(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011569
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】止水板収納装置
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20240118BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E06B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113661
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安西 利樹
【テーマコード(参考)】
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E139AA10
2E139AB04
2E139AB11
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 弾性水密材が損傷するのを防ぐ。
【解決手段】 一端側に第一の弾性水密材13により覆われた部分と該第一の弾性水密材13により覆われていない被当接部10aとを有する止水板10が、前記一端側を先方へ向けて挿入されるようにした止水板収納装置であって、止水板10の被当接部10aを前記挿入の方向側から受ける当接部40を備え、当接部40を、第一の弾性水密材13に当接することなく被当接部10aに当接させるようにした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に第一の弾性水密材により覆われた部分と該第一の弾性水密材により覆われていない被当接部とを有する止水板が、前記一端側を先方へ向けて挿入されるようにした止水板収納装置であって、
前記止水板の前記被当接部を前記挿入の方向側から受ける当接部を備え、前記当接部を、前記第一の弾性水密材に当接することなく前記被当接部に当接させるようにしたことを特徴とする止水板収納装置。
【請求項2】
前記当接部と前記被当接部との当接により、前記第一の弾性水密材が他の部位に当接するのを阻むようにしたことを特徴とする請求項1記載の止水板収納装置。
【請求項3】
前記止水板が、一方の面を下方へ向けるとともに前記一端側を先方へ向けて挿入されるようにした止水板収納装置であって、
前記止水板の前記一方の面を下方側から受けて、前記止水板を前記当接部へ導く面受部を具備することを特徴とする請求項1記載の止水板収納装置。
【請求項4】
突出する前記面受部の基端側を支持する支柱と、この支柱の下端側を支持する基台とを具備したことを特徴とする請求項3記載の止水板収納装置。
【請求項5】
前記当接部は、前記支柱に設けられていることを特徴とする請求項4記載の止水板収納装置。
【請求項6】
前記基台には、下方側不動面に対し転動可能な転動部材が支持されていることを特徴とする請求項4記載の止水板収納装置。
【請求項7】
前記面受部には、手で握ることが可能なように突出した突出位置と、収納位置との間で変位可能な取手部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の止水板収納装置。
【請求項8】
前記基台とこの基台の上方に隣接する前記面受部との間を、前記止水板以外の部材を収納するための収納部にしていることを特徴とする請求項4記載の止水板収納装置。
【請求項9】
前記支柱から突出するロッド部を備え、
前記支柱及び前記ロッド部を略水平方向に間隔を置いて複数設けることで、複数の前記ロッド部を前記面受部にしていることを特徴とする請求項4記載の止水板収納装置。
【請求項10】
複数の前記支柱のうち、少なくとも一部の支柱を、前記基台に対し略水平方向へ移動可能に設けたことを特徴とする請求項9記載の止水板収納装置。
【請求項11】
前記止水板の前記一方の面側には、第二の弾性水密材が設けられ、
前記面受部は、前記第二の弾性水密材に接しないように前記止水板の前記一方の面に接することを特徴とする請求項3~10何れか1項記載の止水板収納装置。
【請求項12】
前記面受部は、前記挿入の方向へ向かって下り傾斜していることを特徴とする請求項3~10何れか1項記載の止水板収納装置。
【請求項13】
前記面受部に、前記止水板を前記挿入の方向へ導くガイドローラが設けられていることを特徴とする請求項3~10何れか1項記載の止水板収納装置。
【請求項14】
前記面受部によって受けられる前記止水板を固定するための締結具を具備していることを特徴とする請求項1~10何れか1項記載の止水板収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水板を収納するための止水板収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が建物や地下道の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。
そこで、このような事態に備えて、建物や地下道などの開口部を閉鎖するための止水板を所定の格納場所に収納しており、増水が発生したときには、前記止水板を前記格納場所から運び出して前記開口部に装着し、前記開口部からの水の侵入を阻むようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物や地下道に複数の開口部が存在する場合、これら開口部をすべて閉鎖するためには、複数の止水板が必要になる。
これら複数の止水板は、増水の発生していない通常時には前記格納場所に収納されており、増水発生時に前記格納場所から運び出される。この際、複数の止水板は、汎用台車(例えば、カゴ台車やスポンジを敷いた台車等)に載置され搬送される場合がある。
しかしながら、従来の汎用台車等を用いた場合には、収納作業中に、複数の止水板が互いに干渉し合って、ゴム等からなる水密材が損傷してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
一端側に第一の弾性水密材により覆われた部分と該第一の弾性水密材により覆われていない被当接部とを有する止水板が、前記一端側を先方へ向けて挿入されるようにした止水板収納装置であって、前記止水板の前記被当接部を前記挿入の方向側から受ける当接部を備え、前記当接部を、前記第一の弾性水密材に当接することなく前記被当接部に当接させるようにしたことを特徴とする止水板収納装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、止水板の収納作業等に起因して弾性水密材が損傷するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る止水板収納装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】同止水板収納装置に対し止水板を挿入しようとしている状態を示す側面図である。
【
図3】同止水板収納装置に対し止水板を挿入しようとしている状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の(IV)-(IV)線に沿う断面図であり、止水板をロッド部上で滑らせて奥側へ移動している状態を示す。
【
図5】
図1の(IV)-(IV)線に沿う断面図であり、止水板の被当接部を、支柱側の当接部に当接した状態を示す。
【
図6】
図1の(VI)-(VI)線に沿う断面図であり、止水板を、面受部により受けた状態を示す。
【
図7】止水板の設置状態の一例を示す斜視図である。
【
図8】
図7のVIII)-(VIII)線に沿う断面図である。
【
図9】本
図7の(IX)-(IX)線に沿う断面図である。
【
図10】本発明に係る止水板収納装置の他例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
止水板収納装置Aの収納対象となる止水板10は、建物や地下道の開口部の下側部分に略鉛直状に立設されて、該開口部を水が通過するのを阻むものである(
図7参照)。
この止水板10は、矩形平板状の本体板11と、この本体板11の左右両側にそれぞれ固定された側片部12と、本体板11の下端に沿って横方向へ連続する第一の弾性水密材13と、本体板11の一方(図示例によれば屋内側)の面側で上下方向へ連続する左右の第二の弾性水密材14,14と、第一の弾性水密材13の左右端部と第二の弾性水密材14の下端部を水密に接続する補助水密部材15と、前記開口部を構成する両側の止水体支持柱N,Nに係脱する係脱装置16と具備している(
図7参照)。
この止水板10は、横幅方向の全長が、各面受部50の横幅方向の全長よりも長い(
図1参照)。
【0010】
本体板11は、金属等の硬質材料により横長矩板形状に形成される。
この本体板11は、例えば、引き抜き成形された中空横長矩形状の板材や、中実状の板材等から構成すればよい。
側片部12は、本体板11の左端部と右端部に沿って上下方向へ連続する縦長板状の部材である。
なお、他例としては、この側片部12を本体板11と一体に構成したり、側片部12を省いて止水板10の屋内側面に第二の弾性水密材14を固定したりしてもよい。
【0011】
本体板11及び両側の側片部12,12において、止水板収納装置Aに対する挿入側の面には、第一の弾性水密材13及び補助水密部材15の何れにも覆われていない露出面を有する。この露出面は、本体板11及び両側片部12,12における横幅方向の全長にわたって連続しており、当接部40によって当接される被当接部10aとして機能する。
【0012】
また、この側片部12の屋内側の面は、本体板11の屋内側の面よりも屋内側へ突出しており、この突端の面には、上下方向へわたって第二の弾性水密材14が固定される。
【0013】
第一の弾性水密材13、第二の弾性水密材14及び補助水密部材15は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料からなる長尺状の部材である。
【0014】
第一の弾性水密材13は、本体板11の下端から下方へ突出するとともに、本体板11の横幅方向の略全長にわたる長尺状に連続している。この第一の弾性水密材13は、下方側不動面(例えば床面や下枠部材等)に対し、水密に圧接される。
【0015】
第二の弾性水密材14は、左右の側片部12,12について、それぞれ、屋内側の面に固定される。各第二の弾性水密材14は、側片部12の上下方向の略全長にわたり連続しており、止水体支持柱Nに対し水密に接する。
左右の第二の弾性水密材14,14の間の寸法は、面受部50の横幅方向の全長よりも長い。
【0016】
補助水密部材15は、第一の弾性水密材13の長手方向の端部と、側片部12の下端部と、下方側不動面とに水密に接するブロック状の部材である。
【0017】
係脱装置16は、止水板10を両側の止水体支持柱N及び下方側不動面に押し付けるようにして装着したり、この装着状態を解除して、止水板10を運搬可能にしたりするための装置である。
この係脱装置には、例えば、特許文献1に開示される保持機構を適用することが可能である。
【0018】
また、止水板収納装置Aは、一端側に第一の弾性水密材13により覆われた部分と該第一の弾性水密材13により覆われていない被当接部10aとを有する止水板10が、一方の面を下方へ向けるとともに前記一端側を先方へ向けて挿入されるようにしている(
図2参照)。
【0019】
詳細に説明すれば、この止水板収納装置Aは、止水板10の被当接部10aを前記挿入の方向側(
図2によれば、止水板10の挿入先側である右側)から受けるようにして当接する当接部40と、止水板10の前記一方の面を下方側から受けて、止水板10を当接部40へ導く面受部50,50’と、突出する面受部50,50’の基端側を支持する支柱60と、この支柱60の下端側を支持する基台70と、基台70を下方側不動面に対し転動可能に支持する転動部材80と、面受部50,50’によって受けられる止水板10を固定するための締結具90とを具備する。
そして、この止水板収納装置Aは、当接部40を第一の弾性水密材13に当接することなく被当接部10aに当接させて、第一の弾性水密材13が他の部位(例えば、支柱60等)に当接するのを阻む。
【0020】
当接部40は、支柱60から、止水板10の挿入方向に対する反対方向(以下、反挿入方向と呼ぶ)へ突出する突起である。この当接部40の突出量は、第一の弾性水密材13が被当接部10aから突出する量よりも大きい。
この当接部40は、図示例によれば、後述する接続ブラケット52を支柱60に止着するための止着具(例えば、ねじやボルト、リベット等)の頭部である。
この当接部40の他例としては、支柱60を構成する板金の一部を切り起こしてなる突起や、支柱60に固定された図示例以外の突起等とすることも可能である。
【0021】
面受部50,50’は、上下方向に間隔を置いて複数(図示例によれば、6つ)設けられる。これら面受部のうち、符号50’で示す一方の面受部は、図示例によれば下から二番目に位置し、取手部53を具備する。他の面受部50には、取手部53を具備していない。
【0022】
一方の面受部50は、略水平方向へ間隔を置いた複数(図示例によれば4つ)のロッド部51と、これらロッド部51の各々を支柱60に接続する接続ブラケット52とを具備して構成される。
【0023】
各ロッド部51は、硬質金属材料より内側に中空部を有する形状(例えば、筒状や、Cチャンネル状)に形成され、支柱60から前記反挿入方向へ突出する。
このロッド部51の上面には、止水板10を受ける際の衝撃を緩和する弾性板状部材54が設けられる。この弾性板状部材54は、例えばゴム板からなり、接着材(両面テープや、接着剤等)によって、ロッド部51の全長にわたる長尺帯状に接着される。
【0024】
接続ブラケット52は、支柱60の前記反突出方向側の面に固定された金属製板状部材である。この接続ブラケット52は、ロッド部51の基端部に対し、溶接や嵌合等により一体的に固定され、その上端側をロッド部51よりも上方へ延設するとともに、下端側をロッド部51よりも下方へ延設している。
接続ブラケット52の上端側は、上述した当接部40として機能する止着具により支柱60に止着される。
接続ブラケット52の下端側は、同様の止着具(例えば、ネジや、ボルト、リベット等)により支柱60に止着される。
る。
【0025】
なお、弾性板状部材54は、例えばロッド部51を構成する板金の基端側を曲げ加工等することでロッド部51と一体に構成された部位等、図示例以外の態様とすることが可能である。
【0026】
他方の面受部50’は、略水平方向へ間隔を置いた複数(図示例によれば4つ)のロッド部51と、これらロッド部51の各々を支柱60に接続する接続ブラケット52と、複数のロッド部51のうちの最左側と最右側のロッド部51にそれぞれ設けられた取手部53とを具備して構成される。
【0027】
取手部53は、筒状のロッド部51の内面に重なり合うようにして、ロッド部51内に挿入された軸状もしくは筒状の部材である。
この取手部53は、手で握ることが可能なように前記反挿入方向へ突出した突出位置(
図2及び
図3の二点鎖線参照)と、ロッド部51内へ没入した収納位置との間でスライドするようにして変位する。
【0028】
この取手部53を収納位置から突出位置へ突出操作するための構成は、例えば、前記収納位置において取手部53の前記反挿入方向側の端部を引っ張り操作可能に若干突出させればよい。他例としては。ボタン操作によりロッド部51に内在する付勢部材(図示しなバネ等)を作動させ、その付勢力により取手部53を前記反挿入方向へ突出させることも可能である。
【0029】
なお、他例としては、取手部53を、図示例以外のロッド部51に設けるようにしてもよい。
また、取手部53の他例としては、一端側を支点にした回動により、収納位置から突出位置になる構成や、蛇腹状に伸縮して収納位置から突出位置に変位する構成等とすることも可能である。
【0030】
支柱60は、各面受部50(又は50’)を構成する複数のロッド部51に対応し、横幅方向に間隔を置いて複数(図示例によれば4つ)立設される。
各支柱60は、硬質金属材料より硬質金属材料より筒状(図示例によれば、断面四角形の角筒状)、あるいは中実の柱状に形成され、上下方向へわたって長尺状に連続している。
【0031】
複数の支柱60の上端部は、横方向へ連続する梁状部材61によって一体的に接続されている。
梁状部材61は、硬質金属材料により筒状(図示例によれば、断面四角形の角筒状)、あるいは中実の柱状に形成され、略水平方向へわたって長尺状に連続している。
【0032】
梁状部材61には、後述する締結具90を係止するための被係止部61aが、横方向へ間隔を置いて複数設けられる。
各被係止部61aは、図示例によれば、硬質金属からなる軸状部材を平面視略コ字状に曲げたものであり、その延設方向の一端側と他端側が梁状部材61に固定され、これら固定箇所の間の部分に、締結具90が係止される。
【0033】
基台70は、下方側不動面(例えば、床面や地面等)に対し、間隔を置くようにして略水平に設けられた平板状の部材である。
図示例の基台70は、矩形状や梯子状等に組まれた金属製枠体と、この枠体の上面を覆う金属板等から、上面を平坦にした一体台状に構成される。
なお、基台70の他例としては、例えば単数の平板状部材からなる態様等、図示例以外の態様とすることも可能である。
【0034】
基台70の上面と、この上面の上方に隣接する面受部50との間は、止水板10以外の部材を収納するための収納部70aとして機能する。
ここで、止水板10以外の部材とは、例えば、止水板10を左右の止水体支持柱N,N間に設置するために必要な部品や、中柱、工具等、あるいは、止水板10を収納するために必要となる部品、その他の部材や部品等である。
【0035】
基台70の前記反挿入側の端部には、締結具90を係止するための被係止部71が、横方向へ間隔を置いて複数設けられる。
各被係止部71は、上記梁状部材61と同様に構成され、一端側と他端側が溶接等により基台70に固定され、これらの間の部分に、締結具90が係止される。
【0036】
また、転動部材80は、基台70を支持しながら下方側不動面を転動するように、基台70の下端面に複数設けられる。
図示例の転動部材80は、キャスター等と呼称されるストッパ付きの転動装置であり、前後方向及び左右方向、斜め方向等、所望とする方向へ自在に転動可能であって、且つストッパの操作により転動不能にすることも可能である。
【0037】
締結具90は、一端側が梁状部材61の被係止部61aに係止された可撓性のベルト91と、一端側が基台70の被係止部71に係止された可撓性のベルト92と、これらベルト91,92を接続するとともに長さや締め加減等を調整する接続調整具93とから構成され、一般的な締結用のベルト装置等を適用可能である。
【0038】
次に上記構成の止水板収納装置Aについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
止水板収納装置Aに止水板10を収納する際、止水板10は、略水平状に面受部50上に載置され、止水板収納装置Aの奥側(
図2によれば、右側)へ押し込まれる。この際、止水板10は、本体板11の下面を、面受部50の弾性板状部材54の上面に摺接させ、前記奥側へ滑らされ、被当接部10aを当接部40に当接するとともに、この当接状態において、第一の弾性水密材13の周囲(詳細には、第一の弾性水密材13と接続ブラケット52の間や、第一の弾性水密材13と当接部40の間等)に、隙間sが確保される(
図5参照)。
【0039】
また、前記収納の際、止水板10の横幅方向においては、面受部50,50’が、第二の弾性水密材14に接することなく、この面受部50,50’の弾性板状部材54が、本体板11の一方の面に接する(
図6参照)。
【0040】
すなわち、止水板10は、屋内側となる面を各面受部50の上面に対向させるようにして、各面受部50を構成する複数のロッド部51の上に載置される。この際、止水板10の左右の第二の弾性水密材14,14は、左右端部側のロッド部51,51よりも横幅方向の外側に位置し、これら両端側の第二の弾性水密材14,14の間において、本体板11が、各ロッド部51上の弾性板状部材54に接する(
図6参照)。
したがって、止水板10を止水板収納装置Aに収納した状態において、第二の弾性水密材14は、他の部材に接触しない。
【0041】
よって、上記構成の止水板収納装置Aによれば、止水板10の収納作業中に、第一の弾性水密材13や第二の弾性水密材14が損傷するのを防ぐことができる。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る止水板収納装置の他の実施形態について説明する。
図10に示す止水板収納装置Bは、上記止水板収納装置Aについて一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、重複する詳細説明は省略する。
【0043】
止水板収納装置Bは、上記構成の止水板収納装置Aについて、面受部50,50’をそれぞれ面受部150,150’に置換するとともに、ガイドローラ160を加えたものである。
【0044】
面受部150,150’は、止水板10の挿入方向へ向かって下り傾斜している。
各面受部150(又は150’)は、横幅方向へ間隔を置いた複数のロッド部151と、これらロッド部151の各々を支柱60に接続する接続ブラケット152とを具備して構成される。
【0045】
各ロッド部151は、硬質金属材料により内側に中空部を有する形状(例えば、筒状や、Cチャンネル状)に形成され、接続ブラケット152を介することで、支柱60に対し斜め上向きに突出するように固定される。
このロッド部151の上面には、止水板10を受ける際の衝撃を緩和する弾性板状部材54が装着される。
【0046】
接続ブラケット152は、各ロッド部151の基端側に溶接や嵌合等により一体的に固定された金属製板状部材である。
この接続ブラケット152は、上記接続ブラケット52と同様にして、支柱60に止着固定される。
【0047】
ガイドローラ160は、当該止水板収納装置Bに対し挿入される止水板10を、その挿入の方向へ転動させ導く。
詳細に説明すれば、このガイドローラ160は、各ロッド部151の突端側に回転自在に支持された円筒状のローラである。このガイドローラ160に載置される止水板10は、ガイドローラ160を転動させて、ロッド部151の基端側へ向かう斜め下方へ導かれる。
【0048】
よって、
図10に示す止水板収納装置Bによれば、挿入される止水板10をガイドローラ160及び下り傾斜するロッド部151によって、奥側へ滑らかに導くことができる。
また、収納状態の止水板10を傾斜するロッド部151によって安定的に保持することができ、運搬中の振動等によって止水板10が逆方向へずれて外れてしまうようなことを防ぐことができる。
【0049】
<変形例>
上記実施形態によれば、止水板収納装置に対し止水板10が略水平方向又は斜め下方へ挿入されるようにしたが、図示例以外の他例としては、止水板10が略垂直に挿入される態様とすることも可能である。
【0050】
また、上記実施形態によれば、特に好ましい一例として、転動部材80によって下方側不動面を転動するように構成したが、図示例以外の他例としては、転動部材80を具備しない態様とすることも可能である。
【0051】
また、上記実施形態によれば、面受部50を複数のロッド部51等により構成したが、この面受部の他例としては、第二の弾性水密材14を逃がすようにして止水板10の一方の面を受ける板状の部材とすることも可能である。
【0052】
また、
図1に示す止水板収納装置Aによれば、各止水板10を横幅方向に並ぶ4つのロッド部51に跨らせたが、例えば、図示のものよりも横幅寸法が短い止水板を、前記4つのロッド部51のうちの2つ又は3つに跨って載置することも可能である。
【0053】
また、
図10の実施形態によれば、ガイドローラ160をロッド部151の先端側に単数設けたが、他例としては、ガイドローラ160をロッド部151の長さ方向の途中箇所に設けた態様や、ガイドローラ160をロッド部151の長さ方向にわたって複数設けた態様等とすることも可能である。
【0054】
また、上記実施の形態によれば、複数の支柱60を基台70及び梁状部材61に対し不動に固定したが、図示例以外の他例としては、複数の支柱60のうち、少なくとも一部の支柱60を、基台70及び梁状部材61に対し略水平方向へ移動するように設けてもよい。
支柱60を移動可能にする構成は、例えば、支柱60と基台70の間、及び支柱60と梁状部材61の間に、水平方向へわたるガイドレールを設け、一部又は全部の支柱60が前記ガイドレールに沿ってスライドするようにすればよい。なお、この態様では、梁状部材61を省くようにしてもよい。
この他例によれば、支柱60の水平方向のスライドに伴って、支柱60毎に支持されるロッド部51も水平方向にスライドするため、水平方向に並ぶ複数のロッド部51によって構成される面受部50の横幅を変化させることができ、ひいては、横幅方向の寸法が異なる止水板10の収納が容易になる。
【0055】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0056】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
一端側に第一の弾性水密材により覆われた部分と該第一の弾性水密材により覆われていない被当接部とを有する止水板が、前記一端側を先方へ向けて挿入されるようにした止水板収納装置であって、前記止水板の前記被当接部を前記挿入の方向側から受ける当接部を備え、前記当接部を、前記第一の弾性水密材に当接することなく前記被当接部に当接させるようにしたことを特徴とする止水板収納装置(
図1~
図10参照)。
(2)
前記当接部と前記被当接部との当接により、前記第一の弾性水密材が他の部位に当接するのを阻むようにしたことを特徴とする(1)に記載の止水板収納装置(
図5参照)。
(3)
前記止水板が、一方の面を下方へ向けるとともに前記一端側を先方へ向けて挿入されるようにした止水板収納装置であって、前記止水板の前記一方の面を下方側から受けて、前記止水板を前記当接部へ導く面受部を具備することを特徴とする(1)または(2)に記載の止水板収納装置(
図1~
図6、及び
図8~
図10参照)。
(4)
突出する前記面受部の基端側を支持する支柱と、この支柱の下端側を支持する基台とを具備したことを特徴とする(3)に記載の止水板収納装置(
図1~
図3、及び
図10参照)。
(5)
前記当接部は、前記支柱に設けられていることを特徴とする(4)に記載の止水板収納装置(
図1~
図6、及び
図10参照)。
(6)
前記基台には、下方側不動面に対し転動可能な転動部材が支持されていることを特徴とする(4)または(5)に記載の止水板収納装置(
図1~
図3、及び
図10参照)。
(7)
前記面受部には、手で握ることが可能なように突出した突出位置と、収納位置との間で変位可能な取手部が設けられていることを特徴とする(3)~(6)のいずれかに記載の止水板収納装置(
図1~
図3、及び
図10参照)。
(8)
前記基台とこの基台の上方に隣接する前記面受部との間を、前記止水板以外の部材を収納するための収納部にしていることを特徴とする(4)~(7)いずれかに記載の止水板収納装置(
図1~
図3、及び
図10参照)。
(9)
前記支柱から突出するロッド部を備え、前記支柱及び前記ロッド部を略水平方向に間隔を置いて複数設けることで、複数の前記ロッド部を前記面受部にしていることを特徴とする(4)~(6)のいずれかに記載の止水板収納装置(
図1~
図3、及び
図10参照)。
(10)
複数の前記支柱のうち、少なくとも一部の支柱を、前記基台に対し略水平方向へ移動可能に設けたことを特徴とする(9)に記載の止水板収納装置。
(11)
前記止水板の前記一方の面側には、第二の弾性水密材が設けられ、前記面受部は、前記第二の弾性水密材に接しないように前記止水板の前記一方の面に接することを特徴とする(3)~(10)のいずれかに記載の止水板収納装置(
図6参照)。
(12)
前記面受部は、前記挿入の方向へ向かって下り傾斜していることを特徴とする(3)~(11)いずれかに記載の止水板収納装置(
図10参照)。
(13)
前記面受部に、前記止水板を前記挿入の方向へ導くガイドローラが設けられていることを特徴とする(3)~(12)のいずれかに記載の止水板収納装置(
図10参照)。
(14)
前記面受部によって受けられる前記止水板を固定するための締結具を具備していることを特徴とする(1)~(13)のいずれかに記載の止水板収納装置(
図1及び
図2参照)。
【符号の説明】
【0057】
10:止水板
10a:被当接部
11:本体板
13:第一の弾性水密材
14:第二の弾性水密材
40:当接部(止着具)
50,50’:面受部
51:ロッド部
52:接続ブラケット
53:取手部
54:弾性板状部材
60:支柱
70:基台
70a:収納部
80:転動部材
90:締結具
150,150’:面受部
151:ロッド部
152:接続ブラケット
160:ガイドローラ
A,B:止水板収納装置
N:止水体支持柱