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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011570
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】除雪機
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/09 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E01H5/09 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113662
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 輝一
(72)【発明者】
【氏名】武市 将
(72)【発明者】
【氏名】山崎 信男
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026CH01
(57)【要約】
【課題】除雪機において、意図しないところに投雪するのを防止すると共に、ユーザによる操作負担を軽減する。
【解決手段】走行部50L,50Rは、除雪機100を走行させる。走行駆動部は、走行部50L,50Rを駆動する。除雪部10は除雪を行う。除雪駆動部は、除雪部10を駆動する。シュータ30は、除雪部10によって除雪された雪を設定範囲Z内の方向に投雪する。シュータ駆動部は、シュータ30の向きを変更することによって投雪方向を変更する。目標投雪方向設定部は、目標投雪方向Dを設定する。投雪制御部は、目標投雪方向Dが設定範囲Z内にあるときに、シュータ駆動部の制御によって、投雪方向を目標投雪方向Dに追従させる自動追従制御を行い、目標投雪方向Dが設定範囲Zから外れると、除雪および自動追従制御の休止を行い、その後、目標投雪方向Dが再び設定範囲Zに入ると、自動追従制御を再開させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除雪機を走行させる走行部と、
前記走行部を駆動する走行駆動部と、
除雪を行う除雪部と、
前記除雪部を駆動する除雪駆動部と、
前記除雪部によって除雪された雪を設定範囲内の方向に投雪するシュータと、
前記シュータの向きを変更することによって投雪方向を変更するシュータ駆動部と、
目標投雪方向を設定する目標投雪方向設定部と、
前記目標投雪方向が前記設定範囲内にあるときに、前記シュータ駆動部の制御によって、前記投雪方向を前記目標投雪方向に追従させる自動追従制御を行い、前記目標投雪方向が前記設定範囲から外れると、前記除雪および前記自動追従制御の休止を行い、その後、前記目標投雪方向が再び前記設定範囲に入ると、前記自動追従制御を再開させる投雪制御部と、
を有する除雪機。
【請求項2】
前記除雪の休止時において、前記目標投雪方向が前記設定範囲に入ったことを、表示および音のうちの少なくとも一方で知らせる通知部と、
ユーザによる操作によって前記除雪の休止を解除可能な解除部と、
を有する請求項1に記載の除雪機。
【請求項3】
ユーザによる操作によって前記除雪の休止を解除可能な解除部を有し、
前記投雪制御部は、前記目標投雪方向が前記設定範囲の外にあるときに、前記解除部の操作によって前記除雪の休止の解除が指示されても前記除雪の休止を解除しない、
請求項1又は2に記載の除雪機。
【請求項4】
前記除雪駆動部と前記除雪部との間に、繋がると前記除雪駆動部の動力を前記除雪部に伝達し、切り離されると前記動力の伝達を解除するクラッチを有し、
前記投雪制御部は、前記クラッチを切り離すことによって前記除雪を休止させる、
請求項1又は2に記載の除雪機。
【請求項5】
前記自動追従制御の途中においてユーザが投雪方向を操作可能な操作レバーを有し、
前記目標投雪方向設定部は、前記操作レバーによって投雪方向が操作されると、操作終了時点の投雪方向に基づいて、前記目標投雪方向を再設定する、
請求項1又は2に記載の除雪機。
【請求項6】
水平方向に対する前記除雪機の傾きを検出する傾き検出部を有し、
前記目標投雪方向設定部は、検出された前記傾きに基づいて前記目標投雪方向を補正する、
請求項1又は2に記載の除雪機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除雪を行うと共に除雪した雪を投雪する除雪機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、本出願人は、除雪機に関する研究開発を通して、交通の安全性や、移動や生活の利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
除雪機の中には、自己位置と目標投雪位置とに基づいて目標投雪方向を自動で設定して、目標投雪位置に投雪し続けるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-156223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような除雪機によれば、除雪機の走行によって自己位置が変化し続けている場合であっても、自動で目標投雪位置に投雪し続けることができる。しかしながら、次に示す問題が発生し得る点に、本発明者らは着目した。すなわち、例えば、除雪機が自身の進行方向に対する所定の設定範囲内の方向にのみ投雪可能な場合において、目標投雪方向が設定範囲から外れてしまった際には、目標投雪位置に投雪することができず、意図しないところに投雪してしまうおそれがある。さらに、脆弱な立場にある人々への配慮等からも、除雪機は、極力操作負担が小さくて使い易いことが好ましい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、意図しないところに投雪するのを防止すると共に、ユーザによる操作負担を軽減することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、目標投雪方向が設定範囲から外れると自動で除雪および自動追従制御を休止する共に、その後、目標投雪方向が再び設定範囲に入ると、自動で自動追従制御を再開するようにすれば、意図しないところに投雪するのを防止すると共に、ユーザによる操作負担を軽減できることに着目して、本発明に至った。本発明は、以下の(1)~(6)の投雪装置である。
【0008】
(1)除雪機を走行させる走行部と、
前記走行部を駆動する走行駆動部と、
除雪を行う除雪部と、
前記除雪部を駆動する除雪駆動部と、
前記除雪部によって除雪された雪を設定範囲内の方向に投雪するシュータと、
前記シュータの向きを変更することによって投雪方向を変更するシュータ駆動部と、
目標投雪方向を設定する目標投雪方向設定部と、
前記目標投雪方向が前記設定範囲内にあるときに、前記シュータ駆動部の制御によって、前記投雪方向を前記目標投雪方向に追従させる自動追従制御を行い、前記目標投雪方向が前記設定範囲から外れると、前記除雪および前記自動追従制御の休止を行い、その後、前記目標投雪方向が再び前記設定範囲に入ると、前記自動追従制御を再開させる投雪制御部と、
を有する除雪機。
【0009】
本構成によれば、目標投雪方向が設定範囲から外れると投雪制御部が除雪を休止させるので、意図しないところに投雪するのを防止することができる。しかも、その後、目標投雪方向が再び設定範囲に入ると、投雪制御部が自動追従制御を再開させるので、ユーザが自動追従制御の再開を操作しなくても、自動で自動追従制御を再開できる。そのため、速やかに自動追従制御を再開できると共に、ユーザによる操作負担を軽減できる。
【0010】
以上、本構成によれば、意図しないところに投雪するのを防止すると共に、ユーザによる操作負担を軽減することができる。
【0011】
(2)前記除雪の休止時において、前記目標投雪方向が前記設定範囲に入ったことを、表示および音のうちの少なくとも一方で知らせる通知部と、
ユーザによる操作によって前記除雪の休止を解除可能な解除部と、
を有する前記(1)に記載の除雪機。
【0012】
本構成によれば、目標投雪方向が設定範囲に入った際には、ユーザはその旨を通知部から速やかに認識して、解除部の操作によって除雪の休止を解除することができる。
【0013】
(3)ユーザによる操作によって前記除雪の休止を解除可能な解除部を有し、
前記投雪制御部は、前記目標投雪方向が前記設定範囲の外にあるときに、前記解除部の操作によって前記除雪の休止の解除が指示されても前記除雪の休止を解除しない、
前記(1)又は(2)に記載の除雪機。
【0014】
本構成によれば、意図しないところに投雪するのを防止できる。
【0015】
(4)前記除雪駆動部と前記除雪部との間に、繋がると前記除雪駆動部の動力を前記除雪部に伝達し、切り離されると前記動力の伝達を解除するクラッチを有し、
前記投雪制御部は、前記クラッチを切り離すことによって前記除雪を休止させる、
前記(1)又は(2)に記載の除雪機。
【0016】
本構成によれば、除雪駆動部を稼働させたまま、クラッチを切り離すことによって、除雪を休止させることができる。そのため、除雪駆動部がエンジン等である場合に、特に有効である。
【0017】
(5)前記自動追従制御の途中においてユーザが投雪方向を操作可能な操作レバーを有し、
前記目標投雪方向設定部は、前記操作レバーによって投雪方向が操作されると、操作終了時点の投雪方向に基づいて、前記目標投雪方向を再設定する、
前記(1)又は(2)に記載の除雪機。
【0018】
本構成によれば、ユーザは操作レバーによって目標投雪位置を自由に変更できる。しかも、当該変更によって目標投雪方向が設定範囲から外れた際には、投雪制御部によって自動で投雪および自動追従制御を休止でき、当該変更によって目標投雪方向が設定範囲に再び入った際には、投雪制御部によって自動で自動追従制御を再開できる。
【0019】
(6)水平方向に対する前記除雪機の傾きを検出する傾き検出部を有し、
前記目標投雪方向設定部は、検出された前記傾きに基づいて前記目標投雪方向を補正する、
前記(1)又は(2)に記載の除雪装置。
【0020】
本構成によれば、除雪機の傾きに基づいて目標投雪方向を補正することによって、より正確に目標投雪方向を算出できる。しかも、除雪機の傾きによって目標投雪方向が設定範囲から外れた際には、投雪制御部によって自動で除雪を休止でき、除雪機の傾きによって目標投雪方向が設定範囲に再び入った際には、投雪制御部によって自動で自動追従制御を再開できる。
【発明の効果】
【0021】
以上の通り、前記(1)の構成によれば、意図しないところに投雪するのを防止すると共に、ユーザによる操作負担を軽減することができる。さらに、前記(1)を引用する前記(2)~(6)の構成によれば、それぞれの追加の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の除雪機を示す側面図である。
図2】除雪機を上から見た構成図である。
図3】シュータおよびその周辺を示す側面図である。
図4】操作部を示す斜視図である。
図5】制御部およびその周辺を示すブロック図である。
図6】自動追従制御の実行時の例を示す平面図である。
図7】自動追従制御の実行時の別例を示す平面図である。
図8】目標投雪方向が常に設定範囲内に収まっている場合を示す平面図である。
図9】目標投雪方向が設定範囲内に収まっていない場合を示す平面図である。
図10】制御部による除雪機の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の除雪機100を示す側面図である。以下、除雪機100の進行方向を「前」といい、その反対方向を「後」といい、前を向いた状態での左側を「左」といい、前を向いた状態での右側を「右」という。
【0025】
除雪機100は、除雪機100を走行させるための走行部50L,50Rと、走行部50L,50Rを駆動する走行駆動部60L,60Rと、を有する。走行部50L,50Rは、左側の走行部50Lと、当該図1では図示しない右側の走行部50Rとからなる。左右の各走行部50L,50Rは、従動輪51および駆動輪53と、それらに掛けられたローラベルト52とを有する。
【0026】
走行駆動部60L,60Rは、左側の走行駆動部60Lと、当該図1では図示しない右側の走行駆動部60Rとからなる。左側の走行駆動部60Lは、左側の走行部50Lを駆動し、右側の走行駆動部60Rは、右側の走行部50Rを駆動する。
【0027】
除雪機100は、さらに、除雪を行うための除雪部10と、除雪部10を駆動する除雪駆動部20とを有する。除雪部10は、除雪機100の前端部に設けられており、左右方向を軸に回転可能に設けられたオーガ11と、オーガを上側、左右両側、及び後側から覆うオーガハウジング15とを有する。
【0028】
除雪機100は、さらに、除雪部10によって除雪された雪を投雪するシュータ30と、シュータ30を駆動することによって投雪方向を変更するシュータ駆動部41,42と、を有する。シュータ30およびシュータ駆動部41,42の詳細については、後述する。
【0029】
除雪機100は、さらに制御部75と操作部80とを有する。制御部75は、走行駆動部60L,60R、除雪駆動部20、シュータ駆動部41,42等を制御することによって、除雪機100の走行、除雪、投雪等を制御する。操作部80は、ユーザUによる操作に基づいて制御部75に働きかけることによって、除雪機100の走行、除雪、投雪等を操作可能に構成されている。
【0030】
図2は、除雪機100を上から見た構成図である。除雪機100は、さらにバッテリ29を備える。
【0031】
左側の走行駆動部60Lは、左モータ63Lと、左回生ブレーキ64Lと、左摩擦ブレーキ65Lとを有する。左モータ63Lは、バッテリ29から供給される電力によって、左側の走行部50Lの駆動輪53を回転させる。左回生ブレーキ64Lは、作動時には、左側の走行部50Lの回転力によって発電することによって、左側の走行部50Lを減速させると共にバッテリ29を充電する。左摩擦ブレーキ65Lは、作動時には、左側の走行部50Lを摩擦によって減速させる。左摩擦ブレーキ65Lは、例えば、電磁アクチュエータによって駆動され、制御部75によって制御可能に構成されている。例えば、左側の走行部50Lを緩やかに減速させる際には、左回生ブレーキ64Lのみによって減速させ、急激に減速させる際には、左回生ブレーキ64Lと左摩擦ブレーキ65Lとの両方によって減速させる。
【0032】
右側の走行駆動部60Rは、右モータ63Rと、右回生ブレーキ64Rと、右摩擦ブレーキ65Rとを有する。右側の走行駆動部60Rの各部の説明は、前述した左側の走行駆動部60Lの各部の説明と、「左」を「右」に読み替えると共に「L」を「R」に読み替えて同様である。
【0033】
除雪部10は、オーガ11の回転によって、除雪を行うと共に除雪した雪を左右中央部に集めるように構成されている。除雪駆動部20は、エンジン25と、エンジン25の出力をオーガ11に伝えるための伝達機構23とを備え、伝達機構23にはクラッチ24が設けられている。クラッチ24は、例えば、電磁アクチュエータによって駆動され、制御部75によって制御可能に構成されている。クラッチ24が繋がると、エンジン25の出力がオーガ11に伝わるようになって、オーガ11が回転する。他方、クラッチ24が切り離されると、エンジン25の出力がオーガ11に伝わらなくなって、オーガ11の回転が休止する。
【0034】
除雪機100は、さらに発電機28を備える。エンジン25の出力の一部は、発電機28に伝えられて発電が行われる。その発電によって、バッテリ29が充電される。
【0035】
シュータ30は、下端部にブロア30aを備えている。そのブロア30aは、エンジン25によって、オーガ11と共に駆動される。ブロア30aは、オーガ11によって除雪部10の左右中央部に集められた雪を、シュータ30内に吸引する。
【0036】
図3は、シュータ30およびその周辺を示す側面図である。シュータ30は、シュータ本体31と投雪ガイド32とを有する。シュータ本体31は、上下方向Vに延在する筒状の形状をしており、上下方向Vを軸とする周方向としての「上下方向回りC1」に回動可能に設けられている。投雪ガイド32は、シュータ本体31の上端部に、自身の下端部を軸に、水平方向Hを軸とする周方向としての「水平方向回りC2」に回動可能に取り付けられている。ただし、図3における水平方向Hを示す矢印については、シュータ30の上に重なるのを回避するために、当該水平方向回りC2の中心から若干ずらした位置に示している。投雪ガイド32は、上下方向回りC1にはシュータ本体31と共に回転し、水平方向回りC2にはシュータ本体31に対して相対回転する。シュータ30は、ブロア30aによってシュータ本体31の内部に吸引された雪を、上端部から投雪ガイド32に沿って吐出、つまり投雪する。
【0037】
シュータ駆動部41,42は、シュータ本体31を上下方向回りC1に回転させるシュータ第1駆動部41と、投雪ガイド32を水平方向回りC2に回転させるシュータ第2駆動部42とを有する。シュータ第1駆動部41は、第1モータ41aと、その動力をシュータ本体31に伝達する第1伝達機構41bと、を有する。シュータ第2駆動部42は、第2モータ42aと、その動力を投雪ガイド32に伝達する第2伝達機構42bとを有する。第1モータ41aおよび第2モータ42aは、バッテリ29から給電される電力によって稼働する。
【0038】
以下、シュータ本体31の上下方向回りC1の角度を「シュータ第1角度」といい、投雪ガイド32の水平方向回りC2の角度を「シュータ第2角度」といい、シュータ第1角度とシュータ第2角度とを、まとめて「シュータ角度」という。また以下では、シュータ30によって投雪する方向を「投雪方向」という。つまり、投雪方向は、3次元方向であって、シュータ角度によって、つまりシュータ第1角度とシュータ第2角度とによって、決まる。
【0039】
また以下では、目標とするシュータ第1角度を「目標シュータ第1角度α」といい、目標とするシュータ第2角度を「目標シュータ第2角度β」といいい、目標シュータ第1角度αと目標シュータ第2角度βとを、まとめて「目標シュータ角度α,β」という。また以下では、目標とする投雪方向を「目標投雪方向D」という。目標投雪方向Dに基づいて、目標シュータ角度α,βが決まる。
【0040】
操作部80は、シュータ操作レバー93を有する。シュータ操作レバー93を左に倒すと、制御部75による第1モータ41aの制御によって、シュータ第1角度が左回りにシフトする。他方、シュータ操作レバー93を右に倒すと、制御部75による第1モータ41aの制御によって、シュータ第1角度が右回りにシフトする。また、シュータ操作レバー93を前に倒すと、制御部75による第2モータ42aの制御によって、シュータ第2角度が後傾側にシフトして投雪距離が長くなる。他方、シュータ操作レバー93を後に倒すと、制御部75による第2モータ42aの制御によって、シュータ第2角度が前傾側にシフトして投雪距離が短くなる。
【0041】
図4は、操作部80を示す斜視図である。操作部80は、除雪機100全体のON,OFFを切り替えるためのメインスイッチ81を備える。操作部80は、さらに、走行準備レバー82と、左ハンドル83Lおよび右ハンドル83Rと、左旋回レバー85Lおよび右旋回レバー85Rと、走行操作レバー88とを有する。左ハンドル83Lには、左グリップ84Lが取り付けられており、右ハンドル83Rには、右グリップ84Rが取り付けられている。
【0042】
走行準備レバー82は、左ハンドル83Lの上方に設けられており、ユーザUが左グリップ84Lと一緒に握る形で上から押さえ付けると、図2に示す走行準備スイッチ82aがONになり、離すと走行準備スイッチ82aがOFFになる。この走行準備スイッチ82aがONの時にだけ、走行駆動部60L,60Rを稼働可能になる。図4に示す走行操作レバー88は、除雪機100の進行方向と速度とを操作するためのレバーであって、走行準備スイッチ82aがONの時にだけ、操作が有効となる。
【0043】
左旋回レバー85Lは、ユーザUが左グリップ84Lと共に握ると左側の走行部50Lが減速することによって、除雪機100が左に旋回する。右旋回レバー85Rは、ユーザUが右グリップ84Rと共に握ると右側の走行部50Rが減速することによって、除雪機100が右に旋回する。
【0044】
操作部80は、さらに、除雪スイッチ91とスロットルレバー92とを有する。以下、除雪および投雪を、まとめて「除雪等」という。除雪スイッチ91は、除雪等を行っていない時に押すと、オーガ11およびブロア30aが回転することによって、除雪等が開始される。また、除雪スイッチ91は、除雪等を行っている時に押すと、オーガ11およびブロア30aの回転が停止することによって、除雪等が停止する。スロットルレバー92は、エンジン25の回転速度を増減させるためのレバーである。
【0045】
操作部80は、さらに、自動追従スイッチ94と、通知ランプ95とを有する。自動追従スイッチ94および通知ランプ95の機能については、後述する。通知ランプ95は、「通知部」と読み代えてもよい。
【0046】
図5は、制御部75およびその周辺を示すブロック図である。制御部75は、CPU、ROM、RAM等を有する電子制御ユニットである。除雪機100は、さらに、位置センサ71と、傾きセンサ72とを有する。
【0047】
位置センサ71は、除雪機100の位置としての「自己位置P1」を検出するためのセンサである。位置センサ71としては、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、角速度センサー、ヨーレイトセンサ、走行部50L,50Rの回転センサ、地磁気コンパス、GPS、LiDAR等を用いることができる。位置センサ71は、「自己位置検出部」と読み替えてもよい。
【0048】
傾きセンサ72は、除雪機100の傾きを検出するためのセンサであって、具体的には、除雪機100の左右方向の傾きと、前後方向の傾きとを検出する。傾きセンサ72としては、例えば、前後、上下、左右の3軸方向の加速度を検出可能な、3軸加速度センサを用いることができる。傾きセンサ72は、「傾き検出部」と読み替えてもよい。
【0049】
制御部75は、目標投雪方向設定部76と投雪制御部77とを有する。目標投雪方向設定部76は、目標投雪方向Dを算出して設定する。その算出および設定の詳細については、後述する。
【0050】
投雪制御部77は、設定された目標投雪方向Dに基づいて実際にシュータ駆動部42を制御して、投雪方向を所定の目標投雪位置P2に自動で向け続ける制御としての「自動追従制御」を行う。投雪制御部77は、自動追従制御を行っていない時に自動追従スイッチ94が押されると、自動追従制御を開始し、自動追従制御を行っている時に自動追従スイッチ94が押されると、自動追従制御を解除する。また、投雪制御部77は、自動追従制御を行っている時において、目標投雪方向Dが所定の設定範囲Z外になると、クラッチ24を切り離すことによってオーガ11およびブロア30aの回転を止めて除雪等を休止すると共に、自動追従制御を休止する。ただし、除雪および自動追従制御の休止中においても、目標投雪方向設定部76は、目標投雪方向Dの算出を継続する。
【0051】
除雪等および自動追従制御の休止後において、目標投雪方向Dが再び設定範囲Z外に入ると、投雪制御部77は、自動追従制御を再開すると共に、通知ランプ95を点灯させる。その点灯を合図に、ユーザUが除雪スイッチ91を押すと、クラッチ24が再び繋がって除雪等が再開される。よって、除雪スイッチ91は、除雪等の休止を解除する「解除部」を兼ねている。ただし、投雪制御部77は、目標投雪方向Dが設定範囲Z外にある時に、つまり通知ランプ95が点灯していない時に、ユーザUが除雪スイッチ91を押しても、除雪等の休止を解除しない。
【0052】
図6は、自動追従制御の実行時の例を示す平面図である。目標投雪方向設定部76は、ユーザUによるシュータ操作レバー93の操作によって設定された投雪方向の先にある位置を「目的投雪位置P2」に設定する。つまり、平面視において自己位置P1から投雪方向に投雪距離だけ進んだ位置を目的投雪位置P2に設定する。このとき、目標投雪方向設定部76は、傾きセンサ72によって検出された除雪機100の傾きから、目的投雪位置P2を補正する。つまり、除雪機100の傾きも考慮して、目的投雪位置P2を算出する。
【0053】
その後は、除雪機100が走行して自己位置P1がシフトするのに従い、随時、現在の自己位置P1と目的投雪位置P2とから目標投雪方向Dを算出する。つまり、平面視において自己位置P1と目的投雪位置P2とを結ぶ方向において、投雪距離が自己位置P1から目的投雪位置P2までの距離となる打ち上げ方向を、目標投雪方向Dに設定する。このときも、目標投雪方向設定部76は、傾きセンサ72によって検出された除雪機100の傾きから、目標投雪方向Dを補正する。つまり、除雪機100の傾きも考慮して、目標投雪方向Dを算出する。以上の自動追従制御によれば、除雪機100が移動しても、シュータ30は、除雪部10によって除雪された雪を、目的投雪位置P2に向けて投雪し続けることができる。
【0054】
なお、自動追従制御の途中において、シュータ操作レバー93によって投雪方向が操作されると、目標投雪方向設定部76は、操作終了を検知した時点の投雪方向に基づいて、目標投雪位置P2を再設定する。そのため、ユーザUは、自動追従制御の途中であっても、シュータ操作レバー93によって目標投雪位置P2を自由に変更することができる。
【0055】
図7は、自動追従制御の実行時の別例を示す平面図である。除雪機100は、このように広範囲の領域を目的投雪位置P2として設定可能に構成されていてもよい。この場合には、自動追従制御において投雪方向をさほど細かく制御しなくても、除雪した雪を目的投雪位置P2内に投雪することができる。
【0056】
図8は、自動追従制御時において、目標投雪方向Dが常に設定範囲Z内に収まっている場合を示す平面図である。設定範囲Zは、例えば、除雪機100の進行方向に対する所定の範囲内の方向であって、より具体的には、例えば、後側、つまり仮に投雪するとユーザUに投雪した雪が当たるおそれのある方向側、を除く全ての方向である。この設定範囲Zは、例えば、シュータ本体31の可動範囲であってもよいし、制御部75が定めたシュータ本体31の駆動範囲であってもよい。
【0057】
より具体的には、設定範囲Zが可動範囲である場合としては、図3に示す第1伝達機構41bの部材において、可動範囲にのみギアが切ってあり、可動範囲の限界になるとギアがそれ以上動けなくなる構造を例示する。そして、限界に到達すると、第1モータ41aの電流値上昇により過負荷を検知して、第1モータ41aが止まる態様を例示する。
【0058】
他方、設定範囲Zが、制御部75が定めたシュータ本体31の駆動範囲である場合としては、例えばシュータ30は物理的に平面視において360度動くが、安全を鑑みて、シュータ30がユーザU側の数十度の範囲は向かないように、シュータ第1角度をポテンショメータなどで読み取りながらシュータ30を制御する場合を例示する。
【0059】
図8に示すように、目標投雪方向Dが常に設定範囲Z内に収まっている場合、除雪等および自動追従制御が休止されることなく続行される。
【0060】
図9は、自動追従制御時において、目標投雪方向Dが所定のタイミングにおいて設定範囲Z内に収まらなかった場合を示す平面図である。具体的には、所定の第1タイミングt1で、除雪等および自動追従制御を開始し、このとき、目標投雪方向Dは設定範囲Z内であったとする。その後の第2タイミングt2で、目標投雪方向Dが設定範囲Zの右回り側の端に達して、その後の第3タイミングt3では、目標投雪方向Dが設定範囲Z外であったとする。その後の第4タイミングt4の直前で、目標投雪方向Dが設定範囲Zの左回り側の端から再び設定範囲Zに入って、その後の第5タイミングt5では、目標投雪方向Dが設定範囲Z内であったとする。
【0061】
この場合、第1タイミングt1から第2タイミングt2までの間は、除雪等および自動追従制御が行われ、第2タイミングt2で除雪等および自動追従制御が休止される。その後の第4タイミングt4の直前で、自動追従制御が再開される。具体的には、ここでは、自動追従制御の再開の際、投雪方向が、設定範囲Zの右回り側の端部から左回りに、設定範囲Zの左回り側の端部にまで移動する。また、この自動追従制御の再開と共に、通知ランプ95が点灯する。その通知ランプ95を視認したユーザUが除雪スイッチ91を押すと、その後の第5タイミングt5等で除雪等の休止が解除されて除雪等が再開される。
【0062】
図10は、制御部75による除雪機100の制御を示すフローチャートである。制御部75は、メインスイッチ81がONにされると除雪機100の制御を開始する。制御部75は、除雪機100の制御を開始すると、まずS11において、カウンタ値Nを「1」にリセットする。なお、このカウンタ値は、「1」であると、一連の期間において、投雪方向の算出が1回目であったことを示し、「2」であると当該算出が2回目以降であったことを示し、「3」であると、除雪等の休止のために除雪スイッチ91がOFFになっていることを示す。
【0063】
次に、S12において、走行準備スイッチ82aおよび自動追従スイッチ94の両方がONであるか否か判定する。なお、各スイッチのON,OFFについては、例えば、各スイッチについて、ONになると所定の信号を発信するようにしておき、当該信号の有無に基づいて判定することができる。S12で肯定判定した場合、S13に進み、除雪スイッチ91がONであるか否か判定する。肯定判定した場合、S21に進む。つまり、3つのスイッチ82a,91,94が全てONの場合には、S21に進む。
【0064】
他方、S13で否定判定した場合、S14に進み、カウンタ値Nが「3」であるか否か判定する。肯定判定した場合、S21に進む。つまり、3つのスイッチ82a,91,94のうち、除雪スイッチ91のみがOFFである場合であっても、カウンタ値Nが「3」である場合には、除雪等の休止のために除雪スイッチ91がOFFであることを意味するので、S21に進む。
【0065】
S21では、現在の投雪方向を算出する。この算出は、前述の通り、傾きセンサ72によって検出された除雪機100の傾きに基づいて補正を行うことによって、当該傾きも考慮して行う。その後、S22に進み、カウンタ値Nが「1」であるか判定する。肯定判定した場合、一連の期間において投雪方向の算出が1回目であったことを意味するので、S23に進み、現在の投雪方向を基準投雪方向として記憶すると共に、S24に進み、カウンタ値Nを「2」にしてからS31に進む。他方S22で、否定判定した場合、投雪方向の算出が2回目以降であったことを意味するので、S23,S24はスキップして、そのままS31に進む。
【0066】
S31では、シュータ操作レバー93が中立であるか否か判定する。否定判定した場合、S32に進み、ユーザUによるシュータ操作レバー93の操作に従って、シュータ駆動部41,42を制御してシュータ30を駆動すると共に、S33において、現在の投雪方向を基準投雪方向に上書きしてから、S51に進む。
【0067】
他方、S31において肯定判定した場合、S34に進み、現地点での目標投雪方向Dを算出する。具体的には、基準投雪方向と、基準投雪方向の取得時からの除雪機100の走行距離、旋回角度等とに基づいて、現地点での目標投雪方向Dを算出する。換言すれば、基準投雪方向の取得時の自己位置と基準投雪方向とから目標投雪位置P2を割り出し、現在の自己位置P1と目標投雪位置P2とから現地点での目標投雪方向Dを割り出す。この目標投雪方向Dの算出についても、前述の通り、傾きセンサ72によって検出された除雪機100の傾きに基づいて補正を行うことによって、当該傾きも考慮して行う。
【0068】
次にS35において、現地点での目標投雪方向Dから目標シュータ角度α,βを算出する。次にS41において、目標シュータ第1角度αが、設定域内の角度であるか否か判定する。つまり、目標投雪方向Dが、前述の設定範囲Z内であるか否か判定する。
【0069】
S41で否定判定した場合、S46に進み、除雪スイッチ91をOFFにして除雪等を休止すると共に、S47に進み、カウンタ値Nを「3」にしてから、S51に進む。
【0070】
他方、S41で肯定判定した場合、S42に進み、シュータ第1角度およびシュータ第2角度が、算出された目標シュータ第1角度αおよび目標シュータ第2角度βになるようにシュータ第1駆動部41およびシュータ第2駆動部42を制御する。つまり自動追従制御を遂行する。その後、S43に進み、カウンタ値Nが「3」であるか否か判定する。肯定判定した場合、除雪等が休止中であることを意味するので、S44に進み通知ランプ95を点灯させてから、S51に進む。その通知ランプ95の点灯を合図に、ユーザUは、除雪スイッチ91をONにすることができる。なお、通知ランプ95の点灯時において、除雪スイッチ91がONにされると、通知ランプ95が消灯すると共にカウンタ値Nは「2」にリセットされる。他方、S43において否定判定した場合、除雪等が遂行中であり、通知ランプ95の点灯は不要なので、S44をスキップして、そのまま51に進む。
【0071】
他方、遡るS12又はS14において否定判定した場合、つまり3つのスイッチ82a,91,94が全てONであるか、除雪スイッチ91はOFFであるがカウンタ値Nが「3」であるとの要件を満たさない場合、S15に進む。S15では、シュータ操作レバー93が中立であるか否か判定する。肯定判定した場合、S51に進む。他方、S15で否定判定した場合、S16に進み、ユーザUによるシュータ操作レバー93の操作に従って、シュータ駆動部41,42を制御してシュータ30を駆動すると共に、S17に進み、カウンタ値Nを「1」にしてから、S51に進む。
【0072】
S51では、除雪機100の制御を中止するか否か判定する。具体的には、例えば、メインスイッチ81がOFFの場合には、除雪機100の制御を中止すると判定する。S51において、否定判定した場合S12に戻る。他方、S51において肯定判定した場合、フローを終了する。
【0073】
以下に、本実施形態の構成および効果をまとめる。
【0074】
本実施形態によれば、目標投雪方向Dが設定範囲Zから外れると投雪制御部77が除雪を休止させるので、意図しないところに投雪するのを防止できる。しかも、その後、目標投雪方向Dが再び設定範囲Zに入ると、投雪制御部77が自動追従制御を再開させるので、ユーザUが自動追従制御の再開を操作しなくても、自動で自動追従制御を再開できる。そのため、速やかに自動追従制御を再開できると共に、ユーザUによる操作負担を軽減できる。そのため、使い易い除雪機100を提供できる。
【0075】
除雪機100は、目標投雪方向Dが設定範囲Zに入ったことを、点灯によって知らせる通知ランプ95を有する。そのため、目標投雪方向Dが設定範囲Zに入ったときには、ユーザUはその旨を通知ランプ95から速やかに認識して、除雪スイッチ91の操作によって除雪等の休止を解除することができる。
【0076】
投雪制御部77は、目標投雪方向Dが設定範囲Zの外にあるときに、除雪スイッチ91によって除雪等の休止の解除が指示されても除雪等の休止を解除しない。そのため、意図しないところに投雪するのを防止できる。
【0077】
除雪機100は、除雪部10と除雪駆動部20との間にクラッチ24を有し、投雪制御部77は、クラッチ24を切り離すことにより除雪等を休止させる。そのため、除雪駆動部20のエンジン25を稼働させたまま、クラッチ24を切り離すことによって、除雪等を休止させることができる。さらに、本実施形態の除雪機100のように、除雪はエンジン25で行い、走行およびシュータ駆動は電力で行うハイブリッド除雪機においては、クラッチ24を切り離して除雪等を休止しても、エンジン25によって、走行およびシュータ駆動のための発電は継続できるといった利点を有する。
【0078】
除雪機100は、自動追従制御の途中においてユーザUが投雪方向を操作可能なシュータ操作レバー93を備える。目標投雪方向設定部76は、シュータ操作レバー93によって投雪方向が操作されると、操作終了時点の投雪方向に基づいて、目標投雪位置P2を再設定する。そのため、ユーザUはシュータ操作レバー93によって目標投雪位置P2を自由に変更できる。しかも、当該変更によって目標投雪方向Dが設定範囲Zから外れた際には、投雪制御部77によって自動で除雪等および自動追従制御を休止でき、当該変更によって目標投雪方向Dが設定範囲Zに再び入った際には、投雪制御部77によって自動で自動追従制御を再開させると共に通知ランプ95を点灯させることができる。
【0079】
除雪機100は、水平方向に対する除雪機100の傾きを検出する傾きセンサ72を有する。目標投雪方向設定部76は、検出された除雪機100の傾きに基づいて目標投雪方向Dを補正する。そのため、より正確に目標投雪方向Dを算出できる。しかも、除雪機100の傾きによって目標投雪方向Dが設定範囲Zから外れた際には、投雪制御部77によって自動で除雪等および自動追従制御を休止させることができ、除雪機100の傾きによって目標投雪方向Dが設定範囲Zに入った際には、投雪制御部77によって自動で自動追従制御を再開させると共に通知ランプ95を点灯させることができる。
【0080】
[他の実施形態]
以上の実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。除雪等を自動で再開しても安全性等を担保できる場合には、除雪等の休止時において目標投雪方向Dが再び設定範囲Zに入った際に、投雪制御部77によって自動で除雪等を再開させるようにしてもよい。
【0081】
通知ランプ95の代わりに、ランプ点灯以外の表示や音によって、目標投雪方向Dが設定範囲Zに入ったことを知らせる通知部を設けてもよい。
【0082】
第1モータ41aおよび第2モータ42aをなくして、エンジン25の力をシュータ本体31および投雪ガイド32に伝えるようにしてもよい。つまり、除雪駆動部20が、シュータ駆動部41,42を兼ねてもよい。
【0083】
エンジン25の代わりに、モータを設けてもよい。また、その場合等において、クラッチ24をなくして、モータのOFFによって、除雪等を休止するようにしてもよい。
【0084】
シュータ第1角度およびシュータ第2角度をポテンショメータで読み取るようにして、読み取ったシュータ第1角度およびシュータ第2角度に基づいて、シュータ30を制御するようにしてもよい。
【0085】
目標投雪方向Dが一旦設定範囲Z外に出てから再び設定範囲Z内に入った際には、直ぐに自動追従制御を再開するのではなく、目標投雪方向Dが設定範囲Z内に、例えば5秒間等の所定時間以上入り続けたことを条件に、自動追従制御を再開するようにしてもよい。また、目標投雪方向Dが設定範囲Zの端部の境界から、例えば5度等の所定角度以上内側に入ったことを条件に、自動追従制御を再開するようにしてもよい。また、これらの両方、つまり、所定時間以上入り続け且つ所定角度以上内側に入ったことを条件に、自動追従制御を再開するようにしてもよい。これらによれば、除雪機100の角度や位置が絶妙に悪くて、目標投雪方向Dが設定範囲Zから出たり入ったりを繰り返すことよって、自動追従制御が休止と再開とを繰り返すといった弊害を抑制できる。
【0086】
除雪機100の基部に対して、除雪機100の作業部を、前傾および後傾に傾動可能に構成してもよい。なお、ここでいう除雪機100の基部は、例えば、除雪機100における、走行部50L,50R、走行駆動部60L,60R、制御部75、操作部80等を含む部分であり、除雪機100の作業部は、例えば、除雪機100における、除雪部10、除雪駆動部20、シュータ30、シュータ駆動部41,42等を含む部分である。
【符号の説明】
【0087】
10 除雪部
20 除雪駆動部
24 クラッチ
30 シュータ
41 シュータ第1駆動部
42 シュータ第2駆動部
50L 左側の走行部
50R 右側の走行部
60L 左側の走行駆動部
60R 右側の走行駆動部
71 位置センサ(自己位置検出部)
72 傾きセンサ(傾き検出部)
76 目標投雪方向設定部
77 投雪制御部
91 除雪スイッチ(解除部)
93 シュータ操作レバー
95 通知ランプ(通知部)
100 除雪機
D 目標投雪方向
P1 自己位置
P2 目標投雪位置
Z 設定範囲

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10