(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115647
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H02K3/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021388
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 浩威
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603BB01
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB04
5H603CB12
5H603CB19
5H603CC05
5H603CC07
5H603CC14
5H603CC17
5H603CD21
5H603CE02
5H603CE09
(57)【要約】
【課題】巻線を高占積化する。
【解決手段】モータは、複数のコイルと、導電部材と、を備える。前記複数のコイルはそれぞれ2つの端部を有する導線で形成される。前記導線の2つの端部のうち、一方の端部は前記コイルの内周部を形成し、他方の端部は前記コイルの外周部を形成する。前記複数のコイルのうち、隣接する2つのコイルの内周部は、前記導電部材を介して電気的に接続される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルと、
導電部材と、
を備え、
前記複数のコイルはそれぞれ2つの端部を有する導線で形成され、
前記導線の2つの端部のうち、一方の端部は前記コイルの内周部を形成し、他方の端部は前記コイルの外周部を形成し、
前記複数のコイルのうち、隣接する2つのコイルの内周部は、前記導電部材を介して電気的に接続される、
モータ。
【請求項2】
周方向において、前記複数のコイルの外形の大きさは互いに異なる、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記複数のコイルは、前記隣接する2つのコイルである第1コイルおよび第2コイルと、第3コイルとを備え、
前記第2コイルは、前記第1コイルと前記第3コイルとの間にあり、
前記第2コイルの他方の端部と、前記第3コイルの他方の端部とが電気的に接続されている、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
ステータを備え、
前記ステータは、前記複数のコイルの内側を通過するスポークを備え、
前記スポークは磁性体で形成されている、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項5】
前記複数のコイルのうち、1つのコイルの前記他方の端部は、外部装置と電気的に接続される、
請求項1又は2に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車に搭載するモータは、搭載された機器の多数化および大容量化によって、小型化し、かつ、高出力化が求められている。そして、小型化、かつ、高出力化のモータを実現するためには、巻線の高占積化が必要となる。
【0003】
巻線の高占積化を実現するため、ティースが幅広部と幅狭部とを有し、コイルが幅広部に巻回された第1コイルと、幅狭部に巻回された第2コイルと、を有するモータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、巻線の高占積化の観点でさらなる改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、巻線を高占積化できるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータは、複数のコイルと、導電部材と、を備える。前記複数のコイルはそれぞれ2つの端部を有する導線で形成される。前記導線の2つの端部のうち、一方の端部は前記コイルの内周部を形成し、他方の端部は前記コイルの外周部を形成する。前記複数のコイルのうち、隣接する2つのコイルの内周部は、前記導電部材を介して電気的に接続される。
【0008】
本発明に係るモータの一態様によれば、導線を高占積化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すモータが備えるステータの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すステータの軸方向に対して直交する平面における断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すモータが備える第1コイルの正面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すモータが備える第2コイルの正面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すモータが備える第3コイルの正面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示すモータが備える第4コイルの正面図である。
【
図8】
図8は、第1コイルと第2コイルと第3コイルと第4コイルとの組み立てを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態に係るモータを図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るモータ1の平面図である。
図2は、
図1に示すモータ1が備えるステータ4の斜視図である。
図3は、
図2に示すステータ4の軸方向Aに対して直交する平面における断面図である。なお、
図2、
図3では、説明の便宜のため、ロータ3を省略してある。また、
図3において、説明の便宜のため、複数のコイル群44のうち、一部のコイル群44を省略してある。
【0012】
以下の実施形態に係る
図1~
図7に示すモータ1の説明において、方向の理解を容易にするため、後述するシャフト2が延びる方向を軸方向Aと称呼し、後述するロータ3が回動する方向を周方向Cと称呼する。また、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト2の軸心2oを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと称呼する。さらに、軸方向Aおよび径方向Rに直交する方向を幅方向Xと称呼する。
【0013】
実施形態に係る
図1に示すモータ1は、軸方向Aから視た場合、ロータ3を基準とすると、ロータ3の径方向Rの外側にステータ4が位置する一方、ロータ3の径方向Rの内側にシャフト2が位置するインナーロータ型である。実施形態に係るモータ1は、例えば、三相交流電源に対して電気的に接続される三相モータ(DCモータ)である。
【0014】
実施形態に係るモータ1は、例えば電源からの電気エネルギーを、シャフト2の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。
【0015】
モータ1は、例えば、シャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、を備える。シャフト2は、いわゆる回転軸であって、例えば、金属部材で軸方向Aに沿って延びる円柱状又は円筒状に形成される。シャフト2は、軸心2oを有し、かつ、軸心2oを中心に回転可能に設けられる。そして、シャフト2は、周方向Cに回転することによって外部に動力を伝達する。
【0016】
ロータ3は、シャフト2の軸心2oを中心に回転可能に設けられる。本実施形態に係るロータ3は、径方向Rにおいてステータ4と対向して配置され、例えば、シャフト2に固定される。さらに、本実施形態に係るモータ1は、シャフト2とロータ3とを一体として形成してある。
【0017】
ロータ3は、例えば、径方向Rにおいてステータ4の内側に配置される。つまり、このモータ1は、ステータ4の径方向Rの内側にロータ3が位置するインナーロータ型のブラシレスモータである。
【0018】
ロータ3は、ヨーク31と、マグネット32と、を有する。ヨーク31は、例えば鉄等の磁性材料で形成される。
【0019】
マグネット32は、例えば、永久磁石によって構成される。本実施形態に係るロータ3は、例えば、8個のマグネット32を有する。
【0020】
ステータ4は、ロータ3を周方向Cへ回転させるための力を発生させる部分である。ステータ4は、
図3に示すように、例えば、1つのコア41と、複数のスポーク42と、複数のインシュレータ43と、複数のコイル群44と、を備える。
【0021】
コア41は、例えば、ケイ素鋼板、電磁鋼板、軟磁性鋼板等の板状の金属部材を軸方向Aへ積層することによって形成され、磁性を有する。コア41は、
図2、
図3に示すように、軸方向Aから視た場合、環状に形成される。そのため、本実施形態に係るコア41の径方向Rの内側には、
図3に示すように、複数のコイル群44を収容する収容空間41sが形成される。また、本実施形態に係るステータ4は、コア41とスポーク42とを別体に形成してある。
【0022】
スポーク42は、いわゆるティースである。スポーク42のそれぞれは、
図3に示すように、コア41の内周面から径方向Rの内側(つまりロータ3側)へ突出するように形成される。また、スポーク42のそれぞれは、軸方向Aおよび径方向Rに直交する幅方向Xの長さ42Wが、一定である。言い方を変えると、スポーク42のそれぞれは、径方向Rにおける内側の幅方向Xの長さ42W1と、径方向Rにおける外側の幅方向Xの長さ42W2と、が同一である。また、図示省略するが、スポーク42のそれぞれは、軸方向Aにおける長さが一定である。
【0023】
スポーク42は、径方向Rにおいて、コイル群44の内側を通過する。コイル群44のそれぞれは、複数のコイル440で形成されるため、スポーク42は、径方向Rにおいて、複数のコイル440それぞれの内側を通過する。本実施形態に係るステータ4は、例えば、12個のスポーク42を備える。
【0024】
インシュレータ43は、例えば、絶縁性の樹脂等により形成されてスポーク42の表面に装着され、スポーク42とコイル群44との間の絶縁性を確保する。本実施形態に係るステータ4は、例えば、12個のインシュレータ43を備える。
【0025】
複数のコイル群44は、例えば、周方向Cに沿って配置される。本実施形態に係るモータ1は、例えば、12個のコイル群44を備える。コイル群44のそれぞれは、例えば、複数のコイル440と、導電部材445と、を備える。つまり、モータ1は、複数のコイル440と、導電部材445と、を備える。本実施形態に係る複数のコイル440は、例えば、第1コイル441と、第2コイル442と、第3コイル443と、第4コイル444とで構成される。
【0026】
次に、第1コイル441に関して
図4を用いて説明する。
図4は、
図1に示すモータ1が備える第1コイル441の正面図である。第1コイル441は、2つの端部44a、44bを有する導線44cで形成される。
【0027】
導線44cは、いわゆる巻線であって、導電性を有する金属(例えば、銅、銅合金等)で形成され、一方の端部44aと、他方の端部44bとがひと続きとなるように一体的に形成される。また、本実施形態に係る導線44cは、例えば、長さ方向に対して直交する平面における断面形状が矩形状である平角線である。そして、導線44cは、
図3に示すスポーク42に複数回(本実施形態では4回)巻き回される。本実施形態に係る第1コイル441は、径方向Rの内側から外側を視た場合、スポーク42に対して導線44cを時計方向へ巻き回す。そして、導線44cがスポーク42に巻き回されることによって、スポーク42が通過する内周部44iが形成され、内周部44iが第1コイル441の内側となり、内側の反対となる外側に外周部44oが形成される。
【0028】
導線44cの2つの端部44a、44bうち、一方の端部44aは、第1コイル441の内周部44iを形成し、他方の端部44bは第1コイル441の外周部44oを形成する。また、導線44cは、軸方向Aに延在する複数の第1部分44dと、幅方向Xに延在する複数の第2部分44eと、を有する。
【0029】
第1部分44dは、例えば、銅等の導電性を有する金属製の板材に対してレーザ切断等をすることにより形成される。第2部分44eは、例えば、銅等の導電性を有する金属製の板材に対してレーザ切断等をすることにより形成される。そして、第1部分44dの軸方向Aの端部44d1と、第2部分44eの幅方向Xの端部44e1とは、例えば、径方向Rに沿ってレーザを用いた溶接等により電気的に接続される。
【0030】
第1部分44dの軸方向Aの端部44d1と、第2部分44eの幅方向Xの端部44e1とを、レーザを用いて溶接によって接続した場合には、角部を比較的小さく形成でき、収容空間41sに位置する導線44cの占積率を向上することができる。なお、角部は、第1部分44dの軸方向Aの端部44d1と、第2部分44eの幅方向Xの端部44e1とが交差して形成されていても構わない。
【0031】
第1コイル441の内周部44iは、幅方向Xにおいて対向する一対の第1部分44dと、軸方向Aにおいて対向する一対の第2部分44eと、によって形成される。幅方向Xにおいて対向する一対の第1部分44dは、幅方向Xにおいてスポーク42の最も近くに配置されている。軸方向Aにおいて対向する一対の第2部分44eは、軸方向Aにおいてスポーク42の最も近くに配置されている。内周部44iを形成する一対の第2部分44eのうち、先端側に位置する第2部分44eには、自身を径方向Rに貫通し、導電部材445を挿通する穴44fが形成される。そして、導電部材445を介して、第1コイル441の一方の端部44aと、第2コイル442の一方の端部44aとは、電気的に接続される。
【0032】
第1コイル441の内周部44iには、径方向Rにおいてスポーク42を通過させる第1空間部441sが形成される。第1空間部441sは、軸方向Aの長さがL11であり、幅方向Xの長さがW11である。
【0033】
第1コイル441の外周部44oは、幅方向Xにおいてスポーク42から最も遠くに配置され、かつ、幅方向Xにおいて対向する一対の第1部分44dと、軸方向Aにおいてスポーク42から最も遠くに配置され、かつ、軸方向Aにおいて対向する一対の第2部分44eと、によって形成される。外周部44oを形成する一対の第1部分44dのうち、先端側に位置する第1部分44dは、上述した他方の端部44bを構成する。そして、他方の端部44bは、例えば、不図示のバスバーを介して他のコイル群44の第4コイル444に対して電気的に接続される。他方の端部44bは、スポーク42に巻き回される部分から、軸方向Aに沿うように軸方向Aの一方側へ延出する。
【0034】
第1コイル441は、
図1、
図3に示すように、径方向Rにおいて第2コイル442に隣接して配置され、かつ、複数のコイル440において径方向Rの最も内側に配置される。
【0035】
次に、第2コイル442に関して
図5を用いて説明する。
図5は、
図1に示すモータ1が備える第2コイル442の正面図である。第2コイル442の構成において、第1コイル441の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について以下に説明する。
【0036】
第2コイル442の導線44cは、
図3に示すスポーク42に複数回(本実施形態では5回)、巻き回されることによって形成される。本実施形態に係る第2コイル442は、径方向Rの内側から外側を視た場合、スポーク42に対して導線44cを反時計方向へ巻き回す。
【0037】
第2コイル442の他方の端部44bと、第3コイル443の他方の端部44bとは、例えば、レーザを用いた溶接等により電気的に接続される。
【0038】
第2コイル442の内周部44iには、径方向Rにおいてスポーク42を通過させる第2空間部442sが形成される。第2空間部442sは、軸方向Aの長さがL12であり、幅方向Xの長さがW12である。そして、第2空間部442sの軸方向Aの長さL12と第1空間部441sの軸方向Aの長さL11とが同一であり、かつ、第2空間部442sの幅方向Xの長さW12と第1空間部441sの幅方向Xの長さW11とが同一である。
【0039】
第2コイル442は、
図1、
図3に示すように、径方向Rにおいて第1コイル441および第3コイル443に隣接して配置され、かつ、径方向Rにおいて第1コイル441と第3コイル443との間に配置される。
【0040】
次に、第3コイル443に関して
図6を用いて説明する。
図6は、
図1に示すモータ1が備える第3コイル443の正面図である。第3コイル443の構成において、第1コイル441の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について以下に説明する。
【0041】
第3コイル443の導線44cは、
図3に示すスポーク42に複数回(本実施形態では6回)、巻き回されることによって形成される。本実施形態に係る第3コイル443は、径方向Rの内側から外側を視た場合、スポーク42に対して導線44cを時計方向へ巻き回す。
【0042】
また、第3コイル443では、外周部44oを形成する一対の第2部分44eのうち、先端側に位置する第2部分44eが、他方の端部44bを形成する。そして、他方の端部44bは、径方向Rから視た場合にはL字状である。
【0043】
第3コイル443の内周部44iには、径方向Rにおいてスポーク42を通過させる第3空間部443sが形成される。第3空間部443sは、軸方向Aの長さがL13であり、幅方向Xの長さがW13である。そして、第3空間部443sの軸方向Aの長さL13と第1空間部441sの軸方向Aの長さL11とが同一であり、かつ、第3空間部443sの幅方向Xの長さW13と第1空間部441sの幅方向Xの長さW11とが同一である。
【0044】
第3コイル443は、
図1、
図3に示すように、径方向Rにおいて第2コイル442および第4コイル444に隣接して配置され、かつ、径方向Rにおいて第2コイル442と第4コイル444との間に配置される。
【0045】
そして、導電部材445を介して、第3コイル443の一方の端部44aと、第4コイル444の一方の端部44aとは、電気的に接続される。
【0046】
次に、第4コイル444に関して
図7を用いて説明する。
図7は、
図1に示すモータ1が備える第4コイル444の正面図である。第4コイル444の構成において、第1コイル441の構成と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について以下に説明する。
【0047】
第4コイル444の導線44cは、
図3に示すスポーク42に複数回(本実施形態では6回)、巻き回されることによって形成される。本実施形態に係る第2コイル442は、径方向Rの内側から外側を視た場合、スポーク42に対して導線44cを反時計方向へ巻き回す。
【0048】
第4コイル444の内周部44iには、径方向Rにおいてスポーク42を通過させる第4空間部444sが形成される。第4空間部444sは、軸方向Aの長さがL14であり、幅方向Xの長さがW14である。そして、第4空間部444sの軸方向Aの長さL14と第1空間部441sの軸方向Aの長さL11とが同一であり、かつ、第4空間部444sの幅方向Xの長さW14と第1空間部441sの幅方向Xの長さW11とが同一である。
【0049】
第4コイル444は、
図1、
図3に示すように、径方向Rにおいて第3コイル443に隣接して配置され、かつ、複数のコイル440において径方向Rの最も外側に配置される。
【0050】
そして、第4コイル444の他方の端部44bは、例えば不図示のバスバーを介して外部装置(例えば交流電源)に対して電気的に接続される。
【0051】
第1コイル441の軸方向Aの長さL1は、第2コイル442の軸方向Aの長さL2よりも短く、第3コイル443の軸方向Aの長さL3よりも短く、かつ、第4コイル444の軸方向Aの長さL4よりも短い。また、第1コイル441の幅方向Xの長さW1は、第2コイル442の幅方向Xの長さW2よりも短く、第3コイル443の幅方向Xの長さW3よりも短く、かつ、第4コイル444の幅方向Xの長さW4よりも短い。
【0052】
第2コイル442の軸方向Aの長さL2は、第3コイル443の軸方向Aの長さL3よりも短く、かつ、第4コイル444の軸方向Aの長さL4よりも短い。また、第2コイル442の幅方向Xの長さW2は、第3コイル443の幅方向Xの長さW3よりも短く、かつ、第4コイル444の幅方向Xの長さW4よりも短い。
【0053】
第3コイル443の軸方向Aの長さL3は、L字状に形成された他方の端部44bによって、第4コイル444の軸方向Aの長さL4よりも長い。また、第3コイル443の幅方向Xの長さW3と、第4コイル444の幅方向Xの長さW4と、は同一である。
【0054】
よって、本実施形態に係る第1コイル441の外形の大きさと、第2コイル442の外形の大きさと、第3コイル443の外形の大きさと、第4コイル444の外形の大きさとは、互いに異なる。つまり、複数のコイル440の外形の大きさは、互いに異なる。
【0055】
なお、上述した実施形態には、第3コイル443の幅方向Xの長さW3と、第4コイル444の幅方向Xの長さW4とが、同一のものを説明した。しかし、本実施形態に係る発明は、それに限られない。例えば、第4コイル444の幅方向Xの長さW4が、第3コイル443の幅方向Xの長さW4よりも大きくてもよい。このように複数のコイル440を形成すれば、径方向Rにおいて最も内側に位置する第1コイル441の幅方向Xの長さW1が最も短く、かつ、径方向Rの外側へ行くに従って複数のコイル440の幅方向Xの長さW2、W3、W4が徐々に大きくなる。
【0056】
例えば、径方向Rにおいて最も内側に位置する第1コイル441のスポーク42に対する巻き回す回数を最も少なくし、かつ、径方向Rの外側へ行くに従って複数のコイル440のスポーク42に対する巻き回す回数を徐々に多くしてもよい。このように複数のコイル440を形成すれば、軸方向Aおよび幅方向Xおいて、複数のコイル440の外形の大きさは互いに異なる。換言すれば、周方向Cおいて、複数のコイル440の外形の大きさは互いに異なる。
【0057】
第1空間部441sの軸方向Aの長さL11と、第2空間部442sの軸方向Aの長さL12と、第3空間部443sの軸方向Aの長さL13と、第4空間部444sの軸方向Aの長さL14と、は同一である。その上、第1空間部441sの幅方向Xの長さW11と、第2空間部442sの幅方向Xの長さW12と、第3空間部443sの幅方向Xの長さW13と、第4空間部444sの幅方向Xの長さW14と、は同一である。それらのため、上述した空間部441s、442s、443s、444sに、幅方向Xの長さが一定であり、かつ、軸方向Aの長さが一定であるスポーク42を通過させることができる。
【0058】
また、上記に説明したように、複数のコイル440のそれぞれは、2つの端部44a、44bを有する導線44cで形成される。導線44cの2つの端部44a、44bのうち、一方の端部44aは、コイル440の内周部44iを形成し、他方の端部44bはコイル440の外周部44oを形成する。
【0059】
導電部材445は、例えば、銅等の導電性を有する金属製の材料で形成される。本実施形態に係る導電部材445は、例えば、円柱状に形成され、径方向Rに沿って延在する。そして、導電部材445は、径方向Rの内側に一方の端部445aを有し、径方向Rの外側に他方の端部445bを有する(
図8参照)。
【0060】
次に、1つのコイル群44の組み立てに関して
図8を用いて説明する。
図8は、第1コイル441と第2コイル442と第3コイル443と第4コイル444との組み立てを示す斜視図である。
【0061】
先ず、作業者は、径方向Rにおいて、第1コイル441と第2コイル442との間に導電部材445を配置する。次に、作業者は、第1コイル441の内周部44iに形成された穴44fに、導電部材445における一方の端部445aを挿入し、かつ、第2コイル442の内周部44iに形成された穴44fに、導電部材445における他方の端部445bを挿入する。
【0062】
次いで、作業者は、第1コイル441の穴44fの内周縁と、導電部材445における一方の端部445aとを、例えば溶接等によって電気的に接続し、かつ、第2コイル442の穴44fの内周縁と、導電部材445における他方の端部445bとを、例えば溶接等によって電気的に接続する。これにより、導電部材445を介して、第1コイル441と第2コイル442とが電気的に接続される。
【0063】
次に、作業者は、第2コイル442の径方向Rの外側に第3コイル443を隣接して配置する。次いで、作業者は、第2コイル442の外周部44oにおける他方の端部44bと、第3コイル443の外周部44oにおける他方の端部44bとを、例えば溶接等によって電気的に接続する。
【0064】
次いで、作業者は、径方向Rにおいて、第3コイル443と第4コイル444との間に導電部材445を配置する。次に、作業者は、第3コイル443の内周部44iに形成された穴44fに、導電部材445における一方の端部445aを挿入し、かつ、第4コイル444の内周部44iに形成された穴44fに、導電部材445における他方の端部445bを挿入する。
【0065】
次に、作業者は、第3コイル443の穴44fの内周縁と、導電部材445における一方の端部445aとを、例えば溶接等によって電気的に接続し、かつ、第4コイル444の穴44fの内周縁と、導電部材445における他方の端部445bとを、例えば溶接等によって電気的に接続する。これにより、導電部材445を介して、第3コイル443と第4コイル444とが電気的に接続される。
【0066】
次に、作業者は、第1コイル441、第2コイル442、第3コイル443、および、第4コイル444に電着塗装を行うことによって、第1コイル441、第2コイル442、第3コイル443、および、第4コイル444の表面に絶縁膜を形成する。そして、この作業によって、1つのコイル群44の組み立てが終了する。以下、省略するが、同様の作業によって、別のコイル群44を組み立てる。
【0067】
上記のように組み立てたコイル群44では、径方向Rにおいて隣接する2つのコイル440の内周部44iが、導電部材445を介して電気的に接続されるか、または、径方向Rにおいて隣接する2つのコイル440の外周部44oが、他方の端部44bどうしを連結することで電気的に接続されている。
【0068】
換言すると、本実施形態に係るコイル群44のそれぞれは、径方向Rにおいて隣接する2つのコイル440を内周部44iで電気的に接続する箇所と、径方向Rにおいて隣接する2つのコイル440を外周部44oで電気的に接続する箇所とを交互に配置してある。
【0069】
上記のように組み立てたコイル群44では、第1コイル441の他方の端部44bが入力側の端子となり、かつ、第4コイル444の他方の端部44bが出力側の端子となる。そして、第1コイル441の他方の端部44bと、第4コイル444の他方の端部44bとの間に電圧が印加された場合、電流は、第1コイル441、第2コイル442、第3コイル443、第4コイル444の順番に流れる。
【0070】
また、径方向Rの内側から外側を視た場合、第1コイル441は、スポーク42に対して導線44cを時計方向へ巻き回し、第2コイル442は、スポーク42に対して導線44cを反時計方向へ巻き回し、第3コイル443は、スポーク42に対して導線44cを時計方向へ巻き回し、第4コイル444は、スポーク42に対して導線44cを反時計方向へ巻き回す。つまり、本実施形態に係るコイル群44のそれぞれは、径方向Rにおいて隣接する2つのコイル440において、一方のコイル440における導線44cを巻き回す方向と、他方のコイル440における導線44cを巻き回す方向とが、反対である。それらのため、本実施形態に係るコイル群44に流れる電流の方向は、第1コイル441、第2コイル442、第3コイル443、および第4コイル444のすべてにおいて、径方向Rの内側から外側を視た場合、反時計回りとなる。
【0071】
以上に説明したように、本実施形態に係るモータ1は、複数のコイル440と、導電部材445と、を備える。その上、複数のコイル440はそれぞれ2つの端部44a、44bを有する導線44cで形成され、導線44cの2つの端部44a、44bのうち、一方の端部44aはコイル440の内周部44iを形成し、他方の端部44bはコイル440の外周部44oを形成し、複数のコイル440のうち、隣接する2つのコイル441、442の内周部44iは、導電部材445を介して電気的に接続される。
【0072】
本実施形態に係るモータ1は、幅方向X(周方向C)において、複数のコイル440の外形の大きさは互いに異なる。より具体的に説明すると、径方向Rにおいて最も内側に位置する第1コイル441の幅方向Xの長さW1(周方向Cの長さ)が最も短く、かつ、径方向Rの外側へ行くに従って複数のコイル440の幅方向Xの長さW2、W3、W4(周方向Cの長さ)は、徐々に大きくなる。そのため、本実施形態に係るモータ1は、コア41の収容空間41sに収容する導線44cの長さを長くすることができ、収容空間41sにおける隙間をできるだけ減らすことができる。従って、本実施形態に係るモータ1は、収容空間41sに対する導線44cを高占積化することができ、それにより、モータ1を高出力化することができる。言い換えると、スポーク42に巻き回す導線44cの回数を同一に設定した場合、複数のコイル440の幅方向X(周方向C)の長さを同一にしたモータと比較して、本実施形態に係るモータ1は、スポーク42の径方向Rの長さを短くすることができるため、径方向Rの大きさを小型化することができる。
【0073】
本実施形態に係るスポーク42は、径方向Rにおける内側の幅方向Xの長さ42W1と、径方向Rにおける外側の幅方向Xの長さ42W2と、が同一である。そのため、幅狭部および幅広部を有するスポークを備えるモータと比較して、スポーク42に巻き回す導線44cを長くすることができるため、導線44cを高占積化することができる。
【0074】
本実施形態に係る複数のコイル440は、径方向Rに隣接する第1コイル441および第2コイル442と、第3コイル443とを備える。第2コイル442は、第1コイル441と第3コイル443との間にある。第2コイル442の他方の端部44bと、第3コイル443の他方の端部44bとが電気的に接続されている。
【0075】
本実施形態に係るステータ4は、複数のコイル440の内側を通過するスポーク42を備える。スポーク42は磁性体で形成されている。
【0076】
本実施形態に係るモータ1において、複数のコイル440のうち、1つのコイル440の他方の端部44bは、外部装置と電気的に接続される。
【0077】
なお、上述した実施形態に係るコイル群44は、第1コイル441と、第2コイル442と、第3コイル443と、第4コイル444とで構成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係るコイル群44は、4個のコイル440で構成されるものに限られない。例えば、コイル群44を構成するコイル440の数は、2個、3個、または、5個以上の任意の数に設定することができる。
【0078】
また、上述した実施形態に係るステータ4は、12個のスポーク42を備え、かつ、12個のコイル群44を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るスポーク42の数、および、コイル群44の数は、それに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0079】
さらに、上述した実施形態に係るコイル440は、第1部分44dと第2部分44eとをレーザを用いて溶接することで電気的に接続するものを説明した。しかし、本発明はそれに限られない。例えば、第1部分44dと第2部分44eとを超音波を用いた溶着で接続してもよいし、ヒュージングなどの溶接で接続してもよい。もちろん、溶着や溶接等とは異なる他の方法によって、第1部分44dと第2部分44eとを電気的に接続してもよい。
【0080】
また、上述した実施形態に係るモータ1は、インナーロータ型のものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1は、それに限られない。例えば、本実施形態に係るモータ1は、軸方向Aから視た場合、ロータ3の径方向Rの内側にステータ4が位置するアウターロータ型のものに適用することができる。
【0081】
以上、本発明に係るモータ1の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0082】
1 モータ、 2 シャフト、 3 ロータ、 4 ステータ、 42 スポーク、 44a 端部(一方の端部)、 44b 端部(他方の端部)、 44c 導線(巻線)、 44i 内周部、 44o 外周部、 440 コイル、 441 第1コイル、 442 第2コイル、 443 第3コイル、 445 導電部材、 C 周方向