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  • 特開-搬送システム 図1
  • 特開-搬送システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115696
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/84 20060101AFI20240820BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240820BHJP
【FI】
B65G47/84 B
B23K26/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021485
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 忍
(72)【発明者】
【氏名】横井 智仁
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 翔太朗
【テーマコード(参考)】
3F072
4E168
【Fターム(参考)】
3F072AA07
3F072AA27
3F072GA05
3F072GA06
3F072GA10
3F072GG02
3F072KA01
3F072KC01
3F072KC07
4E168AA00
4E168CA06
4E168CB11
4E168CB24
4E168JA03
(57)【要約】
【課題】対象物を搬送する際の搬送状態を把握する。
【解決手段】搬送システム1は、カップ状の対象物90を対象物90の側面を保持して搬送するように構成された搬送装置20と、搬送装置20に保持された対象物90の底面の位置を測定するように構成された位置測定器41と、前記底面の位置の測定結果を用いた演算を行うように構成されたコンピューター60とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の対象物を当該対象物の側面を保持して搬送するように構成された搬送装置と、
前記搬送装置に保持された前記対象物の底面の位置を測定するように構成された位置測定器と、
前記底面の位置の測定結果を用いた演算を行うように構成されたコンピューターと
を備える搬送システム。
【請求項2】
前記位置測定器による測定後に前記搬送装置によって搬送された前記対象物の底面に対して印字するように構成された印字機をさらに備え、
前記コンピューターは、前記測定結果に基づいて、前記印字機を調整するように構成されている、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記印字機は、前記対象物の底面に対してレーザー光を照射して印字するように構成されており、
前記コンピューターは、前記測定結果に基づいて、前記印字機に、照射する前記レーザー光の焦点位置を調整させるように構成されている、
請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送装置は、軸の周りで前記対象物を搬送するように構成された搬送ターレットを含み、
前記搬送ターレットに至るまで前記対象物を搬送するように構成された搬入装置をさらに含む、
請求項1乃至3の何れかに記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送ターレットの前記軸は、鉛直に設けられており、
前記搬入装置は、風圧を利用して前記対象物を水平に搬送するように構成されている、
請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記位置測定器は、前記底面にレーザー光を照射して反射したレーザー光に基づいて前記位置を測定するように構成された反射方式のレーザー測定器を含む、請求項1乃至3の何れかに記載の搬送システム。
【請求項7】
前記位置測定器は、複数の前記対象物の底面の位置を順次測定するように構成されており、
前記コンピューターは、前記複数の対象物の底面の位置の差異又は変化に基づいて、前記対象物の材料の状態又は前記対象物を加工した加工装置の状態を解析するように構成されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の搬送システム。
【請求項8】
前記搬送装置は、同期制御可能な動力装置によって同期制御されて動作するように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の搬送システム。
【請求項9】
前記対象物は、製缶工程において板材からカップ状に打ち抜かれたカップである、請求項1乃至3の何れかに記載の搬送システム。
【請求項10】
カップ状の対象物を当該対象物の側面を保持して搬送することと、
前記保持された対象物の底面の位置を測定することと、
前記底面の位置の測定後に前記保持された対象物の底面に対して前記底面の位置に応じて焦点位置を調整したレーザー光を照射して印字することと
を含む印字方法。
【請求項11】
請求項10に記載の印字方法を含む、缶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の製造、輸送、管理等の際には、当該物品が様々な態様で搬送される。物品の搬送状態に関する情報は、様々に活用され得る。
【0003】
例えば、容器の製造においても、加工対象物は、様々な工程において、種々の態様で搬送される。例えば特許文献1には、いくつかの容器の製造工程が示されている。また、この文献には、製缶工程の初期段階で、缶の底部に相当する位置に個体識別コードが付与されて、このコードを利用して製缶工程が管理されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-049769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、対象物を搬送する際の搬送状態を把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、搬送システムは、カップ状の対象物を当該対象物の側面を保持して搬送するように構成された搬送装置と、前記搬送装置に保持された前記対象物の底面の位置を測定するように構成された位置測定器と、前記底面の位置の測定結果を用いた演算を行うように構成されたコンピューターとを備える。
【0007】
上記の搬送システムは、前記位置測定器による測定後に前記搬送装置によって搬送された前記対象物の底面に対して印字するように構成された印字機をさらに備え、前記コンピューターは、前記測定結果に基づいて、前記印字機を調整するように構成されていてもよい。
【0008】
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記印字機は、前記対象物の底面に対してレーザー光を照射して印字するように構成されていてもよい。
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記コンピューターは、前記測定結果に基づいて、前記印字機に、照射する前記レーザー光の焦点位置を調整させるように構成されていてもよい。
【0009】
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記搬送装置は、軸の周りで前記対象物を搬送するように構成された搬送ターレットを含んでいてもよい。
上記の何れかの搬送システムは、前記搬送ターレットに至るまで前記対象物を搬送するように構成された搬入装置をさらに含んでいてもよい。
【0010】
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記搬送ターレットの前記軸は、鉛直に設けられていてもよい。
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記搬入装置は、風圧を利用して前記対象物を水平に搬送するように構成されていてもよい。
【0011】
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記位置測定器は、前記底面にレーザー光を照射して反射したレーザー光に基づいて前記位置を測定するように構成された反射方式のレーザー測定器を含んでいてもよい。
【0012】
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記位置測定器は、複数の前記対象物の底面の位置を順次測定するように構成されており、前記コンピューターは、前記複数の対象物の底面の位置の差異又は変化に基づいて、前記対象物の材料の状態又は前記対象物を加工した加工装置の状態を解析するように構成されていてもよい。
【0013】
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記搬送装置は、同期制御可能な動力装置によって同期制御されて動作するように構成されていてもよい。
【0014】
上記の何れかの搬送システムにおいて、前記対象物は、製缶工程において板材からカップ状に打ち抜かれたカップであってもよい。
【0015】
本発明の一態様によれば、印字方法は、カップ状の対象物を当該対象物の側面を保持して搬送することと、前記保持された対象物の底面の位置を測定することと、前記底面の位置の測定後に前記保持された対象物の底面に対して前記底面の位置に応じて焦点位置を調整したレーザー光を照射して印字することとを含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、缶の製造方法は、上記の印字方法を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、対象物を搬送する際の搬送状態を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係る搬送システムの構成例の概略を示す模式的な平面図である。
図2図2は、一実施形態に係る搬送システムの構成例の概略を示す模式的な断面図であり、図1に示すII-II線に沿った断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、搬送システムに関する。本実施形態は、特に、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製の飲料用の缶といったアルミニウム缶を製造する製缶システムに含まれる、搬送システムに関する。
【0020】
[製缶システムの概要]
本実施形態に関する製缶システムでは、材料であるアルミニウム又はアルミニウム合金製の板材に潤滑剤が塗布され、カッパーが、潤滑剤が塗布された板材をカップ状に打ち抜く。本実施形態に係る搬送システムは、このようなカップを搬送し、その際に、カップごとに固有の識別子を示す符号をカップの底面に付与する。
【0021】
本実施形態の搬送システム1で符号が付与されたカップに対して、ボディーメーカーは絞りしごき加工を施し、缶胴を薄く伸ばし、また、底部の成形を行い、トリマーが缶の開口側の端部の不要部分を切断し、缶胴の高さを整える。このようにして形成された素缶は、洗浄され、その後、素缶には、外面の塗装及び印刷、内面の塗装などが施される。最後に、缶口が絞り成形され、缶縁に蓋を巻き締めるためのフランジが形成される。このようにして完成した缶は、検査され、出荷される。
【0022】
上述の任意の工程において、缶底に付された固有の符号が読み取られ、当該工程に関する情報と缶の固有の識別子の情報とが結び付けられる。また、工程中の各種検査や最終的な検査においても、缶底に付された固有の符号が読み取られ、当該検査結果に関する情報と缶の固有の識別子の情報とが結び付けられる。以上のようにして、各缶の加工工程やその良否、検査結果などが管理される。
【0023】
[搬送システムの構成]
図1は、本実施形態に係る搬送システム1の構成例の概略を示す模式的な平面図である。図2は、搬送システム1の構成例の概略を示す模式的な断面図であり、図1に示すII-II線に沿った断面を示す図である。搬送システム1は、カップ状の対象物90を図1において左から右へと搬送する。搬送システム1は、搬入装置10と、搬送装置20と、搬出装置30とを有する。搬送装置20は、第1搬送ターレット21と、第2搬送ターレット22とを含む。
【0024】
搬入装置10は、上流から搬送されてきた対象物90を次々と搬送装置20の第1搬送ターレット21へと水平に搬送するように構成されている。一例としては、搬入装置10は、互いに対向する水平に設けられたロワーガイド11とアッパーガイド12とを備える。対象物90は、風圧によってロワーガイド11とアッパーガイド12との間を通って水平に搬送される。このため、搬入装置10は、送風機14を備える。ロワーガイド11には、送風機14から送られた空気を搬送方向に吹き出すように構成された送風孔が設けられている。このような構成のため、ロワーガイド11とアッパーガイド12との間隔は、対象物90の高さよりも若干大きくなっている。
【0025】
搬送装置20の第1搬送ターレット21と第2搬送ターレット22とは、同様の構成を有する。第1搬送ターレット21及び第2搬送ターレット22は、それぞれ動力によって回転する軸26と、当該軸26周りに設けられた複数の吸引保持部27とを有する。図1に示す例では、軸26は鉛直に設けられ、軸26の周囲に6つの吸引保持部27が設けられている。吸引保持部27は、対象物90の側面を吸引して対象物90を保持する。吸引保持部27が軸26周りで回転することで、対象物90が水平に搬送される。
【0026】
搬入装置10によって第1搬送ターレット21に送られた対象物90は、第1搬送ターレット21の吸引保持部27に吸引されて吸引保持部27に保持される。第1搬送ターレット21は、軸26周りに回転して保持した対象物90を搬送し、半回転して対象物90を第2搬送ターレット22に受け渡す。第2搬送ターレット22は、第1搬送ターレット21から受け取った対象物90を保持して搬送し、軸26周りに半回転して対象物90を搬出装置30へと搬出する。このように、第1搬送ターレット21及び第2搬送ターレット22は、カップ状の対象物90を当該対象物90の側面を保持して搬送する搬送装置20として機能する。
【0027】
本実施形態の搬送システム1では、第2搬送ターレット22に、位置測定器41と、印字機42と、読取器43とが設けられている。位置測定器41と、印字機42と、読取器43とは、第2搬送ターレット22によって搬送される対象物90が通過する位置に、それぞれ対象物90の底面と対向するように配置されている。また、搬送システム1は、位置測定器41と、印字機42と、読取器43との動作を制御して、取得した各種情報を処理するコンピューター60を備える。コンピューター60は、各種集積回路等を有し、各種演算を行う。
【0028】
印字機42は、上述のとおり、カップである対象物90の底面に、対象物90ごとに固有の識別子を示す符号を印字する装置である。印字機42は、例えばレーザーマーカーを有する。印字機42は、第2搬送ターレット22によって搬送されている対象物90の底面にレーザー光を照射し、レーザー加工により、対象物90の底面に符号を印字する。固有の識別子を示す符号は、例えば、2次元コードである。符号の形態は、これに限らず、例えば文字、数字、バーコードなど、どのようなものであってもよい。
【0029】
上述のとおり、搬入装置10では、対象物90は、ロワーガイド11とアッパーガイド12との間をわずかに浮き上がった状態で搬送され、第1搬送ターレット21の吸引保持部27に把持される。このため、第1搬送ターレット21の吸引保持部27に把持されるときの対象物90の高さ方向の位置は、変化し得る。レーザーマーカーである印字機42による印字を適切に行うには、印字対象である対象物90の底面にレーザー光の焦点が一致するなど、対象物90の底面とレーザー光の焦点とが所定の位置関係にあることが好ましい。対象物90の底面とレーザー光の焦点との位置関係がこのような関係からずれる場合、印字濃度が薄くなったり、十分な濃さの印字のために比較的長い印字時間を要したりする。そこで、本実施形態の搬送システム1には、印字機42の上流に位置測定器41が設けられている。
【0030】
位置測定器41は、第2搬送ターレット22の吸引保持部27に把持された対象物90の底面の位置を測定する。位置測定器41は、これに限らないが、例えば、反射方式のレーザー測定器である。位置測定器41は、第2搬送ターレット22の吸引保持部27に把持された対象物90の底面にレーザー光を照射して、反射したレーザー光に基づいて、対象物90の底面までの距離を測定する。位置測定器41は、測定結果をコンピューター60に送信する。コンピューター60は、位置測定器41から取得した距離に基づいて、印字機42に、印字用に照射するレーザー光の焦点位置を調整させる。
【0031】
読取器43は、印字機42の下流に設けられている。読取器43は、例えばカメラを有する2次元コードリーダーである。読取器43は、印字機42で印字された符号の画像を取得して符号を読み取る。読取器43は、取得したデータをコンピューター60へと送信する。コンピューター60は、読取器43から取得したデータに基づいて、印字機42による印字状態を評価する。コンピューター60は、印字状態の可否を判定してもよいし、印字状態の評価結果を各部の動作に反映させてもよい。
【0032】
第1搬送ターレット21及び第2搬送ターレット22は、同期制御された動力装置によりそれぞれ駆動され、同期制御されて動作することが好ましい。このような同期制御可能な動力装置には、例えば、サーボモーターが用いられ得る。例えばサーボモーターといった同期制御された動力装置によって動作することで、第1搬送ターレット21及び第2搬送ターレット22は、位置測定器41、印字機42及び読取器43の各動作が正常に完了したことを確認しながら対象物90を搬送することができる。その結果、位置測定、印字、及び印字読取りが安定して実現される。
【0033】
位置測定器41、印字機42及び読取器43を経た対象物90は、第2搬送ターレット22から搬出装置30に受け渡される。搬出装置30は、搬入装置10と同様の構成を有しており、風圧により対象物90を搬送してもよい。また、搬出装置30は、ベルトコンベア等であり、ベルトに載った対象物90を搬送してもよい。その他、搬出装置30は、各種の搬送装置であり得る。対象物90は、搬出装置30から下流の工程へと搬送されていき、対象物90には次の加工が施される。
【0034】
製缶システムは、図1及び図2に示したような搬送システム1を複数並列に備えていてもよい。製缶システム全体で要求される単位時間当たりの生産量に応じて、搬送システム1の数は決定され得る。
【0035】
搬送システム1には、板材から打ち抜かれたカップである対象物90が次々と搬入される。位置測定器41は、次々と入ってくる対象物90の底面の位置を順次測定する。コンピューター60は、位置測定器41から多数の対象物90底面の位置の情報を取得する。コンピューター60は、これら複数の対象物90の底面の位置の差異や変化等に基づいて、対象物90の材料の状態又は対象物90を加工した加工装置の状態を解析することができる。
【0036】
コンピューター60は、例えば、カップである対象物90を加工したカッパーにおける、材料の状態、成形の状態、カッパーからの排出の状態などを解析できる。より具体的には、例えば、材料の厚みむらの有無などの状態、成形パンチの状態、しわ押さえの状態、排出エアー量の状態、排出ベルトの状態、ガイドの状態などが解析され得る。また、コンピューター60は、例えば、カッパーから搬送装置20までのエアー搬送の状態を解析できる。より具体的には、例えば、ロワーガイド11、アッパーガイド12などを含むガイドの状態、ガイド表面の状態、エアー流量の状態、エアー圧の状態などが解析され得る。コンピューター60は、上述の各状態が適切であるか又は不備があるか、各状態が最適な状態からどの程度外れているかなど、必要な解析を行うことができる。これらの解析結果に係る情報は、製缶システムの管理に用いられ得る。例えば、これらの情報は、傷の発生を防止するためにも用いられ得る。
【0037】
このように、位置測定器41で取得される対象物90の底面の位置の測定結果に係る情報は、例えば、印字機42による印字に用いられずに、製缶システムの管理に用いられてもよい。また、対象物90の底面の位置の測定結果に係る情報は、印字機42による印字と製缶システムの管理との両方に用いられてもよい。
【0038】
[搬送システムについて]
以上のような構成を有する印字機42を備える搬送システム1によれば、カップ状の対象物90の底部に適切に符号を印字することができる。印字機42が設けられた第2搬送ターレット22では、吸引保持部27に保持される対象物90の高さ方向の位置が変化し得るが、位置測定器41によって対象物90が保持された位置が測定される。その測定結果に応じて印字機42の印字条件が適切に調整され、適切な印字が行われ得る。このような印字条件の最適化によって、印字濃度にばらつきが発生することなく、また、高速の印字が可能になる。
【0039】
本実施形態の搬送システム1では、特に、第1搬送ターレット21の上流の搬入装置10において、風圧を用いて対象物90を搬送している。このため、ロワーガイド11とアッパーガイド12との間隔は対象物90の高さに対して少し広めに設けられており、吸引保持部27に保持される対象物90の高さ方向の位置が変化しやすい。したがって、位置測定器41による高さ測定が特に効を奏する。
【0040】
[変形例]
上述の実施形態の搬送システム1は、対象物90を水平に搬送するように構成されている。しかしながら、これに限らない。搬送システム1が設置される向き及び姿勢は適宜に変更され得る。これに応じて、搬入装置10及び搬出装置30等の構成も適宜に変更され得る。
【0041】
例えば、第1搬送ターレット21及び第2搬送ターレット22の軸26が水平となるように、第1搬送ターレット21及び第2搬送ターレット22が配置されてもよい。第1搬送ターレット21と第2搬送ターレット22とは、左右に並べられてもよいし、上下に並べられてもよい。これに応じて、搬入装置10は、対象物90を水平方向に搬送するのではなく、鉛直方向に上から下へと搬送するように構成されてもよい。この場合、搬入装置10は、風圧によって対象物90を搬送するのではなく、対象物90が自重によって落下することを利用して、対象物90を第1搬送ターレット21へと導入してもよい。搬出装置30についても同様である。
【0042】
また、上述の実施形態では、搬送装置20は、軸26周りに回転して対象物90を搬送する搬送ターレットであるがこれに限らない。搬送装置20は、カップ状の対象物90をその側面で保持して搬送する他の形態の搬送装置であってもよい。搬送装置20は、例えば、直線的に対象物90を搬送する搬送装置であってもよい。このような搬送装置であっても、その側面で対象物90が保持されているので、印字機42は、対象物90の底面に印字するように構成することができる。また、対象物90がその側面で保持されるので、保持される位置が対象物90の高さ方向に変化する可能性がある。したがって、位置測定器41によって底面の位置が測定されることで、印字機42で適切な印字が行われ得る。
【0043】
また、上述の実施形態では、印字機42がレーザー光を用いて印字する場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。印字機42は、インクを用いた印刷を行ってもよいし、他の方法を用いた印刷を行ってもよい。この場合も、位置測定器41による測定結果に基づいて、例えば印字機42の印字ヘッドの位置が調整され得る。
【0044】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1:搬送システム、
10:搬入装置、11:ロワーガイド、12:アッパーガイド、14:送風機
20:搬送装置、21:第1搬送ターレット、22:第2搬送ターレット、26:軸、27:吸引保持部
30:搬出装置
41:位置測定器、42:印字機、43:読取器
60:コンピューター
90:対象物
図1
図2