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特開2024-115619情報処理装置及びプログラム更新方法
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  • 特開-情報処理装置及びプログラム更新方法 図1
  • 特開-情報処理装置及びプログラム更新方法 図2
  • 特開-情報処理装置及びプログラム更新方法 図3
  • 特開-情報処理装置及びプログラム更新方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115619
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム更新方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240820BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021337
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 洋則
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA43
5B376FA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プログラムの更新を失敗する可能性を軽減する情報処理装置及びプログラム更新方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、プログラムを記憶する第1記憶装置2と、プログラムの更新を行う制御装置1と、制御装置1の処理に必要な情報を一時的に記憶する第2記憶装置3と、制御装置1の温度を測定する温度センサ4と、を備える。制御装置1は、制御装置の装置温度及び制御装置の使用率の少なくとも何れか一方に基づいてプログラムを更新するか否かを判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを記憶する記憶装置と、
前記プログラムの更新を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記制御装置の装置温度、及び前記制御装置の使用率の少なくとも何れか一方に基づいて前記プログラムを更新するか否かを判断する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記装置温度が第1閾値以下の場合、又は前記使用率が第2閾値以下の場合、前記プログラムの更新を行う請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記装置温度が第1閾値以下の場合であって、且つ前記使用率が第2閾値以下の場合、前記プログラムの更新を行う請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記装置温度が第1閾値よりも高い場合、又は前記使用率が第2閾値よりも高い場合は、前記プログラムの更新を行わず、予め設定された第1時間の経過後に、前記プログラムを更新するか否かを再度判断する請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記装置温度が第1閾値よりも高い状態、又は前記使用率が第2閾値よりも高い状態が予め設定された上限時間以上継続した場合、前記プログラムの更新を行わない請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プログラムは、1面管理されるプログラムである請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プログラムは、ブートプログラムである請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置の記憶装置に記憶されたプログラムを更新するプログラム更新方法であって、前記情報処理装置の制御装置が、
前記制御装置の装置温度、及び前記制御装置の使用率の少なくとも何れかを取得するステップと、
前記装置温度、及び前記使用率の少なくとも何れかに基づいて前記プログラムを更新するか否かを判断するステップと、を含むプログラム更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムを更新する情報処理装置及びプログラム更新方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置において、新バージョンのプログラムを旧バージョンのプログラムに置き換えてプログラムの更新を行う場合、旧バージョンのプログラムが消去されることになる。そのため、新バージョンのプログラムの書き込みに失敗すると、プログラムを実行できなくなるといった問題がある。そこで、例えば特許文献1には、情報処理装置のメモリを第1領域及び第2領域の2つに分け、何れか一方に新バージョンのプログラムを書き込み、他方の旧バージョンのプログラムを消去せずに残すことで、安全にプログラムの更新を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-17315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報処理装置のプログラムには、メモリの複数の領域(面)に格納され、他面管理されるものと、メモリの予め決められた1つの領域に格納され、1面管理されるものとがある。他面管理されるプログラムにおいては、特許文献1に記載されるように、複数の領域に記憶されるプログラムの内の一つを新バージョンのプログラムに置き換えて更新することで、更新が失敗した場合も他の領域のプログラムを実行することができる。一方、1面管理されるプログラムにおいては、新バージョンのプログラムへの更新が失敗すると、プログラムを実行することができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を背景としたものであり、プログラムの更新を失敗する可能性を軽減することができる情報処理装置及びプログラム更新方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、プログラムを記憶する記憶装置と、プログラムの更新を行う制御装置と、を備え、制御装置は、制御装置の装置温度、及び制御装置の使用率の少なくとも何れか一方に基づいてプログラムを更新するか否かを判断するものである。
【0007】
また、本発明に係るプログラム更新方法は、情報処理装置の記憶装置に記憶されたプログラムを更新するプログラム更新方法であって、情報処理装置の制御装置が、制御装置の装置温度、及び制御装置の使用率の少なくとも何れかを取得するステップと、装置温度、及び使用率の少なくとも何れかに基づいてプログラムを更新するか否かを判断するステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報処理装置及びプログラム更新方法によると、装置温度、及び使用率の少なくとも何れかに基づいてプログラムを更新するか否かを判断することで、プログラムの更新の失敗の可能性を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る情報処理装置の概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る情報処理装置の第1記憶装置の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係る情報処理装置におけるプログラムの更新を説明する図である。
図4】実施の形態1に係るプログラム更新方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る情報処理装置100の概略構成図である。情報処理装置100は、例えば組み込み機器である。図1に示すように、情報処理装置100は、制御装置1と、第1記憶装置2と、第2記憶装置3と、温度センサ4と、を備えている。
【0011】
制御装置1は、CPU又はGPUなどのプロセッサである。制御装置1は、第1記憶装置2に記憶されるプログラムの実行及び更新を行う。第1記憶装置2は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。第1記憶装置2は、制御装置1で実行されるプログラムを記憶する。第2記憶装置3は、RAMなどの揮発性メモリである。第2記憶装置3は、制御装置1の処理に必要な情報を一時的に記憶する。
【0012】
温度センサ4は、情報処理装置100の装置温度Tを測定する。温度センサ4は、例えばサーミスタであり、情報処理装置100内において最も温度が高くなる制御装置1の周囲に配置され、制御装置1の温度を測定する。もしくは、温度センサ4は、サーマルダイオードで構成され、制御装置1に内蔵されてもよい。
【0013】
図2は、実施の形態1に係る情報処理装置100の第1記憶装置2の構成を示す図である。図2に示すように、第1記憶装置2は、1面と2面とに分割されている。そして、1面には、ブートプログラム、オペレーティングシステム(以下、「OS」と称する)、及びアプリケーションプログラムが記憶されており、2面には、OS及びアプリケーションプログラムが記憶されている。すなわち、第1記憶装置2には、1つのブートプログラムと、2つのOSと、2つのアプリケーションプログラムと、が記憶されている。なお、第1記憶装置2には、その他のプログラム及び各プログラムの実行に用いられる各種データが記憶されていてもよい。
【0014】
情報処理装置100の電源が投入されると、制御装置1が第1記憶装置2の第1面に記憶されたブートプログラムを読み出し、ブートプログラムを実行することによりシステムを起動する。次いで、ブートプログラムは、OS及びアプリケーションプログラムを第1記憶装置2の第1面又は第2面の何れかから適宜読み出して実行する。これにより、情報処理装置100が起動され、プログラムに応じた機能が実行される。
【0015】
図3は、実施の形態1に係る情報処理装置100におけるプログラムの更新を説明する図である。情報処理装置100は、自発的に、又は遠隔からの指示より第1記憶装置2に記憶されたプログラムの更新を行う。プログラムの更新は、プログラムの修正又は改善等により新バージョンのプログラム(以下、「更新プログラム」と称する)が発行された場合に行われる。図3に示すように、情報処理装置100の制御装置1は、第1記憶装置2に記憶されたプログラムを更新する際に、まず更新プログラムを第2記憶装置3に一時的に記憶する。更新プログラムは、例えば外部のサーバから、ネットワーク経由で情報処理装置100の通信装置(不図示)によって受信される。そして、制御装置1は、第2記憶装置3に記憶された更新プログラムを、第1記憶装置2の更新対象プログラム(ブートプログラム、OS及びアプリケーションプログラムの何れか)に置き換える。
【0016】
ここで、制御装置1が、更新プログラムを第1記憶装置2に書き込んでいる際に、情報処理装置100の電源断が発生すると、プログラムが正常に更新されず、失敗となってしまう。上記のように、第1記憶装置2に記憶されるプログラムの内、ブートプログラムは、情報処理装置100の電源投入時に起動するプログラムであり、電源投入時に参照するメモリの領域が決まっている。そのため、ブートプログラムは、第1記憶装置2の1面に記憶され、1面管理されている。一方で、OS及びアプリケーションプログラムは、ブートプログラムによって、情報処理装置100の起動処理完了後に呼び出されるため、適宜起動面を変更することが可能である。そのため、OS及びアプリケーションプログラムは、それぞれ2面管理されることが多い。ブートプログラムのように1面で管理されているプログラムの場合、ブートプログラムの更新を行っている際に電源断が発生すると、情報処理装置100の起動不良が発生し、装置故障となり得る。
【0017】
ここで、想定される主な電源断の要因は以下の通りである。
(1)停電による電源断
(2)プログラム異常(バグ)による電源断
(3)ユーザによる電源断
(4)高負荷による電源断
(5)温度異常による電源断
【0018】
(1)停電による電源断に関しては、計画停電以外の停電は予期することが難しい。また(2)プログラム異常の電源断の場合も、停電と同様に予期することが難しい。一方で、(3)ユーザによる電源断に関しては、原因の1つとして、情報処理装置100の処理速度が通常時より遅いために、ユーザによって電源が切られた可能性が考えられる。これは(4)高負荷による電源断と同様に、制御装置1の負荷が高いことに起因すると考えられる。そのため、(3)及び(4)の電源断については、制御装置1の使用率を取得することにより、予期することが可能である。また、(5)温度異常による電源断に関しては、情報処理装置100の装置温度Tを監視することで、予期することが可能である。
【0019】
そこで、本実施の形態の情報処理装置100では、電源断によるプログラムの更新の失敗を軽減するため、電源断の要因となり得る情報処理装置100の状態に応じてプログラムの更新を行うか否かを判断する。
【0020】
図4は、実施の形態1に係るプログラム更新方法のフローチャートである。図4では、ブートプログラムの更新方法について説明する。図4の各ステップは、情報処理装置100の制御装置1によって実行される。まず、変数iが0とされる(S1)。変数iは、本処理を開始してからのカウント値であり、後述するプログラムの更新を行わない場合の延期回数を示す値である。そして、変数iが上限値Nより小さいか否かが判断される(S2)。上限値Nは、プログラムの更新の延期回数の上限値であり、本処理を継続する上限時間(例えば1日)と後述する第1時間に基づき予め設定される。
【0021】
そして、変数iが上限値Nより小さい場合(S2:YES)、制御装置1の使用率Rが取得される(S3)。制御装置1の使用率Rは、制御装置1を構成するプロセッサの使用率である。使用率Rは、制御装置1が一度に扱える処理量のうちどの程度の割合を処理に使用しているかの割合(%)を示した値である。そして、取得した使用率Rが第1閾値R0より大きいか否かが判断される(S4)。第1閾値R0は、例えば50%である。
【0022】
取得された使用率Rが第1閾値R0以下の場合(S4:NO)、温度センサ4によって測定された装置温度Tが取得される(S5)。そして、取得された装置温度Tが第2閾値T0より大きいか否かが判断される(S6)。第2閾値T0は、例えば40℃である。
【0023】
取得された装置温度Tが第2閾値T0以下の場合(S6:NO)、ブートプログラムが更新される(S7)。ブートプログラムの更新では、上記のように第2記憶装置3に記憶されたブートプログラムの更新プログラムが、第1記憶装置2に書き込まれる。すなわち、本実施の形態の情報処理装置100では、制御装置1の使用率R及び装置温度Tが閾値以下の場合に、電源断が発生する可能性が低いと判断し、ブートプログラムの更新が行われる。
【0024】
一方、取得された制御装置1の使用率Rが第1閾値R0より高い場合(S4:YES)、又は取得された装置温度Tが第2閾値T0より高い場合(S6:YES)、予め設定された第1時間待機し(S8)、変数iに1を加算して(S9)、ステップS2に戻る。すなわち、制御装置1の使用率R又は装置温度Tが閾値よりも高い場合は、(3)ユーザによる電源断、(4)高負荷による電源断、又は(5)温度異常による電源断が発生する可能性があると判断し、ブートプログラムの更新が延期される。第1時間は、例えば1時間である。
【0025】
そして、ブートプログラムの更新がなされないまま変数iが上限値N以上となった場合(S2:NO)、ブートプログラムを更新することなく、本処理を終了する。すなわち、制御装置1の使用率Rが第1閾値R0より高い状態、又は取得された装置温度Tが第2閾値T0より高い状態が、上限時間以上継続した場合は、電源断が発生する可能性が高いと判断し、プログラムの更新を断念する。このとき、制御装置1は、情報処理装置100の表示部(不図示)等に、ブートプログラムを更新できなかった旨の通知を表示してもよい。
【0026】
以上のように、本実施の形態の情報処理装置100では、制御装置1の使用率R及び装置温度Tに基づき電源断の発生の可能性を推定し、電源断が発生する可能性がある場合は、プログラムの更新を行わないことで、プログラムの更新を失敗する可能性を軽減することができる。これにより、情報処理装置100の起動不良による故障の可能性を低減することが可能となる。
【0027】
また、情報処理装置100におけるプログラムの更新が、遠隔操作により実施される場合、プログラムの更新に失敗すると、情報処理装置100を直接現場で回収する必要がある。これに対し、本実施の形態の情報処理装置100では、プログラムの更新を失敗する可能性を軽減することができるため、回収の機会も減り、保守稼働の負担を軽減することができる。
【0028】
以上が本発明の実施の形態の説明であるが、本発明は、上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形又は組み合わせが可能である。例えば、上記実施の形態では、制御装置1の使用率R及び装置温度Tの両方に基づいてプログラムを更新するか否かを判断していたが、制御装置1の使用率R及び装置温度Tの少なくとも何れか一方に基づいてプログラムを更新するか否かを判断すればよい。
【0029】
また、上記実施の形態では、ブートプログラムを更新する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ブートプログラム以外の1面管理されるプログラムの更新時に、制御装置1の使用率R及び装置温度Tに基づき更新するか否かを判断してもよい。もしくは、OS又はアプリケーションプログラムなどの他面管理されるプログラムの更新時にも、制御装置1の使用率R及び装置温度Tに基づき更新するか否かを判断してもよい。これにより、OS又はアプリケーションプログラムの更新の失敗による同一プログラムの2回目以降のプログラム更新機会を減らすことが可能となる。
【0030】
また、更新されるプログラムが1面管理されているか、他面管理されているかに基づいて、制御装置1の使用率R及び装置温度Tに基づく判断を行うか否かを決定してもよい。さらに、1面管理されるプログラムの更新時と、他面管理されるプログラムの更新時とで、制御装置1の使用率Rの第1閾値R0及び装置温度Tの第2閾値T0の値を異ならせてもよい。例えば、他面管理されるプログラムの更新時の第1閾値R0及び第2閾値T0を、1面管理されるプログラムの更新時の第1閾値R0及び第2閾値T0よりも大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 制御装置、2 第1記憶装置、3 第2記憶装置、4 温度センサ、100 情報処理装置。
図1
図2
図3
図4