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特開2024-115689半導体組立体の製造方法、冷却器、及び半導体組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115689
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】半導体組立体の製造方法、冷却器、及び半導体組立体
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021473
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】相澤 文隆
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 祐士
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA36
5F136CB07
5F136GA12
5F136GA31
(57)【要約】
【課題】フィンの破損を抑制することができる半導体組立体の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体組立体1の製造方法は、接合材料300を介して冷却器20及び半導体装置10を積層する第1の工程と、冷却器20に治具100を取り付ける第2の工程と、冷却器20と半導体装置10とを接合する第3の工程と、を備え、冷却器20は、複数のフィン51から構成された複数のフィン列50と、複数のフィン列50が設けられたベース40と、を備え、ベース40は、フィン51が形成されておらず線状に延在する非形成領域42を有し、第2の工程は、フィン列50の間に治具100の押圧部110を挿入して、非形成領域42に当接させることを含み、第3の工程は、押圧部110により非形成領域42を押圧することを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器と半導体装置を備える半導体組立体の製造方法であって、
前記冷却器及び前記半導体装置の少なくとも一方に接合材料を配置し、前記接合材料を介して前記冷却器及び前記半導体装置を積層する第1の工程と、
前記冷却器に治具を取り付ける第2の工程と、
前記治具、前記冷却器、前記接合材料、及び前記半導体装置を加圧しながら加熱し、前記冷却器と前記半導体装置とを接合する第3の工程と、を備え、
前記冷却器は、
複数のフィンからそれぞれ構成され、それぞれ線状に延在する複数のフィン列と、
前記複数のフィン列が相互に間隔を空けて設けられたベースと、を備え、
前記ベースは、前記複数のフィン列の間に、前記フィンが形成されておらず線状に延在する非形成領域を有しており、
前記治具は、前記フィン列同士の間に進入可能であり、線状に延在する押圧部を備え、
前記第2の工程は、前記フィン列の間に前記押圧部を挿入して、前記ベースの前記非形成領域に前記押圧部を当接させることを含み、
前記第3の工程は、前記押圧部により前記非形成領域を押圧することを含む半導体組立体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記フィンは、板状であり、
前記フィン列は、前記フィンの冷却面が互いに対向するように前記フィンが並べられた構成となっており、
前記非形成領域は、複数の前記フィンの延在方向に対して交差する方向に沿って延在している半導体組立体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記治具は、
複数の前記押圧部と、
前記複数の押圧部を相互に連結する連結部と、を備える半導体組立体の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記治具の前記押圧部の高さが、前記フィンの高さより大きい半導体組立体の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記接合材料は、銀を含む組成物で構成されている半導体組立体の製造方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記フィンは、銅を含む材料で構成されている半導体組立体の製造方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記冷却器は、前記フィンを覆うように前記ベースに取り付けられるカバーを備え、
前記半導体組立体の製造方法は、
前記ベース及び前記フィン列から前記治具を取り外す第4の工程と、
前記カバーを前記ベースに当接させて前記カバーを取り付ける第5の工程と、を備えた半導体組立体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記治具は、
複数の前記押圧部と、
前記複数の押圧部を相互に連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、枠状の形状を有し、
前記押圧部は、前記連結部の枠状の形状を横断する桟であり、
前記連結部における前記ベースとの第1の当接面の形状は、前記カバーにおける前記ベースとの第2の当接面の形状を包含しており、
前記第2の工程は、前記連結部を前記ベースに当接することを含み、
前記第3の工程は、前記連結部により前記ベースを押圧することを含む半導体組立体の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記治具の前記連結部の高さが、前記フィンの高さより大きい半導体組立体の製造方法。
【請求項10】
請求項7または8に記載の半導体組立体の製造方法であって、
前記カバーは、冷却流体の供給口及び排出口を有しており、
前記非形成領域は、前記供給口及び前記排出口を通過する仮想直線に対し、略垂直な方向に沿って延在している半導体組立体の製造方法。
【請求項11】
複数のフィンからそれぞれ構成され、それぞれ線状に延在する複数のフィン列と、
前記複数のフィン列が相互に間隔を空けて設けられたベースと、を備え、
前記ベースは、前記複数のフィン列の間に、前記フィンが形成されておらず線状に延在する非形成領域を有しており、
前記非形成領域は、接合層を介して前記ベースを半導体装置と接合する際に治具によって押圧される領域である冷却器。
【請求項12】
請求項11に記載の冷却器であって、
前記フィンは、板状であり、
前記フィン列は、前記フィンの冷却面が互いに対向するように前記フィンが並べられた構成となっており、
前記非形成領域は、複数の前記フィンの延在方向に対して交差する方向に沿って延在している冷却器。
【請求項13】
請求項11または12に記載の冷却器であって、
前記フィンは、銅を含む材料で構成されている冷却器。
【請求項14】
請求項11または12に記載の冷却器と、
半導体装置と、
前記冷却器及び前記半導体装置の間に設けられた接合層と、を備えた半導体組立体。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体組立体であって、
前記冷却器は、前記フィンを覆うように前記ベースに取り付けられたカバーを備え、
前記ベースは、前記フィンが設けられた面に形成された枠状の圧痕を有しており、
前記圧痕の形状は、前記カバーにおいて前記ベースと当接する第2の当接面の形状を包含している半導体組立体。
【請求項16】
冷却器と、
半導体装置と、
前記冷却器と前記半導体装置との間に設けられ、銀を含有する接合層と、を備え、
前記冷却器は、複数のフィンと、前記フィンが設けられた板状のベースと、を備え、
前記フィンの厚みは、0.05~2mmであり、
前記フィン同士の間隔は、0.05~2mmであり、
前記ベースの厚みは、0.3~5mmである半導体組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体組立体の製造方法、冷却器、及び半導体組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップと、ヒートシンクとを、銀の加圧焼結体で接合して構成された半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この半導体装置は、半導体チップとヒートシンクとの間に銀を含む焼結材料を設け、加熱しながら加圧することによって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-002563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の半導体装置では、ヒートシンクを板状部材およびメッキ膜からなる構成としている。上記の半導体装置において、熱交換性能の向上を図るために、ヒートシンクをフィンによって構成した場合、板状部材からなるヒートシンクに比べ強度が低いため、加熱または加圧によってヒートシンクが変形したり、破損したりしてしまうおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、フィンの破損を抑制することができる半導体組立体の製造方法、冷却器、及び半導体組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の態様1は、冷却器と半導体装置を備える半導体組立体の製造方法であって、前記冷却器及び前記半導体装置の少なくとも一方に接合材料を配置し、前記接合材料を介して前記冷却器及び前記半導体装置を積層する第1の工程と、前記冷却器に治具を取り付ける第2の工程と、前記治具、前記冷却器、前記接合材料、及び前記半導体装置を加圧しながら加熱し、前記冷却器と前記半導体装置とを接合する第3の工程と、を備え、前記冷却器は、複数のフィンからそれぞれ構成され、それぞれ線状に延在する複数のフィン列と、前記複数のフィン列が相互に間隔を空けて設けられたベースと、を備え、前記ベースは、前記複数のフィン列の間に、前記フィンが形成されておらず線状に延在する非形成領域を有しており、前記治具は、前記フィン列同士の間に進入可能であり、線状に延在する押圧部を備え、前記第2の工程は、前記フィン列の間に前記押圧部を挿入して、前記ベースの前記非形成領域に前記押圧部を当接させることを含み、前記第3の工程は、前記押圧部により前記非形成領域を押圧することを含む半導体組立体の製造方法である。
【0007】
[2]本発明の態様2は、態様1の半導体組立体の製造方法であって、前記フィンは、板状であり、前記フィン列は、前記フィンの冷却面が互いに対向するように前記フィンが並べられた構成となっており、前記非形成領域は、複数の前記フィンの延在方向に対して交差する方向に沿って延在している半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0008】
[3]本発明の態様3は、態様1または2の半導体組立体の製造方法であって、前記治具は、複数の前記押圧部と、前記複数の押圧部を相互に連結する連結部と、を備える半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0009】
[4]本発明の態様4は、態様1~3のいずれか一つの半導体組立体の製造方法であって、前記治具の前記押圧部の高さが、前記フィンの高さより大きい半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0010】
[5]本発明の態様5は、態様1~4のいずれか一つの半導体組立体の製造方法であって、前記接合材料は、銀を含む組成物で構成されている半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0011】
[6]本発明の態様6は、態様1~5のいずれか一つの半導体組立体の製造方法であって、前記フィンは、銅を含む材料で構成されている半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0012】
[7]本発明の態様7は、態様1~6のいずれか一つの半導体組立体の製造方法であって、前記冷却器は、前記フィンを覆うように前記ベースに取り付けられるカバーを備え、前記半導体組立体の製造方法は、前記ベース及び前記フィン列から前記治具を取り外す第4の工程と、前記カバーを前記ベースに当接させて前記カバーを取り付ける第5の工程と、を備えた半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0013】
[8]本発明の態様8は、態様7の半導体組立体の製造方法であって、前記治具は、複数の前記押圧部と、前記複数の押圧部を相互に連結する連結部と、を備え、前記連結部は、枠状の形状を有し、前記押圧部は、前記連結部の枠状の形状を横断する桟であり、前記連結部における前記ベースとの当接面の形状は、前記カバーにおける前記ベースとの当接面の形状を包含しており、前記第2の工程は、前記連結部を前記ベースに当接することを含み、前記第3の工程は、前記連結部により前記ベースを押圧することを含む半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0014】
[9]本発明の態様9は、態様8の半導体組立体の製造方法であって、前記治具の前記連結部の高さが、前記フィンの高さより大きい半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0015】
[10]本発明の態様10は、態様7または8の半導体組立体の製造方法であって、前記カバーは、冷却流体の供給口及び排出口を有しており、前記非形成領域は、前記供給口及び前記排出口を通過する仮想直線に対し、略垂直な方向に沿って延在している半導体組立体の製造方法であってもよい。
【0016】
[11]本発明の態様11は、複数のフィンから構成され、線状に延在する複数のフィン列と、前記複数のフィン列が相互に間隔を空けて設けられたベースと、を備え、前記ベースは、前記複数のフィン列の間に、前記フィンが形成されておらず線状に延在する非形成領域を有しており、前記非形成領域は、接合層を介して前記ベースを半導体装置と接合する際に治具によって押圧される領域である冷却器である。
【0017】
[12]本発明の態様12は、態様11の冷却器であって、前記フィンは、板状であり、前記フィン列は、前記フィンの冷却面が互いに対向するように前記フィンが並べられた構成となっており、前記非形成領域は、複数の前記フィンの延在方向に対して交差する方向に沿って延在している冷却器であってもよい。
【0018】
[13]本発明の態様13は、態様11または12の冷却器であって、前記フィンは、銅を含む材料で構成されている冷却器であってもよい。
【0019】
[14]本発明の態様14は、態様11または12の冷却器と、半導体装置と、前記冷却器及び前記半導体装置の間に設けられた接合層と、を備えた半導体組立体である。
【0020】
[15]本発明の態様15は、態様14の半導体組立体であって、前記冷却器は、前記フィンを覆うように前記ベースに取り付けられたカバーを備え、前記ベースは、前記フィンが設けられた面に形成された枠状の圧痕を有しており、前記圧痕の形状は、前記カバーにおいて前記ベースと当接する第2の当接面の形状を包含している半導体組立体であってもよい。
【0021】
[16]本発明の態様16は、冷却器と、半導体装置と、前記冷却器と前記半導体装置との間に設けられ、銀を含有する接合層と、を備え、前記冷却器は、複数のフィンと、前記フィンが設けられた板状のベースと、を備え、前記フィンの厚みは、0.05~2mmであり、前記フィン同士の間隔は、0.05~2mmであり、前記ベースの厚みは、0.3~5mmである半導体組立体である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る半導体組立体の製造方法では、冷却器と半導体装置とを接合する際に、冷却器のベースにおけるフィン列の間の非形成領域を治具の押圧部で押圧する。これにより、フィン自体に圧力をかけることなく冷却器、接合材料、及び半導体装置を加圧しながら加熱し、冷却器及び半導体装置を接合することができるため、フィンの破損を抑制することができる。
【0023】
また、本発明に係る冷却器は、フィン列の間に非形成領域が設けられているため、治具を用いて非形成領域を押圧することで、フィン自体に圧力をかけることなく接合材料を介して半導体装置と接合させることができる。このため、加圧によるフィンの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施形態における半導体組立体の断面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3(a)~図3(e)は、本発明の実施形態における半導体組立体の製造方法を示す断面図であり、図3(a)は、半導体装置に接合材料を配置すると共に、半導体装置に冷却器を積層する工程を示す図であり、図3(b)は、フィン及びベースに治具を取り付ける工程を示す断面図であり、図3(c)は、熱プレス器で治具、冷却器、接合材料、及び半導体装置を加圧及び加熱する工程を示す断面図であり、図3(d)は、フィン及びベースから治具を取り外す工程を示す断面図であり、図3(e)は、フィン及びベースにカバーを取り付ける工程を示す断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態における治具の平面図である。
図5図5は、本発明の実施形態におけるベース及びフィンの平面図である。
図6図6は、本発明の実施形態における半導体組立体の第1変形例を示す断面図であり、図2に対応する図である。
図7図7は、本発明の実施形態における半導体組立体の第2変形例を示す断面図であり、図2に対応する図である。
図8図8は、本発明の実施形態における半導体組立体の第3変形例を示す断面図であり、図2に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本実施形態における半導体組立体1の断面図であり、図2図1のII-II線に沿った断面図である。
【0027】
本実施形態における半導体組立体1は、図1に示すように、半導体装置10と、冷却器20と、接合層30と、を備えている。
【0028】
半導体装置10は、半導体素子11と、基板12と、モールド13とで構成されている。半導体素子11としては、特に限定されないが、シリコン、または炭化ケイ素シリコンから構成されたMOFSET素子、およびIGBT素子等を例示することができる。半導体素子11は、基板12の一方の面121に実装されている。モールド13は、エポキシ樹脂等の樹脂材料で構成され、半導体素子11を封止している。モールド13から基板12の他方の面122が露出しており、基板12の面122が接合層30を介して冷却器20と接合されている。
【0029】
なお、半導体装置10の構成は、半導体素子11を備えていれば、特に上記に限定されない。例えば、本実施形態では、半導体装置10が半導体素子11を封止するモールド13を備えているが、半導体装置10の構成は特にこれに限定されず、モールド13を備えていなくてもよい。
【0030】
冷却器20は、ベース40と、複数のフィン列50a~50eと、カバー60とを備えている。
【0031】
ベース40は、略矩形の平面形状を有する板状の部材であり、接合層30を介して半導体装置10に固定されている。ベース40の構成は特にこれに限定されず、フィン列50a~50eが設けられ、カバー60と当接することができる平面形状を有していればよい。本実施形態におけるベース40は、純銅で構成されているが、ベース40を構成する材料は特に限定されない。ベース40を構成する材料としては、銅またはアルミニウムなどの金属材料や、銅またはアルミニウムを含む合金材料等を例示することができる。ベース40を純銅で構成することにより、冷却器20の冷却性能をより高めることができる。また、ベース40の厚みTは、特に限定されないが、0.3~5mm(0.3mm≦T≦5mm)である。ベース40の厚みを上記範囲内とすることにより、後述する加熱及び加熱の工程によりベース40が変形することを抑制することができると共に、冷却器20の冷却性能の向上を図ることができる。
【0032】
それぞれのフィン列50a~50eは、図2に示すように、ベース40の表面41に相互に間隔を空けて設けられた複数のフィン51で構成されている。本実施形態では、ベース40に5つのフィン列50a~50eが設けられているが、フィン列50の個数は特にこれに限定されない。なお、この明細書において、以後フィン列50a~50eを「フィン列50」とも総称する。
【0033】
本実施形態では、フィン列50を構成するそれぞれのフィン51は、板状であり、ベース40の表面41に対して略垂直な方向(図中Z方向)に突出すると共に、所定の方向に延在するようにベース40に配置されている。本実施形態では、それぞれのフィン51は、図2においてX方向に沿って延在しており、複数のフィン51は、実質的に相互に平行に延在している。また、一つのフィン列50を構成する複数のフィン51の幅は、実質的に同一となっている。
【0034】
フィン51は、特に限定されないが、ベース40と同じ材料で構成されている。ベース40及びフィン51の製造方法としては、特に限定されず、スカイブ加工、押出成形、冷間鋳造、その他の機械加工など、公知の方法を用いることができる。本実施形態では、ベース40とフィン51が一体的に形成されているが、ベース40とフィン51を別々に形成してもよい。
【0035】
図2に示すように、本実施形態におけるそれぞれのフィン列50は、複数のフィン51を、当該フィン51の冷却面511(図1参照)を互いに対向するように並べることで形成されており、フィン51の延在方向に対して略垂直な方向(図中Y方向)に沿って線状に延在している。本実施形態では、それぞれのフィン列50は、図中のY方向に沿って線状に延在するように、ベース40の表面41に設けられており、複数のフィン列50は、相互に実質的に平行に延在している。
【0036】
フィン51の厚みTは、特に限定されないが、0.05~2mm(0.05mm≦T≦2mm)である。また、フィン51同士の間隔Gは、対向する冷却面511同士の間の距離として表され、特に限定されないが、0.05~2mm(0.05mm≦G≦2mm)である。フィン51の幅W(平面視における長手方向の長さ)は、特に限定されないが、2~20mm(0.05mm≦W≦2mm)である。
【0037】
本実施形態では、フィン51が板状であるが、フィン51の構成は特にこれに限定されない。例えば、フィン51が、角柱形状または円柱形状を有するピンフィンで構成されていてもよい。
【0038】
ベース40の表面41において、フィン列50同士の間には、線状の非形成領域42が設けられている。非形成領域42は、本実施形態における半導体組立体1を製造する際に、ベース40を半導体装置10と接合する際に治具100(後述)によって押圧される領域である。非形成領域42は、フィン51の延在する方向、すなわち、平面視におけるフィン51の長手方向に対して、略垂直な方向(図中Y方向)に沿って延在している。非形成領域42は、フィン51の延在する方向に対して略90°で交差している(図中θ≒90°)。また、非形成領域42の幅(図中X方向の長さ)は、特に限定されないが、フィン51の幅よりも小さくなっている。
【0039】
カバー60は、開口61を有する箱型の形状を有しており、フィン列50を覆うようにベース40に当接して設けられている。開口61は、平面視において全てのフィン列50を包含する大きさを有している。カバー60は、ねじ止め等によりベース40に固定されている。また、カバー60には、配管70にそれぞれ接続された冷媒(冷却流体)の供給口62及び排出口63が形成されている。供給口62及び排出口63は、供給口62及び排出口63を通過する仮想直線VLが、フィン51の延在方向(図中X方向)に沿うように、供給口62及び排出口63が互いに対向するように配置されている。上述したベース40の非形成領域42は、仮想直線VLに対して、略垂直な方向(図中Y方向)に沿って延在している。すなわち、非形成領域42及びフィン列50が、冷却器20内の冷媒の流れる方向(図中X方向)に対して、略垂直な方向(図中Y方向)に沿って延在しており、フィン51が、冷媒の流れる方向に対して略平行な方向(図中X方向)に沿って延在している。これにより、冷却器20内の冷媒の流れが均一となるため、冷却器20の冷却性能を高めることができる。
【0040】
供給口62の最も近傍に設けられたフィン列50aと、カバー60との間の空間は、冷媒の圧力を冷媒の流れる方向と垂直な方向(図中Y方向)に均一化するためのリザーバー空間601となっている。また、排出口63の最も近傍に設けられたフィン列50eと、カバー60との間の空間も、同様にリザーバー空間602となっている。特に限定されないが、リザーバー空間601,602において、フィン51の延在方向(図中X方向)と平行な方向の幅は、非形成領域42の幅よりも大きくなっている。
【0041】
図6は本実施形態における半導体組立体1の第1変形例を示す断面図であり、図7は本実施形態における半導体組立体1の第2変形例を示す断面図であり、図8は本実施形態における半導体組立体1の第3変形例を示す断面図であり、図6~8は、それぞれ図2に対応する図である。
【0042】
なお、本実施形態では、非形成領域42がフィン51の延在する方向に対して略垂直な方向(図中Y方向)に沿って延在しているが、非形成領域42の構成は特にこれに限定されない。例えば、図6に示すように、平面視において、複数のフィン51がフィン51の延在する方向(図中X方向)に対して斜めに交差する方向に沿って並べられており、非形成領域42がフィン51の延在する方向に対して斜めに交差する方向に沿って延在していてもよい。平面視におけるフィン51の延在方向に対する非形成領域42の延在方向の交差角θは、特に限定されないが、75°以上90°以下である(75°≦θ≦90°)。なお、図6に示すように、交差角θを90°以外の角度とする場合も、フィン51の延在方向が流体の流れる方向と略平行となるようにフィン51、並びに供給口62及び排出口63を配置することが好ましい。
【0043】
また、図2では、フィン列50を構成するフィン51の幅が実質的に同一となっているが、フィン51の幅は特にこれに限定されない。例えば、図6に示すように、フィン列50が異なる幅のフィン51を含んでいてもよい。具体的には、図6において、供給口62の近傍に位置するフィン列50g、50eを構成するフィン51の幅は、フィン51における供給口62側の端部が、仮想直線VLに対して略垂直な方向(図中Y方向)に沿って位置するように調整されている。同様に、排出口63の近傍に位置するフィン列50f、50hを構成するフィン51の幅は、フィン51における排出口63側の端部が、仮想直線VLに対して略垂直な方向に沿って位置するように調整されている。すなわち、図6に示す構成では、略矩形の断面形状を有するリザーバー空間601、602の形状に対応してフィン列50g~50hを構成するフィン51の幅が調整されている。これにより、リザーバー空間601、602が冷媒の流れる方向(仮想直線VL)に対して垂直な方向に延在し、冷却器20内の冷媒の流れが均一となるため、冷却器20の冷却性能を高めることができる。
【0044】
また、図2及び図6では、フィン列50が一つの方向に沿って延在するように、フィン51が一つの方向に沿って並べられており、非形成領域42が一つの方向に沿って延在しているが、フィン列50及び非形成領域42の構成は特にこれに限定されない。例えば、図7に示すように、フィン列50が途中で曲がるようにフィン51が並べられていてもよい。図7に示す構成では、フィン列50a~50eが略V字形状となるようにフィン51が配置されている。また、フィン列50f、50gを構成するフィン51の幅は、リザーバー空間601、602の形状に対応して調整されている。フィン列50aとフィン列50fの間の非形成領域42は、フィン51の延在方向(図中X方向)に対して斜めに交差する(交差角θ)方向に沿って線状に設けられている。その他の非形成領域42は、フィン51の延在方向に対して斜めに交差する方向に沿って線状に設けられていると共に、略V字形状を有している。特に限定されないが、フィン列50及び非形成領域42の形状は、仮想直線VLに対してY軸方向に対称となっている。
【0045】
また、図2図6、及び図7に示す構造では、カバー60の供給口62及び排出口63が、互いに対向するように、図中X方向に沿って配置されているが、特にこれに限定されない。例えば、図8に示すように、供給口62及び排出口63が、互いに対向しない位置に配置されていてもよい。図8に示す構成では、フィン51の延在方向が、冷媒の流れる方向(仮想直線VL)と一致するように各フィン51が配置されており、フィン列50及び非形成領域42が、ベース40の辺45に対して斜めに設けられている。
【0046】
図1に戻り、カバー60の高さは、フィン51の高さと実質的に同一となっており、フィン51の高さ方向における端部(図中Z方向下側の端部)がカバー60の底面64に接触している。カバー60の高さは、特にこれに限定されず、フィン51の図中Z方向下側の端部とカバー60の底面64との間に間隔が設けられていてもよい。この間隔は、特に限定されないが0mm超、0.3mm以下である。
【0047】
本実施形態では、平面視における半導体装置10及び冷却器20の外形及び大きさが実質的に同一となっているが、特にこれに限定されず、半導体装置10と冷却器20の外形が異なっていてもよい。
【0048】
接合層30は、金属を含む組成物の焼結体で構成された層である。接合層30に含まれる金属としては、銀を例示することができる。接合層30は、後述するように、金属及び溶媒を含む接合材料を熱プレスにより焼結することにより形成することができる。接合層30が銀を含む焼結体で構成されていることにより、半導体装置10及び冷却器20の接続信頼性を向上することができる。
【0049】
次いで、本実施形態における半導体組立体1の製造方法について、図3(a)~3(e)、及び図4を参照しながら説明する。図3(a)~図3(e)は本実施形態における半導体組立体1の製造方法を示す断面図であり、図4は本実施形態における治具100の平面図であり、図5は本実施形態におけるベース40及びフィン列50の平面図である。
【0050】
本実施形態における半導体組立体1の製造方法は、冷却器20及び半導体装置10の少なくとも一方に接合材料300を配置し、接合材料300を介して冷却器20及び半導体装置10を積層する第1の工程と、冷却器20に治具100を取り付ける第2の工程と、冷却器20と半導体装置10とを接合する第3の工程と、治具100を取り外す第4の工程と、ベース40にカバー60を取り付ける第5の工程と、を備える。
【0051】
第1の工程では、冷却器20及び半導体装置10の少なくとも一方に接合材料300を配置し、接合材料300を介して冷却器20及び半導体装置10を積層する。本実施形態では、図3(a)に示すように、半導体装置10の基板12の面122に接合材料300を配置しているが、特にこれに限定されず、例えば、冷却器20のベース40においてフィン列50が設けられた面41とは反対側の面43に接合材料300を配置してもよい。なお、第1の工程から第5の工程では、ベース40にカバー60が取り付けられていないが、図3(a)~図3(e)の説明では、便宜上、ベース40及びフィン列50を冷却器20と称する。
【0052】
本実施形態における接合材料300は、銀粒子及び溶媒を含有するペースト状の組成物である。銀粒子としては、特に限定されないが、平均粒径が0.1μm以上、1μm以下のものを用いる。また、接合材料300における銀粒子の含有量は、特に限定されないが、70~95質量%である。溶媒としては、後述する第3の工程における加熱により蒸発できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒等の有機溶媒を用いることができる。
【0053】
接合材料300を配置する方法は、特に限定されないが、冷却器20及び半導体装置10の少なくとも一方に、塗布により配置することができる。接合材料300の厚みは、特に限定されないが、10μm以上、500μm以下である。接合材料300を配置した後、接合材料300を介して冷却器20及び半導体装置10を積層する。
【0054】
第2の工程では、図3(b)に示すように、冷却器20に治具100を取り付ける。治具100は、図3(b)及び図4に示すように、複数の押圧部110と、複数の押圧部110を相互に連結する連結部120とからなる。なお、図3(b)において治具100の断面を示す部分は、図4のIII(b)-III(b)線に沿った断面に対応する。第2の工程では、図3(b)に示すように、押圧部110をフィン列50同士の間の空間に進入させ、押圧部110をベース40の非形成領域42に当接させると共に、連結部120をベース40の表面41に当接させることにより、治具100を冷却器20に取り付ける。
【0055】
本実施形態における治具100は、SUS304等のステンレス鋼で構成されているが、治具100を構成する材料は特にこれに限定されない。治具100を構成する材料としては、後述する第3の工程における加熱及び加圧により変形したり破損したりしない材料であればよく、例えば、耐熱合金等を挙げることができる。本実施形態では、押圧部110と連結部120とは一体的に形成されているが、押圧部110と連結部120を別々に形成してもよい。
【0056】
押圧部110は、第2の工程においてフィン列50の間に進入してベース40に当接される線状に延在する部分である。押圧部110におけるベース40との当接面1101は、ベース40の非形成領域42に対応する形状を有している。本実施形態における押圧部110は、隣り合うフィン列50同士の間の空間に対応した角柱形状を有している。また、断面視における押圧部110の高さは、フィン51の高さよりわずかに(数十マイクロメートル~数ミリメートル程度)大きくなっているが、特にこれに限定されず、フィン51の高さより大きければよい。また、押圧部110の高さの上限は、特に限定されないが、フィン51の高さに10ミリメートル足した高さである。押圧部110の高さがフィン51の高さに比べ大きすぎると、第3の工程における加熱の際に接合材料300へ熱が十分に伝わらず、半導体装置10と冷却器20の接合が不十分となるおそれがある。
【0057】
連結部120は、複数の押圧部110を互いに連結する枠状の部分である。本実施形態では、平面視において矩形枠状の形状を有しているが、押圧部110を互いに連結することができる限り特にこれに限定されず、例えば棒状の部材であってもよい。治具100が連結部120を備えていることにより、第3の工程において治具100を介して半導体装置10、冷却器20、及び接合材料300を加圧する際に、複数の押圧部110がばらばらに傾かないようすることができる。このため、押圧部110を用いてベース40の非形成領域42をより安定して押圧することができる。
【0058】
連結部120の外形は、ベース40の外形と略同一の形状となっているが、特にこれに限定されない。例えば、平面視において連結部120の外形がベース40を包含する程度に、連結部120の外形がベース40の外形より大きくなっていてもよい。断面視における連結部120の高さは、高さよりわずかに(数十マイクロメートル~数ミリメートル程度)大きくなっているが、特にこれに限定されず、フィン51の高さ以上であればよい。また、連結部120の高さの上限は、特に限定されないが、フィン51の高さに10ミリメートル足した高さである。連結部120の高さがフィン51の高さに比べ大きすぎると、第3の工程における加熱の際に接合材料300へ熱が十分に伝わらず、半導体装置10と冷却器20の接合が不十分となるおそれがある。本実施形態では、押圧部110及び連結部120の高さが実質的に同一となっている。
【0059】
本実施形態における治具100は、連結部120が矩形枠状の形状を有しており、複数の押圧部110はそれぞれ連結部120の枠状の形状を横断する桟となっている。すなわち、本実施形態における治具100は、はしご型(いげた状)の形状を有している。本実施形態では、押圧部110と連結部120の間の空間が、フィン列50の形状と対応しており、治具100を冷却器20に取り付けることにより、それぞれのフィン列50が治具100に挿入される。
【0060】
第3の工程では、図3(c)に示すように、治具100、冷却器20、接合材料300、及び半導体装置10を加圧しながら加熱する。加圧は、冷却器20、接合材料300、及び半導体装置10の積層方向(図中Z方向)に沿って均一に圧力をかけるように行う。このとき、押圧部110によってベース40の非形成領域42が押圧される。加圧及び加熱には、熱プレス機900を用いることができる。例えば、図3(c)に示すように、熱プレス機900の加熱板910及び加熱板920で治具100、冷却器20、接合材料300、及び半導体装置10を挟み込むことで加圧及び加熱を行うことができる。
【0061】
加圧時の圧力は、特に限定されないが、好ましくは1MPa以上、40MPa以下であり、より好ましくは10MPa以上、40MPa以下であり、さらに好ましくは20MPa以上、35MPa以下である。また、加熱時の温度は、特に限定されないが、好ましくは150℃以上、400℃以下であり、より好ましくは200℃以上、350℃以下であり、さらに好ましくは250℃以上、300℃以下である。第3の工程における加圧及び加熱により、接合材料300の銀粒子の焼結が進行し、接合層30が形成される。
【0062】
第4の工程では、図3(d)に示すように、ベース40及びフィン51から治具100を取り外す。このとき、第3の工程における治具100の押圧により、ベース40の表面41には、図5に示すように、押圧部110及び連結部120の形状に対応した圧痕44が形成されている。なお、図5においてハッチングを付した箇所が圧痕44を表す。
【0063】
第5の工程では、図3(e)に示すように、カバー60をベース40に当接させてベース40に取り付ける。なお、カバー60の当接面65の形状は、連結部120の当接面1201(図4参照)の形状に包含されており、圧痕44の形状(図5参照)に包含されている。これにより、カバー60の当接面65は、ベース40の圧痕44が形成された領域に当接される。圧痕44がベース40の表面41に形成されていることにより、ベース40の表面41の平滑性をより高められるため、ベース40に対するカバー60の密着性を高めることができる。
【0064】
以上のようにして、本実施形態における半導体組立体1が製造される。本実施形態における半導体組立体1の製造方法によれば、冷却器20と半導体装置10とを接合する際に、治具100を冷却器20に取り付け、ベース40の非形成領域42を押圧部110で押圧する。このため、フィン51自体に圧力をかけることなく、冷却器20、接合材料300、及び半導体装置10を加圧しながら加熱し、冷却器20及び半導体装置10を接合することができるため、フィン51の破損を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態における冷却器20は、ベース40においてフィン列50の間に非形成領域42が設けられているため、治具100を用いて非形成領域42を押圧することで、フィン51自体に圧力をかけることなく接合材料300を介して半導体装置10と接合させることができる。このため、加圧によるフィン51の破損を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態における半導体組立体1は、冷却器20と半導体装置10とが銀を含有する接合層30で接合され、フィン51の厚みTが0.05~2mm(0.05mm≦T≦2mm)であり、フィン51同士の間隔Gが0.05~2mm(0.05mm≦G≦2mm)であり、ベース40の厚みTが0.3~5mm(0.3mm≦T≦5mm)である。これにより、本実施形態における半導体組立体1は、冷却器20及び半導体装置10の接続信頼性に優れていると共に、フィン51の冷却性能に優れている。特に、本実施形態で用いられた冷却器20は、フィン51及びベース40の厚みが小さく、フィン51同士の間隔が狭いため、強度が小さく、治具100を用いない場合には、銀を含む接合材料300を焼結させる際の加圧及び加熱により簡単に変形したり破損したりしてしまう問題がある。これに対し、本実施形態では、ベース40に非形成領域42を設け、治具100を冷却器20に取り付けて加圧及び加熱を行うことにより、銀を含有する接合層30を備え、かつ、フィン51及びベース40の厚みが小さく、フィン51同士の間隔の狭い半導体組立体1を製造することができた。
【0067】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0068】
例えば、上述の実施形態では、フィン列50が複数のフィン51を1列に並べた構成となっているが、例えば、フィン列50を、2つのフィン51を、フィン51の延在方向(図中X方向)に沿って間隔をあけて並べ、これら2つのフィン51を1組として、複数のフィン51の組を所定の方向に沿って線状に並べた構成としてもよい。すなわち、フィン列50を、複数のフィン51を互いの冷却面511が対向するように所定の方向に沿って線状に配置したものを、間隔をあけて2列並べた構成としてもよい。このとき、フィン列50において、フィン51の延在方向(図中X方向)におけるフィン51同士の間隔は、フィン列50同士の間隔よりも狭くすることが好ましく、特に限定されないが、0.1mm以上、1mm以下である。フィン列50において、間隔をあけて2つのフィン51を配置する構成とすることにより、冷却器20における冷媒の流れを促進し、冷却器20の冷却性能をより高めることができる。
【0069】
また、上述の実施形態では、冷却器20がカバー60を備えているが、冷却器20がカバー60を備えておらず、外部からフィン51に向かって冷媒を直接吹き付けてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…半導体組立体
10…半導体装置
11…半導体素子
12…基板
121,122…面
13…モールド
20…冷却器
30…接合層
40…ベース
41,43…面
42…非形成領域
44…圧痕
50、50a~50h…フィン列
51…フィン
511…冷却面
60…カバー
61…開口
62…供給口
63…排出口
64…底面
65…当接面
601,602…リザーバー空間
70…配管
100…治具
110…押圧部
1101…当接面
120…連結部
1201…当接面
900…熱プレス機
910,920…加熱板
VL…仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8