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特開2024-115641プログラム、情報処理装置および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115641
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20240820BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20240820BHJP
   G06Q 20/26 20120101ALI20240820BHJP
【FI】
G06Q20/40 320
G06Q40/02
G06Q20/26
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021374
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
【テーマコード(参考)】
5L020
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA53
5L020AA75
5L040BB03
5L055AA53
5L055AA75
5L055BB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取引の決済において、口座の残高不足によって決済不可となる可能性を低減するプログラム、情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】プログラムは、コンピュータに、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付ける確認受付機能と、決済手段の有効性確認を行う確認機能と、第1取引者口座を管理する第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示する確保指示機能と、第1取引者装置または第2取引者装置から、決済の決済金額の確定通知を受け付ける通知受付機能と、確定通知に基づいて、確保金額と確定した決済金額との差額を算出する算出機能と、差額の精算に関する精算処理を実行する精算機能と、管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示する支払指示機能と、を実行させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付ける確認受付機能と、
前記要求に基づいて、前記決済手段の有効性確認を行う確認機能と、
前記有効性確認の結果に基づいて、前記第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、前記第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示する確保指示機能と、
前記第1取引者装置または前記第2取引者装置から、前記決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付ける通知受付機能と、
前記確定通知に基づいて、前記確保金額と前記確定した決済金額との差額を算出する算出機能と、
前記差額の精算に関する精算処理を実行する精算機能と、
前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示する支払指示機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
第1取引者の第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、前記第1取引者口座から管理口座への移動を指示する確保指示機能と、
前記第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、前記第1取引者口座に紐付けられた決済手段による決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付ける通知受付機能と、
前記確定通知に基づいて、前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示する
支払指示機能と、
前記確保金額から前記確定した決済金額を差し引いた差額を算出する算出機能と、
前記差額の精算に関する精算処理を実行する精算機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項3】
前記精算機能は、差額移動機能を備え、
前記差額移動機能は、
前記精算処理として、前記差額に基づいて、前記確保金額から前記確定した決済金額を差し引いた額が正の数値の場合、前記管理機関装置に対して前記管理口座から前記第1取引者口座への当該額の移動を指示し、他方、当該額が負の数値の場合、前記第1取引者口座を管理する第1機関装置に対して前記第1取引者口座から前記管理口座への当該額の移動を指示する、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付ける確認受付機能と、
前記要求に基づいて、前記決済手段の有効性確認を行う確認機能と、
前記有効性確認の結果に基づいて、前記第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、前記第1取引者口座から管理口座への移動を指示する確保指示機能と、
前記第1取引者装置または前記第2取引者装置から、前記決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付ける通知受付機能と、
前記確定通知に基づいて、前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第1取引者口座への前記確保金額の移動を指示する返金指示機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに、
前記確保金額から前記確定した決済金額を差し引いた金額を算出する算出機能と、
前記返金指示機能は、前記差し引いた金額が負の数値の場合、前記確保金額の移動の指示をとり止め、
前記コンピュータに、前記差し引いた金額が負の数値の場合、前記第1取引者装置または前記第2取引者装置に、前記決済金額が前記確保金額を超える旨を示すエラー通知を送信する送信機能と、を実現させる、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、前記確定通知に基づいて、前記第1取引者口座の利用可能な残高を含む第1取引者口座情報を取得する取得機能をさらに実現させ、
前記返金指示機能は、前記差し引いた金額が負の数値の場合であっても、前記差し引いた金額と前記残高の合計が正の数値の場合には、前記確保金額の移動を指示し、
前記送信機能は、前記差し引いた金額が負の数値の場合であっても、前記差し引いた金額と前記残高の合計が正の数値の場合には、前記エラー通知を送信しない、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記通知受付機能は、前記指示の応答として、前記管理機関装置から、前記管理口座から前記第1取引者口座に確保金額が移動された旨を示す通知を受け付け、
前記コンピュータに、前記通知に応じて、前記第1機関装置に対して、前記第1取引者口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示する支払指示能をさらに実現させる、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第1機関と前記管理機関は、同じ機関である、
請求項1、2、4~7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付ける確認受付部と、
前記要求に基づいて、前記決済手段の有効性確認を行う確認部と、
前記有効性確認の結果に基づいて、前記第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、前記第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示する確保指示部と、
前記第1取引者装置または前記第2取引者装置から、前記決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付ける通知受付部と、
前記確定通知に基づいて、前記確保金額と前記確定した決済金額との差額を算出する算出部と、
前記差額の精算に関する精算処理を実行する精算部と、
前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示する支払指示部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付け、
前記要求に基づいて、前記決済手段の有効性確認を行い、
前記有効性確認の結果に基づいて、前記第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、前記第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示し、
前記第1取引者装置または前記第2取引者装置から、前記決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、
前記確定通知に基づいて、前記確保金額と前記確定した決済金額との差額を算出し、
前記差額の精算に関する精算処理を実行し、
前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示する、
情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータが、
第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付け、
前記要求に基づいて、前記決済手段の有効性確認を行い、
前記有効性確認の結果に基づいて、前記第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、前記第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示し、
前記第1取引者装置または前記第2取引者装置から、前記決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、
前記確定通知に基づいて、前記確保金額と前記確定した決済金額との差額を算出し、
前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示し、
前記差額の精算に関する精算処理を実行する、
情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータが、
第1取引者の第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、前記第1取引者口座から管理口座への移動を指示し、
前記第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、前記第1取引者口座に紐付けられた決済手段による決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、
前記確定通知に基づいて、前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示し、
前記確保金額から前記確定した決済金額を差し引いた差額を算出し、
前記差額の精算に関する精算処理を実行する、
情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータが、
第1取引者の第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、前記第1取引者口座から管理口座への移動を指示し、
前記第1取引者と第2取引者の取引の決済において、前記第1取引者の第1取引者装置、または前記第2取引者の第2取引者装置から、前記第1取引者口座に紐付けられた決済手段による決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、
前記確保金額から前記確定した決済金額を差し引いた差額を算出し、
前記差額の精算に関する精算処理を実行し、
前記確定通知に基づいて、前記管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、前記管理口座から前記第2取引者の第2取引者口座への前記決済金額の移動を指示する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デビットカードサービス等、取引の決済において、取引者の口座と紐付けられた決済手段を利用して、この口座から決済金額を直接引き落すサービスに関する技術が存在する(例えば、下記特許文献1)。このようなサービスでは、デビットカード等の決済手段の有効性確認(いわゆる、オーソリ)の要求が取引相手の店舗等の装置から送信されると、取引者の口座から決済金額が即時に引き落とされる仕組みを取り入れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、取引によっては、取引者の口座に紐付けられた決済手段の有効性確認から決済金額の確定までの間に時間がかかり、その間に取引の内容が変更される等、この有効性確認から即時に取引者の口座から決済金額を引き落とすことが適さない場合がある。しかしながら、このような場合において即時に引き落とさないとすると、有効性確認から決済金額の確定までの間に別の決済により引き落としがなされる等により残高不足が発生し、この口座に紐付けられた決済手段による決済が出来なくなる可能性があるという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、口座の残高不足によって決済不可となる可能性を低減することができるプログラム、情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者の第1取引者装置、または第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付ける確認受付機能と、要求に基づいて、決済手段の有効性確認を行う確認機能と、有効性確認の結果に基づいて、第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示する確保指示機能と、第1取引者装置または第2取引者装置から、決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付ける通知受付機能と、確定通知に基づいて、確保金額と確定した決済金額との差額を算出する算出機能と、差額の精算に関する精算処理を実行する精算機能と、管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示する支払指示機能と、を実現させる。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者の第1取引者装置、または第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付ける確認受付部と、要求に基づいて、決済手段の有効性確認を行う確認部と、有効性確認の結果に基づいて、第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示する確保指示部と、第1取引者装置または第2取引者装置から、決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付ける通知受付部と、確定通知に基づいて、確保金額と確定した決済金額との差額を算出する算出部と、差額の精算に関する精算処理を実行する精算部と、管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示する支払指示部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者の第1取引者装置、または第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付け、要求に基づいて、決済手段の有効性確認を行い、有効性確認の結果に基づいて、第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示し、第1取引者装置または第2取引者装置から、決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、確定通知に基づいて、確保金額と確定した決済金額との差額を算出し、差額の精算に関する精算処理を実行し、管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示する。
【0009】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者の第1取引者装置、または第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付け、要求に基づいて、決済手段の有効性確認を行い、有効性確認の結果に基づいて、第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示し、第1取引者装置または第2取引者装置から、決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、 確定通知に基づいて、確保金額と確定した決済金額との差額を算出し、管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示し、差額の精算に関する精算処理を実行する。
【0010】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1取引者の第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、第1取引者口座から管理口座への移動を指示し、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者の第1取引者装置、または第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者口座に紐付けられた決済手段による決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、確定通知に基づいて、管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示し、確保金額から確定した決済金額を差し引いた差額を算出し、差額の精算に関する精算処理を実行する。
【0011】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1取引者の第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、第1取引者口座から管理口座への移動を指示し、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者の第1取引者装置、または第2取引者の第2取引者装置から、第1取引者口座に紐付けられた決済手段による決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付け、確保金額から確定した決済金額を差し引いた差額を算出し、差額の精算に関する精算処理を実行し、確定通知に基づいて、管理口座を管理する管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取引の決済において、口座の残高不足によって決済不可となる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る決済支援システムのシステム構成例を説明するための図である。
図2】第1実施形態に係る決済支援システムの概要の一例を説明するための図である。
図3】第1実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る決済支援システムの動作例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る決済支援システムの動作例を示す図である。
図6】第1実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る決済支援システムの動作例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る決済支援システムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一または同様の構成を有する。
【0015】
本発明において、「部」、「手段」、「装置」、又は「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」、「手段」、「装置」、又は「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」、「手段」、「装置」、又は「システム」が有する機能が、物理的手段、装置、又はソフトウェア・モジュールの2つ以上の組み合わせにより実現されても、2つ以上の「部」、「手段」、「装置」、又は「システム」の機能が、1つの物理的手段、装置、又はソフトウェア・モジュールにより実現されても良い。
【0016】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者の口座(以下、「第1取引者口座」ともいう)に紐付けられた決済手段を利用して決済を行う例を説明する。また、本実施形態では、第1取引者口座に紐付けられた決済手段(以下、「第1取引者口座の決済手段」ともいう)を、第1取引者が所有するデビットカードを利用した決済(以下、「デビット決済」ともいう)とする例を説明する。しかしながら、本発明に係る第1取引者口座の決済手段はこれに限定されない。例えば、第1取引者口座の決済手段は、デビットカードを利用しない即時の口座振替(口座引き落とし)または口座振込、プリペイド方式の資金移動手段等であってもよい。また、本発明に係る取引の決済に利用される資金は、例えば、銀行の口座残高の他に、電子マネー等の暗号資産等であってもよい。
【0017】
本実施形態の第1取引者および第2取引者は、個人であっても事業者であってもよい。本実施形態に係る決済支援システム1は、B2C(事業者と個人との間取引)の決済以外にも、C2BまたはB2B、C2C等の決済にも用いることができる。
【0018】
デビット決済とは、デビット決済を提供するシステム(以下、「デビットカードシステム」ともいう)を提供する金融機関(例えば、銀行等)または金融機関と提携する所定の事業者が、口座残高を上限として金融機関が管理する口座から即時的に第1取引者が指定した金額を引き落として第2取引者の口座(他の金融機関の口座を含む)に入金する決済手段である。
【0019】
本実施形態に係る決済支援システム1は、取引の決済のための資金を確保することで、当該決済を支援するシステムである。本実施形態では、第1機関の外接系システムの運営者が決済支援システム1の運営者である例を説明する。外接系システムは、例えば、第1機関のシステムと外部のシステムとの間の通信に対して通信制御および電文変換を行うシステムである。本実施形態では第1機関を第1銀行とする例を説明するが、本発明に係る第1機関はこれに限定されない。第1機関は、取引者の口座(アカウント)を管理する機関であればどのような機関であってもよく、例えば、銀行以外の金融機関、電子マネーを発行し管理する電子決済サービス事業者等であってもよい。また、本実施形態では、第1銀行が提供するデビット決済に関する機能(以下、「デビット決済機能」ともいう)を利用する例を説明する。
【0020】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る決済支援システム1のシステム構成例を説明する。
【0021】
図1に示すように、決済支援システム1は、運営者のサーバ装置100と、第1取引者の第1取引者装置200aと、第2取引者の第2取引者装置200bとを含む。サーバ装置100と、第1取引者装置200aと、第2取引者装置200bとは、ネットワークNを介して互いに接続されている。また、決済支援システム1は、外接系システムを兼ねており、銀行システム400とネットワークNを介して互いに接続されている。第1取引者装置200aと第2取引者装置200bは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「取引者装置200」ともいう。また、第1取引者と第2取引者とは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「取引者」ともいう。
【0022】
[サーバ装置]
サーバ装置100は、通信制御および銀行の口座の利用等のため、銀行の銀行システム400における銀行サーバ410と、ネットワークNを介して互いに接続されている。
【0023】
サーバ装置100は、取引者装置200、または銀行サーバ410との通信が可能な情報処理装置である。サーバ装置100は、所定のプログラム(以下、「サーバプログラム」ともいう)を実行することにより、取引者装置200等と連携して決済に関する情報(例えば、取引情報、決済手段情報および/または口座情報等)を管理し、デビット決済の利用の際に、口座残高の不足による決済不可を防止するための資金移動処理を制御する。
【0024】
口座情報は、銀行の各口座を管理するための情報である。口座情報は、例えば、対象の銀行を識別するための銀行コード、取引者、運営者および/または銀行が有する口座を識別するための口座番号、口座に入金されている総額等の口座残高、または口座を利用した取引の内容を示す取引内容等を含む。口座情報は、例えば、口座の認証情報を含んでもよい。認証情報の詳細は後述する。
【0025】
取引内容は、例えば、入出金履歴を示す入出金履歴を含む。入出金履歴は、例えば、各入出金を識別するための入出金ID、入出金の際に利用した銀行カードのID、またはデビットカードまたはクレジットカードの引き落としにおける各種カード会社等の入出金の相手方を示すID等を示す取引先ID、入出金された日時を示す入出金日時、口座に入金された金額を示す入金額、および/または口座から出金された金額を示す出金額等を含む。
【0026】
[取引者装置]
取引者装置200は、例えば、取引者が使用するスマートフォンまたはタブレット、ラップトップ等の端末装置であり、取引者からの商品購入等の入力の受付および取引者への手続き完了等の通知の出力、サーバ装置100との通信が可能な情報処理装置である。取引者装置200は、所定のプログラムを実行することにより、サーバ装置100と連携して取引情報を送受信したり、取引に関する画面を表示したり、取引者の指示を受け付けたりする。
【0027】
取引情報は、取引に関する情報である。取引情報は、例えば、各取引を識別するための取引識別情報、各取引の内容、取引日時、取引処理の状況(例えば、取引内容の受け付け中、決済手段の有効性確認中、または取引確定入力受け付け中、取引確定等)、(取引確定となった場合)各取引を決済するための決済指示等を含む。取引の内容は、例えば、取引対象の商品に関する情報(以下、「商品情報」ともいう)またはサービスに関する情報(以下、「サービス情報」ともいう)、取引金額、および/または取引に用いる決済手段に関する情報(以下、「決済手段情報」ともいう)等を含んでもよい。
【0028】
決済手段情報は、例えば、決済手段の種別を示す種別情報(例えば、クレジットカード決済、デビットカード決済、または電子マネー決済等)、決済手段を識別するための決済手段識別情報(例えば、カード番号、または口座番号等)、決済手段を提供する決済事業者識別情報、決済手段を利用する利用者の利用者識別情報、決済手段のセキュリティのためのセキュリティ情報等を含む。決済手段情報は、例えば、決済手段が利用停止中か否か、所定期間における決済手段による決済の履歴情報、決済手段に関する各種設定(例えば、上限額等)を示す設定情報等を含んでもよい。
【0029】
取引者装置200は、取引者が店舗(店舗の店員を含む)の場合、店舗で使用される情報処理装置であり、例えば、POSレジ端末、またはハンディ端末等であってもよい。取引者装置200は、例えば、設置されている店舗で販売されている商品の商品情報、または店舗で提供されているサービス情報を読み取るリーダー機能を備えてもよい。また、他の例として、取引者装置200はリーダー機能を備えず、取引者装置200に接続されたカードリーダ等の外部装置がリーダー機能を備えてもよい。取引者装置200は、例えば、商品またはサービス(以下、「商品等」ともいう)に関する情報の入力の受け付け、受け付けた商品等の代金の合計金額(言い換えれば、決済金額)の算出などのPOSレジ機能を備えてもよい。
【0030】
[銀行システムおよび銀行サーバ]
銀行システム400は、後述する第1銀行の第1銀行システム400a、第2銀行の第2銀行システム400bの総称である。銀行システム400は、例えば、デビットシステムを兼ねてもよい。
【0031】
銀行サーバ410は、後述する第1銀行の第1銀行サーバ410a、第2銀行の第2銀行サーバ410bの総称である。銀行サーバ410は、銀行口座の口座情報を管理し、口座に対する振替処理および/または振込処理、参照処理等を行う銀行システム400のサーバである。銀行サーバ410は、上記振込処理等に関するサービスを提供するためにサーバ装置100と連携する。
【0032】
銀行サーバ410は、例えば、銀行APIを、サーバ装置100等の外部に提供してもよい。銀行APIは、資金移動および残高照会等、既存機能を個別にサービス化して、外部のアプリケーションから利用するために、ソフトウェアコンポーネントが互いにやり取りするために使用するインタフェースである。銀行APIには、更新系APIと参照系APIとが含まれる。更新系APIは、銀行口座の振込・振替等の資金移動のためのAPIであり、参照系APIは、銀行口座の残高照会等の口座情報を取得するためのAPIである。
【0033】
[ネットワーク]
ネットワークNは、無線ネットワーク又は有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網又は、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network、IEEE802.11に準拠する通信(いわゆるWI/Fi(登録商標))を含む)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、可視光通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電力線通信ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0034】
<2.概要>
図2を参照して、決済支援システム1の概要の一例を説明する。本例では、第1取引者口座を管理する第1機関と管理口座を管理する管理機関は同じ機関、具体的には第1機関と管理機関は第1銀行とする例を説明する。他の例として、第1機関と管理機関は異なる機関であってもよい。管理口座は、後述する確保金額を確保するために一時的に管理する口座である。管理口座は、例えば、運営者が有する口座または第1銀行の別段預金の口座であってもよい。また、本例では、第2取引者口座を管理する第2機関と管理口座を管理する管理機関を異なる機関、具体的には、第2機関は第1銀行とは異なる第2銀行とする例を説明する。
【0035】
本例では、第1銀行システム400aについて第1取引者口座のデビットカードの発行が予め行われているものとする。また、本例では、第1銀行システム400aのデビットカードサービスの加盟店として第2取引者が登録されているものとする。
【0036】
(1)図2に示すように、まず、店舗等の顧客である第1取引者は、第2取引者に対して商品の購入の申込を行う。(2)次に、第1取引者は、第2取引者に対して、この購入取引に利用する決済手段として、デビット決済の利用を申請する。この利用申請は、例えば、第2取引者装置200bによる、デビット決済に利用する第1取引者のデビットカードの読み取り等であってもよい。この際、第2取引者装置200bは、第1取引者または第2取引者から、この購入取引のデビット決済の決済手段情報を含む取引情報の入力を受け付ける。
【0037】
(3)第2取引者装置200bは、上記(1)と(2)で受け付けられた決済手段情報に示された決済手段であるデビット決済の有効性を確認するために、デビット決済の提供元の第1銀行システム400aに向けて有効性の確認の要求、いわゆるオーソリ処理を行う。この有効性の確認の要求は、第1銀行システム400aの外接系システムのサーバであるサーバ装置100に送信される。また、第2取引者装置200bは、サーバ装置100に対して、この有効性の確認の要求と併せて取引情報を送信する。
【0038】
(4)サーバ装置100は、上記(3)送信された有効性の確認の要求を受信すると、デビット決済の有効性を確認する。このデビット決済の有効性の確認方法は、例えば、サーバ装置100が自装置で記憶する照合元の決済手段情報等と照合して確認する方法でもよい。また、他の例として、このデビット決済の有効性の確認方法は、例えば、第1銀行システム400aにデビット決済の有効性を問い合わせて、この有効性の確認の結果を示す確認結果情報を受信して確認する方法でもよい。
【0039】
(5)サーバ装置100は、上記(4)でデビット決済の有効性が確認できた場合、第1銀行の第1銀行サーバ410aに対して、第1取引者口座から管理口座への確保金の移動を指示する。本例では、確保金額を3万円とする。
【0040】
確保金額は、決済金額が確定する前にこの決済金額を確保するための資金の額である。確保金額は、例えば、(ア)取引者の指定により金額が設定されてもよいし、(イ)複数の取引者共通の金額が設定されてもよいし、(ウ)取引の種類および/または取引者の属性等に応じて金額が設定されてもよい。
【0041】
取引の種類は、例えば、サービスまたは商品の提供による売買取引(商品の購入取引を含む)、貸付、ファクタリング、送金取引、電子マネー等の価値の移転等であってもよい。また、取引者の属性は、例えば、取引者が個人であれば氏名、職業および/または年収、決済履歴等であってもよいし、取引者が事業者であれば、事業者名、事業内容、事業形態、従業員数、業種、事業規模、経営状況、資本状況および/または決済履歴等であってもよい。
【0042】
(6)第1銀行サーバ410aは、上記(5)の移動指示を受信した場合、確保金額の資金移動として、第1取引者口座と管理口座との間で口座振替を行う。この際、第1銀行サーバ410aは、第1取引者口座の残高から確保金額の3万円を減額し、管理口座の残高を3万円増額する。
【0043】
(7)第1取引者と第2取引者との間で商品の購入取引の決済金額(売上金額)を確定する。本例では、決済金額を5千円とする。(8)第2取引者装置200bは、第1取引者または第2取引者から決済金額の確定の入力を受け付けると、サーバ装置100に決済金額が確定した旨を通知する確定通知を送信する。
【0044】
(9)サーバ装置100は、上記(7)の確定通知を受け付けると、この確定通知に基づいて、確保金額と確定した決済金額との差額を算出する。
【0045】
(10)サーバ装置100は、上記(4)で有効性が確認された場合、上記(9)で算出した差額の精算に関する処理(以下、「精算処理」ともいう)を実行する。サーバ装置100は、第1銀行サーバ410aに対して、管理口座と第1取引者口座との間での差額の移動を指示する。具体的には、サーバ装置100は、確保金額から決済金額を差し引いた額が2万5千円のため、この2万5千円を第1取引者口座に差し戻すために、第1銀行サーバ410aに対して、管理口座から第1取引者口座への差額の移動を指示する。ここで、サーバ装置100は、差額がマイナスの場合、第1銀行サーバ410aに対して、第1取引者口座から管理口座に差額の移動を指示してもよい。
【0046】
(11)第1銀行サーバ410aは、上記(10)の移動指示(差し戻し指示)を受信すると、差額の資金移動として、管理口座と第1取引者口座との間で口座振替を行う。この際、また、第1銀行サーバ410aは、第1取引者口座の残高から差額を減額し、管理口座の残高を差額分増額してよい。具体的には、第1銀行サーバ410aは、管理口座の残高から2万5千円を減額し、第1取引者口座の残高を2万5千円増額してもよい。
【0047】
(12)サーバ装置100は、商品の購入取引における第2取引者への支払いを行うため、第1銀行サーバ410aに対して、管理口座から第2取引者口座への決済金額の移動を指示する。
【0048】
(13)第1銀行サーバ410aは、上記(12)の移動指示(支払い指示)を受信した場合、決済金額の資金移動として、管理口座と第2取引者口座との間で口座振込を行う。この際、第1銀行サーバ410aは、管理口座の残高から5千円を減額し、第2取引者口座の残高を5千円増額する。
【0049】
本概要では、サーバ装置100は、第1銀行サーバ410aに対して、管理口座と第1取引者口座とでの差額の移動を指示した後に、管理口座から第2取引者口座への決済金額の移動を指示している。サーバ装置100は、第1銀行サーバ410aに対して、管理口座と第2取引者口座とでの決済金額の移動を指示した後に、管理口座から第1取引者口座への差額の移動を指示してよい。サーバ装置100は、第1銀行サーバ410aに対して、管理口座と第2取引者口座とでの決済金額の移動と、管理口座から第1取引者口座への差額の移動とを併せて指示してよい。
【0050】
上記構成のもと、決済支援システム1は、第1取引者口座の決済手段の有効性確認の際に管理口座に確保金額を移動させておくことで、他の取引に残高が利用されることを防止することができる。このため、決済支援システム1は、取引の決済において、第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認から決済金額の確定までの間に時間がかかるような場合でも、第1取引者口座の残高不足によって決済不可となる可能性を低減することができる。
【0051】
上記構成のもと、決済支援システム1は、既存の第1銀行システム400a(デビットシステム)と外接系システムとの仕組みを利用して実現することができる。このため、即時振替等に適さない取引の決済に対して、例えば口座残高に与信枠を設けてそこで他の取引に利用されることを防止する等の特別の機能を構築することなく、既存の仕組みを利用して口座の残高不足によって不可となる可能性を低減することができる。
【0052】
<3.サーバ装置の機能構成>
図3を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。図3に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、を備える。
【0053】
制御部110は、受付部111と、指示部112と、確認部113と、算出部114と、精算部115とを備える。
【0054】
受付部111は、第1機関装置、第2機関装置、および/または管理機関等から、通信部120を介して各種情報を受信する。受付部111は、確認受付部111aを備える。確認受付部111aは、第1取引者と第2取引者の取引の決済において、第1取引者装置200a、または第2取引者装置200bから、第1取引者の第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認の要求を受け付ける。
【0055】
受付部111は、通知受付部111bを備える。通知受付部111bは、第1取引者装置200aまたは第2取引者装置200bから、第1取引者口座の決済手段による取引の決済の決済金額が確定した旨を通知する確定通知を受け付ける。
【0056】
指示部112は、取引者装置200、第1機関装置、第2機関装置、および/または管理機関等に対して、通信部120を介して各種指示を送信する。指示部112は、確保指示部112aを備える。確保指示部112aは、確認受付部111aが受け付けた有効性の確認の要求に基づいて、第1取引者口座を管理する第1機関の第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動を指示する。例えば、確保指示部112aは、第1機関装置が銀行サーバ410の場合、銀行サーバ410が提供する更新系APIを呼び出して、この確保金額の移動を指示してもよい。
【0057】
指示部112は、支払指示部112bを備える。支払指示部112bは、管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示する。
【0058】
確認部113は、確認受付部111aにより受け付けられた有効性の確認の要求に基づいて、第1取引者口座に紐付けられた決済手段の有効性確認を行う。確認部113は、記憶部130に記憶する照合元の決済手段情報と照合して有効期限内かまた利用停止になっていないか等を確認してもよい。また、他の例として、確認部113は、例えば、第1銀行システム400aにこの決済手段の有効性を問い合わせて、この有効性の確認の結果を示す確認結果情報を受信して確認してもよい。
【0059】
算出部114は、通知受付部111bにより受け付けられた確定通知に基づいて、確保金額と確定した決済金額との差額を算出する。この差額は、確保金額と確定した決済金額との差を示す金額であればどのような態様でもよい。
【0060】
精算部115は、確認部113による有効性確認の結果に基づいて、算出部114により算出された確保金額と決済金額との差額の精算に関する精算処理を実行する。
【0061】
精算部115は、例えば、差額移動部115aを備えてもよい。差額移動部115aは、精算処理として、確保金額と確定した決済金額との差額に基づいて、確保金額から決済金額を差し引いた額が正の数値の場合、管理機関装置に対して管理口座から第1取引者口座への当該額の移動を指示してもよい。他方、差額移動部115aは、精算処理として、確保金額と決済金額との差額に基づいて、確保金額から確定した決済金額を差し引いた額が負の数値の場合、第1取引者口座を管理する第1機関装置に対して第1取引者口座から管理口座への当該額の移動を指示する。
【0062】
通信部120は、ネットワークNを介して、取引者装置200、および/または銀行システム400等に各種情報を送受信する。通信部120は、例えば、ネットワークNを介して、取引者装置200から送信された取引情報を受信したり、第1取引者口座を利用する各種資金移動の指示を銀行システム400に送信したりする。
【0063】
記憶部130は、取引情報と、口座情報とを記憶してもよい。記憶部130は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0064】
<4.動作例>
図4~5を参照して、本実施形態に係る決済支援システム1の動作例を説明する。図4は、決済支援システム1において、取引者から取引情報の入力を受け付けてから、第1取引者口座の決済手段の有効性の確認までの処理の流れおよび各装置の相互作用を示すシーケンス図である。なお、以下に示す処理の順番および単位は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0065】
図4に示すように、取引者装置200は、取引者から取引情報の入力を受け付ける(S10)。取引者装置200は、この受け付けられた取引情報と、取引情報が示す第1取引者口座の決済手段に対する有効性の確認の要求とをサーバ装置100に送信する(S11)。
【0066】
サーバ装置100の受付部111(確認受付部111aを含む)は、上記送信された取引情報と上記確認の要求を受け付ける(S12)。サーバ装置100の確認部113は、この確認の要求に基づいて、第1取引者口座の有効性確認を行う(S13)。
【0067】
取引者装置200、サーバ装置100、第1機関装置、管理機関装置は、上記第1取引者口座の決済手段の有効性が確認できた場合(OK)の場合、複合フラグメントalt1(alternative1)が示すエリアにおける破線の上部内の処理を実行する。具体的には、サーバ装置100の確保指示部112aは、第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への確保金額の移動指示を送信する(S14)。第1機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S15)。第1機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、第1取引者口座から管理口座に確保金額の資金移動に関する処理(以下、「移動処理」ともいう)を実行する(S16)。第1機関装置は、上記移動指示の応答として、確保金額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S17)。
【0068】
サーバ装置100の確認部113は、上記有効性の確認の結果(OK)を示す確認情報と、上記受信した資金移動情報とを取引者装置200に送信する(S18)。取引者装置200は、サーバ装置100から送信された確認情報と移動情報とを受信し、画面に出力する(S19)。取引者装置200は、取引者から、取引の決済の決済金額が確定した旨の入力を受け付ける(S20)。取引者装置200は、この決済金額が確定した旨を通知する確定通知をサーバ装置100に送信する(S21)。サーバ装置100の通知受付部111bは、取引者装置200から送信された確定通知を受け付ける(S22)。サーバ装置100の算出部114は、確定通知に基づいて、確保金額とこの確定した決済金額との差額を算出する(S23)。以降の処理の流れおよび相互作用については、図5に示す。
【0069】
取引者装置200、サーバ装置100、第1機関装置、管理機関装置は、上記第1取引者口座の決済手段の有効性が確認できなかった場合(NG)の場合、複合フラグメントalt1が示すエリアにおける破線の下部内の処理を実行する。具体的には、サーバ装置100の確認部113は、上記有効性の確認の結果(NG)を示す確認情報を取引者装置200に送信する(S25)。取引者装置200は、サーバ装置100から送信された確認情報を受信し、画面にエラーとして出力する(S26)。
【0070】
図5は、決済支援システム1において、図4の確定金額と決済金額との差額の算出する処理以降の処理の流れおよび各装置の相互作用を示すシーケンス図である。なお、以下に示す処理の順番および単位は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0071】
図5に示すように、取引者装置200、サーバ装置100、第1機関装置、管理機関装置は、上記算出された差額に基づいて、確保金額から確定した決済金額を差し引いた額(以下、単に「差額」ともいう)が正の数値の場合、複合フラグメントalt2(alternative2)が示すエリアにおける破線の上部内の処理を実行する。また、複合フラグメントpara(Parallel)が示すエリアにおける破線の上部のエリア内の処理と下部のエリア内の処理とを並列で行う。具体的には、サーバ装置100の支払指示部112bは、管理装置機関に対して、管理口座から第2取引者口座への決済金額の移動指示を送信する(S30)。管理機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S31)。管理機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、管理口座から第2取引者口座に決済金額の移動処理を実行する(S32)。管理機関装置は、上記移動指示の応答として、決済金額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S33)。
【0072】
上記ステップS30と並列で、サーバ装置100の差額移動部115aは、確保金額と決済金額との差額の精算処理として、管理機関装置に対して、管理口座から第1取引者口座への差額の移動指示を送信する(S34)。管理機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S35)。管理機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、管理口座から第1取引者口座に差額の移動処理を実行する(S36)。管理機関装置は、上記移動指示の応答として、差額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S37)。なお、複合フラグメントpara(Parallel)が示すエリアにおける破線の上部のエリア内の処理と下部のエリア内の処理とは、並列処理に限られず、いずれか一方を先に処理してよい。つまり、ステップS30とステップS34とは、いずれかの移動指示を先に送信してよい。
【0073】
サーバ装置100の支払指示部112bおよび差額移動部115aは、上記それぞれに送信された資金移動情報を受信し、取引者装置200に送信する(S38)。取引者装置200は、サーバ装置100から送信された移動情報を受信し、画面に出力する(S39)。
【0074】
図5に示すように、取引者装置200、サーバ装置100、第1機関装置、管理機関装置は、上記算出された差額に基づいて、差額が負の数値の場合、複合フラグメントalt2が示すエリアにおける破線の下部内の処理を実行する。具体的には、サーバ装置100の差額移動部115aは、差額を追加で第1取引者に請求するために、第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への差額の移動指示を送信する(S40)。第1機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S41)。第1機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、第1取引者口座から管理口座に差額の移動処理を実行する(S42)。第1機関装置は、上記移動指示の応答として、差額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S43)。なお、他の例として、上記ステップ44~47に記載の処理は、上記ステップ40~43に記載の処理よりも先に実行されてもよいし、並列で実行されてもよい。
【0075】
サーバ装置100の支払指示部112bは、管理装置機関に対して、管理口座から第2取引者口座への決済金額の移動指示を送信する(S44)。管理機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S45)。管理機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、管理口座から第2取引者口座に決済金額の移動処理を実行する(S46)。管理機関装置は、上記移動指示の応答として、決済金額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S47)。
【0076】
サーバ装置100の支払指示部112bおよび差額移動部115aは、上記それぞれに送信された資金移動情報を受信し、取引者装置200に送信する(S48)。取引者装置200は、サーバ装置100から送信された移動情報を受信し、画面に出力する(S49)。
【0077】
<5.ハードウェア構成>
図6を参照して、上述してきたサーバ装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0078】
図6に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、および表示装置813を含む。
【0079】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶されたプログラムをプロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0080】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0081】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、取引情報および/または口座情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0082】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0083】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0084】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線または無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0085】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0086】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態は、第1取引者口座の決済手段の有効性確認の際に確保金額を管理口座に移動して確保する形態であったが、本実施形態は、有効性確認のタイミング、ひいては取引のタイミングに依存しないタイミングで確保金額を管理口座に移動する形態である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0087】
<1.サーバ装置の機能構成>
本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成の一例について説明する。本実施形態に係るサーバ装置100は、第1実施形態に係るサーバ装置100の通信部120と記憶部130とを共通して備え、制御部110においては、制御部110は、受付部111と、指示部112と、確認部113と、算出部114と、精算部115とを共通して備える。
【0088】
受付部111は、例えば、指示受付部(不図示)を備えてもよい。指示受付部は、第1取引者装置200aから送信された取引の決済の資金を確保するための確保指示を受け付ける。
【0089】
確保指示部112aは、例えば、第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、第1取引者口座から管理口座への移動を指示してもよい。
【0090】
支払指示部112bは、例えば、通知受付部111bにより受け付けられた確定通知に基づいて、管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第2取引者口座への決済金額の移動を指示してもよい。
【0091】
上記構成によれば、オーソリ処理等を含む取引に関する処理に依存せずに管理口座に確保金額を予め移動させて、取引の決済ための資金を確保することができる。このため、自由度の高いシステムを提供することができる。
【0092】
<2.動作例>
図7~8を参照して、本実施形態に係る決済支援システム1の動作例を説明する。図7は、決済支援システム1において、第1取引者からの決済金額の資金確保指示の入力を受け付けてから、確保金額を管理口座に移動するまでの処理の流れおよび各装置の相互作用を示すシーケンス図である。なお、本例では、確保金額の移動のトリガーを第1取引者からの指示とするイベントドリブンとする例を説明するが、これに限定されない。例えば、確保金額の移動のトリガーは、予めスケジューリングされたタイミングであってもよい。
【0093】
図7に示すように、第1取引者装置200aは、第1取引者から、取引の決済のための資金の確保指示(具体的には、確保金額の管理口座への移動指示)の入力を受け付ける(S50)。第1取引者装置200aは、この受け付けられた確保指示を、サーバ装置100に送信する(S51)。サーバ装置100の指示受付部は、この第1取引者装置200aから送信された確保指示を受け付ける(S52)。サーバ装置100の確保指示部112aは、例えば、この確保指示に基づいて、第1機関の第1機関装置に対して、確保金額を、第1取引者口座から管理口座への移動を指示する(S53)。第1機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S54)。第1機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、第1取引者口座から管理口座に確保金額の移動処理を実行する(S55)。第1機関装置は、上記移動指示の応答として、確保金額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S56)。サーバ装置100の確保指示部112aは、資金移動情報に基づいて、上記確保指示の応答として、決済のための資金が確保された結果を示す確保情報を第1取引者装置200aに送信する(S57)。第1取引者装置200aは、このサーバ装置100から送信された確保情報を受信して、画面に出力する(S58)。
【0094】
図8は、決済支援システム1において、取引者から取引情報の入力を受け付けてから、第2取引者の第2取引者口座への支払いまでの処理の流れおよび各装置の相互作用を示すシーケンス図である。
【0095】
図8に示すように、取引者装置200は、取引者から取引情報の入力を受け付ける(S60)。取引者装置200は、取引者から取引の決済の決済金額の確定の入力を受け付ける(S61)。取引者装置200は、この受け付けられた取引情報と、決済金額の確定を通知する確定通知とをサーバ装置100に送信する(S62)。
【0096】
サーバ装置100の受付部111(通知受付部111bを含む)は、上記送信された取引情報と上記確定通知を受け付ける(S63)。サーバ装置100の支払指示部112bは、管理装置機関に対して、管理口座から第2取引者口座への決済金額の移動指示を送信する(S64)。管理機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S65)。管理機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、管理口座から第2取引者口座に決済金額の移動処理を実行する(S66)。管理機関装置は、上記移動指示の応答として、決済金額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S67)。サーバ装置100の算出部114は、この資金移動情報に基づいて、確保金額と決済金額との差額を算出する(S68)。
【0097】
取引者装置200、サーバ装置100、第1機関装置、管理機関装置は、上記算出された差額に基づいて、差額が正の数値の場合、複合フラグメントalt3(alternative3)が示すエリアにおける破線の上部内の処理を実行する。具体的には、サーバ装置100の差額移動部115aは、確保金額と決済金額との差額の精算処理として、管理機関装置に対して、管理口座から第1取引者口座への差額の移動指示を送信する(S69)。管理機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S70)。管理機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、管理口座から第1取引者口座に差額の移動処理を実行する(S71)。管理機関装置は、上記移動指示の応答として、差額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S72)。
【0098】
取引者装置200、サーバ装置100、第1機関装置、管理機関装置は、上記算出された差額に基づいて、差額が負の数値の場合、複合フラグメントalt3が示すエリアにおける破線の上部内の処理を実行する。具体的には、サーバ装置100の差額移動部115aは、差額を追加で第1取引者に請求するために、第1機関装置に対して、第1取引者口座から管理口座への差額の移動指示を送信する(S73)。第1機関装置は、サーバ装置100から送信された移動指示を受け付ける(S74)。第1機関装置は、この受け付けられた移動指示に基づいて、第1取引者口座から管理口座に差額の移動処理を実行する(S75)。第1機関装置は、上記移動指示の応答として、差額の移動処理の結果を示す資金移動情報をサーバ装置100に送信する(S76)。
【0099】
サーバ装置100の支払指示部112bおよび差額移動部115aは、上記それぞれに送信された資金移動情報を受信し、取引者装置200に送信する(S77)。取引者装置200は、サーバ装置100から送信された移動情報を受信し、画面に出力する(S78)。
【0100】
サーバ装置100は、ステップS64~S67に記載の処理の実行前に、S68および複合フラグメントalt3が示すエリアのステップS69~S76に記載の処理を実行してよい。なお、この場合、サーバ装置100の算出部114は、取引情報に基づいて、確保金額と決済金額との差額を算出する(S68)。また、サーバ装置100の支払指示部112bは、差額の移動処理の結果(S72またはS76)を受けて、管理装置機関に対して、管理口座から第2取引者口座への決済金額の移動指示を送信する(S64)。
【0101】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態は、確保金額と確定した決済金額との差額の精算処理をする形態であったが、本実施形態は、確保金額を一旦全額第1取引者口座に返金する形態である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0102】
<サーバ装置の機能構成>
本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成の一例について説明する。本実施形態に係るサーバ装置100は、第1実施形態に係るサーバ装置100の通信部120と記憶部130とを共通して備え、制御部110においては、制御部110は、受付部111と、指示部112と、確認部113と、算出部114と、精算部115とを共通して備える。
【0103】
指示部112は、例えば、返金指示部(不図示)を備えてもよい。返金指示部は、通知受付部111bにより受け付けられた確定通知に基づいて、管理機関の管理機関装置に対して、管理口座から第1取引者口座への確保金額の移動を指示する。
【0104】
通知受付部111bは、例えば、指示部112による確保金額の移動の指示の応答として、管理機関装置から、管理口座から第1取引者口座に確保金額が移動された旨を示す通知(以下、「返金通知」ともいう)を受け付けてもよい。
【0105】
支払指示部112bは、例えば、通知受付部111bにより受け付けられた返金通知に応じて、第1機関装置に対して、第1取引者口座から第2取引者の第2取引者口座への決済金額の移動を指示してもよい。
【0106】
返金指示部は、算出部114が算出した差額が負の数値の場合、確保金額の移動の指示をとり止めてもよい。
【0107】
通信部120は、送信部(不図示)を備えてもよい。送信部は、差額が負の数値の場合、第1取引者装置200aまたは第2取引者装置200bに、取引の決済の決済金額が確保金額を超える旨を示すエラー通知を送信する。
【0108】
制御部110は、例えば、取得部(不図示)を備えてもよい。取得部は、確定通知に基づいて、第1取引者口座の利用可能な残高を含む、第1取引者の口座情報(以下、「第1取引者口座情報」ともいう)を取得する。この場合、返金指示部は、第1取引者口座情報に基づいて、差額が負の数値の場合であっても、差額と利用可能残高の合計が正の数値の場合には、確保金額の移動を指示してもよい。また、送信部は、第1取引者口座情報に基づいて、差額が負の数値の場合であっても、差額と利用可能残高の合計が正の数値の場合には、取引の決済の決済金額が確保金額を超える旨を示すエラー通知を送信しなくてもよい。
【0109】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0110】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0111】
[第1変形例]
上記実施形態に係るサーバ装置100における各構成の少なくとも一部は、取引者装置200が備えていてもよい。例えば、取引者装置200に決済支援システム1の専用アプリケーションとしてサーバ装置100の機能を全て実装させて、取引者装置200と、銀行サーバ410とのやり取りにより本発明を実現させてもよい。
【0112】
[第2変形例]
上記実施形態では示していないが、本発明に係る決済支援システムが対象とする取引は、店舗における購入取引に限定されない。本発明に係る決済支援システムは、例えば、以下の(ア)~(エ)のような取引にも適用可能である。
(ア)ホテルまたはクルーズ船等の有効性確認から決済金額確定までに時間がかかるサービスに関する取引(例えば、チェックイン時オーソリ処理を行い、チェックアウト時に売上確定するサービス等)
(イ)オーソリ環境を構築できない取引(インフライトセールス、レジでのオフライン決済など)
(ウ)ガソリンスタンドのPOSを利用した取引(例えば、オーソリ処理と売上確定処理が別タイミング等)、
(エ)オンラインワレット利用による取引(例えば、対面EC、メタバース・ゲーム等での時間差処理など)
【0113】
[第3変形例]
上記実施形態で説明した口座間の各種資金移動処理の方法(例えば、銀行口座の振込・振替等)は、それぞれ異なる資金移動処理の方法と代替可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…決済支援システム、100…サーバ装置、110…制御部、111…受付部、112…指示部、113…確認部、114…算出部、115…精算部、120…通信部、130…記憶部、200…取引者装置、200a…第1取引者装置、200b…第2取引者装置、400…銀行システム、410…銀行サーバ、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8