(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115625
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 13/06 20210101AFI20240820BHJP
H04N 23/53 20230101ALI20240820BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240820BHJP
【FI】
G03B13/06
H04N23/53
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021344
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊明
【テーマコード(参考)】
2H018
5C122
【Fターム(参考)】
2H018AA32
2H018BD06
2H018BE00
5C122EA54
5C122FK07
5C122FK15
5C122GE11
5C122GG01
5C122HA75
(57)【要約】
【課題】 大型化を来すことなく視線検出に関する検出精度の向上を図る。
【解決手段】 一端に覗き用の開口を有するファインダーと、内部に撮像素子が配置された装置本体とを備え、ファインダーが装置本体の上側に位置された状態で行う第1の撮影とファインダーが装置本体の横側に位置された状態で行う第2の撮影とが可能にされ、ファインダーは接眼レンズを有する接眼光学系と眼球へ向けて検出光を発する発光部と眼球で反射される検出光を受ける長方形状の受光面を有する検出部とを備え、検出部が第1の撮影において接眼光学系の光軸より上方又は下方に位置され、検出部は受光面の長手方向における水平成分が光軸に沿う向きで配置された。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に覗き用の開口を有するファインダーと、
内部に撮像素子が配置された装置本体とを備え、
前記ファインダーが前記装置本体の上側に位置された状態で行う第1の撮影と前記ファインダーが前記装置本体の横側に位置された状態で行う第2の撮影とが可能にされ、
前記ファインダーは接眼レンズを有する接眼光学系と眼球へ向けて検出光を発する発光部と眼球で反射される検出光を受ける長方形状の受光面を有する検出部とを備え、
前記検出部が前記第1の撮影において前記接眼光学系の光軸より上方又は下方に位置され、
前記検出部は前記受光面の長手方向における水平成分が光軸に沿う向きで配置された
撮像装置。
【請求項2】
前記第1の撮影において前記検出部が角膜より上方又は下方に位置される
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記検出部は前記開口と前記接眼光学系の間に配置され、
前記受光面は前記開口と反対側の端部が前記接眼光学系の光軸に近付く側に傾斜された
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記検出部が前記接眼光学系の外周より外側に位置された
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記検出部が前記接眼光学系の光軸より下方に位置された
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出部が一つ設けられた
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記発光部が前記接眼光学系の光軸を挟んだ反対側の位置にそれぞれ少なくとも一つずつ配置された
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記発光部が前記接眼光学系の光軸を挟んだ反対側の位置にそれぞれ複数配置された
請求項7に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は撮影時に被写体の画像を写し出すファインダーを備えた撮像装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置には、撮影時に被写体の画像を写し出すファインダーが設けられているものがある。ファインダーは、撮像装置における撮影前の視覚的な構図の決定を行うためや撮影前後の画像の確認や焦点を合わせるために使用され、覗き窓として設けられたり、モニター(ディスプレイ)として設けられたりする。
【0003】
このようなファインダーには、撮影時等においてオートフォーカス等を行うために、使用者の視線を検出する視線検出装置が設けられているものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
視線検出装置による検出結果に基づくオートフォーカスは、発光部から発せられた赤外光等の検出光が角膜で反射され、反射された検出光が検出部によって受光され、受光された検出光に基づいて瞳孔の位置が算出されることにより実行される。
【0005】
特許文献1には、接眼レンズの周囲に検出光(赤外光)を発する発光部が配置され、発光部から発せられた検出光が透過窓を透過されて角膜に到達し、角膜で反射された検出光がビームスプリッターによって検出部に導かれてオートフォーカスが行われる撮像装置の例が示されている。
【0006】
特許文献2には、光軸を基準とした反対側に検出光を発する発光部がそれぞれ配置され、発光部から発せられ角膜で反射された検出光が光軸上に配置されたビームスプリッターで反射されて検出部に導かれオートフォーカスが行われる撮像装置の例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-40535号公報
【特許文献2】特開平6-163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような視線検出装置がファインダーに設けられた撮像装置において、撮影者がファインダーを用いて撮影を行うときには、眼球のファインダーに対する光軸方向における位置が撮影や個人差等によって変化することがある。従って、視線検出に関する検出精度の向上を図るためには眼球のファインダーに対する位置の変化に拘わらず検出光が検出部に適正に入射される必要がある。
【0009】
そこで、特許文献2に記載された撮像装置のように、ビームスプリッターを光軸上に配置することにより、眼球のファインダーに対する光軸方向における位置の変化に拘わらず検出部の画角内に角膜で反射された光が入射されるため、眼球のファインダーに対する位置の変化に拘わらず検出光を検出部に適正に入射させることが可能である。
【0010】
一方、視線検出装置を有するファインダーを備えた撮像装置において、視線検出装置の構成部品が増えてしまうと各構成部品の配置スペースが必要になり大型化を来たすおそれがあるため、視線検出装置の部品点数の削減による構造の簡素化が図られることが望ましい。
【0011】
そこで、本技術撮像装置は、大型化を来すことなく視線検出に関する検出精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本技術に係る撮像装置は、一端に覗き用の開口を有するファインダーと、内部に撮像素子が配置された装置本体とを備え、前記ファインダーが前記装置本体の上側に位置された状態で行う第1の撮影と前記ファインダーが前記装置本体の横側に位置された状態で行う第2の撮影とが可能にされ、前記ファインダーは接眼レンズを有する接眼光学系と眼球へ向けて検出光を発する発光部と眼球で反射される検出光を受ける長方形状の受光面を有する検出部とを備え、前記検出部が前記第1の撮影において前記接眼光学系の光軸より上方又は下方に位置され、前記検出部は前記受光面の長手方向における水平成分が光軸に沿う向きで配置されたものである。
【0013】
これにより、第1の撮影において検出部の上下方向の画角が広くなると共に第2の撮影において検出部の左右方向の画角が広くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図2乃至
図11と共に本技術撮像装置を示すものであり、本図は、撮像装置の斜視図である。
【
図4】ファインダーの内部構造の一部を示す分解斜視図である。
【
図7】発光部から発せられる光の経路を示す図である。
【
図9】第1の撮影における眼球の位置と受光面の画角との関係等を示す図である。
【
図10】第2の撮影における眼球の位置と受光面の画角との関係等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本技術撮像装置を実施するための形態を添付図面に従って説明する。
【0016】
以下に示した発明を実施するための形態は、本技術撮像装置をスチルカメラに適用したものである。
【0017】
尚、本技術撮像装置の適用範囲はスチルカメラに限られることはない。本技術撮像装置は、例えば、ビデオカメラや携帯情報端末等の各種の撮像機能を有する各種の撮像装置に広く適用することができる。
【0018】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後方向を示すものとする。従って、被写体側(物体側)が前方になり、撮影者側が後方になる。尚、以下に示す前後方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0019】
また、以下に示すレンズは、単一のレンズによって構成されているもの及び複数のレンズによってレンズ群として構成されているものの両者を含む意味である。
【0020】
<撮像装置の概略構成>
撮像装置1は装置本体2とファインダー3を有し、外筐4の内外に所要の各部が配置されて成る(
図1参照)。
【0021】
装置本体2の前面部には円形状の図示しない光透過用開口が形成され、光透過用開口の周囲の部分がレンズ鏡筒70を装着するためのマウント部として設けられている。装置本体2の内部には光透過用開口の後方に撮像素子としてCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)が配置されている。
【0022】
装置本体2には、例えば、上面や後面等に各種の操作部5が配置されている。操作部5としては、例えば、電源釦、シャッター釦、ズーム摘子、モード切替摘子等が設けられている。装置本体2の後面にはディスプレイ6が配置されている。装置本体2の内部には図示しないメイン基板(制御基板)が配置されている。
【0023】
レンズ鏡筒70は、例えば、装置本体2に着脱可能な交換レンズである。尚、本技術は、装置本体の内部にレンズ鏡筒70の内部構造と同様の構造を有するレンズユニットが組み込まれたタイプやこのレンズユニットが装置本体に対して突出又は収納される沈胴タイプにも適用することが可能である。
【0024】
尚、本技術においては、装置本体2とファインダー3によって撮像装置1が構成されていてもよく、装置本体2とファインダー3とレンズ鏡筒70によって撮像装置1が構成されていてもよい。
【0025】
レンズ鏡筒70は軸方向が前後方向にされた略円筒状の外筒71と外筒71の内外に取り付けられ又は支持された所要の各部とから成る。レンズ鏡筒70の軸方向は撮像装置1の全体の光軸方向に一致されている。
【0026】
レンズ鏡筒70は後端部がマウント部に、例えば、バヨネット結合によって結合されることにより装置本体2に装着される。レンズ鏡筒70にはズームリングやフォーカスリングとして機能する、例えば、複数の操作リング72が設けられている。操作リング72は外筒71に回転可能に支持され、操作リング72が回転操作されることによりズーミングやフォーカシングが行われる。
【0027】
レンズ鏡筒70の内部には図示しない複数のレンズが光軸方向(前後方向)に離隔して位置され、これらのレンズは光軸方向へ移動可能な可動レンズ(可動レンズ群)と光軸方向へ移動不能な固定レンズ(固定レンズ群)とによって構成されている。
【0028】
<ファインダーの構成等>
以下に、ファインダー3の構成等について説明する(
図2乃至
図6参照)。
【0029】
ファインダー3は光軸方向が前後方向にされ、後端に撮影者が覗くための覗き用の開口3aを有している。ファインダー3には発せられた検出光を検出して自動でフォーカス制御を行う視線検出装置が設けられている。尚、撮像装置1においては、視線検出装置によって自動で行われる制御がフォーカス制御に限られることはなく、視線検出装置によって、例えば、自動でホワイトバランスの制御やモードの変更制御等の設定の変更が行われる構成にされていてもよい。
【0030】
ファインダー3は外筐4の一部として構成されたファインダーケース7とファインダーケース7の内外に配置された所要の各部とを有している(
図2乃至
図4参照)。ファインダーケース7は後方に開口されたケース部7aとケース部7aの後端部に取り付けられたパネル部7bとを有している。パネル部7bは前後に貫通された枠状に形成されている。
【0031】
ファインダーケース7の内部にはファインダー筐体8の後端部を除く部分が配置されている。ファインダー筐体8はレンズケース9とレンズホルダー10とフロントホルダー11と第1の遮光体12を有し、ファインダー筐体8の内部には接眼光学系13が配置されている。
【0032】
接眼光学系13は接眼レンズ14と第1のレンズ15と第2のレンズ16と第3のレンズ17の他に光学フィルター18や光学フィルター18の前側に配置された図示しない表示パネル等を有している。表示パネルとしては、例えば、エレクトロルミネセンス有機EL(Organic Electro Luminescence)や液晶パネル等が用いられている。
【0033】
レンズケース9は軸方向が前後方向にされた筒状に形成されている。レンズケース9はファインダー筐体8における外側の筒部として機能する。
【0034】
レンズホルダー10は軸方向が前後方向にされた筒状に形成され、例えば、後端部を除く部分がレンズケース9の内部に配置されている。レンズホルダー10はファインダー筐体8における内側の筒部として機能する。
【0035】
フロントホルダー11はレンズケース9の内部においてレンズホルダー10の前端部に取り付けられている。フロントホルダー11は軸方向が前後方向にされた筒状に形成されている。
【0036】
レンズホルダー10とフロントホルダー11には接眼光学系13を構成する各部が保持されている。レンズホルダー10には内部に接眼レンズ14と第1のレンズ15と第2のレンズ16と第3のレンズ17が前後に離隔した状態で後側から順に保持されている。尚、レンズホルダー10の内部に保持されるレンズの枚数は任意である。フロントホルダー11には内部に光学フィルター18や表示パネル等が前後に離隔した状態で保持されている。
【0037】
レンズホルダー10の内部には接眼レンズ14と第1のレンズ15の間に遮光枠として設けられた第2の遮光体19が配置されている。第2の遮光体19は可視光を遮蔽する機能を有し、外周面がレンズホルダー10の内周面に接した状態で配置されている。第2の遮光体19によって接眼光学系13における不必要な内面反射が防止され、撮影者から第1のレンズ15と第2のレンズ16と第3のレンズ17の各外周部が視認され難くなり、撮影者がファインダー3を使用したときの被写体の見え方の悪影響の発生が防止される。
【0038】
第1の遮光体12はファインダーカバーとして設けられ、可視光と後述する発光部から発せられる検出光(赤外光)とを遮蔽する機能を有している。第1の遮光体12はファインダーケース7のパネル部7bに取り付けられている。第1の遮光体12によって接眼光学系13における不必要な内面反射が防止され、撮影者から接眼レンズ14と第1のレンズ15と第2のレンズ16と第3のレンズ17の各外周部が視認され難くなり、撮影者がファインダー3を使用したときの被写体の見え方の悪影響の発生が防止される。
【0039】
第1の遮光体12は前面の一部がレンズホルダー10の後面に接した状態にされ、略矩形の枠状に形成されたベース面部20とベース面部20の内周部から後方に突出された窓枠部21と窓枠部21の内周部から突出された複数の検出光透過部22とを有している。第1の遮光体12は、例えば、ベース面部20と窓枠部21と検出光透過部22が射出成形によって一体に形成されている。
【0040】
第1の遮光体12はベース面部20がファインダーケース7の内部に位置され窓枠部21の前端部を除く部分がファインダーケース7から後方に突出されている。
【0041】
窓枠部21は左右に位置された一対の側方部23と側方部23の上下両端部間をそれぞれ連結する橋渡部24と下側の橋渡部24から下方に突出された突出部25とを有し、二つの側方部23と二つの橋渡部24とによって枠状の部分が構成されている。突出部25は後面が後ろ斜め上方を向く状態に傾斜され、後面側の部分に配置凹部25aを有している。
【0042】
窓枠部21の一対の側方部23にはそれぞれ上下に延びる取付溝23aが形成されている。第1の遮光体12には遮光を行うための図示しないアイカップ(アイフード)が着脱可能にされ、アイカップは一端部に設けられた一対の取付用突部がそれぞれ取付溝23aに挿入されて係合されることにより第1の遮光体12に装着される。
【0043】
検出光透過部22は第1の遮光体12の一部であるため可視光を遮蔽するが、発光部から発せられる検出光(赤外光)は透過する機能を有している。検出光透過部22は平板状に形成され、例えば、側方部23にそれぞれ二つずつが上下に離隔した状態で連続され、合計四つが設けられている。
【0044】
検出光透過部22は前方へ行くに従って左右方向において互いに近付くように稍傾斜され、接眼レンズ14の外周部における真後ろに位置されている。
【0045】
第1の遮光体12には前側から基板ホルダー26が取り付けられている。基板ホルダー26は略矩形の枠状に形成された取付枠部27と取付枠部27から後方に突出された複数の受け突部28とを有している。複数の受け突部28は取付枠部27の周方向に離隔して設けられ、一部が取付枠部27の内周から内方に突出されている。
【0046】
基板ホルダー26は取付枠部27がベース面部20に嵌合された状態で第1の遮光体12に取り付けられている。
【0047】
基板ホルダー26には基板29が取り付けられている。基板29としては、例えば、フレキシブルプリント配線板が用いられている。
【0048】
基板29は図示しない電源制御回路に接続されている。基板29は上方に開口する略U字状に形成され、左右に延びる連結部30と連結部30の左右両端部からそれぞれ上方に突出された一対の実装部31とを有している。
【0049】
基板29における実装部31の後面には、例えば、四つの発光部32が実装されている。発光部32は検出光、例えば、赤外光を発する機能を有している。尚、発光部32からは検出光として赤外光以外の光が発せられてもよい。
【0050】
基板29は連結部30と実装部31の各一部が受け突部28に後方から接する状態で基板ホルダー26に取り付けられている。基板29が基板ホルダー26に取り付けられ基板ホルダー26が第1の遮光体12に取り付けられた状態においては、発光部32がそれぞれ受け突部28の間において検出光透過部22の近傍に位置される。このとき発光部32からの検出光の出射位置である出射面(後面)32aが接眼光学系13の最外周より内側に位置されている。
【0051】
ファインダー筐体8の内部には発光部32から発せられる検出光を受光する検出部33が配置されている。検出部33は第1の遮光体12の突出部25に形成された配置凹部25aに配置され、開口3aと接眼光学系13の間に位置されている。
【0052】
検出部33は、例えば、結像用レンズ34とイメージセンサー35を有している(
図5及び
図6参照)。結像用レンズ34は凸レンズであり、入射された光を収束させてイメージセンサー35に結像する機能を有している。イメージセンサー35は後面が受光面35aとして形成されている。受光面35aは長方形状に形成され、長手方向Lと短手方向Sを有している。
【0053】
尚、検出部33においては、結像用レンズ34が複数のレンズによって構成されていてもよく、結像用レンズ34が存在しない構成にされていてもよい。結像用レンズ34が存在しない構成としては、例えば、ピンホールを有しピンホールを通る光がイメージセンサー35に結像される構成であってもよい。
【0054】
このように検出部33が結像用レンズ34の存在しない構成にされることにより、検出部33の構成が簡素化され、撮像装置1の製造コストの低減を図ることができる。
【0055】
検出部33は第1の遮光体12の下端部に配置され、接眼レンズ14の外周より下側に位置されている。従って、撮影時に検出部33が撮影者の視野に入り難いため、撮影者において違和感がなく良好な撮影を確保することができる。
【0056】
検出部33は配置凹部25aに配置された状態において、受光面35aが突出部25の傾斜状態に応じて後ろ斜め上方を向く状態にされる。従って、受光面35aは前端が光軸Pに近付く側に傾斜されている。検出部33は図示しない検出回路に接続されている。
【0057】
尚、検出部33は第1の遮光体12の上端部に配置されていてもよい。但し、検出部33が第1の遮光体12の下端部に配置されることにより、ファインダー3の下端部が装置本体2に連続される部分であるため、検出部33の配置スペースを十分に確保することが可能であり、撮像装置1の小型化を確保することができると共に設計の自由度の向上を図ることができる。また、検出部33が第1の遮光体12の下端部に配置されることにより、検出部33と装置本体2の内部に配置されたメイン基板等との間を接続する配線の引き回しを容易に行うことができると共に配線の長さを短縮することができる。
【0058】
上記には、発光部32が接眼レンズ14より撮影者側に配置された例を示したが、発光部32は接眼レンズ14より被写体側に配置されてもよい。例えば、発光部32が接眼レンズ14と第1のレンズ15の間に配置された第2の遮光体19に基板を介して配置されてもよい。
【0059】
<ファインダーにおける動作>
以下に、上記のように構成されたファインダー3における動作について説明する(
図7乃至
図10参照)。
【0060】
ファインダー3において、電源制御回路から発光部32に電流が供給されると、発光部32から検出光が発せられる。電源制御回路からの発光部32への電流の供給は、例えば、電源釦(操作部5)が操作されて撮像装置1が駆動状態に遷移されたときに行われる。
【0061】
発光部32から発せられた検出光は、一部の光が窓枠部21の検出光透過部22以外の部分で遮蔽されるが、検出光透過部22へ向かった光Aが検出光透過部22を透過されてファインダー3を使用している撮影者の眼球40へ向かう(
図7参照)。光Aは検出を行うために必要な十分な光量であり、光Aの一部が角膜50に達する。
【0062】
角膜50に達した検出光は角膜50で反射される。このときファインダー3においては検出光の出射位置(出射面32a)が接眼光学系13の最外周より内側に位置され、出射位置が接眼光学系13の光軸Pに近付いて位置されているため、発光部32から発せられ角膜50に達した各検出光が角膜50の狭い範囲、特に、瞳孔60付近に分布され易い。従って、反射した検出光が瞼や眼の形状等の個人差や眼球の位置変動等によって遮られ難く、検出部33に入射され易くなる。
【0063】
また、ファインダー3には上下左右に離隔して位置された四つの発光部32が設けられているため、角膜50で反射した検出光の検出部33への入射確率が高くされている。
【0064】
角膜50で反射された検出光(光A)は少なくとも一部が検出部33に入射される(
図8参照)。検出光が検出部33に入射されると、入射された検出光に基づいて検出回路によって視線検出に関する検出信号が算出され、算出された検出信号に応じて自動でフォーカシング制御が行われる。
【0065】
このように撮像装置1においては、発光部32から発せられた検出光を検出することにより自動でフォーカシング制御が行われるが、撮影者の撮影時には眼球40のファインダー3に対する光軸方向における位置が個人差により変化したり撮影者の動きにより変動したりする可能性がある。
【0066】
このような変化や変動に対してファインダー3に設けられた視線検出装置は、ファインダー3が装置本体2の上側に位置された状態で行う第1の撮影において、検出部33に設けられたイメージセンサー35の受光面35aの長手方向Lにおける水平成分Lhが光軸Pに沿う向きにされているため、変化や変動に拘わらず角膜50がイメージセンサー35の画角の範囲に存在するようにされている。
【0067】
具体的には、受光面35aの長手方向Lにおける水平成分Lhが光軸方向に沿い受光面35aの短手方向Sが光軸方向に直交する方向にされている。
【0068】
以下に、各撮影における眼球40の位置と受光面35aの画角との関係等について説明する(
図9及び
図10参照)。
【0069】
ファインダー3が装置本体2の上側に位置された状態で行う第1の撮影、即ち、撮像装置1が横長にされた状態で撮影を行う場合には、検出部33(受光面35a)が眼球40の中心を通る中心線Mの真下において眼球40の前斜め下方に位置される(
図9参照)。また、第1の撮影においては、受光面35aの上下方向における幅が左右方向における幅より大きい状態にされ受光面35aの画角が縦長の状態にされている。尚、中心線Mは光軸Pに略一致される線である。
【0070】
このとき眼球40がファインダー3に近い位置にある近距離の場合には、画角における上側の領域に眼球40が存在し易く画角の範囲に角膜50が存在する(
図9の上図参照)。逆に、眼球40がファインダー3から遠い位置にある遠距離の場合には、画角における下側の領域に眼球40が存在し易く画角の範囲に角膜50が存在する(
図9の下図参照)。
【0071】
特に、第1の撮影においては画角が縦長の状態にされているが、検出部33が中心線Mの真下において眼球40の前斜め下方に位置されているため、近距離の場合も遠距離の場合も角膜50が画角に対して多少左右に変動しても画角の範囲に角膜50が存在する。
【0072】
一方、ファインダー3が装置本体2の横側に位置された状態で行う第2の撮影、即ち、撮像装置1が縦長にされた状態で撮影を行う場合には、検出部33(受光面35a)が眼球40の中心を通る中心線Mの真横において眼球40の前斜め側方に位置される(
図10参照)。第2の撮影においては、受光面35aの左右方向における幅が上下方向における幅より大きい状態にされ受光面35aの画角が横長の状態にされている。
【0073】
このとき眼球40がファインダー3に近い位置にある近距離の場合には、画角における左側の領域又は右側の領域に眼球40が存在し易く画角の範囲に角膜50が存在する(
図10の上図参照)。逆に、眼球40がファインダー3から遠い位置にある遠距離の場合には、画角における右側の領域又は左側の領域に眼球40が存在し易く画角の範囲に角膜50が存在する(
図10の下図参照)。
【0074】
特に、第2の撮影においては画角が横長の状態にされているが、検出部33が中心線Mの真横において眼球40の前斜め側方に位置されているため、近距離の場合も遠距離の場合も角膜50が画角に対して多少上下に変動しても画角の範囲に角膜50が存在する。
【0075】
<まとめ>
以上に記載した通り、撮像装置1にあっては、眼球40で反射される検出光を受ける長方形状の受光面35aを有する検出部33が設けられ、検出部33が第1の撮影において接眼光学系13の光軸Pより上方又は下方に位置され、検出部33は受光面35aの長手方向Lにおける水平成分Lhが光軸Pに沿う向きで配置されている。
【0076】
従って、第1の撮影において検出部33の上下方向の画角が広くなると共に第2の撮影において検出部33の左右方向の画角が広くなる。これにより、眼球40のファインダー3に対する光軸方向における位置の変化や変動に起因する角膜50の画角からの外れをビームスプリッターを用いたり大型のイメージセンサーを用いることなく防止することができ、大型化を来すことなく視線検出に関する検出精度の向上を図ることができる。
【0077】
特に、ビームスプリッターが用いられる場合には、接眼光学系の光軸方向においてファインダーが大型になってしまう他、光学全長が長くなるためファインダーにおける倍率が低下し易く、ファインダーにおける倍率を高めようとすると接眼光学系が大型化し易く、やはりファインダーの大型化を来すおそれがある。
【0078】
従って、ファインダー3のように受光面35aの長手方向Lにおける水平成分Lhが光軸Pに沿う向きにされる構成によって眼球40のファインダー3に対する光軸方向における位置の変化や変動に起因する角膜50の画角からの外れを防止することにより、ファインダー3の倍率の低下やファインダー3の大型化を来すことなく視線検出に関する検出精度の向上を図ることができる。
【0079】
また、第1の撮影において検出部33が角膜50より上方又は下方に位置されるため、撮影時に検出部33が撮影者の視野に入り難く、良好な撮影を確保した上で視線検出に関する検出精度の向上を図ることができる。
【0080】
さらに、検出部33は開口3aと接眼光学系13の間に配置され、受光面35aは開口3aと反対側の端部が接眼光学系13の光軸Pに近付く側に傾斜されている。
【0081】
従って、受光面35aの向きが撮影者の撮影において眼球40の中心に近付くようにされるため、受光面35aの画角の範囲に角膜50が存在し易くなり、視線検出に関する検出精度の一層の向上を図ることができる。
【0082】
さらにまた、検出部33が一つ設けられているため、複数の検出部33を配置するためのスペースが必要なく、部品点数の削減及び小型化を図った上で視線検出に関する検出精度の向上を図ることができる。
【0083】
但し、ファインダー3においては、検出光の入射光量を高める等のために複数の検出部33が設けられる構成にすることも可能である。
【0084】
加えて、発光部32が接眼光学系13の光軸Pを挟んだ反対側の位置にそれぞれ少なくとも一つずつ配置されている。
【0085】
従って、接眼光学系13の光軸Pを挟んだ反対側の位置に配置された各発光部32から発せられる光がそれぞれ角膜50へ向かうため、角膜50で反射した検出光の検出部33に対する入射確率が高くなり、視線検出に関する検出精度の一層の向上を図ることができる。
【0086】
特に、発光部32が接眼光学系13の光軸Pを挟んだ反対側の位置にそれぞれ複数配置されることにより、接眼光学系13の光軸Pを挟んだ反対側の位置に配置された複数の各発光部32から発せられる光がそれぞれ角膜50へ向かうため、角膜50で反射した検出光の検出部33に対する入射確率が一層高くなり、視線検出に関する検出精度のより一層の向上を図ることができる。
【0087】
尚、上記には、ファインダー3が装置本体2の上側に位置された状態で行われる撮影を第1の撮影としたが、第1の撮影にはファインダー3が装置本体2の下側に位置された状態で行われる撮影も含まれる。
【0088】
<撮像装置の一実施形態>
以下に、本技術撮像装置の一実施形態によるスチルカメラのシステム構成の一例について説明する(
図11参照)。
【0089】
撮像装置(スチルカメラ)100(撮像装置1に相当)は、撮像機能を担うレンズユニット101と、撮影された画像信号のアナログ-デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部102と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部103とを有している。
【0090】
また、撮像装置100は、撮影された画像等を表示する液晶パネル等の画像表示部104(ディスプレイ6に相当)と、メモリー1000への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)105と、撮像装置100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)106と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等から成る入力部107(操作部5に相当)と、レンズユニット101に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部108とを備えている。
【0091】
レンズユニット101は、レンズ群109を含む光学系や、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子110等とによって構成されている。
【0092】
カメラ信号処理部102は、撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0093】
画像処理部103は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
【0094】
画像表示部104はユーザーの入力部107に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。
【0095】
R/W105は、画像処理部103によって符号化された画像データのメモリー1000への書込及びメモリー1000に記録された画像データの読出を行う。
【0096】
CPU106は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、入力部107からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0097】
入力部107は、例えば、シャッター操作を行うためのシャッターレリーズボタンや、動作モードを選択するための選択スイッチ等によって構成され、ユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU106に対して出力する。
【0098】
レンズ駆動制御部108は、CPU106からの制御信号に基づいてレンズ群109の各レンズを駆動する図示しないモータ等を制御する。
【0099】
メモリー1000は、例えば、R/W105に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリー(メモリーカード)や撮像装置100の内部に配置されている内部メモリーである。
【0100】
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
【0101】
撮影の待機状態では、CPU106による制御の下で、レンズユニット101において撮影された画像信号が、カメラ信号処理部102を介して画像表示部104に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、入力部107からのズーミングのための指示入力信号が入力されると、CPU106がレンズ駆動制御部108に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部108の制御に基づいてレンズ群109の所定のレンズが移動される。
【0102】
入力部107からの指示入力信号によりレンズユニット101の図示しないシャッターが動作されると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部102から画像処理部103に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W105に出力され、メモリー1000に書き込まれる。
【0103】
フォーカシングやズーミングは、CPU106からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部108がレンズ群109の所定のレンズを移動させることにより行われる。
【0104】
メモリー1000に記録された画像データを再生する場合には、入力部107に対する操作に応じて、R/W105によってメモリー1000から所定の画像データが読み出され、画像処理部103によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が画像表示部104に出力されて再生画像が表示される。
【0105】
尚、本技術において、「撮像」とは、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理から、カメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、画像処理部103による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理、R/W105によるメモリー1000への画像信号の書込処理までの一連の処理の一部のみ又は全てを含む処理のことを言う。
【0106】
即ち、「撮像」とは、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理のみを指してもよく、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理までを指してもよく、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理を経て、画像処理部103による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、撮像素子110による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部102による撮像素子110からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、及び画像処理部103による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、R/W105によるメモリー1000への画像信号の書込処理までを指してもよい。上記の処理において各処理の順番は適宜入れ替わってもよい。
【0107】
また、本技術において、撮像装置100は、上記の処理を行う撮像素子110、カメラ信号処理部102、画像処理部103、R/W105の一部のみ又は全てを含むように構成されていてもよい。
【0108】
<本技術>
本技術は、以下のような構成にすることができる。
【0109】
(1)
一端に覗き用の開口を有するファインダーと、
内部に撮像素子が配置された装置本体とを備え、
前記ファインダーが前記装置本体の上側に位置された状態で行う第1の撮影と前記ファインダーが前記装置本体の横側に位置された状態で行う第2の撮影とが可能にされ、
前記ファインダーは接眼レンズを有する接眼光学系と眼球へ向けて検出光を発する発光部と眼球で反射される検出光を受ける長方形状の受光面を有する検出部とを備え、
前記検出部が前記第1の撮影において前記接眼光学系の光軸より上方又は下方に位置され、
前記検出部は前記受光面の長手方向における水平成分が光軸に沿う向きで配置された
撮像装置。
【0110】
(2)
前記第1の撮影において前記検出部が角膜より上方又は下方に位置される
前記(1)に記載の撮像装置。
【0111】
(3)
前記検出部は前記開口と前記接眼光学系の間に配置され、
前記受光面は前記開口と反対側の端部が前記接眼光学系の光軸に近付く側に傾斜された
前記(1)又は前記(2)に記載の撮像装置。
【0112】
(4)
前記検出部が前記接眼光学系の外周より外側に位置された
前記(1)又は前記(2)に記載の撮像装置。
【0113】
(5)
前記検出部が前記接眼光学系の光軸より下方に位置された
前記(1)又は前記(2)に記載の撮像装置。
【0114】
(6)
前記検出部が一つ設けられた
前記(1)又は前記(2)に記載の撮像装置。
【0115】
(7)
前記発光部が前記接眼光学系の光軸を挟んだ反対側の位置にそれぞれ少なくとも一つずつ配置された
前記(1)又は前記(2)に記載の撮像装置。
【0116】
(8)
前記発光部が前記接眼光学系の光軸を挟んだ反対側の位置にそれぞれ複数配置された
前記(7)に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0117】
1 撮像装置
3 ファインダー
3a 開口
13 接眼光学系
14 接眼レンズ
32 発光部
32a 出射面(出射位置)
33 検出部
35a 受光面
40 眼球
50 角膜
P 光軸
100 撮像装置
110 撮像素子