(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115571
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】印刷装置、動作方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20240820BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021236
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】坂崎 尚之
【テーマコード(参考)】
2C058
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF31
2C058AF51
2C058GA15
2C058GH00
2C058LA03
2C058LB06
(57)【要約】
【課題】印刷中止後に利用者が行うべき作業の負担を軽減する。
【解決手段】印刷装置1は、テープ13に印刷を行うサーマルヘッド7aと、テープ13を搬送する搬送部と、テープ13を切断するカッター8aと、制御部を備える。制御部は、印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、テープ13の印刷済みの領域をサーマルヘッド7aからカッター8aへ向かう搬送方向へ搬送するように、搬送部を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を切断するカッターと、
前記印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記被印刷媒体の印刷済みの領域を前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ搬送するように、前記搬送部を制御する制御部と、を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を切断するカッターと、
前記印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記印刷ヘッドと前記カッターの間の距離だけ前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ前記被印刷媒体を搬送するように、前記搬送部を制御する制御部と、を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記所定の操作に応じて、前記搬送部の搬送後に前記被印刷媒体を切断するように、前記カッターを制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記所定の操作に応じて、割り込み処理を制限する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置の動作方法であって、
テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記被印刷媒体の印刷済みの領域を前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ搬送するように、前記搬送部を制御する
ことを特徴とする動作方法。
【請求項6】
印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置の動作方法であって、
テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記印刷ヘッドと前記カッターの間の距離だけ前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ前記被印刷媒体を搬送するように、前記搬送部を制御する
ことを特徴とする動作方法。
【請求項7】
印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置のコンピュータに、
テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記被印刷媒体の印刷済みの領域を前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ搬送するように、前記搬送部を制御する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置のコンピュータに、
テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記印刷ヘッドと前記カッターの間の距離だけ前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ前記被印刷媒体を搬送するように、前記搬送部を制御する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、印刷装置、動作方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープ状の被印刷媒体に文字や図形等を印刷してラベルを作成する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような印刷装置では、印刷中に利用者が印刷内容を誤っていたことに気づいた場合等に所定のキー操作により印刷を中止することが可能である。しかしながら、従来の印刷中止動作は、印刷動作を強制的に停止する動作であり、したがって、印刷中止前に印刷が行われた被印刷媒体の印刷済みの部分が印刷ヘッドと排出口との間に残存してしまう。そのため、利用者には、次回の印刷までに被印刷媒体の印刷済みの部分を取り除く作業が要求される。
【0005】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、印刷中止後に利用者が行うべき作業の負担を軽減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る印刷装置は、テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を切断するカッターと、前記印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記被印刷媒体の印刷済みの領域を前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ搬送するように、前記搬送部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様に係る印刷装置は、テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を切断するカッターと、前記印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記印刷ヘッドと前記カッターの間の距離だけ前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ前記被印刷媒体を搬送するように、前記搬送部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る動作方法は、印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置の動作方法であって、テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記被印刷媒体の印刷済みの領域を前前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ搬送するように、前記搬送部を制御する。
【0009】
本発明の別の態様に係る動作方法は、印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置の動作方法であって、テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記印刷ヘッドと前記カッターの間の距離だけ前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ前記被印刷媒体を搬送するように、前記搬送部を制御する。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置のコンピュータに、テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記被印刷媒体の印刷済みの領域を前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ搬送するように、前記搬送部を制御する処理を実行させる。
【0011】
本発明の別の態様に係るプログラムは、印刷ヘッドと搬送部とカッターを備える印刷装置のコンピュータに、テープ状の被印刷媒体に前記印刷ヘッドが行う印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、前記印刷ヘッドと前記カッターの間の距離だけ前記印刷ヘッドから前記カッターへ向かう搬送方向へ前記被印刷媒体を搬送するように、前記搬送部を制御する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の態様によれば、印刷中止後に利用者が行うべき作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係るシステムの構成を例示した図である。
【
図2】一実施形態に係る印刷装置1における蓋を開いた状態の部分平面図である。
【
図3】被印刷媒体の搬送経路の一例を説明する図である。
【
図4】一実施形態に係る印刷装置のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る情報処理装置1000のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【
図6】従来の印刷装置における印刷開始から印刷中止までの被印刷媒体の状態を示した図である。
【
図7】従来の印刷装置における印刷中止後から再印刷終了までの被印刷媒体の状態を示した図である。
【
図8】一実施形態に係る印刷装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係る印刷装置における印刷開始から印刷中止までの被印刷媒体の状態を示した図である。
【
図10】一実施形態に係る印刷装置における印刷中止後から再印刷終了までの被印刷媒体の状態を示した図である。
【
図11】一実施形態に係る印刷装置の動作方法の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下では、テープ状の被印刷媒体に文字、画像等を印刷し、印刷された被印刷媒体(ラベル)を切断して装置の外部に排出することが可能な印刷装置と、印刷装置へ印刷指示や印刷中止指示を送信する情報処理装置と、を含むシステムを例にして、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
本明細書において、テープ状の被印刷媒体とは、プラスチック、紙、その他の任意の材料からなる細長く薄い帯状の媒体をいい、以降、単にテープという。テープは、典型的には粘着層を有し、貼り付け可能である。ただし、テープは、粘着層を有しなくてもよい。また、ラベルとは、テープ上に何らかの情報を印刷したもののことである。
【0016】
実施形態に係る印刷装置の印刷方式は特に限定しない。印刷装置は、例えば、熱転写方式や感熱方式で印刷を行うサーマルプリンタである。ただし、印刷装置は、サーマルプリンタに限らず、インクジェットプリンタやレーザプリンタなどであってもよい。
【0017】
図1は、一実施形態に係るシステムの構成を例示した図である。
図2は、一実施形態に係る印刷装置1における蓋を開いた状態の部分平面図である。
【0018】
図1に示すシステムは、印刷装置1と、情報処理装置1000と、を含んでいる。
図1に示すシステムでは、情報処理装置1000がラベルイメージの印刷指示を印刷装置1へ出力することで、印刷装置1がラベルイメージをテープ13に印刷して、ラベルイメージが印刷されたテープ13であるラベルを作成する。情報処理装置1000が印刷中止指示を印刷装置1へ出力することで、印刷装置1が印刷を中止する。
【0019】
情報処理装置1000は、例えば、
図1に示す情報処理装置1000aのようなノート型の端末であってもよく、情報処理装置1000bに示すようなタブレット型の端末であってもよく、情報処理装置1000cに示すようなスマートフォンであってもよい。なお、情報処理装置1000は、モバイル端末に限らず、据え置き型の装置であってもよい。
【0020】
印刷装置1と情報処理装置1000は、
図1に示すように、例えば、無線通信によってデータをやり取りする。印刷装置1と情報処理装置1000の間で行われる無線通信の規格は、特に限定しない。ただし、印刷装置1と情報処理装置1000の間の通信は、無線通信に限らず、有線ケーブルを用いた通信であってもよい。
【0021】
図1及び
図2に例示した印刷装置1は、装置筐体2と、装置筐体2に取り付けられた蓋4とを有する。装置筐体2には、テープアダプタ11を装着する凹形状のアダプタ装着部2aが設けられている。テープアダプタ11は、テープ13を巻き取ってロールにしたもの(以下「テープロール12」という)を収容し、印刷装置1にテープ13を供給する容器である。
図1及び
図2における下線が引かれた「9」という数字は、テープアダプタ11に収容されたテープ13の幅が9mmであることを示す。なお、テープ13は9mm幅のものに限らず、例えば、12mm、18mm、36mmなど様々な幅のものを使用可能である。
【0022】
装置筐体2のアダプタ装着部2aは、装置筐体2の側面に設けられた排出口2bと通じている。印刷装置1は、アダプタ装着部2aに装着されたテープアダプタ11から引き出されたテープ13を装置筐体2に設けられた搬送経路に沿って搬送し、排出口2bから排出する。装置筐体2には、テープアダプタ11から引き出されたテープ13を搬送するプラテンローラ(搬送ローラ)6、テープ13への印刷を行う印刷ユニット7、及びテープ13を切断するカットユニット8が配置されている。
【0023】
蓋4は、装置筐体2におけるアダプタ装着部2aを開閉可能なように、装置筐体2に取り付けられている。印刷装置1では、装置筐体2における閉位置の蓋4と干渉しない領域にキーボード3が設けられており、蓋4の表面にディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5は、キーボード3により入力または選択された各種情報を表示する表示装置である。
【0024】
図3は、被印刷媒体の搬送経路の一例を説明する図である。
図3には、印刷装置1におけるテープ13の搬送経路を直線状の経路として模式的に示している。
【0025】
テープロール12からほどかれて印刷装置1に供給されるテープ13は、プラテンローラ6と印刷ユニット7のサーマルヘッド7aとの間を通り、装置筐体2の排出口2bに通じる搬送経路に沿って搬送される。テープ13は、例えば、蓋4が閉位置に移動することによりプラテンローラ6の周面とサーマルヘッド7aとで挟持され、プラテンローラ6が回転することにより搬送経路に沿って搬送される。
【0026】
本実施形態の印刷装置1におけるプラテンローラ6は、後述する搬送部を構成する。プラテンローラ6は、図示しないモータの動力により、テープ13を排出口2bに向けて送り出す。サーマルヘッド7aは、テープ13に印刷を行う印刷ヘッドの一例である。サーマルヘッド7aは、搬送されるテープ13に対して熱を印加することによりテープ13への印刷を行う。搬送経路に沿って搬送されるテープ13は、搬送経路におけるテープ13とサーマルヘッド7aとが接触する印刷位置Pと、装置筐体2の排出口2bと対応する排出位置Eと、の間のカット位置Cでカットユニット8のカッター8aにより切断される。
【0027】
カッター8aは、テープ13を切断するカッターの一例であり、カット位置Cにあるテープ13のカットラインでテープ13全体を切断し2つに分離するフルカッターである。例えば、テープ13が粘着テープ層を有する基材と粘着テープ層を保護する保護層であるセパレータとを含む被印刷媒体である場合であれば、カッター8aは、基材とセパレータの両方を切断して、基材とセパレータのそれぞれを2つに分離する。
【0028】
なお、カットユニット8には、カッター8aに加えて、ハーフカッターが設けられてもよい。ハーフカッターは、ハーフカット位置にあるテープ13のカットラインを境目とする両側が、切断されなかった部分により一体の状態を維持するようにテープ13を切断する。例えば、テープ13が基材とセパレータとを含む被印刷媒体である場合であれば、ハーフカッターは、例えば、基材のみを切断し、セパレータを切断しない。なお、ハーフカッターは、テープ13にミシン目が入るようにテープ13を切断してもよい。
【0029】
印刷装置1には、さらに、搬送経路におけるカット位置Cと排出位置Eとの間でテープ13を挟持し、テープ13の搬送を補助する一対の排出ローラ9a及び9bが設けられてもよい。排出ローラ9a及び9bは、例えば、カッター8aでテープ13を切断したときに、カット位置Cよりも搬送方向の下流側に位置するテープ13が搬送されるよう動作する。
【0030】
図4は、一実施形態に係る印刷装置のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
図4に例示した印刷装置1は、制御部100、記憶部120、入力部130、表示部140、搬送部150、印刷部160、切断部170、センサ180、及び通信部190を含む。
【0031】
入力部130は、印刷装置1に各種情報を入力する入力装置であり、例えば、上述したキーボード3を含む。表示部140は、印刷装置1の利用者に対し各種情報を表示する表示装置であり、例えば、上述したディスプレイ5を含む。
【0032】
搬送部150は、制御部100による制御下でテープ13を搬送する。搬送部150は、例えば、プラテンローラ6、プラテンローラ6に連結されたモータ、モータを駆動する駆動回路、及びプラテンローラ6の回転数(回転角)を検出するエンコーダを含む。
【0033】
印刷部160は、制御部100による制御下でテープ13に印刷する。印刷部160は、上述した印刷ユニット7と対応し、例えば、サーマルヘッド7a、サーマルヘッド7aの発熱素子を駆動する駆動回路、及びサーマルヘッド7aの温度を検出するサーミスタを含む。
【0034】
切断部170は、制御部100による制御下でテープ13を切断する。切断部170は、上述したカットユニット8と対応し、例えば、カッター8a、カッター8aに連結されたモータ、モータを駆動する駆動回路、及び一対の排出ローラ9a及び9bを含む。
【0035】
制御部100は、搬送部150、印刷部160、及び切断部170を制御する。制御部100は、搬送部150、印刷部160、及び切断部170のうちの1つ以上の動作を制御することで、印刷装置1における印刷処理及び印刷中止処理の実行を制御する。
【0036】
制御部100による上述した制御(つまり、印刷処理や印刷中止処理)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部120に記憶させたプログラムを実行することにより行われる。制御部100は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含んでもよい。
【0037】
記憶部120は、制御部100としてのプロセッサが実行する各種プログラム、プログラムを実行する際に利用する各種データ等を記憶する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)121、及びROM(Read Only Memory)122を含む。
【0038】
センサ180は、例えば、テープアダプタ11が装着されているか否かを検出し、また、装着されているテープアダプタ11から供給されるテープ13の幅を検出する。通信部190は、情報処理装置1000との通信を行う通信インタフェースである。
【0039】
以上のように構成された印刷装置1は、例えば、情報処理装置1000からラベルイメージを含む印刷指示を受信すると、テープ13にラベルイメージを印刷する印刷処理を行い、ラベルを作成する。また、印刷装置1は、例えば、印刷処理を実行中に情報処理装置1000からラベルイメージを含む印刷中止指示を受信すると、印刷処理を強制的に中止するとともに、印刷中止によって生じる不都合を解消するための後処理を実行する。なお、以降では、印刷処理を強制的に中止する処理と、その後の後処理と、をまとめて印刷中止処理と記す。
【0040】
図5は、一実施形態に係る情報処理装置1000のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。情報処理装置1000は、特に限定しないが、例えば、
図5に示すように、プロセッサ1001と、メモリ1002と、入力インタフェース1003と、出力インタフェース1004と、通信インタフェース1005を含み、これらがバスを介して接続されていてもよい。プロセッサ1001がメモリ1002に記憶されたプログラムを実行することで、情報処理装置1000から印刷装置1へ印刷指示や印刷中止指示が送信される。
【0041】
図6は、従来の印刷装置における印刷開始から印刷中止までの被印刷媒体の状態を示した図である。
図7は、従来の印刷装置における印刷中止後から再印刷終了までの被印刷媒体の状態を示した図である。
図8は、一実施形態に係る印刷装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
図9は、一実施形態に係る印刷装置における印刷開始から印刷中止までの被印刷媒体の状態を示した図である。
図10は、一実施形態に係る印刷装置における印刷中止後から再印刷終了までの被印刷媒体の状態を示した図である。以下、
図6から
図10を参照しながら、印刷中止指示に応じて本実施形態に係る印刷装置1で行われる印刷中止処理について、従来の印刷装置で行われる処理との違いに注目して具体的に説明する。
【0042】
まず、
図6及び
図7を参照しながら、印刷中止指示に応じて従来の印刷装置1で行われる処理について説明する。
【0043】
印刷開始前においては、
図6(a)に示すように、テープ13の先端は、カット位置Cに位置している。例えば、“ABC”の印刷を指示内容とする印刷指示が従来の印刷装置に入力されると、従来の印刷装置では、印刷処理が開始され、搬送部によるテープ13の搬送と印刷部によるテープ13に対する印刷が行われる。その後、利用者が印刷すべき文字列が“ABC”ではなく“abc”であったことに気づいて、例えば、“B”まで印刷したタイミングで印刷中止指示を従来の印刷装置に入力すると、従来の印刷装置は、即座に実行中の印刷処理を強制的に中止する。つまり、搬送部によるテープ13の搬送と印刷部によるテープ13に対する印刷を中止する。その結果、
図6(b)に示すように、印刷装置内において、印刷位置Pの下流に“AB”が印刷されたテープ13が残存した状態が生じてしまう。
【0044】
この状態で、利用者が改めて“abc”の印刷を指示内容とする2回目の印刷指示を従来の印刷装置に入力すると、従来の印刷装置では、
図7(a)に示すように、中止した印刷処理により印刷された“B”の直後から新たな印刷が行われる。その結果、印刷終了時には、
図7(b)に示すように、中止した印刷処理によって途中まで印刷された内容“AB”と2回目の印刷指示に従って印刷された内容“abc”の両方が印刷されたラベルが作成されてしまう。
【0045】
このような不都合を回避するためには、従来の印刷装置においては、印刷中止後に、利用者自身が、印刷装置内からテープ13の印刷済みの部分を取り除く作業を別途行わなければならず、利用者の負担となっていた。
【0046】
次に、
図8から
図10に参照しながら、印刷中止指示に応じて本実施形態の印刷装置1で行われる印刷中止処理について説明する。印刷装置1では、上述した従来の印刷装置において生じる不都合と利用者への負担を回避するため、印刷中止指示が入力されると、制御部100が
図8に示す印刷中止処理を実行する。なお、以下では、
図6及び
図7と同様に、“ABC”の印刷を指示内容とする印刷指示が入力された後に、“B”まで印刷したタイミングで印刷中止指示が入力され、その後、“abc”の印刷を指示内容とする印刷指示が入力された場合を例に説明する。
【0047】
利用者が、印刷の中止に対応する所定の操作、例えば、情報処理装置1000に対して印刷指示を取り消す操作を行うと、情報処理装置1000から印刷装置1へ印刷中止指示が入力され、
図8に示す処理が開始される。
【0048】
制御部100は、まず、印刷処理を強制的に中止する(ステップS1)。つまり、搬送部150によるテープ13の搬送と印刷部160によるテープ13に対する印刷を中止する。これにより、
図9(a)に示す状態から開始された印刷が中止され、
図9(b)に示すように、印刷装置1内において、印刷位置Pの下流側にテープ13の印刷済みの領域(“AB”が印刷された部分)が残った状態が生じる。なお、ステップS1の処理は、従来の印刷装置が行う処理と同様である。
【0049】
印刷処理を強制的に中止すると、その後、制御部100は、割り込み処理を禁止する(ステップS2)。割り込み処理は、少なくとも
図8に示す印刷中止処理が終了するまで禁止されればよい。制御部100は、例えば、
図8に示す印刷中止処理の終了を検出した後に、割り込み処理の禁止を解除してよい。また、制御部100は、例えば、予め決められた時間の経過を待って、割り込み処理の禁止を解除してよい。
【0050】
割り込み処理を禁止すると、制御部100は、搬送部150を制御して搬送処理を実行する(ステップS3)。ここでは、制御部100は、テープ13の印刷済みの領域(“AB”が印刷された部分)をサーマルヘッド7aからカッター8aへ向かう搬送方向へ搬送するように、搬送部150(プラテンローラ6)を制御する。より具体的には、制御部100は、印刷済みの領域をカッター8aよりも搬送方向の下流まで搬送するように、搬送部150(プラテンローラ6)を制御する。その結果、
図9(c)に示すように、テープ13の“AB”が印刷された部分がカット位置Cの下流に位置する。
【0051】
なお、ステップS3では、制御部100は、前記印刷の中止に対応する所定の操作に応じて、少なくとも、サーマルヘッド7aとカッター8aの間の距離だけ搬送方向へテープ13を搬送するように、搬送部150を制御すればよい。これにより印刷済みの領域がカッター8aよりも下流に移動することになるからである。
【0052】
搬送処理が終了すると、制御部100は、切断部170を制御して切断処理を実行する(ステップS4)。ここでは、制御部100は、搬送部150によるステップS3の搬送後にテープ13を切断するように、カッター8aを制御する。その結果、
図9(d)に示すように、中止した印刷処理によって印刷された部分がテープ13から切り離されて、印刷装置1外へ排出され、
図8に示す印刷中止処理が終了する。
【0053】
これにより、印刷処理が途中で中止された場合であっても、印刷装置1内のテープ13は、印刷処理が最後まで正常に行われた場合と同様の状態となる。従って、利用者が改めて“abc”の印刷を指示内容とする2回目の印刷指示を印刷装置1に入力すると、印刷装置1では、
図10(a)に示すように、新たな印刷が行われ、印刷終了時には、
図10(b)に示すように、指示した印刷内容である“abc”のみが印刷されたラベルを作成することができる。
【0054】
このように、印刷装置1によれば、印刷中止後に、印刷中止前に印刷された部分を印刷装置1から取り除く作業を利用者自身が行う必要がなく、印刷中止後に利用者が行うべき作業の負担を軽減することができる。また、印刷中止後に、テープ13からの不要な部分の切断が自動的に行われるため、利用者自身が行う場合とは異なり、作業漏れが生じず確実に不要な部分を取り除くことができる。さらに、割り込み処理を禁止することで、印刷中止処理が途中で終了することを防止して印刷中止処理を確実に実行させることができる。
【0055】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。印刷装置、印刷装置の動作方法、及びプログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0056】
図11は、一実施形態に係る印刷装置の動作方法の別の例を示すフローチャートである。上述した実施形態では、印刷装置1が
図8に示す印刷中止処理を行う例を示したが、印刷装置1が行う印刷中止処理は、この例に限らない。例えば、
図11に示す印刷中止処理が行われてもよい。なお、
図11に示す印刷中止処理は、制御部100が搬送処理後に切断処理を行わない点が、
図9に示す印刷中止処理とは異なっている。その他の点は同様であり、ステップS11からステップS13の処理は、
図9のステップS1からステップS3の処理と同様である。
【0057】
印刷装置1が
図11に示す印刷中止処理を行う場合には、印刷中止後に、利用者がカッター8aを操作して、カッター8aでテープ13を切断するだけで、テープ13から不要な部分を取り除くことができる。従って、印刷中止後に利用者が行うべき作業の負担を軽減することができる。また、印刷装置1が
図11に示す印刷中止処理を行うことで、印刷装置1には必ずしも電動カッターは必要ない。従って、印刷装置1が利用者によってレバーなどを操作することで動作する手動カッターのみを有する場合にも適用可能である。
【0058】
また、上述した実施形態では、印刷中止指示が入力されると、割り込み処理を禁止する例を示したが、割り込み処理は禁止される代わりに制限されてもよい。予め決められた割り込み処理のみ割り込みを受け付けないように、割り込み処理を制限してもよい。例えば、印刷中止処理の途中で電源が強制的に落とされると印刷中止処理が途中で中断されてしまい望ましくない。このため、制御部100は、印刷中止処理中は電源をOFFにする割り込み処理を受け付けないように、割り込み処理を制限してもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、情報処理装置1000が印刷指示や印刷中止指示を印刷装置1へ送信する例を示したが、印刷装置1は印刷装置1のキーボード3などを用いて入力された印刷指示や印刷中止指示に従って動作してもよい。例えば、印刷装置1の制御部100は、印刷装置1のキーボード3を用いて入力された印刷指示に応じて印刷処理を行ってもよく、その印刷処理中に利用者が印刷装置1に対して行う印刷の中止に対応する所定の操作(例えば、印刷装置1の電源ボタンを押下する操作)に応じて、搬送部150や切断部170を制御して印刷中止処理を行ってもよい。また、印刷指示と印刷中止指示は別の装置から入力されてもよく、例えば、印刷指示と印刷中止指示の一方は情報処理装置1000から入力され、他方は印刷装置1から入力されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 印刷装置
6 プラテンローラ
7a サーマルヘッド
8a カッター
13 テープ
100 制御部
150 搬送部
160 印刷部
170 切断部
1000、1000a~1000c 情報処理装置
C カット位置
P 印刷位置