(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115685
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】車両用操舵装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/185 20060101AFI20240820BHJP
B62D 1/189 20060101ALI20240820BHJP
B60R 25/0215 20130101ALI20240820BHJP
E05B 83/00 20140101ALI20240820BHJP
【FI】
B62D1/185
B62D1/189
B60R25/0215
E05B83/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021464
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真中 佑大
(72)【発明者】
【氏名】糀矢 順裕
(72)【発明者】
【氏名】小板橋 拓人
(72)【発明者】
【氏名】三井 玲
【テーマコード(参考)】
2E250
3D030
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ05
2E250LL18
3D030DC16
3D030DC17
3D030DD18
3D030DD19
3D030DD26
3D030DD65
3D030DD74
3D030DD77
(57)【要約】
【課題】ステアリングコラムのスリットが車両における下方側に配置される場合に、キーロックの解除を阻止することが可能な車両用操舵装置を提供すること。
【解決手段】車両用操舵装置は、ステアリングシャフトの外周側に配置され且つ軸方向に延びるスリットを有する筒状のステアリングコラムと、ステアリングシャフトの外周に取り付けられるキーロックカラーを含むステアリングロック装置と、スリットを外側から覆った状態でステアリングコラムに取り付けられるカバーと、を備える。スリットは、ステアリングコラムの外周面における車両の下方側の部位に設けられる。カバーを外した状態において、スリットを介してキーロックカラーが視認可能である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールが連結され且つ中心軸の軸方向に延びるステアリングシャフトと、
当該ステアリングシャフトの外周側に配置され且つ軸方向に延びるスリットを有する筒状のステアリングコラムと、
前記ステアリングシャフトの外周に取り付けられるキーロックカラーを含むステアリングロック装置と、
前記スリットを外側から覆った状態で前記ステアリングコラムに取り付けられるカバーと、を備え、
前記スリットは、前記ステアリングコラムの外周面における車両の下方側の部位に設けられ、
前記カバーを外した状態において、前記スリットを介して前記キーロックカラーが視認可能である、
車両用操舵装置。
【請求項2】
前記ステアリングコラムは、アッパコラムと、当該アッパコラムに対して軸方向の一方側に位置するロアコラムと、を有し、前記アッパコラムの軸方向の一方側の第1端部が、前記ロアコラムの軸方向の他方側の第2端部の内周側に挿入され、
前記スリットは、前記ロアコラムにおける前記第2端部に設けられる、
請求項1に記載の車両用操舵装置。
【請求項3】
前記スリットにおける軸方向の他方側の端は、前記第2端部における軸方向の他方側の端に位置する開口であり、
前記スリットにおける軸方向の一方側の端は、前記第1端部の軸方向の一方側の端よりも軸方向の一方側に位置する、
請求項2に記載の車両用操舵装置。
【請求項4】
前記カバーは、
前記スリットに対向配置する矩形状の第1プレートと、
当該第1プレートの4辺のうち3辺からそれぞれ車両上側に延びる第2プレート、第3プレートおよび第4プレートと、
前記第2プレート、前記第3プレートおよび前記第4プレートの少なくともいずれかを前記ロアコラムに支持させる支持脚部と、を備える、
請求項2または3に記載の車両用操舵装置。
【請求項5】
前記第3プレートおよび前記第4プレートは、車幅方向の左右両側に配置されて車両前後方向に沿って延び、
前記支持脚部は、第1脚部と、第2脚部とを有し、
前記第1脚部は、前記第3プレートから車両上側に延び前記ロアコラムに取り付けられ、
前記第2脚部は、前記第4プレートから車両上側に延び前記ロアコラムに取り付けられる、
請求項4に記載の車両用操舵装置。
【請求項6】
前記第3プレートまたは前記第4プレートは、車両上側に延びる取付部を有し、
当該取付部は、前記ロアコラムの側方に設けた被取付部に取り付けられる、
請求項5に記載の車両用操舵装置。
【請求項7】
前記キーロックカラーは、外周に、径方向内側へ凹む凹部が周方向に沿って複数設けられ、
前記ステアリングロック装置は、前記キーロックカラーと、前記中心軸の径方向に進退可能で且つ前記キーロックカラーの前記凹部に挿入可能なキーロックピンと、を有する、
請求項1に記載の車両用操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両用操舵装置は、ステアリングホイールに連結され軸方向に延びるステアリングシャフトと、ステアリングシャフトの外周側に配置されるステアリングコラムと、ステアリングロック装置と、を備える。ステアリングコラムは、アウターコラムとインナーコラムとを有し、アウターコラムの軸方向端部の内周側にインナーコラムの軸方向端部が挿入および嵌合される。即ち、アウターコラムの軸方向端部には、軸方向に延びるスリットが設けられ、アウターコラムの軸方向端部を周方向に縮めると当該スリットの幅が狭くなって、アウターコラムの軸方向端部がインナーコラムの軸方向端部を締め付ける。即ち、スリットは、アウターコラムの内径を拡縮可能とする。
【0003】
また、ステアリングロック装置は、例えば、ステアリングシャフトの外周に取り付けられるキーロックカラーと、径方向に進退可能なロックピンと、を有する。キーロックカラーの外周には、例えば凹部が設けられ、ロックピンの先端が当該凹部に挿入されることにより、ステアリングシャフトおよびステアリングホイールの回転が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スリットからキーロックカラーが視認可能な場合、例えばドライバー等の工具をスリットから挿入させ、ロックピンの先端に押し当て、ロックピンをキーロックカラーの凹部から外してキーロックの解除を行うことが可能となる場合がある。
【0006】
特許文献1においては、アウターコラムにおける車両の上方側にスリットが設けられる。ここで、アウターコラムに対して車両の上方側は、インストルメントパネル等の車体部材で覆われるため、特許文献1においては、例えば、スリットから工具を挿入してキーロックの解除を行うことが困難である。
【0007】
これに対して、アウターコラムに対して車両の下方側は、インストルメントパネルで覆われていない。即ち、例えば、運転者の足元近傍の部分は、インストルメントパネルの下部に位置し、当該下部は、インストルメントパネルが開口している。従って、アウターコラムにおける車両の下方側にスリットが設けられる場合、例えば、インストルメントパネルの下部の開口から手を差し入れ、スリットから手を差し入れ、手探りでキーロックカラーの外周を周方向に辿っていき、キーロックピンの先端部分の位置を指先で確認した後、工具の先端部をキーロックピンの先端に押し当ててキーロックの解除を行うことが可能となる場合がある。
【0008】
従って、ステアリングコラムのスリットが車両における下方側に配置される場合に、キーロックの解除を阻止することが可能な車両用操舵装置が望まれている。
【0009】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ステアリングコラムのスリットが車両における下方側に配置される場合に、キーロックの解除を阻止することが可能な車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係る車両用操舵装置は、ステアリングホイールが連結され且つ中心軸の軸方向に延びるステアリングシャフトと、当該ステアリングシャフトの外周側に配置され且つ軸方向に延びるスリットを有する筒状のステアリングコラムと、前記ステアリングシャフトの外周に取り付けられるキーロックカラーを含むステアリングロック装置と、前記スリットを外側から覆った状態で前記ステアリングコラムに取り付けられるカバーと、を備え、前記スリットは、前記ステアリングコラムの外周面における車両の下方側の部位に設けられ、前記カバーを外した状態において、前記スリットを介して前記キーロックカラーが視認可能である。
【0011】
前述したように、特許文献1においては、ステアリングコラムのスリットが車両における上方側に配置されるため、当該スリットは、インストルメントパネル等の車体部材で覆われる。よって、特許文献1においては、スリットから工具を挿入してキーロックの解除を行うことが困難である。
【0012】
しかし、スリットが、ステアリングコラムの外周面における車両の下方側の部位に設けられ、且つ、スリットを介してキーロックカラーが視認可能な場合は、スリットを介してキーロックを解除することが可能となる。例えば、スリットから手を差し入れ、手探りでキーロックカラーの外周を周方向に辿っていき、キーロックピンの先端部分の位置を指先で確認した後、工具の先端部をキーロックピンの先端に押し当ててキーロックの解除を行う。
【0013】
ここで、本開示では、スリットを外側から覆うカバーをステアリングコラムに取り付けている。従って、カバーを外した状態において、ステアリングコラムの外周面における車両の下方側の部位のスリットを介してキーロックカラーが視認可能である場合であっても、カバーが工具の挿入を防ぎ、スリットを介したキーロックの解除を阻止することが可能となる。
【0014】
望ましい態様として、前記ステアリングコラムは、アッパコラムと、当該アッパコラムに対して軸方向の一方側に位置するロアコラムと、を有し、前記アッパコラムの軸方向の一方側の第1端部が、前記ロアコラムの軸方向の他方側の第2端部の内周側に挿入され、前記スリットは、前記ロアコラムにおける前記第2端部に設けられる。
【0015】
このように、ロアコラムにおける第2端部にスリットが設けられるため、スリットの幅を狭める変形をさせることにより、第2端部で第1端部を保持(固定)することが容易になる。
【0016】
望ましい態様として、前記スリットにおける軸方向の他方側の端は、前記第2端部における軸方向の他方側の端に位置する開口であり、前記スリットにおける軸方向の一方側の端は、前記第1端部の軸方向の一方側の端よりも軸方向の一方側に位置する。
【0017】
スリットにおける車両後側の端を開口にすることにより、スリットの幅を狭める変形をさせることがより容易になり、ひいては、第2端部で第1端部を保持(固定)することが更に容易になる。なお、スリットにおける軸方向の一方側の端は、第1端部の軸方向の一方側の端よりも軸方向の一方側に位置するため、第1端部の軸方向の一方側の端とスリットにおける軸方向の一方側の端との間に隙間が生じるが、当該隙間をカバーが覆うため、キーロックの解除を阻止することが可能となる。
【0018】
望ましい態様として、前記カバーは、前記スリットに対向配置する矩形状の第1プレートと、当該第1プレートの4辺のうち3辺からそれぞれ車両上側に延びる第2プレート、第3プレートおよび第4プレートと、前記第2プレート、前記第3プレートおよび前記第4プレートの少なくともいずれかを前記ロアコラムに支持させる支持脚部と、を備える。このように、カバーは、第1プレート、第2プレート、第3プレートおよび第4プレートによって、略箱形状になるため、カバーの剛性が向上する。
【0019】
望ましい態様として、前記第3プレートおよび前記第4プレートは、車幅方向の左右両側に配置されて車両前後方向に沿って延び、前記支持脚部は、第1脚部と、第2脚部とを有し、前記第1脚部は、前記第3プレートから車両上側に延び前記ロアコラムに取り付けられ、前記第2脚部は、前記第4プレートから車両上側に延び前記ロアコラムに取り付けられる。
【0020】
このように、カバーは、左右両側にそれぞれ設けた第1脚部と第2脚部とを介してロアコラムに取り付けられるため、左右で均等にカバーを支持することができる。
【0021】
望ましい態様として、前記第3プレートまたは前記第4プレートは、車両上側に延びる取付部を有し、当該取付部は、前記ロアコラムの側方に設けた被取付部に取り付けられる。
【0022】
このように、第3プレートまたは第4プレートは、支持脚部に加えて支持片によって支持されるため、より強固にロアコラムに取り付けることができる。
【0023】
望ましい態様として、前記キーロックカラーは、外周に、径方向内側へ凹む凹部が周方向に沿って複数設けられ、前記ステアリングロック装置は、前記キーロックカラーと、前記中心軸の径方向に進退可能で且つ前記キーロックカラーの前記凹部に挿入可能なキーロックピンと、を有する。
【0024】
従って、スリットからキーロックカラーが視認できれば、スリットから手を差し入れ、手探りでキーロックピンの先端部分の位置を指先で確認してキーロックの解除を行うことが可能となる場合がある。しかし、本開示では、スリットを外側から覆うカバーをステアリングコラムに取り付けている。従って、カバーを外した状態において、ステアリングコラムの外周面における車両の下方側の部位のスリットを介してキーロックカラーが視認可能である場合であっても、カバーが工具の挿入を防ぎ、スリットを介したキーロックの解除を阻止することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、ステアリングコラムの外周面における車両の下方側の部位にスリットが設けられ場合であっても、カバーでスリットを覆うため、スリットからキーロックカラーが視認できず、スリットを介してキーロックの解除を阻止することが可能となる車両用操舵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、第1実施形態における車両用操舵装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、カバーを取り付けた状態の車両用操舵装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、カバーを取り外した状態の車両用操舵装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における車両用操舵装置の側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における車両用操舵装置の正面図である。
【
図7】
図7は、車両用操舵装置を上側から見た平面図である。
【
図8】
図8は、車両用操舵装置を下側から見た下面図である。
【
図9】
図9は、車両用操舵装置の分解斜視図である。
【
図11】
図11は、ステアリングロック装置の断面を示す模式図である。
【
図12】
図12は、キーロックピンに向けて工具を挿入している状態を示す模式図である。
【
図13】
図13は、ロアコラムにおけるスリット近傍を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係るカバーの斜視図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係るカバーの斜視図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態に係るカバーの平面図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態における車両用操舵装置の一部の斜視図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態に係るカバーの斜視図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態に係るカバーの斜視図である。
【
図22】
図22は、第2実施形態に係るカバーの平面図である。
【
図25A】
図25Aは、実施形態に係るカバーおよびロアコラムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、以下の説明において、ステアリングシャフトの中心軸に沿った方向を軸方向と呼び、中心軸に交差する方向(例えば、中心軸に直交する方向)を径方向と呼び、中心軸の軸回り方向を周方向と呼ぶ。また、車両における前方をFRと示し、車両における後方をRRと示し、車両における右方をRHと示し、車両における左方をLHと示す。さらに、車両の幅方向を車幅方向と呼ぶ。なお、車両の上方側をUP、車両の下方側をLWRで示す。
【0028】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態における車両用操舵装置の斜視図である。
図2は、カバーを取り付けた状態の車両用操舵装置の斜視図である。
図3は、カバーを取り外した状態の車両用操舵装置の斜視図である。
図4は、第1実施形態における車両用操舵装置の側面図である。
図5は、第1実施形態における車両用操舵装置の正面図である。
図6は、
図5のVI-VI線による断面図である。
図7は、車両用操舵装置を上側から見た平面図である。
図8は、車両用操舵装置を下側から見た下面図である。
図9は、車両用操舵装置の分解斜視図である。
図10は、車両用操舵装置の側面図である。
【0029】
最初に、車両用操舵装置100の基本的な構成について説明する。
図1から
図10に示すように、車両用操舵装置100は、ステアリングホイール101と、ステアリングシャフト3と、ステアリングコラム4と、コラムブラケット6と、締付機構7と、を備える。
【0030】
図1に示すように、ステアリングホイール101は、ステアリングシャフト3における後方端部に連結されている。そして、運転者がステアリングホイール101を操作すると、中心軸AXを中心にステアリングシャフト3が回転し、ステアリングシャフト3に操作トルクが付与される。
【0031】
図10に示す車両用操舵装置100は、電動パワーステアリングを設けた車両用操舵装置100である。換言すると、
図1から
図9および
図11に示す車両用操舵装置100には、電動パワーステアリングを設けていない。
図10に示す車両用操舵装置100における前端部には、ギヤボックス103が設けられている。ギヤボックス103は、モータ102と、図示しないECUとを備える。ECUは、モータ102の動作を制御する。ECUおよびモータ102によって、ステアリングシャフト3に補助トルクが付与される。つまり、本実施形態の車両用操舵装置100は、運転者の操舵をモータ102で補助する電動パワーステアリング装置である。
【0032】
図6に示すように、ステアリングシャフト3は、アッパシャフト(入力軸)31と、ロアシャフト(出力軸)32と、を備える。アッパシャフト31およびロアシャフト32は、円筒軸である。アッパシャフト31およびロアシャフト32は、軸方向に延び且つ中心軸AXの軸回り方向に沿って円筒状に形成される。アッパシャフト31の後方端部にステアリングホイール101が連結される。アッパシャフト31の前方端部は、ロアシャフト32の外周に嵌合されている。具体的には、アッパシャフト31の前方端部と、ロアシャフト32の後方端部とは、スプライン嵌合されている。よって、アッパシャフト31は、ロアシャフト32に対し軸方向にスライド可能であり、ステアリングシャフト3は、伸縮可能である。なお、アッパシャフト31は入力軸とも称し、ロアシャフト32は出力軸とも称する。
【0033】
図6に示すように、ステアリングコラム4は、軸方向に延在し、ステアリングシャフト3の外周側に配置される外筒である。ステアリングコラム4は、アッパコラム41と、ロアコラム42と、を備える。アッパコラム41は、軸受121を介して、アッパシャフト31を回転可能に支持する。アッパコラム41は、ロアコラム42に対してステアリングホイール101寄り(即ち、車体における後方側)に配置されている。ロアコラム42は、アッパコラム41に対してステアリングホイール101の反対側(即ち、車体における前方側)に配置されている。ロアコラム42は、軸受122を介して、ロアシャフト32を回転可能に支持する。アッパコラム41およびロアコラム42は、筒状であり、互いに軸方向に相対的に移動可能である。アッパコラム41の車両前側(軸方向の一方側)の第1端部412が、ロアコラム42の車両後側(軸方向の他方側)の第2端部424の内周側に挿入される。スリット5は、ロアコラム42における第2端部424に設けられる。
【0034】
即ち、
図1、
図3および
図5に示すように、ロアコラム42の下面における車両前側の端部には、後方側が開口するスリット5が設けられる。スリット5は、軸方向(前後方向)に延びる長方形の形状を有する。スリット5は、縁部51および取付部410、411の内側に設けられる。縁部51は、下側から見てU字状である。具体的には、縁部51は、軸方向に延びる一対の軸方向壁部511、512と、軸方向壁部511、512の端同士を車幅方向に繋ぐ車幅方向壁部513と、を有する。軸方向壁部511と軸方向壁部512とは略平行である。取付部410は軸方向壁部512に繋がり、取付部411は軸方向壁部511に繋がる。スリット5における車両後側の端は開口される。スリット5における車両前側の端5aは、第1端部412の車両前側の端412aよりも車両前側に位置する。このスリット5により、ロアコラム42における後端部の下面の剛性が低下するため、取付部410、411同士を近づける変形が容易になる。即ち、スリット5は、ロアコラム42の内径を拡縮可能とする。これにより、操作レバー70を操作し、第2端部424で第1端部412を周方向で締め付けて保持(固定)することが容易になる。
【0035】
図1、
図5に示すように、ステアリングコラム4の外周側には、コラムブラケット6が設けられる。コラムブラケット6は、天板部61と、一対の側板部62、63と、を備える。天板部61は、左右方向に沿って延びる。側板部62、63は、天板部61の下面から下方に向けて延びる。側板部62は、車体の右側に位置し、側板部63は、車体の左側に位置する。側板部62、63には、チルト長孔621、631が設けられる。チルト長孔621、631は、上下方向に沿って延びる長孔である。このように、コラムブラケット6は、アッパコラム41の側方に位置する側板部62、63を有する。
【0036】
図1、
図5、
図8に示すように、締付機構7は、操作レバー70と、ピン71と、取付部410、411と、を備える。
【0037】
ピン71は、車幅方向に沿って延び、側板部62、63、操作レバー70、ナット751、スラストベアリング752およびワッシャ753を貫通して設けられる。
【0038】
操作レバー70を下方に向けて回転させ、コラムブラケット6に対するステアリングコラム4の上下位置を変えると、ピン71が側板部62のチルト長孔621および側板部63のチルト長孔631の内方を上下移動が可能となる。ここで、締付機構7は、
図5および
図8に示すカム機構72を有するため、ステアリングコラム4の上下位置が適正な高さ位置になった後で操作レバー70を上方に向けて回転させると、カム機構72により、コラムブラケット6に対するステアリングコラム4の上下位置が固定される。ここで、前述のように、ロアコラム42における後端部の下面には、スリット5が設けられるため、操作レバー70を上方に向けて回転させ取付部410、411同士を近づけて、ロアコラム42をアッパコラム41に締結しやすくなる。
【0039】
また、
図1に示すように、ロアコラム42は、前方側の端部の上面に揺動ブラケット110を有する。揺動ブラケット110は、車幅方向に貫通した挿通孔を有する。当該挿通孔に挿通した軸部材111により、軸部材111は車体に支持される。軸部材111は、車体に対してステアリングコラム4の上下方向の揺動を可能にした状態で支持される。
【0040】
次いで、
図9を参照して、テレスコピック保持部600の構造について説明する。
図9に示すように、テレスコピック保持部600は、ロアコラム42に対するアッパコラム41の軸方向の移動を阻止するロック機能を有する。テレスコピック保持部600は、インナ側ロック部材639と、アウタ側ロック部材640と、を備える。
【0041】
インナ側ロック部材639は、基板642と、ダンパ648とを有する。基板642は、軸方向(前後方向)に延びるプレートである。基板642の表面(下面)には、軸方向に等間隔で凹溝641が設けられる。基板642における前方側の端部には、下方に延びる折れ曲がり板部643を有する。折れ曲がり板部643には、ダンパ648が取り付けられる。
【0042】
アウタ側ロック部材640は、ロッド本体625と、枢軸650と、第1部材651と、第2部材652と、第1付勢部材653と、第2付勢部材654と、を有する。
【0043】
第2部材652は、突起665および貫通孔666を有する。貫通孔666には、枢軸650が挿入され、枢軸650は第1部材651の貫通孔に挿入される。突起665は、第2部材652における上面に設けられる。突起665は、基板642の凹溝641に嵌まる。第2付勢部材654は、第2部材652を上側(基板642側)に向けて付勢する。第1付勢部材653は、第1部材651を下側(基板642の反対側)に向けて付勢する。なお、ロッド本体625およびカム部材626はカム機構に含まれる。
【0044】
以上の構成によれば、
図6に示すように、テレスコピック保持部600を側方から見た場合、第2部材652は、枢軸650を中心として時計回り方向または反時計回り方向に揺動が可能である。例えば、操作レバー70を下方に向けて押し下げると、第1付勢部材653(
図9参照)の付勢力によって、第2部材652は、枢軸650を中心として反時計回り方向に揺動する。よって、突起665は、凹溝641から抜け出てロアコラム42に対するアッパコラム41の軸方向の移動が可能となる。また、操作レバー70を上方に向けて押し上げると、第2付勢部材654の付勢力によって、第2部材652は、枢軸650を中心として時計回り方向に揺動する。よって、突起665は、凹溝641に挿入(嵌合)されてロアコラム42に対するアッパコラム41の軸方向の移動が阻止される。
【0045】
次に、ステアリングロック装置について説明する。
図11は、ステアリングロック装置の断面を示す模式図である。
図12は、キーロックピンに向けて工具を挿入している状態を示す模式図である。
【0046】
ステアリングロック装置2は、ロアコラム42における前端部の右側に設けられる。
図11に示すように、ステアリングロック装置2は、キーロックカラー22と、キーロックピン24と、アクチュエータ25と、ケーシング26と、を備える。
【0047】
キーロックカラー22は、ロアシャフト32の外周に固定される環状の部材である。キーロックカラー22の外周には、複数(例えば12箇所)の凹部23が設けられる。凹部23は、周方向に沿って等間隔に配置される。キーロックピン24は、径方向に進退可能である。即ち、
図11に示す矢印Pの方向に移動可能である。ロアコラム42には、貫通孔21が設けられ、キーロックピン24は、貫通孔21からロアコラム42の内側に入る。キーロックピン24は、先端が凹部23に挿入可能である。キーロックピン24の先端が凹部23に挿入された状態では、ロアシャフト32、アッパシャフト31およびステアリングホイール101の回転が阻止されたキーロック状態となる。アクチュエータ25は、キーロックピン24を径方向に進退可能とする。ケーシング26は、アクチュエータ25およびロアコラム42の貫通孔21を覆う。なお、
図1に示すように、ロアコラム42の貫通孔21は、ブラケット20に設けられ、ケーシング26を外した状態では、貫通孔21からキーロックカラー22が見えている。なお、中心軸AXの軸方向であってステアリングホイール101側から見たときに、車載状態で、スリット5は時計の6時の位置に配置され、貫通孔21は、時計のほぼ3時の位置に配置される。
【0048】
次いで、スリット5からキーロックピン24またはキーロックカラー22に工具を差し込んで、キーロックを解除する態様について説明する。
【0049】
まず、
図12に示すように、スリット5からロアコラム42の内側を見て、キーロックピン24またはキーロックカラー22を探す。キーロックピン24の先端が見えた場合は、ハッチングで示した工具120の先端部をキーロックピン24の先端に押し当ててキーロックの解除を行う。
【0050】
また、スリット5からキーロックピン24が見えずにキーロックカラー22の一部のみが見える場合がある。この場合は、例えばスリット5から手を差し入れ、手探りでキーロックカラー22の外周の凹部23を周方向に辿っていき、キーロックピン24の先端部分の位置を指先で確認する。その後、工具120の先端部をキーロックピン24の先端に押し当ててキーロックの解除を行う。
【0051】
図13は、ロアコラムにおけるスリット近傍を示す斜視図である。
図14は、第1実施形態に係るカバーの斜視図である。
図15は、第1実施形態に係るカバーの斜視図である。
図16は、第1実施形態に係るカバーの平面図である。
図17は、
図16のカバーの正面図である。
図18は、
図16のカバーの背面図である。
【0052】
図1、
図2および
図13に示すように、カバー8は、スリット5を車両における下方側から覆う。具体的には、カバー8は、
図1および
図3に示す縁部51の外側に嵌まる。また、
図13に示すように、カバー8における後方側の端部は、取付部410、411に近接する。例えば、カバー8における後方側の端部は、取付部410、411に当接する。
【0053】
図13から
図18に示すように、カバー8は、第1プレート81と、第2プレート82と、第3プレート83と、第4プレート84と、支持脚部80と、を備える。支持脚部80は、第1脚部85と、第2脚部86と、を含む。第1プレート81は、平面部811を有する。平面部811は、平面視において軸方向に延びる長方形の形状を有する。平面部811は、縁812、813、814、815を有する。カバー8を車体に取り付けた状態において、縁812は、平面部811における前方側の端に位置し、縁815は、平面部811における後方側の端に位置し、縁813は、平面部811における右側の端に位置し、縁814は、平面部811における左側の端に位置する。
【0054】
第2プレート82、第3プレート83および第4プレート84は、長方形の形状を有する。第2プレート82は、縁812から上方に延びる。第3プレート83は、縁813から上方に延びる。第3プレート83における上方側には縁831を有する。第4プレート84は、縁814から上方に延びる。第4プレート84における上方側には縁841を有する。第3プレート83は、縁821を介して第2プレート82に繋がる。第4プレート84は、縁822を介して第2プレート82に繋がる。なお、第2プレート82は、車幅方向壁部513の外側に挿入され、第3プレート83は、軸方向壁部511の外側に挿入され、第4プレート84は、軸方向壁部512の外側に挿入される。
【0055】
第1脚部85は、第3プレート83の縁831における後方側の部位に取り付けられる。第1脚部85は、縦板部851と取付け部852とを有する。縦板部851は、上方に向けて延びる。取付け部852は、縦板部851における上端から右側に屈曲して延びる。取付け部852には、貫通孔853が設けられる。貫通孔853には、ボルトBLが挿入される。取付け部852は、
図13に示すように、ボルトBLを介してカバー取付部423に締結される。第2脚部86は、第4プレート84の縁841における前方側の部位に取り付けられる。第2脚部86は、縦板部861と取付け部862とを有する。縦板部861は、上方に向けて延びる。取付け部862は、縦板部861における上端から左側に屈曲して延びる。取付け部862には、貫通孔863が設けられる。貫通孔863には、ボルトBLが挿入される。取付け部862は、
図2に示すように、ボルトBLを介してカバー取付部422に締結される。なお、
図17に示すように、第1脚部85の縦板部851は、第2脚部86の縦板部861よりも上下方向の長さが長い。即ち、平面部811を水平状態にした場合、取付け部852は取付け部862よりも上側に位置する。また、
図16に示すように、第1脚部85は、第2脚部86よりも後方側に位置する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用操舵装置100は、ステアリングシャフト3の外周側に配置されスリット5を有する筒状のステアリングコラム4と、キーロックカラー22を含むステアリングロック装置2と、スリット5を外側から覆った状態でステアリングコラム4に取り付けられるカバー8と、を備える。スリット5は、ステアリングコラム4の外周面における車両の下方側の部位に設けられ、カバー8を外した状態において、スリット5を介してキーロックカラー22が視認可能である。
【0057】
前述したように、特許文献1においては、ステアリングコラムのスリットが車両における上方側に位置するが、スリットの上側には例えばインストルメントパネル等の車体部材が配置されるため、当該スリットから工具を挿入してキーロックを解除することは困難である。
【0058】
しかし、スリット5が、ステアリングコラム4の外周面における車両の下方側の部位に設けられ、且つ、スリット5を介してキーロックカラー22が視認可能な場合は、前述したように、例えばスリット5から手を差し入れ、手探りでキーロックピン24の先端部分の位置を指先で確認するなどして、キーロックを解除することが可能な場合がある。
【0059】
そこで、本実施形態では、スリット5を外側から覆うカバー8をステアリングコラム4に取り付けているため、キーロックカラー22を視認することができない。従って、カバー8を外した状態において、ステアリングコラム4の外周面における車両の下方側の部位にスリット5を介してキーロックカラー22が視認可能な場合であっても、カバー8が工具の挿入を防ぎ、スリット5を介したキーロックの解除を阻止することが可能となる。
【0060】
ステアリングコラム4は、アッパコラム41とロアコラム42とを有する。アッパコラム41の車両前側(軸方向の一方側)の第1端部412が、ロアコラム42の車両後側(軸方向の他方側)の第2端部424の内周側に挿入される。スリット5は、ロアコラム42における第2端部424に設けられる。
【0061】
このように、ロアコラム42における第2端部424にスリット5が設けられるため、スリット5の幅を狭める変形をさせることにより、第2端部424で第1端部412を保持(固定)することが容易になる。
【0062】
スリット5における車両後側の端は開口である。スリット5における車両前側の端5aは、第1端部412の車両前側の端412aよりも車両前側に位置する。
スリット5における車両後側の端を開口にすることにより、スリット5の幅を狭める変形をさせることがより容易になり、ひいては、第2端部424で第1端部412を保持(固定)することが更に容易になる。なお、端5aが端412aよりも車両前側に位置するため、端5aと端412aとの間に隙間が生じるが、当該隙間をカバー8が覆うため、キーロックの解除を阻止することが可能となる。
【0063】
カバー8は、第1プレート81と、第2プレート82、第3プレート83および第4プレート84と、支持脚部80と、を備える。
【0064】
このように、カバー8は、第1プレート81、第2プレート82、第3プレート83および第4プレート84によって、略箱形状になるため、カバー8の剛性が向上する。
【0065】
第3プレート83および第4プレート84は、車幅方向の左右両側に配置されて車両前後方向に沿って延びる。第1脚部85は、第3プレート83から車両上側に延びロアコラム42に取り付けられる。第2脚部86は、第4プレート84から車両上側に延びロアコラム42に取り付けられる。
【0066】
このように、カバー8は、左右両側にそれぞれ設けた第1脚部85と第2脚部86とを介してロアコラム42に取り付けられるため、左右で均等にカバー8を支持することができる。
【0067】
キーロックカラー22は、外周に、径方向内側へ凹む凹部23が周方向に沿って複数設けられる。ステアリングロック装置2は、キーロックカラー22と、中心軸AXの径方向に進退可能で且つキーロックカラー22の凹部23に挿入可能なキーロックピン24と、を有する。
【0068】
従って、スリット5からキーロックカラー22が視認できれば、前述したように、スリット5から手を差し入れ、手探りでキーロックピン24の先端部分の位置を指先で確認してキーロックの解除を行うことが可能となる場合がある。しかし、本実施形態では、カバー8でスリット5を覆うため、キーロックの解除を阻止することが可能となる。
【0069】
なお、ロアコラム42の内周面とキーロックカラー22との間の隙間が小さく且つ中心軸AXよりも車両における上側にキーロックピン24が配置される場合、キーロックピン24は、キーロックカラー22の影に隠れて視認しにくくなる。この場合、工具120をキーロックピン24の先端に押し当てることが困難である。これにより、中心軸AXの軸方向であってステアリングホイール101側から見たときに、時計回り方向において、時計の2時から10時までの範囲に貫通孔21が配置されるときに、カバー8を設けることによって、キーロックの解除を阻止する効果がより高くなる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るカバー8Aについて説明する。第2実施形態のカバー8Aは、第1実施形態のカバー8に対して支持片840を追加している点が相違する。以下、支持片840を中心に説明する。
【0071】
図19は、第2実施形態における車両用操舵装置の一部の斜視図である。
図20は、第2実施形態に係るカバーの斜視図である。
図21は、第2実施形態に係るカバーの斜視図である。
図22は、第2実施形態に係るカバーの平面図である。
図23は、
図22のカバーの正面図である。
図24は、
図22のカバーの背面図である。
【0072】
カバー8Aは、第4プレート84Aを有する。第4プレート84Aにおける後方側の端部には、支持片840が設けられる。支持片840は、連結部844と縦板部842とを有する。第4プレート84Aにおける上方側には縁841を有する。連結部844は、縁841における後方側の端部から左側に屈曲する。縦板部842は、連結部844における左側の縁から上方に向けて延びる。縦板部842には、貫通孔843が設けられる。貫通孔843は、前後方向に延びる長孔である。
【0073】
ここで、
図19に示すように、ロアコラム42には、左側に突出する突起421が設けられる。突起421は、縦板部842の貫通孔843に挿入される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態において、第3プレート83または第4プレート84Aは、車両上側に延びる支持片840(取付部)を有する。支持片840は、ロアコラム42の側方に設けた突起421(被取付部)に取り付けられる。
【0075】
このように、第3プレート83または第4プレート84Aは、支持脚部80に加えて支持片840によって支持されるため、より強固にロアコラム42に取り付けることができる。
【0076】
次に、カバー8における取付け部852、862の高さ位置について考察する。
図25Aは、実施形態に係るカバーおよびロアコラムを示す模式図である。
図25Bは、比較例に係るカバーおよびロアコラムを示す模式図である。
【0077】
図25Aに示すように、実施形態に係るカバー8における取付け部852と取付け部862とは、略同一の高さ位置に配置される。以下具体的に説明する。直線Lは、中心軸AXを通り且つ車幅方向に延びる直線に対して下側に向けて角度θ=45度傾いた直線である。取付け部852は、直線Lよりも上側に位置する。
【0078】
図25Bに示すように、比較例に係るカバー8Bは、第1脚部85Bおよび第2脚部86Bを有する。第1脚部85Bは、取付け部852Bを有する。第2脚部86Bは、取付け部862Bを有する。取付け部852Bと取付け部862Bとは、略同一の高さ位置に配置される。取付け部852Bは、直線Lよりも下側に位置する。
【0079】
このように、実施形態に係るカバー8における取付け部852、862は、比較例に係るカバー8Bにおける取付け部852B、862Bよりも上側に位置する。ここで、カバー8、8Bを取り外すには、ドライバー等の工具を用いて取付け部のボルトBLを緩める必要がある。しかし、カバー8の方が長い工具を用いる必要があり、また、ボルトBLを緩める作業がより困難になるため、実施形態の方がカバー8を外しにくいというメリットがある。
【符号の説明】
【0080】
100 車両用操舵装置
101 ステアリングホイール
102 モータ
103 ギヤボックス
110 揺動ブラケット
111 軸部材
120 工具
121、122 軸受
2 ステアリングロック装置
20 ブラケット
21 貫通孔
22 キーロックカラー
23 凹部
24 キーロックピン
25 アクチュエータ
26 ケーシング
3 ステアリングシャフト
31 アッパシャフト(入力軸)
32 ロアシャフト(出力軸)
4 ステアリングコラム
41 アッパコラム
410 取付部
411 取付部
412 第1端部
412a 車両前側の端
42 ロアコラム
421 突起(被取付部)
422 カバー取付部
423 カバー取付部
424 第2端部
5 スリット
5a 車両前側の端
51 縁部
511 軸方向壁部
512 軸方向壁部
513 車幅方向壁部
6 コラムブラケット
61 天板部
62、63 側板部
621、631 チルト長孔
600 テレスコピック保持部
626 カム部材
625 ロッド本体
639 インナ側ロック部材
640 アウタ側ロック部材
641 凹溝
642 基板
643 折れ曲がり板部
648 ダンパ
650 枢軸
651 第1部材
652 第2部材
653 第1付勢部材
654 第2付勢部材
665 突起
666 貫通孔
7 締付機構
70 操作レバー
71 ピン
751 ナット
752 スラストベアリング
753 ワッシャ
72 カム機構
8 カバー
81 第1プレート
811 平面部
812 縁
813 縁
814 縁
815 縁
82 第2プレート
821 縁
822 縁
83 第3プレート
831 縁
84 第4プレート
840 支持片(取付部)
841 縁
842 縦板部
844 連結部
80 支持脚部
85 第1脚部
851 縦板部
852 取付け部
853 貫通孔
86 第2脚部
861 縦板部
862 取付け部
863 貫通孔
8A カバー
84A 第4プレート
8B カバー
85B 第1脚部
852B 取付け部
86B 第2脚部
862B 取付け部
AX 中心軸
BL ボルト