(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115620
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】データ管理システム、データ管理方法およびデータ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A61B3/10
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021338
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 皇太
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AB02
4C316AB11
4C316FB12
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】データ総量の増加速度を抑制しつつ、過去の撮影データに基づく解析が不可能になることを防止することが可能な技術の提供。
【解決手段】被検眼を撮影した撮影データを取得し、記憶媒体に記憶させる撮影データ記録部と、前記撮影データに基づく解析結果を示す解析データを取得し、前記記憶媒体に記憶させる解析データ取得部と、前記解析データが示す解析結果を表示部に表示させる表示制御部と、前記解析データ毎の基準時からの経過時間が閾値より大きい前記解析データを前記記憶媒体から削除するデータ管理部と、を備えるデータ管理システムを構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を撮影した撮影データを取得し、記憶媒体に記憶させる撮影データ記録部と、
前記撮影データに基づく解析結果を示す解析データを取得し、前記記憶媒体に記憶させる解析データ取得部と、
前記解析データが示す解析結果を表示部に表示させる表示制御部と、
前記解析データ毎の基準時からの経過時間が閾値より大きい前記解析データを前記記憶媒体から削除するデータ管理部と、
を備えるデータ管理システム。
【請求項2】
前記撮影データは、
光干渉断層撮影によって撮影されたデータである、
請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記撮影データは、
解析条件を示す解析設定データと、撮影条件を示す撮影設定データと、の少なくとも一方を含む、
請求項1または請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記解析データは、
前記撮影データに基づいて作成された前記被検眼の3次元画像データと、前記3次元画像データに基づいて作成された前記3次元画像データの各ピクセルに対応する前記被検眼の組織を示す組織データと、の少なくとも一方を含む、
請求項1または請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記基準時は、前記解析データへの最終アクセス日である、
請求項1または請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記データ管理部は、
予め指定された前記解析データと、予め指定された被検者の前記解析データと、の少なくとも一方は、前記基準時からの経過時間が閾値より大きくても前記解析データを削除しない、
請求項1または請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項7】
前記データ管理部は、
前記記憶媒体の残量が予め決められた値未満になるまで前記解析データの削除を行わない、
請求項1または請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項8】
被検眼を撮影した撮影データを取得し、記憶媒体に記憶させる撮影データ記録工程と、
前記撮影データに基づく解析結果を示す解析データを取得し、前記記憶媒体に記憶させる解析データ取得工程と、
前記解析データが示す解析結果を表示部に表示させる表示制御工程と、
前記解析データ毎の基準時からの経過時間が閾値より大きい前記解析データを前記記憶媒体から削除するデータ管理工程と、
を含むデータ管理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
被検眼を撮影した撮影データを取得し、記憶媒体に記憶させる撮影データ記録部、
前記撮影データに基づく解析結果を示す解析データを取得し、前記記憶媒体に記憶させる解析データ取得部、
前記解析データが示す解析結果を表示部に表示させる表示制御部、
前記解析データ毎の基準時からの経過時間が閾値より大きい前記解析データを前記記憶媒体から削除するデータ管理部、
として機能させるデータ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理システム、データ管理方法およびデータ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検眼を撮影する眼科装置において生成したデータの管理方法が知られている。例えば、特許文献1においては、OCT光学系によってOCTデータを取得し、OCTデータを、非削減対象データとするか、削減対象データとするか決定し、削減対象データはデータ量を削減する構成が開示されている。なお、削減対象データは、圧縮されるか、または削除される。引用文献1において、削減対象データとするか否かは、検者による選択や、検者によって入力された異常箇所、入力された症状等によって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、過去に撮影されたOCTデータに基づく解析が困難になる場合があった。すなわち、従来の技術においては、入力された異常箇所や症状等に応じてOCTデータが削除され得る。従来の技術において、削除されたOCTデータを元に戻すことは想定されていない。従って、あるOCTデータが削除対象となってしまうと、後の検査等によって再解析したい理由が生じたとしても再解析することができなかった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、データ総量の増加速度を抑制しつつ、過去の撮影データに基づく解析が不可能になることを防止することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、データ管理システムは、被検眼を撮影した撮影データを取得し、記憶媒体に記憶させる撮影データ記録部と、前記撮影データに基づく解析結果を示す解析データを取得し、前記記憶媒体に記憶させる解析データ取得部と、前記解析データが示す解析結果を表示部に表示させる表示制御部と、前記解析データ毎の基準時からの経過時間が閾値より大きい前記解析データを前記記憶媒体から削除するデータ管理部と、を備える。
【0006】
すなわち、データ管理システムにおいて、撮影データから生成された解析データは削除対象となり得るが、撮影によって得られた撮影データは削除対象とならない。このため、経過時間に応じて解析データが順次削除されていくことでデータ総量の増加速度を抑制することができる。一方で、撮影データは削除されないため、解析データが削除された後に解析の必要が生じた場合には、撮影データから解析データを生成することで、任意の解析項目について解析を行うことが可能である。このため、過去の撮影データに基づく解析が不可能になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2Aはデータ取得処理のフローチャート、
図2Bはデータ閲覧処理のフローチャートである。
【
図4】記憶媒体に記憶された撮影データおよび解析データのデータ量を模式的に示す棒グラフである。
【
図5】記憶媒体に記憶された撮影データおよび解析データのデータ量を模式的に示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)データ管理システムの構成:
(2)他の実施形態:
【0009】
(1)データ管理システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかるデータ管理システム10を示す図である。本実施形態に係るデータ管理システム10には、光干渉断層撮影装置20、記憶媒体30、入力部40、表示部50が接続される。光干渉断層撮影装置20は、光源からの光を参照光と測定光とに分岐し、ミラー等によって戻された参照光と、被検眼によって戻された測定光と、の干渉を測定する光干渉断層撮影を行う装置である。本実施形態において、光干渉断層撮影装置20は、被検眼を撮影した撮影データを生成し、データ管理システム10に対して出力する。
【0010】
記憶媒体30は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Disk)等の不揮発性記憶媒体である。記憶媒体30には、種々のデータを保存可能であり、データ管理システム10は、任意のタイミングで記憶媒体30にデータを保存し、また、記憶媒体30に保存されたデータを読み出すことができる。本実施形態において、記憶媒体30には、被検眼を撮影した撮影データ30aと、撮影データ30aに基づいて生成され、被検眼の解析結果を示す解析データ30bと、が保存される。
【0011】
入力部40は、検者等の利用者が操作する装置であり、データ管理システム10に対して各種の入力を行うための装置である。入力部40の態様は特に限定されないが、例えば、キーボードやマウス等が挙げられる。むろん、タッチパネル等が入力部40を構成しても良い。表示部50は、各種の情報を表示するディスプレイ装置であり、データ管理システム10が生成した文字、画像等の各種の画像を表示する。表示部50の態様は特に限定されず、タッチパネルディスプレイであってもよい。
【0012】
データ管理システム10は、制御部11、通信インタフェース(I/F)12、ディスプレイI/F13を備えている。通信I/F12は、データ管理システム10と外部装置とを接続するインタフェースである。本実施形態においては、光干渉断層撮影装置20、記憶媒体30,入力部40が、通信I/F12を介してデータ管理システム10に接続される。通信I/F12は、種々の規格であって良く、例えばUSB規格等が挙げられる。
【0013】
ディスプレイI/F13は、データ管理システム10と表示部50とを接続するインタフェースである。ディスプレイI/F13は、種々の規格であって良く、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)やDVI(Digital Visual Interface)などが挙げられる。むろん、通信I/F12やディスプレイI/F13は、限定されず、無線通信のインタフェース等であって良い。
【0014】
制御部11は、図示しないCPU,RAM,ROMを備えており、記憶媒体30やROM等に記憶された各種プログラムを実行することができる。制御部11が実行するプログラムには、各種のプログラムが含まれる。例えば、光干渉断層撮影装置20を制御し、撮影データを取得させるための制御プログラム等が含まれる。光干渉断層撮影装置20において用いられる光干渉断層撮影の方式は、種々の方式であって良い。
【0015】
本実施形態にかかる光干渉断層撮影装置20は、偏光感受型OCTである。従って、制御部11の制御により、偏光感受型OCTの光干渉断層撮影装置20が動作し、ジョーンズ行列に対応した撮影データを生成する。すなわち、光干渉断層撮影装置20は、3次元の所定領域を撮影対象とし、当該所定領域内の各位置に対応する各ピクセルについて、ジョーンズ行列の4つの成分に対応した4つの偏光特性(HH、HV、VH、VV)のそれぞれについて撮影した生データを含む撮影データを取得する。本実施形態において、4つの偏光特性のそれぞれについて撮影した生データは4つのファイルとされる。
【0016】
なお、本実施形態に係る撮影データには、生データ以外のデータが含まれている。すなわち、撮影データには、解析条件を示す解析設定データと、撮影条件を示す撮影設定データとが含まれている。
【0017】
解析設定データは、光干渉断層撮影装置20において解析データを生成するための解析条件を示すデータである。すなわち、解析設定データが存在すれば、任意のタイミングで生データに基づいて解析データを生成することができる。解析設定データは、解析に用いられる各種の条件であって良く、例えば、ジョーンズ行列フィルタのカーネルサイズ、ノイズフロア、1ポジションのデータを生成するために参照されるピクセル数などの、各種パラメータによって定義可能である。
【0018】
撮影設定データは、光干渉断層撮影装置20において撮影の際に適用された撮影条件を示すデータである。例えば、ガルバノミラーによるスキャン密度、加算平均によって生データを生成する際に撮影が行われた回数などの、各種パラメータが撮影設定データを構成する。
【0019】
一般に、光干渉断層撮影の撮影データのデータ量は大きく、当該撮影データに基づいて取得される解析データのデータ量も大きい。従って、複数の被検者の撮影データおよび解析データを記憶媒体30に記録していくと、記憶媒体30の容量をすぐに圧迫してしまう。特に、本実施形態のような偏光感受型OCTにおける撮影データは、3次元空間内の各ピクセルについて4つの偏光特性を示すデータであるため、そのデータ量がとても大きい。この結果、撮影データに基づいて取得される解析データのデータ量もとても大きい。
【0020】
そこで、本実施形態に係るデータ管理システム10は、撮影データのデータ量の増加速度を抑制する機能を備えている。
図1においては、この機能を実現するためのプログラムをデータ管理プログラム11aとして示している。データ管理プログラム11aによって制御部11が実行する機能には、撮影データ記録部11a1,解析データ取得部11b1,表示制御部11c1,データ管理部11d1が含まれる。
【0021】
管理対象となるデータの取得は、撮影データ記録部11a1,解析データ取得部11b1の機能によって実施される。
図2Aは、データ取得処理を示すフローチャートである。撮影データ記録部11a1は、被検眼を撮影した撮影データを取得し、記憶媒体に記憶させる機能である。利用者が、入力部40を操作して撮影指示を行うと、制御部11は、撮影データ記録部11a1の機能により、光干渉断層撮影装置20に指示し、撮影を行わせる(ステップS100)。当該指示に応じて光干渉断層撮影装置20によって被検眼が撮影され撮影データが生成されると、制御部11は、通信I/F12を介して撮影データを取得する。
【0022】
次に、制御部11は、撮影データ記録部11a1の機能により、当該撮影データを保存する(ステップS105)。すなわち、制御部11は、ステップS100で取得した撮影データを、通信I/F12を介して記憶媒体30に送信し、撮影データ30aとして記憶させる。なお、撮影データ30aには、撮影データ30aを特定するための識別情報(例えば、被検者のID,画像のID,日付,ファイル名等)が対応付けられた状態で記憶媒体30に記憶される。撮影データ30aを記憶媒体30に記憶させる際、制御部11は、各種アルゴリズムを用いて撮影データ30aを圧縮しても良い。撮影データ30aは、解析データ30bを生成するために用いられるため、可逆圧縮によって圧縮される。
【0023】
解析データ取得部11b1は、撮影データに基づく解析結果を示す解析データを取得し、記憶媒体に記憶させる機能である。すなわち、制御部11は、撮影データ30aに含まれる解析設定データおよび撮影設定データを参照し、生データに対して各種の解析処理を行って解析データを生成する(ステップS110)。解析データは、種々の解析のためのデータであって良く、本実施形態において制御部11は、4つの偏光特性(HH、HV、VH、VV)のそれぞれについての3次元画像データを生成する。3次元画像データには、3次元のピクセル毎の反射光および散乱光の強度、偏光エントロピー、複屈折による累積位相遅延量(cumulative phase retardation)、複屈折による局所位相遅延量(local phase retardation)、複屈折軸(optic axis of birefringence)を示すデータが含まれる。制御部11はこれらの3次元画像データを解析データとして生成する。これらは一例であり、これらのいずれかが生成されなくても良いし、他の情報、例えば、ダイアッテニュエーション(diattenuation)、偏光均一性(degree of polarization uniformity)を示すデータが解析データに含まれていても良い。
【0024】
さらに、本実施形態において制御部11は、被検眼の組織データを生成する。組織データは、3次元画像データに含まれる各ピクセルに対応した組織が何であるのかを示すデータである。例えば、被検眼の眼底部分においては、被検眼の奥から順に脈絡膜、網膜が存在する。これらの組織の境界は、3次元画像データが示す強度の勾配が大きくなるなどして区別可能である。そこで、制御部11は、3次元画像データが示すピクセル毎の強度に基づいて、組織境界を特定し、同一の組織に該当するピクセルに対して同一の組織であることを示す情報を対応付ける。制御部11は、このようにして3次元画像データに基づいて、3次元画像データの各ピクセルに対応する被検眼の組織を示す組織データを生成する。
【0025】
組織データを含む解析データが生成されると、制御部11は、通信I/F12を介して当該組織データを含む解析データを記憶媒体30に送信し、解析データ30bとして保存する(ステップS115)。なお、解析データ30bには、解析データ30bを特定するための識別情報(例えば、被検者のID,画像のID,日付,ファイル名等)が対応付けられた状態で記憶媒体30に記憶される。これらの識別情報は、撮影データ30aと共通である。すなわち、解析データ30bには、どの撮影データ30aから生成されたのか識別できるように識別情報が対応付けられる。解析データ30bを記憶媒体30に記憶させる際、制御部11は、各種アルゴリズムを用いて解析データ30bを圧縮しても良い。解析データ30bは、同じ被検者の被検眼の時系列的変化等を解析するため、再利用される可能性がある。従って、圧縮方式は可逆圧縮であることが好ましい。
【0026】
以上の処理によれば、撮影データ30aおよび解析データ30bが記憶媒体30に記憶される。この状態において、利用者は、所望のタイミングで解析データ30bが示す解析結果を閲覧することができる。表示制御部11c1は、解析データが示す解析結果を表示部に表示させる機能である。制御部11は、当該表示制御部11c1の機能により、
図2Bに示すデータ閲覧処理を実行する。
【0027】
具体的には、利用者は、入力部40を操作して、閲覧対象の選択を行う。制御部11は、表示制御部11c1の機能により、選択された閲覧対象を受け付ける(ステップS200)。閲覧対象の選択方法は、種々の方法であって良く、例えば、制御部11は、表示部50を制御し、被検者のID,画像のID,日付,ファイル名等の識別情報を選択可能に表示させる。利用者は、入力部40を操作し、表示された選択肢を選択することで閲覧対象を選択する。なお、閲覧対象の選択のために提示される識別情報は、解析データ30bと別に記憶媒体30に保存されていても良いし、撮影データ30aの識別情報であってもよい。
【0028】
次に、制御部11は、表示制御部11c1の機能により、ステップS200で選択された閲覧対象に対応した解析データ30bが存在するか否か判定する(ステップS205)。例えば、制御部11は、記憶媒体30を参照し、利用者が選択した識別情報と同一の識別情報が対応付けられた解析データ30bが保存されているか否か判定する。選択された閲覧対象に対応した解析データ30bが存在すると判定されない状態は、後述するデータ管理部11d1の機能により、解析データ30bが記憶媒体30から削除されている状態である。そこで、制御部11は、閲覧対象の解析データ30bの識別情報が対応付けられた撮影データ30aを記憶媒体30から取得し、解析データ取得部11b1の機能により解析データ30bを取得する。制御部11は、取得された解析データ30bを記憶媒体30に保存する。
【0029】
ステップS210が実行された場合、または、選択された閲覧対象に対応した解析データ30bが存在するとステップS205において判定されない場合、制御部11は、表示部50を制御して閲覧対象を表示させる(ステップS215)。すなわち、制御部11は、閲覧対象の解析データ30bを記憶媒体30から取得し、表示部50を制御して当該解析データ30bが示す解析結果を表示させる。
【0030】
以上のように解析データ30bが示す解析結果が表示された状態において、利用者は、入力部40に対する操作により、任意の解析結果の表示指示を入力し、表示部50に表示させることができる。例えば、利用者は、偏光エントロピー、複屈折による累積位相遅延量等を、切り替えながら表示部50に表示させることができる。そして、利用者は、表示部50に表示された解析結果に基づいて、被検眼の診断等を実行することができる。なお、撮影データ30aや解析データ30bが圧縮されて記憶媒体30に記憶されている場合、制御部11は、撮影データ30aや解析データ30bを展開してから処理を行う。
【0031】
データ管理部11d1は、解析データ毎の基準時からの経過時間が閾値より大きい解析データを記憶媒体から削除する機能である。上述のように、撮影データ30aから解析データ30bが生成されると、利用者は、所望のタイミングで解析結果を表示部50に表示させることができる。しかし、撮影データ30aと解析データ30bとを合わせたデータ量はd、一般に非常に大きく、記憶媒体30の容量を非常に圧迫しやすい。そこで、本実施形態において制御部11は、データ管理部11d1の機能により、使用頻度の低い解析データ30bを削除していく。
【0032】
図3は、データ削除処理を示すフローチャートである。データ削除処理は、予め決められた期間毎(例えば、1日毎)に実行される。データ削除処理が開始されると、制御部11は、データ管理部11d1の機能により、処理対象の解析データ30bを選択する(ステップS300)。具体的には、制御部11は、記憶媒体30を参照し、記憶媒体30に記憶されている解析データ30bを特定する。制御部11は、特定された解析データ30bのそれぞれを処理対象としてステップS300~S320のループ処理を行う。このため、制御部11は、ステップS300~S320のループ処理の対象となっていない解析データ30bを一つ処理対象として選択する。
【0033】
次に、制御部11は、データ管理部11d1の機能により、処理対象の解析データ30bの最終アクセス日を取得する(ステップS305)。次に、制御部11は、データ管理部11d1の機能により、処理対象の解析データの最終アクセス日からの経過時間が閾値より大きいか否かを判定する(ステップS310)。ステップS310において、処理対象の解析データの最終アクセス日からの経過時間が閾値より大きいと判定された場合、制御部11は、処理対象の解析データ30bを記憶媒体30から削除する(ステップS315)。一方、ステップS310において、処理対象の解析データの最終アクセス日からの経過時間が閾値より大きいと判定されない場合、制御部11は、ステップS315をスキップする。
【0034】
ステップS315を実行した場合、または、ステップS310において、処理対象の解析データの最終アクセス日からの経過時間が閾値より大きいと判定されない場合、制御部11は、全解析データ30bについて処理済みであるか否か判定する(ステップS320)。ステップS320において、全解析データ30bについて処理済みであると判定されない場合、制御部11は、ステップS300以降の処理を繰り返す。ステップS320において、全解析データ30bについて処理済みであると判定された場合、制御部11は、データ削除処理を終了する。
【0035】
以上のように、本実施形態においては、解析データ30bへの最終アクセス日が基準時であり、基準時である最終アクセス日からの経過時間が閾値より大きい場合に使用頻度が低いと見なされる。すなわち、最終アクセス日から閾値以上の日数が経過した解析データ30bは長期にわたりアクセスされていないため、制御部11は、当該解析データ30bを削除対象とする。基準時は、使用頻度が低いと見なすことができるように設定されていれば良く、他にも種々の時点が基準時となり得る。
【0036】
図4は、記憶媒体30に記憶された撮影データ30aおよび解析データ30bのデータ量を模式的に示す棒グラフである。
図4においては、横軸が時間、縦軸がデータ量のグラフによって、データ量の時系列の変化を模式的に示している。また、
図4においては、撮影データ30aを白い矩形、解析データ30bをハッチングされた矩形としてデータ量を示している。
【0037】
図4に示す例においては、時刻T0において、記憶媒体30に撮影データ30a1,30a2が保存され、解析データ30b1,30b2が保存されている。
図4においては、時刻T0以後においても撮影データ30aの生成および解析データ30bの生成が行われる例が示されている。時刻T1に達すると、時刻T0からの経過時間が閾値Thを超える。時刻T0から時刻T1までの期間において解析データ30b1,30b2に対するアクセスがなければ、制御部11は、解析データ30b1,30b2を削除する。
図4においては、撮影データ30aや解析データ30bが時間とともに次第に増加していくが、時刻T1において解析データ30b1,30b2が削除されたことによってデータ量の増加が抑制されている状態を例示している。また、
図4においては、時刻T1以後、新たな撮影が行われず、最終アクセス日からの経過時間が閾値を超えた解析データ30bが順次発生する例を示している。
【0038】
以上のように、基準時からの経過時間が閾値より大きい解析データ30bを削除する構成によれば、記憶媒体30に記録されたデータのデータ総量の増加速度を抑制することができる。また、本実施形態においては、最終アクセス日からの経過時間に基づいて削除対象の解析データ30bを特定するため、長期にわたって使用していない解析データ30bから削除していくことが可能である。
【0039】
以上のように、解析データ30bは削除対象となり得るが、本実施形態において撮影データ30aは削除対象にならない。そして、撮影データ30aは、解析設定データと、撮影設定データとを含むため、撮影データ30aが残っていれば、仮に解析データ30bが削除されていたとしても、撮影データ30aから解析データ30bを生成することが可能である。従って、過去の撮影データ30aに基づく解析が不可能になることを防止することが可能である。
【0040】
また、光干渉断層撮影装置20によって撮影された撮影データは、一般に、非常にデータ量が大きいが、本実施形態に係るデータ管理システム10によれば、にデータ量の増加速度を抑制することができる。
【0041】
(2)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、データ管理システムの装置構成は、
図1に示す構成に限定されない。
図1に示す各装置は、機能を共有するより少数の装置であっても良いし、より多数の装置であっても良い。具体的には、データ管理システム10は、光干渉断層撮影装置20,記憶媒体30, 入力部40,表示部50の少なくとも一つと一体の装置であっても良い。また、データ管理システム10の少なくとも一部がサーバによって構成されるなど、より多数の装置に分散していても良い。
【0042】
撮影データ記録部は、被検眼を撮影した撮影データを取得し、記憶媒体に記憶させることができればよい。すなわち、撮影データ記録部は、眼科装置により被検眼を撮影した生データを撮影データとして記憶媒体に保存することができればよい。撮影データは、被検眼を撮影したデータであり、当該撮影データに基づいて任意の解析を実施できればよい。従って、解析を実行するために必要なデータや撮影された撮影データがどのような条件で撮影されたのか示すデータなどは、撮影データに含まれていて良い。すなわち、削除されてしまうと解析が行えなくなる、または、解析困難になる、または、不便になるデータは撮影データに含まれていて良い。なお、撮影データは、圧縮された状態で記憶媒体に記憶されていても良い。圧縮方式は限定されない。再度の解析を考慮すると、可逆圧縮されることが好ましいが、再度の解析に支障がなければ不可逆圧縮であっても良い。
【0043】
なお、上述の実施形態において、撮影データは、光干渉断層撮影によって撮影されたデータであるが、撮影データは被検眼を撮影したデータであれば良く、撮影態様は光干渉断層撮影に限定されない。例えば、可視光や赤外線などの任意の光によって照明された被検眼からの反射光や散乱光を2次元撮像素子で撮影することで撮影データが生成されても良い。
【0044】
解析データ取得部は、撮影データに基づく解析結果を示す解析データを取得し、記憶媒体に記憶させることができればよい。すなわち、解析データ取得部は、撮影データに基づいて解析データを生成することができればよい。解析データは、被検眼に関する解析を行うためのデータであれば良く、解析の内容は限定されない。なお、解析データは、圧縮された状態で記憶媒体に記憶されていても良く、圧縮方式は限定されない。
【0045】
表示制御部は、解析データが示す解析結果を表示部に表示させることができればよい。すなわち、検者等が表示部を視認することによって解析結果を認識できるように構成されていれば良い。解析結果は、種々の結果であって良く、ある解析結果からさらに他の解析結果が生成され、表示されても良い。また、検者等の入力に基づいて表示態様や解析結果の表示内容が変化しても良い。
【0046】
データ管理部は、解析データ毎の基準時からの経過時間が閾値より大きい解析データを記憶媒体から削除することができればよい。すなわち、データ管理部は、解析データ毎のタイミングで各解析データを記憶媒体から削除することができればよい。基準時は、解析データ毎に決められれば良く、上述の実施形態のような最終アクセス日による定義以外にも種々の定義が可能である。例えば、解析データの基になった撮影データの撮影日や、同一被検者の最終撮影日、撮影データが撮影された年等が基準時となってもよい。また、上述の実施形態において、基準時は日が単位となっているが、時間、分等が単位となって基準時が定義されても良い。なお、利用者が明示的に指示を行うことにより、撮影データ30aや解析データ30bを記憶媒体30から削除可能であっても良い。
【0047】
さらに、撮影データ30aの構成は、上述の実施形態のような構成に限定されない。例えば、撮影データ30aに含まれるデータは、解析設定データと撮影設定データの少なくとも一方であっても良い。すなわち、解析設定データと撮影設定データのいずれかのデータが用いられない場合や、デフォルト値等を流用可能である場合には、全ての撮影データ30aに対応付けて保存されていなくても良い。
【0048】
さらに、データ管理部は、基準時からの経過時間に加え、他の要素を考慮して解析データ30bを削除するか否か決定しても良い。例えば、制御部11は、データ管理部11d1の機能により、特定の種類のデータは、基準時からの経過時間が閾値より大きくても解析データを削除しないように構成しても良い。特定の種類のデータとしては、例えば、予め利用者によって指定された解析データ30bが挙げられる。また、予め利用者によって指定された被検者について撮影された撮影データ30aから生成された解析データ30bが特定の種類のデータとなってもよい。
【0049】
具体的には、
図1に示す構成において、利用者は、予め入力部40を操作して解析データ30bや被検者を指定する。指定された解析データ30bは、指定されたことを示す情報が対応付けられて記憶媒体30に記憶される。制御部11は、上述の実施形態と同様の処理を行う。但し、
図3のステップS310において、最終アクセス日からの経過時間が閾値より大きいと判定された場合、制御部11は、さらに、処理対象の解析データ30bに対して指定されたことを示す情報が対応付けられているか否か判定する。指定されたことを示す情報が対応付けられている場合、制御部11はステップS315をスキップする。指定されたことを示す情報が対応付けられていると判定されない場合、制御部11は処理対象の解析データ30bを削除する。
【0050】
図5は、
図4と同様の表記により、記憶媒体30に記憶された撮影データ30aおよび解析データ30bのデータ量を模式的に示す棒グラフである。また、
図5に示す例においても、初期のデータ量の時間的な増加は
図4に示す例と同様である。但し、
図5においては、撮影データ30a2,30a3および解析データ30b2,30b3が、特定の種類のデータである状況が想定されている。
図5において、特定の種類のデータはグレーで表記されている。
【0051】
時刻T1に達すると、時刻T0からの経過時間が閾値Thを超える。時刻T0から時刻T1までの期間において解析データ30b1,30b2に対するアクセスがない場合、制御部11は、解析データ30b1を削除する。一方、解析データ30b2は、特定の種類のデータであるため、経過時間が閾値Thを超えても削除されない。また、時刻T2に撮影された解析データ30b3は、アクセスがないまま時刻T3に至って経過時間が閾値を超えたとしても、削除されない。以上の構成によれば、特定の種類のデータである解析データ30bが削除されないように構成することができる。従って、特定の診断結果や、特定の被検者の解析データ30bが削除されないようにすることができる。
【0052】
さらに、制御部11は、データ管理部11d1の機能により、記憶媒体30に記憶可能なデータ量の残量が予め決められた値未満になるまで解析データ30bの削除を行わない構成であっても良い。この構成によれば、記憶媒体30の残量に余裕がある状態においては、解析データ30bが削除されないため、解析データ30bが削除されていることに伴う撮影データ30aからの解析データ30bの再生成を行う必要がない。従って、所望のタイミングですぐに解析データ30bを参照することができる。
【0053】
さらに、撮影データは保存し続ける一方で、解析データは削除条件を充足した場合に削除する手法は、方法やプログラムの発明としても適用可能である。また、以上のような眼科装置、方法やプログラムは、単独の装置として実現される場合や、複数の機能を有する装置の一部として実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。
【符号の説明】
【0054】
1…引用文献、10…データ管理システム、11…制御部、11a…データ管理プログラム、11a1…撮影データ記録部、11b1…解析データ取得部、11c1…表示制御部、11d1…データ管理部、12…通信I/F、13…ディスプレイI/F、20…光干渉断層撮影装置、30…記憶媒体、30a…撮影データ、30a1…撮影データ、30a2…撮影データ、30a3…撮影データ、30b…解析データ、30b1…解析データ、30b2…解析データ、30b3…解析データ、40…入力部、50…表示部、