して露出した状態で通電用プローブ16が導電性ブロック11に装着されればよい。
【0108】
変形例2
実施の形態1に係る通電用プローブユニット10は、複数の試験対象品側の通電用プローブ15と複数の試験装置側の通電用プローブ16それぞれを同じプローブにより構成した。
すなわち、通電用プローブ15の第1の接触部15aにおける第1の方向及び第2の方向への有効可動範囲であるストローク(以下、単に通電用プローブ15のストロークと略称する)と、通電用プローブ16の第2の接触部における第1の方向及び第2の方向への有効可動範囲であるストローク(以下、単に通電用プローブ16のストロークと略称する)が同じ大きさである。
【0109】
これに対して、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例2は、通電用プローブ15のストローク量と通電用プローブ16のストローク量が異なる通電用プローブ15及び通電用プローブ16を用いた点が相違し、その他の点は実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同じである。
【0110】
すなわち、複数の通電用プローブ15それぞれのストローク量が複数の通電用プローブ16それぞれのストローク量に対して大きい、又は、複数の通電用プローブ16それぞれのストローク量が複数の通電用プローブ15それぞれのストローク量に対して大きい。
但し、複数の通電用プローブ15それぞれのストローク量は同じであり、複数の通電用プローブ16それぞれのストローク量は同じである。
【0111】
このように、通電用プローブ15のストローク量と通電用プローブ16のストローク量が異なることにより、試験対象品20を試験治具32の上面に設置した時の設置位置のばらつきによる試験対象品20に対する通電部21の設定位置に対するずれ、又は試験装置30設置位置のばらつきによる試験装置30の通電部31の設定位置に対するずれが生じたとしても、ストローク量が大きい通電用プローブが設定位置に対するずれを吸収し、通電用プローブ15の第1の接触部15aが試験対象品20に対する通電部21に対して押圧接触し、通電用プローブ16の第2の接触部16aが試験装置30における通電部31に対して押圧接触し、第1の接触部15aと通電部21との電気的接続及び第2の接触部16aと通電部31との電気的接続が安定的に行え、試験装置30の通電部31から試験対象品20の通電部21へ大電流を通電することができる。
【0112】
例えば、試験対象品20に対する通電部21の設定位置に対するずれにより、通電部21の接触面21aから通電用プローブ15の第1の接触部15aの先端面までの距離が設定距離より長くなった場合、プローブユニット用可動部38により通電用プローブユニット10が前進させられ、まず、通電用プローブ16の第2の接触部16aが通電部31に対して押圧接触する。
【0113】
この時、通電用プローブ15の第1の接触部15aが通電部21の接触面21aに接触していなくとも、通電用プローブ16のストローク量が通電用プローブ15のストローク量に対して大きくしてあるため、通電用プローブ16は通電用プローブユニット10のさらなる移動を吸収できるため、第1の接触部15aが通電部21に対して押圧接触するまで、プローブユニット用可動部38により通電用プローブユニット10をさらに前進させることができる。
【0114】
要するに、変形例2に係る通電用プローブユニット10は、通電部21の設定位置に対するずれ、又は通電部31の設定位置に対するずれが生じたとしても、通電用プローブ15のストローク量と通電用プローブ16のストローク量が異なることにより、設定位置に対するずれを吸収して第1の接触部15aによる通電部21に対する押圧接触及び第2の接触部16aによる通電部31に対する押圧接触を十分確保することができるため、通電部31から通電部21に至る通電経路を確実に確保でき、試験装置30から試験対象品20への安定した大電流通電が行える
【0115】
変形例3
実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例3は、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10に対して、さらに、試験装置側の信号検出用プローブを備えた点が相違し、その他の点は実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同じである。
試験装置側の信号検出用プローブは4端子法で計測するためのセンシングプローブの役割を果たすプローブである。
以下、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10に対する相違点である試験装置側の信号検出用プローブを中心に説明する。
【0116】
試験装置30において、試験装置30の信号検出部35に電気的に接続される信号検出用端子部が設けられる。
この信号検出用端子部22は、試験対象品20の電気特性試験において、試験対象品20からの電圧等による試験信号が取り出されるための信号検出用端子部である。
試験装置30における信号検出用端子部の接触面となる平坦面は試験装置30における通電部31の接触面31aとなる平坦面と同一平面に位置し、第2の方向に向いている。
試験装置30における信号検出用端子部の接触面は試験装置30における通電部31の接触面31aの一部であるが、説明の煩雑さを避けるため、通電部31と信号検出用端子部とを別構成として説明している。
【0117】
導電性ブロック11の第2の導電体13は一隅部に第2の端面11bから第2の方向に切りかかれた試験装置側の信号検出用プローブを装着するための切り欠き部を有する。
当該切り欠き部に絶縁材料で形成されたプローブ保持体が第2の導電体13と絶縁されてねじ等で固定装着される。
当該プローブ保持体は、試験対象品側の信号検出用プローブ17が固定装着されるプローブ保持体18と同様の構成である。
【0118】
当該プローブ保持体は外形が矩形をなし、上面が第2の導電体13の下面と面一にし、一側面が第2の導電体13の一側面と面一にし、一端面が第2の導電体13の第2の端面11bと面一にして、底面及び他側面が第2の導電体13の切り欠き部に接して固定される。
なお、当該プローブ保持体の外形は円形でもよく、また、プローブ保持体の上面等の側面は第1の導電体の側面と面一にしなくとも良い。
当該プローブ保持体は、プローブ保持体18と同様に一端面から内部に穿たれた断面円形のバレル用挿入孔と、バレル用挿入孔から連通し、バレル用挿入孔より小径の断面円形の信号配線体用挿入孔と、上面から信号体用挿入孔まで穿たれた信号配線用連通孔を有する。
【0119】
試験装置側の信号検出用プローブは信号検出用プローブ17と同様に、信号検出用接触部とバレルとスプリングと信号配線体を有し、同様の構成である。
試験装置側の信号検出用プローブは第2の導電体13の切り欠きに固定装着されたプローブ保持体のバレル用挿入孔に挿抜可能であり、当該プローブ保持体に組み込まれる。
試験装置側の信号検出用プローブはバレル用挿入孔に挿入されると、信号検出用プローブの信号検出用接触部が当該プローブ保持体の一端面から第1の方向に突出した状態で当該プローブ保持体に機械的に接続されて装着される。
【0120】
また、試験装置側の信号検出用プローブの後端部となる信号配線体の他端部に、当該プローブ保持体の信号配線用連通孔を挿通される信号配線40の他端がねじ止めされて、信号配線体と信号配線40が電気的に接続される。
その結果、試験装置側の信号検出用プローブの信号配線体と試験対象品20の信号検出用プローブ17の信号配線体17dは信号配線40により電気的に接続される。
なお、信号配線40は導電性ブロック11の側面に絶縁膜又は絶縁層を介して張り付けた導電板によって構成してもよい。
【0121】
試験対象品20の電気特性試験を開始し、プローブユニット用可動部38により通電用プローブユニット10が前進させられ、試験装置側の信号検出用プローブの信号検出用接触部のプローブ接触子が試験装置30における信号検出用端子部の接触面に押圧接触する。
その結果、通電用プローブユニット10及び信号配線40により、試験対象品20における信号検出用端子部22から試験装置30における信号検出用端子部までの信号検出を行う信号経路が形成される。
試験装置30における信号検出用端子部は信号検出部35に電気的に接続されている。
【0122】
このように、導電性ブロック11の第2の端面から第1の方向に突出した第2の信号検出用接触部を有し、導電性ブロック11に電気的に絶縁状態にして装着され、第2の信号検出用接触部が第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し第1の方向に押圧力が与えられ、試験装置に対する信号検出用端子部に電気的に接続される試験装置側の信号検出用プローブを設けたことにより、試験装置側の信号検出用プローブ17と試験装置側の信号検出用プローブを電気的に接続する信号配線40は導電性ブロック11の前後進に伴う動きと同様の動きを示すため、信号配線40の捻じれ等による断線を防げる。
【0123】
なお、信号検出用プローブとしてバレルが絶縁材である一般に外バネ式と呼ばれるプローブを用い、第2の導電体13の第2の端面11bの一隅部に第2の端面11bから内部に穿たれた挿入孔を形成し、当該挿入孔に信号検出用プローブを圧入装着してもよい。
また、信号検出用プローブにおいて、信号検出用プローブがプローブ保持体の一端面から内部に穿たれたバレル用挿入孔及び信号配線体用挿入孔に挿入されると、信号検出用プローブの信号検出用接触部における第1の方向に向いている接触面がプローブ保持体の一端面と同じ平面上に位置する状態、もしくは、一端面より内側に位置した状態でプローブ保持体に装着されるものでもよい。
【0124】
この場合、試験装置30における信号検出用端子部において、信号検出用端子部の第2の方向に向いている平坦面における通電用プローブユニット10の信号検出用プローブに対応した位置に、信号検出用プローブの信号検出用接触部における接触面と接触する接触面を有する突出部を設ければよい。
要するに、信号検出用プローブの信号検出用接触部における接触面が導電性ブロック11の第2の端面11b、本例においては導電性ブロック11の第2の端面11bに相当するプローブ保持体の一端面に対して露出した状態で信号検出用プローブが導電性ブロック11に装着されればよい。
【0125】
試験対象品20における信号検出用端子部22が複数ある場合は、試験装置側の信号検出用プローブも複数の信号検出用端子部22それぞれに対応させて複数配置すればよい。
また、試験装置側の信号検出用プローブ17のストローク量と試験装置側の信号検出用プローブのストローク量が異なるようにしてもよい。
【0126】
実施の形態2.
実施の形態2に係る通電用プローブユニット10を図5及び図6に基づいて説明する。
実施の形態2に係る通電用プローブユニット10は、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10に対し、導電性ブロック11の側面に放熱用フィン19が設けられた点が相違し、その他の点は実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同じである。
なお、図5及び図6中、図1から図4に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
以下、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10に対する相違点である放熱用フィン19を中心に説明する。
【0127】
放熱用フィン19は高熱伝導材料及び低電気抵抗材料で形成され、放熱面積を拡大するフィン形状である。
放熱用フィン19は導電性ブロック11と一体的に形成してもよく、別体に形成した後、溶接等により装着しても良い。
別体とした場合、放熱用フィン19は導電性ブロック11と同様に、銅又はアルミニウムなどの電気抵抗度の小さい導電性材料で形成される。
【0128】
放熱用フィン19を導電性材料で形成した場合、電流が流れる体積が増え、結果として、放熱用フィン19を加えた導電性ブロック11の抵抗値も小さくなる。
また、放熱用フィン19を導電性ブロック11と別体とした場合、放熱用フィン19は高熱伝導材料であるシリコンなどで形成された絶縁タイプのサーマルシートなどでもよい。
本例において、一体に形成した場合も、別体に形成した場合も、導電性ブロック11の側面に設けられたと表現する。
【0129】
放熱用フィン19は、導電性ブロック11の側面である上面に設けられた上面用放熱用フィン19aと、両側面それぞれに設けられた側面用放熱用フィン19b、19cにより構成される。
なお、導電性ブロック11の下面に下面用放熱用フィンを設けても良い。
上面用放熱用フィン19aは、導電性ブロック11の第1の導電体12の上面に、プローブ保持体18の上面を除いた位置から第1の導電体12の他端まで配置される。
【0130】
側面用放熱用フィン19bは、第1の導電体12における他端部の一側面、第2の導電体における他端部の一側面、及び第3の導電体14における一側面のすべての領域に配置される。
側面用放熱用フィン19cは、第1の導電体12における他端部の他側面、第2の導電体13における他端部の他側面、及び第3の導電体14における他側面のすべての領域に配置される。
下面用放熱用フィンを設けた場合、下面用放熱用フィンは第2の導電体13の下面のすべての領域に配置される。
【0131】
通電用プローブユニット10の通電経路、つまり、複数の通電用プローブ16から導電性ブロック11を介して複数の通電用プローブ15に至る通電経路に大電流が流れると、 通電用プローブ15において、通電用プローブ15の第1の接触部15aと試験対象品20における通電部21との接触抵抗と、第1の接触部15aにおけるボス部15a3とバレル15bとの接触抵抗及びバレル15bと第1の導電体12との接触抵抗によりジュール熱が発生し、通電用プローブ15は加熱される。
同様に、通電用プローブ16において、通電用プローブ16の第2の接触部16aと試験装置30における通電部31との接触抵抗と、第2の接触部16aにおけるボス部16a3とバレル16bとの接触抵抗及びバレル16bと第2の導電体13との接触抵抗によりジュール熱が発生し、通電用プローブ16は加熱される。
【0132】
通電用プローブ15及び通電用プローブ16が加熱され、温度上昇すると通電用プローブユニット10の通電経路における抵抗値の増加を招くことにより、通電用プローブユニット10の通電経路における大電流の通電に弊害が生じるが、放熱用フィン19により通電用プローブ15及び通電用プローブ16により発生する熱を導電性ブロック11の外部に放熱する。
【0133】
その結果、通電用プローブ15及び通電用プローブ16の温度上昇を抑えることができ、通電用プローブユニット10の通電経路における抵抗値の増加を抑制し、抵抗値の増加による通電電流の減少を抑制し、通電用プローブユニット10の通電経路における大電流の通電に弊害が生じることがなく、大電流の通電の安定化が図れる。
また、導電性ブロック11の温度上昇を抑えることができ、プローブ保持体18及びプローブユニット用可動部38における装着部38cの温度上昇も抑えることができるので、プローブ保持体18及び装着部38cに耐熱温度の低い材料を用いることができる。
【0134】
実施の形態2に係る通電用プローブユニット10は、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同様の効果を有し、さらに、導電性ブロック11の側面に放熱用フィン19を設けたことにより、通電用プローブ15及び通電用プローブ16の温度上昇を抑えることができ、通電用プローブユニット10の通電経路により大電流を流すことができる。
【0135】
なお、実施の形態2に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1として示したように、通電用プローブ15の第1の接触部15aの接触面及び信号検出用プローブ17の第1の信号検出用接触部の接触面が、導電性ブロック11の第1の端面11aと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第1の端面11aより内側に位置した状態で通電用プローブ15及び信号検出用プローブ17が導電性ブロック11に装着されてもよい。
【0136】
また、実施の形態2に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例2として示したように、通電用プローブ15のストローク量と通電用プローブ16のストローク量が異なる通電用プローブ15及び通電用プローブ16を用いても良い。
さらに、実施の形態2に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例3として示したように、試験装置側の信号検出用プローブを備えた構成としても良い。
【0137】
実施の形態2に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1及び変形例3として示したように、通電用プローブ16通電用プローブ16の第2の接触部16aの接触面及び試験装置側の信号検出用プローブの第2の信号検出用接触部の接触面が、導電性ブロック11の第2の端面11bと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第1の端面11aより内側に位置した状態で通電用プローブ15及び信号検出用プローブ17が導電性ブロック11に装着されてもよい。
【0138】
実施の形態3.
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10を図7及び図8に基づいて説明する。
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10は、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10に対し、導電性ブロック11の内部に流体が流れる流体流路121、131、141を形成した点が相違し、その他の点は実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同じである。
なお、図7及び図8中、図1から図4に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0139】
以下、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10に対する相違点である流体流路121~123が形成された導電性ブロック11を中心に説明する。
なお、以下の例では、通電用プローブ15及び通電用プローブ16の温度上昇を抑えるために、流体流路121、131、141を冷媒を流す冷媒流路として説明する。
したがって、流体を冷媒として説明する。
【0140】
導電性ブロック11は冷媒流入口101と第1の冷媒流出口102と第2の冷媒流出口103を有する。
冷媒流入口101は円形又は多角形であり、導電性ブロック11の第1の導電体12における他端部の上面に形成される。
第1の冷媒流出口102は円形又は多角形であり、導電性ブロック11の第1の端面11aの中央に形成される。
第2の冷媒流出口103は円形又は多角形であり、導電性ブロック11の第2の端面11bの中央に形成される。
【0141】
導電性ブロック11の内部に、冷媒流入口101から第1の冷媒流出口102に至る第1の冷媒流路と冷媒流入口101から第2の冷媒流出口103に至る第2の冷媒流路を有する。
第1の冷媒流路は第1の導電体12の軸心に位置し、断面円形又は多角形であり、冷媒流入口101と第1の冷媒流出口102との間を連通する冷媒流路121である。
第2の冷媒流路は、第2の導電体13の軸心に位置し、断面円形又は多角形であり、第2の冷媒流出口103と第3の導電体14の軸心との間を連通する冷媒流路131と、第3の導電体14の軸心に位置し、断面円形又は多角形であり、冷媒流入口101と第2の導電体13の軸心との間を連通する冷媒流路141により構成される。
【0142】
冷媒流入口101に流入された冷媒は、冷媒流路121と冷媒流路141との合流点で分流され、一方の冷媒は冷媒流路121により構成される第1の冷媒流路を流れて第1の冷媒流出口102から流出され、他方の冷媒は冷媒流路141及び冷媒流路131により構成される第2の冷媒流路を流れて第2の冷媒流出口103から流出される。
冷媒は空気又は水などの液体であり、空気又は水に限られるものではなく、一般に知られている冷媒であり、導電性ブロック11の内部の冷媒流路に流せる流体であればよい。
【0143】
冷媒が第1の冷媒流路及び第2の冷媒流路を流れることにより、通電用プローブ15及び通電用プローブ16により発生する熱を冷媒を介して導電性ブロック11の外部に放熱する。
その結果、通電用プローブ15及び通電用プローブ16の温度上昇を抑えることができ、通電用プローブユニット10の通電経路における抵抗値の増加を抑制し、抵抗値の増加による通電電流の減少を抑制し、通電用プローブユニット10の通電経路における大電流の通電に弊害が生じることがなく、大電流の通電の安定化が図れる。
【0144】
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10は、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同様の効果を有し、さらに、導電性ブロック11の内部に、冷媒流入口101から第1の冷媒流出口102に至る第1の冷媒流路と冷媒流入口101から第2の冷媒流出口103に至る第2の冷媒流路を形成したことにより、通電用プローブ15及び通電用プローブ16の温度上昇を抑えることができ、通電用プローブユニット10の通電経路により大電流を流すことができる。
【0145】
なお、第1の冷媒流路における第1の冷媒流出口102は、導電性ブロック11の第1の端面11aの中央に形成されたものではなく、導電性ブロック11の側面に形成されたものでもよい。
第1の冷媒流路は第1の導電体12の軸心に位置せず、軸心からずれた位置に形成してもよい。
【0146】
また、第2の冷媒流路における第2の冷媒流出口103は、導電性ブロック11の第2の端面11bの中央に形成されたものではなく、導電性ブロック11の側面に形成されたものでもよい。
第2の冷媒流路は第2の導電体13の軸心及び第3の導電体14の軸心に位置せず、第2の導電体13の軸心及び第3の導電体14の軸心それぞれからずれた位置に形成してもよい。
【0147】
さらに、第1の冷媒流出口102と第2の冷媒流出口103の2つの冷媒流出口を形成するのではなく、1つの冷媒流出口を導電性ブロック11に形成し、冷媒流入口101から1つの冷媒流出口に至る冷媒流路としてもよい。この場合、冷媒流入口101は導電性ブロック11の第1の導電体12における他端部の上面に形成されなくともよい。
冷媒流出口を導電性ブロック11に3つ以上形成し、3つ以上の冷媒流路を導電性ブロック11の内部に形成してもよい。
【0148】
なお、試験対象品20における電気特性試験において、導電性ブロック11と通電用プローブ15及び通電用プローブ16の温度を維持させる必要がある特性試験がある。
この場合、第1の冷媒流路及び第2の冷媒流路に設定温度を有する湯などの流体を流すことにより、第1の流体流路及び第2の流体流路を流れる流体から導電性ブロック11に熱量を加えることができ、導電性ブロック11と通電用プローブ15及び通電用プローブ16の温度を設定温度に維持でき、通電用プローブユニット10の通電経路における抵抗値を適正に管理することができる。
【0149】
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1として示したように、通電用プローブ15の第1の接触部15aの接触面及び信号検出用プローブ17の第1の信号検出用接触部の接触面が、導電性ブロック11の第1の端面11aと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第1の端面11aより内側に位置した状態で通電用プローブ15及び信号検出用プローブ17が導電性ブロック11に装着されてもよい。
【0150】
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例2として示したように、通電用プローブ15のストローク量と通電用プローブ16のストローク量が異なる通電用プローブ15及び通電用プローブ16を用いても良い。
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例3として示したように、試験装置側の信号検出用プローブを備えた構成としても良い。
【0151】
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1及び変形例3として示したように、通電用プローブ16の第2の接触部16aの接触面及び試験装置側の信号検出用プローブの第2の信号検出用接触部の接触面が、導電性ブロック11の第2の端面11bと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第1の端面11aより内側に位置した状態で通電用プローブ15及び信号検出用プローブ17が導電性ブロック11に装着されてもよい。
実施の形態3に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態2に係る通電用プローブユニット10として示したように、導電性ブロック11の側面に放熱用フィン19を設けても良い。
【0152】
実施の形態4.
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10を図9及び図10に基づいて説明する。
なお、図9及び図10中、図1から図4に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
実施の形態1に係る通電用プローブユニット10は、電気特性試験において、試験装置30の電力出力端子である通電部31から試験対象品20の電力入力端子である通電部21へ大電流を通電する通電経路を形成する通電導体の役割を果たす通電用プローブユニットである。
【0153】
これに対して、実施の形態4に係る通電用プローブユニット10は、電気特性試験において、第1の極であるP(正)極と第2の極であるN(負)極の2つの電力端子を有する試験対象品20に対し、試験対象品20のP極用通電部である第1の通電部21P及びN極用通電部である第2の通電部21Nそれぞれと試験装置30のP極用通電部である第1の通電部31P及びN極用通電部である第2の通電部31Nそれぞれとを電気的に接続する。
【0154】
すなわち、実施の形態4に係る通電用プローブユニット10は、電気特性試験において、試験装置30のP極用の電力端子である第1の通電部31Pから試験対象品20のP極用の電力入力端子である第1の通電部21Pへ大電流を通電する通電経路を形成し、試験対象品20のN極用の電力端子である第2の通電部21Nから試験装置30のN極用の電力端子である第2の通電部31Nへ大電流を通電する通電経路を形成する通電導体の役割を果たす通電用プローブユニットである。
【0155】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10はP極通電用プローブユニット10PとN極通電用プローブユニット10Nと絶縁体50を備える。
P極通電用プローブユニット10PとN極通電用プローブユニット10Nそれぞれは実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同じである。
したがって、以下、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の構成要素と同じP極通電用プローブユニット10Pの構成要素には符号に添え字としてPを付加し、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の構成要素と同じN極通電用プローブユニット10Nの構成要素には符号に添え字としてNを付加して説明する。
【0156】
試験対象品20には、P極に対応する電力端子である第1の通電部21P及びN極に対応する電力端子である第2の通電部21NとP極に対応する第1の信号検出用端子部22P及びN極に対応する第2の信号検出用端子部22Nが設けられている。
第1の通電部21P及び第2の通電部21Nは互いに電気的に絶縁され、第1の信号検出用端子部22P及び第2の信号検出用端子部22Nは互いに電気的に絶縁されている。
【0157】
第1の信号検出用端子部22Pの接触面22aPは第1の通電部21Pの接触面21aPの一部であるが、説明の煩雑さを避けるため、第1の通電部21Pと第1の信号検出用端子部22Pとを別構成として説明している。
同様に、第2の信号検出用端子部22Nの接触面22aNは第2の通電部21Nの接触面21aNの一部であるが、説明の煩雑さを避けるため、第2の通電部21Nと第2の信号検出用端子部22Nとを別構成として説明している。
第1の通電部21Pの接触面21aP及び第2の通電部21Nの接触面21aNと第1の信号検出用端子部22Pの接触面22aP及び第2の信号検出用端子部22Nの接触面22aNは平坦面であり、同一平面上に位置する。
【0158】
試験装置30には、P極に対応する電力端子である第1の通電部31P及びN極に対応する電力端子である第2の通電部31Nが設けられている。
第1の通電部31P及び第2の通電部31Nは互いに電気的に絶縁されている。
第1の通電部31Pの接触面31aP及び第2の通電部31Nの接触面31aNは平坦面であり、同一平面上に位置する。
【0159】
P極通電用プローブユニット10Pは、第1の導電性ブロック11Pと、複数の試験対象品側の第1の通電用プローブ15Pと、複数の試験装置側の第1の通電用プローブ16Pと、試験対象品側の第1の信号検出用プローブ17Pを備える。
第1の導電性ブロック11Pは第1の端面11aPと第2の端面11bPを有し、導電性材料で形成される。
【0160】
複数の試験対象品側の第1の通電用プローブ15Pはそれぞれが第1の導電性ブロック11Pの第1の端面11aPから第1の方向に突出した第1の接触部15aPを有し、第1の導電性ブロック11Pに電気的及び機械的に接続され、第1の接触部15aPが第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品20に対する第1の通電部21Pに電気的に接続される。
【0161】
複数の試験装置側の第1の通電用プローブ16Pはそれぞれが第1の導電性ブロック11Pの第2の端面11bPから第1の方向に突出した第2の接触部16aPを有し、第1の導電性ブロック11Pに電気的及び機械的に接続され、第2の接触部16aPが第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験装置30における第1の通電部31Pに電気的に接続される。
【0162】
試験対象品側の第1の信号検出用プローブ17Pは第1の導電性ブロック11Pの第1の端面11aPから第1の方向に突出した第1の信号検出用接触部17aPを有し、第1の導電性ブロック11Pに第1のプローブ保持体18Pを介して電気的に絶縁状態にして装着され、第1の信号検出用接触部17aPが第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品20に対する第1の信号検出用端子部22Pに電気的に接続される。
【0163】
N極通電用プローブユニット10Nは、第2の導電性ブロック11Nと、複数の試験対象品側の第2の通電用プローブ15Nと、複数の試験装置側の第2の通電用プローブ16Nと、試験対象品側の第2の信号検出用プローブ17Nを備える。
第2の導電性ブロック11Nは第3の端面11aNと第4の端面11bNを有し、導電性材料で形成される。
【0164】
複数の試験対象品側の第2の通電用プローブ15Nはそれぞれが第2の導電性ブロック11Nの第3の端面11aNから第1の方向に突出した第3の接触部15aNを有し、第2の導電性ブロック11Nに電気的及び機械的に接続され、第3の接触部15aNが第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品20に対する第2の通電部21Nに電気的に接続される。
【0165】
複数の試験装置側の第2の通電用プローブ16Nはそれぞれが第2の導電性ブロック11Nの第4の端面11bNから第1の方向に突出した第4の接触部16aNを有し、第2の導電性ブロック11Nに電気的及び機械的に接続され、第4の接触部16aNが第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験装置30における第2の通電部31Nに電気的に接続される。
【0166】
試験対象品側の第2の信号検出用プローブ17Nは第2の導電性ブロック11Nの第3の端面11aNから第1の方向に突出した第2の信号検出用接触部17aNを有し、第2の導電性ブロック11Nに第2のプローブ保持体18Nを介して電気的に絶縁状態にして装着され、第2の信号検出用接触部17aNが第1の方向及び第2の方向に可動自在に移動し、第1の方向に押圧力が与えられて試験対象品20に対する第2の信号検出用端子部22Nに電気的に接続される。
【0167】
第1の導電性ブロック11Pと第2の導電性ブロック11Nは第5の方向に絶縁体50を介して設けられる。
つまり、第1の導電性ブロック11Pの一側面と第2の導電性ブロック11Nの他側面との間に絶縁体50を介して、第1の導電性ブロック11Pと第2の導電性ブロック11Nと絶縁体50が一体化される。
【0168】
第1の導電性ブロック11Pの第1の端面11aPと第2の導電性ブロック11Nの第3の端面11aNは同一平面上に位置する。
第1の導電性ブロック11Pの第2の端面11bPと第2の導電性ブロック11Nの第4の端面11bNは同一平面上に位置する。
【0169】
通電用プローブユニット10において、P極通電用プローブユニット10PとN極通電用プローブユニット10Nは電気的に絶縁され、P極通電用プローブユニット10Pは試験対象品20の第1の通電部21Pと試験装置30の第1の通電部31Pとを電気的に接続し、N極通電用プローブユニット10Nは試験対象品20の第2の通電部21Nと試験装置30の第2の通電部31Nとを電気的に接続する。
P極通電用プローブユニット10Pに流れる電流の方向とN極通電用プローブユニット10Nに流れる電流の方向は逆方向である。
その結果、P極通電用プローブユニット10PとN極通電用プローブユニット10Nによるインダクタンスは低減される。
【0170】
試験対象品20の電気特性試験を開始すると、プローブユニット用可動部38におけるアクチュエータ38aは、プローブユニット用可動部38における可動部38bを前進させ、つまり第1の方向に移動させてプローブユニット用可動部38における装着部38cに装着された通電用プローブユニット10を第1の方向に移動させる。
【0171】
通電用プローブユニット10のP極通電用プローブユニット10Pにおける複数の試験対象品側の第1の通電用プローブ15Pの第1の接触部15aPが試験対象品20に対する第1の通電部21Pの接触面21aPに押圧接触し、P極通電用プローブユニット10Pにおける複数の試験装置側の第1の通電用プローブ16Pの第2の接触部16aPが試験装置30における第1の通電部31Pの接触面21aPに押圧接触し、第1の信号検出用プローブ17Pの第1の信号検出用接触部17aPが試験対象品20に対する第1の信号検出用端子部22Pの接触面22aPに押圧接触するまで、アクチュエータ38aは通電用プローブユニット10を第1の方向に移動させ、停止する。
【0172】
この時、同時に、通電用プローブユニット10のN極通電用プローブユニット10Nにおける複数の試験対象品側の第2の通電用プローブ15Nの第3の接触部15aNが試験対象品20に対する第2の通電部21Nの接触面21aNに押圧接触し、N極通電用プローブユニット10Nにおける複数の試験装置側の第2の通電用プローブ16Nの第4の接触部16aNが試験装置30における第2の通電部31Nの接触面21aNに押圧接触し、第2の信号検出用プローブ17Nの第2の信号検出用接触部17aNが試験対象品20に対する第2の信号検出用端子部22Nの接触面22aNに押圧接触する。
【0173】
したがって、通電用プローブユニット10をプローブユニット用可動部38により第1の方向に移動させることにより、通電用プローブユニット10におけるP極通電用プローブユニット10Pが試験装置30の第1の通電部31Pから試験対象品20の第1の通電部21Pまでの通電経路を、N極通電用プローブユニット10Nが試験対象品20の第2の通電部21Nから試験装置30の第2の通電部31Nまでの通電経路を同時に形成できる。
この時、P極通電用プローブユニット10Pにより形成される通電経路及びN極通電用プローブユニット10Nにより形成される通電経路は、共に全体において、低インピーダンス化が図れるとともにインダクタンスの安定化を図れ、両方の通電経路に大電流を流すことができ、試験対象品20へ大電流を供給できる。
【0174】
また、同時に、第1の信号検出用プローブ17Pと試験対象品20の第1の信号検出用端子部22Pとの電気的接続、及び第2の信号検出用プローブ17Nと試験対象品20の第2の信号検出用端子部22Nとの電気的接続を確実に行える。
【0175】
以上に述べたように、実施の形態4に係る通電用プローブユニット10は、P極通電用プローブユニット10P及びN極通電用プローブユニット10Nにおいて、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10と同様の効果を有し、P極通電用プローブユニット10Pにより形成される通電経路及びN極通電用プローブユニット10Nにより形成される通電経路に通電用配線を使用する必要もなく、プローブユニット用可動部38により第1の方向に移動させるという簡単な操作により容易に形成できる。
【0176】
しかも、両方の通電経路に大電流を流すことができ、試験対象品20へ大電流を供給できるとともに、両方の通電経路におけるインダクタンスは安定しており、試験対象品20の電気特性試験における計測が安定して行える。
また、通電用プローブユニット10をプローブユニット用可動部38の装着部38cに装着したまま、第1の通電用プローブ15P及び第2の通電用プローブ15Nと第1の通電用プローブ16P及び第2の通電用プローブ16Nそれぞれの交換メンテナンスを行え、第1の通電用プローブ15P及び第2の通電用プローブ15Nと第1の通電用プローブ16P及び第2の通電用プローブ16Nそれぞれの交換作業が容易であり、メンテナンス時間を削減できる。
【0177】
さらに、第1の信号検出用プローブ17Pと第1の信号検出用端子部22Pとの電気的接続、及び第2の信号検出用プローブ17Nと第2の信号検出用端子部22Nとの電気的接続が容易かつ確実に行える。
【0178】
なお、実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1として示したように、P極通電用プローブユニット10Pにおける第1の通電用プローブ15Pの第1の接触部15aPの接触面及び第1の信号検出用プローブ17Pの第1の信号検出用接触部の接触面が、第1の導電性ブロック11Pの第1の端面11aPと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第1の端面11aPより内側に位置した状態で第1の通電用プローブ15P及び第1の信号検出用プローブ17Pが第1の導電性ブロック11Pに装着されてもよい。
【0179】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1として示したように、N極通電用プローブユニット10Nにおける第2の通電用プローブ15Nの第3の接触部15aNの接触面及び第2の信号検出用プローブ17Nの第2の信号検出用接触部の接触面が、第2の通電用プローブ15Nの第3の端面11aNと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第3の端面11aNより内側に位置した状態で第2の通電用プローブ15N及び第2の信号検出用プローブ17Nが第2の通電用プローブ15Nに装着されてもよい。
【0180】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例2として示したように、P極通電用プローブユニット10Pにおける第1の通電用プローブ15P及びN極通電用プローブユニット10Nにおける第2の通電用プローブ15Nそれぞれ0038ーク量とP極通電用プローブユニット10Pにおける第1の通電用プローブ16P及びN極通電用プローブユニット10Nにおける第2の通電用プローブ16Nそれぞれのストローク量が異なる通電用プローブ15P及び通電用プローブ15Nと通電用プローブ16P及び通電用プローブ16Nを用いてもよい。
【0181】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例3として示したように、P極通電用プローブユニット10P及びN極通電用プローブユニット10Nそれぞれに試験装置側の信号検出用プローブを備えた構成としてもよい。
【0182】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1及び変形例3として示したように、P極通電用プローブユニット10Pにおける第1の通電用プローブ16Pの第2の接触部16aPの接触面及び試験装置側の信号検出用プローブの信号検出用接触部の接触面が、第1の導電性ブロック11Pの第2の端面11bPと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第2の端面11bPより内側に位置した状態で第1の通電用プローブ16P及び試験装置側の信号検出用プローブが第1の導電性ブロック11Pに装着されてもよい。
【0183】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態1に係る通電用プローブユニット10の変形例1及び変形例3として示したように、N極通電用プローブユニット10Nにおける第2の通電用プローブ16Nの第4の接触部16aNの接触面及び試験装置側の信号検出用プローブの信号検出用接触部の接触面が、第2の導電性ブロック11Nの第4の端面11bNと同じ平面上に位置する状態、もしくは、第4の端面11bNより内側に位置した状態で第2の通電用プローブ16N及び試験装置側の信号検出用プローブが第2の導電性ブロック11Nに装着されてもよい。
【0184】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態2に係る通電用プローブユニット10と同様に、第1の導電性ブロック11Pの上面及び他側面と第2の導電性ブロック11Nの上面及び一側面に放熱用フィン19を設けてもよい。
【0185】
実施の形態4に係る通電用プローブユニット10において、実施の形態3に係る通電用プローブユニット10と同様に、第1の導電性ブロック11Pの内部に、冷媒流入口101から第1の冷媒流出口102に至る第1の冷媒流路と冷媒流入口101から第2の冷媒流出口103に至る第2の冷媒流路を形成し、第2の導電性ブロック11Nの内部に、冷媒流入口101から第1の冷媒流出口102に至る第1の冷媒流路と冷媒流入口101から第2の冷媒流出口103に至る第2の冷媒流路を形成してもよい。
【0186】
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本開示の通電用プローブユニットは、モーター、インバータ、又はパワー半導体装置等の半導体製品など、特に大電流が流れる大電流仕様の試験対象品に試験装置から大電流を供給するための、試験対象品の通電部と試験装置の通電部とを電気的に接続するのに好適である。
【符号の説明】
【0188】
10 通電用プローブユニット、10P P極通電用プローブユニット、10N N極通電用プローブユニット、11 導電性ブロック、11a 第1の端面、11b 第2の端面、11P 第1の導電性ブロック、11N 第2の導電性ブロック、12 第1の導電体、13 第2の導電体、14 第3の導電体、15、15~15 試験対象品側の通電用プローブ、15a 第1の接触部、15P 第1の通電用プローブ、15N 第2の通電用プローブ、16、16~16 試験装置側の通電用プローブ、16a 第2の接触部、17 信号検出用プローブ、16P 第1の通電用プローブ、16N 第2の通電用プローブ、18 プローブ保持体、19、19a~19c 放熱用フィン、111~131 冷媒流路、20 試験対象品、21 通電部、21P 第1の通電部、21N 第2の通電部、30 試験装置、31 通電部、31P 第1の通電部、31N 第2の通電部、32 試験治具、33 試験台、34 電力供給部、35信号検出部、36 計測制御部、37 表示部、38 プローブユニット用可動部、39 装置本体、40 信号配線、50 絶縁体。
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