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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115587
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】マッサージ装置とマッサージチェア
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A61H7/00 323P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021277
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 美喜男
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD22
4C100AD25
4C100AD40
4C100BA01
4C100BB03
4C100CA09
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】紐状部材がローラの回転に巻き込まれるのを抑制する。
【解決手段】回転軸3と共に回転軸心K廻りに回転する施療用のローラ4を備えたマッサージ装置1において、ローラ4は、被施術者の被施療部を施療するための外周凸部41aが設けられたローラ本体40と、ローラ本体40の軸心方向端部40aに設けられたローラ端部43と、を有し、ローラ端部43は、軸心方向に沿ってローラ本体40から遠ざかる方向に向かって縮径している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と共に回転軸心廻りに回転する施療用のローラを備えたマッサージ装置において、
前記ローラは、被施術者の被施療部を施療するための外周凸部が設けられた施療部と、前記施療部の軸心方向端部に設けられたローラ端部と、を有し、
前記ローラ端部は、軸心方向に沿って前記施療部から遠ざかる方向に向かって縮径している、マッサージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ装置において、
前記施療部の軸心方向端部では、前記回転軸が前記施療部の外方に突出し、
前記ローラ端部は、前記施療部の軸心方向端部に取り付けられ、かつ、前記回転軸の全周を覆うように構成された、前記施療部とは別体の端部材である、マッサージ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のマッサージ装置において、
前記ローラ端部は軸心方向端部に前記回転軸が挿通する孔部を有し、
前記ローラの軸心方向外方から、前記ローラ端部の前記孔部に差し込まれる共に、前記回転軸の全周を包囲する非回転の軸カバー部を備えた、マッサージ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のマッサージ装置において、
前記施療部には、軸心方向断面視で円弧状の頂部を有する前記外周凸部と、軸心方向断面視で円弧状の底部を有する外周凹部とが、軸心方向に沿って交互に連続する断面波形状の外周施療部が、設けられ、
前記底部の曲率半径は、該底部に隣り合ういずれの前記頂部の曲率半径よりも大きい、マッサージ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のマッサージ装置を備えた、マッサージチェア。
【請求項6】
オットマンを備える、請求項5に記載のマッサージチェアであって、
前記マッサージ装置は、前記オットマンに設けられている、マッサージチェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ装置とマッサージチェアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータの回転により回転する回転軸と、回転軸と一体回転可能に取り付けられたマッサージ用(施療用)のローラと、を有するマッサージ装置が開示されている(例えば、明細書段落0051、0072及び図4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6539036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローラを備えるマッサージ装置では、ローラの回転に、糸、紐等の細長い部材(以下「紐状部材」という。)が巻き込まれないようにしたいという要請がある。この点に関して、JIS T 2002:2018(家庭用マッサージ器及び指圧代用器)は、施療部において綿糸及びワイヤロープの巻込み及び引掛りが起きないかどうかの「巻込み及び引掛り試験」を規定している(JIS T 2002:2018の附属書B)。
【0005】
ここで、特許文献1に開示されたマッサージ装置のローラは、布状部材で覆われており、外部から紐状部材等異物の侵入は遮られるので、通常、ローラの回転に紐状部材が巻き込まれることは考えにくい。しかし、例えば布状部材に穴が開いており、その穴を通じて異物が侵入する場合や、使用者が布状部材を取り除いてマッサージ装置を使用してしまう場合があることは否定できない。そのような場合には、ローラの回転に紐状部材が巻き込まれる可能性がある。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、紐状部材がローラの回転に巻き込まれるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の開示は、回転軸と共に回転軸心廻りに回転する施療用のローラを備えたマッサージ装置において、前記ローラは、被施術者の被施療部を施療するための外周凸部が設けられた施療部と、前記施療部の軸心方向端部に設けられたローラ端部と、を有し、前記ローラ端部は、軸心方向に沿って前記施療部から遠ざかる方向に向かって縮径している、マッサージ装置に関する。
【0008】
ところで、本願発明者らによると、従来技術において紐状部材がローラの回転に巻き込まれやすくなる原因の1つは、ローラ端部が回転軸と垂直な平坦面状に形成されていることにあることが分かった。
【0009】
この第1の開示では、ローラ端部が施療部から遠ざかる方向に向かって縮径するように形成されているので、たとえ紐状部材がローラ端部に触れていたとしても、当該紐状部材は、ローラの回転にともないローラ端部の外形に沿って滑るように径方向外方へ移動する。その結果、紐状部材がローラの回転に引掛かるのを抑制できる。
【0010】
第2の開示は、第1の開示において、前記施療部の軸心方向端部では、前記回転軸が前記施療部の外方に突出し、前記ローラ端部は、前記施療部の軸心方向端部に取り付けられ、かつ、前記回転軸の全周を覆うように構成された、前記施療部とは別体の端部材である、マッサージ装置に関する。
【0011】
この第2の開示では、施療部の端部の形状にかかわらず、ローラ端部の構成(縮径する形状)が得られる。また、端部材(ローラ端部)によって、施療部の軸心方向端部近傍の回転軸の全周が覆われるので、紐状部材が引掛かりやすい回転軸の露出部分が少なくなる。その結果、紐状部材がローラの回転に巻き込まれるのを更に抑制できる。
【0012】
第3の開示は、第1の開示において、前記ローラ端部は軸心方向端部に前記回転軸が挿通する孔部を有し、前記ローラの軸心方向外方から、前記ローラ端部の前記孔部に差し込まれる共に、前記回転軸の全周を包囲する非回転の軸カバー部を備えた、マッサージ装置に関する。
【0013】
この第3の開示では、紐状部材が、端部材から軸心方向外方に突出している回転軸に、万が一、接近しても、非回転の軸カバー部によって、紐状部材がローラ端部近傍で回転軸に巻き込まれるのを抑制できる。
【0014】
第4の開示は、第1の開示において、前記施療部には、軸心方向断面視で円弧状の頂部を有する前記外周凸部と、軸心方向断面視で円弧状の底部を有する外周凹部とが、軸心方向に沿って交互に連続する断面波形状の外周施療部が、設けられ、前記底部の曲率半径は、該底部に隣り合ういずれの前記頂部の曲率半径よりも大きい、マッサージ装置に関する。
【0015】
ところで、施療部に複数の外周凸部が設けられている場合、紐状部材は、隣り合う2つの外周凸部間、すなわち外周凹部に引掛かりやすい場合がある。ここで、第4の開示では、底部における曲率半径は、隣り合ういずれの頂部の曲率半径よりも大きいので、外周凹部は、外周凸部に比べて変化(湾曲)の度合いの小さな曲線状に形成されている。したがって、施療部に複数の外周凸部が設けられていても、紐状部材がローラの回転に巻き込まれるのを抑制できる。さらに、前記のような底部の曲率半径と頂部の曲率半径との関係により、外周凸部で、被施療部に対して、適度な指圧感を与えることができる。
【0016】
第5の開示は、第1~第4の開示のいずれか1つに係るマッサージ装置を備えた、マッサージチェアに関する。
【0017】
第6の開示は、第5の開示において、オットマンを備え、前記マッサージ装置は、前記オットマンに設けられている、マッサージチェアに関する。
【0018】
この第5又は第6の開示では、第1~第4の開示のいずれか1つにより得られる効果を奏するマッサージチェアが得られる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によると、紐状部材がローラの回転に巻き込まれるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係るマッサージチェアを示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るマッサージ装置を示す斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、図3のIV-IV断面図である。
図5図5は、図3における外周施療部の拡大図である。
図6図6は、図3における外周施療部の仮想稜線を示す拡大図である。
図7図7は、従来技術において、ローラに紐状部材が引掛かった状態を示す図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図しない。また、以下の説明において、方向を意味する「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」は、実施形態を図面との関係で説明するために用い、本発明の構成や使用方法を限定するものではない。
【0022】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るマッサージチェアCを示している。なお、図1は、マッサージチェアCの一部を透過させて本発明の特徴部分であるマッサージ装置1を図示している。
【0023】
マッサージチェアCは、背凭れ部C1と、座部C2と、左右の肘掛け部C3,C3と、オットマンC4とを備える。オットマンC4は、座部C2に対して揺動可能に構成されている。オットマンC4には、マッサージチェアCの被施術者(使用者)の脚部等の被施療部をマッサージするための、本実施形態に係るマッサージ装置1が設けられている。
【0024】
図2~3は、マッサージ装置1を示している。なお、マッサージ装置1は、布カバーで覆われているが、図2~3は、布カバーを示さず、マッサージ装置1の内部を示している。マッサージ装置1は、ケース部材2と、モータMTと、モータMTの回転により回転する回転軸3と、回転軸3が挿通し、回転軸3と共に回転する施療用の2つのローラ4,4と、回転軸3を支持する3つの軸受け部5,5,5とを備えている。
【0025】
―ケース部材―
ケース部材2は、前記のモータMT、回転軸3、ローラ4,4及び軸受け部5,5,5が載置された下側ケース部材20と、下側ケース部材20を上方から覆う上側ケース部材21とからなる。下側ケース部材20の後方寄りの部位には、図2に示すように、モータMTを収容したモータ収容部Mが設けられ、モータ収容部Mの前方にはローラ4,4が配置されている。
【0026】
下側ケース部材20は、上面視(平面視)で略矩形状に形成されている。上側ケース部材21は、モータMTが収容されたモータ収容部Mを上から覆う一方、ローラ4,4がケース部材2上方に露出するように、上面視(平面視)でローラ4,4を囲むように形成されている。
【0027】
―回転軸―
回転軸3は、図3に示すように、ローラ4,4を挿通して左右方向(軸心方向)に延びている。回転軸3の軸心方向中央部と、モータMTの駆動軸とは、図示省略の動力伝達機構によって連動連結されている。そのため、回転軸3はモータMTによって回転軸心K廻りに回転駆動される。なお、動力伝達機構は、減速機構、ウォームとウォームホイール、プーリーとベルト等により構成されてもよく、構成は自由である。
【0028】
―ローラ―
ローラ4,4は、図3に示すように、左右に1つずつ設けられている。各ローラ4は、外周面で被施療部を施療する略円柱状の施療部を有する。施療部はローラ本体40によって構成されている。ローラ本体40(施療部)における軸心方向端部40aには、軸心方向に対して垂直面が形成されている。ローラ本体40の外周面には、被施療部を施療するための外周施療部41が設けられている。外周施療部41は、外周凸部41aと外周凹部41bとが、軸心方向に沿って交互に連続する断面波形状に形成されている。
【0029】
外周凸部41aは、1つのローラ本体40に複数設けられている。図4は、外周凸部41aにおいて、回転軸3直交面で切断したローラ4の横断面図である。ローラ4は、外周凸部41aにおける横断面視で略矩形状に形成されている。ここで、図4に示す横断面視のように、ローラ4の停止状態で、外周凸部41aの頂点と、ローラ4の中心軸(軸心点)CTと、回転軸心(軸心点)Kと、が上下方向に直線上に配列した姿勢を、ローラ基準姿勢と呼ぶと、図3に示すように、基準姿勢において、外周凸部41aは、ローラ本体40の上側及び下側の外周面にそれぞれ4つずつ設けられ、ローラ本体40の前側及び後側の外周面にそれぞれ4つずつ設けられている。基準姿勢において、外周凸部41aはローラ本体40の上側、下側、前側及び後側で、高さが最も高くなっている。
【0030】
図5~6は、図3の一点鎖線で囲む部位の拡大図である。図5に示す、上下方向及び左右方向に沿った軸心方向断面視(以下、単に「断面視」という。)における外周施療部41の外形は、連続する曲線からなる。言い換えると、断面視における外周施療部41の外形は、その接線(図5のL1~L6を参照)の傾きが軸心方向に沿って連続して変化する曲線状に形成されている。すなわち、外周施療部41は、接線の傾きが不連続に変化するような、角部、段差部等が形成されていない滑らかな波形状に形成されている。外周施療部41の一部において、接線の傾きが不連続に変化していてもよいが、そのような部位は少ない方が好ましい。なお、図5は上下方向及び左右方向に沿った断面であるが、前後方向及び左右方向に沿った外周施療部41の外形も、図5に示す外形と同じである。なお、軸心方向断面視を言い換えると、回転軸心Kを含む平面で切断したときの断面視ともいえる。
【0031】
各外周凸部41a及び各外周凹部41bの外形は、それぞれ、接線の傾きが軸心方向に沿って単調に変化するように形成されている。接線の傾きが「単調に変化する」とは、接線の右側(図5の左側)が高くなることをプラスの変化、接線の右側が低くなることをマイナスの変化であるとすると、プラスのみの変化又はマイナスのみの変化をすることを意味する。すなわち、1つの外周凸部41a内で、当該外周凸部41a左端部では右上がりである接線(図5の符号L1を参照)は、外周凸部41a右端部にいくに従って次第に傾きが右下がりとなるマイナスの変化をし、プラスの変化をしない(図5の接線L1から接線L2への変化を参照)。同様に、1つの外周凹部41b内で、当該外周凹部41b左端部では右下がりである接線(図5の符号L2を参照)は、当該外周凹部41b右端部にいくに従って次第に傾きが右上がりとなるプラスの変化をし、マイナスの変化をしない(図5の接線L2から、接線L3、接線L4への変化を参照)。なお、接線の傾きの変化がプラスからマイナスに、又はマイナスからプラスに転じる部位、すなわち、接線の傾きの変化率がゼロとなる部位が、外周凸部41aと外周凹部41bとの境界(図6の符号BDで示される一点鎖線を参照)である。
【0032】
外周凸部41aは、図5に示すように、断面視で円弧状の頂部Tを有している。外周凹部41bは、断面視で円弧状の底部Bを有している。底部Bの曲率半径Rbは、底部Bに隣り合ういずれの頂部Tの曲率半径Rtよりも大きい。
【0033】
外周凸部41aは、図6に示すように、ローラ本体40の軸心方向外方にあるほど、頂部Tにおける頂点TP(接線の傾きが回転軸心Kと平行となる点)が、回転軸3から遠くに位置する(すなわち、各ローラ4の径方向外方に位置する)ように形成されている。特に、外周施療部41は、各頂点TPを軸心方向に沿って結んだ仮想稜線RLが、回転軸心Kに向かって窪んだ弧状に、又は円弧状になるように形成されていることが好ましい。
【0034】
図3に示すように、ローラ本体40には、左右方向に貫通する貫通孔42が形成されており、貫通孔42には、回転軸3が挿通されている。回転軸3の位置は、図4に示すように、ローラ本体40の中心軸CTから偏心している(図3において上下方向中心線から、下方寄りに偏心している)。各ローラ4は、回転軸3がモータMTにより回転駆動されると、回転軸3と共に回転軸心K廻りに回転する。ローラ本体40の軸心方向端部40aでは、回転軸3がローラ本体40の外方に突出している。なお、ローラ本体40は、図3に示すように中実であってもよく、あるいはこれに代えて中空部を有していてもよい。
【0035】
各ローラ4は、ローラ本体40の軸心方向端部40aに設けられたローラ端部43を有する。ローラ端部43は、図3に示すように、ローラ本体40から回転軸心Kに沿って遠ざかるにつれて略直線状(外テーパ状)又は傘状に縮径している。なお、ローラ端部43は、円弧状(砲弾先端状)に縮径していてもよい。また、ローラ端部43は径方向外方から回転軸心Kに向かって縮径している。
【0036】
本実施形態では、ローラ端部43は、ローラ本体40とは別体である端部材Eによって構成されており、ローラ本体40の軸心方向端部40aに取り付けられている。端部材Eは、回転軸3の全周を覆うように構成されている。言い換えると、ローラ端部43(端部材E)の軸心方向端部には、回転軸3が挿通する孔部43aが設けられている。
【0037】
―軸受け部―
軸受け部5,5,5は、右側のローラ4の右方に設けられた右側軸受け部5と、左側のローラ4の左方に設けられた左側軸受け部5と、2つのローラ4,4間に設けられた中央軸受け部5とを含む。各軸受け部5は、下側ケース部材20に載置された基部BSと、回転軸3の全周を包囲する略円筒状の軸カバー部CVとを有する。右側軸受け部5及び左側軸受け部5では、各軸カバー部CVは、各基部BSの上方に設けられ、各ローラ4に向かって延びるように形成されている。中央軸受け部5では、2つの軸カバー部CV,CVが基部BSの上方において左右に1つずつ設けられており、基部BSの上方から各ローラ4に向かって延びるようにそれぞれ形成されている。ローラ端部43の孔部43aには、軸心方向外方から、軸カバー部CVが差し込まれている。軸カバー部CVは、例えば基部BSと一体成形されていることにより、回転軸3が回転しても回転しないように構成された非回転の部位である。
【0038】
なお、各軸受け部5は、それぞれが全体で一体成形されていてもよく、あるいはこれに代えて、回転軸3を下方から支持する下側部分と、下側部分及び回転軸3を上方から覆う上側部分とで、分離可能に構成されていてもよい。また、本実施形態の中央軸受け部5の上側部分には、図3に示すように、右側の軸カバー部CVと左側の軸カバー部CVとの間に回転軸3の軸心方向中央部を覆う非回転の中間カバー部CKを設けている。なお、基部BSの一部も中間カバー部CKである。すなわち、中央軸受け部5では、中間カバー部CKとより回転軸3の軸心方向中央部の全周を包囲している。
【0039】
回転軸3は、ローラ4と、軸カバー部CVと中間カバー部CKによって、外部に露出しない。さらに、紐状部材が巻き込まれやすいローラ端部43近傍の回転軸3は、端部材Eと軸カバー部CVとで2重に包囲され巻き込みを確実に防止している。なお、マッサージ装置1は、回転軸3の軸心方向中央部を回転自在に支持するベアリング等の軸受材を備えるが、軸受材の図示は省略している。
【0040】
―作用・効果―
図7に示す従来技術は、ローラ端部EFが回転軸Sに対して垂直な平坦面状に形成されている。本願発明者らによると、この従来技術においては、紐状部材Xは、例えば外周凸部PRとローラ端部EFとに架け渡されるように引掛かりやすいこと(図7の軸心方向左側の符号Xを参照)が分かった。紐状部材Xがそのように引掛かると、紐状部材Xはローラの回転に巻き込まれやすくなる。また、本願発明者らによると、紐状部材Xは、一端部が外周凸部PRに引掛かるとともに他端部が回転軸Sに引掛かり又は巻き込まれすいことも分かった(図7の軸心方向右側の符号Xを参照)。
【0041】
本実施形態では、ローラ端部43がローラ本体40から遠ざかる方向に向かって縮径するように形成されているので、たとえ紐状部材Xがローラ端部43に触れていたとしても、当該紐状部材Xは、ローラ4の回転にともないローラ端部43の外形に沿って滑るようにローラ4の径方向外方へ移動する。そのため、紐状部材Xが外周凸部41aとローラ端部43とに架け渡されるように引掛かることが抑制される。また、紐状部材Xは、径方向外方へ移動することにより回転軸3から遠ざかるので、回転軸3に引掛かり又は巻き込まれることも抑制される。その結果、紐状部材Xがローラ4の回転に巻き込まれるのを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、外周施療部41の外形は、その接線(図5のL1~L6を参照)の傾きが軸心方向に沿って連続して変化する曲線状に形成されているので、鋭角部、屈折部などの紐状部材Xが引掛かりやすい部位のない、滑らかな曲線状に形成されている。したがって、紐状部材Xがローラ4の回転に巻き込まれるのを更に抑制できる。
【0043】
ところで、ローラ本体40の外周面に複数の外周凸部41a,…,41aが設けられている場合、紐状部材Xは、隣り合う2つの外周凸部41a,41a間、すなわち外周凹部41bに引掛かりやすい場合がある。ここで、底部Bにおける曲率半径Rbは、隣り合ういずれの頂部Tの曲率半径Rtよりも大きいので、外周凹部41bは、外周凸部41aに比べて変化(湾曲)の度合いの小さな曲線状に形成されている。したがって、ローラ本体40の外周面に複数の外周凸部41a,…,41aが設けられていても、紐状部材Xの外周凹部41bへの引掛かりが抑制される。その結果、紐状部材Xがローラ4の回転に巻き込まれるのを更に抑制できる。さらに、前記のような曲率半径Rb,Rtの関係により、外周凸部41a,…,41aで、被施療部に対して、適度な指圧感を与えることができる。
【0044】
また、外周施療部41は、各頂点TPを軸心方向に沿って結んだ仮想稜線RLが、図5に示すように弧状に、又は円弧状になるように形成されているので、脹脛等の被施療部をローラ本体40の軸心方向中央部付近に保持しやすくなり、被施術者に安定したマッサージ効果を与えることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、マッサージ装置1は、マッサージチェアCのオットマンC4に設けられているが、これに限られず、オットマンC4以外の部位に設けられていてもよく、更にマッサージチェアCから独立した装置であってもよい。例えば、マッサージ装置1は、被施術者の腕、太腿等の被施療部を施療するためのものであってもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、マッサージ装置1は、2つのローラ4,4を備えるが、少なくとも1つのローラ4を備えていればよい。
【0047】
また、前記実施形態では、回転軸3は、ローラ本体40及びローラ端部43(端部材E)は、互いに別々に成形された部材であるが、これらのうちのいずれか2つ、又はこれらのすべての部材は、互いに一体に成形された部材であってもよい。すなわち、回転軸3はローラ本体40と一体成形されていてもよく、ローラ端部43もローラ本体40と一体成形されていてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、外周凸部41a及び外周凹部41bの形状について、詳細に説明したが、ローラ4の形状はそれに限定されない。ローラ本体40の外周面には、施療するための外周凸部41aが、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0049】
また、ローラ端部43の形状は、図3に示すような軸心方向断面視で略直線状に傾斜している形状に限られない。ローラ端部43は、ローラ本体40から回転軸心Kに沿って遠ざかるにつれて縮径していればよく、軸心方向断面視で曲線状であっても、テーパ状であってもよい。ローラ4は中心軸CTと回転軸心Kとが一致するように構成されていてもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、軸カバー部CV及び中間カバー部CKは、軸受け部5の一部であるが、軸受け部5とは独立した部材であってもよい。軸カバー部CVは、ローラ4の軸心方向外方から、ローラ端部43の孔部43aに差し込まれる共に、回転軸3の全周を包囲する、回転軸3と共に回転しない非回転のものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、マッサージ装置として有用である。
【符号の説明】
【0052】
C マッサージチェア
C4 オットマン
1 マッサージ装置
3 回転軸
K 回転軸心
4 ローラ
40 ローラ本体(施療部)
40a ローラ本体の軸心方向端部
41 外周施療部
41a 外周凸部
41b 外周凹部
T 外周凸部の頂部
B 外周凹部の底部
Rt 頂部の曲率半径
Rb 底部の曲率半径
L1~L6 接線
43 ローラ端部
43a ローラ端部の孔部
E 端部材(ローラ端部)
CV 軸カバー部
X 紐状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7