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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115579
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 19/78 20060101AFI20240820BHJP
   B41J 19/96 20060101ALI20240820BHJP
   A45D 29/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B41J19/78 E
B41J19/96 A
A45D29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021259
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 雅弘
【テーマコード(参考)】
2C480
【Fターム(参考)】
2C480CA02
2C480CB02
2C480CB10
2C480DA01
(57)【要約】
【課題】印刷品位の低下を防止する。
【解決手段】印刷装置1が、水平面上の第1方向(X方向)に延在し印刷ヘッド41を搭載するキャリッジ43を、キャリッジ43における長手方向の一端側に設けられた第1の歯付ベルトであるY駆動タイミングベルト465の駆動によって水平面上であって第1方向(X方向)とは異なる第2方向(Y方向)に移動させる第2方向駆動機構としてのY方向駆動機構460が、Y駆動タイミングベルト465の駆動をキャリッジ43における長手方向の他端側に伝達させる伝動機構47を備え、伝動機構47が、Y駆動タイミングベルト465によって回転動作する主動側歯付プーリ471、キャリッジ43における長手方向の他端側に設けられた従動側プーリ473、主動側歯付プーリ471と従動側プーリ473とに巻き掛けられた第2の歯付ベルト475、及び従動側プーリ473と噛み合うラックギア477を含んでいる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面上の第1方向に延在し印刷ヘッドを搭載するキャリッジを、前記キャリッジにおける長手方向の一端側に設けられた第1の歯付ベルトの駆動によって水平面上であって前記第1方向とは異なる第2方向に移動させる第2方向駆動機構が、前記第1の歯付ベルトの駆動を前記キャリッジにおける長手方向の他端側に伝達させる伝動機構を備え、
前記伝動機構が、前記第1の歯付ベルトによって回転動作する主動側歯付プーリ、前記キャリッジにおける長手方向の他端側に設けられた従動側プーリ、前記主動側歯付プーリと前記従動側プーリとに巻き掛けられた第2の歯付ベルト、及び前記従動側プーリと噛み合うラックギアを含んでいる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記主動側歯付プーリは、前記第1の歯付ベルトが巻き掛けられる第1の歯付プーリと同一ピッチ、同一円直径に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第2方向駆動機構は、少なくとも一部が前記キャリッジに対して装置高さ方向に重畳して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2方向駆動機構は、少なくとも一部が前記キャリッジの下方に重畳して配置されており、
前記主動側歯付プーリ及び前記従動側プーリは、前記キャリッジの下面に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1の歯付ベルトにテンションをかけるテンションローラを備え、前記テンションローラは前記キャリッジに取り付けられ、前記キャリッジの移動に伴って移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ラックギアは、前記第2方向駆動機構を収容する収容部に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
水平面上の第1方向に延在し印刷ヘッドを搭載するキャリッジを、前記キャリッジにおける第1方向の一端側に構成された駆動源により前記第1方向とは異なる第2方向に移動させる第1駆動機構と、
前記第1方向の他端側に設けられた第1伝動機構と、
前記第1駆動機構の駆動を前記第1伝動機構に伝動する第2伝動機構と、
前記第1伝動機構に伝動された回転力を直線の動きに変換する変換機構と、を備えている、
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等にネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリンタ)が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
こうした印刷装置では、印刷ヘッドを搭載するキャリッジ等を移動させながら印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-159727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような印刷装置では、キャリッジの重量が比較的重い。このため、キャリッジを移動させる駆動部の構成によってはキャリッジに搭載された印刷ヘッドを安定して移動させることが困難な場合があった。
印刷ヘッドの移動が安定しないと、印刷品位の低下を引き起こすおそれがある。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、印刷品位の低下を抑制する駆動機構を有する印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
水平面上の第1方向に延在し印刷ヘッドを搭載するキャリッジを、前記キャリッジにおける長手方向の一端側に設けられた第1の歯付ベルトの駆動によって水平面上であって前記第1方向とは異なる第2方向に移動させる第2方向駆動機構が、前記第1の歯付ベルトの駆動を前記キャリッジにおける長手方向の他端側に伝達させる伝動機構を備え、
前記伝動機構が、前記第1の歯付ベルトによって回転動作する主動側歯付プーリ、前記キャリッジにおける長手方向の他端側に設けられた従動側プーリ、前記主動側歯付プーリと前記従動側プーリとに巻き掛けられた第2の歯付ベルト、及び前記従動側プーリと噛み合うラックギアを含んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷品位の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における印刷装置を斜め上側から見た斜視図である。
図2図1に示す印刷装置から印刷ヘッドを搭載するキャリッジを取り外して内部の構造を示した斜視図である。
図3図1に示す印刷装置から装置基台を取り外した状態を示した斜視図である。
図4図3に示す状態からさらに印刷ヘッドを搭載するキャリッジを取り外してY方向駆動機構の要部を示した図である。
図5】本実施形態における印刷機構をY方向駆動機構の主動側が設けられている側を斜め下側から見た要部斜視図である。
図6】本実施形態における印刷機構を後方斜め下側から見た要部斜視図である。
図7】従来のY方向駆動機構を備える印刷装置を斜め上側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図7を参照しつつ、本発明に係る印刷装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置1が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する場合を例とするが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象としてもよい。
【0010】
図1は、本実施形態における印刷装置を斜め上側から見た斜視図である。図2は、図1に示す印刷装置から印刷ヘッドを搭載するキャリッジを取り外して内部の構造を示した斜視図である。また図3は、図1に示す印刷装置から装置基台を取り外した状態を示した斜視図であり、図4は、図3に示す状態からさらに印刷ヘッドを搭載するキャリッジを取り外してY方向駆動機構の要部を示した図である。
なお、本明細書においては、上下、左右及び前後それぞれの図1において示した向きを言うものとする。また、X方向、Y方向は各図において示した方向とする。
図1に示すように、X方向は装置左右方向である。本実施形態において、X方向を「第1方向」とする。またY方向は装置前後方向である。本実施形態において、Y方向を「第2方向」とする。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、装置基台10と、装置基台10に設けられた指配置部6、印刷機構4等を備えている。印刷機構4は、装置基台10上に組付けられた駆動機構(本実施形態では、特にY方向駆動機構460)、駆動機構(Y方向駆動機構460)によってY方向に移動可能に構成されたキャリッジ43等を含む。本実施形態において装置基台10は、第2方向駆動機構であるY方向駆動機構460を収容する収容部として機能する。
なお、図示を省略しているが、印刷装置1は、図1から図3に示す装置基台10及びその上に配置される装置各部を覆うように収容する筐体(外装ケース)を備えている。なお、筐体の具体的な形状・構成は特に限定されない。
【0012】
指配置部6は、本実施形態における印刷対象である爪を有する指(いずれも図示せず)を印刷に適した位置に保持するものである。
図1及び図2に示すように指配置部6は、装置基台10における装置前面側であって左右方向(X方向)のほぼ中央部に配置され、装置前面側に開口部61を有している。また指配置部6の内部には、指固定部材62が設けられている。指固定部材62は、開口部61から挿入された指を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。
【0013】
また、指配置部6の上面であって装置奥側(Y方向後側)は、開口した窓部63となっている。窓部63からは指配置部6内に挿入され、下側から指固定部材62によって支持された指の爪が露出するようになっている。
指が指配置部6に配置されることで、指の爪の表面が後述の印刷機構4による印刷を行うのに適した位置に位置決めされる。
【0014】
印刷機構4は、印刷対象である爪に印刷を施すための構成部である。
印刷機構4は、印刷ヘッド41を搭載するキャリッジ43と、印刷ヘッド41を移動させる駆動機構等を備えている。なお、図1及び図3において印刷ヘッド41を二点鎖線で示している。
本実施形態の印刷機構4は、駆動機構として、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向、第1方向)に移動させるX方向駆動機構450と、印刷ヘッド41を含むキャリッジ43を装置の前後方向(Y方向、第2方向)に移動させるY方向駆動機構460等を備えており、適宜印刷ヘッド41をXY方向に移動させて印刷を行うようになっている。
【0015】
本実施形態の印刷ヘッド41は、例えば印刷対象面(爪表面)に対向する面が、インクを吐出させるインク吐出面(図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象である爪T等の表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクを貯留するインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等、ネイルデザイン(以下単に「デザイン」ともいう)の印刷を行うためのインク(デザイン印刷用のカラーインク)を吐出可能となっている。なお、印刷装置1に設けられる印刷ヘッド41の種類や数は特に限定はされない。例えば上記のようなカラーインクを吐出する印刷ヘッドの他に、デザインを印刷する前に白色等の液剤を印刷する下地用の印刷ヘッド等を備えていてもよい。
【0016】
印刷ヘッド41は、例えばヘッドホルダ42に取り付けられた状態でキャリッジ43に搭載されている。
印刷ヘッド41は、ヘッドホルダ42から着脱可能となっており、適宜ユーザが交換等できるように構成されている。
図1等に示すようにキャリッジ43は、水平面上の第1方向(X方向)に延在している。キャリッジ43の内部の一端側にはX方向駆動機構450を構成するX方向駆動モータ45によって回転する主動側プーリ451が取り付けられており、他端側には図示しない従動側プーリが取り付けられている。主動側プーリ451及び従動側プーリには、X駆動タイミングベルト453が巻き掛けられている。またキャリッジ43内には、X駆動タイミングベルト453と平行して第1方向(X方向)に沿うX方向ガイドシャフト454が設けられている。
【0017】
X方向ガイドシャフト454には滑り軸受構造にてヘッドホルダ42が取り付けられている。またヘッドホルダ42はX駆動タイミングベルト453に固定されている。
これにより、X方向駆動モータ45が駆動すると、主動側プーリ451を介してX駆動タイミングベルト453が第1方向(X方向)に駆動し、X駆動タイミングベルト453に固定されているヘッドホルダ42はX方向ガイドシャフト454に案内されて第1方向(X方向)に移動する。このように本実施形態では、ヘッドホルダ42(及びヘッドホルダ42に取り付けられた印刷ヘッド41)が、X方向駆動機構450によりキャリッジ43内で第1方向(X方向)に移動するようになっている。
【0018】
また図1等に示すように、装置基台10の左右両側には、第2方向(Y方向)に沿うY方向ガイドシャフト469(主動側のY方向ガイドシャフト469a,従動側のY方向ガイドシャフト469b)が一対、ほぼ平行に設けられている。Y方向ガイドシャフト469(469a,469b)にはキャリッジ43が取り付けられている。具体的にはキャリッジ43の左右両端側にそれぞれY方向ガイドシャフト469(469a,469b)が挿通されるシャフト挿通部431が設けられている。各シャフト挿通部431にY方向ガイドシャフト469(469a,469b)が挿通されることで、キャリッジ43が滑り軸受構造にてY方向ガイドシャフト469(469a,469b)に取り付けられる。
【0019】
キャリッジ43は、このY方向ガイドシャフト469(469a,469b)を含むY方向駆動機構460(第2方向駆動機構)により、水平面上であって第1方向(X方向)とは異なる第2方向(本実施形態では、装置の前後方向、Y方向)に移動可能となっている。
第2方向駆動機構であるY方向駆動機構460は、少なくとも一部がキャリッジ43に対して装置高さ方向に重畳して配置されている。
本実施形態では、図3等に示すように、Y方向駆動機構460は、少なくとも一部がキャリッジ43の下方に重畳して配置されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、Y方向駆動機構460は、キャリッジ43における長手方向の一端側(図示例では左側)に設けられたY駆動タイミングベルト465と、このY駆動タイミングベルト465の駆動をキャリッジ43における長手方向の他端側(図示例では右側)に伝達させる伝動機構47と、を備えている。なお、図2ではキャリッジ43の下側に設けられる構成を見やすくするために、キャリッジ43を二点鎖線で透過状態で示している。また図3では装置基台10の図示を省略している。
【0021】
具体的にはY方向駆動機構460は、装置基台10におけるY方向(第2方向、装置前後方向)の一端側(本実施形態では、図1等に示すように、Y方向(第2方向)の装置後方側)にY方向駆動モータ46によって回転するY方向主動側プーリ463が取り付けられており、他端側(すなわち、Y方向(第2方向)の装置前方側)には従動側プーリ464が取り付けられている。Y方向主動側プーリ463及び従動側プーリ464には、Y駆動タイミングベルト465が巻き掛けられている。Y駆動タイミングベルト465は本実施形態における「第1の歯付ベルト」である。
なお、本実施形態において、Y方向主動側プーリ463、従動側プーリ464、及びY駆動タイミングベルト465は、駆動源であるY方向駆動モータ46によって駆動する第1駆動機構である。
【0022】
具体的には、Y方向駆動モータ46が駆動するとY方向駆動モータ46の軸と同軸に構成されたモータピニオンギア461が回転し、調速ギア462等を介してY方向主動側プーリ463が回転する。
Y方向主動側プーリ463は、回転体の外周面に、Y駆動タイミングベルト465に設けられた歯に対応する歯を有する第1の歯付プーリであり、Y方向駆動モータ46が駆動することで生じた駆動力をY駆動タイミングベルト465に伝達する。
【0023】
キャリッジ43には、Y駆動タイミングベルト465(第1の歯付ベルト)の駆動をキャリッジ43における長手方向の他端側に伝達させる伝動機構47が設けられている。
図4図3に示す印刷機構4からキャリッジ43を外してキャリッジ43によって隠されてしまう構成を図示したものである。
また、図5は、本実施形態における印刷機構をY方向駆動機構の主動側が設けられている側を斜め下側から見た要部斜視図であり、図6は、本実施形態における印刷機構を後方斜め下側から見た要部斜視図である。図5及び図6には、伝動機構47等を見やすい状態で表示するためにキャリッジ43を二点鎖線にて透過状態で示している。
【0024】
図3から図6に示すように、本実施形態の伝動機構47は、キャリッジ43における長手方向の一端側(Y駆動タイミングベルト465が設けられている側、図示例において左側)に設けられ、第1の歯付ベルトであるY駆動タイミングベルト465によって回転動作する主動側歯付プーリ471と、キャリッジ43における長手方向の他端側(図示例において右側)に設けられた従動側プーリ473、主動側歯付プーリ471と従動側プーリ473とに巻き掛けられた第2の歯付ベルト475、及び従動側プーリ473と噛み合うラックギア477を含んでいる。
【0025】
主動側歯付プーリ471及び従動側プーリ473は、キャリッジ43に固定されている。主動側歯付プーリ471及び従動側プーリ473が固定される位置は特に限定されないが、本実施形態ではキャリッジ43の下面に取り付けられている。
本実施形態において、従動側プーリ473はキャリッジ43における第1方向(X方向)の他端側に設けられる第1伝動機構である。
【0026】
主動側歯付プーリ471は、同軸のプーリが上下2段に重なったものであり、下段プーリ471aと上段プーリ471bとは同一ピッチ、同一円直径に構成されている。
また、主動側歯付プーリ471(下段プーリ471aと上段プーリ471b)は、第1の歯付ベルトであるY駆動タイミングベルト465が巻き掛けられるY方向主動側プーリ463(第1の歯付プーリ)と同一ピッチ、同一円直径に構成されている。
図4及び図5等に示すように、Y駆動タイミングベルト465は、主動側歯付プーリ471のうち、下段プーリ471aと接し下段プーリ471aの外周面に設けられている歯と噛み合う。また伝動機構47の第2の歯付ベルト475は、主動側歯付プーリ471のうち、上段プーリ471bと接し上段プーリ471bの外周面に設けられている歯と噛み合う。
本実施形態において、第2の歯付ベルト475は前述の第1駆動機構の駆動を従動側プーリ473(第1伝動機構)に伝動する第2伝動機構である。
【0027】
Y方向駆動モータ46が駆動すると、Y方向主動側プーリ463を介してY駆動タイミングベルト465が第2方向(Y方向)に駆動し、Y駆動タイミングベルト465の歯と噛み合って係止されている主動側歯付プーリ471が、Y駆動タイミングベルト465の駆動に応じて第2方向(Y方向)に移動する。
これにより、キャリッジ43はY方向ガイドシャフト469に案内されて第2方向(Y方向)に移動する。このように本実施形態では、キャリッジ43(キャリッジ43に搭載された印刷ヘッド41)が、Y方向駆動機構460により装置基台10上で第2方向(Y方向)に移動するようになっている。
【0028】
また従動側プーリ473も、同軸のプーリが上下2段に重なったものであり、下段プーリ473aと上段プーリ473bとは同一円直径に構成され、外周面に同一ピッチの歯が設けられている。なお従動側プーリ473は主動側歯付プーリ471と同一ピッチ、同一円直径に構成されている。
図4及び図5等に示すように、伝動機構47の第2の歯付ベルト475は、主動側歯付プーリ473のうち、上段プーリ473bと接し上段プーリ473bの外周面に設けられている歯と噛み合う。
これにより主動側歯付プーリ471がY駆動タイミングベルト465の駆動を受けると、Y駆動タイミングベルト465の駆動をそのまま他端側に設けられている従動側プーリ473に伝達することができる。
【0029】
また、従動側プーリ473の下段プーリ473aにはラックギア477が噛み合っている。図1及び図2に示すように、本実施形態ではラックギア477が収容部としての装置基台10の内側面にY方向(第2方向、装置前後方向)に沿って配置されている。
下段プーリ473aにラックギア477が噛み合うことで、従動側プーリ473が回転するとその回転力がラックギア477によって直線の動きに変換され、キャリッジ43の他端側(本実施形態では、装置右側)が、主動側歯付プーリ471の設けられている一端側(本実施形態では、装置左側)の動きと同期してY方向に水平移動する。
このように本実施形態において、ラックギア477は従動側プーリ473(第1伝動機構)に伝動された回転力を直線の動きに変換する変換機構である。
【0030】
さらに、Y方向駆動機構460は、Y駆動タイミングベルト465(第1の歯付ベルト)にテンションをかけるテンションローラ466を備えている。テンションローラ466を設けることで、Y駆動タイミングベルト465(第1の歯付ベルト)の歯とY方向主動側プーリ463(第1の歯付プーリ)の歯とがしっかりと噛み合い、正確で安定した駆動が実現される。
【0031】
本実施形態では、テンションローラ466はキャリッジ43に取り付けられ、キャリッジ43の移動に伴って移動する。
具体的には図2及び図4図6に示すように、本実施形態のテンションローラ466は、主動側歯付プーリ471を間に挟むように一対設けられ、主動側歯付プーリ471及び従動側プーリ472とともに、キャリッジ43の下側の面に取り付けられている。
テンションローラ466が主動側歯付プーリ471を間に挟むように設けられることで、主動側歯付プーリ471を確実にY駆動タイミングベルト465(第1の歯付ベルト)と噛み合わせ、同期して回転させることができる。
【0032】
次に、本実施形態の印刷装置1の作用について説明する。
【0033】
印刷機構4を装置基台10に組み付ける際には、まず、装置基台10の左右両側に、第2方向(Y方向)に沿うY方向ガイドシャフト469(469a,469b)を取り付ける。またY方向駆動モータ46を配置し、適宜調速ギア462を介してY方向駆動モータ46の駆動力をY方向主動側プーリ463に伝達する歯車機構を構築する。さらにY方向主動側プーリ463の回転に従動する従動側プーリ464を配置し、Y方向主動側プーリ463及び従動側プーリ464に、「第1の歯付ベルト」であるY駆動タイミングベルト465を巻き掛ける。
【0034】
本実施形態では、Y方向駆動モータ46及びY方向主動側プーリ463を装置後方であってX方向の左側に配置し、従動側プーリ464を装置前方であってX方向の左側に配置する例を示したが、Y方向駆動モータ46、Y方向主動側プーリ463及び従動側プーリ464の位置はここで示した例に限定されない。
例えばY方向駆動モータ46及びY方向主動側プーリ463を装置前方に配置し、従動側プーリ464を装置後方に配置してもよい。またY方向駆動モータ46、Y方向主動側プーリ463及び従動側プーリ464はX方向の右側に配置されてもよい。
【0035】
また、装置基台10の側面であってY方向駆動モータ46、Y方向主動側プーリ463及び従動側プーリ464が設けられている側とは逆側(本実施形態ではX方向右側)の側面にY方向に沿ってラックギア477を取り付ける。
そして、X方向駆動機構450とヘッドホルダ42をキャリッジ43内に組み付け、さらにキャリッジ43の下側面に主動側歯付プーリ471、従動側プーリ473、及びテンションローラ466を取り付ける。また、主動側歯付プーリ471の上段プーリ471b及び従動側プーリ473の上段プーリ471bに、第2の歯付ベルト475を巻き掛ける。
【0036】
キャリッジ43への各部の組み付けが完了したら、キャリッジ43を装置基台10上に組み付ける。具体的にはキャリッジ43のシャフト挿通部431にそれぞれY方向ガイドシャフト469(469a,469b)を挿通させる。また、主動側歯付プーリ471の下段プーリ471aの歯がY駆動タイミングベルト465の歯と噛み合うように配置し、テンションローラ466をY駆動タイミングベルト465にテンションをかけることのできる位置に配置する。また従動側プーリ473の下段プーリ473bがラックギア477と噛み合うように位置を調整する。
さらに、X方向駆動モータ45のケーブル(接続端子45a)及びY方向駆動モータ46のケーブル(接続端子46a)をそれぞれ基板と接続し、ヘッドホルダ42に適宜印刷ヘッド41を取り付ける。これにより印刷装置1は印刷動作が可能な状態となる。
【0037】
キャリッジ43をY方向に移動させる場合には、Y方向駆動モータ46が駆動することでY方向主動側プーリ463が回転し、Y駆動タイミングベルト465を介して従動側プーリ464が回転する。このときテンションローラ466がY駆動タイミングベルト465にテンションを掛けながらキャリッジ43とともに移動する。これにより、Y駆動タイミングベルト465の歯とY方向主動側プーリ463の歯とが確実に噛み合い、Y方向主動側プーリ463が回転することによる駆動力が確実に伝達される。
【0038】
またY駆動タイミングベルト465の駆動は、主動側歯付プーリ471の下段プーリ471aに伝わり、主動側歯付プーリ471がY方向主動側プーリ463と同じピッチで回転する。主動側歯付プーリ471が回転すると、第2の歯付ベルト475を介して従動側プーリ473が回転する。そして従動側プーリ473が回転すると、従動側プーリ473の下段プーリ471aが互いに噛み合うラックギア477に沿って主動側歯付プーリ471と同じピッチでY方向に移動する。これにより、Y駆動タイミングベルト465が設けられている主動側であるキャリッジ43のX方向左側と従動側であるキャリッジ43のX方向右側とが同期してずれなくY方向に移動する。
【0039】
キャリッジ43の下方であって印刷装置1におけるX方向のほぼ中央部には印刷対象である爪に対応する指を保持する指配置部6等が設けられる。このため、Y駆動タイミングベルト465等の駆動機構は指配置部6等が設けられる部分を避けて配置する必要があり、X方向の左側又は右側に寄せて組付けることとなる。
しかし、キャリッジ43は印刷ヘッド41をX方向に移動させる機構を積むため、X方向のほぼ端から端に亘って設けられる長尺な部材である。
また本実施形態でY方向(第2方向)に移動するキャリッジ43にはヘッドホルダ42に保持された印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41をX方向に移動させるためのX方向駆動機構450が搭載されている。このためキャリッジ43の重量はかなりの重さとなる。
【0040】
このため、片側に寄せたY駆動タイミングベルト465等の駆動機構でキャリッジ43をY方向に移動させようとすると、Y駆動タイミングベルト465等の駆動機構が設けられていない側では動きが遅れて、キャリッジ43が傾いてしまう等により、印刷タイミングがずれて高精細な仕上がりの印刷ができない場合がある。
この点本実施形態では伝動機構47を設けて、Y駆動タイミングベルト465等の駆動機構が設けられている主動側と設けられていない従動側とで同期をとってキャリッジ43を移動させるようになっている。これによりキャリッジ43の左右での印刷タイミングずれ等を防いで美しい仕上がりの印刷を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態では駆動機構(Y方向駆動機構460)の少なくとも一部をキャリッジ43に対して装置高さ方向(図5及び図6において、Z方向)に重畳して配置することで省スペース化を図ることができる。本実施形態では、図5及び図6等に示すように、Y方向駆動機構460の少なくとも一部がキャリッジ43の下方に重畳して配置される。
【0042】
図7に従来の駆動機構(Y方向駆動機構460a)を備える印刷装置2aの構成例を示す。X方向駆動機構450や印刷ヘッド41等は従来の物も本実施形態と同様であるため、同様の構成の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、従来の印刷機構4aは、本実施形態と同様に、装置基台10aの左右にY方向ガイドシャフト469を有し、キャリッジ43aはこれに取り付けられる。
また、装置基台10aの左右であってY方向ガイドシャフト469よりも外側にはY方向ガイドシャフト469と平行してY方向に延在してモータによって回転する主動側プーリ51と従動側プーリ52と、主動側プーリ51及び従動側プーリ52に巻き掛けられるタイミングベルト53とが設けられる。キャリッジ43aの幅方向の両端部にはタイミングベルト53に固定されるベルト固定部431aが設けられ、キャリッジ43aがタイミングベルト53の駆動に伴なってY方向に移動するようになっている。
【0043】
図7に示す従来の構成では、Y方向ガイドシャフト469よりも外側にタイミングベルト53等を配置する空間が必要となる。
これに対して本実施形態では、図1等に示すようにY方向ガイドシャフト469(469a,469b)よりも外側に配置される部材がなく、その分従来の構成よりも装置の幅方向(X方向)の寸法を小さくすることができる。また、本実施形態においてY方向駆動機構460は装置高さ方向(図5及び図6において、Z方向)に重畳されるだけであり、指配置部6等を配置するためにもともと必要とされていた高さの範囲で空いている空間を利用して配置させることができる。このため、装置高さや装置の奥行き方向(Y方向)の長さをほとんど変えることなく、装置の幅方向だけをコンパクトにすることができる。
【0044】
以上のように、本実施形態の印刷装置1は、水平面上の第1方向(X方向)に延在し印刷ヘッド41を搭載するキャリッジ43を、キャリッジ43における長手方向の一端側に設けられた第1の歯付ベルトであるY駆動タイミングベルト465の駆動によって水平面上であって第1方向(X方向)とは異なる第2方向(Y方向)に移動させる第2方向駆動機構であるY方向駆動機構460が、第1の歯付ベルトであるY駆動タイミングベルト465の駆動をキャリッジ43における長手方向の他端側に伝達させる伝動機構47を備え、伝動機構47が、Y駆動タイミングベルト465によって回転動作する主動側歯付プーリ471、キャリッジ43における長手方向の他端側に設けられた従動側プーリ473、主動側歯付プーリ471と従動側プーリ473とに巻き掛けられた第2の歯付ベルト475、及び従動側プーリ473と噛み合うラックギア477を含んでいる。
【0045】
これにより、長手方向の一端側に設けられたY方向駆動機構460の駆動を長手方向の他端側に伝え、キャリッジ43の両端側を同期して移動させることができる。
このため、印刷装置1の印刷ヘッド41を搭載したキャリッジ43が傾かず、第2方向(Y方向)に安定して平行に移動させることができる。これにより、キャリッジ43に搭載される印刷ヘッド41が傾いたり印刷位置ずれ等を生じることを防いで、高品質な印刷を実現することができる。
特にネイルデザインのような細かいデザインを印刷する場合には印刷位置ずれを生じない高精細な印刷が求められるが、本実施形態の印刷装置によれば印刷品位の低下を防いで高精細、高品位の印刷を実現することができる。
【0046】
また、本実施形態の主動側歯付プーリ471は、第1の歯付ベルトであるY駆動タイミングベルト465が巻き掛けられる第1の歯付プーリであるY方向主動側プーリ463と同一ピッチ、同一円直径に構成されている。
これにより、Y駆動タイミングベルト465の駆動を伝動機構47によってキャリッジ43の他端側に正しく伝達することができる。
【0047】
また、本実施形態の第2方向駆動機構であるY方向駆動機構460は、少なくとも一部がキャリッジ43に対して装置高さ方向(図5及び図6において、Z方向)に重畳して配置されている。
具体的には本実施形態のY方向駆動機構460は、少なくとも一部がキャリッジ43の下方に重畳して配置されており、主動側歯付プーリ471及び従動側プーリ472は、キャリッジ43の下面に取り付けられている。
これにより、装置内の空いている空間を有効に利用してY方向駆動機構460を配置させることができる。このため、装置高さ方向(Z方向)や装置の奥行き方向(Y方向)の寸法をほとんど変えることなく、装置の幅方向(X方向)の寸法だけを小さくし、装置の小型化を実現することができる。
【0048】
また、本実施形態の第1の歯付ベルトであるY駆動タイミングベルト465にテンションをかけるテンションローラ466を備え、テンションローラ466はキャリッジ43に取り付けられ、キャリッジ43の移動に伴って移動する。
これにより、キャリッジ43が移動してもY駆動タイミングベルト465にテンションが掛かった状態が保たれ、Y方向主動側プーリ463の歯にY駆動タイミングベルト465の歯が良好に噛み合った状態を維持することができる。
【0049】
また、本実施形態のラックギア477は、第2方向駆動機構であるY方向駆動機構460を収容する収容部としての装置基台10に取り付けられている。
これにより、従動側プーリ473等が設けられているキャリッジ43を装置基台10に取り付けるだけで、従動側プーリ473(従動側プーリ473の下段プーリ473a)とラックギア477とを容易に噛み合わせて連動させることができる。
【0050】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0051】
例えば、本実施形態では、キャリッジ43を装置の前後方向(Y方向、第2方向)に移動させるY方向駆動機構460に、伝動機構47を備える構成を採用したが、伝動機構47を備える構成はY方向駆動機構460に設けられる場合に限定されない。例えばX方向駆動機構450に伝動機構が設けられてもよい。
【0052】
また、本実施形態ではラックギア477が取り付けられる収容部が装置基台10である場合を例示したが、ラックギア477は、従動側プーリ473と噛み合うことが可能な位置に配置されればよく、ラックギア477が取り付けられる収容部は装置基台10に限定されない。
例えば装置基台10自体を格納する図示しない筐体が収容部と位置付けられてもよい。この場合には筐体の内側面等にラックギア477が取り付けられる
【0053】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0054】
1 印刷装置
10 装置基台
4 印刷機構
41 印刷ヘッド
43 キャリッジ
45 X方向駆動モータ
46 Y方向駆動モータ
450 X方向駆動機構
460 Y方向駆動機構
463 Y方向主動側プーリ
464 従動側プーリ
465 Y駆動タイミングベルト
466 テンションローラ
469 Y方向ガイドシャフト
47 伝動機構
471 主動側歯付プーリ
473 従動側プーリ
475 第2の歯付ベルト
477 ラックギア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7