(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115724
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】中継コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H01R13/52 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021527
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡野 雄斗
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF03
5E087LL02
5E087LL04
5E087LL13
5E087LL14
5E087MM08
5E087MM12
5E087QQ04
5E087RR06
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】ポッティング材の割れを抑制できる中継コネクタを提供する。
【解決手段】中継コネクタ10は、導電性を有する複数の端子23と、複数の端子23を保持する本体部30と本体部30の第1端面31から第1方向X1に向かって突出する筒状の第1コネクタ嵌合部40とを有するハウジング20とを備える。中継コネクタ10は、本体部30の第1端面31から第1反対方向に向かって凹むとともに、複数の端子23を包囲する凹部50と、凹部50に充填されるとともに、複数の端子23を封止するポッティング材24とを備える。ハウジング20は、第1端面31から第1方向X1に向かって突出するとともに、第1コネクタ嵌合部40の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向内方に向かって突出する1以上の突出部45を有する。突出部45の径方向内方における先端は、第1方向X1から見た平面視において、凹部50に食い込むように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する複数の端子と、
前記複数の端子を保持する本体部と、前記本体部の第1端面から第1方向に向かって突出する筒状の第1コネクタ嵌合部と、前記本体部の前記第1端面の反対に設けられた第2端面から前記第1方向の反対方向である第1反対方向に向かって突出する筒状の第2コネクタ嵌合部とを有するハウジングと、
前記本体部の前記第1端面から前記第1反対方向に向かって凹むとともに、前記複数の端子を包囲する凹部と、
前記凹部に充填されるとともに、前記複数の端子を封止するポッティング材と、を備え、
前記ハウジングは、前記第1端面から前記第1方向に向かって突出するとともに、前記第1コネクタ嵌合部の内周面から前記第1コネクタ嵌合部の径方向内方に向かって突出する1以上の突出部を有し、
前記突出部の前記径方向内方における先端は、前記第1方向から見た平面視において、前記凹部に食い込むように形成されている、中継コネクタ。
【請求項2】
前記突出部は、誤組付防止凸部を有し、
前記凹部は、前記第1方向から見た平面視において、前記誤組付防止凸部の前記径方向内方における先端を三方向から包囲するように形成されている、請求項1に記載の中継コネクタ。
【請求項3】
前記突出部の前記径方向内方における先端は、先細り形状に形成されており、
前記凹部の外縁形状は、前記第1方向から見た平面視において、前記突出部の前記径方向内方における先端に沿った形状を有する、請求項1に記載の中継コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記第1コネクタ嵌合部の内周面から前記第1コネクタ嵌合部の径方向外方に向かって凹むとともに前記第1コネクタ嵌合部の内部空間を拡大する拡大凹部を有し、
前記凹部は、前記第1方向から見た平面視において、前記拡大凹部の内部に入り込むように形成されている、請求項1に記載の中継コネクタ。
【請求項5】
前記凹部の外縁形状は、前記第1方向から見た平面視において、前記複数の端子のうち前記第1コネクタ嵌合部の径方向外方に配置された端子から遠ざかるように湾曲した曲線形状を有する、請求項1に記載の中継コネクタ。
【請求項6】
前記凹部の外縁形状は、曲線形状のみで形成されている、請求項1に記載の中継コネクタ。
【請求項7】
前記中継コネクタは、外部空間が気中環境であるとともに内部空間が油中環境である機器ケースの取付孔に取り付けられる中継コネクタであって、
前記第1端面は、前記機器ケースの外部に面する端面であり、
前記第2端面は、前記機器ケースの内部に面する端面であり、
前記第1コネクタ嵌合部は、前記機器ケースの外部空間に突出するように設けられており、
前記第2コネクタ嵌合部は、前記機器ケースの内部空間に突出するように設けられている、請求項1に記載の中継コネクタ。
【請求項8】
前記第1コネクタ嵌合部は、非防水コネクタである相手コネクタが内部に嵌合される非防水構造に形成されており、
前記第1コネクタ嵌合部は、前記第1コネクタ嵌合部の周方向の一部に設けられるとともに、前記第1コネクタ嵌合部の内外を連通する貫通孔を有する、請求項1に記載の中継コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中継コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のコネクタとしては、例えばトランスミッションケース等の油が収容される機器ケースに取り付けられた中継コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。中継コネクタは、機器ケースの内部と外部とを電気的に繋ぐためのコネクタである。この種の中継コネクタでは、機器ケース内の油等が機器ケースの外部へ漏れるのを防ぐため、ポッティング材により止油機能が高められている。具体的には、複数の端子を保持するハウジングに凹部が設けられるとともに、その凹部にポッティング材が充填される。そして、ポッティング材が複数の端子に接着されることによって、機器ケース内の油が端子を伝って機器ケースの外部へ漏れることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、中継コネクタが取り付けられる機器ケースの小型化や省スペース化が進められており、それに伴って中継コネクタの小型化も進められている。中継コネクタが小型化されると、ポッティング材が充填される凹部も小さくなるため、凹部の外縁と端子との距離が短くなる。すると、ポッティング材とハウジングとの線膨張係数の差に起因してポッティング材に応力集中が生じやすくなり、ポッティング材に割れが発生しやすくなるという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、ポッティング材の割れを抑制できる中継コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の中継コネクタは、導電性を有する複数の端子と、前記複数の端子を保持する本体部と、前記本体部の第1端面から第1方向に向かって突出する筒状の第1コネクタ嵌合部と、前記本体部の前記第1端面の反対に設けられた第2端面から前記第1方向の反対方向である第1反対方向に向かって突出する筒状の第2コネクタ嵌合部とを有するハウジングと、前記本体部の前記第1端面から前記第1反対方向に向かって凹むとともに、前記複数の端子を包囲する凹部と、前記凹部に充填されるとともに、前記複数の端子を封止するポッティング材と、を備え、前記ハウジングは、前記第1端面から前記第1方向に向かって突出するとともに、前記第1コネクタ嵌合部の内周面から前記第1コネクタ嵌合部の径方向内方に向かって突出する1以上の突出部を有し、前記突出部の前記径方向内方における先端は、前記第1方向から見た平面視において、前記凹部に食い込むように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の中継コネクタによれば、ポッティング材の割れを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の中継コネクタを示す概略断面図(
図3における1-1線断面図)である。
【
図2】
図2は、一実施形態の中継コネクタを示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の中継コネクタを示す概略平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の中継コネクタを示す概略断面図(
図1における4-4線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の中継コネクタは、導電性を有する複数の端子と、前記複数の端子を保持する本体部と、前記本体部の第1端面から第1方向に向かって突出する筒状の第1コネクタ嵌合部と、前記本体部の前記第1端面の反対に設けられた第2端面から前記第1方向の反対方向である第1反対方向に向かって突出する筒状の第2コネクタ嵌合部とを有するハウジングと、前記本体部の前記第1端面から前記第1反対方向に向かって凹むとともに、前記複数の端子を包囲する凹部と、前記凹部に充填されるとともに、前記複数の端子を封止するポッティング材と、を備え、前記ハウジングは、前記第1端面から前記第1方向に向かって突出するとともに、前記第1コネクタ嵌合部の内周面から前記第1コネクタ嵌合部の径方向内方に向かって突出する1以上の突出部を有し、前記突出部の前記径方向内方における先端は、前記第1方向から見た平面視において、前記凹部に食い込むように形成されている。
【0010】
この構成によれば、第1コネクタ嵌合部の内周面から径方向内方に向かって突出する突出部の先端が、第1方向から見た平面視において、凹部に食い込むように形成される。換言すると、ポッティング材が充填される凹部は、突出部の先端よりも径方向外方に広がるように形成される。このため、例えば第1コネクタ嵌合部の間口の小型化に起因して突出部の先端が端子の近傍まで延びる場合であっても、凹部の外縁を端子から好適に離すことができ、凹部の外縁と端子との間の距離を長く確保することができる。これにより、突出部の先端よりも径方向内方の領域のみに凹部を形成する場合に比べて、凹部の外縁と端子との間の距離が短くなることを抑制できる。この結果、凹部に充填されるポッティング材に応力集中が生じることを抑制でき、ポッティング材に割れが発生することを好適に抑制できる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記突出部は、誤組付防止凸部を有し、前記凹部は、前記第1方向から見た平面視において、前記誤組付防止凸部の前記径方向内方における先端を三方向から包囲するように形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、誤組付防止凸部の側壁に回り込むように凹部を形成することができる。このため、凹部を、誤組付防止凸部の先端よりも径方向外方に広がるように好適に形成できる。これにより、誤組付防止凸部の先端が端子の近傍まで延びる場合であっても、凹部の外縁と端子との間の距離が短くなることを好適に抑制できる。この結果、ポッティング材に割れが発生することを好適に抑制できる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]において、前記突出部の前記径方向内方における先端は、先細り形状に形成されており、前記凹部の外縁形状は、前記第1方向から見た平面視において、前記突出部の前記径方向内方における先端に沿った形状を有してもよい。
【0014】
この構成によれば、突出部の先端が先細り形状に形成されている。このため、突出部の先端は、突出部の側壁に近づくに連れて、端子から遠ざかるように形成される。このような突出部の先端に沿った形状に凹部が形成されるため、凹部の外縁を端子から離れるように好適に形成することができる。これにより、突出部の先端が端子の近傍まで延びる場合であっても、凹部の外縁と端子との間の距離が短くなることを好適に抑制できる。
【0015】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記ハウジングは、前記第1コネクタ嵌合部の内周面から前記第1コネクタ嵌合部の径方向外方に向かって凹むとともに前記第1コネクタ嵌合部の内部空間を拡大する拡大凹部を有し、前記凹部は、前記第1方向から見た平面視において、前記拡大凹部の内部に入り込むように形成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1コネクタ嵌合部の内周面に拡大凹部が設けられる。これにより、第1コネクタ嵌合部の体格が大きくなることを抑制しつつも、第1コネクタ嵌合部の内部空間を拡大することができる。さらに、拡大凹部の内部に入り込むように凹部が形成されるため、凹部の外縁を端子から好適に離すことができ、凹部の外縁と端子との間の距離を長く確保することができる。
【0017】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記凹部の外縁形状は、前記第1方向から見た平面視において、前記複数の端子のうち前記第1コネクタ嵌合部の径方向外方に配置された端子から遠ざかるように湾曲した曲線形状を有してもよい。
【0018】
この構成によれば、凹部の外縁形状が曲線形状を有する形状に形成される。このため、凹部の内部にポッティング材を充填する際に、そのポッティング材の流動性を向上させることができる。これにより、凹部の外縁においてポッティング材が滞留することを抑制できるため、凹部の外縁においてポッティング材が凹部の外部に這い上がることを好適に抑制できる。
【0019】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記凹部の外縁形状は、曲線形状のみで形成されていてもよい。
この構成によれば、凹部の外縁形状が曲線形状のみで構成される。このため、凹部の内部にポッティング材を充填する際に、そのポッティング材の流動性をより向上させることができる。これにより、凹部の外縁においてポッティング材が這い上がることをより好適に抑制できる。
【0020】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記中継コネクタは、外部空間が気中環境であるとともに内部空間が油中環境である機器ケースの取付孔に取り付けられる中継コネクタであって、前記第1端面は、前記機器ケースの外部に面する端面であり、前記第2端面は、前記機器ケースの内部に面する端面であり、前記第1コネクタ嵌合部は、前記機器ケースの外部空間に突出するように設けられており、前記第2コネクタ嵌合部は、前記機器ケースの内部空間に突出するように設けられていてもよい。
【0021】
この構成によれば、機器ケースの外部に面する第1端面に凹部が設けられ、その凹部にポッティング材が充填される。このポッティング材によって、油中環境である機器ケースの内部から端子を伝って機器ケースの外部に油が漏れることを好適に抑制できる。
【0022】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記第1コネクタ嵌合部は、非防水コネクタである相手コネクタが内部に嵌合される非防水構造に形成されており、前記第1コネクタ嵌合部は、前記第1コネクタ嵌合部の周方向の一部に設けられるとともに、前記第1コネクタ嵌合部の内外を連通する貫通孔を有してもよい。
【0023】
この構成によれば、第1コネクタ嵌合部の内部には非防水コネクタである相手コネクタが嵌合される。この場合には、第1コネクタ嵌合部の間口が小さくなるため、突出部の先端が端子の近傍まで延びる傾向がある。このような場合であっても、凹部の外縁と端子との間の距離が短くなることを好適に抑制できる。この結果、ポッティング材に割れが発生することを好適に抑制できる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の中継コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
(全体構成)
図1に示すように、中継コネクタ10は、車両に搭載された機器ケース200に取り付けられている。中継コネクタ10は、例えば、機器ケース200の姿勢に応じて任意の向きで機器ケース200に対して装着可能である。中継コネクタ10は、例えば、ボルト等により機器ケース200に固定されている。中継コネクタ10は、機器ケース200の内部と外部とを電気的に繋ぐためのコネクタである。
【0026】
機器ケース200は、例えば、トランスミッションケースである。機器ケース200は、例えば、金属製である。機器ケース200の内部は油中環境であり、機器ケース200の外部は気中環境である。機器ケース200の内部には、例えば、モータやセンサ等の電気部品が設けられている。機器ケース200は、中継コネクタ10が貫通する取付孔201を有している。取付孔201は、機器ケース200の内外を連通するように形成されている。
【0027】
中継コネクタ10は、機器ケース200の取付孔201に嵌合されている。中継コネクタ10は、例えば、機器ケース200の外部において、制御回路等が収容された制御ユニットに設けられた相手コネクタ100と電気的に接続される。図示は省略するが、中継コネクタ10は、例えば、機器ケース200の内部において、機器ケース200の内部に設けられた第2の相手コネクタと電気的に接続される。例えば、制御ユニットに設けられた制御回路は、相手コネクタ100と中継コネクタ10と第2の相手コネクタとを介して、機器ケース200の内部に設けられた電気部品と電気的に接続される。
【0028】
(中継コネクタ10の構成)
図1および
図2に示すように、中継コネクタ10は、ハウジング20と、ハウジング20に保持されるとともに導電性を有する複数の端子23と、複数の端子23を封止するポッティング材24と、シール部材25とを備えている。本実施形態の中継コネクタ10は、10個の端子23を備えている。
【0029】
(ハウジング20の構成)
図1に示すように、ハウジング20は、本体部30と、本体部30の第1端面31から第1方向X1に向かって突出する筒状の第1コネクタ嵌合部40とを有している。ハウジング20は、本体部30の第2端面32から第1方向X1の反対方向である第1反対方向X2に向かって突出する筒状の第2コネクタ嵌合部60を有している。ここで、第1端面31は機器ケース200の外部に面する端面であり、第2端面32は機器ケース200の内部に面する端面である。ハウジング20は、例えば、本体部30と第1コネクタ嵌合部40と第2コネクタ嵌合部60とが連続して一体に形成された単一部品である。ハウジング20は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂によって構成されている。ハウジング20の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルやポリブチレンテレフタレートを用いることができる。
【0030】
以下の説明では、中継コネクタ10の各構成要素の位置関係を説明する際には、第1方向X1と直交する方向のうち
図2において右方に向かう方向を第2方向Y1と称し、第2方向Y1の反対方向を第2反対方向Y2と称する。第1方向X1および第2方向Y1の双方と直交する方向のうち
図2において上方に向かう方向を第3方向Z1と称し、第3方向Z1の反対方向を第3反対方向Z2と称する。なお、相手コネクタ100における方向の説明は、相手コネクタ100が中継コネクタ10に組み付けられた状態を基準として記載する。
【0031】
(本体部30の構成)
図1に示すように、本体部30は、例えば、機器ケース200の取付孔201に挿入される挿入部33と、複数の端子23を保持する端子保持部35と、機器ケース200の外部空間に設けられるフランジ部36とを有している。
【0032】
挿入部33は、例えば、第1反対方向X2に沿って、機器ケース200の取付孔201に挿入される。挿入部33は、取付孔201の内側に嵌合される。挿入部33は、例えば、筒状に形成されている。挿入部33は、例えば、第1反対方向X2に開口している。挿入部33の外周面は、例えば、取付孔201を画定する内周面に沿った形状に形成されている。挿入部33は、例えば、周方向全周にわたって連続して周壁が形成された筒状、つまり始端と終端とが一致する無端状の構造に形成されている。
【0033】
挿入部33の外周面には、例えば、シール部材25が収容される収容溝33Xが設けられている。収容溝33Xは、挿入部33の外周面から挿入部33の径方向内方に向かって凹むように形成されている。収容溝33Xは、例えば、挿入部33の外周面の周方向全周にわたって形成されている。収容溝33Xには、筒状のシール部材25が嵌合されている。シール部材25は、挿入部33を取付孔201に嵌合させた際に、取付孔201を画定する内周面に周方向全周にわたって密着し、ハウジング20の外周面と機器ケース200の内周面との間をシールする。
【0034】
(シール部材25の構成)
シール部材25は、弾性変形可能に構成されている。シール部材25は、例えば、挿入部33の周方向全周にわたって連続した筒状、つまり始端と終端とが一致する無端状の構造に形成されている。シール部材25は、例えば、Oリングである。シール部材25の内周形状は、例えば、挿入部33の外周面に沿った形状に形成されている。シール部材25の外周形状は、例えば、取付孔201を画定する内周面に沿った形状に形成されている。本実施形態のシール部材25は、その内周形状および外周形状が円形状をなす円筒状に形成されている。シール部材25は、例えば、ゴム製である。
【0035】
(本体部30の構成)
本体部30は、例えば、挿入部33の第1方向X1の開口を塞ぐ底壁34を有している。底壁34の第1反対方向X2の端面は、本体部30の第2端面32を構成している。
【0036】
端子保持部35は、例えば、底壁34の第1反対方向X2の端面、つまり本体部30の第2端面32から第1反対方向X2に向かって突出している。端子保持部35は、例えば、挿入部33の内部空間に設けられている。端子保持部35は、例えば、第2コネクタ嵌合部60の内部空間に設けられている。端子保持部35は、例えば、第2コネクタ嵌合部60の周壁と連続して一体に形成されている。端子保持部35は、例えば、挿入部33の径方向において、挿入部33の内周面と離れて設けられている。
【0037】
端子保持部35は、例えば、各端子23の外周面を周方向全周にわたって密着状態で被覆している。端子保持部35は、例えば、各端子23の軸方向の中間部を埋設した状態で保持している。換言すると、各端子23の一部は、ハウジング20の内部に埋まっている。
【0038】
ここで、各端子23は、例えば、棒状に形成されている。各端子23は、例えば、第1方向X1に沿って直線状に延びている。各端子23は、例えば、金属製である。各端子23は、例えば、端子保持部35の第1方向X1の端面から第1方向X1に向かって突出するとともに、端子保持部35の第1反対方向X2の端面から第1反対方向X2に向かって突出している。
【0039】
図3に示すように、10個の端子23は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、第2方向Y1に沿って間隔を空けて設けられるとともに、第3方向Z1に沿って間隔を空けて設けられている。10個の端子23は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、格子状またはマトリクス状に配列されている。10個の端子23のうち8個の端子23は、4×2のマトリクス状に配列されている。残りの2個の端子23は、8個の端子23よりも第3反対方向Z2に離れて設けられている。残りの2個の端子23は、第2方向Y1の中央に設けられている。
【0040】
図1に示すように、フランジ部36は、挿入部33が取付孔201に嵌合された場合に、機器ケース200の外部空間に設けられる。フランジ部36は、例えば、挿入部33の外周面よりも挿入部33の径方向外方に向かって張り出すように形成されている。フランジ部36は、例えば、挿入部33の周方向全周にわたって径方向外方に突出するように形成されている。すなわち、フランジ部36は、取付孔201に対する挿入部33の挿入方向(ここでは、第1反対方向X2)と直交する方向に突出している。フランジ部36の第1反対方向X2の端面は、機器ケース200の外面に接触可能に設けられている。フランジ部36の第1反対方向X2の端面は、例えば、第1方向X1において、機器ケース200の外面と係合可能に形成されている。挿入部33は、例えば、フランジ部36の第1反対方向X2の端面から第1反対方向X2に突出している。フランジ部36の第1方向X1の端面は、本体部30の第1端面31を構成している。
【0041】
図2に示すように、フランジ部36は、例えば、固定部37を有している。固定部37は、他の部分よりも径方向外方への突出量が大きい。本実施形態の固定部37は、第3反対方向Z2に向かって突出している。固定部37は、板状に形成されている。固定部37は、例えば、固定部37を板厚方向(ここでは、第1方向X1)に貫通する貫通孔37Xを有している。貫通孔37Xには、例えば、金属製のカラー38が挿入されている。カラー38は、例えば、円筒状に形成されている。カラー38の孔には、図示しない固定用のボルトが挿入される。
図1に示すように、ハウジング20は、カラー38の孔に挿入されるボルトの締結により機器ケース200に固定される。
【0042】
本体部30は、例えば、第1コネクタ嵌合部40の第1反対方向X2の開口を塞ぐ底壁39を有している。底壁39は、例えば、底壁34と連続して一体に形成されている。底壁39の第1方向X1の端面は、本体部30の第1端面31を構成している。底壁39の第1方向X1の端面は、第1コネクタ嵌合部40の底面を構成している。
【0043】
(第1コネクタ嵌合部40の構成)
第1コネクタ嵌合部40は、挿入部33が取付孔201に嵌合された場合に、機器ケース200の外部空間に設けられている。第1コネクタ嵌合部40には、機器ケース200の外部に設けられた相手コネクタ100が嵌合される。ここで、相手コネクタ100は、相手ハウジング101と、相手ハウジング101に保持されるとともに端子23と電気的に接続される図示しない相手端子とを有している。本実施形態の相手コネクタ100は、非防水コネクタである。第1コネクタ嵌合部40の内部には、第1反対方向X2に沿って、相手コネクタ100の相手ハウジング101が嵌合される。本実施形態の第1コネクタ嵌合部40は、非防水コネクタである相手コネクタ100が内部に嵌合される非防水構造に形成されている。
【0044】
第1コネクタ嵌合部40は、第1端面31、つまりフランジ部36の第1方向X1の端面から第1方向X1に向かって突出している。第1コネクタ嵌合部40は、機器ケース200の外部空間に向かって突出している。第1コネクタ嵌合部40は、例えば、第1方向X1に開口している。第1コネクタ嵌合部40は、例えば、ポッティング材24から第1方向X1に向かって突出する端子23の外周を包囲している。第1コネクタ嵌合部40の内周面は、端子23と離れて設けられている。第1コネクタ嵌合部40の内周面は、例えば、端子23と離れた状態で端子23の外周を周方向全周にわたって包囲している。
【0045】
図2から
図4に示すように、第1コネクタ嵌合部40は、例えば、全体として四角筒状に形成されている。第1コネクタ嵌合部40は、例えば、第2方向Y1に設けられた周壁41と、第2反対方向Y2に設けられた周壁42と、第3方向Z1に設けられた周壁43と、第3反対方向Z2に設けられた周壁44とを有している。周壁41および周壁42の各々は、第3方向Z1の端部に段差を有している。
【0046】
第1コネクタ嵌合部40の内周面には、第1コネクタ嵌合部40の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向内方に向かって突出する突出部45,46,47が設けられている。本実施形態の第1コネクタ嵌合部40は、1つの突出部45と、2つの突出部46と、2つの突出部47とを有している。第1コネクタ嵌合部40は、例えば、第2方向Y1における第1コネクタ嵌合部40の中心を含むとともにXZ平面に延びる仮想平面を対称面とする面対称の形状に形成されている。
【0047】
図2に示すように、各突出部45,46,47は、第1方向X1に沿って延びている。各突出部45,46,47は、例えば、第1コネクタ嵌合部40の軸方向の全長にわたって延びている。
【0048】
1つの突出部45は、例えば、周壁44の内周面に設けられている。突出部45は、周壁44の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向内方(ここでは、第3方向Z1)に向かって突出している。突出部45は、例えば、周壁44の第2方向Y1の中央部に設けられている。突出部45の径方向内方における先端、つまり突出部45の第3方向Z1の端部は、例えば、複数の端子23の近傍まで延びている。
図4に示すように、突出部45の径方向内方における先端は、例えば、先細り形状に形成されている。突出部45を含めた第1コネクタ嵌合部40の形状は、例えば、回転対称ではない形状に形成されている。突出部45は、例えば、第1コネクタ嵌合部40に対して相手コネクタ100が誤った姿勢で嵌合されることを防止する誤組付防止凸部である。突出部45は、例えば、第1方向X1に沿って、相手ハウジング101に設けられた誤組付防止溝102に挿入可能に形成されている。突出部45は、例えば、第1コネクタ嵌合部40に相手ハウジング101が嵌合された状態において、誤組付防止溝102と第1コネクタ嵌合部40の周方向において係合可能に設けられている。
【0049】
2つの突出部46は、例えば、周壁41の内周面と、周壁42の内周面とに1つずつ設けられている。1つの突出部46は、周壁41の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向内方(ここでは、第2反対方向Y2)に向かって突出している。1つの突出部46は、周壁42の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向内方(ここでは、第2方向Y1)に向かって突出している。2つの突出部46の各々は、例えば、周壁41,42の段差部分における内周面に設けられている。2つの突出部46は、例えば、第2方向Y1において互いに対向するように形成されている。各突出部46の径方向内方における先端は、例えば、複数の端子23の近傍まで延びている。各突出部46の径方向内方における先端は、例えば、先細り形状に形成されている。各突出部46は、例えば、第1コネクタ嵌合部40に対して相手コネクタ100を嵌合する際に相手コネクタ100をガイドするガイド凸部である。各突出部46は、例えば、第1方向X1に沿って、相手ハウジング101に設けられたガイド溝103に挿入可能に形成されている。各突出部46は、例えば、第1コネクタ嵌合部40に相手ハウジング101が嵌合された状態において、ガイド溝103と第1コネクタ嵌合部40の周方向において係合可能に設けられている。
【0050】
2つの突出部47の各々は、例えば、周壁44の内周面に設けられている。2つの突出部47の各々は、周壁44の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向内方(ここでは、第3方向Z1)に向かって突出している。2つの突出部47は、例えば、第2方向Y1において、突出部45を両側から挟むように設けられている。各突出部47の径方向内方における先端は、例えば、他の突出部45,46に比べると、複数の端子23から離れた位置に設けられている。各突出部47は、例えば、第1コネクタ嵌合部40に対して相手コネクタ100を嵌合する際に相手コネクタ100をガイドするガイド凸部である。各突出部47は、例えば、第1方向X1に沿って、相手ハウジング101に設けられたガイド溝104に挿入可能に形成されている。各突出部47は、例えば、第1コネクタ嵌合部40に相手ハウジング101が嵌合された状態において、ガイド溝104と第1コネクタ嵌合部40の周方向において係合可能に設けられている。
【0051】
第1コネクタ嵌合部40は、例えば、第1コネクタ嵌合部40の内部空間を拡大する拡大凹部48を有している。拡大凹部48は、例えば、周壁43の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向外方に向かって凹むように形成されている。拡大凹部48は、例えば、第2方向Y1に沿って延びている。拡大凹部48は、例えば、第3方向Z1において、端子23と対向する領域に設けられている。
【0052】
第1コネクタ嵌合部40は、例えば、第1コネクタ嵌合部40の内外を連通する1以上の貫通孔49を有している。本実施形態の第1コネクタ嵌合部40は、2つの貫通孔49を有している。2つの貫通孔49は、第1コネクタ嵌合部40の周方向の一部に設けられている。2つの貫通孔49は、例えば、第2方向Y1において、突出部45を両側から挟むように設けられている。各貫通孔49は、例えば、周壁44を第3方向Z1に貫通するように形成されている。
図1に示すように、各貫通孔49は、周壁44の第1方向X1における中間部に設けられている。各貫通孔49を画定する内面は、相手ハウジング101が有する係合突起105と係合可能に形成されている。各貫通孔49を画定する内面は、係合突起105と第1方向X1において係合可能に形成されている。
【0053】
第1コネクタ嵌合部40は、第1コネクタ嵌合部40の底面、つまり底壁39の第1方向X1の端面に設けられた凹部50を有している。凹部50は、第1コネクタ嵌合部40の底面から第1反対方向X2に凹むように形成されている。凹部50は、例えば、挿入部33の一部を構成する底壁34の中間部まで凹むように形成されている。凹部50は、例えば、第1コネクタ嵌合部40の底面から第1反対方向X2に向かうに連れて、開口幅が小さくなるように形成されている。
【0054】
図3に示すように、凹部50は、第1方向X1から見た平面視において、複数の端子23を包囲するように形成されている。凹部50は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、複数の端子23を一括して包囲するように形成されている。1つの凹部50の内部には、10個の端子23が収容されている。凹部50を画定する内面は、第1方向X1から見た平面視において、端子23から離れた位置に設けられている。
【0055】
凹部50は、第1方向X1から見た平面視において、突出部45の径方向内方における先端が自身に食い込まれるように形成されている。換言すると、突出部45の径方向内方における先端は、第1方向X1から見た平面視において、凹部50に食い込むように形成されている。凹部50は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、突出部45の先端よりも径方向外方に広がるように形成されている。凹部50は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、突出部45の径方向内方における先端を三方向から包囲している。具体的には、凹部50は、第1方向X1から見た平面視において、第3方向Z1と第2方向Y1と第2反対方向Y2との三方向から突出部45の径方向内方における先端を包囲している。
【0056】
凹部50は、第1方向X1から見た平面視において、突出部46の径方向内方における先端が自身に食い込まれるように形成されている。換言すると、突出部46の径方向内方における先端は、第1方向X1から見た平面視において、凹部50に食い込むように形成されている。凹部50は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、突出部46の先端よりも径方向外方に広がるように形成されている。凹部50の外縁形状は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、先細り形状をなす突出部46の先端に沿った形状を有している。
【0057】
凹部50は、例えば、第1方向X1から見た平面視において、拡大凹部48の内部に入り込むように形成されている。拡大凹部48の内部に入り込む部分の凹部50の外縁形状は、例えば、波形状に形成されている。
【0058】
凹部50の外縁形状は、第1方向X1から見た平面視において、複数の端子23のうち第1コネクタ嵌合部40の径方向外方に配置された端子23から遠ざかるように湾曲した曲線形状を有している。本実施形態の凹部50の外縁形状は、第1方向X1から見た平面視において、曲線形状のみで形成されている。本実施形態の凹部50の外縁形状は、10個の端子23のうち第1コネクタ嵌合部40の径方向外方に配置された8個の端子23の各々から遠ざかるように円弧状に湾曲した8個の円弧形状51を有している。本実施形態の凹部50の外縁形状は、8個の円弧形状51が連続して連なって形成されている。突出部45の径方向内方における先端は、2個の円弧形状51により三方向から包囲されている。各突出部46の径方向内方における先端に沿った形状は、2個の円弧形状51によって構成されている。拡大凹部48の内部には、4個の円弧形状51が入り込むように形成されている。
【0059】
(ポッティング材24の構成)
ポッティング材24は、凹部50に充填されている。このため、第1方向X1から見たポッティング材24の平面形状は、第1方向X1から見た凹部50の平面形状と同一の形状に形成されている。ポッティング材24は、複数の端子23の各々を取り囲むように形成されている。ポッティング材24は、複数の端子23の各々に接着されている。ポッティング材24は、複数の端子23を封止する封止材である。
【0060】
ポッティング材24は、例えば、各端子23の外周面を周方向全周にわたって密着状態で被覆している。
図1に示すように、ポッティング材24は、例えば、各端子23の軸方向の中間部を埋設した状態で各端子23を被覆している。
【0061】
(第2コネクタ嵌合部60の構成)
第2コネクタ嵌合部60は、挿入部33の底壁34の第1反対方向X2の端面、つまり本体部30の第2端面32から第1反対方向X2に向かって突出している。第2コネクタ嵌合部60は、機器ケース200の内部空間に向かって突出している。第2コネクタ嵌合部60には、例えば、機器ケース200の内部に設けられた図示しない第2の相手コネクタが嵌合される。第2コネクタ嵌合部60は、例えば、非防水コネクタである第2の相手コネクタが嵌合される非防水構造に形成されている。
【0062】
第2コネクタ嵌合部60は、例えば、第1反対方向X2に開口している。第2コネクタ嵌合部60は、例えば、端子保持部35の第1反対方向X2の端面から突出する端子23の外周を包囲している。第2コネクタ嵌合部60の内周面は、端子23と離れて設けられている。第2コネクタ嵌合部60の内周面は、例えば、端子23と離れた状態で端子23の外周を周方向全周にわたって包囲している。
【0063】
第2コネクタ嵌合部60は、第2コネクタ嵌合部60の周方向の一部に設けられた貫通孔61を有している。貫通孔61は、第2コネクタ嵌合部60の内外を連通するように形成されている。貫通孔61は、例えば、第2コネクタ嵌合部60の周壁を第3方向Z1に貫通するように形成されている。貫通孔61は、第2コネクタ嵌合部60の軸方向における中間部に設けられている。貫通孔61を画定する内面は、例えば、第2の相手コネクタが有する係合突起(図示略)と係合可能に形成されている。
【0064】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)中継コネクタ10は、導電性を有する複数の端子23と、ハウジング20とを備える。ハウジング20は、複数の端子23を保持する本体部30と、本体部30の第1端面31から第1方向X1に向かって突出する筒状の第1コネクタ嵌合部40とを有する。ハウジング20は、本体部30の第1端面31の反対に設けられた第2端面32から第1方向X1の反対方向である第1反対方向X2に向かって突出する筒状の第2コネクタ嵌合部60を有する。中継コネクタ10は、本体部30の第1端面31から第1反対方向X2に向かって凹むとともに、複数の端子23を包囲する凹部50と、凹部50に充填されるとともに、複数の端子23を封止するポッティング材24とを備える。ハウジング20は、第1端面31から第1方向X1に向かって突出するとともに、第1コネクタ嵌合部40の内周面から第1コネクタ嵌合部40の径方向内方に向かって突出する1以上の突出部45,46を有する。突出部45,46の径方向内方における先端は、第1方向X1から見た平面視において、凹部50に食い込むように形成されている。
【0065】
この構成によれば、第1コネクタ嵌合部40の内周面から径方向内方に向かって突出する突出部45,46の先端が、第1方向X1から見た平面視において、凹部50に食い込むように形成される。換言すると、ポッティング材24が充填される凹部50は、突出部45,46の先端よりも径方向外方に広がるように形成される。このため、例えば第1コネクタ嵌合部40の間口の小型化に起因して突出部45,46の先端が端子23の近傍まで延びる場合であっても、凹部50の外縁を端子23から好適に離すことができ、凹部50の外縁と端子23との間の距離を長く確保することができる。これにより、突出部45,46の先端よりも径方向内方の領域のみに凹部50を形成する場合に比べて、凹部50の外縁と端子23との間の距離が短くなることを抑制できる。この結果、凹部50に充填されるポッティング材24に応力集中が生じることを抑制でき、ポッティング材24に割れが発生することを好適に抑制できる。
【0066】
(2)凹部50は、第1方向X1から見た平面視において、誤組付防止凸部である突出部45の先端を三方向から包囲するように形成される。この構成によれば、突出部45の先端における側壁に回り込むように凹部50を形成することができる。このため、凹部50を、突出部45の先端よりも径方向外方に広がるように好適に形成できる。これにより、突出部45の先端が端子23の近傍まで延びる場合であっても、凹部50の外縁と端子23との間の距離が短くなることを好適に抑制できる。この結果、ポッティング材24に割れが発生することを好適に抑制できる。
【0067】
(3)突出部46の先端が先細り形状に形成されている。このため、突出部46の径方向内方における先端は、突出部46の側壁に近づくに連れて、端子23から遠ざかるように形成される。このような突出部46の先端に沿った形状に凹部50が形成される。このため、凹部50の外縁を端子23から離れるように好適に形成することができる。これにより、突出部46の先端が端子23の近傍まで延びる場合であっても、凹部50の外縁と端子23との間の距離が短くなることを好適に抑制できる。
【0068】
(4)第1コネクタ嵌合部40の内周面に、第1コネクタ嵌合部40の内部空間を拡大する拡大凹部48が設けられる。これにより、第1コネクタ嵌合部40の体格が大きくなることを抑制しつつも、第1コネクタ嵌合部40の内部空間を拡大することができる。さらに、拡大凹部48の内部に入り込むように凹部50が形成されるため、凹部50の外縁を端子23から好適に離すことができ、凹部50の外縁と端子23との間の距離を長く確保することができる。
【0069】
(5)凹部50の外縁形状が曲線形状を有する形状に形成される。このため、凹部50の内部にポッティング材24を充填する際に、そのポッティング材24の流動性を向上させることができる。これにより、凹部50の外縁においてポッティング材24が滞留することを抑制できるため、凹部50の外縁においてポッティング材24が凹部50の外部に這い上がることを好適に抑制できる。
【0070】
(6)凹部50の外縁形状が曲線形状のみで構成される。このため、凹部50の内部にポッティング材24を充填する際に、そのポッティング材24の流動性をより向上させることができる。これにより、凹部50の外縁においてポッティング材24が這い上がることをより好適に抑制できる。
【0071】
(7)第1コネクタ嵌合部40の内部には非防水コネクタである相手コネクタ100が嵌合される。この場合には、第1コネクタ嵌合部40の間口が小さくなるため、突出部45,46の先端が端子23の近傍まで延びる傾向がある。このような場合であっても、凹部50の外縁と端子23との間の距離が短くなることを好適に抑制できる。この結果、ポッティング材24に割れが発生することを好適に抑制できる。
【0072】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0073】
・上記実施形態における第1コネクタ嵌合部40の構造は適宜変更可能である。
・上記実施形態では、第1コネクタ嵌合部40を非防水構造に形成したが、これに限定されない。例えば、第1コネクタ嵌合部40を、防水コネクタである相手コネクタが嵌合される防水構造に形成してもよい。この場合には、例えば、貫通孔49は省略される。
【0074】
・上記実施形態の突出部45,46,47の数および形成位置は適宜変更可能である。
・上記実施形態の突出部47を省略してもよい。
・上記実施形態の突出部45,46のうちいずれか一方を省略してもよい。
【0075】
・上記実施形態の拡大凹部48を省略してもよい。
・上記実施形態における第2コネクタ嵌合部60の構造は適宜変更可能である。
・上記実施形態では、第2コネクタ嵌合部60を非防水構造に形成したが、これに限定されない。例えば、第2コネクタ嵌合部60を、防水コネクタである第2の相手コネクタが嵌合される防水構造に形成してもよい。この場合には、例えば、貫通孔61は省略される。
【0076】
・上記実施形態における凹部50の構造は適宜変更可能である。
・上記実施形態では、凹部50の外縁形状を、曲線形状のみで構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、凹部50の外縁形状を、直線形状を含む形状に変更してもよい。
【0077】
・上記実施形態では、機器ケース200の外部に面する第1端面31に凹部50を形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、機器ケース200の内部に面する面に凹部50を形成するようにしてもよい。例えば、端子保持部35の第1反対方向X2の端面に凹部50を形成するようにしてもよい。
【0078】
・上記実施形態では、シール部材25としてゴム製のゴムリングに具体化したが、これに限定されない。例えば、シール部材25として、ゴム以外の弾性体からなるリング部材を採用するようにしてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、トランスミッションケースである機器ケース200に取り付けられる中継コネクタ10に具体化したが、これに限定されない。例えば、トランスミッションケース以外の機器ケースに用いられる中継コネクタに適用してもよい。なお、中継コネクタ10が取り付けられる機器ケース200の内部の環境は油中環境に限定されるものではなく、機器ケース200の内部で油が使用されない機器の中継コネクタにも適用可能である。
【0080】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
10 中継コネクタ
20 ハウジング
23 端子
24 ポッティング材
25 シール部材
30 本体部
31 第1端面
32 第2端面
33 挿入部
33X 収容溝
34 底壁
35 端子保持部
36 フランジ部
37 固定部
37X 貫通孔
38 カラー
39 底壁
40 第1コネクタ嵌合部
41,42,43,44 周壁
45 突出部(誤組付防止凸部)
46 突出部
47 突出部
48 拡大凹部
49 貫通孔
50 凹部
51 円弧形状
60 第2コネクタ嵌合部
61 貫通孔
100 相手コネクタ
101 相手ハウジング
102 誤組付防止溝
103 ガイド溝
104 ガイド溝
105 係合突起
200 機器ケース
201 取付孔
X1 第1方向
X2 第1反対方向
Y1 第2方向
Y2 第2反対方向
Z1 第3方向
Z2 第3反対方向