(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115666
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ロール体運搬用台車
(51)【国際特許分類】
B65H 19/12 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
B65H19/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021422
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】黒飛 周平
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA01
3F064EA04
3F064EA05
3F064EB01
3F064EB08
(57)【要約】
【課題】セット位置が低い場合であっても簡単にロール体をセットする。
【解決手段】媒体Mがロール状に巻かれたロール体R1を運搬するロール体運搬用台車100であって、車輪111が設けられる基部110と、ロール体R1を載置する載置部120と、第1変位部131を有し、第1変位部131を変位させることで基部110に対する載置部120の高さを調整する高さ調整部130と、第1変位部131に接続される第2変位部141を有し、第2変位部141を変位させることで高さ調整部130を操作する操作部140と、高さ調整部130と操作部140との間に設けられ、第2変位部141の変位量に比べて第1変位部131の変位量が小さくなるようにする変位量変更部150と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体がロール状に巻かれたロール体を運搬するロール体運搬用台車であって、
車輪が設けられる基部と、
前記ロール体を載置する載置部と、
第1変位部を有し、前記第1変位部を変位させることで前記基部に対する前記載置部の高さを調整する高さ調整部と、
前記第1変位部に接続される第2変位部を有し、前記第2変位部を変位させることで前記高さ調整部を操作する操作部と、
変位量変更部と、
を有し、
前記高さ調整部と前記操作部とは前記変位量変更部を介して接続され、前記変位量変更部は前記第2変位部の変位量に比べて前記第1変位部の変位量が小さくなるようにすることを特徴とするロール体運搬用台車。
【請求項2】
請求項1に記載されたロール体運搬用台車において、
前記高さ調整部は、前記第1変位部としての第1回転軸と、前記第1回転軸に接続され前記第1回転軸を回転させることで変位するアーム部と、を有することを特徴とするロール体運搬用台車。
【請求項3】
請求項2に記載されたロール体運搬用台車において、
前記アーム部は、前記第1回転軸を回転させることで高さ方向の長さが変位する菱形の収縮機構であることを特徴とするロール体運搬用台車。
【請求項4】
請求項2または3に記載されたロール体運搬用台車において、
前記高さ調整部は、前記第1回転軸に嵌められた第1歯車を有し、
前記変位量変更部は、前記操作部が嵌められる前記第2変位部としての第2回転軸に嵌められ前記第1歯車に回転力を伝達可能な第2歯車を有し、前記第2回転軸の回転方向の変位量に比べて前記第1歯車の回転方向の変位量が小さくなるように構成されていることを特徴とするロール体運搬用台車。
【請求項5】
請求項4に記載されたロール体運搬用台車において、
前記第2回転軸は、前記第1回転軸よりも高い位置に配置されていることを特徴とするロール体運搬用台車。
【請求項6】
請求項1または2に記載されたロール体運搬用台車において、
前記基部は、前記高さ調整部の少なくとも一部を収容可能な凹部を有することを特徴とするロール体運搬用台車。
【請求項7】
請求項1または2に記載されたロール体運搬用台車において、
前記操作部は、前記高さ調整部を操作する際に配置可能な操作位置と、前記高さ調整部を操作しない際に配置可能な収容位置と、に変位可能に構成されていることを特徴とするロール体運搬用台車。
【請求項8】
請求項1または2に記載されたロール体運搬用台車において、
前記ロール体を運搬する際に把持可能な把持部を備えることを特徴とするロール体運搬用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体運搬用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な印刷装置が使用されている。このうち、ロール状に巻かれた媒体を搬送しつつ該媒体に画像を形成する印刷装置がある。このような印刷装置においては、媒体がロール状に巻かれたロール体を印刷装置のセット部にセットする必要がある。そこで、例えば、特許文献1には、ロール紙をセット部にセットすることを容易にするための、プリンターにおけるロール紙ホルダーにロール紙を装着する際に使用可能な、ロール紙をロール紙ホルダーの高さまで持ち上げるロール紙持ち上げ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体がロール状に巻かれたロール体には、大きく重いものがある。また、印刷装置の小型化が求められることに伴ってロール体のセット部が低い位置に設けられる場合がある。重いロール体を低い位置に設けられるセット部にセットする際、作業者はかがんだ状態で重いロール体を一定時間、一定の高さに維持しなければならず、作業負荷が大きくなる。このような際には、特許文献1のロール紙持ち上げ装置のような従来のロール体のセット装置を使用してもなお作業負荷が大きくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のロール体運搬用台車は、媒体がロール状に巻かれたロール体を運搬するロール体運搬用台車であって、車輪が設けられる基部と、前記ロール体を載置する載置部と、第1変位部を有し、前記第1変位部を変位させることで前記基部に対する前記載置部の高さを調整する高さ調整部と、前記第1変位部に接続される第2変位部を有し、前記第2変位部を変位させることで前記高さ調整部を操作する操作部と、変位量変更部と、を有し、前記高さ調整部と前記操作部とは前記変位量変更部を介して接続され、前記変位量変更部は前記第2変位部の変位量に比べて前記第1変位部の変位量が小さくなるようにすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車を使用してロール体をセット可能な印刷装置の概略図。
【
図2】本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車の側面図であって、ロール体を載せた載置部が最も下方の位置にある状態を表す図。
【
図3】本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車の側面図であって、
図2の状態に対してロール体を載せた載置部を上方に位置させた状態を表す図。
【
図4】本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車の側面断面図であって、載置部が最も下方の位置にある状態を表す図。
【
図5】本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車の側面断面図であって、
図4の状態に対して載置部を上方に位置させた状態を表す図。
【
図6】本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車の背面側から見た斜視図であって、載置部が最も下方の位置にある状態を表す図。
【
図7】本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車の背面側から見た斜視図であって、
図6の状態に対して載置部を上方に位置させた状態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様のロール体運搬用台車は、媒体がロール状に巻かれたロール体を運搬するロール体運搬用台車であって、車輪が設けられる基部と、前記ロール体を載置する載置部と、第1変位部を有し、前記第1変位部を変位させることで前記基部に対する前記載置部の高さを調整する高さ調整部と、前記第1変位部に接続される第2変位部を有し、前記第2変位部を変位させることで前記高さ調整部を操作する操作部と、変位量変更部と、を有し、前記高さ調整部と前記操作部とは前記変位量変更部を介して接続され、前記変位量変更部は前記第2変位部の変位量に比べて前記第1変位部の変位量が小さくなるようにすることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、第2変位部の変位量に比べて第1変位部の変位量が小さくなるようにする変位量変更部を有する。このため、載置部の高さを簡単に高精度で調整することができることとなり、作業者が低くかがんだ状態で長時間操作部を操作するということを抑制することができる。したがって、セット位置が低い場合であっても簡単にロール体をセットすることができる。
【0009】
本発明の第2の態様のロール体運搬用台車は、第1の態様に従属する態様であって、前記高さ調整部は、前記第1変位部としての第1回転軸と、前記第1回転軸に接続され前記第1回転軸を回転させることで変位するアーム部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、高さ調整部は、第1変位部としての第1回転軸と、第1回転軸に接続され第1回転軸を回転させることで変位するアーム部と、を有する。このような構成とすることで、高い精度で載置部の高さを変更可能な高さ調整部とすることができる。
【0011】
本発明の第3の態様のロール体運搬用台車は、前記第2の態様に従属する態様であって、前記アーム部は、前記第1回転軸を回転させることで高さ方向の長さが変位する菱形の収縮機構であることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、アーム部は第1回転軸を回転させることで高さ方向の長さが変位する菱形の収縮機構である。このような構成とすることで、高さ調整部の耐荷重性が高くなり、重いロール体を使用した場合であっても、高い精度で載置部の高さを変更可能な高さ調整部とすることができる。
【0013】
本発明の第4の態様のロール体運搬用台車は、前記第2または第3の態様に従属する態様であって、前記高さ調整部は、前記第1回転軸に嵌められた第1歯車を有し、前記変位量変更部は、前記操作部が嵌められる前記第2変位部としての第2回転軸に嵌められ前記第1歯車に回転力を伝達可能な第2歯車を有し、前記第2回転軸の回転方向の変位量に比べて前記第1歯車の回転方向の変位量が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、操作部の回転方向の変位量に対応する第2回転軸の回転方向の変位量に比べて、高さ調整部の第1回転軸の回転方向の変位量が小さくなるように構成されることとなる。したがって、作業者は軽い力で操作部を操作することができるとともに、高い精度で載置部の高さを変更することができる。
【0015】
本発明の第5の態様のロール体運搬用台車は、前記第4の態様に従属する態様であって、前記第2回転軸は、前記第1回転軸よりも高い位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第2回転軸は第1回転軸よりも高い位置に配置されている。すなわち、高さ方向における中心位置が下方から順に、高さ調整部、変位量変更部、操作部となるように配置されたロール体運搬用台車を容易に構成することができる。このため、高さ調整部を低い位置に設けることができることで、ロール体を載置部まで持ち上げる高さを低くすることができる。また、低くなりすぎない位置に操作部を設けることができることで、作業者が低くかがんだ状態で長時間操作部を操作するということを抑制することができる。
【0017】
本発明の第6の態様のロール体運搬用台車は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記基部は、前記高さ調整部の少なくとも一部を収容可能な凹部を有することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、基部は高さ調整部の少なくとも一部を収容可能な凹部を有する。このため、ロール体運搬用台車を小型化することができるとともに、高さ調整部を低い位置に設けることができることで、ロール体を例えば地面から載置部まで持ち上げる高さを低くすることができる。
【0019】
本発明の第7の態様のロール体運搬用台車は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記操作部は、前記高さ調整部を操作する際に配置可能な操作位置と、前記高さ調整部を操作しない際に配置可能な収容位置と、に変位可能に構成されていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、操作部は、高さ調整部を操作する際に配置可能な操作位置と、高さ調整部を操作しない際に配置可能な収容位置と、に変位可能に構成されている。このため、高さ調整部を操作しない際に、ロール体運搬用台車を小型化することができる。
【0021】
本発明の第8の態様のロール体運搬用台車は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記ロール体を運搬する際に把持可能な把持部を備えることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、ロール体を運搬する際に把持可能な把持部を備える。このため、作業者がロール体運搬用台車にロール体を載せた状態などにおいて、ロール体運搬用台車を容易に移動させることができる。
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。最初に、
図1を参照して本発明の一実施例に係るロール体運搬用台車100を使用可能な印刷装置1の概要について説明する。
図1は、ロール体運搬用台車100を使用してロール体R1をセット部2にセットした状態を表している。ロール体R1をセット部2にセットした後は、印刷装置1の周辺からロール体運搬用台車100を移動させてもよいが、
図1では、ロール体R1をセット部2にセットした後において印刷装置1の後方にロール体運搬用台車100を位置させたままの状態としている。
【0024】
なお、
図1においては、構成を分かり易くするために一部の構成部材を簡略化及び省略して表している。ここで、図中のX軸方向は水平方向であって媒体Mがロール状に巻き重ねられたロール体R1を保持するセット部2の支持部の延びる方向であり、Y軸方向は水平方向であるとともに印刷装置1の前後方向であってX軸方向と直交する方向、Z軸方向は鉛直方向、すなわち、高さ方向である。また、以下においては、矢印の向く方向を+方向、矢印の向く方向とは反対方向を-方向とする。例えば、鉛直上方向は+Z方向、鉛直下方向は-Z方向、印刷装置1の前方は+Y方向、印刷装置1の後方は-Y方向とする。
【0025】
本実施例の印刷装置1は、本体部9を備えており、本体部9のX軸方向の両端部分には、脚部7が取り付けられている。また、本実施例の印刷装置1は、本体部9の後方側である-Y方向側に媒体Mがロール状に巻き重ねられたロール体R1を保持するセット部2を備えている。セット部2は、ロール体R1から媒体Mを本体部9に送り出す送出部の役割をしている。
【0026】
そして、本実施例の印刷装置1においては、媒体Mを搬送方向Aに搬送する際、X軸方向に沿う回転軸となるセット部2を回転方向Cに回転する。セット部2はロール体R1の巻き芯である紙管に挿入する部材である。なお、
図1では画像が形成される画像形成面M1が外側になるように巻かれているロール体R1を使用しているが、画像形成面M1が内側になるように巻かれているロール体R1を使用する場合は、セット部2は回転方向Cとは逆方向に回転してロール体R1から媒体Mを送り出すことが可能である。
【0027】
また、本実施例の印刷装置1は、媒体Mを支持する媒体支持部3などからなる媒体Mの搬送経路を備えている。本実施例の印刷装置1は、媒体支持部3として、搬送方向Aにおける上流側から下流側に向かって、媒体支持部3A、媒体支持部3B及び媒体支持部3Cを備えている。また、印刷装置1は、該搬送経路において媒体Mを搬送方向Aに搬送するための搬送部として、駆動ローラーと従動ローラーとからなるローラー対8を備えている。ただし、搬送部の構成に特に限定はない。
【0028】
また、本実施例の印刷装置1は、媒体支持部3Bと対向する位置に、複数のノズルが設けられ該ノズルからインクを吐出して画像を形成する印刷部としてのヘッド5と、該ヘッド5を搭載して幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ4と、を備えている。なお、本実施例の印刷装置1では、媒体支持部3B上のヘッド5と対向する位置における搬送方向Aは+Y方向であり、ヘッド5の移動方向である幅方向BはX軸方向に沿う方向であり、インクの吐出方向は-Z方向である。
【0029】
上記のような構成により、ヘッド5は、搬送方向Aと交差する方向である幅方向Bに往復移動しながら、搬送される媒体Mに不図示のノズルからインクを吐出して画像を形成することが可能である。本実施例の印刷装置1は、所定の搬送量で媒体Mを搬送方向Aに搬送させることと、媒体Mを停止した状態でヘッド5を幅方向Bに移動させながらインクを吐出させることと、を送り返すことで、媒体Mに所望の画像を形成可能である。ただし、このような構成のヘッドの代わりにインクを吐出するノズルがX軸方向全体に亘り設けられる所謂ラインヘッドを備える構成であってもよい。
【0030】
また、媒体支持部3のうちの媒体支持部3Cには、媒体Mの画像形成面M1とは反対側の被支持面M2を加熱するための加熱部としてヒーター20が設けられている。本実施例のヒーター20は電熱線などで構成されるが、このような構成に限定されない。また、媒体支持部3Cだけでなく、媒体支持部3Aや媒体支持部3Bにも媒体Mの画像形成面M1とは反対側の被支持面M2を加熱する媒体加熱部を設けていてもよい。
【0031】
また、搬送経路における媒体支持部3Cと対向する部分には、気流Fを吹き付けることによりヘッド5から媒体Mの画像形成面M1に吐出されたインクを乾燥させる送風部10が設けられている。本実施例の送風部10は、気流Fを加熱する気流加熱部11を備え、加熱した気体を気流Fとして媒体Mの画像形成面M1に送風することが可能な構成となっているが、このような構成に限定されない。
【0032】
また、搬送方向Aにおける媒体支持部3Cの下流には、搬送方向Aに搬送される媒体Mをロール状に巻き取ってロール体R2とする巻取部としての保持部6が設けられている。なお、本実施例の印刷装置1においては、セット部2と保持部6とは同様の構成をしており、保持部6は回転方向Cに回転する。保持部6はロール体R2の巻き芯である紙管を挿入する部材である。
図1では、保持部6が回転方向Cに回転することで画像形成面M1が外側になるように巻かれているが、画像形成面M1が内側になるように媒体Mを巻き取ってもよい。その場合は、保持部6は回転方向Cとは逆方向に回転する。
【0033】
次に、
図1に加え、
図2から
図7を参照して、本実施例のロール体運搬用台車100について詳細に説明する。本実施例のロール体運搬用台車100は、媒体Mがロール状に巻かれたロール体R1を運搬するロール体運搬用台車である。なお、ロール体R1と同様に、印刷がなされた媒体Mがロール状に巻き取られたロール体R2を運搬することも可能である。このため、下記の説明におけるロール体R1という記載はロール体R2と読み替えることができる。
【0034】
図2から
図7で表されるように、本実施例のロール体運搬用台車100は、車輪111が設けられる基部110と、ロール体R1を載置する載置部120と、載置部120の高さを調整する高さ調整部130と、高さ調整部130を操作する操作部140と、操作部140の操作量に対する載置部120の高さ変位量を調整する変位量変更部150と、を有している。ここで、高さ調整部130は、第1変位部としての第1回転軸131を有し、第1回転軸131を変位させることで基部110に対する載置部120の高さを調整することができる。また、操作部140は、第1回転軸131に接続される第2変位部としての第2回転軸141を有し、第2回転軸141を変位させることで高さ調整部130を操作する構成となっている。
【0035】
なお、「第1回転軸131に接続される第2変位部としての第2回転軸141」、すなわち、第1回転軸131に接続される第2回転軸141とは、自身の回転を伝達して第1回転軸131を回転させる第2回転軸141と読み替えることができる。また、変位とは、本実施例のように、回転方向に変位することを含む意味である。本実施例のロール体運搬用台車100は第1変位部及び第2変位部ともに回転軸であるが、このような構成に限定されず、例えば、第1変位部及び第2変位部の少なくとも一方が直線上に変位する構成などとしてもよい。ただし、本実施例のように、第1変位部及び第2変位部がともに回転軸である構成にすると、作業者が操作部140から手を離した状態でも載置部120の高さを維持させる構成とすることが容易となるので、第1変位部及び第2変位部がともに回転軸である構成であることが特に好ましい。
【0036】
ここで、変位量変更部150は、高さ調整部130と操作部140との間に設けられている。そして、作業者が操作部140を回転させた場合、第2変位部の回転方向の変位量である第2回転軸141の回転量に比べて第1変位部の回転方向の変位量である第1回転軸131の回転量が小さくなるように構成されている。第2回転軸141の回転量に比べて第1回転軸131の回転量が大きくなるように構成されている場合、操作部140を少し回転させただけでも載置部120の高さが大きく変わってしまうので載置部120の高さの調整に時間がかかることとなる。一方、本実施例においては、第2回転軸141の回転量に比べて第1回転軸131の回転量が小さくなるように構成されているので、載置部120の高さを簡単に高精度で調整することができることとなり、作業者が低くかがんだ状態で長時間操作部を操作するということを抑制することができる。したがって、セット位置が低い場合であっても簡単にロール体をセットすることができる。
【0037】
また、本実施例の高さ調整部130は、第1回転軸131と、第1回転軸131に接続され第1回転軸131を回転させることで変位するアーム部132と、を有している。このような構成とすることで、高い精度で載置部120の高さを変更可能な高さ調整部130とすることができる。
【0038】
さらに詳細には、
図4及び
図5などで表されるように、アーム部132は、第1回転軸131を回転させることで高さ方向の長さが変位する菱形の収縮機構である。アーム部132をこのような構成とすることで、高さ調整部130の耐荷重性が高くなり、重いロール体R1を使用した場合であっても、高い精度で載置部120の高さを変更可能な高さ調整部130とすることができる。なお、ここでの「菱形」とは、厳密な意味での菱形である必要はなく、概ね菱形であればよい意味である。
【0039】
また、本実施例の高さ調整部130は、
図2から
図7で表されるように、第1回転軸131に嵌められた第1歯車133を有する。そして、本実施例の変位量変更部150は、操作部140が嵌められる第2回転軸141に嵌められ第1歯車133に回転力を伝達可能な第2歯車151を有する。そして、第2歯車151の直径が第1歯車133の直径よりも小さく構成されていることで第2回転軸141の回転方向の変位量に比べて第1歯車133の回転方向の変位量が小さくなるように構成されている。
【0040】
本実施例のロール体運搬用台車100は、このような構成となっていることで、操作部140の回転方向の変位量に対応する第2回転軸141の回転方向の変位量に比べて、高さ調整部130の第1回転軸131の回転方向の変位量が小さくなるように構成されることとなる。したがって、作業者は、本実施例のロール体運搬用台車100を使用することで、軽い力で操作部140を操作することができるとともに、高い精度で載置部120の高さを変更することができる。
【0041】
ここで、
図3から
図5などで表されるように、第2回転軸141は、第1回転軸131よりも高い位置に配置されている。すなわち、本実施例のロール体運搬用台車100は、高さ方向における中心位置が下方から順に、高さ調整部130、変位量変更部150、操作部140となるように配置されたロール体運搬用台車100とすることができている。このため、高さ調整部130を低い位置に設けることができることで、ロール体R1を載置部120まで持ち上げる高さを低くすることができる。また、低くなりすぎない位置に操作部140を設けることができることで、作業者が低くかがんだ状態で長時間操作部140を操作するということを抑制することができる。
【0042】
また、本実施例のロール体運搬用台車100は、
図4などで表されるように、基部110に、高さ調整部130の一部を収容可能な凹部112を有する。このように、基部110に高さ調整部130の少なくとも一部を収容可能な凹部112を設けることで、ロール体運搬用台車100を小型化することができるとともに、高さ調整部130を低い位置に設けることができ、ロール体R1を例えば地面から載置部120まで持ち上げる高さを低くすることができる。
【0043】
また、本実施例のロール体運搬用台車100は、
図2から
図7で表されるように、ロール体R1を運搬する際に把持可能な把持部160を備えている。このため、作業者がロール体運搬用台車100にロール体R1を載せた状態などにおいて、ロール体運搬用台車100を容易に移動させることができる。
【0044】
また、本実施例のロール体運搬用台車100は、
図2から
図7で表されるように、操作部140は、-Y方向側に飛び出している。しかしながら、例えば、操作部140を、
図4の実線で表されるように高さ調整部130を操作する際に配置可能な操作位置P1と、
図4の破線で表されるように高さ調整部130を操作しない際に配置可能な収容位置P2と、に変位可能に構成としてもよい。このような構成とすることで、高さ調整部130を操作しない際に、ロール体運搬用台車100をY軸方向において小型化することができる。
【0045】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。また、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…印刷装置、2…セット部、3…媒体支持部、3A…媒体支持部、3B…媒体支持部、3C…媒体支持部、4…キャリッジ、5…ヘッド(印刷部)、6…保持部、7…脚部、8…ローラー対(搬送部)、9…本体部、10…送風部、11…気流加熱部、20…ヒーター(加熱部)、100…ロール体運搬用台車、110…基部、111…車輪、112…凹部、120…載置部、130…高さ調整部、131…第1回転軸(第1変位部)、132…アーム部、133…第1歯車、140…操作部、141…第2回転軸(第2変位部)、150…変位量変更部、151…第2歯車、160…把持部、F…気流、M…媒体、M1…画像形成面、M2…被支持面、P1…操作位置、P2…収容位置、R1…ロール体、R2…ロール体