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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115648
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021389
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊村 直人
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604QB04
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】生産性を向上する。
【解決手段】モータは、複数のコイルおよび当該複数のコイルから引き出された引出線を有するステータと、前記引出線を通過させる複数の開口および複数のランドを有する基板と、錫を含む合金で形成された複数のワッシャーと、を備える。複数の前記開口を通過した複数の前記引出線は、前記複数のワッシャーを介して前記複数のランドに対して電気的に接続される。前記複数のワッシャーは、前記複数の開口と複数の引出線との間にある複数の間隙を覆っている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルおよび当該複数のコイルから引き出された引出線を有するステータと、
複数の開口および複数のランドを有する基板と、
錫を含む合金で形成された複数のワッシャーと、
を備え、
前記複数の開口を通過した複数の前記引出線は、前記複数のワッシャーを介して前記複数のランドに対して電気的に接続され、
前記複数のワッシャーは、前記複数の開口と複数の引出線との間にある複数の間隙を覆っている、
モータ。
【請求項2】
前記複数の開口は、第1開口と第2開口とを含み、
前記複数の引出線は、前記第1開口を通過した第1引出線と、前記第2開口を通過した第2引出線を含み、
前記第1開口に対する前記第1引出線の位置と、前記第2開口に対する前記第2引出線の位置とが互いに異なる、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ステータは、前記複数のコイルおよび前記複数の引出線を有する複数の分割コアを備えている、
請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記複数のワッシャーの内周部は、前記複数の引出線に結合しており、
前記複数の間隙を、溶けた前記複数のワッシャーの一部が覆っている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記開口は、前記基板を軸方向へ貫通する孔部であり、
前記ワッシャーの外形は、前記孔部の外形より大きい、
請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記複数のワッシャーと前記基板との間には、網目を有する複数の部材がある、
請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
軸方向において、前記基板が有する2つの面のうち、一方側の表面に載置された前記ワッシャーは、前記ランドに接触する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの中には、多数のコイルから引き出された導線(引出線)を有するステータと、基板と、を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、モータの中には、導電性の材料で形成され、引出線に対して電気的に接続されるランドを、複数有する基板を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-19507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したモータにおいて、作業者は、複数の引出線と複数のランドとを半田によってそれぞれ電気的に接続していた。しかしながら、従来の技術は、生産性向上の観点でさらなる改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生産性を向上することができるモータを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータは、複数のコイルおよび当該複数のコイルから引き出された引出線を有するステータと、複数の開口および複数のランドを有する基板と、錫を含む合金で形成された複数のワッシャーと、を備え、前記複数の開口を通過した複数の前記引出線は、前記複数のワッシャーを介して前記複数のランドに対して電気的に接続され、前記複数のワッシャーは、前記複数の開口と複数の引出線との間にある複数の間隙を覆っている。
【0008】
本発明に係るモータの一態様によれば、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係るモータの平面図である。
図2図2は、図1に示すモータの分解斜視図である。
図3図3は、ステータが有する分割コアの斜視図である。
図4図4は、図3に示す分割コアと、基板の一部とを示す平面図である。
図5図5は、図2に示す基板と、ステータの引出線と、ワッシャーと、を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示す基板と、ステータの引出線と、ワッシャーと、を示す断面図である。
図7図7は、ワッシャーを介して、図5に示す基板のランドと、ステータの引出線とが電気的に接続された状態を示す断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係るモータにおいて、基板と、ステータの引出線と、を示す平面図である。
図9図9は、図8に示す基板の軸方向における一方側の表面に、ワッシャーを載置した状態を示す平面図である。
図10図10は、第3実施形態に係るモータにおいて、基板と、ステータの引出線と、ワッシャーと、を示す断面図である。
図11図11は、第4実施形態に係るモータにおいて、基板と、ステータの引出線と、ワッシャーと、を示す断面図である。
図12図12は、第5実施形態に係るモータにおいて、基板と、ステータの引出線と、網状の部材と、を示す平面図である。
図13図13は、図12に示す基板と、ステータの引出線と、ワッシャーと、網状の部材と、を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態に係るモータを図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るモータ1の平面図である。図2は、図1に示すモータ1の分解斜視図である。図3は、ステータ4が有する分割コア411の斜視図である。図4は、図3に示す分割コア411と、基板5の一部とを示す平面図である。図5は、図2に示す基板5と、ステータ4の引出線W1と、ワッシャー6と、を示す斜視図である。なお、図2図3図4図5において、ロータ3を省略している。また、図1図5において、説明の便宜のため、基板5のランド52を省略している。さらに、図5において、説明の便宜のため、ステータ4のコア41およびコイル411dを省略している。
【0012】
第1実施形態に係る図1に示すモータ1の説明において、方向の理解を容易にするため、後述するシャフト2が延びる方向を軸方向Aと称呼し、後述するシャフト2が回動する方向を周方向Cと称呼し、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト2の軸心2oを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと称呼する。
【0013】
第1実施形態に係る図1に示すモータ1は、軸方向Aから視た場合、ロータ3を基準とすると、ロータ3の径方向Rの外側にステータ4が位置する一方、ロータ3の径方向Rの内側にシャフト2が位置するインナーロータ型である。第1実施形態に係るモータ1は、例えば、三相交流電源に対して電気的に接続される三相モータ(DCモータ)である。
【0014】
第1実施形態に係るモータ1は、例えば電源からの電気エネルギーを、シャフト2の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。
【0015】
モータ1は、例えば、シャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、基板5と、ワッシャー6と、を備える。シャフト2は、いわゆる回転軸であって、例えば、金属部材で軸方向Aに沿って延びる円柱状に形成される。シャフト2は、軸心2oを有し、かつ、軸心2oを中心に回転可能に設けられる。
【0016】
ロータ3は、シャフト2の軸心2oを中心に回転可能に設けられる。本実施形態に係るロータ3は、径方向Rにおいてステータ4と対向して配置され、シャフト2に固定される。さらに、本実施形態に係るモータ1は、シャフト2とロータ3とを一体として形成してある。
【0017】
ロータ3は、例えば、径方向Rにおいてステータ4の内側に配置される。つまり、このモータ1は、ステータ4の径方向Rの内側にロータ3が位置するインナーロータ型のブラシレスモータである。
【0018】
ロータ3は、ヨーク31と、マグネット32と、を有する。ヨーク31は、例えば鉄等の磁性材料で形成される。ヨーク31は、例えば、有底の円筒状に形成される。
【0019】
マグネット32は、例えば、永久磁石によって構成される。本実施形態に係るマグネット32は、例えば、円筒状に形成される。
【0020】
ステータ4は、ロータ3を周方向CCへ回転させるための力を発生させる部分である。ステータ4は、図2図3に示すように、例えば、複数の分割コア411によって形成されるコア41を備える(図1参照)。コア41は、複数の分割コア411を周方向Cに沿って並べて配置することによって、軸方向Aから視た場合、環状に形成される。本実施形態に係るコア41は、例えば、18個の分割コア411を備える。
【0021】
分割コア411のそれぞれは、本体411aと、ティース411bと、インシュレータ411cと、コイル411dと、を備える。従って、コア41は、複数の本体411aと、複数のティース411bと、複数のインシュレータ411cと、複数のコイル411dと、を備える。
【0022】
本体411aおよびティース411bは、例えば、ケイ素鋼板、電磁鋼板、軟磁性鋼板等の板状の金属部材を軸方向Aへ積層することによって形成され、磁性を有する。本実施形態に係るステータ4は、本体411aおよびティース411bを一体に形成してある。そして、本実施形態に係る本体411aおよびティース411bは、軸方向Aから視た場合、略T字型に配置される。
【0023】
本体411aは、軸方向Aから視た場合、弧状に形成される。ティース411bは、径方向Rにおいて、本体411aの内周面からロータ3側へ突出するように配置される。
【0024】
インシュレータ411cは、例えば、絶縁性の樹脂等により形成されて本体411aおよびティース411bの表面に装着され、本体411aおよびティース411bとコイル411dとの間の絶縁性を確保する。
【0025】
コイル411dは、例えば、インシュレータ411cを介してティース411bに巻線を巻き回して形成される。巻線は、導電性の芯線(不図示)と、芯線の周囲を被覆する絶縁性の被覆部(不図示)と、を有する。巻線は、ティース411bに巻き回された部分と、図2図3に示すように、ティース411bに巻き回された部分の両端部に位置してティース411bから引き出された引出線W1とを有する。つまり、本実施形態に係るステータ4は、複数のコイル411dと、複数のコイル411dのそれぞれから引き出された引出線W1と、を有する。このような引出線W1は、例えば、後述する基板5に形成された配線を介して電源に対して電気的に接続される。また、図3に示すように、1つの分割コア411のそれぞれは、第1引出線W1aと、第2引出線W1bと、を有する。本実施形態に係るステータ4は、例えば、18個のコイル411dを有する。
【0026】
図5に示す引出線W1は、ある程度の剛性をそれぞれ有する。そのため、例えば、作業者の作業に応じて引出線W1の端部W11の位置が変わり、図4に示すように、第1凹部(第1開口)51aに対する第1引出線W1aの位置と、第2凹部(第2開口)51bに対する第2引出線W1bの位置とが互いに異なる場合がある。
【0027】
図2に示す基板5は、軸方向Aにおける一方側に位置する表面5f1と、軸方向Aにおける他方側に位置する裏面5f2とを有する。つまり、基板5は、軸方向Aにおいて、2つの面5f1、5f2を有する。基板5は、例えば、絶縁性の樹脂で形成された本体50と、本体50の外周面5oから径方向Rの内側へ向けて凹む複数の凹部51と、本体50に形成された複数のランド52と、を有する。つまり、本実施形態に係る基板5は、複数の凹部51と、複数のランド52と、を有する。また、本実施形態に係る基板5は、平板の円環状に形成される。
【0028】
凹部51は、軸方向Aにおいて、基板5に対して引出線W1を通過させられる開口である。つまり、凹部51は、ランド52の数に対応するように、基板5に形成される。言い換えれば、凹部51は、コイル411dの引出線W1の数に対応するように、基板5に形成される。
【0029】
凹部51は、本体50の外周面5oに設けられる。より詳細に説明すると、凹部51は、外周面5oに対して径方向Rの内側へ凹むように本体50に形成され、軸方向Aに開口している。また、基板5は、複数の凹部51を有する。換言すると、基板5は、第1引出線W1aを通過させる第1凹部51aと、第2引出線W1bを通過させる第2凹部51bと、を有する。
【0030】
ランド52のそれぞれは、例えば導電性を有する銅等の金属材料によって、本体50の軸方向Aにおける一方側の表面5f1に形成される。ランド52は、例えば、金属光沢の赤橙色である。また、ランド52は、軸方向Aから視た場合、凹部51の周囲に配置される。ランド52は、コイル411dの引出線W1の数に対応するように、基板5に形成される。
【0031】
次に、本実施形態に係るワッシャー6について図6を用いて説明する。図6は、図5に示す基板5と、ステータ4の引出線W1と、ワッシャー6と、を示す断面図である。図6には、溶融する前のワッシャー6を示している。
【0032】
ワッシャー6は、導電性を有する金属材料で円環状に形成され、孔部61を有する。ワッシャー6は、例えば、錫を含む合金(例えば半田)で形成される。ワッシャー6は、ランド52の色とは異なる金属光沢の銀色である。このようなワッシャー6は、所定の融点以上に加熱することによって溶融する(溶ける)。
【0033】
ワッシャー6は、基板5におけるランド52の数に対応するようにモータ1に設けられ、かつ、コイル411dの引出線W1の数に対応するようにモータ1に設けられる。
【0034】
そして、本実施形態におけるモータ1において、作業者は、基板5の凹部51に引出線W1の端部W11を挿入し、基板5の凹部51に引出線W1を通過させる。その後、作業者は、引出線W1の端部W11を、ワッシャー6の孔部61に入れ、基板5の軸方向Aの一方側の表面5f1にワッシャー6を載置する。本実施形態に係るモータ1の軸方向Aおいて、基板5が有する2つの面5f1、5f2のうち、一方側の表面5f1に載置されたワッシャー6は、ランド52に接触する(図6参照)。
【0035】
本実施形態に係るモータ1において、基板5の軸方向Aの一方側に位置する表面5f1にワッシャー6を載置した状態では、ワッシャー6の軸方向Aにおける一方側の表面6fから、引出線W1が軸方向Aの一方側に延出するため、基板5の軸方向Aにおける一方側の表面5f1に対して、ワッシャー6の軸方向Aにおける一方側の表面6fよりも引出線W1の端部W11が離れる。
【0036】
ワッシャー6の孔部61の径(周方向Cの長さ)6irは、引出線W1の径(周方向Cの長さ)W1rよりも大きい。したがって、軸方向Aにおいて、ワッシャー6の孔部61に引出線W1を通すことが可能である。その上、ワッシャー6の内周部62と引出線W1の外周部との間には、隙間6sが形成される。
【0037】
また、基板5における凹部51の周方向Cの長さ51rは、引出線W1の径(周方向Cの長さ)W1rよりも大きい。したがって、軸方向Aにおいて、基板5における凹部51に引出線W1を通すことが可能である。その上、基板5における凹部51の内周部と引出線W1の外周部との間には、間隙5sが形成される。
【0038】
さらに、ワッシャー6の外形(周方向Cの長さ)6orは、基板5における凹部51の周方向Cの長さ51rよりも大きい。したがって、ワッシャー6は、凹部51を通じて基板5の上から脱落することなく、基板5における軸方向Aの一方側に載置された状態が維持される。
【0039】
次に、ワッシャー6を溶融することで、ランド52と引出線W1とを電気的に接続する接続装置について説明する。接続装置は、各部を統括的に制御する制御手段と、画像を取得するカメラと、半田ごて等の工具と、工具を3次元に移動する移動部と、を有する。そして、カメラによって取得した画像によってワッシャー6の位置を制御手段が認識し、制御手段は、ワッシャー6の位置に加熱した工具を移動部によって移動することで、自動的にランド52と引出線W1とを電気的に接続する。
【0040】
次いで、溶融後のワッシャー6について図7を用いて説明する。図7は、ワッシャー6を介して、図5に示す基板5のランド52と、ステータ4の引出線W1とが電気的に接続された状態を示す断面図である。
【0041】
基板5における軸方向Aの一方側に位置する表面5f1にワッシャー6を載置した後、接続装置を使用して、すべてのワッシャー6を溶融し、引出線W1とランド52とをそれぞれ電気的に接続する。より具体的に説明すると、ワッシャー6のそれぞれは、例えば半田ごて等の工具を接触させることによって、ワッシャー6の融点以上に加熱されることで溶融される。そして、溶融後のワッシャー6は、溶融前に、ワッシャー6の内周部62と引出線W1の外周部との間に位置する隙間6sを閉塞し、ランド52と引出線W1とを電気的に接続する。言い換えると、開口である凹部51のそれぞれを通過した引出線W1のそれぞれは、ワッシャー6を介して、ランド52のそれぞれに対して電気的に接続される。また、溶融後のワッシャー6のそれぞれは、軸方向Aの一方側において、凹部51と引出線W1との間にある間隙5sをそれぞれ覆っている。さらに、溶融後、ワッシャー6の内周部62のそれぞれは、引出線W1の外周部にそれぞれ結合している。また、複数の間隙5sのそれぞれを溶けたワッシャー6の一部が閉塞する。したがって、軸方向Aから視た場合、複数の間隙5sのそれぞれを溶けたワッシャー6の一部が覆っている。
【0042】
本実施形態に係るモータ1において、基板5の軸方向Aの一方側にワッシャー6を載置した状態では、図5に示すように、基板5の軸方向Aの一方側の表面5f1から突出するものは、ワッシャー6と引出線W1である。そのため、表面5f1に対して直交する方向からカメラで撮像した際に、接続装置を統括的に制御する制御手段は、ワッシャー6を確実に判別することができる。その上、ワッシャー6は金属光沢の銀色であり、ランド52は、ワッシャー6とは異なる金属光沢の赤橙色である。そのため、軸方向Aからカメラで撮像した際に、制御手段は、ワッシャー6とランド52とを明確に判別することができるため、上記した接続装置を用いた複数のワッシャー6の溶融工程を確実に行うことが出来る。
【0043】
以上に説明したように、本実施形態に係るモータ1は、複数のコイル411dおよび当該複数のコイル411dから引き出された引出線W1を有するステータ4と、前記引出線W1を通過させる複数の開口および複数のランド52を有する基板5と、錫を含む合金で形成された複数のワッシャー6と、を備える。その上、平板状の基板5に載置された複数のワッシャー6を溶融することによって、複数の凹部51を通過した複数の引出線W1は、複数のワッシャー6を介して複数のランド52に対して電気的に接続される。加えて、複数のワッシャー6は、複数の凹部51と複数の引出線W1との間にある複数の間隙5sを覆っている。それらのため、接続装置を用いて、ワッシャー6を溶融することでランド52と引出線W1とのそれぞれを電気的に接続することができる。従って、本実施形態に係るモータ1は、生産性を向上することができる。
【0044】
本実施形態に係るモータ1は、複数の凹部(開口)51において、凹部51に対する引出線W1の位置は異なるものがある。
【0045】
本実施形態に係るステータ4は、複数のコイル411dおよび複数の引出線W1を有する複数の分割コア411を備えている。
【0046】
本実施形態に係る複数のワッシャー6の内周部62は、複数の引出線W1に結合しており、軸方向Aにおいて、複数の間隙5sを、溶けた複数のワッシャー6の一部が覆っている。
【0047】
なお、上述した実施形態に係るステータ4は、18個の分割コア411を有するものを説明した。しかし、本実施形態に係る分割コア411の数は、それらに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るモータ1Aに関して図8図9を用いて説明する。図8は、第2実施形態に係るモータ1Aの基板5の平面図である。図9は、図8に示す基板5の軸方向Aにおける一方側の表面5f1に、ワッシャー6を載置した状態を示す平面図である。第2実施形態に係るモータ1Aにおける基板5の開口の形状は、第1実施形態に係る基板5の凹部51(開口)の形状と異なる。なお、第2実施形態に係るモータ1Aの構成において、第1実施形態に係るモータ1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施形態に係るモータ1Aは、不図示のシャフト2と、不図示のロータ3と、不図示のステータ4と、基板5Aと、ワッシャー6と、を備える。
【0050】
第2実施形態に係る基板5は、軸方向Aにおいて、基板5を貫通する孔部51Aを有する。そして、本実施形態において、孔部51Aが開口であり、孔部51Aを通過した引出線W1の端部W11が、基板5の軸方向Aにおける一方側に位置する。
【0051】
孔部51Aは、軸方向Aから視た場合、円形に形成される。そして、ワッシャー6の外形(周方向Cの長さ)6or(図9参照)は、孔部51Aの外形(周方向Cの長さ)51Ar(図8参照)よりも大きい。
【0052】
そして、本実施形態におけるモータ1Aにおいて、作業者は、基板5の孔部51Aに引出線W1の端部W11を挿入し、図9に示すように、基板5の孔部51Aに引出線W1を通過させる。その後、作業者は、引出線W1の端部W11を、ワッシャー6の孔部61に入れ、図10に示すように、基板5の軸方向Aの一方側の表面5f1にワッシャー6を載置する。そして、最後に、接続装置を使用して、ワッシャー6を溶融し、引出線W1とランド52とを電気的に接続する。
【0053】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るモータ1Bに関して図10を用いて説明する。図10は、第3実施形態に係るモータ1Bの基板5、ワッシャー6、引出線W1の断面図である。第3実施形態に係るモータ1Bにおける引出線W1の軸方向Aの長さは、第1実施形態に係る引出線W1の軸方向Aの長さと異なる。なお、第3実施形態に係るモータ1Bの構成において、第1実施形態に係るモータ1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態に係るモータ1Bは、不図示のシャフト2と、不図示のロータ3と、不図示のステータ4と、基板5と、ワッシャー6と、を備える。
【0055】
本実施形態に係るモータ1Bにおいて、基板5の軸方向Aの一方側に位置する表面5f1にワッシャー6を載置した状態では、基板5の軸方向Aにおける一方側の表面5f1に対して、引出線W1の端部W11よりもワッシャー6の軸方向Aにおける一方側の表面6fが離れる。
【0056】
なお、本実施形態に係るモータ1Bにおいて、基板5の軸方向Aにおける一方側の表面5f1に対して、引出線W1の端部W11よりもワッシャー6の軸方向Aにおける一方側の表面6fが離れるものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1Bは、それに限られない。例えば、基板5の軸方向Aにおける一方側の表面5f1に対して、引出線W1の端部W11と、ワッシャー6の軸方向Aにおける一方側の表面6fとが同一の位置となるように引出線W1およびワッシャー6を配置してもよい。
【0057】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係るモータ1Cに関して図11を用いて説明する。図11は、第4実施形態に係るモータ1Cの基板5、ワッシャー6、引出線W1の断面図である。第4実施形態に係るモータ1Cにおける引出線W1は、第1実施形態に係る引出線W1と異なる。なお、第4実施形態に係るモータ1Cの構成において、第1実施形態に係るモータ1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態に係るモータ1Cは、不図示のシャフト2と、不図示のロータ3と、不図示のステータ4と、基板5と、ワッシャー6と、を備える。
【0059】
本実施形態における引出線W1において、軸方向Aの一方側に位置する端部W11側の外周面には、錫を含む合金(例えば半田)の層W2が形成される。
【0060】
そのため、本実施形態に係るモータ1Cは、ワッシャー6を溶融する際、半田ごて等の工具が層W2に接触した場合、または、工具の熱によって溶融されたワッシャー6が層W2に接触した場合には、層W2が溶融するため、ワッシャー6を介した引出線W1とランド52との電気的接続を確実に行うことができる。
【0061】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係るモータ1Dに関して図12図13を用いて説明する。図12図13は、第5実施形態に係るモータ1Dの基板5、ワッシャー6、引出線W1の断面図である。
【0062】
本実施形態に係るモータ1Dは、不図示のシャフト2と、不図示のロータ3と、不図示のステータ4と、基板5Aと、ワッシャー6と、網目を有する部材7を備える。
【0063】
網目を有する部材7は、例えば導電性を有する線状の部材を複数有し、これらの線状の部材を交差させることによって形成される。また、網目を有する部材7の融点は、ワッシャー6を構成する合金の融点よりも高い。
【0064】
網目を有する部材7は、軸方向Aから視た場合、円環状に形成され、孔部71を有する。また、孔部71の内周部と、引出線W1の外周部との間には、隙間7sが形成される。そして、網目を有する部材7において、例えば、孔部71の径71irは、ワッシャー6の孔部61の径(周方向Cの長さ)6irよりも小さい。
【0065】
また、網目を有する部材7において、例えば、網目を有する部材7の外形7orは、ワッシャー6の外形(周方向Cの長さ)6orと同一である。
【0066】
網目を有する部材7は、軸方向Aにおいて、基板5と、ワッシャー6との間に配置される。より具体的に説明すると、網目を有する部材7は、軸方向Aにおいて、基板5におけるランド52と、ワッシャー6との間に配置される。
【0067】
本実施形態に係るモータ1Dでは、半田ごて等の工具によって、ワッシャー6を溶融した際、網目を有する部材7によって、溶けたワッシャー6が軸方向Aの他方側(図13における下方側)に流れることを抑制することができる。
【0068】
なお、本実施形態に係るモータ1Dでは、網目を有する部材7における孔部71の径71irは、ワッシャー6の孔部61の径(周方向Cの長さ)6irよりも小さいものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1Dはそれに限られない。例えば、網目を有する部材7における孔部71の径71irと、ワッシャー6の孔部61の径(周方向Cの長さ)6irとは、同一でよい。
【0069】
なお、上述した第1~第5実施形態に係るモータ1、1A、1B、1C、1Dは、インナーロータ型のものを説明した。しかし、第1~第5実施形態に係るモータ1、1A、1B、1C、1Dは、それに限られない。例えば、第1~第5実施形態に係るモータ1、1A、1B、1C、1Dは、軸方向Aから視た場合、ロータ3の径方向Rの外側にステータ4が位置するアウターロータ型のものに適用することができる。
【0070】
以上、本発明に係るモータ1、1A、1B、1C、1Dの実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0071】
1、1A、1B、1C、1D モータ、 2 シャフト、 3 ロータ、 4 ステータ、 411 分割コア、 411d コイル、 5、5A 基板、 51 凹部(開口)、 51A 孔部(開口)、 52 ランド、 5s 間隙、 6 ワッシャー、 62 内周部、 7 網目を有する部材、 A 軸方向、 W1 引出線
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