(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115723
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20240820BHJP
H01R 9/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H02G3/16
H01R9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021526
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】陳 杰
【テーマコード(参考)】
5E086
5G361
【Fターム(参考)】
5E086DD05
5E086JJ15
5E086LL06
5E086LL13
5E086LL20
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】組付作業性の向上を可能にした電気接続箱を提供する。
【解決手段】電気接続箱10は、複数の接続部15を有する電気接続箱本体11と、電線22と当該電線22の端部に設けられた端子23とをそれぞれ有する複数の端子付き電線21と、を備える。電気接続箱10には、1つの端子23と1つの接続部15との電気接点部Eが複数構成される。電気接続箱10は、ゴム状弾性材料にて形成され可撓性を有する可撓カバー30を備える。そして、可撓カバー30は、複数の電気接点部Eをまとめて被覆する一括被覆部31を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続部を有する電気接続箱本体と、
電線と当該電線の端部に設けられた端子とをそれぞれ有する複数の端子付き電線と、
を備え、
1つの前記端子と1つの前記接続部との電気接点部が複数構成される電気接続箱であって、
ゴム状弾性材料にて形成され、可撓性を有する可撓カバーを備え、
前記可撓カバーは、前記複数の電気接点部をまとめて被覆する一括被覆部を有している、
電気接続箱。
【請求項2】
前記可撓カバーは、前記複数の端子付き電線からなる電線群の外周を包囲する電線包囲部を有している、
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記可撓カバーは、前記一括被覆部と前記電線包囲部とを繋ぐ連結部を有し、
前記連結部は、前記電線群の周方向において部分的に設けられている、
請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記複数の接続部の各々は、先端部を有する柱状をなし、
前記一括被覆部は、前記複数の接続部の前記先端部がそれぞれ嵌合される複数の嵌合部を有している、
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記電気接続箱本体は、前記複数の接続部とは別の電気部品を有し、
前記可撓カバーは、前記電気部品を覆う部品覆い部を有している、
請求項1に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された電気接続箱は、接続部を有する電気接続箱本体と、電気接続箱本体の接続部に接続される端子付き電線とを備える。このような電気接続箱では、ハウジングの内部において、接続部と端子付き電線の端子とが接続された電気接点部が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電気接続箱では、ハウジングの内部において前記電気接点部の露出により生じるショートを抑制するために、電気接点部を覆うカバーをハウジング内に設けることが考えられる。ここで、電気接続箱において電気接点部が複数構成されるとともに、複数の電気接点部のそれぞれを個別に覆う複数のカバーを用意する場合、複数の電気接点部に対してカバーを1つずつ取り付ける必要が生じてしまう。
【0005】
本開示の目的は、組付作業性の向上を可能にした電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気接続箱は、複数の接続部を有する電気接続箱本体と、電線と当該電線の端部に設けられた端子とをそれぞれ有する複数の端子付き電線と、を備え、1つの前記端子と1つの前記接続部との電気接点部が複数構成される電気接続箱であって、ゴム状弾性材料にて形成され、可撓性を有する可撓カバーを備え、前記可撓カバーは、前記複数の電気接点部をまとめて被覆する一括被覆部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電気接続箱によれば、組付作業性の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態における電気接続箱の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、同形態における電気接続箱の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同形態の電気接続箱の概略構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電気接続箱は、
[1]複数の接続部を有する電気接続箱本体と、電線と当該電線の端部に設けられた端子とをそれぞれ有する複数の端子付き電線と、を備え、1つの前記端子と1つの前記接続部との電気接点部が複数構成される電気接続箱であって、ゴム状弾性材料にて形成され、可撓性を有する可撓カバーを備え、前記可撓カバーは、前記複数の電気接点部をまとめて被覆する一括被覆部を有している。
【0010】
この構成によれば、可撓カバーの1つの一括被覆部を複数の電気接点部に包括的に被せるだけで、可撓カバーの組付作業を完了させることが可能となる。したがって、組付作業性の向上が可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記可撓カバーは、前記複数の端子付き電線からなる電線群の外周を包囲する電線包囲部を有していてもよい。
この構成によれば、可撓カバーが電線群から離間することを電線包囲部によって抑制することが可能となる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記可撓カバーは、前記一括被覆部と前記電線包囲部とを繋ぐ連結部を有し、前記連結部は、前記電線群の周方向において部分的に設けられていてもよい。
【0013】
この構成によれば、連結部は、電線群の周方向において部分的に設けられるため、連結部が可撓カバーの変形の妨げになることを抑制できる。これにより、可撓カバーが端子付き電線に追従して変形しやすい構成となる。
【0014】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記複数の接続部の各々は、先端部を有する柱状をなし、前記一括被覆部は、前記複数の接続部の前記先端部がそれぞれ嵌合される複数の嵌合部を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、可撓カバーの各嵌合部が各接続部の先端部に嵌合されることで、可撓カバーが外れることを抑制可能となる。
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記電気接続箱本体は、前記複数の接続部とは別の電気部品を有し、前記可撓カバーは、前記電気部品を覆う部品覆い部を有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、電気接続箱本体の電気部品が可撓カバーの部品覆い部に覆われることにより、当該電気部品のショートを抑制することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電気接続箱の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における垂直は、厳密に垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね垂直の場合も含まれる。また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0017】
(電気接続箱10の構成)
図1に示す本実施形態の電気接続箱10は、例えば、自動車等の車両に搭載される。電気接続箱10は、2個以上の車載機器を電気的に接続する。電気接続箱10によって電気的に接続される車載機器としては、例えば、高圧バッテリ、インバータ、モータ、電気接続箱などを挙げることができる。電気接続箱10は、車載機器に対して電力供給および信号伝達の少なくとも一方を行う機器を収容するものである。電気接続箱10としては、例えば、リレーボックス、ヒューズボックス、ジャンクションボックスなどを挙げることができる。
【0018】
電気接続箱10は、電気接続箱本体11と、電気接続箱本体11に接続されるワイヤハーネス12とを備える。電気接続箱本体11は、ハウジング13と、ハウジング13に支持された端子台14とを有している。
【0019】
図2に示すように、電気接続箱本体11は、端子台14に支持された複数の接続部15を有している。端子台14は、合成樹脂等の絶縁体にて形成されている。接続部15は、例えば2つ設けられる。各接続部15は、金属等の導体にて形成されている。
【0020】
各接続部15は、例えば、外周面にねじ山が形成された柱状をなしている。各接続部15は、端子台14の上面からZ軸に沿って延びている。なお、各図面において、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸として図示している。また、以下の説明では、X軸に沿った方向、Y軸に沿った方向、およびZ軸に沿った方向について、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向と称する場合がある。
【0021】
各接続部15は、Z軸において先端部15aを有している。なお、以下では、接続部15の先端部15aが向く方向を上方として説明するが、これは、接続部15の先端部15aが鉛直方向の上方を向いて配置されることを必ずしも意味するものではない。各接続部15には、先端部15aからナット16が取付可能である。各接続部15は、X軸に沿った方向に並ぶように配置されている。
【0022】
各接続部15は、ハウジング13に収容される図示しない複数の電気部品に電気的に接続される。なお、電気接続箱本体11は、ハウジング13に収容される前記複数の電気部品の一部として、
図2に示す電気部品17を有している。なお、ハウジング13は、ハウジング本体と蓋体とが組み合わされて構成される。前記可撓カバー30は、ハウジング13を構成する前記ハウジング本体および前記蓋体とは別に設けられる部品である。
【0023】
(ワイヤハーネス12の構成)
ワイヤハーネス12は、複数の端子付き電線21からなる電線群21Aと、電線群21Aに一体に取り付けられた可撓カバー30とを有している。本実施形態のワイヤハーネス12は、例えば2つの端子付き電線21を有している。各端子付き電線21は、電線22と、電線22の端部に固定された端子23とを有している。各端子付き電線21の電線22は、芯線が絶縁被覆にて被覆されてなる被覆電線である。端子23は、電線22の芯線に電気的に接続される。また、各端子23は、それぞれ対応する接続部15に電気的に接続される。
【0024】
図2および
図5に示すように、各端子23は、電気接続箱本体11の接続部15に接続される第1接続部24と、電線22が接続される第2接続部25と、第1接続部24と第2接続部25とを繋ぐ中間部26とを有している。なお、
図5は、
図3における5-5線断面図である。
【0025】
第1接続部24は、例えば板状をなす。第1接続部24は、例えば、接続部15が挿入される貫通孔27を有している。接続部15が貫通孔27に挿入された状態において、第1接続部24は、Z軸に対して垂直をなすように配置される。
【0026】
中間部26は、第1接続部24に対して例えばほぼ直角をなしている。中間部26は、例えばZ軸に沿って延びている。第2接続部25は、中間部26のZ軸方向の一端に設けられている。第2接続部25は、例えばかしめによって電線22の芯線に接続されている。電線22は、第2接続部25からZ軸に沿って引き出された後、電気接続箱本体11と接続先との位置関係に応じて曲げられつつ配策される。
【0027】
図5に示すように、第1接続部24の貫通孔27に接続部15が挿入された状態で、ナット16を接続部15に螺着することで、第1接続部24が接続部15を含む端子台14に締結固定される。このように、複数の端子23と複数の接続部15とがそれぞれ電気的に接続される。すなわち、電気接続箱10には、1つの接続部15と1つの端子23とが接続された電気接点部Eが、ハウジング13の内部において複数構成されている。複数の電気接点部Eは、例えば、X軸に沿って並んでいる。
【0028】
(可撓カバー30の構成)
図1に示すように、可撓カバー30の一部または全体は、電気接続箱本体11のハウジング13の内部に収容される。すなわち、可撓カバー30は、電気接続箱本体11のハウジング13の一部を構成するものではない。
【0029】
可撓カバー30は、可撓性を有するゴム状弾性材料にて形成されている。すなわち、可撓カバー30は、全体として可撓性を有する部品である。可撓カバー30を形成するゴム状弾性材料としては、例えば、ゴムやエラストマ等が挙げられる。
【0030】
可撓カバー30は、一括被覆部31と、電線包囲部32と、連結部33と、部品覆い部34とを有している。
図4に示すように、一括被覆部31は、複数の電気接点部Eをまとめて被覆する。すなわち、1つの一括被覆部31によって、複数の電気接点部Eがまとめて被覆される。なお、
図4は、
図3における4-4線断面図である。
【0031】
一括被覆部31は、例えば、複数の接続部15をまとめて被覆する第1被覆部35と、複数の端子23をまとめて被覆する第2被覆部36とを備える。
第1被覆部35は、例えば、周壁41と、周壁41の上端を塞ぐ上壁42とを有している。周壁41は、Z軸方向から見て、複数の接続部15の周囲をまとめて包囲する。周壁41は、例えば、Z軸方向に沿って延びている。上壁42は、例えば、Z軸に対して垂直をなしている。上壁42は、Z軸方向において各電気接点部Eと対向している。すなわち、上壁42は、Z軸方向において、各接続部15、各ナット16および各端子23の第1接続部24と対向している。
【0032】
一括被覆部31の第1被覆部35は、複数の接続部15の先端部15aがそれぞれ嵌合される複数の嵌合部43を有している。各嵌合部43は、例えば、上壁42に設けられている。嵌合部43は、接続部15の先端部15aが圧入される筒状をなす。すなわち、嵌合部43は、Z軸方向から見た接続部15の先端部15aの外形に応じた形状をなしている。本実施形態の嵌合部43は、例えば円筒状をなす。可撓カバー30は、各嵌合部43を含めて全体的にゴム状弾性材料にて形成されている。このため、嵌合部43は、自身の弾性によって接続部15の先端部15aを保持している。なお、各嵌合部43には、空気抜き孔43aが形成されている。空気抜き孔43aは、例えば、上壁42に貫通形成される。
【0033】
第1被覆部35は、一対の接続部15の間に介在される絶縁壁部44を有している。絶縁壁部44は、例えば、上壁42からZ軸に沿って延びている。絶縁壁部44によって、各接続部15の間の絶縁距離を確保することが可能となる。
【0034】
図5に示すように、一括被覆部31の第2被覆部36は、第1被覆部35の周壁41から延びている。第2被覆部36は、各端子23の中間部26とY軸方向に対向する第1側壁45と、第1側壁45から端子台14に向かってY軸方向に延びる一対の第2側壁46とを有している。各端子23の中間部26は、Y軸方向において第1側壁45と端子台14との間に位置する。また、各端子23の中間部26は、一対の第2側壁46の間に位置している。各第2側壁46は、端子23とX軸方向に対向する。
【0035】
(電線包囲部32の構成)
図2および
図5に示すように、電線包囲部32は、例えば、Z軸に沿った方向から見て、電線群21Aの外周を包囲する環状をなしている。電線包囲部32は、例えば、複数の電線22の周囲をまとめて包囲している。電線包囲部32は、Y軸方向において互いに対向する一対の第1壁部51と、X軸方向において互いに対向する一対の第2壁部52とを有している。一対の第1壁部51同士は、各第2壁部52によって連結されている。各第1壁部51は、Y軸方向において各電線22と対向している。各第2壁部52は、X軸方向において各電線22と対向している。電線包囲部32によって、可撓カバー30が電線群21Aから脱落しないように保持されている。これにより、可撓カバー30は、電線群21Aに取り付けられたワイヤハーネス12の一部として構成される。
【0036】
可撓カバー30において、連結部33は、一括被覆部31と電線包囲部32とを繋ぐ部位である。連結部33は、電線群21Aの周方向において部分的に設けられている。連結部33は、例えば、一括被覆部31における第2被覆部36の第1側壁45に繋がっている。可撓カバー30において、第2被覆部36と電線包囲部32との間における連結部33が設けられていない箇所には、電線群21Aが可撓カバー30の外部に露出される露出部53が形成される。露出部53からは、例えば、各端子23の第2接続部25が露出されている。このように、第2被覆部36と電線包囲部32とを繋ぐ連結部33が、電線群21Aの周方向において部分的に設けられるため、可撓カバー30は、第2被覆部36と電線包囲部32との間で容易に変形可能である。
【0037】
図4に示すように、X軸方向において電気部品17と接続部15との間には、第1被覆部35における周壁41の一部が位置している。可撓カバー30の部品覆い部34は、電気部品17の例えば上方を覆っている。部品覆い部34は、例えば、第1被覆部35からX軸方向の側方に延びている。
【0038】
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の電気接続箱10では、複数の電気接点部Eが可撓カバー30の1つの一括被覆部31によってまとめて被覆される。これにより、複数の電気接点部Eに対して一括被覆部31を包括的に被せるだけで、可撓カバー30の組付作業を完了させることが可能となっている。したがって、組付作業性の向上が可能となる。また、可撓カバー30がゴム状弾性材料にて形成されるため、可撓カバー30の形状は容易に変形可能である。これにより、可撓カバー30の組み付けは容易である。
【0039】
可撓カバー30は、嵌合部43を含めて全体的にゴム状弾性材料にて形成されている。したがって、嵌合部43も可撓性を有している。そして、各接続部15の先端部15aは、可撓性を有する嵌合部43に圧入されている。各嵌合部43が各接続部15の先端部15aに圧入されることで、可撓カバー30が接続部15に対して強固に固定される。したがって、ハウジング13の内部において、可撓カバー30が接続部15から外れて、電気接点部Eが露出されることが抑制される。
【0040】
本実施形態の効果について説明する。
(1)可撓カバー30は、複数の電気接点部Eをまとめて被覆する一括被覆部31を有している。この構成によれば、可撓カバー30の1つの一括被覆部31を複数の電気接点部Eに包括的に被せるだけで、可撓カバー30の組付作業を完了させることが可能となる。したがって、組付作業性の向上が可能となる。
【0041】
(2)可撓カバー30は、複数の端子付き電線21からなる電線群21Aの外周を包囲する電線包囲部32を有している。この構成によれば、可撓カバー30が電線群21Aから離間することを電線包囲部32によって抑制することが可能となる。これにより、可撓カバー30を電線群21Aに固定するためのテープ巻き等の固定手段を省略することが可能となる。
【0042】
(3)可撓カバー30は、一括被覆部31と電線包囲部32とを繋ぐ連結部33を有している。連結部33は、電線群21Aの周方向において部分的に設けられている。この構成によれば、連結部33は、電線群21Aの周方向において部分的に設けられるため、連結部33が可撓カバー30の変形の妨げになることを抑制できる。これにより、可撓カバー30が端子付き電線21に追従して変形しやすい構成となる。
【0043】
(4)複数の接続部15の各々は、先端部15aを有する柱状をなす。一括被覆部31は、複数の接続部15の先端部15aがそれぞれ嵌合される複数の嵌合部43を有している。この構成によれば、可撓カバー30の各嵌合部43が各接続部15の先端部15aに嵌合されることで、可撓カバー30が外れることを抑制可能となる。
【0044】
(5)電気接続箱本体11は、複数の接続部15とは別の電気部品17を有している。そして、可撓カバー30は、電気部品17を覆う部品覆い部34を有している。この構成によれば、電気部品17が可撓カバー30の部品覆い部34に覆われることにより、当該電気部品17のショートを抑制することが可能となる。
【0045】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・可撓カバー30の形状等の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、電気接続箱本体11の構成に応じて適宜変更可能である。例えば、可撓カバー30は、部品覆い部34を有していなくてもよい。また、例えば、可撓カバー30の連結部33は、電線群21Aの周方向全周にわたって設けられていてもよい。また、例えば、電線包囲部32は、複数の端子付き電線21のうちの一部に対して取り付けられる構成であってもよい。
【0047】
・上記実施形態では、可撓カバー30を、電線群21Aに対して一体に取り付けられる部品、すなわち、ワイヤハーネス12に含まれる部品としたが、これに限らず、可撓カバー30をワイヤハーネス12に含まれない部品としてもよい。例えば、可撓カバー30を、ハウジング13等との関係から電気接続箱本体11に含まれる部品として構成してもよい。
【0048】
・電気接続箱本体11における接続部15の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、接続部15は、貫通孔を有する板状に形成され、ボルトによって端子23の第1接続部24と締結固定される構成であってもよい。
【0049】
・今回開示された実施形態および変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
10 電気接続箱
11 電気接続箱本体
12 ワイヤハーネス
13 ハウジング
14 端子台
15 接続部
15a 先端部
16 ナット
17 電気部品
21 端子付き電線
21A 電線群
22 電線
23 端子
24 第1接続部
25 第2接続部
26 中間部
27 貫通孔
30 可撓カバー
31 一括被覆部
32 電線包囲部
33 連結部
34 部品覆い部
35 第1被覆部
36 第2被覆部
41 周壁
42 上壁
43 嵌合部
43a 空気抜き孔
44 絶縁壁部
45 第1側壁
46 第2側壁
51 第1壁部
52 第2壁部
53 露出部
E 電気接点部