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  • 特開-多連デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115692
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】多連デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240820BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20240820BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H04L12/28 400
G08C15/06 H
H04Q9/00 311H
H04Q9/00 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021479
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康隆
【テーマコード(参考)】
2F073
5K033
5K048
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA04
2F073AA27
2F073AB04
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC07
2F073CD11
2F073DD04
2F073DE17
2F073GG01
2F073GG02
2F073GG08
5K033AA01
5K033CB15
5K033DA01
5K033DA13
5K048BA34
5K048DA09
5K048EB02
5K048EB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ソフトウェアの複雑な補正処理を必要とせずに、容易かつ精度よく同期させセンサ検出タイミングを合わせる多連デバイスを提供する。
【解決手段】多連デバイス10は、上位デバイス(ホストデバイスH)、下位デバイス(センサデバイス4)及び上位デバイスと下位デバイスの間に位置する1以上の中間デバイス(センサデバイス1~3)を含む複数のデバイスを有し、各デバイスが通信線にて直列に接続されて各デバイス間でのデータ送受信を可能とする多連デバイスであって、所定のデータ信号SDAを取得するタイミングを制御するデータ取得要求コマンドを、各デバイスに対応付けて、上位デバイスから離れて位置するデバイスに対するデータ取得要求コマンドほど先に送信するとともに、下位デバイスにデータ取得要求コマンドが到達する前に、中間デバイスに対する全てのデータ取得要求コマンドを順次、送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位デバイス、下位デバイス、及び、前記上位デバイスと前記下位デバイスの間に位置する1以上の中間デバイスを含む複数のデバイスを有し、各デバイスが通信線にて直列に接続されて各デバイス間でのデータ送受信を可能とする多連デバイスであって、
所定のデータを取得するタイミングを制御するデータ取得要求コマンドを、各デバイスに対応付けて、前記上位デバイスから離れた前記デバイスに対する前記データ取得要求コマンドほど先に送信するとともに、前記下位デバイスに前記データ取得要求コマンドが到達する前に、前記中間デバイスに対する全ての前記データ取得要求コマンドを順次、送信する、ことを特徴とする多連デバイス。
【請求項2】
各デバイス間にて、下位側のデバイスに前記データ取得要求コマンドを送信した後、続けて、次の前記データ取得要求コマンドを前記下位側のデバイスに伝達する、ことを特徴とする請求項1に記載の多連デバイス。
【請求項3】
前記上位デバイスは、ホストデバイスであり、前記中間デバイス及び前記下位デバイスは、風を検知するセンサデバイスである、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多連デバイス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多連デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のセンサユニットをデイジーチェーン接続した多連式センサに関する発明が開示されている。特許文献1には、隣り合うセンサユニット間、或いはホストとセンサユニット間ごとに通信でき、通信品質を適切に保つことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-50502号公報
【特許文献2】特開2012-238341号公報
【特許文献3】特開2004-88208号公報
【特許文献4】特開2016-66278号公報
【特許文献5】特開平10-13394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、データ取得の同期に関する記載がない。一方、特許文献2~4に記載の共通同期信号線を用いて、同期を図る技術が広く知られている(特許文献2の図1、特許文献3の図3、特許文献4の図1等を参照)。
【0005】
しかしながら、デバイスの接続数や、デバイス間の距離が、共通同期信号線の駆動力により制限される問題があった。
【0006】
一方、特許文献5では、機器(デバイス)に伝送線路の種類と長さを入力することにより、伝送線路による伝播遅延時間を求め、伝播遅延時間より補正量を求めることをしていた。
【0007】
しかしながら、各デバイスによって伝搬遅延時間が異なるため、多数のデバイスに対して伝搬遅延時間を補正することは複雑な補正処理を必要とし、ソフトウェアの負荷が大きい。
【0008】
本発明は、同期用の専用信号や、ソフトウェアの複雑な補正処理を必要とせずに、容易かつ精度よく同期させることが可能な多連デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における多連デバイスは、上位デバイス、下位デバイス、及び、前記上位デバイスと前記下位デバイスの間に位置する1以上の中間デバイスを含む複数のデバイスを有し、各デバイスが通信線にて直列に接続されて各デバイス間でのデータ送受信を可能とする多連デバイスであって、各デバイスにて所定のデータを取得するタイミングを制御するデータ取得要求コマンドを、各デバイスに対応付けて、前記上位デバイスから離れた前記デバイスに対する前記データ取得要求コマンドほど先に送信するとともに、前記下位デバイスに前記データ取得要求コマンドが到達する前に、前記中間デバイスに対する全ての前記データ取得要求コマンドを順次、送信する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明では、各デバイス間にて、下位側のデバイスに前記データ取得要求コマンドを送信した後、続けて、次の前記データ取得要求コマンドを前記下位側のデバイスに伝達することが好ましい。
【0011】
本発明では、前記上位デバイスは、ホストデバイスであり、前記中間デバイス及び前記下位デバイスは、風を検知するセンサデバイスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同期用の専用信号や、ソフトウェアの複雑な補正処理を必要とせずに、容易かつ精度よく同期させて、センサ検出タイミングを合わせることが可能な多連デバイスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施の形態の多連デバイスの概要図である。
図2図2は、比較例の多連デバイスのコマンド送信における問題点を説明するための概念図である。
図3図3は、本実施の形態の多連デバイスのコマンド送信の一例を示す。
図4図4は、本実施の形態の多連デバイスの通信ブロック図の一例である。
図5図5は、センサの回路図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0015】
図1は、本実施の形態の多連デバイス10の概要図である。
図1に示すように、本実施の形態の多連デバイス10は、ホストデバイスHと、複数のセンサデバイス1~4と、を有して構成される。本明細書では、ホストデバイスH及びセンサデバイス1~4を区別なく、「デバイス」と称する場合がある。また、ホストデバイスHを、「上位デバイス」、センサデバイス4を、「下位デバイス」、センサデバイス1~3を「中間デバイス」と称する場合がある。また、「下位側のデバイス」とは、隣り合うデバイス間において、「下位デバイス」に近い側のデバイスを指す。
【0016】
図1に示すように、各デバイスは、データ信号(SDA)をやり取りする信号線L1と、クロック信号(SCL)をやり取りする信号線L2とを別々に図示しているが、これら信号線L1、L2を合わせて通信線5を構成でき、各デバイス間が通信線5により直列に接続される。
【0017】
ホストデバイスHは、各センサデバイス1~4へのデータ転送を制御するマイコンであり、通信においてマスターとなる装置のことを意味する。例えば、ホストデバイスHは、パソコン、サーバ、ルータなどである。また、センサデバイス1~4は、センサやLEDなどを制御するマイコンであり、通信においてスレーブとなる装置のことを意味する。
【0018】
本実施の形態では、各センサデバイス1~4において、例えば、物理量データを取得でき、具体的には、流量データを取得でき、特に本実施の形態では、風速データの取得が可能な多連デバイス10を提供できる。
本実施の形態では、各デバイスを通信線5にて直列に接続し、各デバイス間にてデータ送受信を可能とする。
【0019】
各センサデバイス1~4において、センサデータを取得するタイミングは、ホストデバイスHから送られるデータ取得要求コマンド(センサデータ取得トリガのコマンド)を受け取ったときであるが、本実施の形態では、各センサデバイス1~4が受け取るデータ取得要求コマンドが、ほぼ同一タイミングとなるように制御し、データ取得の時間ずれが発生する不具合を改善できる。
【0020】
以下、コマンド送信について説明するが、まずは図2を用いて、各センサデバイスに対しデータ取得要求コマンドのタイミングがずれる比較例を説明する。なお、図2図3では、説明を簡略化するために、ホストデバイスHと、センサデバイス1及び、センサデバイス2のみを図示して説明する。図2図3の縦方向は時系列を示し、図示上から下に向かって時間が進んでいる。
【0021】
図2に示すように、ホストデバイスHからセンサデバイス1にデータ取得要求コマンドS1を送信する。なお、図2図3において、ボックス表示の上欄は、コマンドの種類を示し、下左欄は、送信元を示し、下右欄は、受信先を示す。
【0022】
図2に示すように、データ取得要求コマンドS1は、ホストデバイスHから全センサデバイスに対しての指令である。よって、図2に示すように、ホストデバイスHからデータ取得要求コマンドS1を受け取ったセンサデバイス1は、そのタイミングで、所定のデータ検出を行うとともに、データ取得要求コマンドS1を、センサデバイス1からセンサデバイス2に送信する。
【0023】
そして、図2に示すように、センサデバイス1からデータ取得要求コマンドS1を受け取ったセンサデバイス2は、センサデバイス1によるデータ取得のタイミングより遅れて、所定のデータ検出を行う。
【0024】
なお、データ検出を完了したセンサデバイス1及びセンサデバイス2から、ホストデバイスHにデータ取得完了コマンドS2、S3を送る。
【0025】
このように、図2の比較例では、ホストデバイスHからセンサデバイス1、2に送られるデータ取得要求コマンドS1は、全センサデバイスに対する命令であり、いわゆるバケツリレー方式で通信するため、先にデータ取得要求コマンドS1を受け取る、ホストデバイスHに近いセンサデバイスほど早くデータ検出を行ってしまい、したがって、データ検出に時間ずれが生じる。
【0026】
このようなデータ検出の時間ずれは、特許文献に示した共通同期信号線を用いた構成においても同様に起こる。すなわち、ホストデバイスから遠くに接続されたセンサデバイスに対する命令は、ホストデバイスの近くに接続されたセンサデバイスよりも遅く到達するため、各センサデバイスにおいてデータ取得タイミングが一致せず、共通同期信号線が長くなるほどタイミングずれが大きくなり、各センサデバイスにて同時刻のセンサデータを取得したり、LEDを同時に光らせるなど、同じタイミングでセンサ機能を発揮させることができなくなる。
【0027】
そこで、本実施の形態では、ホストデバイスHから遠く離れたセンサデバイスほどデータ取得タイミングが遅れて、データ取得に時間ずれが生じる課題を改善すべく、データ取得要求コマンドの転送制御を以下のように改良した。
【0028】
すなわち、本実施の形態では、データ取得要求コマンドを、各デバイスに対応付けている。本実施の形態では、図3に示すデータ取得要求コマンドS4を、センサデバイス2のデータ取得タイミングに対応付けており、データ取得要求コマンドS5を、センサデバイス1のデータ取得タイミングに対応付けている。したがって、センサデバイス2はデータ取得要求コマンドS4を受け取ったタイミングで、データ取得を実行し、センサデバイス1は、データ取得要求コマンドS5を受け取ったタイミングで、データ取得を実行する。
【0029】
そして、図3に示すように、ホストデバイスHから最も遠く離れたセンサデバイスに対するデータ取得要求コマンドを一番初めに送信する。図3に示すセンサデバイス1とセンサデバイス2では、センサデバイス2のほうが、センサデバイス1よりもホストデバイスHから離れているので、センサデバイス2用のデータ取得要求コマンドS4を先に送信する。
【0030】
すなわち、図3に示すように、ホストデバイスHからセンサデバイス1にデータ取得要求コマンドS4を送り、さらに、センサデバイス1は、センサデバイス2にデータ取得要求コマンドS4を転送する。
【0031】
このとき、センサデバイス1からセンサデバイス2にデータ取得要求コマンドS4を転送した直後に、センサデバイス1用のデータ取得要求コマンドS5を、ホストデバイスHからセンサデバイス1に送信する。
【0032】
このように、データ取得要求コマンドS4を、ホストデバイスHから隣のセンサデバイス1に送信した後、続けて、次のデータ取得要求コマンドS5を、ホストデバイスHから隣のセンサデバイス1に送信する。このとき、ホストデバイスHは、センサデバイス1がデータ取得要求コマンドS4を受け取ったことを示すAck信号を受領したら即座に、データ取得要求コマンドS5を送信することができる。
【0033】
上記のように、データ取得要求コマンドの転送制御を行うことで、図3に示すように、センサデバイス2がデータ取得要求コマンドS4を受け取ったタイミングと、センサデバイス1がデータ取得要求コマンドS5を受け取ったタイミングとを、ほぼ同じにできる。これにより、センサデバイス1によるデータ検出とセンサデバイス2によるデータ検出との間の時間的なずれをほぼゼロにでき、少なくとも従来に比べて小さくできる。
【0034】
図3に示すように、センサデバイス1及びセンサデバイス2は、ホストデバイスHに、データ取得完了コマンドS6、S7を送る。そして、ホストデバイスHは、同じタイミングで得られたセンサデバイス1及びセンサデバイス2の各センサ検出信号を、処理する。
【0035】
以上のように、ホストデバイスHは、図1でいえば、一番遠くに接続されたセンサデバイス4に対し、データ取得要求コマンドを発行する。そして、ホストデバイスHの隣のセンサデバイス1がデータ取得要求コマンドを受け取ると、即座に、ホストデバイスHから二番目に遠いセンサデバイス3に対するデータ取得要求コマンドを発行する。各デバイスは、データ取得要求コマンドに対応付けられたセンサデバイスまで、各データ取得要求コマンドの転送を行い、ちょうど、最も遠いセンサデバイス4に、センサデバイス4用のデータ取得要求コマンドが到達したタイミングで、各センサデバイス1~3にも、各センサデバイス用のデータ取得要求コマンドが到達する。このように、各センサデバイスに到達するデータ取得要求コマンドのタイミングをほぼ同じにできるため、センサ検出の時間ずれを従来に比べて小さくできる。
【0036】
本実施の形態では、センサデバイスの接続数にかかわらず、センサ検出の時間ずれを小さくできる。限定するものでないが、センサデバイスの数を数百個から数千個の範囲としても、適切に同期をとることができる。
【0037】
センサデバイスの接続数を増やすことで、ホストデバイスHと、最も遠く離れたセンサデバイスとの間の距離は長くなるが、本実施の形態では、各デバイス間を通信線5で接続し、各デバイス間でデータの送受信を行うことができるシステムであるため、従来の共通同期信号を用いたシステムよりもトータルの通信距離が長くなっても、本実施の形態におけるデータ取得要求コマンドの転送制御を行うことで、同期を適切にとることが可能である。
【0038】
図4は、本実施の形態の多連デバイスの通信ブロック図である。図4に示すように、ホストデバイスHは、上位通信制御部12と、下位通信制御部13と、プロセッサ14と、を有して構成される。また、各センサデバイス1~4は、上位通信制御部15と、下位通信制御部16と、プロセッサ17と、センサ機能部18とを有して構成される。
【0039】
このように、各ホストデバイスH及び各センサデバイス1~4は、それぞれ上位通信制御部12、15と、下位通信制御部13、16の2つの通信制御部を有する。
【0040】
ホストデバイスHの上位通信制御部12は、PCなどの情報制御装置30に接続されており、また、ホストデバイスHの下位通信制御部13は、下位側に位置するセンサデバイス1との間で送受制御を行なう。
【0041】
同様に、各センサデバイス1~4の各下位通信制御部16は、下位側に位置するセンサデバイスの上位通信制御部15と接続され、各センサデバイス間で送受制御を行なう。
【0042】
なお、ホストデバイスHに設けられたプロセッサ14は、情報制御装置30からのコマンドを制御したり、センサデバイス1~4からのデータに対する各種処理を行う。
【0043】
また、各センサデバイス1~4に設けられたプロセッサ17は、センサ出力によるデータをホスト送信用メモリに書き込む処理や、ホストデバイスHからのコマンドに基づく処理等、各種処理を行う。
【0044】
図4に示す各センサデバイス1~4に設けられたセンサ機能部18は、データを取得する機能部である。例えば、風を検知する風センサである場合には、次のように構成される。
【0045】
図5は、センサ機能部の回路図の一例である。
図5に示すように、センサ機能部は、流量検知用抵抗素子25と、温度補償用抵抗素子26と、抵抗器28、29とでブリッジ回路27を構成している。図5に示すように、流量検知用抵抗素子25と抵抗器28とで第1の直列回路19を構成し、温度補償用抵抗素子26と抵抗器29とで第2の直列回路20を構成している。そして、第1の直列回路19と第2の直列回路20とが、並列に接続されてブリッジ回路27を構成している。
【0046】
図5に示すように、第1の直列回路19の出力部21と、第2の直列回路20の出力部22とが、夫々、差動増幅器(アンプ)23に接続されている。ブリッジ回路27には、差動増幅器23を含めたフィードバック回路24が接続されている。フィードバック回路24には、トランジスタ(図示せず)等が含まれる。
【0047】
抵抗器28、29は、流量検知用抵抗素子25、及び温度補償用抵抗素子26よりも抵抗温度係数(TCR)が小さい。流量検知用抵抗素子25は、例えば、所定の周囲温度よりも所定値だけ高くなるように制御された加熱状態で、所定の抵抗値Rs1を有し、また、温度補償用抵抗素子26は、例えば、前記の周囲温度にて、所定の抵抗値Rs2を有するように制御されている。なお、抵抗値Rs1は、抵抗値Rs2よりも小さい。流量検知用抵抗素子25と第1の直列回路19を構成する抵抗器28は、例えば、流量検知用抵抗素子25の抵抗値Rs1と同様の抵抗値R1を有する固定抵抗器である。また、温度補償用抵抗素子26と第2の直列回路20を構成する抵抗器29は、例えば、温度補償用抵抗素子26の抵抗値Rs2と同様の抵抗値R2を有する固定抵抗器である。
【0048】
風が、流量検知用抵抗素子25に作用すると、発熱抵抗である流量検知用抵抗素子25の温度は低下するため、流量検知用抵抗素子25が接続された第1の直列回路19の出力部21の電位が変動する。これにより、差動増幅器23により差動出力が得られる。そして、フィードバック回路24では、差動出力に基づいて、流量検知用抵抗素子25に駆動電圧を印加する。そして、流量検知用抵抗素子25の加熱に要する電圧の変化に基づき、後述するマイコンにて風速を換算し出力することができる。
【0049】
上記したように、本実施の形態では、ホストデバイスH及びセンサデバイス1~4において、通信制御部を、上位通信制御部と下位通信制御部とに分けており、これにより、ホストデバイスH及びセンサデバイス1~4をデイジーチェーン接続でき、隣り合うデバイス間でのみ、コマンド送信やデータの送受信を行うことが可能になる。これにより、(1)データ取得要求コマンドを、各デバイスに対応付けること、(2)上位デバイスから離れたデバイスに対するデータ取得要求コマンドほど先に送信すること、(3)下位デバイスにデータ取得要求コマンドが到達する前に、中間デバイスに対する全てのデータ取得要求コマンドを順次、送信すること、の通信制御を行うことで、デバイス接続数が増えても、同期を適切にとることができ、ほぼ同じタイミングでセンサ検出を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明では、特に、同じタイミングでセンサ検出を行うのに最適な多連デバイスを提供できる。本発明の多連デバイスは、例えば、風を検知する多連デバイスであり、屋内屋外を問わず、適用できる。多連デバイスは、例えば、空調設備や、イルミネーション、実験・分析用などで用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1~4 :センサデバイス
5 :通信線
10 :多連デバイス
12、15 :上位通信制御部
13、16 :下位通信制御部
14、17 :プロセッサ
18 :センサ機能部
19 :第1の直列回路
20 :第2の直列回路
21、22 :出力部
23 :差動増幅器
24 :フィードバック回路
25 :流量検知用抵抗素子
26 :温度補償用抵抗素子
27 :ブリッジ回路
28、29 :抵抗器
30 :情報制御装置
H :ホストデバイス
L1、L2 :信号線
S1、S4、S5 :データ取得要求コマンド
S2、S3、S6、S7 :データ取得完了コマンド

図1
図2
図3
図4
図5