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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115682
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】CO2回収装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/92 20060101AFI20240820BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240820BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240820BHJP
【FI】
B01D53/92 240
B01D53/92 331
B01D53/96 ZAB
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021459
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 亨
(72)【発明者】
【氏名】近藤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 修
【テーマコード(参考)】
4D002
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA07
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB05
4G146JA02
4G146JC21
(57)【要約】
【課題】ブロワを運転可能な条件に基づいて動作させる制御装置を提供する。
【解決手段】CO回収装置は、再生塔と、吸収塔と、リッチラインと、リッチラインに設けられた流量計およびリッチバルブと、リーンラインと、リーンラインに設けられた流量計およびリーンバルブと、リーンラインを流れる吸収液を再生塔へ還流させるバイパスラインと、バイパスラインに設けられたバイパスバルブと、通常時の循環運転を開始するときに、再生塔の吸収液の液面高さが所定の目標値となるように、リッチバルブとリーンバルブとバイパスバルブの開度制御を行う制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収塔と、再生塔と、
前記吸収塔から前記再生塔へ吸収液を供給するリッチラインと、前記リッチラインに設けられた第1の流量計と、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリッチバルブと、
前記再生塔から前記吸収塔へ吸収液を供給するリーンラインと、前記リーンラインに設けられた第2の流量計と、前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリーンバルブと、
前記リーンラインを流れる吸収液を前記再生塔へ還流させるバイパスラインと、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量を制御するバイパスバルブと、
前記リッチラインと前記リーンラインを通じて、前記吸収液を前記吸収塔と前記再生塔の間で循環させる運転を開始するときに、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さが所定の目標値となるように、前記リッチバルブと、前記リーンバルブと、前記バイパスバルブの開度制御を行う制御装置と、
を備えるCO回収装置。
【請求項2】
前記バイパスラインに設けられた第3の流量計、をさらに備え、
前記制御装置は、
前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量と前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量が共に所定の変化幅だけ上昇するように、前記リッチバルブと前記リーンバルブの開度を上昇させ、
前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量が前記変化幅だけ低下するように前記バイパスバルブの開度を低下させる、
請求項1に記載のCO回収装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さと前記目標値の偏差を0とするような流量の補正量を算出し、前記流量を前記変化幅だけ上昇させる流量に前記補正量を加算した値に基づいて、前記リッチバルブ又は前記リーンバルブの開度を制御する、
請求項2に記載のCO回収装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を増加させるとともに、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さと前記目標値の偏差を0とするような、前記リーンラインを流れる前記吸収液の第1の流量と、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の第2の流量を算出し、前記第1の流量に基づいて前記リーンバルブの開度を制御し、前記第2の流量に基づいて前記バイパスバルブの開度を制御する、
請求項1に記載のCO回収装置。
【請求項5】
前記バイパスラインに設けられた第3の流量計、をさらに備え、
前記制御装置は、
前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量と前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量が共に所定の変化幅だけ上昇するような前記リッチバルブの第1開度と前記リーンバルブの第2開度を算出し、
前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量が前記変化幅だけ低下するような前記バイパスバルブの第3開度を算出し、
前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さと前記目標値の偏差を0とするような、前記リーンラインを流れる前記吸収液の第1の流量と、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の第2の流量を算出し、前記第1の流量に基づいて前記リーンバルブの第4開度を算出し、前記第2の流量に基づいて前記バイパスバルブの第5開度を算出し、
前記第1開度で前記リッチバルブを制御し、
前記第2開度と前記第4開度のうち小さい開度で前記リーンバルブを制御し、
前記第3開度と前記第5開度のうち大きい開度で前記バイパスバルブを制御する、
請求項1に記載のCO回収装置。
【請求項6】
吸収塔と、再生塔と、
前記吸収塔から前記再生塔へ吸収液を供給するリッチラインと、前記リッチラインに設けられた第1の流量計と、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリッチバルブと、
前記再生塔から前記吸収塔へ吸収液を供給するリーンラインと、前記リーンラインに設けられた第2の流量計と、前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリーンバルブと、
前記リーンラインを流れる吸収液を前記再生塔へ還流させるバイパスラインと、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量を制御するバイパスバルブと、
を備えるCO回収装置において、
前記リッチラインと前記リーンラインを通じて、前記吸収液を前記吸収塔と前記再生塔の間で循環させる運転を開始するときに、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さが所定の目標値となるように、前記リッチバルブと、前記リーンバルブと、前記バイパスバルブの開度制御を行う、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CO回収装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CO回収装置を、ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC:Gas Turbine Combined Cycle)に適用し、GTCCから排出される排ガスからCOを回収するプラントが検討されている。CO回収装置では、再生塔と吸収塔の間で吸収液を循環させ、排ガスからCOを回収する。COを回収するためには、吸収液を加熱する必要があり、GTCCに適用するCO回収装置の場合、GTCCの排熱回収ボイラにて発生させた蒸気を吸収液の加熱に用いる。しかし、GTCCの起動後しばらくの間は十分な量の蒸気を発生させることができない為、蒸気がCO回収装置に供給されず、その結果、CO回収装置の起動にも時間を要することになる。CO回収装置の起動時間を短縮するため、GTCCからの蒸気供給前は、吸収液タンクを設け、吸収塔、再生塔のそれぞれで吸収液を循環させることで、再生塔での吸収液の温度低下を抑制する制御が検討されている(非特許文献1)。また、特許文献1には、吸収液タンクを複数設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-67389号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】BEIS research paper number 2020/031,”Start-up and Shut-down times of power CCUS facilities”、online]、Department for Business, Energy & Industrial Strategy、[2023年01月16日検索]、インターネットhttps://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/929284/AECOM_report_final_version_clean_inc_appendices.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GTCCから蒸気が供給されるようになり、吸収塔と再生塔のそれぞれで吸収液を循環させる運転から、通常時の吸収塔と再生塔の間で吸収液を循環させる運転へ切り替える際、再生塔への吸収液の流入と流出のバランスをとりながら切り替えを行わないと、再生塔の液面変動が生じ、CO回収装置を安定して運転することができない。しかし、通常時の循環運転に切り替えるときの制御方法は提供されていない。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することができるCO回収装置及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のCO回収装置は、吸収塔と、再生塔と、前記吸収塔から前記再生塔へ吸収液を供給するリッチラインと、前記リッチラインに設けられた第1の流量計と、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリッチバルブと、前記再生塔から前記吸収塔へ吸収液を供給するリーンラインと、前記リーンラインに設けられた第2の流量計と、前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリーンバルブと、前記リーンラインを流れる吸収液を前記再生塔へ還流させるバイパスラインと、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量を制御するバイパスバルブと、前記リッチラインと前記リーンラインを通じて、前記吸収液を前記吸収塔と前記再生塔の間で循環させる運転を開始するときに、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さが所定の目標値となるように、前記リッチバルブと、前記リーンバルブと、前記バイパスバルブの開度制御を行う制御装置と、を備える。
【0008】
本開示の制御方法は、吸収塔と、再生塔と、前記吸収塔から前記再生塔へ吸収液を供給するリッチラインと、前記リッチラインに設けられた第1の流量計と、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリッチバルブと、前記再生塔から前記吸収塔へ吸収液を供給するリーンラインと、前記リーンラインに設けられた第2の流量計と、前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリーンバルブと、前記リーンラインを流れる吸収液を前記再生塔へ還流させるバイパスラインと、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量を制御するバイパスバルブと、を備えるCO回収装置において、前記リッチラインと前記リーンラインを通じて、前記吸収液を前記吸収塔と前記再生塔の間で循環させる運転を開始するときに、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さが所定の目標値となるように、前記リッチバルブと、前記リーンバルブと、前記バイパスバルブの開度制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
上述のCO回収装置及び制御方法によれば、CO回収装置において、吸収塔と再生塔の間で吸収液を循環させる運転を開始する際、再生塔の液面変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係るCO回収装置の一例を示す図である。
図2】第一実施形態に係る関数の一例を示す図である。
図3】第一実施形態に係る制御の一例を示すフローチャートである。
図4】第一実施形態に係るCO回収装置の要部の構成例を示す図である。
図5】第二実施形態に係るCO回収装置の一例を示す図である。
図6】第二実施形態に係る制御の一例を示すフローチャートである。
図7】第三実施形態に係るCO回収装置の一例を示す図である。
図8】第三実施形態に係る関数の一例を示す図である。
図9】第三実施形態に係る制御の一例を示すフローチャートである。
図10】第四実施形態に係るCO回収装置の一例を示す図である。
図11】各実施形態に係る制御器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係るCO回収装置における吸収液の循環運転を切り替えるときの制御について、図1図11を参照して説明する。
<第一実施形態>
(構成)
図1に、第一実施形態に係るCO回収装置100の構成を示す。CO回収装置100は、吸収塔1と、再生塔2と、制御器20~23と、を備える。吸収塔1と再生塔2は、吸収塔1から再生塔2へ吸収液を供給するためのリッチラインL1と、再生塔2から吸収塔1へ吸収液を供給するためのリーンラインL2とで接続されている。リッチラインL1には、リッチ液(リッチ液は、吸収塔1でCOを吸収した後の吸収液のことを示す。)の流れ方向の上流側から下流側へ向けて、ポンプ3、リッチバルブ5、流量計C1、吸収液熱交換器6がこの順番で設けられている。リッチラインL1のポンプ3、リッチバルブ5の間には、リッチ液を貯留するリッチタンク4が接続されている。リーンラインL2には、リーン液(リーン液は、再生塔2でCOを除去した後の吸収液のことを示す。)の流れ方向の上流側から下流側へ向けて、ポンプ7、吸収液熱交換器6、流量計C3、リーンバルブ9が設けられている。リーンバルブ9と吸収塔1の間では、リーン液を貯留するリーンタンク10が接続されている。吸収液熱交換器6では、リッチラインL1を流れるリッチ液とリーンラインL2を流れるリーン液の間で熱交換が行われる。リーンラインL2には、リーン液の一部を再生塔2へ戻すためのバイパスラインL3の一端が接続され、バイパスラインL3の他端は、リッチラインL1における吸収液熱交換器6の上流側(リッチ液の流れ方向の上流側)に接続される。バイパスラインL3には再生塔2に還流するリーン液の流れ方向の上流側から順に流量計C2、バイパスバルブ8が設けられている。また、リッチラインL1におけるポンプ3とリッチタンク4との接続点の間と、リーンラインL2におけるリーンバルブV9とリーンタンク10との接続点の間とを接続するラインL4が設けられ、ラインL4には、バルブ11が設けられている。ラインL4は、吸収塔1へ戻すリーン液が足りない場合などに、リッチラインL1を流れるリッチ液を、ラインL4を通じて吸収塔1へ戻すような場合に利用される経路である。
【0012】
CO回収装置100の前段には、不図示のGTCCが設けられていて、GTCC等が排出した蒸気は、CO回収装置100の再生塔2側へ供給され、吸収液の加熱に用いられる。GTCCの起動時には、起動が完了するまでは十分な蒸気が供給されない。このときには、吸収塔1と再生塔2の間の吸収液の循環運転は停止する。そして、例えば、吸収塔1については、リッチバルブ5とリーンバルブ9を閉として、ポンプ3を駆動し、リーンタンク10からリーン液を吸収塔1へ供給し、吸収塔1からリッチタンク4へリッチ液を供給し、必要に応じてバルブ11を開として、吸収塔1から流出したリッチ液を、ラインL4を通じて吸収塔1へ戻すという運転を行う。再生塔2については、バイパスバルブ8を開として、ポンプ7を駆動し、リーンラインL2へ吐出したリーン液を、バイパスラインL3を通じて再生塔2へ還流させる運転を行う。そして、GTCCから十分な蒸気や排ガスが供給されるようになると、吸収液を吸収塔1と再生塔2の間で循環させる通常運転(通常時の循環運転とも称する。)に切り替える。本実施形態は、この通常時の循環運転への切り替えの制御に関し、制御器20~23によって各種のバルブ5、8、9を連動して制御することによって安定した切り替えを実現する。
【0013】
制御器20は、吸収塔1と再生塔2を循環する吸収液の流量の設定値を受け付ける。この設定はユーザによって行われてもよいし、上位の制御装置によって行われてもよい。制御器20は、関数Fx1と関数Fx2とを備える。関数Fx1に循環流量の設定値を入力すると、関数Fx1は、吸収液の目標流量を算出する。関数Fx1が算出した目標流量は制御器21と制御器23へ出力される。制御器21は、流量計C3が計測するリーン液の流量が、関数Fx1によって算出された目標流量となるように、リーンバルブ9の開度を制御する。制御器23は、流量計C1が計測するリッチ液の流量が、関数Fx1によって算出された目標流量となるように、リッチバルブ5の開度を制御する。一方、関数Fx2に流量の設定値を入力すると、関数Fx2は、バイパスラインL3を流れて再生塔2へ還流する吸収液の目標流量を算出する。関数Fx2が算出した目標流量は制御器22へ出力される。制御器22は、流量計C2が計測する吸収液の流量が、関数Fx2によって算出された目標流量となるように、バイパスバルブ8の開度を制御する。
【0014】
図2に関数Fx1および関数Fx2が算出する値と、制御器20が受け付けた循環流量の設定値の関係を示す。図2のグラフの縦軸(設定値)は、関数Fx1と関数Fx2が算出して出力する値(目標流量)を示し、横軸は制御器20が関数Fx1と関数Fx2に出力する値(HC出力)を示す。HC出力は、例えば、ユーザや上位の制御装置等から受け付ける流量設定値と同じ値である。また後述するように、通常時の循環運転に切り替える際には、リッチバルブ5、リーンバルブ9を徐々に開き、バイパスバルブ8を徐々に閉じてゆく。図2のグラフの横軸のHC出力は、切り替え開始後の時間の経過に伴うHC出力値とも読み替えられる。グラフ201は関数Fx1、グラフ202は関数Fx2に対応する。関数Fx1の設定値とHC出力は正の相関にあり、例えば、関数Fx1は、入力されたHC出力と同じ大きさの設定値を出力する。関数Fx2の設定値とHC出力は負の相関にあり、例えば、関数Fx2は、(入力されるHC出力×-1)の設定値を出力する。
【0015】
(動作)
次に図3を参照して、CO回収装置100において、吸収液の循環を、吸収塔1と再生塔2それぞれで循環させる運転から通常時の循環運転に切り替える際の制御の流れを説明する。
吸収液の循環経路を切り替えてから吸収塔1と再生塔2を循環する吸収液の流量が最終的な目標値に達するまで、以下の処理が繰り返し実行される。まず、制御器20にリッチ液とリーン液の最終的な流量の目標値が設定される。制御器20は、流量の最終的な目標値に向けて、徐々に吸収液の循環流量が増加するように、少しずつHC出力を増加させ、そのHC出力を関数Fx1と関数Fx2に入力し、リッチラインL1、リーンラインL2、バイパスラインL3の流量設定値を算出する。(あるいは、制御器20へ、最終的な流量の目標値に向かって徐々に大きな流量目標値を与えるようにしてもよい。)より具体的には、制御器20は、関数Fx1によってリッチ液の目標流量を算出し、その結果を制御器23へ出力する。これにより、リッチ液流量設定値をそれまでよりも上昇させる(ステップS1)。制御器23は、リッチ液の流量が、新たに設定されたリッチ液流量設定値となるようにリッチバルブ5の開度を制御する。制御器20は、関数Fx1によって算出した目標流量を制御器21へ出力する。これにより、リーン液流量設定値をそれまでよりも上昇させる(ステップS2)。リーン液流量設定値の上昇幅は、ステップS1のリッチ液流量設定値の上昇幅と同じになる。制御器21は、リーン液の流量が、新たに設定されたリーン液流量設定値となるようにリーンバルブ9の開度を制御する。制御器20は、関数Fx2によってバイパスラインL3の目標流量を算出し、その結果を制御器22へ出力する。これにより、バイパスラインL3の流量設定値はそれまでよりも低下する(ステップS3)。このときの流量設定値の低下幅は、ステップS1、S2の流量設定値の上昇幅と同じになる。制御器22は、バイパスラインL3を流れて還流する吸収液の流量が、新たに設定された流量設定値となるようにバイパスバルブ8の開度を制御する。但し、バイパスバルブ8の開度が0(全閉)に達したならば、それ以降はステップS3の処理は行わない。次に、制御器20が、流量計C1、C3の計測値に基づいて、リッチ液の流量が最終的な目標値に到達したかどうかを判定する(ステップS4)。最終的な目標値に到達した場合(ステップS4;Yes)、通常時の循環運転への切り替え処理は完了である。リッチ液の流量が最終的な目標値に到達していない場合(ステップS4;No)、ステップS1以降の処理が繰り返し実行される。即ち、各種のバルブ5,8,9を連動させて吸収塔1と再生塔2を循環する吸収液の目標流量を徐々に増加させる制御を継続する。
【0016】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、通常時の循環運転に切り替える際に、再生塔2へ流入するリッチ液の流量に合わせて、再生塔2から流出するリーン液、バイパスラインL3を通じて還流するリーン液の流量を制御することにより、再生塔2へ流入・流出する吸収液のバランスをとりながら、流量を一定値以上に保った運転ができる。再生塔2に流入、流出する吸収液のバランスが保たれるため、再生塔2に貯留される吸収液の液面変動を抑制することができる。また制御器21~23を連動して制御することで、制御器同士の干渉を起こさずに安定して循環流量を制御することができる。1つのラインに流量計が複数設置されることがないため、流量計C1~C3による圧損を最小限に抑えることができる。
【0017】
なお、流量計を設けることによる圧損や制御の正確性などを考慮すると、図1に例示する構成が好ましいが、図4(a)~(d)に例示するような構成としてもよい。
【0018】
<第二実施形態>
第二実施形態では、再生塔2液面高さの変動を目標流量にフィードバックする構成を追加する。図5に示すように、第二実施形態に係るCO回収装置100aは、図1に示す構成に加えて、再生塔2の液面の高さを検知するセンサC4と、センサC4が検知した液面高さの変動を流量制御値に変換する制御器24と、加算器25とを備える。センサC4は、再生塔2の液面高さを検知し、検知した液面高さを制御器24へ出力する。制御器24は、センサC4が計測する吸収液の液面高さ(レベル)と所定の液面高さの目標値との差が閾値以上となると、その差を0に近づけるような吸収液の流量を算出する。制御器24は、算出した流量(流量の補正量)を加算器25へ出力する。加算器25は、制御器24が算出した流量の補正量を関数Fx1によって算出された目標流量に加算し、制御器23へ出力する。制御器23は、流量計C3が計測する吸収液の流量が、加算器25から取得した流量となるように、リッチバルブ5の開度を制御する。
【0019】
(動作)
図6に、第二実施形態に係る通常時の循環運転への切り替え制御の流れを示す。第一実施形態と同じ処理については簡単に説明する。
循環流量が最終的な目標値に達するまで、以下の処理が繰り返し実行される。最初にリッチ液流量設定値をそれまでよりも上昇させる(ステップS1)。次にリーン液流量設定値をそれまでよりも上昇させる(ステップS2)。次にバイパスラインL3の流量設定値はそれまでよりも低下させる(ステップS3)。次に制御器20がリッチ液の流量が最終的な目標値に到達したかどうかを判定する(ステップS4)。最終的な目標値に到達した場合(ステップS4;Yes)、通常時の循環運転への切り替え処理は完了する。
【0020】
最終的な目標値に到達しない場合(ステップS4;No)、制御器24は、センサC4が計測する再生塔2の吸収液の液面高さ(液面レベル)と目標値の差が大きいかどうかを判定し(ステップS5)、差が大きくない場合(ステップS5;No)、ステップS1以降の処理が繰り返し実行される。差が大きい場合(ステップS5;Yes)、制御器24は、センサC4が計測する再生塔2の液面高さ(液面レベル)が目標値よりも下であれば(ステップS6;Yes)、PID制御などにより、液面高さを上げられるように、リッチ液流量設定値を上昇させる流量の補正量を算出する。加算器25は、関数Fx1が出力したリッチ液流量設定値に補正量を加算して、リッチ液流量設定値を上昇させる(ステップS7)。制御器23は、リッチ液の流量が、新たに設定されたリッチ液流量設定値となるようにリッチバルブ5の開度を制御する。
【0021】
一方、制御器24は、センサC4が計測する再生塔2の液面高さ(レベル)が目標値よりも上であれば(ステップS6;No)、PID制御などにより、液面高さを下げられるように、リッチ液流量設定値を低下させる流量の補正量を算出する。加算器25は、関数Fx1が出力したリッチ液流量設定値に補正量を加算して、リッチ液流量設定値を低下させる(ステップS8)。制御器23は、リッチ液の流量が、新たに設定されたリッチ液流量設定値となるようにリッチバルブ5の開度を制御する。
【0022】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、再生塔2で分離したCOの減少分や種々の外乱による液面高さの変動に対して、適切に補正でき、再生塔2の液面変動を抑制することができる。
【0023】
なお、上記の説明では、制御器23が算出した流量の補正量を制御器23へ反映させることとしたが、制御器21へ反映させてもよい。即ち、加算器25は、関数Fx1が出力したリーン液流量設定値から、制御器24が算出した補正量を引いた値を制御器21へ出力する。これにより、センサC4が計測する再生塔2の液面高さが目標値よりも上であれば、リーン液流量設定値は補正量(この場合は負値)を引くことにより大きくなり、再生塔2からの流出量が増えるので液面高さが是正される。反対に、センサC4が計測する再生塔2の液面高さが目標値よりも下であれば、リーン液流量設定値は補正量を引くことにより小さくなり、再生塔2からの流出量が減るので液面高さが是正される。
【0024】
<第三実施形態>
第三実施形態では、再生塔2液面高さの変動をリーンバルブ9とバイパスバルブ8の目標流量にフィードバックする構成を追加する。図7に示すように、第三実施形態に係るCO回収装置100bは、図1に示す構成に対して、再生塔2の液面の高さを検知するセンサC4を加え、流量センサC2、C3を取り除き、制御器20~23に代えて、制御器23b、24bを備える構成とする。制御器23bは、ユーザや上位の制御装置から目標流量の設定値を受け付ける。制御器23bは、流量計C1が計測するリッチ液の流量が、受け付けた目標流量の設定値となるように、リッチバルブ5の開度を制御する。センサC4は、再生塔2の液面高さを検知し、検知した液面高さを制御器24bへ出力する。制御器24bは、センサC4が計測する吸収液の液面高さ(液面レベル)と所定の液面高さの目標値との差が閾値以上となると、その差を0に近づけるようなリーン液の目標流量とバイパスラインL3を通じて還流する吸収液の目標流量をPID制御などにより算出し、その目標流量に応じた弁開度を算出する。制御器24bは、関数FxAと関数FxBを備える。関数FxAにセンサC4が計測する液面高さを目標値に近づけるような目標流量を入力すると、関数FxAは、液面高さを目標値に近づけるようなリーンバルブ9の弁開度を算出する。制御器24bは、関数FxAが算出した弁開度でリーンバルブ9を開く。関数FxBにセンサC4が計測する液面高さを目標値に近づけるような目標流量を入力すると、関数FxBは、液面高さを目標値に近づけるようなバイパスバルブ8の弁開度を算出する。制御器24bは、関数FxBが算出した弁開度でバイパスバルブ8を開く。
【0025】
図8に関数FxAおよび関数FxBが算出する弁開度と、目標流量の関係を示す。図8のグラフの縦軸(設定値)は、関数FxAと関数FxBが算出して出力する値(弁開度)を示し、横軸は液面高さを是正する目標流量(LC出力)を示す。グラフ801は関数FxA、グラフ802は関数FxBに対応する。関数FxAの設定値とLC出力は正の相関にあり、関数FxBの設定値とLC出力は負の相関にある。同じLC出力が入力されたときの関数FxAの設定値と関数FxBの設定値は正負の関係(関数FxAの設定値=関数FxBの設定値×-1)にある。
【0026】
(動作)
図9に、第三実施形態に係る通常時の循環運転への切り替え制御の流れを示す。第一実施形態と同じ処理については簡単に説明する。
循環流量が最終的な目標値に達するまで、以下の処理が繰り返し実行される。循環流量が最終的な目標値に達するまでの間、制御器23bには、外部から、徐々に大きく設定された流量の目標値が周期的に与えられる。これにより、リッチ液流量設定値をそれまでよりも上昇させる(ステップS11)。次に制御器23bがリッチ液の流量が最終的な目標値に到達したかどうかを判定する(ステップS12)。最終的な目標値に到達した場合(ステップS12;Yes)、通常時の循環運転への切り替え処理は完了する。
【0027】
最終的な目標値に到達しない場合(ステップS12;No)、制御器24bは、センサC4が計測する再生塔2の吸収液の液面高さ(液面レベル)と目標値の差が大きいかどうかを判定し(ステップS13)、差が大きくない場合(ステップS13;No)、ステップS11以降の処理が繰り返し実行される。差が大きい場合(ステップS13;Yes)、センサC4が計測する再生塔2の液面高さ(液面レベル)が目標値よりも下であれば(ステップS14;Yes)、制御器24bは、PID制御などにより、液面高さを上げられるように、リーン液流量設定値を低下させる弁開度を算出する。制御器24bは、関数FxAを使って、リーンバルブ9の弁開度を算出し(弁開度を下げ)、算出した弁開度でリーンバルブ9を制御する(ステップS15)。また、制御器24bは、PID制御などにより、液面高さを上げられるように、バイパスラインL3を流れる吸収液の流量を上昇させる弁開度を算出する。制御器24bは、関数FxBを使って、バイパスバルブ8の弁開度を算出し(弁開度を上げ)、算出した弁開度でバイパスバルブ8を制御する(ステップS16)。
【0028】
一方、制御器24bは、センサC4が計測する再生塔2の液面高さ(液面レベル)が目標値よりも上であれば(ステップS14;No)、PID制御などにより、液面高さを下げられるように、リーン液流量設定値を上昇させる弁開度を、関数FxAを使って算出し(弁開度を上げ)、その弁開度でリーンバルブ9を制御する(ステップS17)。次に制御器24bは、PID制御などにより、液面高さを上げられるように、バイパスラインL3を流れる吸収液の流量を低下させる弁開度を、関数FxBを使って算出し(弁開度を下げ)、その弁開度でバイパスバルブ8を制御する(ステップS18)。
【0029】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、リッチバルブ5の開度を徐々に開きながら、再生塔2の液面高さが目標値を維持できるようにリーンバルブ9およびバイパスバルブ8の開度制御を行う。これにより、再生塔2に流入、流出する吸収液のバランスが保たれ、再生塔2の液面変動を抑制することができる。リーンバルブ9およびバイパスバルブ8の弁開度は1つの制御値(図8のLC出力)に基づいて同時に調節するためバルブ間の干渉を防ぐことができる。
【0030】
なお、上記の説明では、制御器24bが算出した目標流量を制御器21へ反映させることとしたが、制御器23へ反映させてもよい。即ち、制御器24bは、再生塔2の液面高さを是正するリッチ液の目標流量をフィードバック制御により算出し、算出した目標流量を制御器23bへ出力する。制御器23bは、この目標流量に基づいてリッチバルブ5の開度制御を行う。これにより、再生塔2の液面高さを目標値に維持しながら、吸収塔1と再生塔2を循環する吸収液の流量を最終的な目標値まで増加させてゆくことができる。
【0031】
<第四実施形態>
第四実施形態に係るCO回収装置100cは、第一実施形態と第三実施形態を組み合わせた構成を備える。配管、バルブ、ポンプ、熱交換器、タンクなどの構成は、第一実施形態と同様である。違いのある制御に関する構成について記載すると、CO回収装置100cは、制御器20,21,22,23,24bと選択器26、27と再生塔2の液面高さを検知するセンサC4を備える。制御器20は、ユーザ等から流量の設定値を受け付け、関数Fx1によって算出した目標流量を制御器21と制御器23へ出力し、関数Fx2によって算出したバイパス流量を制御器22へ出力する。制御器23は、制御器20から取得した目標流量と流量計C1の計測値に基づいて、リッチバルブ5の開度を制御する。制御器21は、制御器20から取得した目標流量と流量計C3の計測値に基づいて、リーンバルブ9の弁開度を算出し、算出した弁開度を選択器26へ出力する。制御器22は、制御器20から取得した目標流量と流量計C2の計測値に基づいて、バイパスバルブ8の弁開度を算出し、算出した弁開度を選択器27へ出力する。制御器24bは、センサC4が検知した再生塔2の液面高さを取得し、関数FxAによって液面高さを是正するリーンバルブ9の弁開度を算出し、算出した弁開度を選択器26に出力する。制御器24bは、センサC4が検知した再生塔2の液面高さを取得し、関数FxBによって液面高さを是正するバイパスバルブ8の弁開度を算出し、算出した弁開度を選択器27に出力する。選択器26は、制御器21から取得した流量に基づく弁開度と制御器24b(関数FxA)から取得した液面高さに基づく弁開度のうち、値が小さい方の弁開度を選択し、選択した弁開度を指定値としてリーンバルブ9へ出力し、リーンバルブ9の開度を制御する。選択器27は、制御器22から取得した流量に基づく弁開度と制御器24b(関数FxB)から取得した液面高さに基づく弁開度のうち、値が大きい方の弁開度を選択し、選択した弁開度を指定値としてバイパスバルブ8へ出力し、バイパスバルブ8の開度を制御する。
【0032】
(動作)
第四実施形態の動作を、例えば、図3を援用して説明すると、最初にリッチ液流量設定値をそれまでよりも上昇させる(ステップS1)。制御器21は、上昇させたリッチ液流量設定値と流量計C1の計測値に基づいてリッチバルブ5の開度を制御する。次にリーン液流量設定値をそれまでよりも上昇させる(ステップS2)。選択器26は、上昇させたリーン液流量設定値と流量計C3の計測値に基づいて算出された弁開度と関数FxAが算出した液面高さを是正する弁開度のうち開度が小さい方を選択して、選択した弁開度でリーンバルブ9を開く。次にバイパスラインL3の流量設定値はそれまでよりも低下させる(ステップS3)。選択器27は、低下させた流量設定値と流量計C2の計測値に基づいて算出された弁開度と関数FxBが算出した液面高さを是正する弁開度のうち開度が大きい方を選択して、選択した弁開度でバイパスバルブ8を開く。次に制御器20がリッチ液の流量が最終的な目標値に到達したかどうかを判定する(ステップS4)。最終的な目標値に到達した場合(ステップS4;Yes)、通常時の循環運転への切り替え処理は完了する。最終的な目標値に到達しない場合(ステップS4;No)、ステップS1からの処理を繰り返し実行する。
【0033】
(効果)
第四実施形態によれば、第一実施形態と同様に、再生塔2へ流入・流出する吸収液のバランスが保ちながら通常時の循環運転へと切り替えることができる。更に第一実施形態の制御で流入・流出のバランスがとれなくなり、液面変動した場合でも、液面高さに基づく弁開度制御により再生塔2の液面高さを維持したまま、通常時の循環運転へと切り替えることができる。
【0034】
図11は、各実施形態に係る制御器のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の制御器20,21、22、23、23b、24、24b、加算器25、選択器26、27は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0035】
制御器20,21、22、23、23b、24、24b、加算器25、選択器26、27の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0036】
なお、他の実施形態においては、制御器20,21、22、23、23b、24、24b、加算器25、選択器26、27は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0037】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、上記の各実施形態では、吸収塔1と再生塔2のそれぞれで吸収液を循環させる運転から通常時の循環運転へ切り替える際の制御として記載したが、これに限定されず、通常時の循環運転を開始するときにも適用することができる。なお、制御器20,21、22、23、23b、24、24b、加算器25、選択器26、27は、制御装置の一例である。
【0038】
<付記>
各実施形態に記載のCO回収装置及び制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)第1の態様に係るCO回収装置は、再生塔2と、吸収塔1、前記吸収塔1ら前記再生塔2吸収液を供給するリッチラインL1と、前記リッチラインL1に設けられた第1の流量計C1と、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリッチバルブ5と、前記再生塔2から前記吸収塔1へ吸収液を供給するリーンラインL2と、前記リーンラインL2に設けられた第2の流量計C3と、前記リーンラインL2を流れる前記吸収液の流量を制御するリーンバルブ9と、前記リーンラインL2を流れる吸収液を前記再生塔2へ還流させるバイパスラインL3と、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量を制御するバイパスバルブ8と、前記リッチラインL1と前記リーンラインL2を通じて、前記吸収液を前記吸収塔1と前記再生塔2の間で循環させる運転を開始するときに、前記再生塔2に貯留されている前記吸収液の液面高さが所定の目標値となるように、前記リッチバルブ5と、前記リーンバルブ9と、前記バイパスバルブ8の開度制御を行う制御装置(制御器20,21、22、23、23b、24、24b、加算器25、選択器26、27)と、を備える。
これにより、再生塔2の液面変動を抑えて、通常時の循環運転を開始することができる。
【0040】
(2)第2の態様に係るCO回収装置は、(1)のCO回収装置であって、前記バイパスラインに設けられた第3の流量計、をさらに備え、前記制御装置は、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量と前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量が共に所定の変化幅だけ上昇するように、前記リッチバルブと前記リーンバルブの開度を上昇させ、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量が前記変化幅だけ低下するように前記バイパスバルブの開度を低下させる。
再生塔2へ流入出する吸収液のバランスを取るような流量制御を行って、通常時の循環運転を開始することができるので、液面変動を抑制することができる(第一実施形態)。
【0041】
(3)第3の態様に係るCO回収システムは、(2)のCO回収装置であって、前記制御装置は、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さと前記目標値の偏差を0とするような流量の補正量を算出し、前記流量を前記変化幅だけ上昇させた流量に前記補正量を加算した値に基づいて、前記リッチバルブ又は前記リーンバルブの開度を制御する。
再生塔2の液面変動をフィードバックして制御することで、液面変動を抑えて、通常時の循環運転を開始することができる(第二実施形態)。
【0042】
(4)第4の態様に係るCO回収装置は、(1)のCO回収装置であって、前記制御装置は、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を増加させるとともに、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さと前記目標値の偏差を0とするような、前記リーンラインを流れる前記吸収液の第1の流量と、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の第2の流量を算出し、前記第1の流量に基づいて前記リーンバルブの開度を制御し、前記第2の流量に基づいて前記バイパスバルブの開度を制御する。
再生塔2の液面変動をフィードバックして制御することで、液面変動を抑えて、通常時の循環運転を開始することができる(第三実施形態)。
【0043】
(5)第5の態様に係るCO回収装置は、(1)のCO回収装置であって、前記バイパスラインに設けられた第3の流量計、をさらに備え、前記制御装置は、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量と前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量が共に所定の変化幅だけ上昇するような前記リッチバルブの第1開度と前記リーンバルブの第2開度を算出し、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量が前記変化幅だけ低下するような前記バイパスバルブの第3開度を算出し、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さと前記目標値の偏差を0とするような、前記リーンラインを流れる前記吸収液の第1の流量と、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の第2の流量を算出し、前記第1の流量に基づいて前記リーンバルブの第4開度を算出し、前記第2の流量に基づいて前記バイパスバルブの第5開度を算出し、前記第1開度で前記リッチバルブを制御し、前記第2開度と前記第4開度のうち小さい開度で前記リーンバルブを制御し、前記第3開度と前記第5開度のうち大きい開度で前記バイパスバルブを制御する。
再生塔2へ流入出する吸収液のバランスを取るような流量制御を行いつつ、再生塔2の液面変動をフィードバックして制御することで、液面変動を抑制することができる(第四実施形態)。
【0044】
(6)第6の態様に係る制御方法は、吸収塔と、再生塔と、前記吸収塔から前記再生塔へ吸収液を供給するリッチラインと、前記リッチラインに設けられた第1の流量計と、前記リッチラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリッチバルブと、前記再生塔から前記吸収塔へ吸収液を供給するリーンラインと、前記リーンラインに設けられた第2の流量計と、前記リーンラインを流れる前記吸収液の流量を制御するリーンバルブと、前記リーンラインを流れる吸収液を前記再生塔へ還流させるバイパスラインと、前記バイパスラインを還流する前記吸収液の流量を制御するバイパスバルブと、を備えるCO回収装置において、前記リッチラインと前記リーンラインを通じて、前記吸収液を前記吸収塔と前記再生塔の間で循環させる運転を開始するときに、前記再生塔に貯留されている前記吸収液の液面高さが所定の目標値となるように、前記リッチバルブと、前記リーンバルブと、前記バイパスバルブの開度制御を行う。
【符号の説明】
【0045】
1・・・吸収塔
2・・・再生塔
3・・・ポンプ
4・・・リッチタンク
5・・・リッチバルブ
6・・・吸収液熱交換器
7・・・ポンプ
6・・・吸収液熱交換器
8・・・バイパスバルブ
9・・・リーンバルブ
10・・・リーンタンク
11・・・バルブ
20,21、22、23、23b、24、24b・・・制御器
25・・・加算器
26、27・・・選択器
C1、C2、C3・・・流量計
L1・・・リッチライン
L2・・・リーンライン
L4・・・ライン
100、100a、100b、100c・・・CO回収装置
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11