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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115665
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ロール紙印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20240820BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20240820BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B41J11/70
B26D1/08
B26D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021421
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼町 大介
【テーマコード(参考)】
2C058
3C027
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA07
2C058LA26
2C058LA38
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB22
3C027JJ08
3C027JJ18
(57)【要約】
【課題】印刷装置の小型化が困難であった。
【解決手段】ロール紙印刷装置は、ロール紙から紙を引き出して搬送方向へ搬送するローラーと、ローラーの搬送方向の下流で紙をカット可能であり、第2刃、及び、第2刃へ向かう第1方向へ移動可能な第1刃を含むカッターと、カッターの第1刃及び第2刃の間に搬送される紙を、第1刃側からガイド可能な第1刃側ガイドと、第2刃側からガイド可能な第1ガイド及び第2ガイドを含む紙ガイドと、を備え、紙ガイドは、第1軸を中心に第1ガイドを回転可能に搭載する第1アームと、第2軸を中心に第2ガイドを回転可能に搭載する第2アームと、第1アーム及び第2アームを回転可能に支持するアーム軸と、を有し、第1ガイド及び第2ガイドは、第1方向へ移動する第1刃に押されて、紙をガイド可能な第1位置から、回転しつつ第1方向へ移動して第2位置に到達する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙から紙を引き出して搬送方向へ搬送するローラーと、
前記ローラーの前記搬送方向の下流で前記紙をカット可能であり、第2刃、及び、前記第2刃へ向かう第1方向へ移動可能な第1刃を含むカッターと、
前記カッターの前記第1刃及び前記第2刃の間に搬送される前記紙を、前記第1刃側からガイド可能な第1刃側ガイドと、前記第2刃側からガイド可能な第1ガイド及び第2ガイドを含む紙ガイドと、を備え、
前記紙ガイドは、
第1軸を中心に前記第1ガイドを回転可能に搭載する第1アームと、
第2軸を中心に前記第2ガイドを回転可能に搭載する第2アームと、
前記第1アーム及び前記第2アームを回転可能に支持するアーム軸と、を有し、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記第1方向へ移動する前記第1刃に押されて、前記紙をガイド可能な第1位置から、回転しつつ前記第1方向へ移動して第2位置に到達する、ロール紙印刷装置。
【請求項2】
前記第1アームの一端は前記アーム軸に回転可能に支持され、前記第1アームの他端は前記第1軸を介して前記第1ガイドを回転可能に搭載し、
前記第2アームの一端は前記アーム軸に回転可能に支持され、前記第2アームの他端は前記第2軸を介して前記第2ガイドを回転可能に搭載し、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記第1方向へ移動するとき、互いに反対方向へ回転可能である、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【請求項3】
前記第1アームに搭載されて前記第1ガイドに当接可能な第1ストッパーと、前記第1位置にある前記第1ガイドに当接可能な第3ストッパーとを有し、
前記第1ストッパー及び前記第3ストッパーは、前記第1位置において、前記第1ガイドに当接して回転を止めるようにし、
前記第2アームに搭載されて前記第2ガイドに当接可能な第2ストッパーと、前記第1位置にある前記第2ガイドに当接可能な第4ストッパーとを有し、
前記第2ストッパー及び前記第4ストッパーは、前記第1位置において、前記第2ガイドに当接して回転を止めるようにする、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【請求項4】
前記第1ガイドに当接可能な第5ストッパーを有し、前記第1ガイドが前記第1方向へ移動して前記第2位置へ至るとき、前記第5ストッパーは前記第1ガイドに当接して前記第1軸を中心に回転させることが可能であり、
前記第2ガイドに当接可能な第6ストッパーを有し、前記第2ガイドが前記第1方向へ移動して前記第2位置へ至るとき、前記第6ストッパーは前記第2ガイドに当接して前記第2軸を中心に回転させることが可能である、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【請求項5】
前記第1ガイドが前記第1方向へ移動するとき、前記第5ストッパーに当接するまでは、前記第1ガイドは前記アーム軸を中心に回転し、
前記第2ガイドが前記第1方向へ移動するとき、前記第6ストッパーに当接するまでは、前記第2ガイドは前記アーム軸を中心に回転する、請求項4に記載のロール紙印刷装置。
【請求項6】
前記アーム軸には前記第1アーム及び前記第2アームを押す弾性部材が搭載され、前記弾性部材は、前記第1ガイド及び前記第2ガイドを、前記第1方向とは反対方向である第2方向へ移動させる、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【請求項7】
前記第1刃は切欠きを有し、前記紙をカットしたとき、前記切欠きにより前記紙に切残しを形成可能である、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ロール状の紙が収納され、可動刃及び固定刃を有して紙を切断するカッター機構と、紙の切断時に可動刃が突入する領域にあって、非切断時に固定刃よりも搬送路側に突出する可動式のBF(バックフィード)ガイドとを備えるプリンターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-136472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンターでは、BF(バックフィード)ガイドの移動範囲が大きくなるため、プリンターも大きくなってしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロール紙印刷装置は、ロール紙から紙を引き出して搬送方向へ搬送するローラーと、前記ローラーの前記搬送方向の下流で前記紙をカット可能であり、第2刃、及び、前記第2刃へ向かう第1方向へ移動可能な第1刃を含むカッターと、前記カッターの前記第1刃及び前記第2刃の間に搬送される前記紙を、前記第1刃側からガイド可能な第1刃側ガイドと、前記第2刃側からガイド可能な第1ガイド及び第2ガイドを含む紙ガイドと、を備え、前記紙ガイドは、第1軸を中心に前記第1ガイドを回転可能に搭載する第1アームと、第2軸を中心に前記第2ガイドを回転可能に搭載する第2アームと、前記第1アーム及び前記第2アームを回転可能に支持するアーム軸と、を有し、前記第1ガイド及び前記第2ガイドは、前記第1方向へ移動する前記第1刃に押されて、前記紙をガイド可能な第1位置から、回転しつつ前記第1方向へ移動して第2位置に到達する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】カバーが開いたときのロール紙印刷装置の構成を示す断面図。
図2】カバーが閉じたときのロール紙印刷装置の構成を示す断面図。
図3】カットされた紙を示す模式図。
図4】ガイドが第1位置にあるときのガイド及びカッターを中心に示す模式図。
図5】ガイドが第1位置から第2位置へ向かうときのガイド及びカッターを中心に示す模式図。
図6】ガイドが第2位置にあるときのガイド及びカッターを中心に示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.実施形態
1-1.ロール紙印刷装置の構成
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中における方向を、X軸、Y軸及びZ軸が互いに直交する三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し負方向を下方向又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向又は単に右と称し負方向を左方向又は単に左と称し、Y軸の正方向を前方向又は単に前と称し負方向を後方向又は単に後と称して説明する。なお、図4図6では、図に向かって左をX軸の正方向としているため、以下の説明ではこの方向を右等と表現する。
【0008】
実施形態に係るロール紙印刷装置1は、例えば、POS(Point Of Sale)システムに使用される。なお、以下では、ロール紙印刷装置1を単に印刷装置1と称する。
印刷装置1は、店舗内で会計が行われるカウンターなどに設置される。カウンターは、設置スペースが限定されているため、印刷装置1も小型化が要求されている。
【0009】
図1に示すように、カバー2は、ケース3のヒンジ2aを中心に回転可能である。ユーザーは、カバー2を開いて、ロール紙R1をケース3に収納することができる。
カバー2には、ローラー31、後述のカッター40を構成する第1刃41、第1刃側ガイド7が搭載される。
一方、ケース3には、紙ガイド10、ヘッド30、カッター40を構成する第2刃42、第2ロール紙ガイド5が搭載される。
【0010】
図2に示すように、カバー2が閉じると、ローラー31及びヘッド30、カッター40の第1刃41及び第2刃42、第1刃側ガイド7及び紙ガイド10が、それぞれ対向する位置となる。カッター40は、ローラー31及びヘッド30に対して、搬送方向FFの下流に位置する。
また、カバー2が閉じると、カバー2とケース3との間に排出口6が形成される。排出口6は、カッター40に対して、搬送方向FFの下流に位置する。ロール紙R1は、カバー2の第1ロール紙ガイド4、ケース3の第2ロール紙ガイド5により回転可能に支持される。
【0011】
ローラー31は、ゴムなどの可撓性のある樹脂などの材料で円柱形状に形成される。ローラー31は、紙P1を介してヘッド30に対向する位置にあり、プラテン(platen)ともいう。
ローラー31は、摩擦により搬送する方式である、フリクションフィード(friction feed)方式により紙P1を搬送する。ローラー31は時計回りに回転し、ロール紙R1から紙P1を引き出し、搬送方向FFへ搬送する。このとき、ロール紙R1も時計回りに回転する。搬送方向FFは前方へ向かう方向である。なお、ローラー31は反時計回りに回転することもでき、搬送方向FFとは反対方向へ紙P1を搬送することも可能である。
【0012】
ヘッド30は、例えばラインサーマルヘッドである。ヘッド30は、ローラー31に向かって押圧する押圧機構(図示省略)を有する。紙P1は、押圧機構により所定の圧力で、ローラー31及びヘッド30により挟まれる。
紙P1は、搬送面がローラー31に接触して搬送されながら、発色剤が塗布された印刷面がヘッド30に接触し、ヘッド30の発熱により発色されて印刷が行われる。なお、ロール紙R1は、外側が印刷面となるように、長尺状の紙P1が巻かれる。
ヘッド30により印刷された紙P1は、ローラー31により所定距離、搬送方向FFへ搬送され、排出口6から排出される。
【0013】
カッター40の第1刃41及び第2刃42は板形状をしている。第1刃41は、モーター(不図示)により、第1方向F及び第2方向Rへ往復移動される。第1方向F及び第2方向Rは互いに反対方向である。また、第1刃41は、センサー(不図示)により、位置が検出される。なお、移動しない第2刃42は固定刃とも称され、移動可能な第1刃41は可動刃とも称される。
第1刃41は、第2刃42に向かう第1方向Fへ移動しながら、第2刃42と交差するカットポイントAにおいて、紙P1をカットする。紙片P2は、カッター40によりカットされた紙P1を示す。紙P1をカット後、第1刃41は、第2刃42から離れる第2方向Rへ移動する。
なお、図2、及び、図4図6において、上方は第1方向Fを示し、下方は第2方向Rを示す。
【0014】
第1刃側ガイド7、及び、紙ガイド10の間には、紙P1が通過可能な搬送路8が形成される。第1刃側ガイド7は、下方である第1刃41側から紙P1をガイド可能である。一方、紙ガイド10は、上方である第2刃42側から紙P1をガイド可能である。
第1刃側ガイド7は、搬送方向FFにおいて、ローラー31の下流であって、第1刃41の上流に配置される。紙ガイド10は、搬送方向FFにおいて、ヘッド30の下流であって、第2刃42の上流に配置される。
なお、第1刃側ガイド7及び紙ガイド10は、後述のように、部分的に紙P1に繋がっている紙片P2もガイド可能である。
【0015】
図3に、カッター40によりカットポイントAでカットされた紙P1を示す。カットポイントAの搬送方向FFの下流には、紙片P2が形成される。紙P1と紙片P2との間には、カットポイントAにおいて、カットされたカット部Paと、カットされない部分である切残りPbとが形成される。
切残りPbは、後述の第1刃41の切欠き41cにより形成される。切残りPbにより、紙P1及び紙片P2は部分的に繋がっている。紙片P2は、部分的に長尺状の紙P1に繋がっているので、印刷装置1から落下せず、仮にユーザーが取り出さなくても、散乱することがない。
カッター40が、切残りPbを形成するように、紙P1を部分的にカットすることを、いわゆるパーシャルカットという。
【0016】
図4に示すように、カッター40は、第2刃42、及び、第2刃42へ向かう第1方向Fへ移動可能な第1刃41を含み、搬送路8にある紙P1をカットポイントAでカットすることができる。
第2刃42は、左右方向に直線形状の第3刃先42aを有する。カットポイントAは、第2刃42の第3刃先42aのある位置でもある。
紙P1をカット前の第1刃41は、最も下方の位置である待機位置Bにある。一方、後述の図6に示すように、カット終了直後の第1刃41は、最も上方の位置であるカット位置Cにある。紙P1をカットした後、第1刃41は待機位置Bへ戻る。第1刃41は、待機位置B及びカット位置Cの間を往復移動することができる。
【0017】
第1刃41は、第1刃先41a、第2刃先41b、切欠き41c、第1突起41d、第2突起41eを有する。
第1刃41の刃先はV字形状をしており、左右の端から中央へ向かって、それぞれ下方へ傾斜する、第1刃先41a、第2刃先41bを有する。そして、第1刃41は、このV字形状の中央に、刃先が構成されていない部分である切欠き41cを有する。切欠き41cは、下方に楕円形に切り欠いた形状をしている。
第1刃41の左右の端からは、矩形の第1突起41d、第2突起41eが、それぞれ上方へ延びる。
【0018】
紙ガイド10は、アーム軸17を中心に各構成要素を左右対称に配置する。また、各構成要素の移動及び回転なども、左右対称となる。
紙ガイド10は、左右の第1ガイド11及び第2ガイド21を含んで構成される。搬送路8にあり、第1刃41及び第2刃42の間にある紙P1は、第1刃側ガイド7により第1刃41側からガイドされ、第1ガイド11及び第2ガイド21により第2刃42側からガイドされる。
なお、紙P1に部分的に繋がっている紙片P2がある場合も、第1刃側ガイド7、第1ガイド11及び第2ガイド21により、紙P1と同様にガイドされる。
【0019】
紙ガイド10は、第1軸13を中心に第1ガイド11を回転可能に搭載する第1アーム12と、第2軸23を中心に第2ガイド21を回転可能に搭載する第2アーム22とを有する。
上述のように、紙ガイド10は、アーム軸17を中心に、第1アーム12及び第2アーム22と、それらに搭載された第1ガイド11及び第2ガイド21などの各構成要素とを、左右対称に有する。また、紙ガイド10は、第1アーム12及び第2アーム22と、それらに搭載された第1ガイド11及び第2ガイド21などの各構成要素の移動及び回転も、左右対称とする。
【0020】
第1アーム12の一端12b、及び、第2アーム22の一端22bは、アーム軸17に取り付けられる。アーム軸17は、第1アーム12、及び、第2アーム22を回転可能に支持する。
アーム軸17には弾性部材18が搭載され、第1アーム12の一端12b、及び、第2アーム22の一端22bを下方へ押す。弾性部材18は、例えば、捩りコイルバネやトーションバネなどのバネである。
弾性部材18は、アーム軸17を中心に、第1アーム12を反時計回りに回転させるように作用し、第2アーム22を反対の時計回りに回転させるように作用する。
すなわち、弾性部材18は、第1アーム12の他端12a、及び、第2アーム22の他端22aを、回転させつつ下方へ移動させるように作用する。
【0021】
第1アーム12の他端12aには、第1ガイド11、第1軸13、第1ストッパー14が搭載される。第2アーム22の他端22aには、第2ガイド21、第2軸23、第2ストッパー24が搭載される。
この結果、弾性部材18は、第1ガイド11及び第2ガイド21を、回転させつつ下方へ移動させるように作用する。
【0022】
図4に示すように、第1刃41が待機位置Bにあるとき、第1ガイド11及び第2ガイド21は、弾性部材18に押され、下方の位置である第1位置11a,21aにある。このとき、図4の例では、第1ガイド11及び第2ガイド21は、第1刃41の第1突起41d、及び、第2突起41eとは当接していない。なお、第1刃41が待機位置Bにあるとき、第1ガイド11及び第2ガイド21は、第1刃41の第1突起41d、及び、第2突起41eとは当接するようにしてもよい。
第1ガイド11及び第2ガイド21は、第1位置11a,21aにあるとき、第1刃側ガイド7に対して対向する位置にあり、紙P1及び紙片P2をガイド可能な搬送路8を形成することができる。このとき、第1ガイド11及び第2ガイド21は、左右に直線状となるような姿勢となり、第1刃側ガイド7に対して並行となる。
【0023】
なお、第1位置11a,21a、及び、後述の第2位置11b,21bは、上下方向における第1ガイド11及び第2ガイド21の位置を示す。上述のように第1ガイド11及び第2ガイド21は、左右対称に移動及び回転するので、それぞれの上下方向の位置も同位置となる。
第1位置11a,21aは、図4に示すように、第1刃41が待機位置Bにあるときの位置であり、第1ガイド11及び第2ガイド21が最も下方にある位置である。
一方、第2位置11b,21bは、後述の図6に示すように、第1刃41がカット位置Cにあるときの位置であり、第1ガイド11及び第2ガイド21が最も上方にある位置である。
【0024】
第1ガイド11に当接可能な第3ストッパー15、及び、第2ガイド21に当接可能な第4ストッパー25は、ケース3に配置される。
第1アーム12の他端12aには、第1ガイド11に当接可能な第1ストッパー14が搭載される。第2アーム22の他端22aには、第2ガイド21に当接可能な第2ストッパー24が搭載される。
【0025】
上述のように、弾性部材18は、第1ガイド11及び第2ガイド21を、回転しつつ下方へ移動させることができる。
第1ストッパー14及び第3ストッパー15は、第1位置11aにおいて、第1ガイド11を挟むように上下から当接し、第1ガイド11の回転や移動を停止させることができる。この結果、第1ガイド11は、第1刃側ガイド7に対して並行となる姿勢を維持することができる。
また、第2ストッパー24及び第4ストッパー25も、第1位置21aにおいて、第2ガイド21を挟むように上下から当接し、第2ガイド21の回転や移動を停止させることができる。この結果、第2ガイド21も、第1刃側ガイド7に対して並行となる姿勢を維持することができる。
【0026】
次に、図5に示すように、第1刃41は、待機位置Bから、第2刃42に向かって第1方向Fへ移動していく。このとき、第1刃41は、カットポイントAにおいて、第2刃42と交差しながら、紙P1をカットしていく。
具体的には、第1刃41の第1刃先41a及び第2刃先41bが、両端からそれぞれ第2刃42の第3刃先42aと交差して紙P1をカットしていき、カット部Paを形成していく。
【0027】
第1刃41の移動に伴い、左右の第1突起41d、第2突起41eも、第1方向Fへ移動していく。第1突起41d、第2突起41eは、それぞれ第1ガイド11及び第2ガイド21に当接し、弾性部材18の押す力に抗って、第1方向Fである上方へ移動させていく。すなわち、第1刃41は、第1方向Fへ移動する際、紙ガイド10を上方へ押して移動させる。
第1突起41dは、第1ガイド11に対し、第1軸13の右において下方から当接して移動させる。第2突起41eは、第2ガイド21に対し、第2軸23の左において下方から当接して移動させる。
【0028】
このとき、第1ガイド11は、第1軸13の右において上方から第1アーム12上の第1ストッパー14に当接しているので、第1軸13を中心に回転はしない。すなわち、第1ガイド11は、第1軸13の右において、第1突起41dにより下方から当接される一方、第1ストッパー14により上方から当接されるので、回転はしない。
第1ガイド11は、第1アーム12と共に、アーム軸17を中心に時計回りに回転しつつ、上方へ移動する。第1ガイド11は、右端が上方で左端が下方に向くような斜めの姿勢となる。
【0029】
同様に、第2ガイド21は、第2軸23の左において上方から第2アーム22上の第2ストッパー24に当接しているので、第2軸23を中心に回転はしない。すなわち、第2ガイド21は、第2軸23の左において、第2突起41eにより下方から当接される一方、第2ストッパー24により上方から当接されるので、回転はしない。
第2ガイド21は、第2アーム22と共に、アーム軸17を中心に反時計回りに回転しつつ、上方へ移動する。第2ガイド21は、左端が上方で右端が下方に向くような斜めの姿勢となる。
【0030】
第1ガイド11及び第2ガイド21は、上方へ移動するとき、互いに反対方向へ回転する。第1ガイド11及び第2ガイド21は、回転しつつ上方へ移動していくので、それぞれ第3ストッパー15及び第4ストッパー25から離れていく。一方、第1ストッパー14及び第2ストッパー24は、左右の第1突起41d、第2突起41eに押されて、それぞれ第1ガイド11及び第2ガイド21に当接した状態を維持している。
【0031】
さらに第1刃41が第1方向Fへ移動していくと、第1ガイド11及び第2ガイド21は、それぞれ上方となっている端が、第5ストッパー16及び第6ストッパー26に当接するようになる。
第1ガイド11が上方へ移動するとき、第5ストッパー16に当接するまでは、アーム軸17を中心に回転する。また、第2ガイド21も上方へ移動するとき、第6ストッパー26に当接するまでは、アーム軸17を中心に回転する。
【0032】
図6は、第1刃41が第1方向Fへ移動していき、最も上方の位置であるカット位置Cに到達した状態を示す。このとき、第1刃41の第1刃先41a及び第2刃先41bは、カットポイントAでもある第2刃42の第3刃先42aの位置を越えている。
この結果、第1刃41の第1刃先41a及び第2刃先41bは、第2刃42の第3刃先42aと交差して、図3に示すように、紙P1と紙片P2との間にカット部Paを形成する。一方、第2刃42の第3刃先42aと交差しない第1刃41の切欠き41cにより、紙P1と紙片P2との間に切残りPbが形成される。
【0033】
このとき、第1ガイド11及び第2ガイド21は、第1方向Fへ移動する第1刃41の第1突起41d、第2突起41eに押されて、第2位置11b、21bへ到達する。
第1ガイド11及び第2ガイド21において、それぞれ上方となっている端が第5ストッパー16及び第6ストッパー26に当接したときの図5に示す状態から、さらに第1突起41d、第2突起41eにより押されていった状態を図6に示す。
第5ストッパー16に当接した第1ガイド11、及び、第6ストッパー26に当接した第2ガイド21は、第2位置11b、21bへ到達する際、それぞれ第1軸13及び第2軸23を中心に回転する。第1ガイド11は反時計回りに回転し、第2ガイド21は時計回りに回転する。第1ガイド11及び第2ガイド21は、上方へ移動し第2位置11b、21bへ到達する際も、互いに反対方向へ回転する。
【0034】
第1ガイド11及び第2ガイド21における上方となっている端は、第5ストッパー16及び第6ストッパー26に当接するので、これ以上、上方へは移動しない。
第1突起41d、第2突起41eにより押されて、第1ガイド11及び第2ガイド21における下方となっている端が、上方へ移動していく。そして、第1ガイド11及び第2ガイド21における下方となっている端は、アーム軸17に近付いていく。
【0035】
このとき、第1ガイド11は、それぞれ、当接する第5ストッパー16を支点、当接する第1突起41dを力点、第1軸13を作用点とする、いわゆる、てこの原理に則って動作することができる。
すなわち、第1ガイド11は、第1突起41dに押されると、第5ストッパー16を支点として、第1軸13を上方へ移動させる。このとき、第1ガイド11は、第1軸13を中心に反時計回りに回転する。このように回転しても、第1ガイド11は、第5ストッパー16に当接する右端が上方で、左端が下方に向く斜めの姿勢を維持する。
この結果、第1ガイド11は、第1突起41dに押されて第2位置11bへ移動しても、最も上方にある右端を含め、第5ストッパー16を超えた上方の位置へ移動することはない。
【0036】
同様に、第2ガイド21は、それぞれ、当接する第6ストッパー26を支点、当接する第2突起41eを力点、第2軸23を作用点とする、いわゆる、てこの原理に則って動作することができる。
すなわち、第2ガイド21は、第2突起41eに押されると、第6ストッパー26を支点として、第2軸23を上方へ移動させる。このとき、第2ガイド21は、第2軸23を中心に時計回りに回転する。このように回転しても、第2ガイド21は、第6ストッパー26に当接する左端が上方で、右端が下方に向く斜めの姿勢を維持する。
この結果、第2ガイド21は、第2突起41eに押されて第2位置21bへ移動しても、最も上方にある左端を含め、第6ストッパー26を超えた上方の位置へ移動することはない。
【0037】
第1軸13の移動に伴い、第1軸13が搭載された第1アーム12は、アーム軸17を中心に時計回りに回転する。第1アーム12に搭載された第1ストッパー14は、第1ガイド11から離れて上方へ向かう。
しかし、第1ストッパー14は、第1ガイド11の右端よりも第1軸13の近くに位置しているので、第1ガイド11の右端よりも上方の位置となることはない。第1ストッパー14は、第5ストッパー16の位置に対して上方へ越えることはない。
【0038】
同様に、第2軸23の移動に伴い、第2軸23が搭載された第2アーム22は、アーム軸17を中心に反時計回りに回転する。第2アーム22に搭載された第2ストッパー24は、第2ガイド21から離れて上方へ向かう。
しかし、第2ストッパー24は、第2ガイド21の左端よりも第2軸23の近くに位置しているので、第2ガイド21の左端よりも上方の位置となることはない。第2ストッパー24は、第6ストッパー26の位置に対して上方へ越えることはない。
【0039】
このように、第1ガイド11及び第2ガイド21は、第1方向Fへ移動する第1刃41に押されて、紙P1をガイド可能な第1位置11a,21aから、回転しつつ上方へ移動して第2位置11b,21bに到達する。
このとき、第1ガイド11及び第2ガイド21、並びに、第1ストッパー14及び第2ストッパー24を含む紙ガイド10は、第5ストッパー16及び第6ストッパー26の位置に対して、さらに上方へ移動することはない。この結果、第1ガイド11及び第2ガイド21、並びに、第1ストッパー14及び第2ストッパー24を含む紙ガイド10の上方への移動距離を短く抑えることができる。
【0040】
すなわち、第1刃41が第1方向Fへ移動してカット位置Cに到達し、紙ガイド10が第1刃41に押されて最も上方の位置に至った場合であっても、第5ストッパー16及び第6ストッパー26の位置を越えることはない。
このような紙ガイド10の構成により、紙ガイド10の上方への移動距離を短く抑えることができる。この結果、印刷装置1を小型にすることができる。
【0041】
第1刃41は、図6に示すカット位置Cで紙P1をカットした後、第2方向Rへ移動し、再び図5に示す位置を経て、図4に示す待機位置Bへと戻る。なお、このとき、弾性部材18の弾性力により、第1ガイド11、第2ガイド21、第1アーム12、第2アーム22は、それぞれ、図5及び図6とは反対方向へ回転しながら下方へ移動し、図4の位置へ戻ることとなる。
第1刃41が戻ったとき、図4に示すように、搬送路8には、紙P1、及び、紙P1に部分的に繋がっている紙片P2があることとなる。
【0042】
ところで、図3に示すように、紙P1と紙片P2との間にはカット部Paが形成される。紙片P2のカット部Paは、紙P1に繋がっていないので支持するものがなく、フリーの状態となっているので、上下方向などに湾曲するおそれがある。
紙片P2のカット部Paが湾曲した状態で、ローラー31により紙P1を搬送方向FFの逆方向へ搬送した場合、紙片P2の湾曲したカット部Paが、第1刃41又は第2刃42などに引っ掛かるおそれがある。
【0043】
この場合、図4に示すように、第1刃側ガイド7、紙ガイド10の第1ガイド11及び第2ガイド21は、紙P1と同様に、紙片P2のカット部Paも含めて、紙片P2をガイドすることができる。
この結果、紙片P2のカット部Paが湾曲した状態であっても、ローラー31により紙P1を搬送方向FFの逆方向へ搬送した場合、湾曲した紙片P2のカット部Paが、第1刃41又は第2刃42などに引っ掛かることが抑制される。
【0044】
また、第1刃41が第1方向Fへ移動して紙P1をカットしていくとき、第1刃先41a及び第2刃先41bの移動に伴って、フリーの状態となった紙片P2のカット部Paが、一緒に上方へ付いて行ってしまうことがある。
しかし、第1刃41が第2方向Rへ移動して戻るとき、紙ガイド10の第1ガイド11及び第2ガイド21も、紙片P2のカット部Paに当接しつつ、下方へ移動することができ、紙片P2のカット部Paを搬送路8の位置に移動させることができる。
【0045】
上述の実施形態によれば、印刷装置1は、カッター40の第1刃41及び第2刃42の間に搬送される紙P1を、第1刃41側からガイド可能な第1刃側ガイド7と、第2刃42側からガイド可能な第1ガイド11及び第2ガイド21を含む紙ガイド10とを備える。紙ガイド10は、第1軸13を中心に第1ガイド11を回転可能に搭載する第1アーム12と、第2軸23を中心に第2ガイド21を回転可能に搭載する第2アーム22と、第1アーム12及び第2アーム22を回転可能に支持するアーム軸17と、を有する。
【0046】
そして、第1ガイド11及び第2ガイド21は、第1方向Fへ移動する第1刃41に押されて、紙P1をガイド可能な第1位置11a,21aから、回転しつつ上方である第1方向Fへ移動して第2位置11b,21bに到達する。
この結果、紙P1をガイド可能である第1ガイド11及び第2ガイド21は、第1刃41に押されて回転しながら第1方向Fへ移動することにより、第1方向Fへの移動距離を短くすることができ、印刷装置1を小さくすることができる。
【0047】
以上、これらの実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0048】
上述のように、印刷装置1のヘッド30はラインサーマルヘッドの例で説明したが、ヘッド30の方式は問わない。例えば、ヘッド30はライン型のインクジェットヘッドでもよい。
紙P1は、感熱紙の例で説明したが、ヘッド30がインクジェットヘッドの場合には、普通紙であってもよい。
【0049】
上述では、カバー2に、ローラー31、カッター40を構成する第1刃41、第1刃側ガイド7を搭載し、ケース3に、紙ガイド10、ヘッド30、カッター40を構成する第2刃42が搭載された例で説明したが、カバー2及びケース3にそれぞれが逆に搭載されてもよい。この場合、ロール紙R1は、外側が搬送面となるように、紙P1が巻かれる。
また、紙P1は、台紙に所定間隔でラベルが貼付されたラベル紙であってもよい。
【0050】
上述では、紙ガイド10が、搬送方向FFにおいて、ヘッド30の下流であって、第2刃42の上流に配置される例で説明したが、紙ガイド10が、第2刃42の下流に配置されるようにしてもよい。第1刃41が移動して紙P1をカットした後、紙ガイド10は、第2刃42に乗り上げたカット後の紙片P2を搬送路8へ戻すことができる。さらに、紙ガイド10は、ローラー31により搬送方向FFとは反対方向へ紙P1及び紙片P2を搬送する際、紙片P2をガイドすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…ロール紙印刷装置、7…第1刃側ガイド、8…搬送路、10…紙ガイド、11…第1ガイド、11a…第1位置、11b…第2位置、12…第1アーム、13…第1軸、14…第1ストッパー、15…第3ストッパー、16…第5ストッパー、17…アーム軸、18…弾性部材、21…第2ガイド、22…第2アーム、23…第2軸、24…第2ストッパー、25…第4ストッパー、26…第6ストッパー、30…ヘッド、31…ローラー、40…カッター、41…第1刃、41c…切欠き、42…第2刃、F…第1方向、P1…紙、P2…紙片、R…第2方向、R1…ロール紙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6