(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115576
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】弾性フォーム緩衝ブロック
(51)【国際特許分類】
E01F 15/14 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
E01F15/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021256
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】592123358
【氏名又は名称】株式会社ウエノシステック
(74)【代理人】
【識別番号】100117145
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 純
(72)【発明者】
【氏名】上野 寛太
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA04
2D101DA05
2D101FA02
2D101FA06
2D101GA15
2D101GA16
2D101GA17
(57)【要約】
【目的】 本発明は、製造工場において弾性フォームの加工のみを行い、施工現場において緩衝ブロックへの加重を行うことにより、工場出荷から施工現場までの輸送や積み下ろしを容易にすることを目的とする。
【構成】 本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックは、弾性フォームで形成された複数の板状体が積層されて形成され、前記各板状体の底面は平坦に形成され、前記板状体の平面には凹凸形状を設けることにより空間が形成されており、当該凹凸形状の突出部の上端が板状体の積層された板状体の底面に当接するように位置決めされ、凹部によって形成される空間は連接されて形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体からなる弾性フォーム緩衝ブロックにおいて、当該立体が弾性フォームで形成された複数の板状体が積層されて形成されており、前記各板状体の底面は平坦に形成され、前記板状体の平面には凹凸形状を設けることにより空間が形成されており、当該凹凸形状の突出部の上端が板状体の積層された板状体の底面に当接するように位置決めされており、凹部によって形成される空間は連接されて形成されており、前記立体の底面は積層された板状体による複数の側面によって形成され、前記板状体の平面に他の板状体の底面が積層され、少なくとも二以上の板状体が積層された状態で、当該板状体の平面に他の板状体の平面が反転して向合して積層され、更に反転されて積層された板状体の底面に他の板状体の平面が積層され、少なくとも二以上の板状体が積層された構造を有することを特徴とする弾性フォーム緩衝ブロック。
【請求項2】
前記板状体の平面には枠が形成され、かつ当該枠内に凹凸形状を設けることにより空間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載された弾性フォーム緩衝ブロック。
【請求項3】
前記立体の底面、平面、右側面及び左側面は、凹凸形状のない板状体によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載された弾性フォーム緩衝ブロック。
【請求項4】
前記空間に有体物によって形成された流動体が充填されていることを特徴とする請求項2又は3に記載された弾性フォーム緩衝ブロック。
【請求項5】
前記凹凸形状の突出部が立方体によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載された弾性フォーム緩衝ブロック。
【請求項6】
前記立体の側面に一箇所以上の開口部が穿設され、当該開口部が前記凹部によって形成された空間に連接しており、前記開口部が積層された弾性フォーム緩衝ブロックの上方に形成されていることを特徴とする請求項2に記載された弾性フォーム緩衝ブロック。
【請求項7】
前記凹部によって形成された空間が板状体の平面における体積全体に対して50~90%で形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載された弾性フォーム緩衝ブロック。
【請求項8】
前記立体を形成するために積層された板状体における最外側の板状体内の空間には前記流体が充填されていないことを特徴とする請求項2に記載された弾性フォーム緩衝ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物や道路といった構造物や橋梁を防護するために構造物等の表面に施工される緩衝ブロックに関する。特に弾性フォームを主体に構成され、構造物に金具等で固定することなく施工される緩衝ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、構造物を防護するための緩衝ブロックが知られている。例えば、野球場等の場外フェンス等は、緩衝ブロックによって保護され、フェンス自体とプレーヤーを保護している。また自動車道路の分岐点には、道路を左右に分岐する柵やブロックのような構造物が施工され、構造物と自動車の衝突による破損から保護している。また、自動車道路の島状の料金所は、U字形状の緩衝ブロックによって防護されている。更に自動車道路の側面、特にカーブする箇所には、自動車の飛び出しを防ぐ壁状の緩衝ブロックが施工されている。
これらの緩衝ブロックは、特に接触面は弾性フォームによって形成されている。かかる弾性フォームは、発泡スチロール樹脂、発泡ポリウレタン樹脂や発泡ポリプロピレン樹脂等によって形成されている。当該弾性フォームはコンクリートや金属によって形成される構造物に比較すると軽量である。そのため従来の弾性フォームのみによって形成された緩衝ブロックは、構造物と自動車の衝突等による衝撃によって、容易に構造物から剥離してしまうという問題が指摘されていた。また緩衝ブロックは主に屋外に設置されることが多く、時に風速20m/s以上の暴風に曝されるため、緩衝ブロックのみの自重では位置を保持することができなかった。
そのため従来、弾性フォームをコンクリートやセメント複合体で積層することによって対応することが検討されていた(特許文献1を参照)。また他の固定方法としては、弾性フォームを止め金具等を使用して構造物や橋梁等に直接固定することによって、構造物等からの剥離脱着の問題を解決していた。
【0003】
ここで特許文献1に開示された緩衝ブロックは、製造工場から施工現場までの輸送において、トラックへの積み下ろし作業時に、緩衝ブロックを移動させるクレーンが必要であった。また緩衝ブロックを構造物等の接合面に面一で合わせる工程が困難であり、クレーン操作に相当な熟練と施工時間が必要であった。
また従来の緩衝ブロックは、製造工場において型枠などに材料を流し込むことによって製造されていた。例えば、特許文献1に開示された緩衝ブロックの製造には、弾性フォーム用の型枠とコンクリートブロック等の型枠が必要であり、各型枠で製造された弾性フォームとブロックとを接着することによって製造することが必要とされた。
そのため、施工現場を測量した後に緩衝ブロックの設計及び製造に数ヶ月間を要することになる。加えて、緩衝ブロックの製造工程の間に、施工現場の環境状況が変わることも危惧された。例えば、測量時には自動車道路の分岐点にガードレールのみが施工されていたが、緩衝ブロックの製造工程の間に、ガードレールに反射板が追加されたり、ガードレールの下部が新たにコンクリートで補強されるようなことも散見された。このような場合、製造された緩衝ブロックを施工現場に輸送した後に構造物等の表面形状と緩衝ブロックの接合面の形状に齟齬が生じることがあった。このような場合、特許文献1に開示された発明では、接合面の形状があわないことから、緩衝ブロックを製造工場に持ち帰り、接合面を再加工するか、新しい型枠を製造した後に緩衝ブロックを数ヶ月かけて製造しなおすこともあった。このような場合、製造コストや納期が当初より増加する問題点も指摘されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平5-33321号公報
【特許文献2】特許3081580号公報
【特許文献3】実開昭63-108730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特別な固定構造や固定方法を採用することなく、主として弾性フォームによって形成された緩衝ブロックの自重のみによって、構造物等への固定施工を可能とすることを目的とする。
また本発明は、製造工場において弾性フォームの加工のみを行い、施工現場において緩衝ブロックへの加重を行うことにより、工場出荷から施工現場までの輸送や積み下ろしを容易にすることを目的とする。
また施工時における構造物や橋梁の表面形状に対応するように容易に緩衝ブロックの接合面の加工を可能にすることを目的とする。
さらに衝撃により緩衝ブロックが破損した場合、緩衝ブロックの内容物である流動体の流出を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、以下の構成を採用した。
(1)立体からなる弾性フォーム緩衝ブロックにおいて、当該立体が弾性フォームで形成された複数の板状体が積層されて形成されており、前記各板状体の底面は平坦に形成され、前記板状体の平面には凹凸形状を設けることにより空間が形成されており、当該凹凸形状の突出部の上端が板状体の積層された板状体の底面に当接するように位置決めされており、凹部によって形成される空間は連接されて形成されており、前記立体の底面は積層された板状体による複数の側面によって形成され、前記板状体の平面に他の板状体の底面が積層され、少なくとも二以上の板状体が積層された状態で、当該板状体の平面に他の板状体の平面が反転して向合して積層され、更に反転されて積層された板状体の底面に他の板状体の平面が積層され、少なくとも二以上の板状体が積層された構造を有することを特徴とする弾性フォーム緩衝ブロックである。
【0007】
ここで本発明に係る弾性フォームの材料としては、発泡スチロール等によって形成される。そして弾性フォームとしては、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンとポリオレフィンの複合発泡体等を基材とした複合体を用いることができる。なお構造物に衝突したときの衝撃を緩和するものであれば、上記の材料以外の軟質発泡樹脂材料を用いても良い。
【0008】
また弾性フォームを二重構造とし、表面側の材料として前記軟質樹脂層における発泡樹脂よりも硬い半硬質または硬質樹脂材料から形成された硬質樹脂層で被覆しても良い。硬質樹脂層は、ポリウレタン樹脂またはポリウレア樹脂によって形成されるのが好ましい。その他、複数のプラスチック樹脂からなる複合体等も耐候性、耐水性を有する材料については使用することができるし、他の材料であっても上記軟質発泡樹脂材料より硬質なものであれば、何れの材料を用いても良い。
中でもポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂は、繰り返し衝撃に対しても割れたりすることがなく、同時に、適度の硬さと柔軟性を有するとともに、耐候性、耐水性及び速乾性を有するので好ましい。ここでポリウレタン樹脂としては、ポリウレタンエラストマー等が挙げられる。またポリウレア樹脂は、イソシアネートとアミノ基の化学反応によって形成されたウレア結合が主体となった化合物であり、硬化時間がきわめて短く、無溶剤、無触媒により環境性に優れるとともに、耐酸、耐アルカリ性等の耐薬品性や耐久性にも優れている。
これらのポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂を使用すれば、高伸び率の硬質樹脂材料を得ることができるため、スプレーガン等により軟質発砲樹脂層の全表面に被膜を均一に施工することも可能である。
【0009】
本発明に係る緩衝ブロックは、表面が完全に弾性フォームのみによって形成されるため軽量である。そのため製造工場から施工現場までの輸送にクレーンは不要であり、完全に人手だけで、緩衝ブロックと構築物等の位置合わせや施工を完了させることができる。
また製造された緩衝ブロックを施工現場に輸送した後に構造物等の表面形状と緩衝ブロックの接合面の形状に齟齬が発生した場合、施工現場でカッター工具によって緩衝ブロック側の接合面を容易に加工することが可能である。そのため本発明に係る緩衝ブロックを採用することによって、従来のように不慮の事態に対して、緩衝ブロックを製造工場に持ち帰って再加工する必要はなくなるため、結果的に製造コストを低廉化し、納期を短縮することができる。
【0010】
(2)前記板状体の平面には枠が形成され、かつ当該枠内に凹凸形状を設けることにより空間が形成されていることを特徴とする上記(1)に記載された弾性フォーム緩衝ブロックである。
板状体の平面を枠で囲うことによって、積層された板状体内における流動体の流出を防ぐことができる。
(3)前記立体の底面、平面、右側面及び左側面は、凹凸形状のない板状体によって被覆されていることを特徴とする上記(1)に記載された弾性フォーム緩衝ブロックである。
板状体の積層構造が表面に表れる立体の平面及び底面と、凹部断面が表面に表れる左右側面を板状体によって全面を被覆することによって、積層された板状体内における流動体の流出を防ぐことができる。
(4)前記空間に有体物によって形成された流動体が充填されていることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載された弾性フォーム緩衝ブロックである。
本発明に使用される流動体は、弾性フォームの重量に比較してより重量の重い砂や水等の有体物である。 ここで弾性フォームの重量は、材料や発泡倍率によって変化するが、一般的には1m3当たり11~30kgである。弾性フォームの重量と水の重量を比較すると、水1000リットル(=1m3)で換算した場合、1000kg(1t)となる。弾性フォームの重量と砂の重量を比較すると、砂1000リットルで換算した場合、1500kg(1.5t)である。
【0011】
このように本発明に係る緩衝ブロックの空間に流動体を充填することによって、特別な固定構造や固定方法を採用することなく、弾性フォームによって形成された緩衝ブロックの自重のみによって、構造物等への固定施工が可能である。 そのため流動体が充填された本発明に係る緩衝ブロックは、構造物と自動車の衝突等による衝撃によって、構造物から容易に剥離することはない。また屋外設置された緩衝ブロックが暴風に曝された場合も、緩衝ブロックの自重によって固定位置を保持することが可能である。そのため従来、緩衝ブロックを構造物等に固定するのみ使用されていた止め金具等を使用することなく、緩衝ブロックの構造物等への固定施工が可能となる。
【0012】
(5)前記凹凸形状の突出部が立方体によって形成されていることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載された弾性フォーム緩衝ブロックである。
(6)前記立体の側面に一箇所以上の開口部が穿設され、当該開口部が前記凹部によって形成された空間に連接しており、前記開口部が積層された弾性フォーム緩衝ブロックの上方に形成されていることを特徴とする上記(2)に記載された弾性フォーム緩衝ブロックである。
開口部を設けることによって、施工現場で緩衝ブロックに流動体を充填することができ、また流動体を充填した後に開口部を蓋等によって封止すれば良いため、施工が簡略化できる。
さらに開口部は、弾性フォーム緩衝ブロックの上方に形成されることが好ましい。上方に形成することによって、開口部から流体を充填した際に、流体が重力によって板状体の枠内の空間に隙間なく充填されるからである。
【0013】
(7)前記凹部によって形成された空間が板状体の平面における体積全体に対して50~90%で形成されていることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載された弾性フォーム緩衝ブロックである。
凹部によって形成された空間とは、枠内又は被覆された密閉空間内における体積全体から突出部の体積を除した空間のことである。ここで本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックの空間が90%を超えると、複数の板状体を突出部によって支持する力が脆弱になるため、各板状体によって発生するクッション性及び耐性が共に劣化する。一方、弾性フォーム緩衝ブロックの空間が50%未満である場合は、流動体の充填を円滑に行うことができず、また施工された弾性フォーム緩衝ブロックが軽量化するため構造物等への固定施工の点で劣化する危険があることが危惧される。
【0014】
(8)前記立体を形成するために積層された板状体における最外側の板状体内の空間には前記流体が充填されていないことを特徴とする上記(2)に記載された弾性フォーム緩衝ブロックである。
本発明は、このような構成を採用することによって、衝撃により緩衝ブロックが破損しても、緩衝ブロックの外側の板状体内には流動体が存在しないことから、衝撃によって緩衝ブロックの表面に亀裂が発生した場合でも内容物である流動体が流出することはない。
また本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックは、前記立体の少なくとも外気に触れる表面を、樹脂又はシートによって被覆しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明による弾性フォーム緩衝ブロックを採用することによって、特別な固定構造や固定方法を採用することなく、自重のみによって構造物等への固定施工を可能とする優れた効果を奏する。
また本発明の構成を採用することによって、製造工場において弾性フォームの加工のみを行い、施工現場において緩衝ブロックへの加重を行うことによって、工場出荷から施工現場までの輸送や積み下ろし及び施工を容易にするという効果を奏する。
また本発明の構成を採用することによって、測量から製造までの間に変化した構造物や橋梁の表面形状に対応するように容易に緩衝ブロックの接合面の加工を可能にすることができ、製造コストを低廉し、納期を大幅に短縮できる。
更に本発明の構成を採用することによって、衝撃により緩衝ブロックが破損しても、緩衝ブロックの内容物である流動体の流出を防止できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックに使用される板状体についての実施態様の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態2に係る弾性フォーム緩衝ブロックの積層構造を説明するための斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態3に係る弾性フォーム緩衝ブロックにおいて、流動体を充填し、構造物に施工された状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態3に係る弾性フォーム緩衝ブロックの施工状態の一例を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックの施工状態の他の実施形態4に示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態5に係る弾性フォーム緩衝ブロックの施工工程を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る実施形態の一例を図面に則して説明する。以下に示す弾性フォーム緩衝ブロックは、あくまで本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
実施形態1
図1は、本発明に使用される板状体7を示す斜視図である。当該板状体7を複数積層することによって、本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックが形成される。
板状体7の底面1は平坦に形成されている。板状体7の平面には枠2が形成され、かつ当該枠内は
図1に示す如く凹凸形状を設けることにより空間Sが形成されている。
本実施形態1に係る板状体7における凹凸形状の突出部3は、立方体によって形成されている。また前記凹凸形状の突出部の上端3は、板状体7の枠2の水平面上に面一に位置決めされて形成されている。特に板状体7の凹部における空間Sは、
図1に示す如く連接されて形成されている点に特徴を有する。ここで本実施形態1における空間Sは、板状体7の枠2内の体積全体に対して25%になるように形成されている。
本実施形態1に係る板状体7の空間Sには砂が充填される。砂は、前記板状体7の側面に穿設された一箇所の開口部5から充填される。砂は、開口部5からの充填によって、
図1に矢印で示したように移動し、板状体7の空間Sの全てを満たすように充填される。砂の充填は複数の板状体7を、
図3のような状態に積層し、弾性フォーム緩衝ブロックの上方に形成された開口部5より充填していくことが好ましい。
【0018】
ここで本実施形態1に係る板状体7は、軟質発泡樹脂材料を使用して形成されている。軟質発泡樹脂材料としては、ウレタンフォームやウレタンフォームを基材とした複合体を用いることができる。例えば、エーテル系またはエステル系ウレタンフォーム、ポリオールとポリイソシアネートを主成分として発泡剤、製泡剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化してから発泡させたものが挙げられる。これらの連続気泡発泡体が好ましい。この軟質発泡樹脂材料によって形成される軟質発泡樹脂層は、柔軟性に優れている必要があり、硬度(JIS-K6401)5~50kgf/314cm2とするのが好ましい。勿論、構造物に衝突したときの衝撃を緩和するものであれば、上記の材料以外の軟質発泡樹脂材料を用いても良い。例えば、プラスチック樹脂発泡体、プラスチック樹脂板、木質ボード、二種以上のプラスチック樹脂板やプラスチック繊維、ウレタンフォームと木質ボードを積層した複合体等であっても衝撃吸収性を有するものであれば、何れの材料を用いても良い。
【0019】
実施形態2
図2は、本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックの積層構造を説明するための斜視図である。
図2に示す如く、立体の側面は前記板状体10による平坦な底面21によって形成され、前記板状体10の平面上に他の板状体11の底面12が積層され、その上に更に他の板状体14が積層された状態で、更に板状体14の平面に他の板状体15の底面が反転して他の板上体16の平面が密着積層され、更に反転されて積層された板状体16の底面に他の板状体17の平面が積層される。
【0020】
実施形態3
図3は、本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックにおいて、流動体を充填し、構造物に施工された状態を示す断面図である。
図3に示す如く、立体からなる弾性フォーム緩衝ブロック30において、前記立体の底面は板状体20,21,24,25,26,27による複数の側面によって形成されている。
前記板状体20の平面に他の板状体21の底面が積層され、更に板状体21の平面に他の板状体24の底面が積層されている。そして当該板状体24の平面に他の板状体25の平面が反転して積層され、更に反転されて積層された板状体25の底面に他の板状体26の平面が積層され、更に板状体26の平面に他の板状体27の平面が積層されている。
本実施形態3に係る弾性フォーム緩衝ブロック30は、
図3に示す如く、板状体21の空間と、板状体24の空間と、板状体25の空間と、板状体26の空間と、板状体27の空間には砂が充填される。砂は、前記板状体20の側面に穿設された図示しない6箇所の開口部から充填されている。本実施形態3に係る弾性フォーム緩衝ブロック30は、
図3に示す如く、板状体20の凹部における空間Sに砂が充填されていない点も特徴である。
このような弾性フォーム緩衝ブロック30の板状体27の底面は、保護すべき構造物Aの表面に密着している。このような構成を採用することによって、特別な固定構造や固定方法を採用することなく、弾性フォーム緩衝ブロック30の自重のみによって構造物Aへの固定施工が可能となる。
【0021】
本実施形態3に係る弾性フォーム緩衝ブロック30の施工状態の一例を示す斜視図である。
図4に示す如く、本実施形態3に係る弾性フォーム緩衝ブロック30の平面には、砂を充填するための、開口部45が複数穿設されている。開口部45は、一体の板状体の側面6箇所に穿設されている。上述した如く、板状体20の空間以外は全て砂が充填されている。また前記開口部45は、板状体と同質の弾性体によって形成された蓋によって封止されている。開口部45は、ビニールテープ等を貼付することによって封止しても良い。
本実施形態3において、砂の充填は施工現場において行われる。すなわち、製造工場において弾性フォーム緩衝ブロック30の製造を行い、施工現場において緩衝ブロックへの施工及び砂の充填による加重を行うことによって、工場出荷から施工現場までの輸送や積み下ろし及び施工を容易にすることができる。
また構造物Aを弾性フォーム緩衝ブロック30で保護することによって、特別な固定構造や固定方法を採用することなく、ブロック30内の砂による自重のみによって構造物Aへの固定施工が可能となる。
さらに本実施態様3に係る弾性フォーム緩衝ブロック30の構成を採用することによって、矢印方向からの衝撃による応力を各板状体の突出部によって分散して受けるため、構造物Aを保護することが可能である。また本実施形態3に係る弾性フォーム緩衝ブロック30は、
図3に示す如く、板状体20の凹部における空間Sに砂が充填されていない。そのため緩衝ブロック30の表面に亀裂が発生した場合でも内容物である砂が流出することはない。
【0022】
実施形態4
本実施形態4に係る弾性フォーム緩衝ブロック50の施工状態の一例を示す斜視図である。
図5に示す如く、本実施形態4に係る弾性フォーム緩衝ブロック50の平面には、砂を充填するための、開口部55が複数穿設されている。開口部55は、各板状体の側面1箇所に穿設されている。上述した如く、板状体51の空間以外は全て砂が充填されている。また前記開口部55は、板状体と同質の弾性体によって形成された図示しない蓋によって封止される。開口部55は、ビニールテープ等を貼付することによって封止しても良い。
本実施形態4において、砂の充填は施工現場において行われる。すなわち、製造工場において弾性フォーム緩衝ブロック50の製造を行い、施工現場において緩衝ブロックへの施工及び砂の充填による加重を行うことによって、工場出荷から施工現場までの輸送や積み下ろし及び施工を容易にすることができる。
【0023】
また本実施態様4に係る弾性フォーム緩衝ブロック50の構成を採用することによって、矢印方向からの衝撃による応力を各板状体の突出部によって分散して受けるため、構造物Aを保護することが可能である。また本実施形態4に係る弾性フォーム緩衝ブロック50は、
図4に示す如く、板状体51の凹部における空間に砂が充填されていない。そのため緩衝ブロック50の表面に亀裂が発生した場合でも内容物である砂が流出することはない。
さらに一般的に緩衝ブロックは、事前に施工現場を測量した後に緩衝ブロックの設計及び製造に数ヶ月間を要する。仮に、測量から緩衝ブロックの製造工程の間に、施工現場の環境状況に変化が生じた場合、緩衝ブロックを製造工場に持ち帰り、接合面を再加工するか、新しい型枠を製造した後に緩衝ブロックを数ヶ月かけて製造しなおす必要があった。
しかし本実施形態4に係る弾性フォーム緩衝ブロック50の接合面は発泡スチロール等によって形成されているため、スチロールカッター等によって、容易に緩衝ブロックの接合面の加工を可能にすることができる。そのため、施工現場で測量から製造までの間に変化した構造物や橋梁の表面形状に対応することが可能になる。
従って、本実施態様4に係る弾性フォーム緩衝ブロック50の構成を採用することにより、緩衝ブロックの製造コストを低廉し、納期を大幅に短縮することができる。
【0024】
実施形態5
図6は、本発明に係る弾性フォーム緩衝ブロックにおいて、施工工程を示す斜視図である。
図6に示す如く、立体からなる弾性フォーム緩衝ブロック60において、前記立体の正面及び背面は板状体61,62,63,64,65,66による複数の凹部による開口部が表出していない側面によって形成されている。
板状体61の底面は平坦に形成されている。板状体61の平面には
図6に示す如く突出部83を設けることにより空間Sが形成されている。
本実施形態5に係る板状体61における凹凸形状の突出部83は、立方体によって形成されている。また前記凹凸形状の突出部83の上端は、板状体62の底面を接触する水平面上に面一に位置決めされて形成されている。特に板状体61の凹部における空間Sは、
図6に示す如く連接されて形成されている点に特徴を有する。ここで本実施形態5における空間Sは、板状体61の体積全体に対して30%になるように形成されている。
前記板状体61の平面に他の板状体62の底面が積層され、更に板状体62の平面に他の板状体63の底面が積層されている。そして当該板状体63の平面に他の板状体64の平面が反転して向合するように積層され、更に反転して積層された板状体64の底面に他の板状体65の平面が積層され、更に板状体65の底面に他の板状体66の平面が積層されている。
【0025】
本実施形態5に係る弾性フォーム緩衝ブロック60は、板状体61,62,63,64,65,66の空間に砂が充填されることになる。砂は、前記立体の右側面又は左側面における凹部によって形成される開口部より充填される。
そして本実施形態5における弾性フォーム緩衝ブロック60は、立体の底面が凹凸形状のない板状体70によって、立体の平面が凹凸形状のない板状体71によって、立体の左側面が凹凸形状のない板状体72によって、立体の右側面が凹凸形状のない板状体73によって被覆されていることを特徴とする。
このような構成を採用することによって、板状体61,62,63,64,65,66の積層断面が表面に表れる立体の平面及び底面を凹凸形状のない板状体70,71で被覆し、更に凹部断面が開口部として表面に表れる左右側面を凹凸形状のない板状体72,73で被覆することによって、立体内に充填された砂の流出を防ぐことができる。
このような弾性フォーム緩衝ブロック60を保護すべき構造物の表面に密着させることによって、特別な固定構造や固定方法を採用することなく、弾性フォーム緩衝ブロック60の自重のみによって構造物への固定施工が可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1,21 底面
2 枠
3,83 突出部
5,45,55 開口部
10,11,14,15,16,17,20,21,24,25,26,27,51,61,62,63,64,65,66 板状体
70,71,72,73 凹凸形状のない板状体
S 空間
30,50,60 弾性フォーム緩衝ブロック
A 構造物
B 環境状況の変更