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  • 特開-内燃機関の制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115596
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】内燃機関の制御システム
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20240820BHJP
   F02N 11/00 20060101ALI20240820BHJP
   F02D 13/02 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F02D45/00 360A
F02N11/00 G ZHV
F02D13/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021292
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田ノ岡 渉
(72)【発明者】
【氏名】金井 英輝
(72)【発明者】
【氏名】廣江 健太
(72)【発明者】
【氏名】柳川 健介
(72)【発明者】
【氏名】川辺 敬
【テーマコード(参考)】
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3G092AC02
3G092DA01
3G092DA02
3G092DA03
3G092FA31
3G092HD02Z
3G092HE08Z
3G092HF21Z
3G384AA28
3G384BA26
3G384BA31
3G384BA39
3G384CA03
3G384DA13
3G384EB10
3G384FA28Z
3G384FA46Z
3G384FA79Z
(57)【要約】
【課題】新規のモータリングを実現できる内燃機関の制御システムを提供する。
【解決手段】内燃機関の制御システムは、内燃機関を駆動可能な回転電機と、気体を加熱する加熱装置と、前記回転電機を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記内燃機関に係る温度が第1所定温度以下の場合において前記内燃機関を始動する場合、前記回転電機によって前記内燃機関を駆動し、前記加熱装置によって加熱された前記気体を前記内燃機関の気筒に移動させるモータリング制御を実行する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を駆動可能な回転電機と、
気体を加熱する加熱装置と、
前記回転電機を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記内燃機関に係る温度が第1所定温度以下の場合において前記内燃機関を始動する場合、前記回転電機によって前記内燃機関を駆動し、前記加熱装置によって加熱された前記気体を前記内燃機関の気筒に移動させるモータリング制御を実行する、
内燃機関の制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記内燃機関に関する温度が低いほど、前記回転電機の出力を抑制する、請求項1に記載の内燃機関の制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記回転電機が搭載される車両の走行状態に応じて、前記回転電機の出力を変化させる、
請求項1に記載の内燃機関の制御システム。
【請求項4】
前記加熱装置は電気式であり、
前記制御装置は、前記内燃機関に係る温度が前記第1所定温度よりも低い第2所定温度以下の場合において前記内燃機関を始動する場合、前記加熱装置への電力の供給を停止したのち、前記モータリング制御を実行する、
請求項1に記載の内燃機関の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内燃機関の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータと、内燃機関と、を有し、モータによって内燃機関を駆動するモータリングを実行する内燃機関の制御システムが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の内燃機関の制御システムは、吸着触媒と電気ヒータとの間で空気を往復させ、吸着触媒を暖機するためのモータリングを実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-185441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータリングは、触媒の暖機以外にも利用できる。
【0005】
本開示の課題は、新規のモータリングを実現できる内燃機関の制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る内燃機関の制御システムは、内燃機関を駆動可能な回転電機と、気体を加熱する加熱装置と、前記回転電機を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記内燃機関に係る温度が第1所定温度以下の場合において前記内燃機関を始動する場合、前記回転電機によって前記内燃機関を駆動し、前記加熱装置によって加熱された前記気体を前記内燃機関の気筒に移動させるモータリング制御を実行する。
【0007】
この内燃機関の制御システムによれば、加熱装置で加熱された気体を気筒に移動させるモータリングを実行することによって、内燃機関を暖機することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、新規のモータリングを実現できる内燃機関の制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による電動車両のシステム図。
図2】本開示の一実施形態による内燃機関のシステム図。
図3】本開示の一実施形態による昇温モータリング時の気体の流れを示す図。
図4】本開示の一実施形態による制御装置が実行する制御手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、本実施形態の内燃機関1の制御システム3は、内燃機関1と、モータ(FrM)2、を動力源として車輪C1を駆動する電動車両Cに搭載される。しかし、内燃機関1は、内燃機関1のみを動力源とする車両に搭載されてもよい。
【0011】
電動車両Cは、内燃機関1と、モータ2と、発電機(GEN:回転電機の一例)4と、リチウムイオン電池などの二次電池を含む駆動用電池(BT:電池の一例)6と、トランスアクスル8と、を有する。発電機4は、内燃機関1に接続され、内燃機関1を駆動可能である。発電機4は、駆動用電池6からの電力によって力行する間は、内燃機関1を駆動するモータリングを行う。一方、発電機4は、内燃機関1の運転中において内燃機関1に駆動されて発電する。したがって、発電機4は、力行と発電が可能なモータ・ジェネレータである。トランスアクスル8は、複数のギヤとクラッチ8aを有する。内燃機関1は、トランスアクスル8を介して発電機4と、車軸10と連結される。トランスアクスル8は、クラッチ8aが開放状態の場合、内燃機関1と車軸10との動力伝達が遮断され、クラッチ8aが接続状態の場合、内燃機関1の動力が車軸10に伝達される。モータ2は、トランスアクスル8を介して車軸10と連結される。電動車両Cはこのほか、車両制御装置(制御装置の一例)12と、内燃機関1を制御するエンジン制御装置14と、電動車両Cのユーザが操作するアクセルペダル16と、モータ2および発電機4を制御するインバータ18と、充電ボタン(図示なし)と、を有してもよい。また、本実施形態では電動車両Cは、外部電源に接続可能な充電器20と、駆動用電池6からの電力を、例えば家電などの外部機器に供給可能な給電装置22と、を有するプラグインハイブリッド車(PHEV)である。しかし、電動車両Cはこのような装置を有さないハイブリッド車両であってもよい。
【0012】
本実施形態の電動車両Cは、EVモード、シリーズモード、パラレルモード、充電モードなどの各モードを有する。電動車両Cは、EVモードの場合、駆動用電池6からの電力によってモータ2を駆動する。電動車両Cは、シリーズモードの場合、内燃機関1によって発電機4を駆動し、発電機4によって発電した電力を用いてモータ2を駆動する。電動車両Cは、パラレルモードの場合、クラッチ8aを接続し、内燃機関1の動力を用いて車軸10を駆動する。電動車両Cは、充電モードでは、内燃機関1によって発電機4を駆動し、発電機4によって発電した電力を駆動用電池6に蓄電する。電動車両Cは、アクセルペダル16の踏み込み状態や充電ボタンの操作状態に応じて、車両制御装置12が各モードを切り替え、インバータ18を介してモータ2および発電機4を制御するとともに、エンジン制御装置14に内燃機関1を制御させる。
【0013】
図2に示すように、内燃機関1は、ポート噴射弁30と、点火プラグ32と、吸気カム34と、吸気弁35と、排気カム36と、排気弁37と、加熱装置38と、触媒40と、スロットル42と、温度センサ44と、を備える。本実施形態では内燃機関1は、ポート噴射弁30から噴射される燃料と吸気との混合気に、点火プラグ32によって火花を点火するガソリンエンジンである。また、図1および図2に示すように、本実施形態では内燃機関1は、4つの気筒50を有し、それぞれの気筒に2つの吸気弁35と2つの排気弁37が配置されている。温度センサ44は、触媒40の温度を検知することによって加熱装置38の作動温度を検知するセンサである。
【0014】
図3に示すように、昇温モータリング制御(モータリング制御の一例)では、第1気筒50aおよび第4気筒50dに排気通路46の気体を取り込ませて、再び排気通路46に排出し、排気通路46内の気体を気筒50と加熱装置38との間で往復移動させる。モータリングカムは、昇温モータリング制御中に第2気筒50bおよび第3気筒50cについても同様に、気体を気筒50と加熱装置38との間で往復移動させる。図2に示すように、本実施形態では、吸気カム34および排気カム36は、それぞれ、通常の内燃機関1の運転に用いるファイアリングカムと、昇温モータリング制御に用いるモータリングカムと、吸気カム34のファイアリングカムとモータリングカムを切り替える吸気カム切り替え装置34aと、排気カム36のファイアリングカムとモータリングカムを切り替える排気カム切り替え装置36aと、を有する。モータリングカムは、吸気弁35を閉弁状態に維持するとともに、排気弁37の開閉タイミングを制御することによって、気体の気筒50と加熱装置38との間の往復移動を実現するカムである。エンジン制御装置14は、昇温モータリング制御を実行する際に、吸気カム切り替え装置34aおよび排気カム切り替え装置36aを制御し、ファイアリングカムからモータリングカムに切り替えることによって昇温モータリングを実現する。しかし、吸気弁35および排気弁37は、例えば電磁バルブであってもよい。
【0015】
加熱装置38は、排気通路46内の気体を加熱する装置である。本実施形態の加熱装置38は、電熱線によって気体を加熱する電気式のヒータである。加熱装置38は、低電圧バッテリ52電気的に接続される。低電圧バッテリ52は、駆動用電池6の電力が降圧されて供給される。
【0016】
昇温モータリング制御において加熱装置38は、気体の加熱を実行する。昇温モータリング制御では、加熱装置38を使用して加熱された気体が排気通路46と加熱装置38との間を往復移動する。これによって、加熱された気体が第1気筒50aから第4気筒50dに供給される。
【0017】
車両制御装置12は、インバータ18を介して発電機4と電気的に接続され、発電機4を制御する。また、車両制御装置12は、少なくとも昇温モータリング制御などの信号をエンジン制御装置14に発信し、エンジン制御装置14に内燃機関1を制御させる。車両制御装置12は、演算装置と、メモリと、入出力バッファ等とを含むマイクロコンピュータによって構成されるECU(Electrоnic Control Unit)である。車両制御装置12は、メモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、電動車両Cの様々な制御を実行する。
【0018】
また、車両制御装置12は、駆動用電池6のコントロールユニット(図示せず)と電気的に接続され、駆動用電池6の充電率SOC、電池温度Tなどの情報を、駆動用電池6のコントロールユニットから取得可能である。
【0019】
エンジン制御装置14は、内燃機関1が備える各種装置と電気的に接続され、内燃機関1を制御する制御装置である。エンジン制御装置14は、実際には、演算装置と、メモリと、入出力バッファ等とを含むマイクロコンピュータによって構成されるECU(Electrоnic Control Unit)である。エンジン制御装置14は、メモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、内燃機関1の様々な制御を実行する。なお、内燃機関1の制御はエンジン制御装置14のほか、車両制御装置12によって実行してもよい。
【0020】
エンジン制御装置14は、車両制御装置12から昇温モータリング制御の信号を取得すると、モータリングカムに切り替えるとともに、加熱装置38による気体の加熱を実行する。
【0021】
次に車両制御装置12が実行する制御手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。車両制御装置12は、例えば内燃機関1の始動条件が成立した場合、モータリングを実行する条件が成立したと判断して制御手順を開始する。
【0022】
ステップS1では車両制御装置12は、内燃機関1の温度Tを取得する。本実施形態では内燃機関の温度Tは、電動車両Cの外気温である。しかし、内燃機関1の温度Tは、例えば、内燃機関1の水温、温度センサ44によって取得した触媒40の温度など、種々の値を用いて取得すればよい。車両制御装置12は、内燃機関1の温度Tを取得すると、ステップS2に処理を進める。
【0023】
ステップS2では車両制御装置12は、温度Tが第1所定温度T1以下であり第2所定温度T2より大きいか否か判断する。本実施形態では第1所定温度T1は、摂氏10度である。第2所定温度T2は、摂氏マイナス10度程度である。内燃機関1は、第1所定温度T1以下では、冷態始動となる。内燃機関1は、第2所定温度T2以下では極冷態始動となる。車両制御装置12は、温度Tが第1所定温度T1以下であり第2所定温度T2より大きいと判断した場合(ステップS2 YES)、ステップS3に処理を進める。
【0024】
ステップS3では車両制御装置12は、モータリング可能時間を取得する。モータリング可能時間は、例えば極冷態始動時における昇温モータリング制御による発電機4の出力(発電機4による内燃機関1のモータリングで消費する電力)と、駆動用電池6の充電率SOCの関係、あるいは駆動用電池6の出力可能な電力に基づいて車両制御装置12が算出してもよい。このとき、加熱装置38で消費される電力も考慮してもよい。車両制御装置12は、モータリング可能時間を取得するとステップS4に処理を進める。
【0025】
ステップS4では車両制御装置12は、電動車両Cの速度Vを取得し、速度Vが所定速度V1未満か否かを判断する。本実施形態では、所定速度V1は、電動車両Cが停止中か否かが判断できる程度の速度Vである。したがって所定速度V1はゼロに近い値である。車両制御装置12は、速度Vが所定速度V1未満と判断した場合(ステップS4 YES)、ステップS5に処理を進める。
【0026】
ステップS5では車両制御装置12は、昇温モータリング制御を実行する。具体的には、車両制御装置12は、昇温モータリング制御を開始すると、発電機4を力行させる。また、車両制御装置12は、加熱装置38をオンにする。さらに、車両制御装置12は、エンジン制御装置14に昇温モータリング制御を実行するための信号を送信する。エンジン制御装置14は、昇温モータリング制御の信号を受信すると、モータリングカムに切り替える。車両制御装置12は、発電機4の出力(以下明細書においてモータリング出力と記す)を、レベル4とする。モータリング出力はレベル1が最も小さく、レベル4に向かうにつれて大きくなる。すなわち、本実施形態ではモータリング出力は、4段階のレベルである。レベル1は、内燃機関1が初爆を得られる程度の回転数(例えば600rpm程度)を使用して内燃機関1を駆動するモータリング出力である。レベル2は、内燃機関1のアイドル回転数程度(例えば700rpm程度)を使用して内燃機関1を駆動するモータリング出力である。レベル3が内燃機関1のアイドル回転数よりやや高い回転数(例えば800rpm程度)を使用して内燃機関1を駆動するモータリング出力である。レベル4は、内燃機関1をレベル3の回転数よりも高い回転数(例えば1000rpm程度)を使用して内燃機関1を駆動するモータリング出力である。モータリングする回転数が高いほど、加熱装置38と気筒50との間を往復する単位時間あたりの気体の量が多くなる。このため、昇温モータリング制御におけるモータリングする回転数が高いほど内燃機関1が素早く温まる。車両制御装置12は、モータリング出力レベル4の昇温モータリング制御を実行するとステップS6に処理を進める。
【0027】
ステップS6では車両制御装置12は、モータリングを終了するか否か判断する。車両制御装置12は、例えばモータリング可能時間を経過したと車両制御装置12が判断した場合、モータリングを終了すると判断してもよい。そのほか車両制御装置12は、内燃機関1の水温が、気筒50内の燃料が気化するのに十分な温度(例えば摂氏20度以上)になったと判断した場合、モータリングを終了すると判断してもよい。車両制御装置12は、モータリングを終了すると判断した場合(ステップS6 YES)、制御手順を終了する。なお、車両制御装置12は、制御手順を終了したのち燃料噴射と点火を開始し、内燃機関1を始動する。
【0028】
ステップS6において、車両制御装置12がモータリングを終了しないと判断した場合(ステップS7 NO)、ステップS2に処理を進める。
【0029】
ステップS4において車両制御装置12が、速度Vが所定速度V1以上であると判断した場合(ステップS4 NO)、車両制御装置12はステップS7に処理を進める。ステップS7では車両制御装置12は、モータリング出力レベル3の昇温モータリング制御を実行する。速度Vが所定速度V1以上の場合、電動車両Cはモータ2によって走行している可能性がある。この場合、駆動用電池6の電力がモータ2によっても消費されている。このため、車両制御装置12は、昇温モータリング制御による電力の消費を抑制するため、ステップS5よりもモータリング出力を抑制する。車両制御装置12は、ステップS7の処理を実行するとステップS6に処理を進める。
【0030】
ステップS2において車両制御装置12が、温度Tが第1所定温度T1以下かつ第2所定温度T2より大きい値にないと判断した場合(ステップS2 NO)、車両制御装置12は、ステップS8に処理を進める。
【0031】
ステップS8では車両制御装置12は、温度Tが第2所定温度T2以下か否か判断する。すなわち、車両制御装置12は、内燃機関1が極冷態始動を実行するか否か判断する。車両制御装置12は、温度Tが第2所定温度T2以下であると判断した場合(ステップS8 YES)、ステップS9に処理を進める。
【0032】
ステップS9では車両制御装置12は、モータリング可能時間を取得する。車両制御装置12は、モータリング可能時間をステップS3と同様に算出してもよい。車両制御装置12は、モータリング可能時間を取得するとステップS10に処理を進める。
【0033】
ステップS10では車両制御装置12は、昇温モータリング制御において加熱装置38をオフにするための信号をエンジン制御装置14に送信する。車両制御装置12は、信号を送信するとステップS11に処理を進める。
【0034】
ステップS11では車両制御装置12は、電動車両Cの速度Vを取得し、速度Vが所定速度V1未満か否かを判断する。車両制御装置12は、速度Vが所定速度V1未満と判断した場合(ステップ11 YES)、ステップS12に処理を進める。
【0035】
ステップS12では車両制御装置12は、加熱装置38をオフの状態にして昇温モータリング制御を実行する。車両制御装置12は、モータリング出力レベル2の昇温モータリング制御(加熱装置38オフ)を実行する。車両制御装置12は、モータリング出力レベル2の昇温モータリング制御を実行するとステップS13に処理を進める。
【0036】
ステップS13において車両制御装置12は、内燃機関1の温度Tを取得し、温度Tが第3所定温度T3以上か否か判断する。本実施形態では車両制御装置12は、ステップS13における内燃機関1の温度Tを、内燃機関1の水温から取得する。第3所定温度T3は、例えば内燃機関1のフリクションが低下し始める温度(例えば摂氏ゼロ度から摂氏20度の間の値)であってもよい。内燃機関1のフリクションが低下すると、昇温モータリング制御による電力の消費が下がる。車両制御装置12は、温度Tが第3所定温度T3以上と判断すると、ステップS14に処理を進める。
【0037】
ステップS14では車両制御装置12は、昇温モータリング制御において加熱装置38をオンにするための信号をエンジン制御装置14に送信する。エンジン制御装置14は、車両制御装置12から加熱装置38をオンする信号を取得すると加熱装置38をオンにする。車両制御装置12は、信号を送信するとステップS6に処理を進める。
【0038】
ステップS8において車両制御装置12が、温度Tが第2所定温度T2以下でないと判断した場合(ステップS8 NO)、車両制御装置12は、制御手順を終了する。すなわち、内燃機関1の温度TがT1より大きい場合、内燃機関1を暖機する必要がない。
【0039】
ステップS12において車両制御装置12が、速度Vが所定速度V1以上であると判断した場合(ステップS12 NO)、車両制御装置12はステップS15に処理を進める。ステップS15では車両制御装置12は、モータリング出力レベル1の昇温モータリング制御を実行する。
【0040】
このように車両制御装置12は、内燃機関1の温度T、および電動車両Cの走行状態に応じて、モータリング出力を変化させる。
【0041】
例えば、温度Tが第2所定温度T2以下となる極冷態状態では、内燃機関1のオイルの粘度の影響によってモータリングする際の内燃機関1のフリクションが大きい。さらに、極冷態始動に比べると駆動用電池6の出力可能な電力も小さい。このような場合、モータリング出力を抑制し、駆動用電池6を保護することが好ましい。さらに極冷態状態では、加熱装置38を停止し、駆動用電池6からの電力の供給を抑制することが好ましい。
【0042】
温度Tが第2所定温度T2より大きく第1所定温度T1以下となる冷態状態では、極冷態状態よりも内燃機関1のフリクションが小さく、駆動用電池6からの出力可能な電力も大きい。したがって、冷態状態では、加熱装置38を使った昇温モータリング制御によって、素早く内燃機関1を暖機する方が好ましい。
【0043】
また、電動車両Cの速度Vが、所定速度V1未満となる停車状態では、モータ2による走行の必要がない。これによって、駆動用電池6の出力可能の電力を、昇温モータリング制御に振り分けやすい。このため、車両制御装置12は、電動車両Cが停止中はモータリング出力を高くし、内燃機関1を素早く暖機できる。
【0044】
以上説明した通り、本開示によれば、新規のモータリングを実現できる内燃機関の制御システムを提供できる。
【0045】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0046】
(a)上記実施形態では、内燃機関1が4つの気筒50を有する例について説明したが本開示はこれに限定されない。内燃機関1は、少なくとも1つ以上の気筒50を有すればよい。
【0047】
(b)上記実施形態では、ファイアリングカムとモータリングカムを切り替えることによって保温モータリング制御および昇温モータリング制御を実行する例を説明したが本開示はこれに限定されない。吸気弁35および排気弁37は、保温モータリング制御および昇温モータリング制御が実行可能なように作動させることができれば、どのような方法によって作動させてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1:内燃機関,4:発電機(回転電機の一例)
38:加熱装置,40:触媒
50:気筒,50a:第1気筒,50b:第2気筒
図1
図2
図3
図4