IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オートモーティブエナジーサプライ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電池モジュール 図1
  • 特開-電池モジュール 図2
  • 特開-電池モジュール 図3
  • 特開-電池モジュール 図4
  • 特開-電池モジュール 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115711
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240820BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240820BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/583
H01M50/569
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021503
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】井澤 貴美
(72)【発明者】
【氏名】中川 史也
(72)【発明者】
【氏名】中井 昌之
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA06
5H040AY06
5H040DD03
5H043AA04
5H043FA32
5H043FA33
5H043GA03
5H043KA22F
5H043KA24F
(57)【要約】
【課題】ヒューズの飛散によるヒューズの周囲の部材への影響を抑制する。
【解決手段】電池モジュール1は、電池セル100と、電池セル100に電気的に接続され所定方向に延在するヒューズ233と、当該所定方向の周りにヒューズ233を少なくとも部分的に囲む囲繞耐熱体211及び被覆耐熱体311と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続され所定方向に延在するヒューズと、
前記所定方向の周りに前記ヒューズを少なくとも部分的に囲む耐熱体と、
を備える電池モジュール。
【請求項2】
前記電池セルに電気的に接続された電圧検出部と、
前記電圧検出部を保持する保持体と、
をさらに備え、
前記耐熱体の少なくとも一部分が前記保持体に設けられている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池セルを収容する収容体をさらに備え、
前記収容体が、前記耐熱体の少なくとも一部分を有している、請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電池モジュールが開発されている。例えば特許文献1に記載されているように、電池モジュールは、所定方向に積層された複数の電池セルと、複数の電池セルに電気的に接続されたバスバーと、を備えている。特許文献1に記載の電池モジュールにおいて、バスバーは、ヒューズ部を有している。この電池モジュールは、バスバーの周囲を囲むインシュレーションカバーと、インシュレーションカバーの上部に固定されたモジュールカバーと、をさらに備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/069837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載されているように、電池セルには、ヒューズが電気的に接続されていることがある。ヒューズが溶融した場合、ヒューズは、ヒューズの下方に落下するだけでなく、ヒューズの周囲に飛散することがある。しかしながら、ヒューズがヒューズの周囲に飛散すると、ヒューズの周囲に存在する部材への影響を抑制することが難しいことがある。
【0005】
本発明の目的の一例は、ヒューズの飛散によるヒューズの周囲の部材への影響を抑制することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続され所定方向に延在するヒューズと、
前記所定方向の周りに前記ヒューズを少なくとも部分的に囲む耐熱体と、
を備える電池モジュール。
[2]
前記電池セルに電気的に接続された電圧検出部と、
前記電圧検出部を保持する保持体と、
をさらに備え、
前記耐熱体の少なくとも一部分が前記保持体に設けられている、[1]に記載の電池モジュール。
[3]
前記電池セルを収容する収容体をさらに備え、
前記収容体が、前記耐熱体の少なくとも一部分を有している、[1]又は[2]に記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、ヒューズの飛散によるヒューズの周囲の部材への影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
図2】実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図である。
図3】実施形態に係る電池モジュールの右前側部分の分解拡大斜視図である。
図4図1のA-A断面図である。
図5図4の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電池モジュール1の斜視図である。図2は、実施形態に係る電池モジュール1の分解斜視図である。図3は、実施形態に係る電池モジュール1の右前側部分の分解拡大斜視図である。
【0011】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の後側とし、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の前側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1の左右方向である。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の左側とし、Y方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の右側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1の上下方向である。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の上側とし、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の下側とする。以下、必要に応じて、X方向に垂直な方向をYZ平面方向といい、Y方向に垂直な方向をZX平面方向といい、Z方向に垂直な方向をXY平面方向という。なお、X方向、Y方向及びZ方向の各々と、電池モジュール1の前後方向、左右方向及び上下方向の各々と、の関係は、上述した例に限定されない。
【0012】
図1図3を参照して、電池モジュール1の構造について説明する。
【0013】
電池モジュール1は、セル積層体10、前方電圧検出装置20、後方電圧検出装置20´及び収容体30を備えている。
【0014】
図2に示すように、セル積層体10は、複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110を有している。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、Y方向に交互に配列されている。各電池セル100のY方向の両側には、コンプレッションパッド110が配置されている。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、後述する右方プレート330及び左方プレート340によってY方向に圧縮されている。よって、電池セル100のZX平面方向のずれを抑制することができる。
【0015】
図2に示すように、各電池セル100の長手方向は、X方向に対して略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に対して略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に対して略平行となっている。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。なお、各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0016】
各電池セル100は、不図示の電池要素、外装材102、正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。電池要素は、Y方向に交互に積層された不図示の複数の正極及び複数の負極と、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置する不図示のセパレータと、を含んでいる。外装材102は、電池要素と、不図示の電解液と、を封止している。正極タブ104は、電池要素の正極に電気的に接続されている。正極タブ104は、外装材102のX方向の両側の辺の一方から引き出されている。負極タブ106は、電池要素の負極に電気的に接続されている。負極タブ106は、外装材102のX方向の両側の辺の他方から引き出されている。ただし、各電池セル100の構造は、この例に限定されない。
【0017】
実施形態では、複数のセル群100Gが、Y方向の一端に位置するセル群100GからY方向の他端に位置するセル群100Gにかけて直列に接続されている。各セル群100Gは、並列に接続された複数の電池セル100を含んでいる。実施形態において、各セル群100Gは、Y方向に隣り合う2つの電池セル100を含んでいる。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの正極タブ104は、X方向の同じ側に向けられている。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの負極タブ106は、X方向の同じ側に向けられている。Y方向に隣り合うセル群100Gの一方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、Y方向に隣り合うセル群100Gの他方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、はX方向において互いに反対側に向けられている。Y方向に隣り合う2つのセル群100Gは、当該2つのセル群100Gの前方又は後方に位置するタブ群108を含んでいる。タブ群108は、互いに接合された正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。タブ群108に含まれる正極タブ104及び負極タブ106は、例えばレーザ溶接によって互いに接合されている。よって、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108と、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108と、が互い違いに配置されている。
【0018】
実施形態では、セル積層体10の右端に位置する2つの電池セル100から前方に向けて正極タブ104が引き出されている。以下、必要に応じて、これらの正極タブ104を終端正極タブ104Tという。ただし、終端正極タブ104Tの数は1つのみであってもよいし、又は3つ以上であってもよい。また、セル積層体10の左端に位置する2つの電池セル100から後方に向けて負極タブ106が引き出されている。以下、必要に応じて、これらの負極タブ106を終端負極タブ106Tという。ただし、終端負極タブ106Tの数は1つのみであってもよいし、又は3つ以上であってもよい。
【0019】
セル積層体10の構成は、上述の例に限定されない。例えば、各セル群100Gは、3つ以上の並列に接続された電池セル100を含んでいてもよい。或いは、単一の電池セル100が複数、Y方向の一端に位置する電池セル100からY方向の他端に位置する電池セル100にかけて直列に接続されていてもよい。また、終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tが配置される位置は、上述の例に限定されない。終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tの位置は、セル群100Gの数に応じて変化する。例えば、セル群100Gの数によっては、終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tの双方がセル積層体10の前方又は後方に配置される。
【0020】
図2に示すように、前方電圧検出装置20は、前方保持体210、複数の前方電圧検出部220、複数の前方電圧検出線222、前方コネクタ224及び正極バスバー230を有している。
【0021】
前方保持体210は、セル積層体10の前方に配置されている。前方保持体210は、複数の前方開口212を画定している。セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々は、複数の前方開口212の各々を通して前方に向けて露出されている。前方保持体210は、複数の前方電圧検出部220及び複数の前方電圧検出線222を一体的に保持している。
【0022】
複数の前方電圧検出部220は、前方保持体210に取り付けられている。複数の前方電圧検出部220の各々は、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々の前面に例えばレーザ溶接によって接合されている。複数の前方電圧検出部220は、複数の前方電圧検出線222を介して前方コネクタ224に電気的に接続されている。複数の前方電圧検出線222は、前方保持体210を介して配策されている。実施形態では、前方保持体210をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の前方電圧検出部220の各々を、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0023】
正極バスバー230は、前方保持体210の右端部に配置されている。正極バスバー230は、略L字状となっている。具体的には、正極バスバー230は、前方横導体232及び前方縦導体234を含んでいる。前方横導体232は、Y方向に対して略平行に延在している。前方縦導体234は、前方横導体232の右端部から下方に向けて、Z方向に対して略平行に延在している。
【0024】
前方横導体232は、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するためのターミナルとして機能している。具体的には、前方横導体232の左端部には、締結孔232aが設けられている。締結孔232aには、他の電池モジュール等の不図示の外部装置と電気的に接続されている不図示のバスバーを締結するための不図示の締結具が設置可能になっている。
【0025】
図3に示すように、前方横導体232は、ヒューズ233を含んでいる。ヒューズ233は、締結孔232aの右側に位置している。ヒューズ233は、Y方向に対して略平行に延在している。前方横導体232には、ヒューズ233の後方に切欠きが設けられている。よって、ヒューズ233のY方向に垂直な断面は、前方横導体232におけるヒューズ233のY方向の両側部分のY方向に垂直な断面より小さくなっている。したがって、ヒューズ233に所定値以上の電流が流れると、ヒューズ233は溶融可能になっている。ただし、ヒューズ233の構造は、この例に限定されない。例えば、前方横導体232の前方に設けられた切欠きによって、ヒューズ233を画定してもよい。或いは、前方横導体232の前方及び後方の双方に設けられた切欠きによって、ヒューズ233を画定してもよい。この例において、ヒューズ233は、例えば、前方横導体232のX方向の略中央部に位置している。ただし、ヒューズ233は、前方横導体232のX方向の略中央部からX方向にずれていてもよい。或いは、前方横導体232のZ方向の厚みを部分的に薄くしてもよい。この場合、ヒューズ233は、前方横導体232におけるZ方向の厚みが部分的に薄い部分となる。
【0026】
前方縦導体234は、終端正極タブ104Tに電気的に接続されている。終端正極タブ104Tは、前方縦導体234の右方に位置している。実施形態において、終端正極タブ104T及び前方縦導体234は、レーザ溶接によって接合されている。ただし、終端正極タブ104T及び前方縦導体234の接合方法は、レーザ溶接に限定されない。
【0027】
後方電圧検出装置20´は、以下の点を除いて、前方電圧検出装置20と同様である。後方電圧検出装置20´は、後方保持体210´、複数の後方電圧検出部220´、複数の後方電圧検出線222´、後方コネクタ224´及び負極バスバー230´を有している。
【0028】
後方保持体210´は、セル積層体10の後方に配置されている。後方保持体210´は、複数の後方開口212´を画定している。セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々は、複数の後方開口212´の各々を通して後方に向けて露出されている。後方保持体210´は、複数の後方電圧検出部220´及び複数の後方電圧検出線222´を一体的に保持している。
【0029】
複数の後方電圧検出部220´は、後方保持体210´に取り付けられている。複数の後方電圧検出部220´の各々は、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々の後面に例えばレーザ溶接によって接合されている。複数の後方電圧検出部220´は、複数の後方電圧検出線222´を介して後方コネクタ224´に電気的に接続されている。複数の後方電圧検出線222´は、後方保持体210´を介して配策されている。実施形態では、後方保持体210´をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の後方電圧検出部220´の各々を、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0030】
負極バスバー230´は、後方保持体210´の左端部に配置されている。負極バスバー230´は、略L字状となっている。負極バスバー230´は、後方横導体232´及び後方縦導体234´を含んでいる。後方横導体232´は、Y方向に対して略平行に延在している。後方縦導体234´は、後方横導体232´の左端部から下方に向けて、Z方向に対して略平行に延在している。
【0031】
後方横導体232´は、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するためのターミナルとして機能している。前方横導体232と同様にして、後方横導体232´は、ヒューズを有している。
【0032】
後方縦導体234´は、終端負極タブ106Tに電気的に接続されている。終端負極タブ106Tは、後方縦導体234´の左方に位置している。実施形態において、終端負極タブ106T及び後方縦導体234´は、レーザ溶接によって接合されている。ただし、終端負極タブ106T及び後方縦導体234´の接合方法は、レーザ溶接に限定されない。
【0033】
収容体30は、前方プレート310、後方プレート320、右方プレート330、左方プレート340、下方プレート350及び上方プレート360を有している。図4を用いて後述するように、収容体30は、被覆耐熱体311をさらに有している。
【0034】
前方プレート310は、セル積層体10及び前方電圧検出装置20を前方から覆っている。前方プレート310は、例えば、アルミニウムプレート等の金属プレートである。
【0035】
後方プレート320は、セル積層体10及び後方電圧検出装置20´を後方から覆っている。後方プレート320は、例えば、アルミニウムプレート等の金属プレートである。
【0036】
右方プレート330は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を右方から覆っている。右方プレート330は、金属等の導電材からなっている。
(0037)
左方プレート340は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を左方から覆っている。左方プレート340は、金属等の導電材からなっている。
【0037】
下方プレート350は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を下方から覆っている。下方プレート350は、金属等の導電材からなっている。下方プレート350の上面と、セル積層体10の下端と、の間には熱伝導性接着剤352が配置されている。このため、セル積層体10から発生した熱を、熱伝導性接着剤352を通して電池モジュール1の下方に向けて逃がすことができる。
【0038】
上方プレート360は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を上方から覆っている。上方プレート360は、金属等の導電材からなっている。
【0039】
図4は、図1のA-A断面図である。図4において、Y方向を示すX付き白丸は、Y方向を示す矢印の基端から先端に向かう方向が紙面の手前から奥に向かう方向であることを示している。
【0040】
前方保持体210には、囲繞耐熱体211が設けられている。図4に示す例において、前方保持体210及び囲繞耐熱体211は、一体となっている。囲繞耐熱体211は、耐熱性樹脂等の耐熱性材料を含んでいる。耐熱性材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、変性ポリフェニレンエーテル、シリコーン系樹脂、シリカ繊維等が例示される。囲繞耐熱体211は、ここで例示された単一の耐熱性材料を含んでいてもよいし、又はここで例示された複数種の耐熱性材料を含んでいてもよい。耐熱性材料の融点は、例えば、150℃以上、好ましくは200℃以上である。
【0041】
囲繞耐熱体211は、Y方向の周りにヒューズ233の少なくとも一部分を囲んでいる。具体的には、図4に示す例において、囲繞耐熱体211は、ヒューズ233の前方を除いて、Y方向の周りにヒューズ233を囲んでいる。言い換えると、囲繞耐熱体211は、前方に向けて開口されている。よって、Y方向から見て、囲繞耐熱体211は、略U字状又は略n字状となっている。
【0042】
図4に示す例において、囲繞耐熱体211は、ヒューズ233のY方向の周りの全周に亘ってヒューズ233から離間している。よって、Y方向から見て、ヒューズ233及び囲繞耐熱体211の間には、ヒューズ233の前方を除いて、隙間が存在している。したがって、ヒューズ233の溶融によって、ヒューズ233は、ヒューズ233の下方の隙間に向けて落下することができる。よって、ヒューズ233及び囲繞耐熱体211が互いに接触している場合と比較して、ヒューズ233の溶融によってヒューズ233を分断しやすくすることができる。ただし、囲繞耐熱体211は、ヒューズ233の下面を除いて、ヒューズ233に少なくとも部分的に接触していてもよい。
【0043】
前方プレート310の上端部の後面には、突起310aが設けられている。突起310aは、前方プレート310の上端部の後面から後方に向けて突出している。突起310aが設けられている場合、突起310aが設けられていない場合と比較して、前方プレート310の上端部の上面及び上方プレート360の前端部の下面の接触面積を大きくすることができる。よって、突起310aが設けられている場合、突起310aが設けられていない場合と比較して、前方プレート310の上端部の上面及び上方プレート360の前端部の下面を溶接等の接合方法によって接合しやすくすることができる。
【0044】
被覆耐熱体311は、前方プレート310の後面に設けられている。被覆耐熱体311は、耐熱性樹脂等の耐熱性材料を含んでいる。被覆耐熱体311の耐熱性材料としては、囲繞耐熱体211で例示された材料が例示される。被覆耐熱体311を形成する耐熱性材料と、囲繞耐熱体211を形成する耐熱性材料と、は異なっていてもよいし、又は同一であってもよい。一例において、被覆耐熱体311は、前方プレート310の後面に貼り付けられている。或いは、被覆耐熱体311は、前方プレート310の後面に蒸着等の堆積方法によって形成されていてもよい。
【0045】
被覆耐熱体311は、前方プレート310の後面の少なくとも一部分を覆っている。図4に示す例において、被覆耐熱体311の上端部は、ヒューズ233の前方に位置している。よって、囲繞耐熱体211及び被覆耐熱体311は、一緒になって、Y方向の周りにヒューズ233の少なくとも一部分を囲んでいる。したがって、ヒューズ233の飛散によるヒューズ233の周囲の部材への影響を抑制することができる。
【0046】
図4に示す例において、被覆耐熱体311は、突起310aの下面を露出している。よって、被覆耐熱体311が突起310aの下面を覆う場合と比較して、前方プレート310の後面への被覆耐熱体311の設置を容易にすることができる。一例において、ヒューズ233及び突起310aの間の隙間の距離は、ヒューズ233の飛散物が突起310aに達しない程度の距離とすることができる。この例では、突起310aの少なくとも一部分が被覆耐熱体311から露出されていても、ヒューズ233の飛散による突起310aへの影響を抑制することができる。
【0047】
実施形態において、囲繞耐熱体211は、前方保持体210に設けられている。よって、囲繞耐熱体211を設けるために前方保持体210と異なる部材を設ける場合と比較して、電池モジュール1の部品点数を低減することができる。同様に、被覆耐熱体311は、前方プレート310に設けられている。よって、被覆耐熱体311を設けるために前方プレート310と異なる部材を設ける場合と比較して、電池モジュール1の部品点数を低減することができる。
【0048】
Y方向の周りにヒューズ233を耐熱体によって少なくとも部分的に囲む方法は、実施形態に係る方法に限定されない。
【0049】
例えば、被覆耐熱体311は、設けられていなくてもよい。この例においては、例えば、囲繞耐熱体211の一部分がヒューズ233の前方に位置していてもよい。或いは、前方プレート310自体が耐熱性を有していてもよい。或いは、ヒューズ233と、前方プレート310の後面と、の間の隙間の距離を、前方プレート310の後面に飛散物が達しない程度の距離としてもよい。この例では、ヒューズ233の前方に耐熱体が設けられていなくてもよい。
【0050】
実施形態では、正極バスバー230のヒューズ233の周囲の耐熱体について説明した。しかしながら、実施形態において説明した耐熱体と同様の耐熱体は、正極バスバー230のヒューズ233と異なるヒューズの周囲にも設けることができる。例えば、負極バスバー230´のヒューズの周囲にも耐熱体が設けられていてもよい。
【0051】
図5は、図4の変形例を示す図である。
【0052】
図5に示す例において、Y方向から見て、被覆耐熱体311Aの上端部は、後方に向けて略直角に折れ曲がっている。言い換えると、Y方向から見て、被覆耐熱体311Aの上端部は、略L字状になっている。よって、被覆耐熱体311Aの上端は、突起310aの下面を覆っている。したがって、被覆耐熱体311Aの上端が突起310aの下面を覆っていない場合と比較して、ヒューズ233の飛散物から突起310aを保護しやすくすることができる。
【0053】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 電池モジュール
10 セル積層体
20 前方電圧検出装置
20´ 後方電圧検出装置
30 収容体
100 電池セル
100G セル群
102 外装材
104 正極タブ
104T 終端正極タブ
106 負極タブ
106T 終端負極タブ
108 タブ群
110 コンプレッションパッド
210 前方保持体
210´ 後方保持体
211 囲繞耐熱体
212 前方開口
212´ 後方開口
220 前方電圧検出部
220´ 後方電圧検出部
222 前方電圧検出線
222´ 後方電圧検出線
224 前方コネクタ
224´ 後方コネクタ
230 正極バスバー
230´ 負極バスバー
232 前方横導体
232´ 後方横導体
232a 締結孔
233 ヒューズ
234 前方縦導体
234´ 後方縦導体
310 前方プレート
310a 突起
311 被覆耐熱体
311A 被覆耐熱体
320 後方プレート
330 右方プレート
340 左方プレート
350 下方プレート
352 熱伝導性接着剤
360 上方プレート
図1
図2
図3
図4
図5